元スレ長門「彼のためにクッキーを焼いてみた…」
SS覧 / PC版 /みんなの評価 : ★★
401 = 303 :
泣きじゃくる朝比奈さん
震えるハルヒと、それを支える古泉
俺はただ、立ち尽くしていた
「とにかく、連絡を…」
「待て、古泉」
「ですがっ…!!」
「…頼むから、時間を、時間をくれないか」
「本当は、気付いてたんだ」
「心の奥で、あいつがあいつでない事に」
「もしかしたら、あの長門なのかもしれないって」
403 = 303 :
「でも、言わなかった」
「俺は…気付いてたのに、言わなかった、言えなかった」
突然クッキーを作った長門
デパートに行きたいと言った長門
楽しそうな笑顔
笑顔
笑顔
「…このままでも、大丈夫なんじゃないかって、勝手に思ってた」
「蓋をして、認めないフリをしてた。」
「悪いのは……俺なんだよ」
「何、言ってんのよ…」
405 = 354 :
ほう
406 = 350 :
そらみろ
407 = 298 :
しえぇぇえん!!!!!!
408 = 303 :
「なに、何、言ってんの?
有希が、あの有希とかこの有希とか、気付いてたとか気付いてないとか、何なの…?
ねえ、何の話なの…?」
困惑した瞳が、立ち尽くす俺を刺す。
俺は今更ながら自分の無能さを思い知った。
「その、それはだな、ハルヒ…今のは、」
「答えてよ、キョン……答えなさいよ!!!!」
迂闊だった。
動転しすぎて、ついにやってしまった。
俺たちが今まで、必死になって隠していたその片鱗を、ハルヒは今まさに掴もうとしていた。
410 :
>>883でいいんでねーの
411 = 410 :
誤 爆
412 :
>>883に期待
413 :
2番煎じはつまらない
414 = 383 :
>>389がやったのを見て自分も笑いを取れると思ったんだろうな
416 :
>>413>>414
誤爆じゃねえ、たぶん>>410は俺と同じ妹スレ見てる
417 = 298 :
>>410
可哀相な奴だなw
418 = 303 :
ハルヒが俺の方へ歩き出そうとする。
しかし、その肩を支えていた古泉が、それを許さなかった。
「いっ…古泉君、離してよ!」
「…落ち着いて下さい、涼宮さん」
「良いから離して!!」
「落ち着いて下さい!!!!」
古泉が、普段は出さないような大声を張り上げた。
ハルヒの動きがびくりと止まる。
「…とにかく、落ち着いて下さい」
唖然とするハルヒを置き去りに、古泉は俺を見た。
419 = 303 :
「貴方は、自分が何をしたのか、もうお分かりでしょう」
十分すぎる程、それは分かっていた。
何もかもがぐちゃぐちゃだった。
滅裂だ。
「行って下さい」
「だが……」
「恐らくは、これが最後のチャンスです。それが尽きてしまえば、時間も、為す術も、我々には残っていません」
使う単語を最小限に、古泉が語る。
ハルヒの肩を掴むその指には、力が籠っていた。
「僕は彼らに連絡をしません。…最も、彼らならばすぐに気がつくでしょうが」
彼ら、が何を指すのかは分かっていた。
「ふふ、貴方はいつぞやの約束を、覚えているでしょうか」
421 = 303 :
「古泉、お前…」
「さ、早くして下さい。涼宮さんには、僕と朝比奈さんがついていますから」
俺はこいつを、初めてこんなにも頼もしいと思った。
「キョンくん」
涙目の朝比奈さんは、ハルヒに聞こえないよう、最大限に俺を勇気づける言葉を囁いた。
「…この事は、未来からは何も伝えられてなかったの。この意味、分かるでしょう?」
422 = 359 :
これを読み終わるまでは寝れん支援
425 = 303 :
◆
降りしきる雨の中、俺はひたすら走った。
長門はいない。
人もまばらだった。
何処にいるのだろうと考える余裕もなく、ただ闇雲に走り回る。
近所の公園
商店街
駅前
デパート
長門の家
思い当たる所には行ってみた。
だのに長門は何処にもいなかった。
もう、手遅れなのだろうか。
426 = 303 :
…いや、違う。
きっと何か、俺は何か忘れているのだ。
思い出せ、思い出せ。
デパート
公園
喫茶店
学校
校庭
閉鎖空間
部室の、
パソコン
YUKI.N> また図書館に…
428 :
「図書館…?」
何度となく車に轢かれそうになりながら、俺は図書館を目指した。
◆
図書館前の広場には、誰もいなかった。
やはり間違えたか、と、今度こそ泣きそうになる。
しかし、ふと見上げた図書館に、俺は違和感を感じた。
違和感を感じる余裕があったことに驚きながら、その正体を探るべく全体を見回す。
何だ、別に普段と変わらないか。
いや、少し暗いが、雨のせいだろうか。
「あ…」
そうか。
やはり長門はここにいる。
429 :
レポート書きながら支援
432 = 428 :
図書館に近付くに連れ、疑惑は確信へ変わる。
扉付近の傘用ビニール。
あたかもさっきまで使われていたかのように、ゴミ箱から溢れていた。
だが、人っ子一人いない上に、休館でもないのに図書館は明かり一つ点いていなかった。
「長門…」
正面の大扉を開ける。
鍵は掛かっていなかった。
薄暗い館内。
長門は、何処にいるのだろう。
433 = 427 :
ドキドキする支援
435 = 428 :
俺は、必死に思い出していた。
長門の好きなジャンル。
ハードカバー。
外国人作家。
借りた回数が多いのは、確か…
「SF、か」
SF・時代小説の棚は二階だ。
誰もいない館内を、暗闇に紛れて、走った。走った。
436 :
いいよー
438 = 428 :
真直ぐ行って、角を曲がって…
ここだ。
「長門!!!」
…いない。
自分の荒い息と耳鳴りで、周りの音が聞こえない。
クソッ、絶対に、ここにいるはずなのに。
俺は祈るような気持ちで深呼吸をし、静かに歩き出した。
440 = 428 :
「……、………」
何だ…?
今、何か…
「……、は、……否、」
ズラリと並んだ本の壁。
挟まれながら進むと、徐々にそれは大きくなっていった。
「…否する、……能、私は…」
「同期を拒否する、それは、不可能…嫌、私は」
壁が途切れる。
右は、いない。
左は、
445 = 428 :
……いた。
椅子に座ったまま、滝のように涙を流し、ひたすらに何事かを呟いているのは紛れもなく長門有希だった。
「……長門」
「拒否する、拒否する、同期は、不可能、データ長門有希00を削除、削除、削除、削除」
「……長門」
「どうして、何故、何故消去が不可能なの」
「……なが、と」
「消去、消去、強制コード使用…不可?何故、何故、どうして、どうして」
「長門…!!」
考える暇もなく、身体が動いた。
壊れたテープレコーダーのように、繰り返し繰り返し悲しい声で呟く長門を、抱き締める。
「長門…すまん、すまん!」
448 = 431 :
シリアスだ
支援
449 = 428 :
「俺が…初めに気付いた時に、お前に言ってやってたら…!!」
「こんな、こんなに深刻になる事はなかったんだ!」
畜生、畜生。
俺の馬鹿野郎。
長門はこんなに苦しんでるのに、俺は、俺は…!!!
悔しくて情けなくて、どんなに歯を食いしばっても、涙が溢れて止まらなかった。
「……エラー発生」
「データ長門有希01、凍結」
みんなの評価 : ★★
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