元スレ杏子「どこにも無い……!」
SS覧 / PC版 /みんなの評価 : ★
101 = 75 :
杏子「……あれ? 変身して何やってんだ、自室に魔女でも居たのか?」
マミ「………」
杏子「珍しーな、物好きな魔女もいるんだな……って、部屋が使い終わった銃だらけ? 何かBGM流れてるし」
マミ「………」
杏子「それに……。何でそのティロフィナ銃を、あたしに向けてんだ?」
マミ「………///」
ようやく、状況を認識して顔を赤らめる。
マミ「ティロ……」
杏子「え、わあああ待て待て落ち着け! 何かしらねーけど落ち着け!!」
マミ「フィナーレ!!!」ブンッ
杏子「はっ!? 投げるってうごふっ!!」ドスン
マミ「ふんっ……チャイムも鳴らさないあなたが悪いのよ」パンッ パンッ
両手をはたき、腰に回す。
くしゃみを途中で止められたような気持ち悪さは、まあこれで解消できた。
マミ (さて。大丈夫、さすがに一番イタい所は見られてないはずだから……)
マミ (とりあえず、寝てる佐倉さんは放っておいて、部屋の片付けでもしましょうか………) ガサゴソ…
102 = 74 :
かわいい
103 = 93 :
イタイことを自覚してるけどやめられないマミさんかわいい
104 = 75 :
マミ「それで何? 優雅な午後のティータイム前の運動を邪魔して」
杏子「優雅だったか……?」ボソッ
マミ「何か言った?」
杏子「何でもございません」
マミ「要件を言いなさい」
杏子「えっと……ポッキー、持って無いか?」
マミ「ポッキー?」
杏子「今日はポッキーの日とやらで、手に入んなくて……。あれば、是非とも分けて欲しいんだ」
マミ (ティータイム用おやつボックスにあったと思うけれど……)
マミ (……何か腹の虫が治まらないわね。このまま渡すというのも)
マミ (………)
マミ「そう。ポッキーの日ね」
マミ「分けてあげてもいいけれど、条件があるわよ」
杏子「あー、そういう流れなのは分かってたよ」
マミ「そう? なら話は早いわ。簡単な事よ。私に、ゲームで勝ってみせなさい!」
106 = 74 :
まみまみ
107 = 75 :
杏子 (ま、た、か、よ………) ハァ…
深いため息を一つ。
マミ「……? どうしたの?」
杏子「いや……。マミまでポッキーゲームかよ、ってちょっとな……」
マミ「ポッキーゲーム? そんなしょうもない遊びしないわよ」
杏子「え、違うのか?」
マミ「あんなの勝ちも負けも無いじゃない、恋人同士でイチャイチャするだけの、
ゲームとは名ばかりの……ああ何かムカムカするわね!」
杏子 (何でさっきからこんなイライラしてるんだ……?)
杏子「それじゃ、一体何すんだ?」
マミ「ちょっと待ってて」スクッ
立ち上がり、部屋の奥にあるクローゼットへと姿を消す。
杏子 (……?)
マミ「………あったわ」ガサゴソ
しばらく中身を漁って戻ってきたマミは、何やら長い棒の束を手にしていた。
108 = 84 :
マミッ?
110 = 75 :
杏子「なんだコレ……」
マミ「ミカドっていう、ヨーロッパ生まれのゲームよ」
杏子「これがゲーム……? 見たことも聞いたことも無いぞ」
マミ「ええ、日本ではマイナーでしょうね」
杏子「何でそんな、どマイナーなモン持ってるんだよ……」
マミ「私のハートのイケナイ所をくすぐるのよ、マイナーだからこそね」
杏子「はぁ、左様で」
杏子 (イケナイ所って何だ……)
杏子「確かにマミはマイナーな洋物のテーブルゲーム持ってたなぁ。カタンとか、操り人形とか」
マミ「何言ってるの? カタンはメジャーじゃない」
杏子 (………そうかぁ?)
111 = 74 :
まみまみ
112 = 75 :
杏子「……ところで、そのミカドとやらは……ポッキーの日と関係あんのか?」
マミ「海外では、このゲームを元にして『MIKADO』っていう名前で売られてるのよ? ポッキーって」
杏子「え、そうなのか!」
杏子「……『Pocky』じゃダメなんだろうか」
マミ「それは知らないわ……。大人の事情でしょう、大魔王クッパだってアメリカ行けばBowserよ」
杏子「そんなもんか……」
杏子「まぁいいや。それより、これどうやって遊ぶんだ? ただの棒にしか見えないんだけど」
マミ「ええ、遊び方もシンプルよ。まずはこうやって持って……」
棒の束を手に持ち、テーブルの真ん中に立てるマミ。
マミ「で、離す」バララッ
杏子「うわ、散らばっちまったぞ」
マミ「これで準備は完了よ。あとは、他の棒を動かさないように、一本ずつ取っていくだけ」
杏子「……え? そんだけ?」
マミ「そうよ。簡単でしょう?」
113 = 90 :
マミカド
115 = 75 :
杏子 (簡単もなにも……。取るだけ? 余裕じゃねーか)
マミ「棒には得点があって、この色が2点、こっちが3点で……。
あとこの模様のついたほうの、1本だけ派手な方がミカドっていう特別な棒。20点よ」
杏子「高得点すぎんだろ……」
マミ「あとの模様つきはマンダリン、10点ね。まあ、派手なほうが高得点とだけ覚えておけばいいわ」
杏子「なるほど」
マミ「ただし、ミカドとマンダリンは特別に、それを取った次の1本を取るときに限って、
手だけでなく持っているその棒を道具として使ってもいいことになっているの」
杏子「ふーん?」
杏子 (道具として? ……手で取った方が楽だろ?)
マミ「1本ずつ取っていって、他の棒を動かしちゃったらプレイヤーが交代。
これを繰り返していって、最後に合計得点が多い方が勝ちよ」
マミ「オッケー?」
杏子「オッケーだ」
マミ「それじゃあ始めましょう。佐倉さん、あなたからプレイしていいわよ」
杏子「! ……へへ、その慢心を後悔するんじゃねえぞ?」
マミ「さあ、後悔するのがどちらなのかはまだわからないわよ?」
116 = 75 :
杏子 (だって要するに、上から取っていけば終わりじゃねえか……?)
いちおうは初めての一手である。慎重に指先を使い、そーっとつまむと…
杏子 (………) サッ
特に難なく、まずは1本目をゲットできた。
杏子「ははは、余裕じゃねーか。ほら後悔すんのはそっちだろ?」
マミ「………」
マミは答えない。ただ、口元で両手を組み、じっと杏子の動きを見つめている。
杏子 (……? な、なんか不気味だなおい……)
杏子 (ま、いいや。さくさく取ってポッキー貰うぜ!)
2本目、今度はあまり気を遣わずに取ろうとして、
カタッ
杏子「あっ!?」
他の棒を動かしてしまった。
マミ「うふふふふ。油断したわね? 見た目より難しいわよ……。もっと慎重にならないと」
杏子「ちっ、やられた……!」
118 = 75 :
続くマミのターン、これはもう無双という他はない。
マミ (………) サッ
あるときは、端を摘んで一瞬で事を終わらせる。
マミ (……これは………) コロコロッ
あるときは、軽く転がしながら棒を端っこまで運んでいく。
そうして謎のテクニックを披露しながら、4本5本と次々に棒を獲得していく。
そこに傲慢さはみじんもない。全身全霊をかけて棒を拾う、戦う女の目がテーブルを見据えていた。
杏子「おいおい、どんだけ上手いんだよマミ……」ボソッ
呟くと、マミの冷徹な目線がぎょろりと杏子に向いた。
杏子「!?」
マミ「うっふっふっふっふ」
マミ「これまで数々の魔女と戦いながら生き延びてきた、この私の勝負強さを嘗めてもらっちゃ困るわね」
マミ (……まあ、ちょっとでも気を抜いたら滅法弱いんだけれど)
杏子「………あたしだって、それなりに生き延びてきたつもりだけどねぇ?」
杏子 (いやいいんだけど、なんでこんな本気なんだ……?)
119 = 74 :
まみまみ
120 = 75 :
その後7本拾ったところでマミも失敗、杏子にターンは移る。
杏子「ははは、マミも失敗するもんなんだな?」
マミ「あら、仕方ない場合もあるわ。下らないことを言うより、自分のプレイに集中したらどう?」
杏子 (……それもそうだな………)
杏子 (だが、1本目で慎重に行けば拾えることは分かってる。だったら、やっぱり上からやれば………)
今度は気を抜くことなく、そろりそろりと慎重に棒を掴む。大丈夫、上に何も乗っていないし、あとは引っ張るだけだ。
杏子 (よし、行ける!)
そう思った瞬間、
カタタッ
なぜか一本の棒が音を立てて転がっていった。
杏子 (えっ!? どういうことだおい!)
マミ「ふふふ。罠にかかったわね」
マミ「上から取っていけばいいって物でもないって事よ。よく観察していれば、
今取ろうとした一本の重さが支えていた一本が下にあったことに気づいたはず……。まだまだね、佐倉さん」
杏子「何だと……。ちっくしょ、まだだ、まだ次がある! さっさとターンを終わらせやがれ!」
マミ「言われなくても」
122 = 74 :
まみまみ
123 = 114 :
あんあん!まみまみ!
124 = 75 :
その後、相変わらず余裕で拾いまくるマミだったが、杏子もまたコツを掴んで拾えるようになってきていた。
マミ (ふぅん。上達が早いわね……。ここは、とどめを刺しておくべきかしら)
今は杏子のターン。棒を掴もうと手を伸したところを狙って声をかける。
マミ「ねえ佐倉さん?」
杏子「何だ?」
マミ「そういえばこの前美樹さんが、佐倉さんのことスキ―――」
杏子「!?」ビクッ
カシャシャ…
マミ「―――が多い戦い方だって、あら随分手が震えちゃって。私のターンね」
杏子「ひ、卑怯すぎんだろ今の!?」
マミ「え? 世間話ぐらい良いじゃない」
杏子「いやそうじゃなくて!」
マミ「何が?」ニコニコ
杏子「だからその……。あああクッソ、いいよさっさとやれ!!」
125 :
マミを心理的に動揺させるなら、厨二を突っつくべきか、それとも交友関係を突っつくべきか
126 = 74 :
まみまみ
127 = 75 :
マミ (………)
機械のように、自分のターンはただ棒を拾うことだけに専念するマミ。
杏子 (仕返ししてやろうか……?)
杏子「なあマミ?」
マミ「………」
声をかける物の…
杏子「マーミー?」
マミ「………」
まるで耳を貸してくれない。
杏子「巴マミ? マミちゃーん?」
杏子「おいドリル! ティロ・フィナーレ!」
杏子「わーわーわー!!! 聞け!!!」
マミ「………」
杏子自身が存在しないかのように無視される。
杏子 (……やっべぇ、鉄壁だ………)
129 = 74 :
まみまみ
130 = 74 :
まみまみ
131 = 75 :
しかし聞かれていなかったわけではなく、マミもまた報復に出る。
マミ (そうね、じゃあ……)
マミ「そうそう、佐倉さん、ロッソ・ファンタズマ―――」
杏子「!?」ビクッ
カシャシャ…
マミ「―――に代わる新しい名前を、ってまた動いたわね。私のターン」
杏子「……ほんっとやめて下さい。なぜかマミの黒歴史なのにあたしの黒歴史になってるし、ほんっとやめて下さい」
マミ「黒歴史? 失礼ね、こんなにステキな命名なかなか無いのよ? ロッソ・ファンタズマ! ロッソ・ファンタズマ!!」
杏子「分かったから繰り返すのをやめろ!!」
杏子「これ以上酷い事すると魔女化するぞ! 襲っちゃうぞ!?」
マミ「何よ、性質はどうせポッキー食いたい、でしょ? 餌付けしてペットにしてあげるわ」
杏子「この人今日、ヒッデェな……」
132 = 74 :
襲われたい
133 = 75 :
そうしてイジりにイジられながらゲームは終了。
残るは得点計算だけとなったが…
マミ「数える必要、無いわよね?」
杏子「………はい」
一目で分かる本数の差。杏子の5倍はあろうかという棒を確保し、
しかも20点のミカド棒までマミが持っているとあっては勝てるわけがない。
マミ「ふふ、これで分かったでしょう? 後悔するのは、この私に勝負を挑んだあなたの方だったということが」
杏子「そうだな……」
杏子 (はぁ、結局ここでも……ポッキーは貰えねぇのか………)
杏子「……お邪魔、しました………」トコトコ…
マミ「え?」
ギィー バタン
背中に精一杯の哀愁を背負い、杏子はマミホームを後にした。
マミ「あ、れ……?」
マミ (いつもなら、もう一戦だ! とか言ってくるはずなのに……? 元気ない? あれ?)
マミ (……ちょっと、悪いことしちゃった………?)
134 = 74 :
あんあん……
135 = 114 :
まみまみ!あんあん…
136 = 75 :
――マミマンション前――
ガーッ トコトコ…
杏子「………はぁ」
杏子 (何かもう朝から酷すぎるだろ……今日………)
杏子 (呪われてんのかなー、厄払いしてもらったほうがいいかもしれねえ)
杏子 (………)
杏子 (あとは………)
学校に行ってるわけでもないし、知り合いなんてほとんど居ない。魔法少女仲間がダメとなれば、
杏子 (まどか、しか居ねぇよなぁ……)
杏子 (………正直)
杏子 (あんまりソリの合う奴じゃねーんだよな……)
マミの友人。ほむらの恋人。さやかの親友兼嫁。
間に人を挟んだ関係はあっても、本人が魔法少女でもないし、直接友人と言えるか不安な領域にいる。
杏子 (うーん………)
杏子「………いや、だめだ。手の震えも止まんねーし、棒状の物がみんなポッキーに見えてきた」
杏子 (背に腹は替えられねぇ……行ってみよう)
137 :
棒状のもの…
138 = 125 :
>>137
いくら小さいからってそれは間違えないと思うよ、杏子は
139 :
>>137
噛み切られてもいいなら挑戦するべき
140 = 75 :
――鹿目邸――
杏子 (……よし。押すぞ………)
ピンポーン…
杏子 (………) ドキドキ
ブツッ
『はい? どちらさまですか?』
杏子「あっ! えーっと、佐倉杏子、です」
『さくらきょうこさん?』
杏子「その……。まどか、居ますか……?」
『ああ! まどかのお友達か。ちょっと待っててね、呼んでくるよ』
杏子「お願いします……」
杏子 (……そうか、よく帰りについてってるから場所知ってるけど、邪魔したことねーんだよな)
杏子 (な、なんか急に悪いことしてる気分に………)
ガチャッ
まどか「杏子ちゃん?」
141 = 125 :
ふむ
142 :
まどっちまどまど
143 = 74 :
まどまど
144 = 74 :
まどまど
145 = 75 :
杏子「! まま、まどか……その。久しぶり……?」
まどか「うん? 三日ぶりぐらいだね! 今日はどうしたの?」
杏子「いや、その……悪い。急に来といて何なんだけど」
まどか「ううん、悪く何て無いよ?」
まどか「えっと、わたしに用があるんだよね?」
杏子「ああ」
まどか「そっか! よかった、じゃあ入って入って」グイグイ
杏子「お、おお……?」
手を掴まれ、やけににこにこしたまどかに強引に連れ込まれる。
杏子 (……? 何で嬉しそうなんだ?)
まどか「ティヒヒ、ようこそわたしのおうちへ!」
146 = 125 :
まさかのまどあん?
147 :
一体何が始まるんです
148 = 75 :
知久「やあ、いらっしゃい」
杏子「お、お邪魔します……」
知久「まどか、後で部屋に持って行くけど……お茶でいいかな?」
まどか「うん、杏子ちゃんはお茶でも大丈夫?」
杏子「あ、ああ、何でも……」
トコトコ…
杏子「あれ、まどかの親父さんか?」
まどか「うん、わたしのパパだよー」
杏子「……ああ、あれか。主夫っつーやつか、もしかして」
まどか「そうそう。パパの料理、すっごく美味しいんだよ?」
杏子「ふぅん………」
杏子 (なんつーか……。平和な家、だなぁ………)
階段を上り、ドアを開ける。
まどか「はい、ここがわたしの部屋。どうぞどうぞ」キィ…
杏子「うん、えっと……お邪魔します」
149 = 125 :
まどまど
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