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元スレP「真美が、俺にキスをねだってくる……」
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――ねえ、ピヨちゃんってさ、彼氏とかいるのー?
――え? えええ? な、なにを言ってるのかしら真美ちゃん!
こんな年増をもらってくれるぷ……男性なんていないわよ! いたらしょ、紹介してほしいわ!
――へ→。じゃあさ、兄ちゃんに彼女がいるかどうかって知ってる?
――さ、さあ~……こ、今度機会があったら聞いてみるわね!
でもプロデューサーさんかなり鈍感なところあるから、きっといないんじゃないかな~……。
――へ→。ねえピヨちゃん、なんでさっきから汗だくで目を逸らしてるの?
――ピ……ピヨピヨ……。
真美はそれを聞きながら、おやおやおや? って思ってた。
ピヨちゃんは確かに兄ちゃんとの関係はなんも言ってなかったけど、この事実は真美だけじゃなくて、誰でもわかったかもね……。
「後悔したってことに戻すね。あのときのキスは、これから起こる悲しい事件のきっかけに過ぎないのであった……」
間違いなく、あのお葬式でのキスから、真美たちの関係は変になっちゃった。
さっき兄ちゃんは言ってくれたよね。真美がこうやって俺のそばにいてくれるから、俺は俺でいられるんだ、って。
それでも……。
「それでも、兄ちゃんはね。ピヨちゃんが死んじゃったことと、もっとちゃんとしたカタチで向き合うべきだったんだよ」
「それが……真美の後悔」
真美はそれを邪魔しちゃった、真美のせいで。
「真美のせい?」
「うん。真美、自分でも怖いくらいに、どんどん兄ちゃんのこと……す、好きになっちゃってたんだ」
「何度目かわからないほど兄ちゃんとキスをしたとき、真美はようやく後悔し始めたんだ」
これは決して、正しくない。
兄ちゃんは口ではなんだかんだ言いながらも、真美のために尽くしてくれた。仕事面でも、プライベートでも。
でも気が付けば、兄ちゃんの様子は日に日におかしくなっていってた。
「様子がおかしいって、そんなことなかったと思うけどな……」
「おかしかったよ……前の兄ちゃんだったら、あんなに」
「あんなに亜美に、きつきつなスケジュール組ませなかったじゃん」
「真美は……いや、真美だけは、知ってる」
亜美は、兄ちゃんとりっちゃんの期待に応えようとして毎日毎日……本当に必死だった。
それでときどき、真美しか知らないことだけど、ちょっと変になっちゃったりしてた。
亜美は亜美なりに……ピヨちゃんが死んじゃってから、何か思うところあったのかも。
ラッキーなことに大きく体調崩したりはしなかったけど、ひたすら疲れを隠して仕事してたんだよ。
うちに帰るとすぐ死んだみたいに寝ちゃってたしね。
「そんな……亜美、俺は……何も、何も知らずに、気付いてやれずに……」
「亜美に口止めされてたってのもあるけど……それ知ってて、兄ちゃんに何も教えなかった真美も悪いよ。だから……泣かないで」
「う……うぅ……亜美、すまない、すまない……!」
兄ちゃん、今日はちょっと泣き虫? ……だけどやっぱり、優しいね。そして真美は……やっぱり卑怯だね。
「もうやめよう、って真美が兄ちゃんに言えば、この関係も終わり。
いろんなことが少しだけ、前みたいに戻ってくるってのはわかってた」
でももう、そんなことできないくらい、真美は兄ちゃんなしでは生きられなくなっちゃってたんだ。
兄ちゃんとのキスはきっと、お互いスキスキーって感じの、ラブラブなものじゃなかったんだと思う。
たぶんそれは、そうでもしないと自分のカタチをちゃんと保っていられなくなるからするだけの……“ごまかし”のキスだった。
唇を重ねることで、真美たちはお互いを慰めあっていたんだ。
兄ちゃんの心は真美に向いていない、ってのは何度も聞かせれてたしね。
だけど、それでも……。
「それでも真美は、兄ちゃんにキスをねだることが……やめられなくなってた」
どんな形でもいい。真美のことを好きじゃなくたって、我慢できる。
ただ自分の居場所がほしい。
キスすることで、少しでも兄ちゃんがこっち向いてくれるなら……。
「先に謝っとく。ごめんね、兄ちゃん」
兄ちゃんは、何のことだ? という顔をしてこっちを見ている。怒るかなあ……。
「真美、ある人にね……その人もうちのアイドルなんだけど、兄ちゃんとの関係、相談しちゃってたんだ」
てへぺろ! なんてごまかしつつ、おそるおそる兄ちゃんの顔を伺ってみる。
兄ちゃんはこの世の終わりのような顔をしていた。
まあそうっすよね……でも、真美に対して怒りはしなかった。そんな余裕もなかったのかも。
そして、わずかに残ったこの世を生きる力を振り絞って、兄ちゃんは聞いてきた。
「ち、ちなみにそれは……誰なんだ?」
「……千早お姉ちゃん」
千早お姉ちゃんには、兄ちゃんとのことをほぼ全部相談していた。
真美が兄ちゃんを好きだということ、こんな関係になってしまったきっかけ、あと最近では亜美のことも……。
千早お姉ちゃんなら誰にも言わないってわかってたし、きっと真剣に考えてくれるって思ったから。
実際、千早お姉ちゃんは真美のいろんなことを聞いても、なにも嫌な顔ひとつしなかった。
千早お姉ちゃんの話す言葉は、不思議と真美の心の中にすーっと染み込んできたし、
話を聞いてもらうことで楽になった部分もたくさんあったと思う。
歌で、言葉で気持ちを伝える人って、やっぱすごいんだなーって思ったよ。
でも、千早お姉ちゃんの心に土足で踏み込むこと、真美はしちゃった……。
でもそれこそが、どうしても千早お姉ちゃんじゃなきゃだめな理由だったんだ。
それは……
深呼吸をして、真美は告白を続ける。
それは、今まで触れられなかったこと。
ふたりの間で、いつの間にかタブーになっていたこと。
誰かに助けてもらわないと、真美にはどうすることもできなかったこと。
「いまの兄ちゃんの、ピヨちゃんに対する思い」
最愛の人を亡くしてしまった、その気持ち。
真美だって、ピヨちゃんのことだいすきだったから、とても悲しいってことはわかるよ……。
けど兄ちゃんはあれから、真美と直接、ピヨちゃんに関する話をしてくれなかった。
だから真美には、兄ちゃんの今の心っていうものがわからなかったんだよ。
千早お姉ちゃんは、少し戸惑っていたけど……真剣に、ほんとうに真剣に真美の話を聞いてくれた。
――大切な人を亡くすということは、とてもつらいことだわ。
「まみ……しってるよ。兄ちゃんがときどき、ピヨちゃんのことをおもいながら、その……ひとりでしてるってこと」
「……!」
――私はプロデューサーと音無さんのことを知らなかった。まあ、なんとなく察してはいたけれど……。
だから彼にとっての音無さんが、どれくらいの大きさだったのか……
あはは。兄ちゃんびっくりしてる。そりゃそっか、男の人にとってこれって、けっこうはずかしいことらしいからね~……
――家族と言っていいくらいに愛していたのか、わからない。
だからごめんね、真美。私にはちゃんとした答えは出せないわ。
千早「私と高槻さんが心の底で繋がっているように、Pも音無さんと繋がっていたのね」
真美「…え?」
千早「えっ」
真美「…え?」
千早「えっ」
――でもね……知る方法はある。それはきっと、今の真美にしかできないことよ。
「まみ……し、しってる、よ。わかる、よ」
真美は、他の皆とは見方が違うからね!
……おや? 言葉にしちゃうと、これってけっこう自分にもダメージ大きいんだ……。
いままで、しょ~がないな~くらいにしか思って、なかった……はずなのに。
――勇気を出して、一歩踏み出すこと。プロデューサーもあなたも、今ここに、確かに生きているんだから。
あなたはひとりじゃないのよ、どんなときだって。
あの時、それを私に教えてくれたのは、あなたたちでしょう?
なんだか、また、目が、熱くなってきたし……
心臓は、さっきから、
うるさいくらいに、 ばくばくしてる
「に! にい゛ちゃんは!」
「ぴ、ピヨちゃんのこと、にい゛ちゃんはまだだいすきなんだって! そうでしょう゛!?」
「わすれらない゛っで! わがっでたもん! まみ゛のこと、だからすきになれない゛ん、だって!」
「まみ゛もぉ……まみ゛だって、ピヨちゃんのこと、だいすき、だったのにぃい゛……」
「わがっでても……でももう゛、ズビっ、にい゛ちゃんのそばから、はなれられなぐ、なっちゃっでたんだもん!」
「う、う゛ぁあ……ああああぁあああ゛あ゛あああああああん!!!!」
アニメのシリアス続編っぽい、小鳥さんは気の毒だけど
中1と真面目な恋愛やらかそうとしたら、そういう設定にせざるを得ないよな
中1と真面目な恋愛やらかそうとしたら、そういう設定にせざるを得ないよな
今日は泣いてばかりだな。
涙、こんなに流したのいつぶりだろう。
ピヨちゃんのお葬式のときから今日まで、まともに泣いたこと、なかったのかも。
「う……うぅ……ひっく……ご、……ご」
「ご、ごめんえ゛……ごぇんね、ピヨちゃぁあ゛ん……」
ごめんね……本当に、ごめんね……!!
兄ちゃんが愛していたのは、本当の本当に、最初から最後まで、ピヨちゃんだった。
それがわかっていたのに、真美はこんな形で、兄ちゃんのそばに居場所を作っちゃった。
『兄ちゃんの心の中に本当はあるはずだった、ピヨちゃんの居場所を、奪ってしまった』
真美は……その後悔と、どんな形であれもう離れたくないという確かな気持ち。
ふたつの間で、ずっとずっとぐるぐる迷ってて……いつからか、
いつも通りの自分でいることも、笑うことも、できなくなっちゃってたんだ。
――――――――――――
――――――
―――
「ず……ずびび。失礼しました……へへ、なんだかかっこわりーねっ!」
今まで言えなかったその思いを、真美は勇気を出して、俺に教えてくれた。
真美がどれだけ真剣に、俺のことを想ってくれていたのか。
どれだけ俺のために、悩んでくれていたのか。
俺が今までちゃんと向き合えなかった、音無さんのことを、どう思っていたのか。
「ありがとう、真美」
――――――
―――
「ず……ずびび。失礼しました……へへ、なんだかかっこわりーねっ!」
今まで言えなかったその思いを、真美は勇気を出して、俺に教えてくれた。
真美がどれだけ真剣に、俺のことを想ってくれていたのか。
どれだけ俺のために、悩んでくれていたのか。
俺が今までちゃんと向き合えなかった、音無さんのことを、どう思っていたのか。
「ありがとう、真美」
そう言って、俺は真美を強く抱きしめる。
この感謝の気持ちを表すために、そしてこんな顔をしている俺を見せないために。
今度は俺の番だな。だが俺自身、うまく考えがまとまっていないのが現状だ。
しかしながら、ひとつだけはっきりしていることがある。“最初”に言わなくはならないことだ。
今なら……言える。
「真美」
「ん……?」
「俺は、真美のことを」
ふう、と深呼吸して、真美の体を少しだけ離す。
そして、真っ直ぐに真美の瞳を見た。
多少恥ずかしくはあったが、これだけはやはり顔を見て言わなければならないと思ったからだ。
「真美のことを、愛してる。世界でお前のことしか見えなくなるくらいに……真美に夢中だ」
真美はとても驚いた顔をしている。鳩が豆鉄砲くらった、とはこのような顔のことを言うのか。
「ま、またそうやって心にもないことを……」
ドラマや漫画などでは、ここで甘いキスなどして信じさせるのだろうな。しかしそれは使えない。
いまの俺と真美にとって、キスとはある意味、最も“ごまかし”に近い行為なのだから。
俺は自身の言葉で、真美にこの気持ちをぶつけなければならない。
「嘘じゃない。俺は、本当に真美のことを愛しているんだよ」
「そんなこと言っても、信じ、られないよ。どうせまた、真美のご機嫌取りなんでしょー?」
っかー! いっちょまえにめんどくせーことを言いやがるこの女!
少しばかり冷静さを失ってしまったが、
辛抱強さこそが女性を扱う上での必須スキルであることを思い出した俺は、ゆっくりと話し始める。
「真美、俺はな……愛にはちゃんとした形はないと思うんだよ」
「愛ぴょんは……ゲル状なの?」
「黙ってききなさい」
何を思ってかいまだに茶化そうとしてくる真美のデコをピンして黙らせ、俺は話を続けた。
>>239
やめて
やめて
「いいか、よく聞くんだ真美」
「俺の真美に対する強い気持ちは確かにここにある。
だが、俺はいっそこれが、真美に信じてもらえなくてもいいとさえ思っているんだ」
「結局のところ、愛とは自己満足であり、自分が幸せになるための手段に過ぎないんだからな」
「もちろん、相手に届くことに越したことはない。
両思い、それは奇跡だが、それゆえに素晴らしいものなのだから」
「それでも、俺は真美の笑顔を見ているだけで、胸が張り裂けそうになるんだよ」
「今まで、俺はこの感情とちゃんと向き合ってこなかった……俺は、怖かったんだ」
「真美が笑顔なら俺は天に昇るような気分になれるし、真美が泣くなら俺は海より深く絶望してしまう……」
「…………」
おや、真美がぷるぷるとしている。もう一息かな。
「もちろん……とてもつらいときだってある。しかし、それ以上に、俺は幸せなんだ」
「だからな、真美。俺はこの気持ちが真美に届かなくても、ひとりで抱いているだけでもいいと思うんだ」
「でも、ひとつだけ……ひとつだけ望むことがある」
「せめて、これまで通りに……俺のそばにいてくれないか」
「お前が嫌だと言うならキスもしない、体を重ねるなんてことももちろんしない」
「ただ真美がそばにいてくれれば……俺は明日を生きていけるんだから」
「だから頼む、真美。俺のことならいくら嘘つきと罵ってくれても構わない。だから……」
「だぁーーーー! もういい、もうわかったよ兄ちゃん! キモい!!」
そう叫ぶと、真美は俺の告白をさえぎってしまった。まだこれからだと言うのに。
真美はそのかわいらしい顔をゆでだこのように綺麗な朱色に染め、こちらをじとーっと睨みつけている。
「……ばっかみたい! ばか! ばかばか!! キモ過ぎー!!」
「そんな……まだ俺の気持ちは伝わらないのか? そうだよな、まだ半分くらいしか……」
「もういいから!! てかまだ半分だったの!?」
キモいなどと言われて少し傷ついてしまったが、本当に気持ちを伝えるのはとても難しいことなのだと俺は知っている。
だが真美は、頑なに俺の言葉を拒否しているようだ。
「……もう、もう十分わかったから……ばか」
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