元スレQB「ぼくと契約して、格闘少女になってよッッッ」
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1 :
転校生が教室に足を踏み入れた瞬間、異変は起こった。
「なんか体が震えるんだよな」「オレもオレも」「え~お前もかッ」
「わたしもよ」「寒いとかじゃないんだよな」「なんでェ~?」
早乙女「~~~~~ッッッ」ブルブル
(そういえば、私もさっきから震えが止まらないのよね)
ほむら「………」
早乙女「えぇと、体が震える人は手を上げてちょうだい」ブルブル
ザワザワ…
早乙女「全員のようね……」ブルブル
仁美「……い、いえ、ご無事な方が二人いらっしゃいますわ」ブルブル
まどか「み、みんな、どうしちゃったの……?」
さやか「まさか集団でカゼ? だとしたら、あたしらだけバカってこと?」
ほむら(あの二人……なかなかできそうね)
2 = 1 :
放課後、一緒に帰宅するまどかとさやか。
まどか「結局なんだったんだろう、アレ」
さやか「さぁねえ。それよりあの転校生の方がヤバイって……。
体育の時間、懸垂で鉄棒壊したり、砂場を飛び越えたりしてたし」
バキッ ドッ ドキャッ
さやか「──なんの音だろ?」
まどか「行ってみよう、さやかちゃん!」
さやか「あっ、ちょっと……まどか!」
この日、二人は人生で初めて目撃することになる。
少女と小動物の果たし合い……ッッッ
3 = 1 :
ほむら「はぁ、はぁ。相変わらずの強さね、キュゥべえ」
QB「ぜぇ、ぜぇ。君こそ、ずいぶん腕を上げたじゃないか」
激しい肉弾戦を繰り広げる両者。
ガキッ! ドゴッ! ザキッ! ベシィッ!
まどか「ど、どうしよう。あれ、転校生のほむらちゃんだよね……?」
さやか「よくワカらないけど、動物をイジメてるんなら止めないと!」ダッ
まどか「あっ、さやかちゃん!」
ほむら&QB「?」
さやか「ちょっと、転校生! 動物を──」
ベチィッ!!!
殺し合いをする猛獣同士ですらが
戦いの途中邪魔が入るなり協力し合い排除するという──
美樹さやかがハネられたのはあまりにも必然だった。
ほむらとQBから同時にビンタをもらい、さやかは軽く10メートルは吹き飛んだ。
まどか「さやかちゃんッッッ」
4 :
所詮女子供の護身術
5 = 1 :
さやか「ピクピク」
まどか「さやかちゃん! 起きてよ、ねぇっ!」
QB「素人が格闘士の闘争に割って入るなんて……君たちはどうかしてるよッッッ」
ほむら「そうね。今のは美樹さやかに非があるわ」
まどか「ひどい……こんなのってないよ……ッッ」
ほむら「でも彼女は運がよかったわ。巴マミがこの戦いの立会人だったから……」
まどか「え……?」
ザッ ザッ ザッ
マミ「人間が一基壊れたようね……。私に診させてもらえるかしら?」
まどか(肥満──!? 否、デブじゃない! よく絞り込まれた、とてつもなく巨大な)
まどか(筋肉!!!)
黄色い衣装をまとった、新たな少女が出現(あらわ)れた。
マミ「私は巴マミ。暁美さんと同じく、格闘少女よ」
6 :
デミさーーん!!
7 = 1 :
まどか「スゴイ、皮膚の上から直接心臓をマッサージしてる……ッッ」
ほむら「巴マミ、さすがね」
マミは心停止していたさやかを、瞬く間に蘇生させた。
さやか「──ガハッ!」ゲホゲホッ
マミ「呼吸ができるまで快復させたわ。彼女の生命力なら、もう大丈夫だわ」
まどか「よ、よかった……さやかちゃん……」
QB「さてと、アクシデントも片付いたコトだし、続行(つづ)けるかい?」
ほむら「……やめておくわ」
ほむら「あ、あとあなたたち。一つ忠告しておくわ」
ほむら「命が惜しかったら、キュゥべえの誘いに耳を貸さないことね」
マミ「じゃあ、私も帰るわね。蘇生に費やした分のカロリーを、ケーキで補わないと」
まどか「………」ポカーン
さやか「………」ゲホッ
8 = 1 :
QB「ホウ……君たち二名もどうやら素質がありそうだ。鹿目まどか、美樹さやか。
さっそく君たちの豊潤な才気を見込んで、お願いがあるンだけど……」
まどか「?」
さやか「?」
QB「ぼくと契約して、格闘少女になってよッッッ」
さやか「……なにそれ」
QB「読んで字のごとく、格闘する少女になってくれってことだよ。
君たちなら、努力次第で地上最強の少女にだってなれるッッッ」
さやか「それになると、なにかあたしらにメリットがあるの?
例えば、見返りに願いごとを一つ叶えてくれるとか……」
QB「ないよ。金品、賞の類の授与は一切認められてないから」
さやか「……バカバカしい。まどか、あたし帰るね。さっき殴られたところが痛いし」スタスタ
まどか「あ、さやかちゃん……」
QB「まどか、君はどうする?」
9 = 1 :
まどか「……魔法少女なら、よかったんだけどな」
QB「魔法少女?」
まどか「うん。痛みや疲れを知らない体になって、悪い魔女や怪物をやっつけて、
みんなの役に立てればいいなぁ~なんて」
QB「~~~~~ッッッ」ピクッ ピクッ
QB「鍛錬や苦痛を経ずして、超人的な強さと名声を得る……? なんという怠惰!
わけがわからないよッッッ 君は格闘技を嘗めたッッッ」
まどか「ビクッ」
QB「君には失望させられた。どうやらぼくの目が曇っていたようだ。失礼するよ」スッ
まどか「待って」
QB「………?」
まどか「今のハナシ、逆にいえば鍛錬や苦痛を経れば、魔法みたいな力を得られる……
ってことだよね?」
QB「ン~……まァそうなるかな。
達人なら、素手で猛獣を屠り、木材を断ち切り、山にトンネルを掘ることも可能だよ」
まどか「だったら……。私、格闘少女になる」
10 :
なんもないんか
11 = 4 :
鹿目まどか復活ッッ!鹿目まどか復活ッッ!
12 = 1 :
QB「ホントにいいのかい? 目玉や耳、手足や命を失うことだってあるんだよ。
あまり生半可な覚悟で契約されても──」
まどか「大丈夫。私、素手で魔法少女になってみせるッッッ」グニャ~
QBの目には、まどかの周囲の空間が闘気で歪んで映った。
QB「~~~~~ッッッ」
(覚悟を決めた途端に、なんという闘気! まるで猛獣並だよ!
かつて暁美ほむら、巴マミ、佐倉杏子と契約した時も、これほどの緊張はなかった!)
QB「君ならあるいは……なれるかもしれないね。素手の力で魔法少女に」
まどか「──で、私はどうすればいいの?」
QB「この瞬間、君は最大トーナメントの出場資格を得た」
まどか「最大トーナメント?」
QB「一ヶ月後、見滝原中学校で行われる地上最強を決めるトーナメント大会だよ」
13 = 1 :
まどか「どんな人が参加するの?」
QB「まずは君をはじめとした格闘少女。さっきの二人も出場(で)るよ」
まどか(ほむらちゃんと、マミさん、だっけ……。二人とも強そうだったな……)
QB「そしてもう一つの勢力が──魔女」
まどか「魔女?」
QB「裏社会や暗黒街といったアンダーグラウンドな領域で活躍する格闘者だ。
彼女らの闘いはルール無用! 心も体も歪みに歪んでるし、なにより強い!」
QB「つまりこの大会は──白格闘技と黒格闘技の全面戦争ということなんだよッッッ」
まどか「ムリヤリすぎるよ、それ……」
QB「イ~ヤ、自然だッッッ」
15 = 1 :
まどか「最後にもう一つ。あなたの目的はなんなの?」
QB「……聞かれたからには答えるしかないね。
ぼくの本来の仕事は、宇宙存続のためのエネルギー回収なんだ」
まどか「E~~~ッッ ずいぶんスケールが大きいハナシになったね」
QB「第二次性徴期の少女たちが闘争の際に発する闘気(エネルギー)……。
これが特に効率がよくて、少女たちを格闘技の道に進ませていたンだけど──」
QB「彼女らの血沸き肉おどる闘いを見ているうち、仕事がバカバカしくなってきてね。
これからの時代は、エントロピーよりエンドルフィンなんだよッッッ」
まどか「~~~~~ッッッ」
QB「今となっては、もっぱら観戦がしたくて勧誘をしているようなものだよ。
ぼくも触発されて、肉体を鍛え上げ──」ザクッ
まどか(アスファルトを、まるでゼリーのようにすくい上げたッッッ)
QB「これくらいのことはできるようになったしね」
まどか「じゃあ、さっきほむらちゃんと戦ってたのは──」
QB「最初は彼女らにトーナメントの日程を知らせるだけのハズだったんだけどね。
ついついお互いに闘争本能を抑え切れなくなり、ヤりたくなっちゃったんだ」
まどか「で、ヤッちゃったと……」
16 :
べぇさん猛々しい
17 :
マミさん鎬兄かよワロタ
蘇生されたとなるとさやかちゃんは独歩か………
面白期待
18 = 1 :
鍛錬は明日から、ということでまどかはまっすぐ帰宅した。
QB「今回のトーナメント、これまで以上に面白くなりそうだね……」テクテク
杏子「よう、キュゥべえ」
QB「久しぶりだね、杏子。ちょうどよかった、トーナメントは一ヶ月後に開催だよ」
杏子「優勝はアタシに決定(きま)ってるよ。100パーセント、な」
QB「さすがは前回優勝者、大した自信だね。でも今回はそう甘くないよ」
杏子「暁美ほむらに巴マミ、かい? 多少腕を上げたとしても、アタシの敵じゃないよ」
QB「いや、それだけじゃない。魔女勢からワルプルギスの夜が参加を表明している」
杏子「ワルプルギスの夜……ッッッ」
QB「前回の大会──もし彼女が出場(でて)いたら、君の優勝はなかったかもしれない」
杏子「……ちっ」
QB「そしてついさっき、ぼくはとてつもない素質を秘めた少女と契約した……」
19 = 1 :
QB「君に理想の格闘少女像ってヤツを教えてあげるよ」
QB「まず、身長150cm以下! 髪はピンクのツインテール!
性格はうっすら子供っぽさを残し友達思い! ──となれば」
(鹿目まどかしかいない……ッッッ)
杏子(それ、単なる個人的な好みじゃねぇのか……?)
杏子「ま、どんなヤツが相手だろうと、アタシは勝つよ」
QB「期待してるよ、杏子」
杏子「……ところで、キュゥべえ。せっかくの再会だ。チョットだけ手合わせしない?」ザッ
QB「──まいったな。ぼくの喧嘩好きを知ってて誘ってるのかい?
断れるワケないじゃないかッッッ」ギンッ
ズギャアッ!
この後、両者は一時間以上戦ったという──
20 = 1 :
翌日、学校にて──
さやか「えぇ~~~!? あんた、格闘少女になっちゃったの!?」
(先に帰るべきじゃなかったかなぁ……残って止めるべきだった)
まどか「ウェヒヒッッッ」
仁美「どうかなさったの?」
さやか「聞いて驚かないでよ、まどかが格闘少女ってのになっちゃってさ……。
しかも一ヶ月後には大会に出るんだって。いくらなんでも──」
仁美「まぁステキ!」
さやか「へ?」
仁美「私もお稽古で、護身術の類を多少たしなんでおりますけれど、
武道は心身を鍛えるとっても崇高な行いですのよ」
さやか「………(多分そういうのじゃない気がするけど)」
仁美「まどかさん、今度私と武道について語り合いましょう!」
まどか「うん、いいよ」
21 = 1 :
ザウッ
ほむら「──今のハナシ、聞いたわ。あなたも出るのね、最大トーナメントに。
ということは、私が出ることも知っているわね?」
まどか「う、うん……」
ほむら「もし、あなたと当たったなら、手加減はしないわ。格闘少女として」
さやか「ちょっとあんた! まどかは初心者なんだから──」
ほむら「伝えたかったのは、それだけよ」ザッ
さやか(無視かい!)
仁美「なんだか、すごいことになってきましたわね」
さやか「なんなの、アイツ。ムカつくなぁ」
まどか「………」ブルッ
さやか「まどか……? 震えてるじゃん! やっぱり大会なんか出ない方が──」
まどか(恐怖!?)(否!)(これは……この震えは)(武者震いッッッ)ブルブル
22 :
べえさんがドリアンみたいな感じの姿で想像される
23 = 1 :
放課後、まっすぐ家に帰ったまどかをキュゥべえが待っていた。
QB「さっそく開始(はじ)めようか」
まどか「よろしく、キュゥべえ! ところで全身傷だらけだけど大丈夫?」
QB(杏子……まさか、あそこまで強くなっていたとはね)
「大丈夫だよ、このくらい。それより一ヶ月間のスケジュールをざっと説明しよう」
QB「まず最初の一週間は、ひたすら基礎トレーニングに励んでもらう。
次の一週間はエンドルフィン分泌の習得、その次は死に際の集中力の習得。
そして最後の一週間は、ぼくとの実戦スパーリングを行う」
まどか「うん、分かった」
QB「家にいる時は、このメモに書いてある通りにトレーニングに励んでくれ。
一週間後、また来るから」ピラッ
まどか「学校では?」
QB「この握力グリップを使うといい。こうして握ったり放したりを繰り返すんだ」ギチッ ギチッ
24 :
ムキムキのQBとか想像したくないです
25 = 1 :
QBと出会ってからの一週間──鹿目まどかは体を鍛え──否、苛め続けた。
まどか「まずは腕立て伏せから……1、2、3……」グッ グッ
~
さやか「まどか、それなに?」
まどか「これを握って放してを繰り返すと、握力がつくんだよ」ギチッ ギチッ
仁美「まぁすごい!」
さやか「へ、へぇ~……」
~
詢子「まどか……。ここ数日、急に体を鍛え出したけど、なんかあったのか?」
まどか「ウェヒヒッッッ チョットね」
詢子「体鍛えるのもいいけどさ、ムチャだけはするんじゃないよ。
過ぎたるは及ばざるが如し、っていうからな」
まどか「うん。ありがとう、ママ」
26 = 1 :
一週間後、再びキュゥべえが家にやってきた。
QB「うん、だいぶ鍛え込んだようだね。体が引き締まってるよ」
まどか「そ、そうかな……?」
QB「次は脳内麻薬(エンドルフィン)の分泌を習得しよう」
まどか「エンドルフィンって?」
QB「人が運動をし続けると、脳は苦痛を知らせる信号を送る。
これ以上運動するのは危険だってね。でもそれを無視してさらに運動すると──」
QB「脳はエンドルフィンを分泌し、苦痛を取っ払ってしまうんだ」
まどか「へぇ~」
QB「こうなった武芸者は強い! 死ぬまで動き続けることができる!
一流と呼ばれる競技者は、みんなこの体験をしているんだよ」
QB「でも最大トーナメントを勝ち抜くなら、
エンドルフィン分泌を自在に操作できるくらいでないとハナシにならない」
QB「まどか。今日から君は今までの鍛錬の他に、好きなことをやり続けてくれ。
飽きてきても、体が痛くなっても、ひたすら続けること。いいね」
27 = 1 :
まどか(私の好きなこと、か……。なんだろ?)
まどか(そうだ、魔法少女になった自分を描いてみよう!)
まどかは魔法少女となった自分を空想し、それをノートに描き始めた。
ガリガリガリガリガリガリ
アイディアが枯渇しても、指が悲鳴を上げても、狂ったように描き続けた。
ガリガリガリガリガリガリ
空想が詰まったノートは、一冊、二冊、と増えてゆき──
あっという間にまどかの部屋には、ノートの山ができあがった。
ガリガリガリガリガリガリ
まどか(自由の女神を魔法で破壊する……と。ティヒヒッッッ)
ブワァァァァ……ッ!
空想ノートが千冊に達した頃、脳内が快楽に満ちた。
まどか「こ……ッ これだね……ッッ 脳内麻薬ッッッ」
ついにまどかは、エンドルフィン分泌をマスターした。
28 :
しえん
29 = 1 :
まどかが順調に強くなる一方で、親友のさやかはある悩みを抱えていた。
幼馴染の上条恭介に拒絶されてしまったのだ。
上条「ぼくの手は、奇跡か魔法でも起きなきゃ動かないんだッッッ
もう放っておいてくれッッッ」
~
さやか(あたしの力じゃ、恭介に何もしてあげられない……!)
さやか(でもせめて──)
さやか(奇跡や魔法のような出来事が恭介の目の前で起こったなら──
少しは励ましになるかもしれない)
さやか(例えば……あたしがとんでもない敵に勝つとか──)
突拍子もない思案ではあったが、さやかはキュゥべえのことを思い返していた。
30 = 1 :
QB「いいよ」
さやか「ありがとうッッッ」
QB「でもさやか、君を最大トーナメントに出場させることはできない」
さやか「えっ、なんで!?」
QB「すでに選手枠は埋まっているし、君があと二週間必死で鍛えたとしても、
他の出場選手の誰とやっても5秒と持たないよ」
QB「別に君の身を案じているワケじゃない。つまらない闘いは見たくないからね」
さやか「分かった、それでもいいよ……。強くなった姿を見せられれば、
少しは恭介を元気づけることができるかもしれないし」
QB「じゃあ、トレーニングを始めようか。まずは10kgのダンベルから」スッ
こうして美樹さやかも格闘少女になった。
31 = 1 :
トレーニング三週間目、まどかとQBはとあるビルの屋上にいた。
QB「死に際の集中力というのは、いわば走馬灯の日常化だ。
時間が凝縮され、周囲がゆっくりに流れるあの感覚を身につけるんだ」
QB「だから、君にはここから飛び降りてもらう。
もちろん、下でぼくが受け止めるから安心してくれていい」
まどか「いらないよ」スッ
QB「え?」
まどかは散歩に出かけるような気軽さで、ビルから飛び降りた。
QB「~~~~~ッッッ(地上50m……無理だ、助からない)」
まどか(高速で落下してるハズなのに、ビルの窓の汚れまでくっきり見える。
これが走馬灯ってやつなのかな……でも!)
ザウッ! ゴロゴロ… スチャッ!
まどかは着地する瞬間、膝を曲げ、腰を折り、背中を丸め、
絶妙なタイミングで転げることで、着地の衝撃を五等分させた。
QB「あれは……五接地転回法ッッッ いつの間に会得していたんだ!?」
32 = 1 :
まどか「ね、大丈夫だったでしょ」
QB「君の進歩には驚かされたよ。まさしく魔法でも見た気分だ」
まどかの部屋に山積みになっているノートは
エンドルフィン操作以上の成果をまどかにもたらせていた。
魔法少女となった自分をリアルに想像し──
空想し、夢想し、妄想し──これら“思い込み”はまどかの心身に絶大な効力を与えていた。
魔法少女のように悪者と戦い抜く強靭さ(タフネス)!
魔法少女のように多種多様の魔法を使いこなす技量(テクニック)!
魔法少女のようにいかなる困難にもめげない精神(スピリット)!
天才の劇的な進化を目の当たりにし、さすがのQBも生唾を飲み込んだ。
QB(素手での魔法少女、まどかなら本当に実現させるかもしれないッッッ)
34 = 1 :
まどかとQBは、まったく人気のない道路に場所を移した。
QB「じゃあ一週間早いけど、ぼくとのスパーリングを始めよう」
まどか「本気でやっていいの?」
QB「当たり前だよ。親の仇のつもりで来てくれなきゃ」
まどか「スゥ~……ハァ~……。じゃあ行くよ、キュゥべえッッッ」ダッ
シュバッ!
まどかは小さなQBめがけ、鋭いローキックを放つ。
──が。
QB「急不意(きゅっぷい)ッッッ」ダンッ
気合の声とともに駆け出すと、QBは耳でまどかの軸足を刈り取った。
まどか「しまっ──」ガクッ
QBはよろけたまどかの頭に乗ると、全体重をかけてまどかの後頭部を地面に叩きつけた。
ドグァッ!
35 = 22 :
素手での魔法少女の体現wwww
36 = 1 :
常人ならば、頭を粉砕されたであろう一撃だった。
まどか「ピクピク」
QB「受け身すら取れてないじゃないか。情けない」
QB「……やれやれ。君はエンドルフィン分泌や死に際の集中力を身につけたくらいで、
強くなったつもりでいたのかい?
ぼくみたいな小動物に敗けるハズがないと、タカをくくってたのかい?」
QB「ぼくだって、君たちみたいに少女だったら最大トーナメントに出たかったよ。
優勝する自信だってある」
まどか「うぅ……」ヨロ…
QB「まどか、早く立つんだ。
今日は100回くらいコンクリートに叩きつけるつもりでいるから、覚悟するんだね」
スパーリングは続いた。
ドギャッ! グシャッ! メキィッ!
QB「今日はこのくらいにしておこう。じゃあまた明日」テクテク
まどか(全然歯が立たなかった……ッッッ)グスッ
37 :
構わんッッッ!!続けろッッッ!!
38 = 1 :
最大トーナメントの日が近づくにつれ、学校でも異様な光景が見られるようになった。
生徒A「暁美さん、イスは……?」
ほむら「ゴメンなさい、いらないわ」
生徒A(数時間もの空気イス……しかも一ミリも微動だにしちゃいないッッッ)
まどか(今日こそキュゥべえに一矢報いないと──)ギチッ ギチッ
バキャッ!
まどか「あーあ、またグリップ壊しちゃった……」
生徒B(あれ、100kg以上耐えるグリップだろ……。どうやったら壊れンだよ……)
仁美(いったいどうなさったのかしら、皆さん……。
さやかさんに至っては、この頃ずっと学校を休んでらっしゃるし……)
39 :
グラップラーまどか
40 :
しえん
41 = 1 :
むろん、努力しているのは彼女たちだけではない。
操縦士「ホントにやるんですか!?」
マミ「ええ」
操縦士「体がちぎれても、責任は持てませんよ……ッッ」
マミ「ステキな言葉だわ」
巴マミは体を地面に固定し、軍用ヘリコプターとの綱引きを決行。
~
熊「グオオオオッ!」
ドガッ!
熊「ピクピク」
杏子「ふぅ、72時間ぶりの水分とタンパク質だ……」ガツガツ ピチャピチャ
佐倉杏子は北海道で厳しい山ごもりをしていた。
──そして当日!!!
42 = 1 :
最大トーナメント当日──
会場となる見滝原中学校の校庭には、大勢の観客が集まっていた。
ザワザワ…
ガヤガヤ…
ワイワイ…
QB「地上最強の少女を見たいか~~~~~ッッッ」
「オオオオオ~~~~~ッッッ」
QB「ぼくもだ、ぼくもだよ! みんな!」
『全選手入場!!』
45 = 1 :
『影は祈っていた! 更なる研鑚を積み黒色の苦痛が甦った!
影の魔女! エルザマリアだァ――――!!』
『素手の殴り合いなら私の妄想(リアルシャドー)がものをいう!!
素手の魔法少女 鹿目まどか!!』
『ティロ・フィナーレ(なんでもあり)ならこいつが怖い!
見滝原のロンリー・ファイター 巴マミ!!』
『優勝はオレのもの 邪魔するやつは思いきり噛み思いきり喰らうだけ!!
ピット(ケンカ)ファイター シャルロッテ!』
『デカァァァァァいッッッ 説明不要!! ワルプルギスの夜だ!!』
『今の自分に眼鏡はないッッ タイム・ファイター暁美ほむら!!』
『精神攻撃は実戦で使えてナンボのモン!! 超実戦引きこもり!
自殺大国日本からエリーの登場だ!!』
『若き王者が帰ってきた!!
どこで食っていたンだッ チャンピオンッッ
俺たちは君を待っていたッッッ 佐倉杏子の登場だ~~~~~ッッッ!!』
46 = 1 :
『以上、8名の少女が本日地上最強を競う格闘士(グラップラー)ですッッッ』
┌─ ワルプルギスの夜(カポエイラ)
┌─┤
│ └─ 鹿目まどか(魔法少女)
┌─┤
│ │ ┌─ 巴マミ(アンチェイン)
│ └─┤
│ └─ シャルロッテ(ピット・ファイティング)
─┤
│ ┌─ エルザマリア(ムエタイ)
│ ┌─┤
│ │ └─ 暁美ほむら(タイム・ファイティング)
└─┤
│ ┌─ エリー(空道)
└─┤
└─ 佐倉杏子(トータル・ファイティング)
47 = 33 :
ヒュー!こいつは見るドラッグだぜッッ!!
48 = 1 :
客席──
詢子「まさか、あのまどかがこんな大会に出場するなんて思わなかったよ」
知久「強そうな女の子ばかりだし(というか、明らかに人間じゃないのもいるし)
ぼくはまどかが怪我をしないことを祈るよ」
タツヤ「エフッッッ エフッッッ エフッッッ」
~
仁美「あそこにいるのは上条君!? なんで実況をしてらっしゃるのかしら……」
~
上条『もうまもなく一回戦第一試合を開始いたしますッッッ
もうしばらくお待ち下さいッッッ』
49 = 28 :
まどかとワルプルが一回目で当たるのかよwww
50 :
選手が飛ばした瓦礫で実況席に居るクズ死なねぇかな
みんなの評価 : ★
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