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元スレ妹「兄さんって呼ばせて下さい」
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追いついた
>>743はどういう意味?
>>743はどういう意味?
>>757
また記憶を失くしたちまったんだよ
また記憶を失くしたちまったんだよ
──病院
男「…………」
男「…………」
男「考えろ、考えろ考えろっ」
男「次の方法だ……次の……」
男「……っ」
男「くそっ!」
……ガンっ!
男「どうしてうまくいかないっ!」
男「何が悪かった? 何をミスしたっていうんだっ!」
男「……くそ、くそ……」
男「…………」
男「……ふぅー……」
男「落ち着け……落ち着くんだ……」
男「…………」
男「…………」
男「考えろ、考えろ考えろっ」
男「次の方法だ……次の……」
男「……っ」
男「くそっ!」
……ガンっ!
男「どうしてうまくいかないっ!」
男「何が悪かった? 何をミスしたっていうんだっ!」
男「……くそ、くそ……」
男「…………」
男「……ふぅー……」
男「落ち着け……落ち着くんだ……」
男「焦っても仕方ない……もう一度……」
男「今度こそは失敗しないぞ……」
男「…………」
ガチャ……。
男「……ん」
男性「……大丈夫か?」
男「俺のことはいいです……彼女は?」
男性「今、先生が検査しているところだ」
男性「まあ、毎度のこと、同じ結果だろうがな」
男「…………」
男性「……しかし、何度経験しても辛いものだな」
男性「ああやって、急に初対面の対応をされると……」
男性「……胸を締め付けられるものがあるよ」
男「……七回目」
男性「ん?」
男「今度こそは失敗しないぞ……」
男「…………」
ガチャ……。
男「……ん」
男性「……大丈夫か?」
男「俺のことはいいです……彼女は?」
男性「今、先生が検査しているところだ」
男性「まあ、毎度のこと、同じ結果だろうがな」
男「…………」
男性「……しかし、何度経験しても辛いものだな」
男性「ああやって、急に初対面の対応をされると……」
男性「……胸を締め付けられるものがあるよ」
男「……七回目」
男性「ん?」
男「アイツが再度記憶を失うのはこれで、七回目ですよ……」
男性「…………」
男「初めてを入れれば、八回……」
男「……何も前に進む事が出来ていない」
男性「だが、今回はいつもより長かっただろ?」
男性「全く進んでいないとは、言い切れないんじゃないか」
男「そんなのたかが数ヶ月の違いですよ……」
男「しかも今回の場合、彼女を相当苦しませてしまった……」
男「……にもかかわらず、この結果です」
男性「……そんなに自分を責めるな」
男性「君がいたからこそ……あの子も約一年過ごせたんだ」
男「…………」
男「……あ……」
男性「どうした?」
男性「…………」
男「初めてを入れれば、八回……」
男「……何も前に進む事が出来ていない」
男性「だが、今回はいつもより長かっただろ?」
男性「全く進んでいないとは、言い切れないんじゃないか」
男「そんなのたかが数ヶ月の違いですよ……」
男「しかも今回の場合、彼女を相当苦しませてしまった……」
男「……にもかかわらず、この結果です」
男性「……そんなに自分を責めるな」
男性「君がいたからこそ……あの子も約一年過ごせたんだ」
男「…………」
男「……あ……」
男性「どうした?」
男「……『君がいたからこそ』か……」
男「…………」
男性「……何か、問題があったか?」
男「違います……もしかしたら」
男性「なんだ?」
男「……今までをもう一度、整理してみましょう」
男性「あ、ああ」
男「……彼女が二回目に記憶を失った時」
男「あれは俺のせいですが……妹は兄の死を知ってしまった」
男「そして、記憶を失った」
男性「そうだったな」
男「三回目から七回目までは、余り、変化もなく……」
男「一年も経たない程度で、まあ、長さに若干の違いはありましたが」
男「これまた、記憶を失いましたね」
男「…………」
男性「……何か、問題があったか?」
男「違います……もしかしたら」
男性「なんだ?」
男「……今までをもう一度、整理してみましょう」
男性「あ、ああ」
男「……彼女が二回目に記憶を失った時」
男「あれは俺のせいですが……妹は兄の死を知ってしまった」
男「そして、記憶を失った」
男性「そうだったな」
男「三回目から七回目までは、余り、変化もなく……」
男「一年も経たない程度で、まあ、長さに若干の違いはありましたが」
男「これまた、記憶を失いましたね」
男「そして、八回目」
男性「…………」
男「彼女が約一年周期で、記憶を失っていることを本人に伝えました」
男「あえてその事実を隠さずに、アイツに認識してもらったわけです」
男「そのせいで、妹は日々を悩み続けることになったわけですが……」
男性「その代わり、猶予が伸びた」
男「でも、結果は同じ」
男「俺にとっては、余り大差はないです」
男性「…………」
男「だから、今度」
男「次は今までと全く変わった手段を取りましょう」
男「それが『急激な変化』になる……」
男性「……どうする?」
男「俺は家を出ます」
男性「…………」
男「彼女が約一年周期で、記憶を失っていることを本人に伝えました」
男「あえてその事実を隠さずに、アイツに認識してもらったわけです」
男「そのせいで、妹は日々を悩み続けることになったわけですが……」
男性「その代わり、猶予が伸びた」
男「でも、結果は同じ」
男「俺にとっては、余り大差はないです」
男性「…………」
男「だから、今度」
男「次は今までと全く変わった手段を取りましょう」
男「それが『急激な変化』になる……」
男性「……どうする?」
男「俺は家を出ます」
男性「……なっ」
男「兄を偽るという前提……」
男「それを一旦、やめてみませんか?」
男「兄という存在を、今回は、無かった事にするんです」
男性「しかし、君は一度、会っているんだろう?」
男「その辺りは、うまく誤摩化してもらうことにして……」
男「今後はしばらく病院で生活してもらうようにしましょう」
男「その間に親友の荷物は一旦、違う場所に移して」
男「兄の存在がない家にしてから、彼女に普段の生活を送らせるんです」
男「ん……そうすれば、うまくいく」
男性「…………」
男「どうかしました?」
男性「……本当に意味があるのか?」
男「今は、分かりません……もしかしたら、悪い方向に進むかもしれない」
男性「なら……」
男「兄を偽るという前提……」
男「それを一旦、やめてみませんか?」
男「兄という存在を、今回は、無かった事にするんです」
男性「しかし、君は一度、会っているんだろう?」
男「その辺りは、うまく誤摩化してもらうことにして……」
男「今後はしばらく病院で生活してもらうようにしましょう」
男「その間に親友の荷物は一旦、違う場所に移して」
男「兄の存在がない家にしてから、彼女に普段の生活を送らせるんです」
男「ん……そうすれば、うまくいく」
男性「…………」
男「どうかしました?」
男性「……本当に意味があるのか?」
男「今は、分かりません……もしかしたら、悪い方向に進むかもしれない」
男性「なら……」
男「でも、前に進むことを躊躇っていたら」
男「いつまで経っても、同じことの繰り返しです」
男「永遠に、彼女は元の記憶を取り戻さない」
男性「……それは」
男「はい?」
男性「それは、そこまで必要なことなのだろうか……?」
男「……どういうことです?」
男性「確かに、昔の思い出も全て思い出せば」
男性「私としても嬉しい事だ……だが」
男性「結局、あの子は現実で兄の死を受け止められず」
男性「自殺未遂を謀ったんだぞ……?」
男「…………」
男性「もし仮に、今後、記憶が戻るとして……」
男性「けれど、その時には……」
男性「あの子が自殺してしまう可能性が生まれてしまう」
男「いつまで経っても、同じことの繰り返しです」
男「永遠に、彼女は元の記憶を取り戻さない」
男性「……それは」
男「はい?」
男性「それは、そこまで必要なことなのだろうか……?」
男「……どういうことです?」
男性「確かに、昔の思い出も全て思い出せば」
男性「私としても嬉しい事だ……だが」
男性「結局、あの子は現実で兄の死を受け止められず」
男性「自殺未遂を謀ったんだぞ……?」
男「…………」
男性「もし仮に、今後、記憶が戻るとして……」
男性「けれど、その時には……」
男性「あの子が自殺してしまう可能性が生まれてしまう」
男性「親としては、それだけは避けたい」
男「……しかし」
男性「君の気持ちは理解しているつもりだ」
男性「だが、最近、私は思う……」
男性「一年毎に娘が記憶を失ってしまったとしても」
男性「別段、何の問題もないのじゃないか、と」
男「……それを彼女本人に言えますか?」
男「一年しか……いや、一年も生きられない、あの子に?」
男性「……もちろん、言えんよ」
男性「だが、生きていることに変わりはないだろう?」
男「…………」
男性「幾ら記憶を失おうとも、親の子に対する愛は消えたりしない」
男性「それにな……最早、私は、あの子より君の方が心配だ」
男「……はい?」
男「……しかし」
男性「君の気持ちは理解しているつもりだ」
男性「だが、最近、私は思う……」
男性「一年毎に娘が記憶を失ってしまったとしても」
男性「別段、何の問題もないのじゃないか、と」
男「……それを彼女本人に言えますか?」
男「一年しか……いや、一年も生きられない、あの子に?」
男性「……もちろん、言えんよ」
男性「だが、生きていることに変わりはないだろう?」
男「…………」
男性「幾ら記憶を失おうとも、親の子に対する愛は消えたりしない」
男性「それにな……最早、私は、あの子より君の方が心配だ」
男「……はい?」
男性「少し取り憑かれているんじゃないか?」
男性「勝手な私の見解だが、君は人生をあの子にために犠牲にしている」
男「……何を言うかと思ったら」
男性「…………」
男「『犠牲』?」
男「俺が、あいつの為に人生を無駄にしてる?」
男「そんなことありませんよ」
男「……というより、逆です」
男性「……逆?」
男「アイツがいてくれているからこそ、今の俺がいる」
男「生き恥晒しながら、生きていられるんです」
男「……もしも、妹が今後、死んだりなんかしたら」
男「そのときこそ、俺の死ぬときですね」
男性「……今までも、薄々感じていたが」
男性「勝手な私の見解だが、君は人生をあの子にために犠牲にしている」
男「……何を言うかと思ったら」
男性「…………」
男「『犠牲』?」
男「俺が、あいつの為に人生を無駄にしてる?」
男「そんなことありませんよ」
男「……というより、逆です」
男性「……逆?」
男「アイツがいてくれているからこそ、今の俺がいる」
男「生き恥晒しながら、生きていられるんです」
男「……もしも、妹が今後、死んだりなんかしたら」
男「そのときこそ、俺の死ぬときですね」
男性「……今までも、薄々感じていたが」
男性「……君は少し異常だな……」
男「……かもしれません」
男「けど、今の俺にはアイツしかいないんです」
男「父も、母も、親友も失った今」
男「アイツだけが、俺をこの世界に繋ぎ止めてくれる」
男「大切な人たちを無意味に奪っていった、汚いこの世界からね」
男性「…………」
男「俺は諦めません」
男「仮に誰もが匙を投げたとしても、俺だけは決して」
男「──諦めない」
男「……かもしれません」
男「けど、今の俺にはアイツしかいないんです」
男「父も、母も、親友も失った今」
男「アイツだけが、俺をこの世界に繋ぎ止めてくれる」
男「大切な人たちを無意味に奪っていった、汚いこの世界からね」
男性「…………」
男「俺は諦めません」
男「仮に誰もが匙を投げたとしても、俺だけは決して」
男「──諦めない」
追いついたぜ・・・ちくしょう・・・ハッピーエンドであってくれ・・・
全力で支援
全力で支援
──部長室
男「…………」
男「……仕事が全く進まないな……」
男「あれからまだ一週間も経たないというのに、この調子か……」
男「アイツに会えないっていうのは……」
男「想像していた以上に辛い……」
男「……でも」
男「今度は、うまくいくような気がする」
男「今までとは違う、全く新しい試みだ」
男「……きっと、アイツも昔のように……」
男「根拠はないのに、そう信じてしまいそうだな……」
男「…………」
……………。
男「…………」
男「……仕事が全く進まないな……」
男「あれからまだ一週間も経たないというのに、この調子か……」
男「アイツに会えないっていうのは……」
男「想像していた以上に辛い……」
男「……でも」
男「今度は、うまくいくような気がする」
男「今までとは違う、全く新しい試みだ」
男「……きっと、アイツも昔のように……」
男「根拠はないのに、そう信じてしまいそうだな……」
男「…………」
……………。
コンコン……。
女「部長、失礼します」
男「……ああ」
……ガチャ。
女「コーヒーをお持ち……って、どうかしたんですか?」
男「……ん?」
女「その……」
男「……何だ?」
女「凄く辛そうな表情をしてましたよ……?」
男「……はは……そう見えたか?」
女「は、はい……」
男「……少しな、プライベードで色々あって」
女「もしかして……こないだ言っていた『彼女さん』のこと?」
女「うまくいきませんでしたか?」
女「部長、失礼します」
男「……ああ」
……ガチャ。
女「コーヒーをお持ち……って、どうかしたんですか?」
男「……ん?」
女「その……」
男「……何だ?」
女「凄く辛そうな表情をしてましたよ……?」
男「……はは……そう見えたか?」
女「は、はい……」
男「……少しな、プライベードで色々あって」
女「もしかして……こないだ言っていた『彼女さん』のこと?」
女「うまくいきませんでしたか?」
男「『彼女さん』じゃないよ……妹──」
男「……って……」
女「……妹?」
女「部長に妹がいたんですか?」
男「……話すつもりはなかったんだがな」
男「思わず、口走ってしまったみたいだ……」
男「……ほんと駄目だな……」
女「その……差し支えなければいいんですけど」
女「……少しお話を聞かせて貰えませんか?」
男「……それは」
女「私、思うんです」
女「時には、他人に話すってだけで」
女「気持ちが多少和らぐことが……誰にでもあるって」
男「……確かにそうだ」
男「……って……」
女「……妹?」
女「部長に妹がいたんですか?」
男「……話すつもりはなかったんだがな」
男「思わず、口走ってしまったみたいだ……」
男「……ほんと駄目だな……」
女「その……差し支えなければいいんですけど」
女「……少しお話を聞かせて貰えませんか?」
男「……それは」
女「私、思うんです」
女「時には、他人に話すってだけで」
女「気持ちが多少和らぐことが……誰にでもあるって」
男「……確かにそうだ」
男「なら、少しだけ話させて貰おうかな……」
女「……はい」
男「……実のところ」
男「私には……いや、俺には妹がいるんだ」
女「そうだったんですか」
男「ああ……で、こないだ話した、落ち込んでいる子っていうのが」
女「妹さんだったんですね……」
男「その通り」
女「どうやって、励まそうと?」
男「話を聞いてやって、悩みを受け止めて」
男「それで一緒にそれを背負ってやる……的なことを言った」
女「……私は、凄くいいと思いますよ」
男「でも、結果は駄目だったんだよ」
女「……はい」
男「……実のところ」
男「私には……いや、俺には妹がいるんだ」
女「そうだったんですか」
男「ああ……で、こないだ話した、落ち込んでいる子っていうのが」
女「妹さんだったんですね……」
男「その通り」
女「どうやって、励まそうと?」
男「話を聞いてやって、悩みを受け止めて」
男「それで一緒にそれを背負ってやる……的なことを言った」
女「……私は、凄くいいと思いますよ」
男「でも、結果は駄目だったんだよ」
男「……何度も何度も、繰り返した」
男「時には遠ざけたり、辛く当たってみることにもした」
女「……ええと」
男「でも、そんな些細な変化じゃ何も生まれなくて」
男「逆に、悪化させてしまうこともあった」
女「…………」
男「だから、今回こそはうまくいくって思ってたんだけどな」
男「アイツには辛い思いをさせちゃったけど、仕方なかった」
男「最早……手段がなかったんだ」
女「……はい」
男「でも、結末は変わらない」
男「何度やっても、同じ事の繰り返し」
男「……けど、今度こそは……もしかしたら、ってね」
男「思わずにはいられないんだ」
男「時には遠ざけたり、辛く当たってみることにもした」
女「……ええと」
男「でも、そんな些細な変化じゃ何も生まれなくて」
男「逆に、悪化させてしまうこともあった」
女「…………」
男「だから、今回こそはうまくいくって思ってたんだけどな」
男「アイツには辛い思いをさせちゃったけど、仕方なかった」
男「最早……手段がなかったんだ」
女「……はい」
男「でも、結末は変わらない」
男「何度やっても、同じ事の繰り返し」
男「……けど、今度こそは……もしかしたら、ってね」
男「思わずにはいられないんだ」
女「すみません……」
男「ん?」
女「途中から少し分からなくなってしまって……」
男「ああ、ごめん……後半、独り言のようになっちゃったな」
男「余り気にしないでくれ……今日の俺はどうかしてるから」
女「……でも、何となく分かりました」
女「部長は、その妹さんのことを凄く大切に感じていて」
女「掛け替えのない家族の一人だとか思っているんですね」
男「……家族、か」
女「私にも、昔、一人の弟がいました」
男「弟?」
女「すっごく、やんちゃな子だったんですよ」
女「いつも帰ってくると、服を泥だらけにして」
女「そのまま廊下に上がるもんだから、よく母に怒られていました」
男「……そうか」
男「ん?」
女「途中から少し分からなくなってしまって……」
男「ああ、ごめん……後半、独り言のようになっちゃったな」
男「余り気にしないでくれ……今日の俺はどうかしてるから」
女「……でも、何となく分かりました」
女「部長は、その妹さんのことを凄く大切に感じていて」
女「掛け替えのない家族の一人だとか思っているんですね」
男「……家族、か」
女「私にも、昔、一人の弟がいました」
男「弟?」
女「すっごく、やんちゃな子だったんですよ」
女「いつも帰ってくると、服を泥だらけにして」
女「そのまま廊下に上がるもんだから、よく母に怒られていました」
男「……そうか」
女「それに悪戯好きで、その対象はいつも私」
女「時には腹が立つこともされましたけど、今となってはいい思い出です」
女「怒られたときに、しゅんとする表情なんて」
女「とても愛らしくて……今でも懐かしくて……」
男「……君の家族は」
女「はい、死にました」
男「そうだった……面接の時にもそう言っていたな」
女「みんなで県境の山にキャンプに行く予定だったんです」
女「弟なんか、絶えず車内で、はしゃいでいて」
女「私は平常を装ってましたけど、内心は凄くわくわくしていました」
女「大好きな両親と愛らしい弟と」
女「テントを張って、近くの川で魚釣りをして」
女「夜はバーベキューでおいしいものを食べて、みんなで仲良く寝る」
女「そんな光景が、容易に想像できたから……」
男「…………」
女「時には腹が立つこともされましたけど、今となってはいい思い出です」
女「怒られたときに、しゅんとする表情なんて」
女「とても愛らしくて……今でも懐かしくて……」
男「……君の家族は」
女「はい、死にました」
男「そうだった……面接の時にもそう言っていたな」
女「みんなで県境の山にキャンプに行く予定だったんです」
女「弟なんか、絶えず車内で、はしゃいでいて」
女「私は平常を装ってましたけど、内心は凄くわくわくしていました」
女「大好きな両親と愛らしい弟と」
女「テントを張って、近くの川で魚釣りをして」
女「夜はバーベキューでおいしいものを食べて、みんなで仲良く寝る」
女「そんな光景が、容易に想像できたから……」
男「…………」
女「でも、高速を降りて二車線の県道を走っていた時」
女「居眠り運転をしていた対向車線の車がはみ出してきて……」
女「……一瞬でした」
女「大きな衝撃が一回……その後の記憶はありません」
女「気がついたときには、病院のベットで管という管に繋がれて」
女「……みんな、死んじゃったんです」
女「私だけを残して……そう、みんな……」
男「……ああ」
女「それから数年程、生きる気力が湧かない時期が続いて」
女「何度も、自分で命を断とうとも思ったんですけど」
女「その時に限って、弟の笑顔が浮かぶんです」
女「私より小さかった、あの子の笑い顔が頭から離れなくて……」
女「……それで思いました」
女「弟の分も生きよう。強く生きようって」
男「…………」
女「居眠り運転をしていた対向車線の車がはみ出してきて……」
女「……一瞬でした」
女「大きな衝撃が一回……その後の記憶はありません」
女「気がついたときには、病院のベットで管という管に繋がれて」
女「……みんな、死んじゃったんです」
女「私だけを残して……そう、みんな……」
男「……ああ」
女「それから数年程、生きる気力が湧かない時期が続いて」
女「何度も、自分で命を断とうとも思ったんですけど」
女「その時に限って、弟の笑顔が浮かぶんです」
女「私より小さかった、あの子の笑い顔が頭から離れなくて……」
女「……それで思いました」
女「弟の分も生きよう。強く生きようって」
男「…………」
女「すみません……なんだか急に私の身の上話をしちゃって……」
男「いや、いいんだ」
女「……余り他人に話したくない内容だったんだけどなぁ」
女「部長って、よく聞き上手って言われますか?」
男「はは、生憎、君が初めてだよ」
女「ならなんだろ……でも、部長と私って」
男「ん?」
女「もしかして、凄く似たもの同士なんじゃないですか?」
男「…………」
女「初めて会ったときから」
女「この人は……私と似てるな……って思ったんです」
男「……それはさ」
女「はい」
男「当たり前の話なのかもしれない」
女「……え?」
男「いや、いいんだ」
女「……余り他人に話したくない内容だったんだけどなぁ」
女「部長って、よく聞き上手って言われますか?」
男「はは、生憎、君が初めてだよ」
女「ならなんだろ……でも、部長と私って」
男「ん?」
女「もしかして、凄く似たもの同士なんじゃないですか?」
男「…………」
女「初めて会ったときから」
女「この人は……私と似てるな……って思ったんです」
男「……それはさ」
女「はい」
男「当たり前の話なのかもしれない」
女「……え?」
男「俺も、君が話しやすいって感じているから」
男「だからこそ、秘書に採用したわけだしね」
女「……でも、それって」
男「実のところさ……俺もな」
男「両親がいないんだよ……」
女「え?」
男「だから、共感できるのかもしれない」
男「二人とも家族を失っているから、かな?」
女「……えっと」
男「ん?」
女「でも、部長」
男「何だ?」
男「だからこそ、秘書に採用したわけだしね」
女「……でも、それって」
男「実のところさ……俺もな」
男「両親がいないんだよ……」
女「え?」
男「だから、共感できるのかもしれない」
男「二人とも家族を失っているから、かな?」
女「……えっと」
男「ん?」
女「でも、部長」
男「何だ?」
女「部長には、お父さんがいるじゃないですか?」
女「この会社の社長が……あなたの父親でしょ?」
男「…………」
男「……ぷ」
女「え?」
男「はははっ」
女「そ、その……」
男「駄目だなっ、今日の俺は本当にうっかりしてるよ」
女「……ええと、はい……」
男「この際だ。君に打ち明ける」
女「?」
男「社長と俺は血が繋がってない」
男「数年前に、養子縁組をしただけなんだ」
女「この会社の社長が……あなたの父親でしょ?」
男「…………」
男「……ぷ」
女「え?」
男「はははっ」
女「そ、その……」
男「駄目だなっ、今日の俺は本当にうっかりしてるよ」
女「……ええと、はい……」
男「この際だ。君に打ち明ける」
女「?」
男「社長と俺は血が繋がってない」
男「数年前に、養子縁組をしただけなんだ」
>>796
ハーレムルートで俺得
ハーレムルートで俺得
>>796
スレタイ1000回読み直せ
スレタイ1000回読み直せ
なるほど、>>798でやっとわかったわ
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