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元スレ花山「……ジャッジメントだ……」
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白井「ちょっと、そこのあなた」
花山「………………」
白井「わたくし、ジャッジメントですの。失礼ですが、身分証明証を拝見してもよろしいでしょうか」
花山「………………」
白井「ここは学園都市ですので、学生や教員など……教育機関に携わる者しかいないハズなのですが」
花山「………………」
白井「……白いスーツに、手に持った酒瓶……そして顔のおびただしい数の傷」
花山「………………」
白井「どう見てもそのような風体ではありませんわね。いったい何者ですの?」
花山「………………」 サッ
白井「……書類?」
白井「花山薫、高校一年生……転校生ですのね。本日付けで転入、と……」
花山「………………」
白井「あら、年齢は19? それで高校一年生ということは、何やら複雑な事情がお有りのようですわね……」
花山「………………」
白井「なるほど。ですが、学生であればそれ相応の格好をしていただきたいものですの」
花山「………………」
白井「……それにしても、寡黙な方ですわね。はい、書類をお返し致しますわ」
花山薫、19歳。
身長――191cm。
体重――166kg。
白のスーツに眼鏡を着用し、その顔に幾つもの疵を持つ、花山組の二代目組長。
鍛えること、武器を使うことを良しとせず、生まれ持った天性の力のみで生き様を形成し続ける『漢』である。
その漢は今、総人口230万人、その約八割の学生が超能力開発のカリキュラムを受けているという、
近代日本の中でも際立って異質な『学園都市』を訪れていた。
花山「……お嬢ちゃん」
白井「は、はい?」
花山「ジャッジメント……第177支部、ッてのはどこだ」
白井「え……?」
自分の力……特に素手喧嘩(ステゴロ)をファイトスタイルとする花山が、
超能力という異能の力を扱うこの地の土を踏んだのには、無論、それ相応の理由があった。
白井「ジャッジメントの支部に、何か御用ですの?」
花山「…………今日から、厄介になる……」
白井「厄介になる……って、あ、あなたが?」
花山「………………」
白井(捕まるとか、そういう意味ですの? それとも、ジャッジメントとして……いやいや、まさか)
インドネシアさんとか小萌てんてーが花山の肩に乗ってる絵面は素晴らしい
今から一週間前。
それは、藤木組五代目組長、秋田太郎の一言から始まった。
秋田「花山ァ……高校に行ってみねェか」
花山「………………?」
秋田は花山が尊敬する数少ない人間であり、また幼少期の花山を知る、親代わりの人間でもある。
その花山のことを花山以上に知っている者が、ヤクザの組長である自分に、高校に行けと言う。
花山は表情こそいつものポーカーフェイスだったが、内心その事実に驚愕させられていた。
秋田「いや、な……ヤクザっつってもよ、やっぱ時代の流れで変わっちまうモンなんだな」
花山「………………」
秋田「末端の連中がな、うるせェんだ。おめェを慕って入ってきた連中じゃなく、何コも下の連中なんだが」
花山「………………」
秋田「そいつら黙らせんのに、いちいちおめェが出てちゃキリがねぇッてこった」
>>1
またお前か!!
またお前か!!
そこまで言われて、花山は秋田の言いたいことが理解できた。
つまりは、組長はそんなにできたヤツなのか、とうるさく吠える偏屈な下っ端どもを黙らせるには、
一人一人を締め上げるよりは、とりあえず高校を出ておいた方が効率が良い、という話だった。
花山「…………アンタの言うことだ。構わねェ」
秋田「そうか、やってくれるか……俺らも悪ィとは思ってる」
花山も花山組のトップに立つ人間であり、立場を同じくする秋田の苦悩も理解できた。
近頃はエリートヤクザと呼ばれる高学歴のヤクザも増えてきて、単純に暴力だけですべてを従えられる時代ではなくなっていたからだ。
しかしなにより、恩人が自分の為に悩んでいるという事実が花山には耐え難く、それこそが決め手になっていた。
花山「…………それだけでもねェだろ」
秋田「……流石に花山だな。分かッてんだろうが、コイツにはちぃとばかし条件があってな」
言っとくが花山は外伝で銃をまともに喰らってもノーダメなんだぜ
ライフルにはさすがに耐えられなかったが
ライフルにはさすがに耐えられなかったが
>>18
スカーフェイスの花山さんは化け物すぎる
スカーフェイスの花山さんは化け物すぎる
それは容易に想像がついた。ヤクザの組長を学校に転入させるなど、普通の高校では許容できるハズもない。
それを秋田が無理に押し通す、ということならば、何かしら学校側からの条件がつくのは至極当然のことだった。
秋田「おめェには事後承諾で悪ィんだが、いくつかコネのあるトコを当たってみたら……一個だけ、良い返事を貰えた学校があった」
花山「………………」
秋田「そこは『超能力』なんて眉唾モンを開発してる、『学園都市』にある学校でな」
花山「『超能力』……?」
秋田「あぁ……あそこの理事長も、ちィとワケありでな。俺らとは仲良くしてるってわけだ」
格闘、銃弾、刀傷。おおよそ自分と同じ、いやそれ以上の修羅場を潜ってきたであろう秋田から発せられる、『超能力』という非現実的な言葉。
が、眉間に皺が寄った秋田の表情から、秋田自身もまた『超能力』に対してあまり理解を示していないということが見てとれた。
秋田「で、ヤロウの提示してきた条件ってヤツがな……おめェが風紀委員になる、ってコトなんだ」
花山には、その秋田の言葉が何の冗談かと思えた。
花山組二代目組長などという、取り締まられる立場、その最高峰にある人間が。
風紀委員という、取り締まる立場の人間になるなど、誰が予想できようか。
秋田「『学園都市』はえらくチンピラや不良が多いって話でな。おめェが風紀委員になりゃその抑止力になるって理屈なんだと」
花山「………………」
秋田「まァ、中学まで地元を仕切ってたおめェなら、不良の扱いも分かってんだろ? どうだ、できそうか?」
花山「…………アンタが、良いッてんなら」
秋田「ああ。まァ、無理に耐えろとは言わねェ。どうしても駄目そうなら別の方法を考えらァ」
そのような背景があって、花山はこの『学園都市』にやってきた。
だから、その矢先に風紀委員……ジャッジメントの白井黒子に花山が出会ったことは、ある意味幸運だと言えた。
花山「………………」
白井「………………」
白井(なぜこんなヤクザの回し者が、第177支部……わたくしの所属する支部に)
花山「おい」
白井「ひゃっ!?」 ビクッ
考え事の最中に頭の上からドスの効いた声を浴びせられた白井は、思わず二、三歩ほど退いていた。
この男、今まで自分が裁いてきたスキルアウト達とは全然違う。白井がそれを理解するのに、それほど時間はかからなかった。
花山「どこだって訊いてんだぜ、お嬢ちゃん……」
白井「は、はい! ご案内致しますの!」
花山「…………そこまでしろとは言ってねェ」
~ 第177支部 ~
固法「……花山薫?」
白井「ええ、ええ! なんなんですの、あの殿方は!」
固法「なにって……今日から入る、ウチの新入りだけど」
白井「し、新入り!? カチコミの間違いではございませんの!?」
固法「あー……白井さんの言いたいことも分かるけど。それで、その花山薫は今どこに?」
白井「外で待たせてありますの。固法先輩に確認をとらないと、どうしても中に入れる気がしなかったんですの……」
固法「……でしょうね。あの体格にあの強面ですもの。誰だってそうする、私だってそうするわ」
ぼびびびびびびwwwwwwwwwwwwぼびぃwwwwwwwwwwww
花山「…………遅ェ」
外で待ちぼうけを食らっていた花山が、そう呟いた直後。ドンッ、と彼の巨躯に、何者かが激突した。
もっとも花山自身は微動だにせず、激突した者だけが逆に吹っ飛ぶという有様だったが。
初春「い、いてて……」
花山「………………」
自分に体当たりを仕掛けてくる者など刃物を持ったチンピラくらいしか心当たりが無い花山だったが、
倒れたのが少女だと分かり、流石に鉄砲玉では無いだろうとその考えをあっさり放棄した。
初春「ご、ごめんな……ひぃっ!」 ビクッ
花山「………………」
花山の顔を見るなり目に涙を浮かべ始めた少女、初春飾利。彼女もまた、ジャッジメント第177支部のメンバーである。
初春「あ……あ……!」
殺される。仕事の中でそう思ったことは一度や二度では無かったが、今回ばかりは駄目かもしれない。
どうして今日に限って、掃除当番だったんだろう。どうして今日に限って、前を見ずに全力疾走してしまったんだろう。
どうして今日に限って、支部の前にこんな人がいるんだろう……
そんな今までの後悔とこれから訪れる悲劇の予感が、一斉に初春に押し寄せた。
花山「………………」
初春「ごっ、ごめん、なさい……ごめっ……」グスッ
花山「………………」
花山としては勝手にぶつかられて勝手に泣かれただけなので、面倒くさい以外の何物でもなかった。
その少女に『大丈夫』のような気の利いた一言も言えない自分自身に、少しばかりの罪悪感はあったが。
御坂「……ちょっとアンタ、何やってんのよ」
御坂「アンタよ、アンタ。白いスーツのごっついの」
花山「………………?」
背後からかけられた、別の女性の声。
花山が振り向くと、そこには彼を憤怒の表情で睨みつける、常盤台のお嬢様、御坂美琴の姿があった。
その瞳に、怯えの色は無い。花山は一目で、その少女の強固な意志を感じ取ることができた。
御坂「……初春さんを泣かせたの、アンタでしょ」
初春「み、御坂さん……これは」
花山「…………あぁ、俺だ」
御坂「…………!!」
花山は、言い訳という言葉とは無縁の漢だった。ぶつかったのは初春だが、その後の経緯から、泣かせたのは花山だとも言える。
自分に少しでも非があれば弁明を挟む必要はない。それが、花山薫という漢の美学であった。
御坂「アンタ、いい度胸してるじゃない。学園都市第三位、超電磁砲の可愛い友達に手を出すなんてね」
花山「………………」
御坂「真っ黒焦げにしてやるから、覚悟しなさい……!」
>>36
顔面爆破されても言ってたしな
顔面爆破されても言ってたしな
人間が帯電している。その一見ありえないような表現が、現状を表すのには一番相応しかった。
御坂美琴の体の周りには、夥しい数の、青白い電撃が飛び散っていた。
御坂「……ふぅん、これ見てもビビらないのね。タダモノじゃないのか、そうじゃないならタダのバカね」
花山「…………電撃……?」
御坂「そうよ。今からこれを使って、アンタを攻撃するわ」
花山(……『超能力』ッてか……?)
ヤクザの組長の自分が、高校に通う。風紀委員として、不良を取り締まる。
加えて、『超能力』などというワケの分からないモノを開発している『学園都市』で生活する。
正直なところ、ここ一週間のことは、まだ長い夢の途中なのではと疑いたくなることもあった。あまりにも現実味が無かったから。
しかし人間が平然とした表情で帯電しているという事実は、否応が無しに、それら全てが現実であると花山に認めさせた。
御坂「アンタが何者か知らないけど……初春さんを泣かせた分、私がアンタを泣かせてあげるわ!」
電撃音。続いて花山の視界を覆う、一瞬の光。
花山「…………!?」
次の瞬間には、花山の体は何本もの青白い柱に包み込まれていた。
柱はお互いを吸収し合い、ビリビリと耳につく音を鳴らしながら、電撃の嵐へと変貌していく。
その範囲は花山の周りだけに収まらず、飛び散った電撃は二人の決闘を見物していたギャラリーにも飛び火した。
御坂「やばっ、やりすぎた!?」
このレベルで人に電撃を浴びせるということは、そう頻繁にあるものではない。
自分の感情が高ぶっていたせいもあっただろうが、周りのことを考えていなかったと御坂は少し後悔していた。
御坂「あっちゃあ……また黒子に怒られるかな。まあ、終わったからいっか」
御坂の起こした電気嵐が徐々に沈静を始めた。
おそらく次に現れるのは、無残に倒れた大男の姿だろう。
誰もが、そう思っていた。
しかし―――
花山「………………」
そこにあったのは、確かに二本の脚で、電撃を受けた時と同じ体勢で立ち続けていた、花山の姿だった。
花山「……プハァーーーッ……」
御坂「…………え!?」
御坂美琴は『超能力者』である。すなわち、学園都市に7人しかいないレベル5の一人。
電気と磁場を自在に操り、彼女の代名詞でもある『超電磁砲(レールガン)』と呼ばれる必殺の技を持つ。
その彼女の電撃を、正面から食らって。
御坂「ぷはぁ……で、済む……? 普通……」
電撃とそれに準じて発生する高熱の渦に囲まれた花山だったが、その結果は……
彼が口から蒸気機関車のように煙を吹き出す、という行為。そして今や黒ずんでしまった、彼の純白"だった"スーツ。
それだけが、全てだった。
花山「……お嬢ちゃん」
御坂「…………!?」
花山「まだ、やるかい……?」
手加減はした。したが、それでもその辺のスキルアウト相手なら致命傷レベルの電撃だった。
なにせ、初春が傷つけられたという思いから逆上し、思ったより出力が強すぎたと後悔していたくらいなのだ。
御坂「………………」
花山「………………」
しかし、漢は立っていた。
唖然とする御坂。対して、それを憮然と見下ろす花山。
二人の間には現時点で10メートル程の距離があり、射程を考えても明らかに自分が有利なのに、御坂はこれでも有利とは思うことができなかった。
御坂(もしかして……アイツのように、異質の力を消せる能力者?)
御坂はそう考えずにはいられなかった。
今まで、自分の電撃をマトモに食らって『普段と同じように立っていた』人間など、そうそう存在しないのだから。
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