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元スレキョン「……また同じ日の繰り返しか…」
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「へ?」
「満ち足りてるよな。
家族がいて、クラスメイトがいて、SOS団があって……。
こんな高校生活、満ち足りていないわけがないんだ」
「ちょ、ちょっと」
「そりゃあ何も起こらない日常に退屈を感じたり、変化を望んだりはしてるかもしれない。
でも、お前にとってはこの『何か起こりそうで何も起こらない』一日の方が大切なんだ」
「いきなり何なのよ。意味分かんない」
「だから、お前は変化を望んでるようで、
心の底では停滞を望んでるってことを俺は言いたいんだよ」
「か、勝手に決めつけてるんじゃないわよ。キョンのくせに!
あたしは不思議なことがたくさん起こればいいと思ってるし、変化だって大歓迎よ」
ハルヒの怒声を聞きながら、俺は廊下の気配を探り、ポケットに忍ばせたカッターナイフを握りしめた。
古泉は「三時間待つ」と言ったが、あいつの精神状態がそれまでに転覆しないという保証はない。
痺れを切らしてハルヒの拷問を強行する可能性は決して低くない。
もしそんなことがあれば、俺は差し違えてでも古泉を止めるつもりだった。
「満ち足りてるよな。
家族がいて、クラスメイトがいて、SOS団があって……。
こんな高校生活、満ち足りていないわけがないんだ」
「ちょ、ちょっと」
「そりゃあ何も起こらない日常に退屈を感じたり、変化を望んだりはしてるかもしれない。
でも、お前にとってはこの『何か起こりそうで何も起こらない』一日の方が大切なんだ」
「いきなり何なのよ。意味分かんない」
「だから、お前は変化を望んでるようで、
心の底では停滞を望んでるってことを俺は言いたいんだよ」
「か、勝手に決めつけてるんじゃないわよ。キョンのくせに!
あたしは不思議なことがたくさん起こればいいと思ってるし、変化だって大歓迎よ」
ハルヒの怒声を聞きながら、俺は廊下の気配を探り、ポケットに忍ばせたカッターナイフを握りしめた。
古泉は「三時間待つ」と言ったが、あいつの精神状態がそれまでに転覆しないという保証はない。
痺れを切らしてハルヒの拷問を強行する可能性は決して低くない。
もしそんなことがあれば、俺は差し違えてでも古泉を止めるつもりだった。
そうさ。長門にこれまでのループで俺がハルヒを殺したことがあると告げられた時から、
俺は今回のループの連続の中でだけは、ハルヒを殺したり、殺させたりしないと決めてたんだ。
この感情が愛情なのかどうかは分からない。
けど、ハルヒを守りたいという気持ちに嘘偽りはない。
「何度でも言うぜ。お前は停滞を望んでる」
「だから、どうしてそんなに自身まんまんに決めつけるわけ!?」
「じゃあ逆に聞くが、お前は自分の将来をはっきりと見定めたことがあるのか?
北高を卒業して、大学に進学して、就職するか結婚するかして、お婆ちゃんになる未来を想像したことがあるのか?」
「それは……」
ハルヒは数秒口を噤み、
「別にそんなこと、今から考えなくたっていいじゃない。
未来のことなんて適当に考えて、今この時を楽しめばいいのよ。
偉い人だって皆口を揃えてそう言ってるわ」
「それは今この時が一度きりの場合にのみ意味が生まれる箴言だろ」
「はあ? あんたさっきから言ってることズレてるわよ」
俺は今回のループの連続の中でだけは、ハルヒを殺したり、殺させたりしないと決めてたんだ。
この感情が愛情なのかどうかは分からない。
けど、ハルヒを守りたいという気持ちに嘘偽りはない。
「何度でも言うぜ。お前は停滞を望んでる」
「だから、どうしてそんなに自身まんまんに決めつけるわけ!?」
「じゃあ逆に聞くが、お前は自分の将来をはっきりと見定めたことがあるのか?
北高を卒業して、大学に進学して、就職するか結婚するかして、お婆ちゃんになる未来を想像したことがあるのか?」
「それは……」
ハルヒは数秒口を噤み、
「別にそんなこと、今から考えなくたっていいじゃない。
未来のことなんて適当に考えて、今この時を楽しめばいいのよ。
偉い人だって皆口を揃えてそう言ってるわ」
「それは今この時が一度きりの場合にのみ意味が生まれる箴言だろ」
「はあ? あんたさっきから言ってることズレてるわよ」
ズレてるのはお前だ、と叫べたらどんなに気持ちが良いだろう。
俺はもどかしさを感じながら言った。
「とにかく、お前は未来について、明日について考えることを避けてるんだ。
いや、放棄してると言ってもいい」
「ワケ分かんない」
ハルヒは吐き捨てる。
「お前は未来に不安を持つ気持ちは分かる。
今が人生の最盛期で、これからは下り坂が続いているように思うのも、無理はないよ。
青春時代が人生の華とも言うしな」
「カウンセリングごっこなら谷口とやりなさいよね」
「けど、そんなの明日になってみなけりゃ分からないじゃないか。
今日という日よりも、もっと楽しい明日があるかもしれない。
どうしてその可能性に賭けてみないんだよ、ハルヒ」
「あほらし。帰る」
もどかしさが苛立ちに変わる。
俺は鞄を掴んでドアの前に立ちふさがる俺に近づいてきたハルヒの手を取った。
瞬間、頬を叩かれた。
俺はもどかしさを感じながら言った。
「とにかく、お前は未来について、明日について考えることを避けてるんだ。
いや、放棄してると言ってもいい」
「ワケ分かんない」
ハルヒは吐き捨てる。
「お前は未来に不安を持つ気持ちは分かる。
今が人生の最盛期で、これからは下り坂が続いているように思うのも、無理はないよ。
青春時代が人生の華とも言うしな」
「カウンセリングごっこなら谷口とやりなさいよね」
「けど、そんなの明日になってみなけりゃ分からないじゃないか。
今日という日よりも、もっと楽しい明日があるかもしれない。
どうしてその可能性に賭けてみないんだよ、ハルヒ」
「あほらし。帰る」
もどかしさが苛立ちに変わる。
俺は鞄を掴んでドアの前に立ちふさがる俺に近づいてきたハルヒの手を取った。
瞬間、頬を叩かれた。
痛みによる熱が、頬から全身に伝わっていく。
「いい加減にしてよ!
キョンはあたしのことを一番よく分かってくれてるって思ってたのに……。
どうして今日に限ってそんなこと言うの?
未来とか明日とかどうでもいいじゃない!
いつものキョンに戻りなさいよ。ねえ、今すぐ戻って!」
だだっ子のように喚くハルヒが煩わしい。
苛立ちが怒りに昇華する。
どうして自分の愚かしさが解らない。
お前の我儘で俺や古泉や長門や朝比奈さんが、どれだけの迷惑と精神的苦痛を被ったと思っている。
今が楽しければいいだと? ふざけるな。
そんなものはただの甘えだ。
現実を直視せずに夢ばかり視ているのと一体どこが違う。
沸騰した血液が頭に上っていく。
「いい加減にしてよ!
キョンはあたしのことを一番よく分かってくれてるって思ってたのに……。
どうして今日に限ってそんなこと言うの?
未来とか明日とかどうでもいいじゃない!
いつものキョンに戻りなさいよ。ねえ、今すぐ戻って!」
だだっ子のように喚くハルヒが煩わしい。
苛立ちが怒りに昇華する。
どうして自分の愚かしさが解らない。
お前の我儘で俺や古泉や長門や朝比奈さんが、どれだけの迷惑と精神的苦痛を被ったと思っている。
今が楽しければいいだと? ふざけるな。
そんなものはただの甘えだ。
現実を直視せずに夢ばかり視ているのと一体どこが違う。
沸騰した血液が頭に上っていく。
「そ、それ……なんのつもりなの……」
ふと我に返ると、ハルヒは滅茶苦茶に怯えていた。
俺は両手を見た。
左手はハルヒの右手首を掴み、右手は刃を限界まで露出させたカッターナイフを掲げている。
俺は何をしているんだ?
馬鹿なことはやめろ。
ハルヒが殺されるのを誰よりも止めたかった俺がハルヒを殺してどうする。
ゆっくりとカッターナイフの刃先をハルヒの喉元に近づけていく。
自制がきかない。
「冗談でしょ? キョン……、なんとか言いなさいよ……」
ハルヒの震えた声を聞きながら、俺はぼんやりと長門が言いかけて飲み込んだ言葉を思い出していた。
『回数の傾向から判断するにあなたが一番積極的に涼宮ハルヒを殺している』
知らず、俺は狂っていたのか。
なんてザマだ。俺は古泉なんかよりもずっとハルヒにとって危険だったんだ。
ふと我に返ると、ハルヒは滅茶苦茶に怯えていた。
俺は両手を見た。
左手はハルヒの右手首を掴み、右手は刃を限界まで露出させたカッターナイフを掲げている。
俺は何をしているんだ?
馬鹿なことはやめろ。
ハルヒが殺されるのを誰よりも止めたかった俺がハルヒを殺してどうする。
ゆっくりとカッターナイフの刃先をハルヒの喉元に近づけていく。
自制がきかない。
「冗談でしょ? キョン……、なんとか言いなさいよ……」
ハルヒの震えた声を聞きながら、俺はぼんやりと長門が言いかけて飲み込んだ言葉を思い出していた。
『回数の傾向から判断するにあなたが一番積極的に涼宮ハルヒを殺している』
知らず、俺は狂っていたのか。
なんてザマだ。俺は古泉なんかよりもずっとハルヒにとって危険だったんだ。
これまでにハルヒを殺した時の記憶がフラッシュバックする。
金属バットで顔が判別できなくなるくらい殴打した。
ナイフで滅多刺ししたこともあった。
劇薬を混ぜたお茶を無理矢理嚥下させたこともあった。
古泉に車を運転してもらって轢き殺したこともあった。
水を張った洗面台に顔を突っ込み窒息死させたこともあった。
どの記憶にも共通するのは、ハルヒの悲痛な叫びと、苦悶の表情、そして殺害後の虚脱感と絶望感だ。
殺すことに高尚な理由なんてなかった。
感情に任せて殺した。殺したいから殺した。
どこまでも自分勝手な考えを振りかざしてループを終わらせようとしないハルヒが、憎くて憎くて仕方なかった。
金属バットで顔が判別できなくなるくらい殴打した。
ナイフで滅多刺ししたこともあった。
劇薬を混ぜたお茶を無理矢理嚥下させたこともあった。
古泉に車を運転してもらって轢き殺したこともあった。
水を張った洗面台に顔を突っ込み窒息死させたこともあった。
どの記憶にも共通するのは、ハルヒの悲痛な叫びと、苦悶の表情、そして殺害後の虚脱感と絶望感だ。
殺すことに高尚な理由なんてなかった。
感情に任せて殺した。殺したいから殺した。
どこまでも自分勝手な考えを振りかざしてループを終わらせようとしないハルヒが、憎くて憎くて仕方なかった。
そして今、俺はまたしてもそれらと同じ結末を迎えようとしている。
違うのは場所と凶器だけで"激情に身を預けてハルヒを殺す"という結果は変わっていない。
刃先がいよいよハルヒの白い首の皮に触れる。
表層の毛細血管が破れて細い血の筋が出来る。
浅い傷口がさらに開くことを無視してハルヒは言った。
「やめて……お願い……あやまるから……。
キョンに酷いこと言ってごめんなさい。お願いだから、もうこんなこと、やめてよ……」
嘘だ。どうせ口先だけだ。
俺がカッターナイフを退けると同時に逃げ出して警察に駆け込むに決まっている。
ループはそのまま継続して、俺は拘置所で初期化を迎えることになる。
違うのは場所と凶器だけで"激情に身を預けてハルヒを殺す"という結果は変わっていない。
刃先がいよいよハルヒの白い首の皮に触れる。
表層の毛細血管が破れて細い血の筋が出来る。
浅い傷口がさらに開くことを無視してハルヒは言った。
「やめて……お願い……あやまるから……。
キョンに酷いこと言ってごめんなさい。お願いだから、もうこんなこと、やめてよ……」
嘘だ。どうせ口先だけだ。
俺がカッターナイフを退けると同時に逃げ出して警察に駆け込むに決まっている。
ループはそのまま継続して、俺は拘置所で初期化を迎えることになる。
「さよならだ、ハルヒ」
カッターナイフを握る手に力をこめる。
ハルヒの大きな瞳が一瞬見開かれ、閉じられる。
そうして俺は渾身の力を持って、刃先を"自分の首に突き立てた"。
「がっ、はぁっ、ああ、はああ」
痛いな。物凄く痛い。はっきり言って想像していた以上の痛みだ。
見ろよこの血溜まり。俺の体の中にはこんなにたくさんの血が詰まっていたのか。
その場に頽れる。
「キョン!?」
ハルヒが血に濡れることも厭わずに俺を抱き起こしてくれる。
ハンカチを首に当てて止血を試みるが、失血は止まらない。
「どうして……どうしてこんなことしたのよ……?」
瞳から止めどなく涙が零れる。
そういやこいつの泣き顔をこんなに近くで見たのは初めてだな。
恐らく、これまでのループを含めても。
カッターナイフを握る手に力をこめる。
ハルヒの大きな瞳が一瞬見開かれ、閉じられる。
そうして俺は渾身の力を持って、刃先を"自分の首に突き立てた"。
「がっ、はぁっ、ああ、はああ」
痛いな。物凄く痛い。はっきり言って想像していた以上の痛みだ。
見ろよこの血溜まり。俺の体の中にはこんなにたくさんの血が詰まっていたのか。
その場に頽れる。
「キョン!?」
ハルヒが血に濡れることも厭わずに俺を抱き起こしてくれる。
ハンカチを首に当てて止血を試みるが、失血は止まらない。
「どうして……どうしてこんなことしたのよ……?」
瞳から止めどなく涙が零れる。
そういやこいつの泣き顔をこんなに近くで見たのは初めてだな。
恐らく、これまでのループを含めても。
>>645
幽体離脱スレにようこそ
幽体離脱スレにようこそ
>>645
ようこそ
ようこそ
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