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    元スレ杏子「どこにも無い……!」

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    152 = 75 :

    まどか「それで、何か困った顔してた、よね?」

    杏子「! あ、ああ。大した事じゃねーんだけど……」

    まどか「杏子ちゃんが来てくれるのは、それだけでも嬉しいなって思うんだけど」

    まどか「えっと、何かわたしに手伝えるなら、それはもっと嬉しいなって……」

    杏子「う………」

    まどか「教えて、もらえないかな」

    杏子 (何か……どんどん自分が重罪人になってる気がしてくるぞコレ……)

    杏子「えーっと、その、何だ。マジで深刻な話じゃねーんだ」

    まどか「……?」

    杏子「聞いても怒らないでもらえると有り難い」

    まどか「怒らないと思うよ?」

    杏子「そのだな」

    まどか「うん」

    杏子「……ポッキー、持ってねーか?」

    まどか「………へ? ポッキー?」

    153 = 75 :

    まどか「そっか、今日ポッキーの日だね。学校でさやかちゃんが言ってた」

    杏子「ああ、あたしもさやかから聞いたんだ。それのせいかは知らねーけど、どこの店にも売ってないんだよ」

    まどか「え、そうなの……?」

    杏子「そんでまぁ、どーしても……食べたいもんで、持ってたら、ちょっと欲しいなって……」

    杏子「……いやホント下らない用事で悪い………」

    まどか「そんなことないけど……。うーん、どうだろ、あったかな……?」

    コンコンッ

    まどか「あ、丁度良かった! どうぞー」

    知久「はい、お茶持ってきたよ。丁度良かったってなんだい?」キィー

    まどか「パパ、うちにポッキーってあったっけ?」

    知久「ポッキー?」

    まどか「うん、今日ポッキーの日だから食べたいなーって」

    知久「ああ、そういえばそうだね。うーん、でも……うちには無かったかな。夕飯の材料と一緒に買ってこようか?」

    まどか「それが何処にも売ってないんだって……」

    知久「え、本当に?」

    154 = 142 :

    まどっちまだほむほむんとこ行ってないん?

    155 = 75 :

    杏子「朝からいろいろ見て回ってるけど……どこにも無いんだ」

    知久「そ、そんなに売れてるの……?」

    杏子 (はぁ、ダメか……。万策尽きた、か………)

    もうだめだ。さくらきょうこは、めのまえがまっくらになり……かけた。が、

    知久「ううん、それじゃあ……」

    知久「作ってみる? ポッキー」

    何やら妙な提案を持ちかけられる。

    杏子「………はぁ?」

    まどか「……パパ? 一体何を」

    知久「いやいや、冗談じゃなくってさ」

    杏子「ポッキー、知ってるよな……?」

    知久「もちろん。折ったときの食感がうれしいよね」

    まどか「本当に作れるの? クッキーやケーキなら分かるけど……」

    知久「おいおい、まどかも信用してくれないのか? 結構それっぽいのが作れるんだよ。
       面白いと思うし、やってみない?」

    156 = 125 :

    ここからお料理教室!

    157 :

    3分クッキング

    158 = 75 :

    ――30分後――

    「「ただいまー!」」

    タツヤ「たらいあーっ!」

    知久「あはは、おかえりタツヤ」

    まどか「なんだか、そんなに特別なものを買う訳じゃないんだね?」ガサッ

    スーパーの袋を漁る。

    普通の板チョコをミルクチョコレートとホワイトチョコレートの2種類、
    あとはアーモンドダイスと牛乳ぐらいなもの。

    杏子「ホントに……これでポッキー作れんのかよ……?」

    知久「まだ疑ってるねー? 材料自体は大体、家にもとからあるからね。牛乳は足りなさそうだから買ってきたけど」

    杏子「だって……。ポッキーだぞ……」

    まどか「まぁやってみようって、パパはお菓子作りも得意だし、嘘もつか……嫌な嘘はつかないよ?」

    杏子「あー、うん、悪い人じゃねーのは分かる」

    知久「ほら、二人とも手を洗っておいで」

    まどか「はーい。いこっ、杏子ちゃん!」クイクイ

    杏子「お、おう……」

    159 = 147 :

    杏子「せ、せやな……」

    160 = 75 :

    まどか「それで、まずはどうするの?」ワクワク

    知久「まずはプレッツェル、ポッキーの芯に当たる部分を焼こうか。
       そのバターをレンジでちょびっとだけ溶かして」

    まどか「はーい」ピッ

    ウィィー……

    知久「うん、そんなものでいいよ」

    まどか「もう?」ピッ

    知久「柔らかくすれば良いんだ。それをボウルに入れて、じゃあ杏子ちゃん、混ぜてみて」

    杏子「え、あ? ああ……」カタカタ…

    杏子 (何か流されてるなー、あたし……)

    知久「そしたらまどか、砂糖を50g計って、そのボウルに入れて」

    まどか「うん、50gだね?」サラサラ…

    杏子「ん、ジャリジャリしてきた」

    知久「次は牛乳をカップ半分。それで砂糖も溶けるよ、少しずつ注いで、よく混ぜてね」

    まどか「はーい」ジョボボ

    161 = 75 :

    杏子「こんなもんで……いいのか?」シャカシャカ

    知久「うん、そしたら次は薄力粉とベーキングパウダーだ。もう計ってあるから、これを……」トサッ

    まどか「わ、けっこう量があるね!」

    知久「お菓子作り、ちょっと久々だから色々遊ぼうと思ってね」

    まどか「遊ぶ……?」

    知久「まあまあそれは後で良いから。このふるいをつかって、まどか、ボウルの中にふるっていくんだ」

    まどか「うん、やってみる」ガサガサ

    知久「杏子ちゃんは、あんまり泡立てないように、全体をなじませる感じで混ぜていってね」

    杏子「お、おう……? 努力する」シャカシャカ

    まどか「えーと、こうして……」トントン…

    杏子「ほー、すげえ綺麗な粉になるな……」シャカシャカ

    まどか「面白いねー!」

    杏子「ああ、悪くないな」

    162 :

    あんこちゃんぺろぺろ!

    163 = 142 :

    今更だけど野菜嫌いなまどかとか書いた人?

    164 = 75 :

    少しまどかがこぼしながらも、なんとか全量を入れて杏子が混ぜ終わる。

    杏子「ふぅ、結構腕、疲れるな……」

    知久「うん、お疲れ様。そのくらいで良いと思うよ、よく混ざってる」

    杏子「これで終わりか?」

    知久「次はこれを棒状にして焼くんだけどね。その前に、生地を寝かせるよ」

    まどか「寝かせる?」

    知久「うん。30分ぐらい、冷蔵庫に入れてほっとくだけ。そうすると、焼いたときにサクサクした食感になるんだよ」

    まどか「へえー、そうなんだ!」

    杏子 (そんなちょっとしたことで、味が変わるモンなのか……)

    杏子 (うーん、料理なんてサバイバル程度にしかできねーけど……。結構、お菓子作りって楽しい……?)

    知久「ほら、さっきのお茶持ってきたから……ソファでちょっと休憩しててごらん」

    杏子「あっ……ありがとう、ございます」

    165 = 75 :

    杏子「ふぅ……」コクッ

    杏子 (ん、麦茶じゃない……? なんか美味いな)

    まどか「えへへ、焼いたらどうなるのかなぁ、楽しみ!」

    杏子「そうだな……。今の段階ではまぁ、それっぽいけど……さてどうかね」

    まどか「んもうー、パパを信用してってばー!」

    杏子「はは、悪い悪い」

    まどか「………迷惑、だったかな」

    杏子「え?」

    まどか「ううん、ちょっと強引だったかなって。ポッキー欲しいってだけだったのに、作ろうだなんて」

    杏子「いや、そんなこた無いよ、結構面白いし」

    まどか「そう? よかった!」

    杏子「ぶっちゃけ最初は正気を疑ったけど……。作ってる感じ、ふざけちゃないみたいだしな」

    まどか「わたしも最初はちょっと、ね。えへへ」

    杏子「だろ?」

    166 :

    麦茶じゃなくてなんなんだ

    167 = 75 :

    杏子「しっかし……。なんかあんた、今日はやけに上機嫌じゃねーか?」

    まどか「え!? ……分かっちゃう、かな? えへへ……///」

    杏子「何か良いコトでもあったのか?」

    まどか「……うん。杏子ちゃんと、二人でお話しできた!」

    杏子「……は?」

    まどか「えっと、ずっと、仲良くなりたいなって思ってたんだ……。
        杏子ちゃん普段からすごくかっこいいし、ちょっと憧れちゃうなって」

    杏子「な、何を言って……///」

    まどか「さやかちゃんとかほむらちゃんとは仲良さそうに話してるから、
        嫌われちゃってるのかなって、思ってて……」

    杏子「ンなわけねーだろ、どこに嫌う要素があんだよ」

    まどか「そ、そう? ありがとう!」

    杏子「っ………」

    杏子 (なるほどな……)

    杏子 (……こりゃマミやほむらも、短い間に手籠めにされるわけだ)

    まどか「……?」

    168 = 75 :

    pipi pipi pipi

    まどか「あ、タイマー鳴ったよ!」

    杏子「みたいだな。えっと……まどかの親父さんは」

    知久「こ~こ~に~い~る~よ~」

    杏子「うわっ!?」

    キッチンの影からゆらりと姿を現す。

    杏子「そんな所に……」

    まどか「もー、変なコトしないでよ!」

    知久「はは、ごめんごめん。それじゃ、生地を形にしよっか」

    まどか「生地、冷蔵庫から出して良いんだよね?」

    知久「うん、出したらそこの小麦粉を振った台の上に置いて」

    まどか「はい」ガサゴソ…

    知久「ええと……あった、はい、杏子ちゃん」ヒョイ

    杏子「おう?」パシッ

    麺棒を杏子に渡す。

    169 = 142 :

    はは

    170 :

    昨日はポッキー&プリッツの日であって
    必ずしもチョコはいらない。

    171 :

    >>170
    いつの間にかプリッツがなかったことにされてポッキーの日としか言われてないよな
    まぁあんこちゃんはポッキーが欲しいのであってプリッツが欲しいわけではなさそうだが…トッポダメって言ってたし

    172 :

    フラン最強 ほかは生ゴミ

    173 = 75 :

    知久「それを使って、生地を均一に、薄くのばすんだ。大体2、3mmぐらいかな? 結構力を入れた方が良いよ」

    杏子「ごろごろーってやればいいんだよな?」

    知久「うん、そうそう」

    杏子「……よし、やってみる」

    まどか「頑張ってー!」

    両手に麺棒を構え、思い切って力を入れると、

    杏子「っりゃああああ!!」ドスッ

    生地が真っ二つに割れた。

    まどか「ありゃ……」

    知久「……うん、ごめんね。力を入れすぎだね」

    杏子「ご、ごめんなさい………///」

    知久「大丈夫大丈夫、リトライだ。最初は優しく力を入れ始めた方が良いね」

    杏子「はい……」ゴロゴロ…

    杏子 (あ、なるほど……。結構弾力あって、力込めないと薄くならないのな………)

    ゴロゴロ…

    174 = 75 :

    杏子「……よし、こんなもん、かな」

    なかなか均一に延ばされた生地が完成する。

    知久「うん、いい腕前だ。そしたらあとは棒の形に切るだけだね」

    まどか「包丁で切るの?」

    知久「まずは長方形になるように、端っこを落としたいんだけど……ポッキーって長さどのくらいだったかな?」

    杏子「13.5cmだ」

    まどか「え?」

    杏子「13.5cm、間違いないぞ」

    知久「……すごい自信だね、ああうん、多分そのくらいだとは思うけど」

    杏子「多分この中で一番多く食ってるからな、任せろ」

    まどか「たしかにいつも食べてるよね……」

    知久「それじゃまどか、縦を13.5cmにして、横はそれに併せて平行に切れ目を入れてくれるかな」

    まどか「ちょっとまってね、13.5cm……」

    杏子「お、おい、手を切るなよ?」

    まどか「大丈夫、パパのお手伝いぐらいならしてるんだから」サクッ…

    175 :

    パパあん

    176 = 75 :

    まどか「できたっ!」

    杏子「結構やるな、綺麗な長方形だ……」

    まどか「えっへん」

    知久「良い感じだね。じゃ、あとは細切れにするだけだ。厚さと同じように、2~3mmの幅で、
       ポッキーの棒をいっぱい切り出すんだ。できるかい?」

    まどか「大丈夫……いけるっ!」

    杏子「怪我だけはしないでくれよ……?」

    まどか「もう、信用してよー!」

    杏子 (まどかは魔法少女じゃねーから心配なんだよ……)

    ストン… ストン… ストン… ストン…

    リズム良くまどかが包丁を滑らせる度、均一な「ポッキーのもと」がどんどん出来上がっていく。

    杏子「……マジで上手いなおい」

    知久「ほー、腕を上げたねまどかも。それ、かなり切りにくいはずなんだけど……」

    まどか「ウェヒヒヒ……わたしに斬れない物は無いよっ!」

    177 = 75 :

    まどか「よし、できたっ!」

    台に並ぶ大量の「ポッキーのもと」。

    杏子「結構沢山できたなー」

    知久「うん、あとはこれを綺麗な棒状に丸めて焼くだけだよ。
       この……クッキングペーパーを敷いたトレイに乗せていってね」

    杏子「わかった。丸く、丸く……」ゴロゴロ…

    まどか「わたしもわたしも」ゴロゴロ…

    ゴロゴロ…

    杏子「うーん……。どうしても形が歪んじまうな」

    まどか「だねぇ……?」

    知久「ま、そこは手作りの味って所だね。機械じゃないから、仕方ない部分はあるよ」

    杏子「そうか……」

    知久「焼くと硬くなるから、トレイの上でできるだけ真っ直ぐになるようにだけは気をつけてね」

    杏子「了解だ!」

    まどか「け、結構数があって大変かも……!」

    知久「ごめんね、ちょっと分量多かったかも……。僕も手伝うよ、みんなで頑張ろう」

    178 = 75 :

    杏子「っはー、出来たぞ!」

    まどか「大変だったね……」

    知久「ご苦労様。焼き上がりを見れば、きっと疲れも吹き飛ぶよ」

    まどか「そっか、あとは焼くとできあがるんだ……うう、ドキドキする」

    杏子「ちゃんと焼けるかな……? あたしが混ぜてたから失敗したら……」

    知久「大丈夫だよ、僕がちゃんと確認してるから」

    杏子「そ、そっか……」

    知久「それじゃ、この170℃に予熱したオーブンに入れて……」ガタッ

    pipi pi

    知久「このまま、タイマーが鳴るまで10分間焼くんだ」

    杏子「おお、熱そう……」

    まどか「それで完成なの?」

    知久「いや、10分たったら、オーブンの温度を130℃に下げてまた10分。温度の下げ方は分かるよね?」

    まどか「うん、分かるけど……お出かけ?」

    知久「ちょっとタツヤの相手してくるだけだよ。それじゃ、よろしく」

    179 = 162 :

    あんまど!あんこちゃんぺろぺろ…^^

    180 = 75 :

    ぶぅーん。オーブンレンジが回りながら低い音を立てている。

    杏子「お、何か色が変わってきてる気がしないか?」

    まどか「うん、ポッキーっぽくなってきてる気がする!」

    杏子 (あのポッキーを錬成する……! 恐れ多い実験に手を出しちまったなー)

    杏子「………」

    まどか「ねぇ、杏子ちゃん」

    杏子「ん?」

    まどか「杏子ちゃんはポッキー、大好きみたいだけど」

    杏子「そりゃな、あたしの血と肉の半分ちょいはポッキーだ」

    まどか「どうしてそんなに好きなのかなって。おいしいから?」

    杏子「……ま、それが一番の理由だけど」

    まどか「他にも、やっぱり理由があるの?」

    杏子「………面白い話じゃねーぞ?」

    まどか「……駄目?」

    杏子「別にかまいやしねーけど……」

    181 = 75 :

    杏子「えーと、幼稚園の頃の友達だったと思うんだけど」

    まどか「うんうん」

    杏子「……ま、仲の良い奴がいてな。今思うと、結構親が甘やかしてたんだろうなぁ。いつもなんか食ってた」

    杏子「そいつと仲良くなって、初めて分けて貰ったお菓子が……たしかポッキーだったんだよ」

    杏子 (元気してっかなぁ、あいつ………)

    まどか「そっか、想い出のお菓子なんだね……」

    杏子「かなー。そんで、貰って食ったときがもう、ものすごい美味かったんだな。ああ、これは運命だと……。
       当時のことだからそんな言葉、知りゃしないけどさ」

    まどか「あはは、そんなに衝撃的だったんだ」

    杏子「それで、親父にすごい駄々こねたんだ。あのお菓子をもっともっと食べたいって」

    まどか「杏子ちゃんの、お父さん………」

    杏子「そんな高級品ってわけでも無いからな。何だったか忘れたけど、お手伝いしたら買ってくれて」

    杏子「それ以来、手伝いとか良いコトする度に、ごほうびだよーってポッキーくれてさ」

    杏子「……ま、そんなとこだな。食うと安心すんだよ、ポッキー」

    まどか「……そっか………」

    182 :

    しえんこあんあん

    183 = 75 :

    まどか「………ごめん」

    杏子「ああいや、言いたくなきゃ言わねーから。気にすんな」

    杏子 (……なんか空気に乗せられて、ちょい口が軽かった気もするが)

    まどか「でも……」

    杏子「あんたが気にすることじゃねーって。ほら、その、本人以上に周りに気に病まれるとむしろ辛いっつーか」

    まどか「うん……。その、ありがとね? 杏子ちゃんのこと、また一つ教えてくれて」

    杏子「ん……ああ。そんな、知ったってしょーがねーと思うけどな、あたしのことなんて」

    まどか「そんなこと―――」

    pipi pipi pipi

    杏子「おっと、10分だ。まどか、オーブンの温度操作を頼む」

    まどか「あ、えっと……このボタンで」pi pi pi

    まどか「……130℃で合ってたよね?」

    杏子「ああ、確かな」

    杏子「……おお、もうこれ見た目的には完成してんじゃねえか!」

    まどか「ホントだ、ちょっとイビツだけどポッキーみたい!」

    184 = 75 :

    その後、待ちきれない10分をじっくりと待って…

    pipi pipi pipi

    まどか「で、できたっ!?」ガタッ

    杏子「えっと、これ止めればいいのか? 親父さん呼んだ方が……」

    知久「はい、お待たせ」ヌッ

    杏子「うおっ!? し、神出鬼没だなあんた……」

    まどか (パパも今日は楽しそうだなあ……)

    知久「それじゃ、二人とも、やけどしないようにこれをつけて」

    鍋つかみを2組、それぞれに渡す。

    杏子「おう……」モソモソ

    知久「ポッキー……の、芯、お披露目といこうか」ガチャッ

    開けると、ふわりと甘いお菓子の香りがキッチンに広がる。

    まどか「うわあ、いい匂い……」

    杏子 (既に美味いこと決定してんだろこれ……!)

    185 = 75 :

    オーブンの中のトレイを杏子とまどかの二人で取り出し、
    テーブルの鍋敷きの上にのせる。

    トレイに乗せていた、不健康に白いだけだったポッキーの芯たちは、
    こんがりと焼けていい薄茶色に仕上がっていた。

    知久「うん、なかなかうまくいったね」

    杏子「本当にポッキーに見えてきたぞ……」

    まどか「ね、ね、食べても大丈夫?」

    知久「やけどしないように気をつければ大丈夫だよ」

    まどか「やった、じゃあ一本だけ……」

    杏子「あ、あたしも貰うぞっ……!」

    競うように、焼き上がった棒の一本を取り上げると、
    揃って口に運んで…

    ポキキッ

    っと、とてもいい音を鳴らして噛み折った。

    杏子「おお………おお!!」モグモグ

    まどか「ポッキーだ、芯だけのポッキーだ!」モグモグ

    186 :

    お腹空いてきた…

    187 = 75 :

    知久「どうだい、見た目はちょっとヨレヨレしてるけど、なかなかそれっぽい仕上がりだろう?」

    杏子「ああ……。疑ってすまなかった、これは確かに手作りポッキーと名乗っていい出来映えだ!」ポリポリ

    まどか「すごいそれっぽいよパパ!」パリモグ

    知久「はは、喜んでもらえて良かった。でも、ポッキーには大事なもう一つの要素があるよね」

    杏子「そうだな……。ようやくここで買ってきたチョコの出番ってわけだな?」

    知久「ご名答。まずは、買ってきた板チョコを……細かく包丁で刻むんだ」

    まどか「わたしの出番だねっ!」

    杏子 (まどかも調子乗ってんなー……)

    知久「そのままだと砕けて散らばっちゃうから、包丁をちょっとコンロであぶってからやるといいよ」

    まどか「あ、はーい」チチチ… ボボッ

    まどか「暖めて……刻む」ザクッ ザクッ

    まどか「こんな感じでいいかな?」

    知久「それでいいよ。ホワイトチョコレートの方も、杏子ちゃんパッケージを開けてあげてもらえるかな。
       全部刻んじゃおう」

    杏子「わかった」ビリリッ

    189 = 75 :

    知久「うん、刻めたね。ここからが重要だ、チョコレートにはテンパリングっていう作業が必要なんだよ」

    杏子「テンパリング?」

    知久「そう。チョコレートをただ溶かして固めるだけだとね、中の成分がバラバラになって、
       おいしくなくなっちゃうんだよ」

    まどか「そうなんだ……」

    知久「だから、温度をしっかりと調整しながら溶かさないといけない。ちょっと大変だけどね、
       その温度調整作業をテンパリングっていうんだ」

    杏子「はぁー……。知らなかった……」

    知久「まずは、大体45℃ぐらいに暖めて溶かして、その後水で冷やして27℃前後にする。
       最後に30℃ぐらいまで温め直して、ようやく完了だ。その状態で固めると、チョコレートは美味しく固まってくれる」

    杏子「や、やけに細かいんだな……?」

    知久「チョコレートって、結構デリケートなお菓子なんだよ」

    知久「あと作業は、こうしてお湯の中にボウルを入れて湯煎でやるんだけど、チョコレートは水に弱いからね。
       絶対に湯煎の水をボウルの中にこぼさないこと、そこだけ気をつけて」

    まどか「わかった!」

    190 = 75 :

    杏子「しっかし……。まどかの親父さん、やけにお菓子作りとかチョコとか詳しいんだな」

    知久「いやあ、毎年バレンタインになると、ママが去年とは違う物が欲しいっていうからね。
       いろいろ作らされて、その経験のせいかな。ポッキーもそれで作ったんだよ」

    杏子「バレンタイン……? ってーと、女が男にチョコ送るあれじゃねえのか?」

    まどか「あはは、うちでは逆なの」

    杏子「ま、まどかん家のお袋さん、強いんだな……?」

    まどか「強いっていうか、かっこいいよ? 杏子ちゃんみたいに」

    杏子「あたしはそんなんじゃねーってーの」

    杏子 (しかし、バレンタイン……なぁ。好きな奴に、チョコ………)

    杏子 (………///)

    知久「杏子ちゃんも、2月になったらまたおいでよ。バレンタインチョコの作り方、教えてあげるよ」

    杏子「なっ……! あ、あたしは別に………///」

    知久「……分かりやすいよ?」

    杏子「う……っぐ、くそ………///」

    杏子「じゃあ……き、来てやるよっ! 2月になったら覚悟しとけよ!」

    知久「はは、心してお待ちしております」

    191 = 75 :

    その後、温度計と格闘しながら十数分。
    杏子がミルクチョコレート、まどかがホワイトチョコレートを担当して、
    上限温度や下限温度を何度かオーバーしながらも、ようやく作業が完了する。

    まどか「ほ、本当に大変だった……!」

    杏子「チョコレート扱うのってこんな神経いるのかよ……」

    知久「お疲れ様。テンパリングしなくていいチョコレートもあるんだけどね。
       残念ながら、スーパーには売ってなかったから」

    まどか「そっかぁー」

    知久「あとは、その温度を維持したまま、ついに芯にチョコレートをつける作業さ」

    杏子「よっし! 本番だ!」

    まどか「ついに完成だね!」

    知久「このスプーンでほら、すくってかけるといいよ。やってごらん」

    杏子「おう!」

    渡されたスプーンで、美味しく焼き上がって待機しているポッキーの芯にチョコレートをかける。

    杏子「おおお……!」

    適度にテンパリングされたチョコレートが、しっかりと芯の8割をくるんでいく。

    知久「温度も丁度良さそうだね。一応、持ち手の部分を……この、空き箱の穴に刺して冷ますといいよ」

    192 = 75 :

    杏子「………♪」

    まどか「………♪」

    ついに苦労した完成品が次々に生まれる姿に、短調ながらも
    楽しく作業を続けていく二人。

    ちょっといびつだが、確かにポッキーと言える手作りのお菓子が積まれていく。

    知久「……うん。それじゃ、そろそろ遊びに入ろうかな」

    杏子「ん?」

    まどか「遊び?」

    知久「そう。ほら、普通のポッキーもいいけど、ちょっと変わり種もいいだろう? だから例えば……」ガサガサ…

    言いながら、スーパーの袋からアーモンドダイスを取り出す。

    知久「これを広めの皿に空けて……」

    杏子「ああ、そういやそんなの買ってたな」

    知久「チョコを塗ったポッキーを、固まる前にここに転がして……」ゴロゴロ

    まどか「アーモンドがくっついた!」

    知久「あとはもういちどチョコをスプーンでかければ、ほら。アーモンドクラッシュポッキーの完成」

    杏子「なるほど! ちょ、ちょっとやらせてくれ……」

    195 = 75 :

    知久「あとは、ホワイトチョコを使って、変わった味を作ることも出来るよ」

    まどか「そういえば、まだホワイトチョコレートは使ってないね」

    知久「これを三分の一ほど別の容器に移して……」ガサカタ

    知久「それで、苺ジャムを混ぜてみる」カシャカシャ

    杏子「ああ、つーことはもしかして?」

    知久「うん、これをかけると……」トロッ…

    知久「はい、桃色のいちごポッキーのできあがり」

    まどか「ティヒヒ、面白い!」

    杏子「へぇ……桃色か。そんじゃ、まどか味のポッキーだな、こいつは」

    まどか「え? でも苺は赤色だもん、杏子ちゃんの色だよ?」

    杏子「いやどう見ても赤じゃなくて桃色だぞ、これ」

    まどか「……じゃ、二人のポッキーだよ! ね?」

    杏子「………そ、そうだな」

    まどか「他の色も作れるかな?」

    197 = 75 :

    知久「そうだね、ブルーベリージャムとオレンジジャムがあるよ」

    杏子「オレンジはどう考えてもマミだよな」

    まどか「ブルーベリーは……。うーん、さやかちゃんかほむらちゃんか難しいところだね……?」

    杏子「ま、美味しそうだし作ってみようぜ」

    まどか「うん!」

    brrr... brrr...

    まどか「あれ、ケータイに電話だ」パカッ

    まどか「……マミさん?」

    杏子「マミ?」

    まどか「もしもし? ……はい、いえ大丈夫ですよ! ……え? あ、はい、居ますよ?
        ……そうですか。はい、大丈夫です。……分かりました! 待ってます はーい」…pi

    杏子「何だって?」

    まどか「『佐倉さんはそこに居るかしら?』だって。……あ、居るって言ったらマズかったかな?」

    杏子「いや、問題ねーけど……」

    まどか「そっか、今からうちに来るって。ほむらちゃんも後で来るって行ってたし、賑やかになるねー」

    杏子 (……? マミ、何しに?)

    198 = 74 :

    まみまみ

    199 = 75 :

    芯の形もそれぞれ個性的で、味もまたさまざまなチョコレートでコーティングされた
    ポッキーを作り続け、相当な本数の製造が完了した頃。

    ピンポーン…

    まどか「あ、誰か来た! ちょっと見てくる」トタタ…

    杏子「おう」

    手のあいたまどかが玄関で応対する。ちょっとすると、

    マミ「お、お邪魔します」

    ほむら「お邪魔します……」

    まどか「いらっしゃい!」

    連絡のあった二人が姿を現した。

    杏子「あん? マミとほむら一緒に来たのか」

    ほむら「ええ……。予定外、完全に予定外だけれどね……」

    ほむら (マミも杏子もなんでここに居るのよ、私とまどかの二人だけの時間を返してよ……!)

    ほむら (………心の準備をするために、訪れる時間を遅く設定したのが間違いだったのかしら……)

    マミ「佐倉さんを探してるって暁美さんに連絡したら、彼女も探してるって言うから一緒にね」

    杏子「……え? あたしを?」

    200 :

    ほむほむ


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