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元スレQB「少しくらい、本当の奇跡が起こってもいいじゃないか」
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QB「ここまで巨大な結界があったら、世界はとっくの昔に崩壊しているよ」
まどか「じゃ、じゃあここはわたし達の住んでる地球じゃないってこと?」
QB「いや、地球ではあるよ」
まどか「え? でも……」
ほむら「……まどろっこしいわね、早く説明してくれるかしら」
QB「説明しなくても、君はもうわかってるんじゃないのかい?」
QB「実際、似たような世界を何度も旅してきたじゃないか」
ほむら「え……?」
QB「……君は、何人もの『まどか』を知っているだろう? それと同じさ」
ほむら「……っ!」
QB「つまり、ここは無数に存在する平行世界の一つ……」
QB「……魔女に滅ぼされる、という可能性の先にある世界さ」
ほむら「……なるほどね」
まどか「じゃあ、この世界は……もう魔女に滅ぼされちゃった後ってこと?」
QB「そうだよ」
QB「だから人間は居ないし、地球の全てが結界に覆われているのさ」
まどか「そんな……」
QB「……そして、世界のすべてを滅ぼし、巨大な結界で覆うなんて」
QB「そんなことができる魔女は一人しか居ない」
ほむら「……じゃあ、この結界の主っていうのは、まさか……」
QB「そう……ここは、『ワルプルギスの夜』の結界さ」
――――――――――――――
――――――――――――――
そしてある時、それは彼女の元を訪れた。
キュゥべえでは無い、二人目の来客。
それは彼女に語りかけ、彼女はその声を確かに聞いた。
そして答えた。
耳も、喉も動かないはずなのに。
……それは明らかに人間では無く、「白い猫のような生き物」でも無い。
それが持ちかけてきたのは、ある契約だった。
願いをひとつだけ、何でも叶えてやる。
そのかわり、死んだ後に魂を貰う。
彼女は……当然その契約を受け入れた。
失って困るものなど、あるはずがない。
無力な、何もできない現実などあっても意味がない。
そう思ったからだろう。
彼女の願いは……現実と物語の交換だった。
歩くことも話すことも聞くことも見ることも出来ない、無力な現実を嘘にして――
――「魔法少女 まどかマギカ」という嘘を現実にすること。
彼女のその願いが聞き届けられた瞬間、世界は結界に覆われた。
人々は消滅し、空は変色し、そこにはただ……彼女と、彼女から切り離された願いだけが残った。
それ自体に意思は無く、笑いながら回転し続ける歯車に過ぎない。
……無力を呪い、現実を物語に変えることを祈った彼女の想いは、ただの舞台装置に成り果ててしまったらしい。
それが、一番最初の魔女――悪魔と契約した少女が誕生した瞬間だった。
人はそれを「ワルプルギスの夜」と呼ぶ。
――――――――――――――
――――――――――――――
ほむら「……でも、もしそれが本当なら」
ほむら「ここから出るには、あのワルプルギスの夜を倒さなくてはいけないということ?」
QB「そうだね、魔女を倒して結界自体を消滅させる以外に方法は無さそうだ」
QB「最悪、君の能力を使ってこの時間軸を脱するという手もあるけどね」
ほむら「…………」
まどか「……でもその、ワルプルギスの夜ってすごく強いんじゃ」
QB「ああ、まともに戦ってもおそらく勝ち目は無いだろう」
まどか「じゃあ、どうするの?」
QB「……それをどうにかするために、君をわざわざ起こしたのさ」
ほむら「っ!!」
ジャキッ!
まどか「ほ、ほむらちゃん!?」
ほむら「……それはさせないわ」
QB「……大丈夫だよ、その心配は要らない」
QB「別に僕は、まどかと契約しようって言うんじゃないよ」
ほむら「そんなの……信用できると思う?」
QB「信用も何も……」
QB「……今は契約自体できないんだよ」
まどか「え? そうなの?」
QB「ああ、統一意思との連絡がとれないんだ……ここには、元々存在していないんだろう」
ほむら「……本当に?」
QB「そうじゃなかったら、君を起こす前に契約してるよ」
ほむら「…………」
まどか「ほむらちゃん……」
ほむら「……わかったわ」スッ
ほむら「……でも、それ以外にどんな方法があるというの?」
QB「仕方が無いだろう、ワルプルギスの夜を倒すのさ」
ほむら「正攻法では……倒せないかもしれないわよ」
QB「なら正攻法以外で倒せばいい」
ほむら「……具体的にはどうやって?」
QB「彼女の正体を掴むのさ」
QB「彼女が魔女になった経緯、生前の人物像などを知れば、もしかしたら弱点を見つけられるかもしれない」
QB「……見つかる可能性は低いけどね」
ほむら「なるほど……」
ほむら「本人の結界の中なら、それにつながるものも無いとは限らないわね」
QB「それに加えて、僕らにはもう一つ情報源がある」
ほむら「……何?」
QB「まどかの夢さ」
まどか「夢って、さっきまで見てた……?」
QB「そう、あれはおそらく、ワルプルギスの夜が見せていたものだろう」
QB「その素材にまどかの記憶と願望が使われているのは明白だけど」
QB「わずかに、魔女自身の記憶が混じっている……かもしれない」
まどか「かもしれない、って……」
QB「……どんなに小さな可能性でも、今は賭けてみるしかないのさ」
QB「このまま何もしなければ、間違いなく君たちは死んでしまうだろう」
QB「そうなったら、こちらとしても大損だからね」
まどか「あはは……キュゥべえらしいね」
ほむら「……ふん」
まどか「でも、魔女の記憶って……どうやって見分ければ良いの?」
QB「……簡単にいえば、君の記憶に無いことを探せばいいんだけど」
QB「何か、無かったかい?」
まどか「うーん……」
QB「知らない場所、知らない物、知らない人物……どんな小さな事でもいい」
QB「きっと、そこに紛れるような記憶は、魔女にとっても思い入れの深い記憶だろうからね」
まどか「うううう……知らない物、場所……?」
ほむら「落ち着いてまどか……一つずつ、確認していきましょう」
ほむら「まず、知らない場所はあった?」
まどか「場所は……わたしの家と、学校と、通学路と……」
まどか「あの工場……は、確かさやかちゃんが初めて戦った場所だよね……」
ほむら「そうね、それは私も覚えてるわ」
ほむら「じゃあ次は……物、かしら」
まどか「物は……うーん」
まどか「家具もぬいぐるみも、学校の備品とかにも変わったものは無かった……と思う」
まどか「料理も一度作ってもらったことがあるものだったし……」
まどか「……お菓子も、全部見たことがあった……かな?」
ほむら「残ったのは……人物ね」
まどか「人かあ……」
まどか「えっと、あの夢の中で会った人達は……」
まどか「……ほむらちゃん、さやかちゃん、仁美ちゃん、マミさん、杏子ちゃん、キュゥべえ」
まどか「パパ、ママ、達也、早乙女先生、クラスのみんな……」
ほむら「……これといって、おかしな人物は居ないわね」
ほむら「道路ですれ違った人は?」
まどか「うーん……たしか、登下校と工場までしか歩いてないから……」
ほむら「ほとんどすれ違ってないか……」
まどか「……ごめん、ほむらちゃん」
ほむら「気にしなくていいわ、まだ望みが無いわけじゃない」
QB「……この世界を片っ端から捜索すれば、ヒントが見つかるかもしれないね」
まどか「うん……」
ほむら「じゃあ、探しに行きましょうか」スクッ
ほむら「まどかはここで待っていて」
まどか「うん……気をつけてね」
QB「心配する必要は無いよ、ここには使い魔すらロクに居ないからね」
QB「人間も全く居ないし、事故に巻き込まれることも無い」
まどか「………!」
QB「安心して待っていると良いよ」テテテ
まどか「…………」
まどか(あれ……今、何か……)
まどか(えーっと、えーっと……確か、今のは……)
まどか(……朝に)
まどか「……あっ!!」
ほむら「!? どうしたの?」
まどか「思い出した……思い出したよ!」
QB「?……何をだい?」
まどか「手がかりだよ! ……魔女の記憶、知らない記憶!」
まどか「わたし……知らない人の顔を見てる!!」
――昨晩起きた事故で、男女二人が……
まどか「テレビのニュースで……男の人と女の人の顔が映ってた!」
ほむら「……! それは、どんな顔だったの!?」
まどか「えーっと……紙と鉛筆、貸して!」
QB「……はい、もう持ってきてあるよ」スッ
まどか「ありがとう……たしか、こんな輪郭で……」カリカリ…
まどか「髪型はこう、顔は……こんな感じ!」カリカリ…
まどか「……できた!」バッ
ほむら「確かに、私も知らない顔ね……」
まどか「キュゥべえ、この人達、誰だかわかる?」
QB「…………」ジーッ
まどか「……キュゥべえ?」
QB「……いや、そんなまさか……でも、これは」
ほむら「? どうかしたの?」
QB「…………」
QB「……僕は、この二人を知っている」
まどか「! 本当!?」
QB「ああ、特徴をよく捉えているね……多分間違いないと思う」
ほむら「魔女の正体は?」
QB「……特定できたよ」
まどか「やった……!」
QB「でも、まだ情報は足りない」
QB「……とりあえず、病院に向かおう」
ほむら「病院? ……そこに何があるの?」
QB「あくまで予想だから、確かなことは言えないけど」
QB「病院には、まだ……本人が居ると思う」
………………………………………
………………………………………
――病院
QB「……ここだね」
まどか「この病室に、その……ワルプルギスの夜が、居るんだ」
QB「ああ、魔女になる前の姿でね」
ほむら「……で、結局それはどういうことなの?」
ほむら「魔法少女だったころの、体だけが残っているということ?」
QB「いや……正真正銘、生きた彼女が居るはずだ」
ほむら「………?」
QB「まあ、それについては後で説明するよ」
QB「今はとりあえず、彼女の姿を確認する方が先だ」
ほむら「……まあ、そうね」
QB「…………」
まどか「じゃあ、開けるよ……」
ガラララララ…
???「…………」ピッ… ピッ…
ほむら「……なっ! これは……」
まどか「え……そんな、嘘でしょキュゥべえ!?」
QB「いいや、彼女が間違いなく……ワルプルギスの夜だ」
まどか「で、でも……だって!」
まどか「……この人、マミさんじゃない!」
QB「そうさ、この子は巴マミだ……さっきの二人は、マミの両親だよ」ピョン
QB「……これが、ワルプルギスの夜の正体さ」ナデナデ
マミ「…………」ピッ… ピッ…
まどか「そんな……だって、マミさんはもう!」
ほむら「……あくまで、別時間軸での巴マミよ」
ほむら「私達の知っている彼女では無いわ」
まどか「あ、そっか……」
まどか「…………」
まどか「……ほむらちゃんにとっての、今の私みたいなものなんだね」
ほむら「まどか……」
ほむら「……ええ、そうね」
ほむら「私達の、大切な先輩であることに……変わりはないわね」
まどか「……うん」
QB「……ふむ、なるほどね」ボウ…
QB「そういうことか……」
ほむら「情報の回収は済んだの?」
QB「ああ……全てわかったよ」
QB「ワルプルギスの夜が何なのか」
―――――――――――――――
―――――――――――――――
ワルプルギスの夜は、誰も居ない結界の中でしばらく回り続けていた。
しかし、それでは彼女―― 巴マミの願いが叶えられたことにはならない。
彼女の願いは、現実を物語に変えること。
そしてその物語は、魔法少女が主役なのだ。
やがてワルプルギスの夜はその世界を離れ、平行世界を回って、少しずつ物語に変えていくことにした。
魔女は時空を超えて過去に飛び、魔法少女の種としてインキュベーターをばら撒いた。
インキュベーターたちは契約を通して魔法少女を、ひいては魔女を作った。
そして時はめぐり、物語の主人公……鹿目まどかのもとにも、インキュベーターが現れる。
まどかはインキュベーターと契約し、魔法少女となるだろう。
仲間たちと力を合わせ、時には衝突しながら困難を乗り越えていくだろう。
そうして仕上げに、自分自身をまどかの最後の敵に添えれば……完璧だ。
それこそ魔法少女 まどかマギカ。 それはもはやただの物語ではなく、現実となった。
嘘と現実は入れ替わり、巴マミの願いは叶えられた。
……ただ一つ、誤算だったのは。
マミは、この物語が最後にどうなるのか……まだ、聞いていなかった。
そして、もう二度と聞く機会もなくなってしまった。
これでは、どのように終われば良いのかわからない。
だから、ワルプルギスの夜は永遠に回転し続ける。
―――――――――――――――
―――――――――――――――
QB「……そもそも、この世界には魔法少女なんて存在していなかった」
QB「当然魔女も、インキュベーターも」
ほむら「……じゃあ巴マミは、ワルプルギスの夜はどうやって生まれたというの?」
QB「多分、僕らのような存在は居たんだろう」
QB「人間の願いを叶え、その代償としてエネルギーを採取する地球外生命体はね」
QB「ただ、そのやり方は今よりもずっと非効率的だった……」
ほむら「……それを改善するために、巴マミの願いを利用した?」
QB「そう、彼らはより効率的なエネルギー採取のため、魔法少女という概念に目を付けた」
QB「……普通の人間は、願いを叶えると言われても大したことをするわけじゃないだろう」
QB「富、地位、名声……もしくは大切な人の蘇生か、能力の向上かな」
QB「そんな願いをいくら叶えても、彼らには何のメリットもない」
QB「……ただ、マミの願いは違った」
QB「交通事故で両親を亡くした上に、感覚と体の自由を失ってしまった彼女にとっては……」
QB「……この世界に、欲しい物など何も残されていなかったんだろう」
まどか「…………」
QB「彼女にとっては、キュゥべえというあだ名の医師が語る魔法少女の物語だけが全てだった」
QB「だから、マミは世界を変えることを願ったんだ」
QB「魔女と戦う魔法少女が存在する、まるでフィクションのような世界をね」
ほむら「……奴らにとっては、都合が良い願いね」
QB「そうだね……彼らは猿の手の話のように、その願いを歪んだ形で叶えたんだろう」
QB「そして、より効率のいいエネルギーの回収システム……」
QB「……魔法少女とインキュベーターを手に入れた」
ほむら「あなた達も……ただの駒に過ぎなかったということ?」
QB「残念だけどそういうことみたいだ」
まどか「……じゃあ、わたし達の知ってる魔法少女の仕組みは、マミさんが……」
まどか「……ワルプルギスの夜が、作ったの?」
QB「正確には、インキュベーターをばら撒いただけだけどね」
QB「まあ、全ての魔法少女を滅ぼすほどの力を持った魔女だし」
QB「全ての魔法少女を生み出すほどの祈りによって生まれたとしても、おかしくはないだろう?」
まどか「…………」
ほむら「……でも、そんな魔女を一体どうやって倒せば良いの」
ほむら「舞台装置だけが独り歩きしている以上……」
ほむら「例えここに居る巴マミに何かしても、影響は与えられないんじゃないかしら?」
QB「そうだね……でも大丈夫」
QB「一応、ワルプルギスの夜に対抗する手段は思いついたよ」
まどか「……! じゃあ、倒せるの!?」
QB「成功する確率はかなり低いけどね」
ほむら「何でもいいわ、やりなさい」
ほむら「ここでワルプルギスの夜を倒せたら……いろんなことが上手くいくかもしれない」
ほむら「あなた達だって、彼女の呪縛から解放されるかもしれないんだから」
QB「…………」
QB「……わかった、やろう」
QB「ただ、少し時間がかかると思うから……」
――ズンッ!
まどか「!?……何、今の音?」
ほむら「……この、感覚!」ゾクッ…
――オオオオオオオオ…
QB「……まずいね」
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