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    元スレ上条「まきますか?まきませんか?」

    SS覧 / PC版 /
    スレッド評価: スレッド評価について
    みんなの評価 : ★★★
    タグ : - 黒子 + - なんでも屋さん + - クロス + - サーシャ + - チキチキ + - ツンデレ + - ヒナギク + - ホーリエ + 追加: タグについて ※前スレ・次スレは、スレ番号だけ登録。駄スレにはタグつけず、スレ評価を。荒らしタグにはタグで対抗せず、タグ減点を。
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    504 = 500 :

    保守するよ

    505 :

    保守よぉん

    507 = 495 :

    保守してあげるわぁ

    508 :

    不幸だ・・・保守

    509 :

    禁書スレ一気に減ったね
    みんな受験生だったのかな

    514 :

    522 :

    524 = 522 :

    525 = 522 :

    526 = 522 :

    528 = 522 :

    529 = 522 :

    531 = 522 :

    532 :

    せい

    533 :

    しぶといな

    534 :

    やっと読んだ。
    保守。

    535 = 522 :

    536 = 522 :

    537 = 522 :

    538 = 522 :

    539 :

    「どうぞ」

    コトリ、と小さな音をたててテーブルの上に、小さめのカップが置かれた。

    「あ、ありがとうなのだわ」

    若干戸惑い気味に礼を言いながら、真紅は取っ手のない俗に『湯飲み』と称されるそのカップを小さな両手で包んだ。

    彼女がらしくなく居心地悪そうにしているのは、目の前にいる和装の少女の、文節ごとに切るような話し言葉のせいでも、湯のみの中に紅茶が満たされているというアンバランスさによるものでもない。

    部屋の出入り口であるドア。部屋の一角でもあるドア内側玄関部分で起こっている凄惨な状況が原因だった。

    540 = 539 :

    「あの・・・」

    と、遠慮がちに口を開く真紅。

    だが彼女が続きの言葉を言う前に、

    「姫神秋沙」

    と、真向かいに腰掛けた和装の少女が言った。

    「え?」

    「私の名前。姫神秋沙」

    「あ、私は真紅なのだわ」

    「そう。わかった」

    「・・・・・・」

    それで会話が終了してしまう。

    真紅が目覚めて2番目に話をした人間は、これまた彼女の姿かたちになんの疑問も持っていないようで、驚いた様子もあれこれと聞いてくることもない。

    真紅にしてみれば説明する手間が省けて助かるのだが、逆にこうもリアクションがないと、それはそれで落ち着かなかった。

    541 = 539 :

    だがこのまま黙っているわけにはいかない。

    「それでその、秋沙」

    意を決して、真正面に座りなおした姫神に話しかける真紅。

    「なに」

    「彼女、そろそろとめた方がいいと思うのだけれど・・・」

    玄関付近に視線を向けながら、真紅が言う。

    だが姫神は、ちらり、とそちらの方に目をやってから、

    「問題ない。むしろ。足りないと思う」

    それだけ言って、自分用に淹れた湯のみ(紅茶入り)を傾けた。

    542 = 539 :

    「・・・・・・」

    真紅の手の中の湯飲みは温かかったが、にべもない彼女の言葉と視線に寒気を覚えざる得ない。

    どこか引きつった表情を浮かべながら、真紅は視界の端ギリギリに見えるその『惨状』から、目をそむけた。

    もうかなりの時間、上条は責め苦を受けている。

    真紅の目の前にある紅茶は、香りでわかるほど丁寧に淹れられたもの。上条が噛み付かれると同時に、姫神が淹れ始めたところをとっても、20分以上は硬い。

    あの見事な放物線を目撃してから、上条のとった行動は迅速だった。

    即座に手すりから下を覗き込み、シスターが大の字で心持ち平べったくなっているのを確認。その後真紅を中に入れ、巫女装束の姫神に「説明は後でするからお茶を出してやってくれ」と告げた。

    その後、玄関ドアの目の前で正座をすると、それはそれは見事な土下座をしたのである。

    上条が頭を下げたと同時に、勢いよくドアを開けて入ってきたのは白色―――いや、土色のシスターは、一応シスターらしくすべてを許すような慈愛の笑みを浮かべていたが、真紅にはそれが悪魔の形相に見えたものだ。

    その後の光景は、正直思い出したくない。

    543 = 539 :

    「で、でも当麻はもう動いていないのだわ。これ以上はいくら彼でも危険だと思うのだけれど」

    「止めたいならば。あの間に割ってはいるといい。貴女がそうするのを。私は止めようとは思わない」

    察するに姫神も上条が心配していた相手の一人だと思うのだが、当の彼女はいまの彼の有様を心配している様子はなかった。

    いや、シスター―――髪の色や瞳の色から考えて彼女がインデックスだろう―――が落下して、上条が部屋の中に入った当初は―――おそらくこの未来を予測していたのだろうが―――多少は心配していそうな顔をしていたのだ。

    しかし真紅が上条の首に手を回していたことと、彼がその真紅を丁寧に地面に下ろすのを目撃してから、やけに視線と雰囲気が厳しい。

    もちろんそれは真紅に向いたものではないのだが。

    544 = 539 :

    「・・・・・・」

    そう姫神に言われ、真紅はもう一度、上条の方を見た。

    噛み付かれ始めてから5分ほどは大声で謝罪の言葉を口にしていたし、それが聞こえなくなってもまだビクビクと小さく痙攣していたように思う。

    しかしつい先ほどからもうそれもなくなり、完全にされるがままだ。通常であれば痛みのために握り締められるはずのコブシも、力なく半ば開いている。

    (・・・ごめんなさい当麻。私は誇り高き薔薇乙女。お父様に頂いたこの体に歯型をつけるわけにはいかないのだわ)

    自分の誇りと意思により護ると誓っていても、流石にあの光景に割ってはいる度胸はない。

    真紅は目を閉じると、震える両手で湯飲みを持ち上げ、ゆっくりと口を付けた。

    545 = 539 :

    雛苺という少女が泣き止むまで、都合30分が必要だった。

    「はい、よくできましたねー。いいこいいこ」

    いまだぐずっている雛苺の頭を撫でながら、小萌は内心で安堵の吐息を吐いた。

    名前を聞き出すところまでは順調だったが、その後が苦労した。

    どうしてここにいるのか、何をしているのか、親御さんはどこにいるのか。

    とりあえず必要な情報を聞き出そうとしたのだが、その度に少女はグスグスと泣き出してしまったのだ。

    それをイライラすることなく宥めすかすことができたのは、小萌が根っからの教育者であったからであろう。

    546 = 539 :

    「・・・ヒナ、いいこ?」

    「はいー。とってもいいこですよー」

    「・・・えへへ」

    にぱっ、と笑う少女。まだ瞳は涙に濡れているが、先ほどまでのように不安に彩られてはいない。頭を撫でる小萌の手に幾ばくかの安心感を得ているようだった。

    (うんうん、これなら大丈夫そうですね)

    それだけで苦労が報われたような気持ちになり、小萌も嬉しそうな笑みを浮かべた。

    その笑顔のまま、

    「それで、ヒナちゃん。小萌せんせーに教えてくれますか?」

    頭を撫でながら、雛苺と目の高さを合わせる。

    547 = 539 :

    「う?」

    「ヒナちゃんは、どうしてこんなところにいたんです?」

    どう見ても、雛苺は10歳にもなっていない。どんなに贔屓目に見ても5歳か6歳といったところだろう。そんな年代の少女が、そもそもこんなところにいること自体が不自然だった。

    それに小萌は、伊達にこの界隈で『趣味』をしていない。これだけ目立つ少女が入れば、見覚えくらいはあるはずである。

    だが雛苺は小首を傾げ、

    「ヒナ、言われたのよ」

    と、言った。

    「言われたの、ですか?」

    鸚鵡返しに問う小萌。

    「うい」

    雛苺はこくりと頷き、続ける。

    548 = 539 :

    「ヒナ、目が覚めたらここにいたの。それで、待ってるように言われて、待ってたら、小萌に会ったのよ。で、で、こもえに会ったから、ヒナはこもえと行かなくちゃいけないのよ」

    「う、うーん」

    たらりと汗をかく小萌。

    雛苺の言うことは、年齢を考えたら仕方ないのかもしれないが、要領を得ない。

    (目が覚めたらってことは、ここに来るまでは寝ていたってことですよね。でも、待っているように言われてったことは、わざわざここに置いていった事になってしまいます)

    そんなことをするメリットがどこにあるというのだろうか。というか、こんな小さな娘をこんなところに置いていくなんて、あり得ない神経である。

    (それに、行かなくちゃいけない、って言いましたか。それじゃどこかで待ち合わせを? でもこんな小さな子に一人で? ・・・なんだかよくわかりませんねー)

    549 = 539 :

    「・・・ヒナちゃんにここで待っているように言ったのは、ヒナちゃんのお母さんなんですかー?」

    「ノン」

    「え、じゃあお父さん?」

    「ノン」

    「え、ええーと・・・じゃあ、誰なんですかー?」

    「大きくて細くて硬い人みたいなのー」

    「・・・・・・」

    「お?」

    沈黙する小萌に、雛苺は再度首をかしげた。

    見上げてくる少女の視線は、まるっきり純粋なものだ。わざと小萌を困らせてやろうとか、そういう意図があるようにはまったく見えない。

    いやそもそも、この少女は先ほどまでここで泣いていたのだ。不安を覚えていたこの娘がわざわざ嘘を言う可能性など皆無であると言えた。

    550 = 539 :

    しかし、大きくて細くて硬い・・・?

    この地区のことであれば大抵のことがわかる小萌であるが、流石にこの条件が何を意味しているのかまではわからない。

    その条件だけならば、背の高い筋肉質の男性や女性がそうであるし、全自動の清掃マシンもスリム系の機体なら該当するだろう。もっと言えば電柱だった『大きくて細くて硬い』と言えないわけではないのだ。

    しゃべる電柱はないにしても、この街の清掃マシンは下手にしゃべる機種もあるので油断ならない。

    そもそも、父母の可能性を否定しているのがよくわからなかった。

    「・・・・・・」

    「?」

    改めて雛苺に目をやる小萌。

    少女は純粋そのものの瞳で見上げてきており、先ほどの怯えたようなものからは考えられないほど柔らかな表情を浮かべている。

    このまま然るべき機関に預けるのが、実際問題もっとも早い解決策だろう。

    小萌的な意味のみならず、やはり個人の力と組織の力の差は大きい。捜索願いでも出されていれば、すぐにでも保護者の元に戻れるはずだ。


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