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元スレ都城王土「ほう…学園都市か。 なるほどこの俺を迎えるに相応しい」
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あの赤毛の少女の慟哭のような願いを白井黒子は肯定出来ないけれど、それでも理解は出来る。
彼女は。
結標淡希という名の少女は。
ほんの少し、ほんのちょっとだけ道を歩み間違えただけなのだ。
人は人と繋がって自分を認識する。
白井黒子は御坂美琴と出会わなければ。
御坂美琴は上条当麻と出会わなければ。
それこそ御坂美琴や白井黒子が能力を呪い“チカラ”を呪っていてもおかしくはない。
今にも走り出しそうな白井黒子だったが、その肩を優しくショートカットの少女が押し留める。
「事情は聞いたから大体わかるけどさ。 …アンタもうボロボロじゃない」
御坂美琴はそう言いながら白井黒子の身体を案ずる。
放っておけばこの後輩はどんな傷を負ったとしても信念を貫こうとするだろう。
「心配ご無用ですのお姉様! 黒子はもう大丈夫ですの! 演算も今ならば恐らく出来るでしょうし…何より放ってはおけませんの!」
この細い身体のどこにそんな意志が眠っているのだろうと御坂美琴は思う。
実は白井黒子のその信念は“お姉様”がいるからこそなのだが、それに気付かない御坂美琴は苦笑いをするしかない。
しょうがない、そんなら私も付き合うか、と御坂美琴が思った時だった。
「んー… でもね☆ それちょっと無理かも☆」
白い仮面をつけた行橋未造が笑った。
彼女は。
結標淡希という名の少女は。
ほんの少し、ほんのちょっとだけ道を歩み間違えただけなのだ。
人は人と繋がって自分を認識する。
白井黒子は御坂美琴と出会わなければ。
御坂美琴は上条当麻と出会わなければ。
それこそ御坂美琴や白井黒子が能力を呪い“チカラ”を呪っていてもおかしくはない。
今にも走り出しそうな白井黒子だったが、その肩を優しくショートカットの少女が押し留める。
「事情は聞いたから大体わかるけどさ。 …アンタもうボロボロじゃない」
御坂美琴はそう言いながら白井黒子の身体を案ずる。
放っておけばこの後輩はどんな傷を負ったとしても信念を貫こうとするだろう。
「心配ご無用ですのお姉様! 黒子はもう大丈夫ですの! 演算も今ならば恐らく出来るでしょうし…何より放ってはおけませんの!」
この細い身体のどこにそんな意志が眠っているのだろうと御坂美琴は思う。
実は白井黒子のその信念は“お姉様”がいるからこそなのだが、それに気付かない御坂美琴は苦笑いをするしかない。
しょうがない、そんなら私も付き合うか、と御坂美琴が思った時だった。
「んー… でもね☆ それちょっと無理かも☆」
白い仮面をつけた行橋未造が笑った。
「えっと… そりゃまたいったいぜんたいどゆことですか?」
唐突にそんな事を言った行橋未造に上条当麻が不思議そうな声をかける。
そんな上条当麻に向かって行橋未造はひいふうみいよと指を折って。
「えへへ☆ あと30秒もすれば判るんだけどまぁいいか。
防弾仕様のバンが5台。 内部には銃火器で武装した人間が平均5人ってところかな?」
それは警備員《アンチスキル》ではない。
彼等は装甲車を使っているのだ。
それが意味することを何となく理解しながら上条当麻が問う。
「…それって …つまり」
そんな上条当麻に向かって行橋未造がエヘヘと笑って答えた。
「うん☆ 白井さんが言ってた[組織]ってゆーのじゃない? ボクはよく分からないけどさ、多分それだよ☆」
何故こんなことを知っているのか。
それは行橋未造の“異常”、『狭き門《ラビットラビリンス》』に起因する。
行橋未造は“人の心を読む”ことが出来る。
厳密に言えば“思考を読む”といったほうが正しいだろう。
人間の体内外から漏れ出る電磁波をその皮膚で“受信”するのだ。
そしてそれはその実、人間相手に使うよりも適した相手がいる。
機械だ。
ノイズが混じりやすい人間の思考よりも電磁波の塊である精密機械を相手取る時のほうが行橋未造はその“異常”を発揮できる。
いうなればそれこそが行橋未造の真骨頂である。
唐突にそんな事を言った行橋未造に上条当麻が不思議そうな声をかける。
そんな上条当麻に向かって行橋未造はひいふうみいよと指を折って。
「えへへ☆ あと30秒もすれば判るんだけどまぁいいか。
防弾仕様のバンが5台。 内部には銃火器で武装した人間が平均5人ってところかな?」
それは警備員《アンチスキル》ではない。
彼等は装甲車を使っているのだ。
それが意味することを何となく理解しながら上条当麻が問う。
「…それって …つまり」
そんな上条当麻に向かって行橋未造がエヘヘと笑って答えた。
「うん☆ 白井さんが言ってた[組織]ってゆーのじゃない? ボクはよく分からないけどさ、多分それだよ☆」
何故こんなことを知っているのか。
それは行橋未造の“異常”、『狭き門《ラビットラビリンス》』に起因する。
行橋未造は“人の心を読む”ことが出来る。
厳密に言えば“思考を読む”といったほうが正しいだろう。
人間の体内外から漏れ出る電磁波をその皮膚で“受信”するのだ。
そしてそれはその実、人間相手に使うよりも適した相手がいる。
機械だ。
ノイズが混じりやすい人間の思考よりも電磁波の塊である精密機械を相手取る時のほうが行橋未造はその“異常”を発揮できる。
いうなればそれこそが行橋未造の真骨頂である。
別行動中だから行橋は仮面付けてるのか
説明無しにアレ付けたらみんな引いちゃうぜ
説明無しにアレ付けたらみんな引いちゃうぜ
変なの背負ってるし最初からあれなひとってのはわかってるだろうね
プラスとかマイナスとか自然現象の一部であって異能ではないらしいので幻想殺しさんの中の人はスルーします
終了
終了
そう。
行橋未造は電磁波の塊で精密機械である“携帯電話”を御坂美琴に借りていた。
ならば出来る。
学園都市に通じている端末からありとあらゆる情報をその目にすることが出来る。
御坂美琴が電子の世界に“侵入”をすることができるのならば。
行橋未造は電子の世界で“閲覧”をすることができるのだ。
行橋未造と同じことを“超電磁砲”である御坂美琴が出来るのか?
否、それは不可能である。
以前、御坂美琴に向かってそのようなことを聞いた子供がいた。
電話のように遠方にいる相手と“意思の疎通”が出来るのか?という疑問に御坂美琴は笑って無理だと答えた。
脳波の波形が近似しているならばともかくとして。
“意思の疎通”どころか相手の居場所すら判るわけがないと。
だが、例外は存在する。
それは都城王土の“異常”である『創帝《クリエイト》』にも同じことが言える。
『異常《アブノーマル》』は大抵の場合たった一点のみに絞られて特化していると言われている。
都城王土も行橋未造も“超電磁砲”のような大出力の電力を体外に放射したり、バリアーのように電磁波を貼れるわけではない。
けれど…学園都市風に言うならばだ。
御坂美琴は“汎用型”で応用のきく『電撃使い《エレクトロマスター》』と呼ぶならば。
都城王土と行橋未造は“超特化型”の限定的な『電撃使い《エレクトロマスター》』と呼ぶべきが相応しい。
もっとも…都城王土ともう一人の“生徒会長”に限ってはそれすら例外ではあるのだが。
行橋未造は電磁波の塊で精密機械である“携帯電話”を御坂美琴に借りていた。
ならば出来る。
学園都市に通じている端末からありとあらゆる情報をその目にすることが出来る。
御坂美琴が電子の世界に“侵入”をすることができるのならば。
行橋未造は電子の世界で“閲覧”をすることができるのだ。
行橋未造と同じことを“超電磁砲”である御坂美琴が出来るのか?
否、それは不可能である。
以前、御坂美琴に向かってそのようなことを聞いた子供がいた。
電話のように遠方にいる相手と“意思の疎通”が出来るのか?という疑問に御坂美琴は笑って無理だと答えた。
脳波の波形が近似しているならばともかくとして。
“意思の疎通”どころか相手の居場所すら判るわけがないと。
だが、例外は存在する。
それは都城王土の“異常”である『創帝《クリエイト》』にも同じことが言える。
『異常《アブノーマル》』は大抵の場合たった一点のみに絞られて特化していると言われている。
都城王土も行橋未造も“超電磁砲”のような大出力の電力を体外に放射したり、バリアーのように電磁波を貼れるわけではない。
けれど…学園都市風に言うならばだ。
御坂美琴は“汎用型”で応用のきく『電撃使い《エレクトロマスター》』と呼ぶならば。
都城王土と行橋未造は“超特化型”の限定的な『電撃使い《エレクトロマスター》』と呼ぶべきが相応しい。
もっとも…都城王土ともう一人の“生徒会長”に限ってはそれすら例外ではあるのだが。
>>708 完成はいつ頃を予定してる?
行橋未造の宣言通り。
きっかり30秒後だった。
けたたましいブレーキ音が鳴り響き黒いバンが何台も止まったかと思うと、次々に黒いスーツを着た男達が車から降りてくる。
その手には引鉄を絞るだけで相手を殺すことが出来る拳銃が握られている。
しかし、その黒いスーツの男達は顔を見合わせたまま。
…情報と違う。
ここには[A001]が“バケモノ”が[残骸]を持って待機しているはずなのだ。
けれど目の前にいるのは見たこともない少年少女達。
黒いスーツの男達は知らない。
自分達までもが切り捨てられたことを。
だから銃を振りかざして、銃口を突きつけて子供達に詰問する。
「おいガキ共! 答えろ! これはいったいどういうことだ! [残骸]はどこだ!
[A001]はどこにいった! 貴様等はあの“バケモノ”がいう仲間なのか!」
その言葉が決定的だった。
黒いスーツを身につけ、武装した[科学結社]の男達は気づいていない。
その言葉が持つ意味を。
その無遠慮な物言いが4人の少年少女達の純粋な魂を侮辱しているということを。
きっかり30秒後だった。
けたたましいブレーキ音が鳴り響き黒いバンが何台も止まったかと思うと、次々に黒いスーツを着た男達が車から降りてくる。
その手には引鉄を絞るだけで相手を殺すことが出来る拳銃が握られている。
しかし、その黒いスーツの男達は顔を見合わせたまま。
…情報と違う。
ここには[A001]が“バケモノ”が[残骸]を持って待機しているはずなのだ。
けれど目の前にいるのは見たこともない少年少女達。
黒いスーツの男達は知らない。
自分達までもが切り捨てられたことを。
だから銃を振りかざして、銃口を突きつけて子供達に詰問する。
「おいガキ共! 答えろ! これはいったいどういうことだ! [残骸]はどこだ!
[A001]はどこにいった! 貴様等はあの“バケモノ”がいう仲間なのか!」
その言葉が決定的だった。
黒いスーツを身につけ、武装した[科学結社]の男達は気づいていない。
その言葉が持つ意味を。
その無遠慮な物言いが4人の少年少女達の純粋な魂を侮辱しているということを。
既に白井黒子から話を聞いて理解している。
今、目の前にいるこの黒いスーツを着た男達。
こいつらが哀れな少女の心を弄び、操っていたのだということをだ。
ならば、代弁しなければならない。
赤毛の少女の…いや“チカラ”を呪う全ての能力者の苦痛を利用した“大人達”に、抗わなければならない。
銃口の奥、ポッカリと闇のように広がっているその悪意に向かって、“子供達”は立ち向かう。
ショートカットの少女がバチン!と凄まじい音をたてて雷をその身に纏った。
「……へぇ~ つまりさぁ… こいつらが元凶ってわけよね?」
荒れ狂う雷のような怒りを抑えきれずに『超電磁砲《レールガン》』が声を震わて。
そしてその隣にシュン!と音を立ててツインテールの少女が並び立って。
「お姉さま…待って下さいまし。 あの娘を言い様に操っていた“クズヤロウ”達がお相手ならば… ワタクシも少々怒りが抑えられないんですの」
『空間移動《テレポート》』が太もものガーターベルトから鉄矢を取り出しながら、赤毛の少女の無念の涙を思い出し歯噛みして。
その隣にボキリ!と拳を鳴らしながらツンツン頭の少年が並び立って。
「世界の半分…にしちゃあちょっとばかし数が少ないけどさ。 それでも約束は守らないとな」
約束を守るためならば、誰が相手だろうと退きはしない『幻想殺し《イマジンブレイカー》』の隣には。
バサリ!とマフラーを舞わせるようにして仮面をつけた子供が並び立って。
「えへへっ! ボクはバトル向きじゃあないんだけどなぁ☆」
『狭き門《ラビットラビリンス》』は道化のようにおどけながら、己の絶対者の足を引っ張らないよう自らの役割を遂行するのだ。
そして。 4人の“子供達”は、20人を超える鉄の凶器をもった“大人達”に向かって“革命”を開始した。
今、目の前にいるこの黒いスーツを着た男達。
こいつらが哀れな少女の心を弄び、操っていたのだということをだ。
ならば、代弁しなければならない。
赤毛の少女の…いや“チカラ”を呪う全ての能力者の苦痛を利用した“大人達”に、抗わなければならない。
銃口の奥、ポッカリと闇のように広がっているその悪意に向かって、“子供達”は立ち向かう。
ショートカットの少女がバチン!と凄まじい音をたてて雷をその身に纏った。
「……へぇ~ つまりさぁ… こいつらが元凶ってわけよね?」
荒れ狂う雷のような怒りを抑えきれずに『超電磁砲《レールガン》』が声を震わて。
そしてその隣にシュン!と音を立ててツインテールの少女が並び立って。
「お姉さま…待って下さいまし。 あの娘を言い様に操っていた“クズヤロウ”達がお相手ならば… ワタクシも少々怒りが抑えられないんですの」
『空間移動《テレポート》』が太もものガーターベルトから鉄矢を取り出しながら、赤毛の少女の無念の涙を思い出し歯噛みして。
その隣にボキリ!と拳を鳴らしながらツンツン頭の少年が並び立って。
「世界の半分…にしちゃあちょっとばかし数が少ないけどさ。 それでも約束は守らないとな」
約束を守るためならば、誰が相手だろうと退きはしない『幻想殺し《イマジンブレイカー》』の隣には。
バサリ!とマフラーを舞わせるようにして仮面をつけた子供が並び立って。
「えへへっ! ボクはバトル向きじゃあないんだけどなぁ☆」
『狭き門《ラビットラビリンス》』は道化のようにおどけながら、己の絶対者の足を引っ張らないよう自らの役割を遂行するのだ。
そして。 4人の“子供達”は、20人を超える鉄の凶器をもった“大人達”に向かって“革命”を開始した。
通常戦力じゃ超電磁砲には太刀打ちできないだろうなw
ノーマルはまだなのか!? ノーマルは!
ノーマルはまだなのか!? ノーマルは!
■学園都市・大通り
蹲って泣きべそをかきながら。
結標淡希はいっそ死んでしまいたいと思った。
傍らには[残骸]があるけども。けれどそれは何の役にも立ちはしない。
カツン、カツンと不規則な音が響く。
暗い夜道の向こうから“ダレカ”がやってくる。
ぼんやりと濁った目をあげて、“ダレカ”を見て。
「あは…あはは… そう…アンタなのね」
結標淡希は乾いた笑い声をあげた。
どれだけ“仲間”を救いたくても叶わなかったのに。
死にたいと思った途端、まるでその言葉を待っていたように。
恐ろしい死神がやってきたのだ。
その人影は狂ったように、歪んだように、澱んだように、狂った月のように純白の光を放っていた。
暗がりに浮かび上がるようにして佇むのは学園都市最強の能力者。
そこにいるのは闇に浮かぶ月のように白く、白く、白い一方通行《アクセラレータ》だった。
蹲って泣きべそをかきながら。
結標淡希はいっそ死んでしまいたいと思った。
傍らには[残骸]があるけども。けれどそれは何の役にも立ちはしない。
カツン、カツンと不規則な音が響く。
暗い夜道の向こうから“ダレカ”がやってくる。
ぼんやりと濁った目をあげて、“ダレカ”を見て。
「あは…あはは… そう…アンタなのね」
結標淡希は乾いた笑い声をあげた。
どれだけ“仲間”を救いたくても叶わなかったのに。
死にたいと思った途端、まるでその言葉を待っていたように。
恐ろしい死神がやってきたのだ。
その人影は狂ったように、歪んだように、澱んだように、狂った月のように純白の光を放っていた。
暗がりに浮かび上がるようにして佇むのは学園都市最強の能力者。
そこにいるのは闇に浮かぶ月のように白く、白く、白い一方通行《アクセラレータ》だった。
ダルそうな声をあげながら一方通行は憮然とした声をあげる。
「あァー …かったりィ あのガキ共の一大事って聞いて二日続けて出歩いてみりゃあ、これかよ」
白髪紅眼のその男は退屈そうに頭をガリガリとかく。
「ただでさえこちとら脳味噌シェイク状態でよォ… そのうえ昨日こしらえた傷やら筋肉痛やらで歩くのもだりィってのによォ…」
そこまで言うと一方通行は再び歩みを開始する。
カツンカツンと杖の先でアスファルトを叩きながら、赤毛の少女の元へと歩く。
一方通行《アクセラレータ》は結標淡希など知らない。
だから奪って壊してそれで終わりだ。
そして結標淡希には、もはや抵抗しようとする気力すら残っていなかった。
痛いのはいやだなぁ、とぼんやりと願うだけで。
結標淡希は死神の鎌が振り下ろされるのをただ待っているだけだった。
一方通行のゆっくりとした歩みが止まる。
足元で蹲ったまま動こうともしない結標淡希を見て。
カッ!と一方通行が喉の奥で笑った。
「何だァ!? この馬鹿みたいな三下はよォ? “昨日の愉快な馬鹿”に比べりゃあ笑いが止まらなくなるくらいちっぽけな三下が相手かよ!?」
それだけ言って、一方通行がさっさと終わらようとしたその時だった。
「あァー …かったりィ あのガキ共の一大事って聞いて二日続けて出歩いてみりゃあ、これかよ」
白髪紅眼のその男は退屈そうに頭をガリガリとかく。
「ただでさえこちとら脳味噌シェイク状態でよォ… そのうえ昨日こしらえた傷やら筋肉痛やらで歩くのもだりィってのによォ…」
そこまで言うと一方通行は再び歩みを開始する。
カツンカツンと杖の先でアスファルトを叩きながら、赤毛の少女の元へと歩く。
一方通行《アクセラレータ》は結標淡希など知らない。
だから奪って壊してそれで終わりだ。
そして結標淡希には、もはや抵抗しようとする気力すら残っていなかった。
痛いのはいやだなぁ、とぼんやりと願うだけで。
結標淡希は死神の鎌が振り下ろされるのをただ待っているだけだった。
一方通行のゆっくりとした歩みが止まる。
足元で蹲ったまま動こうともしない結標淡希を見て。
カッ!と一方通行が喉の奥で笑った。
「何だァ!? この馬鹿みたいな三下はよォ? “昨日の愉快な馬鹿”に比べりゃあ笑いが止まらなくなるくらいちっぽけな三下が相手かよ!?」
それだけ言って、一方通行がさっさと終わらようとしたその時だった。
.
「ほぅ… その“昨日の愉快な馬鹿”とやらは誰のことだ? 事と次第によっては聞き捨てならんぞ“一方通行《アクセラレータ》”?」
愉快な冗談を聞いたとばかりに笑いながらそう問いかける声。
その声を聞いて結標淡希は蹲ったままビクリとその身体を震わせる。
忘れるものか。
この声の主はありとあらゆる全てを肯定して、そして否定する計り知れない男の声だ。
そしてそれを聞いた一方通行は面倒くさそうに面白そうに振り返ってこう言った。
「……よォ 一日振りだなァ? お・う・どくゥン?」
わざと区切るようにして名前を呼んだ一方通行の言葉にフンと笑いながら・・・声の主はゆっくりとその姿をあらわした。
恐ろしい覇者がそこにいた。
その人影は王者のように、覇者のように、絶対者のように、燃え盛る太陽のように黄金色の光を放っていた。
暗がりを照らすように佇むのは箱庭学園至高の異常者。
そこにいるのは闇をはねつける太陽のように眩く、眩く、眩い都城王土だった。
「ほぅ… その“昨日の愉快な馬鹿”とやらは誰のことだ? 事と次第によっては聞き捨てならんぞ“一方通行《アクセラレータ》”?」
愉快な冗談を聞いたとばかりに笑いながらそう問いかける声。
その声を聞いて結標淡希は蹲ったままビクリとその身体を震わせる。
忘れるものか。
この声の主はありとあらゆる全てを肯定して、そして否定する計り知れない男の声だ。
そしてそれを聞いた一方通行は面倒くさそうに面白そうに振り返ってこう言った。
「……よォ 一日振りだなァ? お・う・どくゥン?」
わざと区切るようにして名前を呼んだ一方通行の言葉にフンと笑いながら・・・声の主はゆっくりとその姿をあらわした。
恐ろしい覇者がそこにいた。
その人影は王者のように、覇者のように、絶対者のように、燃え盛る太陽のように黄金色の光を放っていた。
暗がりを照らすように佇むのは箱庭学園至高の異常者。
そこにいるのは闇をはねつける太陽のように眩く、眩く、眩い都城王土だった。
『こういう展開はドキドキするね。TPOに基づいて言うならwktkかな?』
紅い双眸が闇を裂いてぶつかる中心で、結標淡希は思った。
もういい。
もういいのだ。
もう何もかもがどうでもいい。
もうどちらでも構わないから早く終わらせてくれ、と。
太陽のような都城王土と月のような一方通行に挟まれて、皮肉めいた自嘲の笑みを浮かべる結標淡希。
その時だった。
太陽の化身のような都城王土と月の化身のような一方通行に向かっていくつもの人造の光が降り注ぐ。
それは車のヘッドライト。
見覚えのある車を見て、結標淡希はその車に乗っている人間が誰なのかすぐに判った。
[残骸]をその手にすることを一心不乱に追い求める集団。
それの名称は[組織]と呼ばれ[科学結社]と呼ばれている。
車のドアから転がるようにして黒いスーツの男達がわらわらと降りてくる。
そして最後部の車から[M000]が降り立った。
もういい。
もういいのだ。
もう何もかもがどうでもいい。
もうどちらでも構わないから早く終わらせてくれ、と。
太陽のような都城王土と月のような一方通行に挟まれて、皮肉めいた自嘲の笑みを浮かべる結標淡希。
その時だった。
太陽の化身のような都城王土と月の化身のような一方通行に向かっていくつもの人造の光が降り注ぐ。
それは車のヘッドライト。
見覚えのある車を見て、結標淡希はその車に乗っている人間が誰なのかすぐに判った。
[残骸]をその手にすることを一心不乱に追い求める集団。
それの名称は[組織]と呼ばれ[科学結社]と呼ばれている。
車のドアから転がるようにして黒いスーツの男達がわらわらと降りてくる。
そして最後部の車から[M000]が降り立った。
『いやぁ続きが気になって仕方ないよ』
『明日がレポートの締め切りだっていうのに』
『これじゃあ全く手がつかないね』
『だからレポートが白紙でも』
『僕は悪くない』
『明日がレポートの締め切りだっていうのに』
『これじゃあ全く手がつかないね』
『だからレポートが白紙でも』
『僕は悪くない』
総合ビルへ向かった先行部隊からの連絡は不思議なことに途切れてしまったが、そんなこと[M000]は気にしない。
今、目の前にあるのは念願の[残骸]なのだ。
「おお! それはまさしく[残骸《レムナント》]! いやぁご苦労だった[A001]! よくやってくれた!」
そう笑いながら[M000]がねぎらいの言葉を掛ける。
先程、罵倒したことなどもはや微塵も覚えていない。
彼にとって[A001]の価値は。
ただ[残骸]を運び、守れるかどうかなのだ。
そして[A001]が頼れるのは[組織]だけで、そして“バケモノ”をおだてて運用することができるのは自分だけ。
だから[M000]は[A001]を歓迎する。
笑いながら[A001]を歓迎する。
「さぁどうした[A001]! すぐに警備員《アンチスキル》がやってくるぞ! はやくこっちに[残骸]を持ってこい!」
しかし。
結標淡希は動かない。
動きたくない。
だってもう裏切られたのだ。
だから。
結標淡希は自分たち能力者を“仲間”と呼んだこの男に向かって震える声で問を発した。
今、目の前にあるのは念願の[残骸]なのだ。
「おお! それはまさしく[残骸《レムナント》]! いやぁご苦労だった[A001]! よくやってくれた!」
そう笑いながら[M000]がねぎらいの言葉を掛ける。
先程、罵倒したことなどもはや微塵も覚えていない。
彼にとって[A001]の価値は。
ただ[残骸]を運び、守れるかどうかなのだ。
そして[A001]が頼れるのは[組織]だけで、そして“バケモノ”をおだてて運用することができるのは自分だけ。
だから[M000]は[A001]を歓迎する。
笑いながら[A001]を歓迎する。
「さぁどうした[A001]! すぐに警備員《アンチスキル》がやってくるぞ! はやくこっちに[残骸]を持ってこい!」
しかし。
結標淡希は動かない。
動きたくない。
だってもう裏切られたのだ。
だから。
結標淡希は自分たち能力者を“仲間”と呼んだこの男に向かって震える声で問を発した。
.
「………ねぇ。 …その前に答えてよ。 …[A001]じゃなくて。 …コードネームじゃなくてさ」
[M000]の顔に張り付いた仮面のような笑いを見て、結標淡希は確認する。
それは何処の誰だろうと必要なもので、それこそ原点とも言えるそれを。
「……“私の名前”を… ……貴方は覚えてくれているの?」
名前。
それはとてもとても大切なモノだ。
それが無ければ呼べない。繋がれない。触れ合えない。
人が文字を造った理由。
それが名前だ。
名前があって、名前を呼んで、名前を覚えるからこそ人なのだ。
それがなければ獣と同じ。
“バケモノ”という名称も[A001]というコードネームも結標淡希の求めているものではない。
けれども。
そんな悲痛な結標淡希の問はいとも容易く残酷に無視された。
「…はぁ? 何を言ってる[A001]? いいからさっさと[残骸]をもってこっちにこい!」
[M000]は突然おかしなことを言い出した子飼いの“バケモノ”に苛立った声を叩きつける。
そしてようやく疑問が湧いてきた。
何故[A001]の両隣に立っているガキ共は逃げ出さない?
20人近い黒いスーツの大人の集団に立ち向かって、何故それで笑っていることができるのだ?
「………ねぇ。 …その前に答えてよ。 …[A001]じゃなくて。 …コードネームじゃなくてさ」
[M000]の顔に張り付いた仮面のような笑いを見て、結標淡希は確認する。
それは何処の誰だろうと必要なもので、それこそ原点とも言えるそれを。
「……“私の名前”を… ……貴方は覚えてくれているの?」
名前。
それはとてもとても大切なモノだ。
それが無ければ呼べない。繋がれない。触れ合えない。
人が文字を造った理由。
それが名前だ。
名前があって、名前を呼んで、名前を覚えるからこそ人なのだ。
それがなければ獣と同じ。
“バケモノ”という名称も[A001]というコードネームも結標淡希の求めているものではない。
けれども。
そんな悲痛な結標淡希の問はいとも容易く残酷に無視された。
「…はぁ? 何を言ってる[A001]? いいからさっさと[残骸]をもってこっちにこい!」
[M000]は突然おかしなことを言い出した子飼いの“バケモノ”に苛立った声を叩きつける。
そしてようやく疑問が湧いてきた。
何故[A001]の両隣に立っているガキ共は逃げ出さない?
20人近い黒いスーツの大人の集団に立ち向かって、何故それで笑っていることができるのだ?
[M000]は理解が出来ない。
[組織]にとって当面の敵は警備員《アンチスキル》だけであって、それ以外は勘定に入れていない。
能力者は確かに厄介だが、所詮ガキの集まりだ。
そしてそれに対抗するためにわざわざこちらも“バケモノ”を使っている。
警備員《アンチスキル》の突入が想像以上に早かったため、後手になりはしたものの未だ[M000]の優位は消えていない。
[残骸]は10メートル程向こうに転がっているのだ。
[組織]が一枚上手だったは一目瞭然で、あとはそれを持って逃げ出すだけ。
そこまで考えて…もしかして、と[M000]は推測する。
そうだ、考えて見ればおかしな話だ。
10人近くの“バケモノ”共が一斉に捕まったなどと[A001]は言っていたが常識的に考えて、そんなことはありえない。
だからきっとこれは狂言なのだ。
[A001]は土壇場になって[残骸]の価値に気付いたのだろう
わざとモタモタ振舞って、値を釣り上げようとする浅ましい魂胆をその胸に抱えているのだ、と。
そう考えてみれば両隣のガキ共の態度にも納得は行く。
きっとあのガキ共は“怖がらない自分”を演じているのだろう。
百戦錬磨の大人を相手にそのような取引を持ちかけようとは何と愚かか。
まったく大人を馬鹿にしやがって、と内心で罵りながらも[M000]は最高の笑顔でもって[A001]に話しかけた。
「い、いやなに… 勿論覚えているさ! だが今はそんなことはどうでもいいだろう? さぁ逃げるぞ[A001]!
約束しよう! 君の“チカラ”は私が取り除いてやろう! “仲間”だってすぐに解放してやるさ!」
これが舞台ならば万雷の拍手が鳴り響いてもおかしくない演技だったと[M000]は自画自賛するが。
そんな“大人”を嘲笑うかのようなくぐもった笑い声がその場に響いたのだ。
[組織]にとって当面の敵は警備員《アンチスキル》だけであって、それ以外は勘定に入れていない。
能力者は確かに厄介だが、所詮ガキの集まりだ。
そしてそれに対抗するためにわざわざこちらも“バケモノ”を使っている。
警備員《アンチスキル》の突入が想像以上に早かったため、後手になりはしたものの未だ[M000]の優位は消えていない。
[残骸]は10メートル程向こうに転がっているのだ。
[組織]が一枚上手だったは一目瞭然で、あとはそれを持って逃げ出すだけ。
そこまで考えて…もしかして、と[M000]は推測する。
そうだ、考えて見ればおかしな話だ。
10人近くの“バケモノ”共が一斉に捕まったなどと[A001]は言っていたが常識的に考えて、そんなことはありえない。
だからきっとこれは狂言なのだ。
[A001]は土壇場になって[残骸]の価値に気付いたのだろう
わざとモタモタ振舞って、値を釣り上げようとする浅ましい魂胆をその胸に抱えているのだ、と。
そう考えてみれば両隣のガキ共の態度にも納得は行く。
きっとあのガキ共は“怖がらない自分”を演じているのだろう。
百戦錬磨の大人を相手にそのような取引を持ちかけようとは何と愚かか。
まったく大人を馬鹿にしやがって、と内心で罵りながらも[M000]は最高の笑顔でもって[A001]に話しかけた。
「い、いやなに… 勿論覚えているさ! だが今はそんなことはどうでもいいだろう? さぁ逃げるぞ[A001]!
約束しよう! 君の“チカラ”は私が取り除いてやろう! “仲間”だってすぐに解放してやるさ!」
これが舞台ならば万雷の拍手が鳴り響いてもおかしくない演技だったと[M000]は自画自賛するが。
そんな“大人”を嘲笑うかのようなくぐもった笑い声がその場に響いたのだ。
このボス終わったなwww
試験管計画中枢の異常
学園都市最強の超能力者
およそレベル4以上の汎用性をもつ転移能力者
なんという無理ゲー。
試験管計画中枢の異常
学園都市最強の超能力者
およそレベル4以上の汎用性をもつ転移能力者
なんという無理ゲー。
なんで禁書世界のボスって基本的に体面だけでもお前の事道具扱いしてますみたいな表隠そうとしないんだろう
>>737
例外は外伝作のテレスティーナくらいか
例外は外伝作のテレスティーナくらいか
そうだっけ?
そもそもこの手の組織のボス的キャラ自体が少ない気もするがな
そもそもこの手の組織のボス的キャラ自体が少ない気もするがな
「クッ…クハッ… クハハハハハハッッッ!! おい見たか聞いたか一方通行《アクセラレータ》!」
呵々大笑と笑う都城王土が一方通行に同意を求め。
「カカッ…カッ…ギャハハハハハハハッッッ!! あったりめェだろォ! つかこれ以上笑わせンじゃねェよ!」
そして一方通行は都城王土の問に同意をしながら嘲り笑っていた。
その傍若無人な笑い声を聞いて、[M000]はブルブルと屈辱の怒りに身を震わせる。
例えるならそれは自信満々で提出したレポートが0点であると冷たく突き返されたようで。
[M000]は怒声をあげて“クソガキ共”を威嚇した。
「…だっ…黙れ! 黙れ黙れ黙れ!! 貴様等なぞには言ってない! 俺は[A001]に言っているんだ!!!」
それを聞いた金髪紅眼と白髪紅眼の男は、キョトンとした顔をして、お互いの顔を見合わせて。
さらに爆笑した。
その羞恥はこれまでの[M000]の人生の中でも最大で。
思わず、[残骸]を手にするよりも早くこのガキ共を皆殺しにしてやるか?と胸の内で罵りながら[M000]はその嘲弄に懸命に耐えていた。
そして、ようやく笑いが収まった都城王土がふと、足元に目をやった。
そこに蹲っているのは都城王土にとって案内人であり赤毛の少女であり哀れな少女である。
「ククッ… どら、おまえも見てみろよ。 何とも醜く笑える道化だぞ? あれがおまえの信じてた末路だ」
そう言って哂う都城王土に向かって蹲ったままポツリと結標淡希はこう呟いた。
「……違う。 ……私は。 “バケモノ”でも[A001]でも“おまえ”でもない」
それを聞いた都城王土は笑いに歪んでいた顔を引き締めて問いかけたのだ。
呵々大笑と笑う都城王土が一方通行に同意を求め。
「カカッ…カッ…ギャハハハハハハハッッッ!! あったりめェだろォ! つかこれ以上笑わせンじゃねェよ!」
そして一方通行は都城王土の問に同意をしながら嘲り笑っていた。
その傍若無人な笑い声を聞いて、[M000]はブルブルと屈辱の怒りに身を震わせる。
例えるならそれは自信満々で提出したレポートが0点であると冷たく突き返されたようで。
[M000]は怒声をあげて“クソガキ共”を威嚇した。
「…だっ…黙れ! 黙れ黙れ黙れ!! 貴様等なぞには言ってない! 俺は[A001]に言っているんだ!!!」
それを聞いた金髪紅眼と白髪紅眼の男は、キョトンとした顔をして、お互いの顔を見合わせて。
さらに爆笑した。
その羞恥はこれまでの[M000]の人生の中でも最大で。
思わず、[残骸]を手にするよりも早くこのガキ共を皆殺しにしてやるか?と胸の内で罵りながら[M000]はその嘲弄に懸命に耐えていた。
そして、ようやく笑いが収まった都城王土がふと、足元に目をやった。
そこに蹲っているのは都城王土にとって案内人であり赤毛の少女であり哀れな少女である。
「ククッ… どら、おまえも見てみろよ。 何とも醜く笑える道化だぞ? あれがおまえの信じてた末路だ」
そう言って哂う都城王土に向かって蹲ったままポツリと結標淡希はこう呟いた。
「……違う。 ……私は。 “バケモノ”でも[A001]でも“おまえ”でもない」
それを聞いた都城王土は笑いに歪んでいた顔を引き締めて問いかけたのだ。
この二人(爆笑コンビ)もう親友だな!
二人とも友達できなさそうな性格してるから…。
お父さん安心しちゃったよ。
二人とも友達できなさそうな性格してるから…。
お父さん安心しちゃったよ。
もう生徒会選挙戦の蝶ヶ崎との戦いは王土様が助けに来てくださればいいよ
.
「ふむ。 ならば俺に名乗ってみろよ娘。 おまえは俺が名乗り返すに値する程の者なのか?」
朗々とした声で結標淡希の有り様を問う都城王土。
問われて結標淡希はゆっくりと答える。
例え今まで信じていたものの99%が、仮初でまやかしで嘘っぱちだったとしても。
けれども残りの1%は違う。
結標淡希は“バケモノ”ではないということ。
そして“仲間”と共にただ己の道を守ろうとしたということ。
それは結標淡希の願いであり、それは誰にも否定はできないのだということを。
結標淡希は能力者であるまえに案内人であるまえに[組織]の一員であるまえに。
ちょっと変わった名前だけれども、けれどもそこらにいる只の“女の子”となんら変わりはないのだということを。
「……淡希。 …私の名前は結標淡希。 …それが私だけの名前よ」
否定されたらどうしようと思うと何故か唇が震えて、最後の言葉は尻すぼみになってしまったが。
けれど結標淡希の名乗りを聞いた都城王土は腕組みをして満足そうに頷いたのだ。
「ふむ。 覚えておいてやる結標淡希よ。 そして忘れるな。 俺の名は都城王土。 これこそが俺の名だ」
あぁ…それは本当に久しぶりだった。
結標淡希はようやく呼ばれた。
“仲間”以外の人間に己の名前を呼んでもらえたのだ。
「ふむ。 ならば俺に名乗ってみろよ娘。 おまえは俺が名乗り返すに値する程の者なのか?」
朗々とした声で結標淡希の有り様を問う都城王土。
問われて結標淡希はゆっくりと答える。
例え今まで信じていたものの99%が、仮初でまやかしで嘘っぱちだったとしても。
けれども残りの1%は違う。
結標淡希は“バケモノ”ではないということ。
そして“仲間”と共にただ己の道を守ろうとしたということ。
それは結標淡希の願いであり、それは誰にも否定はできないのだということを。
結標淡希は能力者であるまえに案内人であるまえに[組織]の一員であるまえに。
ちょっと変わった名前だけれども、けれどもそこらにいる只の“女の子”となんら変わりはないのだということを。
「……淡希。 …私の名前は結標淡希。 …それが私だけの名前よ」
否定されたらどうしようと思うと何故か唇が震えて、最後の言葉は尻すぼみになってしまったが。
けれど結標淡希の名乗りを聞いた都城王土は腕組みをして満足そうに頷いたのだ。
「ふむ。 覚えておいてやる結標淡希よ。 そして忘れるな。 俺の名は都城王土。 これこそが俺の名だ」
あぁ…それは本当に久しぶりだった。
結標淡希はようやく呼ばれた。
“仲間”以外の人間に己の名前を呼んでもらえたのだ。
それを見て、[M000]は今度こそ激昂した。
飼い慣らしていたはずの“バケモノ”の癖に。
あの金髪の男に向ける視線はなんなのだ!?
あれは自分だけのものの筈。
[M000]は許さない。
[A001]を“バケモノ”を扱えるのは自分だけなのだ。
だから[M000]は片手をあげて、背後に控えた男達に射撃の準備を伝える。
もしものことを考えて手荒な真似はしたくなかったが、それももうしょうがない。
どうせ[残骸]は[キャリーケース]の中だし、あれは近代科学を体現した強固な防壁でもあるのだ。
そして、無数の銃口を向けられて。
都城王土は哂った。
「おい、結標淡希。 俺が問うぞ? これがおまえの望む世界なのか?」
俺にはそうは見えんがな、と言って笑う都城王土に向かって首を振る。
「…違うわ。 …こんなんじゃない。 こんな馬鹿げた世界を私は、“私達”は守りたかったんじゃない」
震える足でゆっくりと立ち上がった結標淡希はそう言って否定をする。
今にも倒れそうだが、都城王土は支えたりなどしない。
「まぁそうだろうな。 なに、そう気にすることもない。 俺とて間違えることもあったのだ」
結標淡希には見当もつかないことを言って、都城王土は[組織]に向かって相対する。
飼い慣らしていたはずの“バケモノ”の癖に。
あの金髪の男に向ける視線はなんなのだ!?
あれは自分だけのものの筈。
[M000]は許さない。
[A001]を“バケモノ”を扱えるのは自分だけなのだ。
だから[M000]は片手をあげて、背後に控えた男達に射撃の準備を伝える。
もしものことを考えて手荒な真似はしたくなかったが、それももうしょうがない。
どうせ[残骸]は[キャリーケース]の中だし、あれは近代科学を体現した強固な防壁でもあるのだ。
そして、無数の銃口を向けられて。
都城王土は哂った。
「おい、結標淡希。 俺が問うぞ? これがおまえの望む世界なのか?」
俺にはそうは見えんがな、と言って笑う都城王土に向かって首を振る。
「…違うわ。 …こんなんじゃない。 こんな馬鹿げた世界を私は、“私達”は守りたかったんじゃない」
震える足でゆっくりと立ち上がった結標淡希はそう言って否定をする。
今にも倒れそうだが、都城王土は支えたりなどしない。
「まぁそうだろうな。 なに、そう気にすることもない。 俺とて間違えることもあったのだ」
結標淡希には見当もつかないことを言って、都城王土は[組織]に向かって相対する。
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