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    元スレまどか「これからも私達…」杏子「ずっと友達だ!」

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    スレッド評価: スレッド評価について
    みんなの評価 : ★★★×5
    タグ : - QB + - ハッピーエンド + - 上条恭介 + - 佐倉杏子 + - 神スレ + - 第二のコエムシ + - 粋なQB + - 魔法少女まどか☆マギカ + 追加: タグについて ※前スレ・次スレは、スレ番号だけ登録。駄スレにはタグつけず、スレ評価を。荒らしタグにはタグで対抗せず、タグ減点を。
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    1 :

    カツーン


    杏子「グリーフシードいただきっ…と」

    杏子「はぁ…」

    杏子「だいたいこのあたりの魔女は狩りつくしてしまったな…」

    杏子「ったく、見滝原にはあんなに魔女がいるのに、こっちの風見野にはさっぱりだな…」

    QB「だったら、見滝原の方にも足を伸ばしてみたらどうだい?」

    杏子「ばーか、他のやつの縄張りを荒らしに行くなんてご法度もんだろーが」

    QB「そうは言っても、今現在この街から魔女の気配は感じられない」

    QB「見滝原まではいかなくとも、ここにももう少し魔女がいたはずなんだけどね」

    QB「ひょっとしたら、他の魔法少女が風見野の魔女を倒してしまっているのかもしれないよ」

    杏子「まじかよ…」

    杏子「そんな様子、ほとんど感じなかったぞ?」

    2 = 1 :

    QB「まぁ、とりあえずは使い魔が成長して魔女になるまで待つしかないね」

    QB「ただ、こんな状態が続けば、君のソウルジェムを維持するためのグリーフシードが不足してくるだろう」

    杏子「ちっ…、だけどな」

    杏子「他のやつならまだしも、マミのテリトリーだからな…見滝原は」

    QB「余計に都合が良いじゃないか」

    QB「見つかったところで、彼女と戦闘になるとは思えないからね」

    杏子「その方が余計にたちが悪いっつーの」

    QB「やれやれ、君は強情だね」

    杏子「ふん、言ってな」

    QB「それじゃぁ、とりあえず様子見だけでもしておいたらどうだい?」

    杏子「様子見?」

    QB「見滝原には今どのくらいの数の魔女がいるのかとか、その範囲はとか」

    QB「万が一、巴マミが何らかの理由で戦闘できなくなることも考えられるわけだしね」

    杏子「あのマミが、ねぇ…」

    3 = 1 :

    QB「いくらマミでも、広範囲にわたる探索を毎日できるわけじゃない」

    QB「ひょっとしたらマミが見滝原にいない時だってあるかもしれない」

    QB「彼女がいない間にこっそり魔女を倒せば良いのさ」

    杏子「このあたしにこそドロのようなことをしろって言うの?」

    QB「いつもどおりのことじゃないか」

    QB「そのりんごはどうやって手に入れたのかい?お風呂はいつもどうやって入ってるのかい?」

    QB「それに、他の魔法少女も同じようなことをしているかもしれないんだ」

    杏子「…チッ」

    QB「まぁ、ためしに一度行ってみるといい。面白い発見があるかもしれないよ?」

    杏子「…」

    杏子「てめーの口車にのってやるよ」

    杏子「見てまわるだけなら別に問題はねーからな」

    杏子(見滝原か…、最近は全然行かなくなったな…)

    杏子(こっちの使い魔共が魔女になるまでの間、下見でもしておくか…)

    4 :

    あんこちゃんぺろぺろあんあん

    5 = 1 :

    ~見滝原市~

    杏子「懐かしいな…」

    QB「たしか杏子は、前にもここに来たことがあったようだね」

    杏子「ああ、あの時は…、いや、もう昔の話はどうでもいい」

    QB「そうかい…」

    QB「で、どうするんだい?」

    杏子「とりあえず市内をぐるっとまわっていくよ」

    キィィィン

    杏子「!?こいつは…」

    QB「近くに魔女の結界があるね」

    杏子「ちっ、早速かよ」

    QB「どうする?杏子」

    杏子「どうするって言っても、ね…」

    杏子「マミがなんとかするだろう」

    杏子「私の出る幕じゃねーよ」

    7 = 1 :

    QB「意外だね、昔の杏子ならいの一番に飛び込んでたのに」

    QB「愛と勇気が勝つストーリー、だっけ?杏子の望んでいた世界は」

    杏子「黙れ」

    QB「やれやれ、取り付く島も無いか」

    杏子「…待て」

    杏子「ここ、病院じゃねーか…」

    QB「そうだね、おそらくかなりの人数が、結界内に迷い込んでいる可能性が高い」

    QB「おまけにここには、体や心が弱った人間がたくさんいる」

    QB「魔女にとって格好の餌場というわけだ」

    杏子「くっそ、よりにもよってこんなところに魔女がいんのかよ」

    QB「こんな場所だからこそ、の間違いじゃないかい?」

    杏子「…」

    8 = 6 :

    きゅっぷいきゅっぷい

    9 = 1 :

    杏子「QB、ちょっと外見張ってろ」

    QB「いいけど、どういう意味だい?」

    杏子「マミのやつが来たら知らせろ。結界内で隠れて事が済むのを待つ」

    杏子「来なければこの魔女はあたしがぶっ倒す」

    QB「いいのかい?」

    杏子「かまわないさ。いくらあたしでも、一度にこれだけの人数を見殺しにするのは、さすがに寝覚めが悪いからね…」

    QB「わかった。健闘を祈るよ」

    杏子「はぁっ」ヘンシン!

    パァァァ

    杏子「行くぞっ」

    10 = 1 :

    ~魔女の結界内~

    杏子「チッ、使い魔どもがうじゃうじゃいやがる」

    杏子「ハッ」

    ザシュッ

    使い魔「ッ……」

    杏子「ったく、きりがねーな」

    杏子「とりあえず今のところ死人がいないだけましか。孵化したばっかの魔女みたいだし」

    杏子「ここに迷い込んじまった患者達を移動させて…」

    杏子「一塊にあつめて…」

    杏子「よしっ、結界で囲んだし、使い魔共も手出しできないだろう」

    杏子「…」

    杏子(ここまでする必要はねーんだがな…)

    杏子(他のやつの縄張りに入っている以上、最低限の礼儀ってもんがあるからな…)

    杏子「あとは魔女をぶっ倒して終わりだな…ん?」

    杏子「奥の方にまだ一人動いているやつがいるじゃねーか」

    11 = 1 :

    杏子「おいっ、そこの車椅子!危ねーからこっちに来い」

    ???「…」

    杏子「おいこらっ、聞こえねーのか!?」

    ???「ほっといてくれよ…。僕はもう生きる意味を失ったんだ」

    ???「このまま死ねるのなら本望さ…」

    杏子「チッ」

    ガシッ

    杏子「あんたが勝手に死ぬのは別にかまないけどさ」

    杏子「せめてここから出てからにしてくれない?」

    杏子「あたしの目の前で死ぬとかやめて欲しいんだけど。気持ち悪いから」

    ???「…」

    杏子(何なんだ?こいつ…。調子狂うなぁ…)

    杏子「…」ぺちぺち

    上条「!」

    杏子(正気に戻ったか?)ジーッ

    13 = 1 :

    杏子「ウエジョー、コースケ?」

    上条「…上条恭介(かみじょうきょうすけ)、だよ」

    杏子「んなことどうでもいいんだよ」

    上条(間違った上にどうでも言いなんて、理不尽な人だな…)

    杏子「さっきはああは言ったけどさ」

    杏子「何があったかしらないけど、自殺なんてやめときな。ろくなもんじゃねーぞ」

    杏子「さっさとあっちの患者達と一緒に結界内に入ってな!」

    上条「君こそ、さっきから聞いていれば…」

    上条「自分の意見ばかり押し付けるのは、やめておいた方が良いよ」

    杏子「!」

    上条「僕はね、昔からずっとバイオリンを弾いてきたんだ」

    上条「コンクールに出て賞だっていくつももらってた」

    上条「これから先も大好きなバイオリンと共に生きて行こうって思ってたんだよ」

    杏子「…」

    14 = 6 :

    かみかみ……

    15 = 1 :

    上条「でもね、ある時交通事故にあっちゃって、この様さ」

    上条「足だけならまだ良かった。でもね、もうこの腕は動かないんだよ…」

    バシッ

    上条「ほら、痛みすら感じない。もう大好きなバイオリンを弾けないんだよっ!」

    杏子「言いたいことは、それだけか?」

    上条「こんな不条理なことが起きたんだ!もう何もかも投げ出したくなって当然だろ?」

    杏子「甘ったれんじゃねーっ!」

    上条「!?」ビクッ

    杏子「てめーは好きなことができなくなっただけで、人生諦めんのか!?」

    杏子「他の道を探そうともせず、ただの不条理って言葉に押し付けて逃げるんのか?」

    上条「そんなことは…」

    杏子「世の中ってのはなぁっ、不条理だらけなんだよ!」

    杏子「それでも生きてかなきゃいけねーんだよ!たとえ一人になったとしてもな」

    上条「…」

    17 = 1 :

    杏子「…(ハッ)」

    杏子(チッ、ついイライラして反吐が出そうな台詞しゃべっちまったな…)

    杏子「誰かのために何かしろ、なんてえらそーな事はことは、あたしは言わないよ」

    杏子「むしろそんなこと言うやつはぶん殴ってやる」

    杏子「だけど、それでも死にたいってんのなら、もう止めはしないよ」

    上条「それは…」

    18 = 1 :

    ガコォォォン

    上条「!?」

    杏子「ようやく最深部か、さて、魔女はどんなやつだ…?」

    シャルロッテ「(ちょこーん)」

    杏子「!?」

    杏子(想像してたのとだいぶ違うな、これは)

    杏子(なんつーか、人形みたいなやつだな)

    杏子(こんな外見のやつほど実はやばい魔女っていう可能性もあるしな)

    杏子「はぁっ」

    ザクザクッ

    シャルロッテ「」

    杏子「!?え?」

    杏子「なんだよ、やけにあっさりしすぎてんじゃねーか」

    杏子「ま、いっか。とどめさしとくか」

    19 = 6 :

    しゃるしゃる

    20 = 1 :

    上条(あの子は一体何をしてるんだ?変な格好して槍を振り回しているようだけど…)

    杏子「じゃあな、可愛い魔女さん」

    シャルロッテ「」モゴモゴ

    シャルロッテ(第2形態)「」にょろっ!

    杏子「!?(な、何!?)」

    ガキィィィン

    杏子「っっっ!!?」

    杏子(危ねえっ!食われるところだった!?)

    杏子「くっ、このっ」

    ザン!ザシュッ

    シャルロッテ(第2形態)「」にょろにょろ

    杏子「ちっ、きりがねえ!切ったそばから再生しやがる…」

    21 = 6 :

    にょろにょろあんあん!

    22 = 1 :

    杏子「…似たような性質の魔女、どこかで見たことがあるような…」

    杏子「!あたしが初めて戦った幻術を使う魔女か!あの時はたしか武器と思っていた斧が本体だったな…」

    杏子「ならっ」バッ

    杏子(どこかこの空間に、魔女の本体と思わせない異物があるはず)

    杏子(あの椅子の上のか!)

    杏子「ハァァァァッ」

    バシュッ

    シャルロッテ(本体)「っっ……」

    杏子「終わりだよ!」

    シャルロッテ(第2形態)「…  … …」


    23 = 1 :

    ~見滝原市病院外庭~

    杏子「ふぅ、他のやつらが来る前に無事仕留められたな」

    QB「お疲れ様、杏子」

    上条「君は…一体…」

    杏子「なんだ、あんたまだいたのか」

    杏子「もうさっきの空間は無いよ。安心しな」

    上条「どうやら僕は君に助けてもらったようだね」

    杏子「おいおい、あの状況見てよくそんな当たり前の台詞がはけるな…」

    上条「いや、ごめん。まずはありがとうと言っておくべきだったね」

    杏子「…まぁ気にすんな。あたしはあたしで目的を果たしただけだし」

    上条「…」

    上条「あの…」

    杏子「あぁ?」

    25 = 1 :

    上条「良かったら、少し話相手になってくれないか」

    杏子「…はぁ?」

    上条「ここ最近、ずっと荒れててね。自分で言うのもなんだけど、ほとんど誰ともまともに話してないんだ」


    上条「少し気がおかしくなってきてね。気がついたらあの空間にいた」

    杏子「まぁ、弱ってるやつらほど、あっちの世界に取り込まれやすくなるからね」

    上条「さっき聞いた君の言葉、とても堪えたんだ。迷惑でなければでいいんだけど」

    杏子「お断りだね」

    杏子「生憎あんたみたいな坊やと話してる暇なんて無いんだよ」

    上条「…」

    杏子「悪いけど…」

    26 :

    …まさかの上杏?

    27 = 1 :

    ぐぅぅぅぅ

    杏子「」

    上条「…お腹がすいているようだね。お見舞いの果物とかなら食べてもらっても良いけど」

    杏子「くどい。あたしはいかないよ」

    上条「メロンとかケーキとか、食べ切れなかったんだ」

    杏子「…」(ゴクリ)

    上条「このままだと捨てなくちゃいけなくなる」

    杏子「おいコラ!食い物を粗末にするんじゃねえ!」

    上条「でも、他に食べてくれる人はほとんどいないんだ」

    杏子「…わかったよ」

    杏子「しょうがねぇ、ちょっとだけ付き合ってやるよ」

    QB「…(本当に食べ物に弱いな、杏子は)」

    杏子(あくまで食い物を貰いに行くだけだからな…)

    杏子(捨てるだなんてふざけたこと、絶対にさせないよ)

    28 = 1 :

    ~上条の病室~

    杏子(シャクシャク)

    杏子「やっぱうまいな、贈答品は」

    上条「いろいろな人が持ってくるけど、なかなか食べ切れなくてね」

    上条「君みたいな子が食べてくれると助かるよ」

    杏子「ふん!こういうのなら、いつでも食べに来てやるよ」もぐもぐ

    上条「…君は一体、何者なんだい?」

    杏子「ん?ああ、あたしは魔法少女だ」しゃくしゃく

    上条「あまりふざけないで欲しいんだけどな」

    杏子「ふざけてなんかいないよ。正真正銘、事実だ」

    杏子「さっきの空間でのあたし、あんたも見てただろーが」

    上条「そうなんだけどね。いまいち現実味に欠けるというか」

    杏子「まー、普通の人間にとっちゃそうなんだろうけどね」

    29 :

    かわいい

    30 = 1 :

    QB「普通の人間には僕や魔女の姿はほとんど見ることができないからね」

    杏子「たしかにな…」

    上条「?(さっきからたまに独り言をしゃべってるけど、何だろう?)」

    杏子「ま、あんたは気にする必要はないさ」

    杏子「今までどおりに暮らせばいい」

    上条「…」

    杏子「っと、悪い」

    上条「いや、いいんだ。君に言われて今までのモヤモヤが少し晴れた気がする」

    杏子「?」

    上条「バイオリンが駄目なら…、他にも道はあるのかな…」

    杏子「あるさ。あると信じるんだよ。信じることで夢が現実になることだってある」

    上条「何か宗教みたいだね」

    杏子「まぁ、うちはもともと教会だったからね」

    31 = 1 :

    上条「もしかして、隣街のかい?」

    杏子「!あんた知ってるのか!?」

    上条「小さい頃に何度か行ったことがあるよ」

    上条「たくさんの信者の方で賑わってた。神父さんも優しそうな方だった」

    上条「とても人当たりの良い人だったような気がするけど、さすがにそれ以上のことは覚えてないよ」

    杏子「…」

    杏子「そっか、そうなんだ ///」

    杏子(親父のこと褒めてくれる人間がいたとはね //// )

    QB((何を照れてるんだい?杏子))テレパシー

    杏子((うっさい、だまれQB))

    32 = 1 :

    上条「今はどうなってるのか、良ければ教えて欲しいんだけど」

    杏子「…」

    杏子「親父や家族の皆はもう死んだよ。教会ももう潰れた」

    上条「!」

    上条「ごめん、悪いことを聞いてしまって」

    杏子「いいって、ことさ。さっきのとおあいこだ」

    上条「…」

    杏子「あたしはさ、もともとは親父のために頑張ろうって気持ちで戦ってたんだ」

    杏子「だけどいろいろあってさ、今はもう、自分のためだけにこの力を使おうと決めてる」

    杏子「本当はここの魔女も倒すつもりは無かったんだけどね」

    上条「…それでも君は患者達を助けたじゃないか」

    杏子「ついでだよ!ついで」

    上条「君の言動からは、とてもいい加減な気持ちで助けていた様には見えない」

    上条「皆を助けたいという思いが強くにじみ出てたよ」

    杏子「…」

    33 :

    あんこちゃんぺろぺろ

    35 = 1 :

    杏子(そんな風に見てくれるやつもいるのか…)

    杏子「そう言われると、少し胸のつかえが取れた気がする」

    上条「それは良かった」

    杏子「ふふ、それにしてもあんたって、変なやつだな」

    上条「それはお互い様じゃないか」

    杏子「違いないね」

    コンコン

    看護師「上条さん、リハビリのお時間ですよ」

    上条「あ、はい」

    36 = 1 :

    杏子「おっと、長居しちまったな」

    杏子「…また来てもいいかい?」

    上条「歓迎するよ。今度は別の果物でも用意しておくよ」

    杏子「そいつは楽しみだな、じゃーなっ」

    ガラッ

    上条「窓から!?ここは…」

    上条「?あれ?もういない…」

    上条「不思議な子だったな。でも、何だかさやかに似てる気がする」

    上条「さやか、どうしてるだろうな…」

    上条「だいぶ酷くあたってしまってたからな…」

    上条「…」

    37 = 1 :

    ~風見野 杏子拠点:テント内~

    杏子「あー、疲れた」

    杏子「さっさと飯…もいらないか。たらふく食わせてもらったしな」

    杏子「…」

    杏子(上条って言ってたか)

    杏子(なかなか面白そうなやつじゃないか)

    杏子(食い物もただでくれるし)

    杏子(親父のことも良く言ってたしな)

    QB「…子」

    杏子「…」

    杏子(明日も、行ってみるか)

    QB「杏子!」

    38 = 1 :

    杏子「っ!な、なんだよQB!?」

    QB「どうやらこの街から魔女の気配を感じる様になった。早くも使い魔から成長したようだね」

    QB「どうする?明日はこの魔女を倒しに行くかい?」

    杏子「…」

    杏子「考えておくよ」

    QB「わかった。それにしても杏子、そんなに今日の出来事が面白かったのかい?」

    杏子「はぁ?」

    QB「珍しくずっと笑ってるみたいだからさ」

    杏子「!」

    杏子「そんなことねーよ!」

    QB「…まぁ、別に僕にとってはどうでもいいことなんだけどね」

    杏子「ふん」

    杏子「疲れた、もう寝るぞ」

    QB「おやすみ、杏子」

    杏子「…」

    39 = 1 :

    =====
    ==
    杏子「杏子は将来、どんな人になりたいんだい?」

    杏子「父さんみたいに皆を助ける人になりたい!」

    杏子「はっはっはっ、それは簡単なことじゃないぞ?」

    杏子「大丈夫だよ、だってあたし父さんの子なんだから…」
    ==
    =====

    40 = 1 :

    ~翌朝~

    杏子「むにゃ…」

    杏子「…朝、か…」

    杏子(懐かしい夢を見てたよーな、見なかったよーな)

    杏子(…)

    杏子「ご飯食べよ…」ゴソゴソ

    杏子「あった。うんまいぼう…」モグモグ

    QB「やぁ杏子、おはよう…って、またそんなもの食べてるのかい?」

    杏子「ほっとけ」

    QB「まぁ、君達魔法少女にとって栄養バランスが魔力に影響を及ぼすことは無いけど」

    QB「もうちょっと他のものも食べた方が良いんじゃないかい?」

    杏子「他のものか…」

    杏子「…」

    42 = 1 :

    スッ

    QB「おや?どこかでかけるのかい?」

    杏子「昨日の坊やの所さ。まだまだ見舞いの果物がいっぱいあったからね」

    QB「そうかい。それじゃ、僕はマミが近くにいないか見張っておくとするよ」

    杏子「好きにしな」

    QB「ちなみに面会時間というものがあるから気をつけたほうがいい」

    QB「行ったところで門前払いなんてことになっては困るよね?」

    杏子「…時間まで見滝原市内を散策してるから良いよ」

    杏子(…)

    43 = 1 :

    ~お昼過ぎ:見滝原市病院 上条の病室~

    ガラガラ

    杏子「邪魔するよ」

    上条「やぁ、君か」

    杏子「今日もそこの果物、もらえると嬉しいんだけど」

    上条「どうぞ、好きなだけ食べていいよ」

    杏子「ありがとっ」

    杏子「♪」

    しゃくしゃく

    上条「…」ジーッ

    杏子「?」

    上条「君の表情は面白いね。見ていて飽きないよ」

    杏子「そうかい?あたし自身はそんな風には思わないんだけどね」

    上条「鏡でもない限り、自分で自分の表情を見て取るなんてできないからね」

    杏子「ふーん…」

    44 = 1 :

    上条「…」

    杏子「んまんま」もぐもぐ

    上条「よかったら、君の事を話してくれないかな?」

    杏子「あたしのこと?」

    上条「ああ、まだ名前も聞いてなかった気がするから」

    杏子「っと、悪い」

    杏子「杏子だ、佐倉杏子。宜しくな」スッ

    上条「上条恭介。あらためて宜しく」スッ

    ガシッ

    上条「女の子なのにしっかりとした手だね」

    杏子「…デリカシーの無いやつだな、女に向かってその台詞は無いと思うけど」

    上条「ごめんごめん、知り合いに似たような子がいてね」

    杏子「ふーん、まぁ、いいや」

    45 = 1 :

    上条「君はどこの学校に通ってるんだい?」

    杏子「学校?あたしは通ってないよ」

    上条「?それはどういう…」

    杏子「ギムキョーイクは小学校までしか受けてないってことだよ」

    上条「中学も義務教育のはずだけど?」

    杏子「言っただろ?家族皆死んでしまったって」

    上条「でも、どこか親戚の家にいるんじゃないのかい?」

    杏子「…」

    上条「…ごめん、施設、だったりする?」

    杏子「…そこでもないよ」

    上条「?」

    46 = 1 :

    杏子「そんなこと、どうだっていいだろ?」

    上条「変なこと聞いちゃったね、ごめん」

    杏子「あんたも謝ってばかりだな、もっとシャキッとしろよな、男なんだし」

    上条「ははは、たまに言われるよ」

    杏子(本当、変なやつだな…)

    上条「ところで、佐倉さんのお父さんの話を少し聞きたいんだけど」

    杏子「!(え?)」

    杏子「親父…の?」

    上条「昨日話したと思うけど、小さい頃数回あっただけだけど、とても優しそうな人だったからね」

    上条「実のところ、あの人がどんな信仰をしていたのか知らなかったんだ」

    上条「だからそのあたりの話を、一度佐倉さんにして欲しいと思ってね」

    杏子「親父の…教えか…」

    47 = 1 :

    上条「変な質問でごめん。思い出したくないなら別に…」

    杏子「いいよ。『一人でも多くの人に親父の話を聞いて欲しい』」

    杏子「それがあたしの願いだったからさ…」

    上条「…」

    杏子「親父はね、正直過ぎて、優し過ぎる人だった。」

    杏子「毎朝新聞を読む度に涙を浮かべて、真剣に悩んでるような人でさ…」

    48 = 1 :



    杏子「…というのが事の顛末だ」

    杏子「親父の新しい信仰はようやく受け入れられたけど、説教にのめりこみすぎた親父は気がおかしくなってしまった」

    杏子「最後は一家揃って無理心中さ。あたしをひとり残してね」

    杏子(一部、嘘なんだけどね)

    杏子(魔法の力、願い事の事は伏せさせてもらうよ…)

    杏子(正直、余計な詮索はされたくない)

    上条「…」

    上条「とても残念な結末になってしまったんだね」

    杏子「…」

    50 = 1 :

    上条「音楽の世界でもそうさ」

    上条「いつの時代も新しいものが受け入れられるには時間がかかる」

    上条「死後何十年とたって、ようやく評価されることだってある」

    杏子「…」

    上条「君のお父さんの教えは、存命のうちに受け入れられたんだよね。それはとても幸せなことじゃないかな」

    杏子「…ああ」

    杏子(結局は奇跡の力によるものなんだけどな)

    上条「それにしても、君は本当にお父さんのことが大好きなんだね」

    杏子「!な、な、何でだよ!?」

    上条「とても嬉しそうに話してるよ。他の話をしている時よりも」

    杏子「… /// 」


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