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    元スレ新ジャンル「被害クール」 Ⅱ

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    101 = 92 :

    被害って言ってもイジメの被害だけとは限らないよな・・・ゴクリ

    103 = 92 :

    C もしくはCを利用してAに絵をぐちゃぐちゃにされるフラグか

    104 = 72 :

    【次の日の放課後】

    被ク(文化祭までもう残り二日だ)
      (>>男の絵も今日で全て描き上がるし……後は飾るだけだな、ふふっ……)
      (それぞれのクラスの下準備が忙しかったからな。この数日間だけはあの三人組もあまり目立った事はしなかったし)
      (ほんの少しだけど、良い方向に向かっていってる気がする。>>男やヒート先輩のお陰だな……)

    ガラッ

     
     扉を開けると、すぐに彼の姿が視界に映った。
     彼の名前を呼ぼうとしたとき、それがすっと喉の奥に引き戻されていくのが分かった。
     茜色に染まる美術室の中で私が見たのは、見慣れた───しかし初めて目にするそのすくんだ肩と、無残に引き裂かれた彼の作品たちだった。

    105 = 72 :

     「…………あ、ああ、>>女さん」
    被ク「>>男?……」
     「絵は、反則だよなあ……」
      「これは駄目だ、ほんとに……はは、何て言うか……これだけは……」
    被ク「……あいつらか」
     「絵は……たった一度のアイデアのために途方もない時間を浪費し続けることもあって、途中で何度も何度も描けなくなって、それ

    でも完成を信じて、諦めたくなかった……」
      「授業中……構想に悩んで、いつの間にか眠ってしまうことが殆どだ。でも、それだけに……完成させたかった……」
    被ク「……」
      「今からじゃ駄目か? 今から描き直して、何とか一つだけでも飾ろう。ここに」

    (男、首を横に振る)

     「間に合わない。だから駄目なんだ……学校に入学してから数ヶ月以上かけて描いた。ここに置いてあったのはそういう絵ばかりな

    んだ」
      「一個につき最低一ヶ月……文化祭は明後日だ。諦めるしかない」
    被ク「ッ…………すまない」
      「全部、私のせいだ。君が私と関わったばかりに……迂闊だった……本当にすまない」
     「本当はな、>>女さん。……俺、こうなるのが怖かったんだよ」
    被ク「え?」
     「作品は人質だったんだ、俺にとって……>>女さんが大切にしていた万年筆や制服ですら平気で使い物に出来なくする連中だぜ?


      「俺が絵を描いてるってこと知ったら、いずれはな。……だったら、せめて文化祭が終わるまではなるべく彼女達を逆上させないよ

    うに、メチャクチャなことしないようにって……」
    被ク「……!」



    『ん、そう。しかしよく俺の名前なんか知ってたな? 俺なんかあんま目立つ方でもないのに』



    被ク「もしかして>>男、……君は……」
      「この文化祭で……」
     「目立つ方じゃないって言ったよな俺、記憶力のいい>>女さんのことだ。覚えてんだろ」
      「今まで一人だけでこつこつ積み上げてきた苦労が、全校生徒に評価されると信じてたんだ」
      「そうなれば……あの三人だって、被害を黙認していた生徒だって、俺と君への価値観を変えてくれたかも知れない」
      「でも……もうおしまいだ。計画は失敗したんだ、今のこの『被害』が……決定打だ」
    被ク「そ、そんなことはない」
      「今からでも描ける。描こう、>>男!」
     「無理だよ」
      「こんなことならアンタに花でも集めてきて貰うべきだった。でも、ここにはもう何も描くものがない」

    106 = 72 :

    被ク「わっ……」
      「……わたし、を……」
     「え?」
    被ク「わ、私では駄目かっ!?」
      「君が、ずっと毎日、必ず一回は描いてたのが私じゃないか! クロッキーにせよ、デッサンにせよ、君は私を選んで描いてくれてたんだろう!?」
      「大人しそうな、フェテチジュ(かんだ) ッ!……ふぇ、フェティシズムに誘われるような女だと言ったじゃないか!!……くっ」
     「……」
    被ク「ぅぅっ……ぁっ……あれは嘘だったのかっ!?……」
      「ぅくっ……私に関わってしまったことでっ、君に迷惑が掛かったのは本当に悪いと思っているっ、でもっ……」
      「そんな風に諦めるのは……っ」
     「>>女さん……泣いて、んの?……」
    被ク「当たり前だろっ!!」
      「君は知らないだろうけどな、これでも私は結構泣き脆い女なんだ……いじめられた日は家に帰った後、部屋に篭って必ず三時間は泣く、嗚咽が止まるまで夕飯は口に出来ないし───」
      「体操服が切られた日はそれを見て泣いた、万年筆が壊された日はっ、接着剤で必死に繋ぎとめようとしたけど、涙で視界がぼやけてそれどころじゃなかったっ!手にアロンアルファがついて大変なことになったっ!無理に剥がそうと皮がめくれて、それが虚しくて余計に泣けてくるんだ……」
      「Cに散発だと言って髪を短くされた日はっ……お母さんに聞こえないように、布団に潜りこみながら大声で泣き叫んだよ」
      「でもこれがっ……! 誰かのために泣くのはこれが初めてだっ……!」
     「…………」
    被ク「嬉しかったんだよっ、そんな私に、誰も相手にしてくれなかった私をっ……ぇっく……」
      「本当にごめんなさいっでもっ……」
      「お願いです、描いてっ……下さい……っ!」
     「……」
      「うん……描くよ。いや、描かせて貰う。今わかった、>>女さんだから良いんだ、多分な」
    被ク「本当かっ!? ぅわ、私で構わないんだなっ!」
     「ああ、悪いが今の>>女さん……すっごく綺麗だ」
    被ク「っ!……ぅぁぁぁぁっ……ばかっ……」
     「嬉しかったんだ、俺も……」
      「いつも寝てばっかで、影は薄いし。クラスじゃ俺の名前なんて知らない奴も居た。でも、アンタはそんな俺の名前も顔も知っててくれただろ」
      「だから多分、それで自信がついたんだ。授業中は先生に叱られるようになったけど、早弁なんてアンタの横じゃなきゃ出来なかったよ」
    被ク「そ、それは君が悪いっ……」
     「ははっ、まぁな……でも自信がついたのは>>女さんのお陰だ」
      「さぁ準備を始めようぜ、被害クールさん。どうやら俺はもう、……絵の構成やアイデアで悩む必要は無さそうだ」
    被ク「う、うん……そ、そうだなっいつまでも泣いているわけにはいかないしな」
      「すまない。私としたことが失態だった、今の涙は……忘れてくれ。そして存分に最高の絵に仕上げてくれ!!」
     「そんな泣きっ面で言われてもな」
      「だが、勿論だ。二度と壊せないような絵を描いてやるさ」


     (最高のモノを仕上げよう……)
      (それが完成して……そして文化祭が終わったら、俺は……俺は今気付いた自分の気持ちをちゃんと言うよ、クールさん……)

    108 = 72 :

     「じゃあ、>>女さん……また明日」
    被ク「ああ……また明日な」
      「…………」


    被ク「ただいま」
    母 「おかえり、遅かったわね こんな時間まで何やってたの? 学校の行事か何か?」
    被ク「ああ……文化祭の準備が忙しくてね。前にそう言わなかったかい?」
    母 「えっ……あ、それもそうね」
      「ごめんなさい被ク、最近ちょっと仕事が忙しくて。ボーッとしてることが多いの……」
    被ク「お母さんもあまり無理はしないで欲しい……晩御飯は後で自分で作るから……」
      「……それじゃ、私は先に部屋に戻ってるよ」
    母 「……」
      「あんた、さ。やっぱり……学校で……」
    被ク「何も心配はいらないよ」
    母 「えっ……」
    被ク「ほら、>>男のことは毎日話してたろ。彼の友人や先輩とも仲良くやっているしね」
    母 「そう……」
    被ク「じゃあ……母さん……」
    母 「ええ……」


    バタン


    被ク「ぅっ……っく…………ぁっ、ぁぁ……」
      「何故……私じゃなかったんだ……何でだ……なんでっ……」
      「ごめん、>>男……本当にっ……本当に……」

    110 :

    >>45-59は無かった事にしたほうがよさそうだな

    111 = 110 :

    他の人に任せるとか言っておいてなんですが、やっぱり書きたくなっちゃいますよね。
    ABC&キンニ君と不良AB側の展開ちょっと思いついたので書いちゃいます。二度レスゆるしてください

    時間少し戻って

    美術室の扉の近く
    C「……AB、アンタたちやりすぎだよ」
    (Cそう言うと同時に走り出す)
    不良B(以後不B)「待てよC」
    C「!……不B」
    不B「まさかお前ひとりであいつらどうにか出来ると思ってるのか?」
    C「……話し合えば…」
    不B「ただ話して分かるような奴らじゃないのは知ってるだろ」
    C「……!」
    不B「分かったらお前は大人しくしてろ、良いな?」
    C「分かったよ…でも、でもこれはひどすぎだよ……」
    (泣きだすC)
    C「男君頑張ってたんだよ?一生懸命頑張ってたんだよ?なのに……なのに」
    不B「……あいつらに目を付けられたのが悪い」
    (不B去る)
    C「うう……」


    不B「やりすぎだよなぁ……あれは」
      (おいおい、俺よ、まさか自分があいつらどうにかしようとか考えてんじゃねぇだろうな)
      (あいつらにはキンニ君と不良A(以後不A)がいんだぞ、勝てないのは俺が一番分かってんだろうよ)
      (……でもなぁ、Cの、好きな女の涙見ちまったら、無理承知でもなんとかしたくなっちまうもんさ)
      「勝てねぇとか関係ねぇ、意地があんだよ男の子にはなぁ!」

    112 = 110 :

    教室にて
    不B「おいAB」
    A「ん?不Bか、なんだよ」
    B「どうしたのさ」
    不B「ちょっと話がある、来てくれ」

    教室から少し離れた所
    A「で、一体なんの話だよ」
    不B「さっき美術室覗いたんだが、あれはちょっとやりすぎじゃねぇのか?」
    B「ハァ?何言ってんのいいじゃんあれぐらい」
    不B「あの絵は男が一ヶ月間一生懸命悩んで悩みまくった描いたもんだぞ、それをメチャクチャにするのはいくらなんでもひどすぎるんじゃねぇのか」
    A「……不B、アンタ一体どうしたのさ?」
    不B「お前ら何時までこんな事してるつもりだよ、影でこそこそいやがらせしたりよ、わざわざお手製の泥団子とか作ったり、いい加減やめねぇか?」
    B「アンタ裏切るってんの?」
    不B「平たく言えばそうだ」
    A「アンタ私達裏切ったらどうなるか分かってんでしょうね」
    不B「承知の上さ、もう一度言うぜ、もうやめねぇか?」
    A「やめるわけないじゃん、頭壊れてんじゃないの?」
    B「病院に行って見てもらったら?」
    不B「そうか…だったら力づくでも止めさせる!」
    ドッ!
    (不Bの右拳がAとBの顔の間と通り過ぎて後ろの壁に命中)
    A「うわっ!」
    B「キャっ!」
    シュシュシュッ!
    (不Bの左拳のジャブがAに命中)
    A「ガッ!」
    B「何すんのよアンタ!」
    不B「やめねぇってんならしょうがねぇ、殴って体で分からせる!」
    A「ふざけんな!こんな事して、どうなるか分かってんでしょうね!」
    不B「承知の上だ!」
    ボッ
    (不Bの右拳がAに接近)
    パシッ!
    (不Bの右拳が何者かによって受け止められる)
    不A「おい何やってんだ不B」

    113 :

    >>108の次の日


     「お、>>女さん。どうしたんだ、その隈……」
    被ク「あ、ああ、これかい。実は昨日、あまり寝れてなくてね……」
    A 「おっはーww」
    B 「あ、Aww おはよーwwww」
    A 「んっ……ちょっと>>女ーww 何その顔ww 肌もめっちゃ荒てるしwwwwww超ウケるんですけどwwwwww」
      「あー、もしかして美術室で一晩中ヤッてたとか?wwwwwwww」
    C 「……」
    A 「Cもそう思うよなぁ?wwwwwwww」
    C 「えっ……う、うん」
    被ク「…………どういうことだ、A」
    A 「あ?ww」
    被ク「……絵を壊したの……お前だろう……」
    A 「はぁ!?」
    B 「えっ、ちょっと何? 何言ってんのこいつ、Aがどうしたって?」
     「ちょ、ちょっと>>女さん」
    被ク「君は少し黙っていてくれないか」
      「明確な証拠があるわけじゃないが……私には判る。お前の考えそうなことだ」
    A (ビクッ)
      「な、何さ……あんた……珍しくキレてんじゃん」
    被ク「昨晩は徹夜で……ッ……あまり寝れてなくてね。少し調子が悪いんだが……ッ」(くらっ)
      (あ、あれ……)
      「お前ら……私を、怒らせ……」
      (視界が……歪……んで……)
     「>>女さん!」
    被ク「…………」


    ドサッ

    114 = 72 :

    被ク「んっ……あれ?」
     「お、>>女さん……」
    被ク「>>男……どこだここは。……って、ああなんだ、保健室か」
      「…………」
      「どうして私がこんなところで寝てるんだろう。すまないが、今何時間目か教えてくれないか?」
     「もう放課後だよ」
      「アンタ、教室で倒れたんだ。今朝のことなんだけど覚えてないのか?」
    被ク「いや……」
     「先生は疲労だって言ってたけどな」
    被ク「ふむ……」
      「いや待て……っということは文化祭は明日じゃないか。早く、続き描かなくちゃ駄目だろう」
     「大丈夫なのか? まだ体調治ってないんだろう」
    被ク「ははっ、当然だこれくらい……」
     「正直に言ってくれよ。本当に大丈夫なんだな?」
    被ク「……すまない。まだ少しボーッとする」
     「……」
    被ク「しかし、今日中に完成させなければもう間に合わないぞ」
     「>>女さんをその身体でじっと椅子に座らせるわけにはいかんよ」
      「いや、姿勢は自分で調整出来るか……毎日それをデッサンしてたわけだし、何とかなるかな……」
    被ク「なるほど。つまり私がこうやって安静にしていられる場所なら問題ない、ということだな」
     「大雑把に言えばな」
    被ク「そうか……」
      「なぁ>>男」
     「ん?」
    被ク「私の家、来るか?」

    115 = 72 :

     その後、自転車の荷台に絵の具や木製イーゼルを積んで、二人の少年少女が帰路を走ったッッ!!
     男は女を心配しながら、女は男の足を引っ張らないように、二人並んで帰ったッ!!
     そしてッ!!


    被ク「ただいま」
    母 「おかえりー、今日も遅かったわね。ご飯もう出来てるわよ」
     「お邪魔します」
    母 「はいどうぞー」
    被ク「すまないがお母さん、今から彼と私の部屋で忙しいことになる。晩御飯は後で頂くよ」
      「それじゃ」バタンッ
    母 「はいどうぞー」
      「…………」
      「……………………」




    母 「え?」


     何を勘違いしたか、母は呆然とその場に立ち尽くした。

    116 :

    >>115
    そりゃ勘違いするわww

    117 = 72 :


     被害クールの部屋は思っていたよりも広く、机を移動させることで、木製イーゼルと画材を置くスペースは十分に確保することが出来た。
     衣装を変えてしまわないようにと気を使ってくれたのか、布団を敷くと、彼女は制服のままでそこに座り込んだ。
     机の上には、少しふやけて膨らんだ本や、接着剤の白い跡が残る万年筆が置いてあった。
     恐らく、彼女は被害にあった日は毎晩、この机の上でひっきりなしに修理していたんだろう。彼女が腰を落ち着かせているあの布団ですら、夜になると涙で濡れてしまうのだ。


     「あまり無理はしないで、楽な姿勢のままで。一時間に十五分は休憩を取ろう。その間はなるべく横になっててくれ」
    被ク「ああ」


     それからしばらくは無言の状態が続いていた。
     こういうとき、それが逆に有り難かったりする。普段一人で作業することに慣れてしまっている俺には、この沈黙が逆に心地よかった。
     音漏れやざわめき、第三者の声のない空間は、美術室に俺だけしか居なかった頃の、あの静寂に似ていた。
    『ここが彼女の部屋であって、彼女が目の前に居る』
     普通、好きな女生徒の部屋に誘われれば心が躍る。だが、その歓喜が俺の中では創作への情熱に昇華され、自分でも驚くほどに作業が進んでいった。
     どの色を塗り、どのタッチで描き、どの調子を置けば良いのか。どうすれば上手くいくのかが、それが自然と理解できる。
     完璧にモチーフとして彼女を捉えていた。


    被ク「>>男……」
     「ん? 何だ」
    被ク「先日のアレは、やっぱりあいつらだったか?」


     三回目の休憩のとき、彼女が訊いてきた。


     「……違ったらしい」
    被ク「えっ!?」
     「あの時間、AとBも他の生徒と同じく遅くまで作業していたらしい」
    被ク「それは考えられない。証言したのは誰だ? 彼女らに脅されている生徒ではなかったのか」
     「残念だが先生もそれを認めてるんだ。違う学年の生徒や生徒会の人たちも何人か彼女たち二人を見てる」
    被ク「二人……Cは?」
     「……わからない」
      「誰かあの時間帯、Cを見た人を探すしかないよ」
    被ク「そうだな……」
     「それに、だ。今は壊された作品のことを考えてもしょうがない」
      「こいつを完成させるだけだ。……一夜漬けだけどな」
    被ク「ああ……その、少し急いたほうが良いかも知れない。明日は雨らしいから……」
     「マジかよ」
    被ク「いくら梱包しても、雨水の直撃はなるだけ避けたほうがいい。降る前には持っていったほうがいいかも知れない」
      「文化祭初日だというのに、残念だな……」


     そして、午前五時半。
     絵が完成した頃には、窓の外には薄明るい陽の光が射し始めていた。
     それは俺達二人の緊張感をより一層強めた。雨天なら、この光景がいつまでも続くことは無い。
     学校にこいつを運ぶには、今しかなかった。

    118 = 72 :

     文化祭当日。

     「その後は、>>女さんだけ軽くシャワーを浴びさせた後、一緒に学校に登校して貰った」
    友 「……お前」
     「な、なんだよ……」
    友 「何も、無かったのか……マジで、その」
      「勃ったりとかしなかったわけ?」
     「いや、全然」
    友 「…………」
      「まぁ、そりゃそうだよな。そんなときに勃つほうがどうかしてるのかもな……で、被クちゃんは?」
     「その、職員室にスリッパ借りに行ってる。今日も上履きが無かったらしい」
      「さっきまで、”はだし”で美術室の整理してくれてたんだ」
    友 「ついてかなくて良かったのか?」
     「……」
      「これ、見張ってろってさ」


     ただ何もない、広いだけの空間と貸した美術室に、一枚の絵が飾られていた。
     今朝がた完成したそれは、まだ梱包材を被せたまま壁に掛けられて、中は見えない。俺の役目は、文化祭が始まるまでこの絵を死守することだった。

    友 「俺かヒートに頼めばいいだろ」
     「それは出来ん。この絵だけは、俺だけで守り抜いてみせるさ」
      「ヒート先輩は?」
    友 「さぁ……生徒会の仕事じゃないか」
     「お前も役員じゃなかったか」
    友 「そうだ、だからここに来てる」
     「は?」
    友 「各クラス、出し物をするときは生徒会の役員が一名付き添うことになってる」
      「俺ぁここの担当なんだよ。この美術室だって「催し会場」の一つだからな。だから手伝いに来たってわけ」
      「そしたら、お前がここに居たというわけだ」
     「なるほど」
    友 「残念だったな、一枚だけになって」
     「そうか?」
      「俺はこの絵を描いてるとき、何ていうかな、凄く楽しくてな。いや、いつも楽しいんだけど」
      「……その数倍は楽しかった。だから多分、この一枚は他の何枚か分を超越した、とても素晴らしい一枚なんだよ。別格の」
    友 「よくわからん。日本語でおk」


    ガチャッ

    素ヒ「…………」
    友 「おお、おはよう」
     「おはようございます、ヒート先輩」
    素ヒ「あの……ね……その……」
    友 「? 今日は元気がないな?」
    素ヒ「……うん。まぁ……えー」
      「>>男ぉぉぉっ!! すまなかったぁぁぁぁぁっっ!!」
     「はい?」
    素ヒ「ちょ、ちょっと、お前もこっちに来い」(ぐいっ)
    C 「……」
    友 「あら、あららららら……」

    120 = 72 :

    友 「逃げてったぞあいつ」
     「……」
    被ク「>>男、さっきCがここから出てきたが、何かあったのか?」
     「あ、>>女さん……かくかくしかじか」
    友 「────ということがありまして」
    被ク「Cが……」
      「本当だな? それは」
     「ついさっきのことだからな」
    被ク「わかった。悪いが>>男、もうしばらくここに居てくれ。私はCを追う!」
     「なんだって?」
      「ちょ、ちょっと待ってくれよ! 俺も行く!」
    友 「……なんというか忙しいコンビだ」
    素ヒ「うん……」
    友 (……困ったなぁ、このテンションでこいつと二人っきりっていうのもな……)
     「ヒート先輩は意地でもその絵を見張っといてくれッ!」
      「それで今回の件は”チャラ”だ!」
    素ヒ「ッ!…… よ し 、 ま か せ て お け 」
    友 「立ち直り早えーッ!」
    素ヒ「ここは私と>>友が二人っきりの付きっきりで死守するっ! お前達は二人でCを追って来ォォォォォいッッ!!」



     「だが、何でだっ!? 今更Cを捕まえたところで、どうにもなるもんじゃないぞ」
      「展示用の絵を壊されたことは先生たちにも知れ渡ってる。Cが認めたら後は、職員会議で処分が決まる」
    被ク「だから問題なんだろう!」
     「え?」
    被ク「さっき……すれ違い様にCを見た。そのときに気がついたんだ」
     「な、何を」
    被ク「あいつが履いてたのは、貸し出し用のスリッパだった」
      「お前なら私の言ってる意味がわかるだろう!!」
     「はっ」
      (コクッ)
    被ク「そういうことだ。もしCが嘘の自白を行えば、それこそ取り返しのつかない事になるぞ」
      「何をするか分からんからな。自暴自棄になって職員室にでも駆け込まれたらアウトだ」
     「あ、ああ……」
      (クールさん、頭の回転早ぇ……)
    被ク「なんだ?」
     「いやぁ、格好良いなと思って」
    被ク「そうか。後でゆっくり聞かせて貰おう」

    121 = 72 :

    被ク「居たっ! 待ってくれ、C-!!」
    C (ビクッ)
      「ちょ……てめっ、追ってくんじゃねーよ!! くっそ、二人して仕返しかよ!ストーカー野郎!!」
     「すっ……ストッ……」
    被ク「違う!」
      「C……お前っ!」
      「お前っ───いじめられてるんだろう!?」
    C 「っ……」
    被ク「この前、画鋲持ってたろっ!」
    C 「も、持っててねーよ!」
    被ク「私が泥だらけになってたとき、お前うつむいてたろっっ!!」
    C 「あっ……ッ!……決めつけてんじゃねーよ!!」
    被ク「だってお前っ、今、お前と私の足はっ…………」
    C 「うるせーーーぞッ!!」
      「どっこも一緒じゃねぇ! 断じて一緒じゃあねぇぞッ! 私はありのままだ、『私はいじめた側、お前はいじめられた側』だッ!!」
      「それ以上、私の傍に近寄るんじゃねえ──────ッ!! あっ」

    ツルッ (←C、ここで滑った)

    122 = 72 :

    C 「い、痛ぇっ……」
    被ク「はぁッ、はぁッ……誰だか知らないが、雨の日に廊下の窓を開けてくれた生徒に感謝しておこう……」
    C 「っくそ……」
      「お前……足速いな、スリッパのくせにさ……」
    被ク「そうか? 慣れてるだけさ、私は」
    C 「……マジありえねーわ。自分のコト、そこまで追い詰めた奴にさ……」
    被ク「ああ」
      「正直に言うと私が髪の毛をバッサリ切られたあの日、家に帰って布団の中で泣き崩れながら、C、お前の名前をひたすら呼び続けてその後思いっきり歯を喰い縛りつつ、いつか貴様が死んだときは必ず地獄に落ちて血の池に浸りながら閻魔翌様に髪の毛を一本一本抜かれ、その毛穴に針を通して貰うように一晩中お願いしたものだ」
    C 「ひ、ひぃっ」
     (結構怨念込めてたのな……)
    被ク「だが今はそんなことどうでもいい」
      「誰かが言っていた。人間、人の痛みが分かるようになれば人生は変わるもんだと」
    C 「……」
    被ク「もう一度訊こう……君が一人でやったのか?」
    C 「ち……違う」
      「先輩から鍵貰ったあと、外に待たせてた連中を窓から入れたんだよ。AとBが呼んでた奴らな……そいつらが」
     「壊したのは、アンタじゃないんだな?」
    C 「私じゃ……ない」
      「出来るわけないよ……そんなの」
    被ク「!……ほほう、やけに顔が真っ赤だな」
    C 「な、なんだよ!!(////)」
    被ク「いやぁ、君のそういう顔を見るのは初めてだからね。……なるほど、こういう気持ちだったんだなぁ」
      (ボソッ)
      「私も>>男のことが好きだと言ったとき、そんな顔の色してたのか?」
    C 「……かなりな」
     「何の話だ?」
    被ク「ふふっ、>>男には内緒だ」
    C 「……」
     「Cさん、あのさ」
    C 「な、何だよっ! 別にあんたのことなんか」
     「これからポルナレフって呼んでいい? もしくはディアボロ」
    C 「はぁ?」
     「さっきの台詞、もしかしてCさんジョジョ読んだりすんのかなーっと思ってさ」
      「そっくりだったよ、あの声真似!」
    C 「テメー……」

    バキッ

     「ごふっ」
    C 「二度とあたしにそんな口聞くんじゃねーぞッ!!」
    被ク「やれやれ……自業自得だな」

    123 = 72 :





     その日───
     雨天のため、校庭で行われる予定だった催しは全て中止され、生徒達の殆どは落胆の気持ちで校舎内に足を運んでいた。
     そして、


     美術室には、俺達が二人で描いたあの絵を観に来る客で溢れていた。



    124 :

    ジョジョ知らねえww

    127 = 72 :

    被ク「凄い人だ、次から次へと入ってくる」
     「ああ。出て行くのも早いけどな」
    被ク「確かに万人が関心を示すものではないから……得てしてそういうものなのかも知れない」
      「けれど、皆ちゃんと君のことを評価してくれるさ」
     「被写体が悪いのかもな」
    被ク「うッ……お前……今更……」
     「冗談だ」
      「最高の絵が描けたと思ってる」
    被ク「そ、そうか?」
     「当然」
      「生まれて初めて絵が完成した喜びを───自分以外の誰かと分かち合えたような気がした」
    被ク「ははっ、そうか。そう言ってくれると、私も描いて貰った甲斐がある」
      「ところで……」
     「んー?」
    被ク「何でこの絵のは、万年筆なんか持ってるんだ。これ、私の部屋にあったものだろう」
      「接着剤まで再現してるし……」
    友 「そうそう。普段は『有機物のフォルムが~』とか言って、何か付け足して描くことはないのにな」
     「なんとなく……かな」
      「あったほうが良いと思ったから、入れたんだけど」
    素ヒ「まったく……鈍い、鈍すぎるっ! どんくっさいぞお前らぁぁぁっっ!!」
    友 「あ?」
    素ヒ「つまり>>男は『この折れた万年筆も君の一部なんだ』とっ!そう言いたいんだっっ!!」
      「くぅ~っ! あ、愛の大告白だなぁぁぁ……」
    被ク「せ、先輩っ……そんな、大声で……」
    素ヒ「そうだろうっ!? なぁ、>>男よぉぉぉぉっ!!」
     「はい」
    被ク「お、おまっ、ちょっ、な、何言ってるんだっ、お前までっ」
      「……す、少し外すよ。トイレに行って来る」

    128 = 72 :

     「うーん……なぁ、ヒート先輩。>>ついでに友」
    素ヒ「何だぁぁぁぁっ!! 何でも相談に乗るぞっ!!」
    友 「そして俺はついでか」
     「二人はどっちが先に告白したんだ?」
    素ヒ「ぷ、ぷはっ! な、なななん、いきなり何っ!?」
    友 「そうきたか……お前な、そういうことは思っても口にすんなよ。ったく」

     「>>女さんに告白したいと思う」

    友 「  」
    素ヒ「  」
     「……んだが、それで参考にしようと思ってな」
    友 「おっ、おっ、おっ、おっ、おーおーおー。やっとかい?」
    素ヒ「ふっっはっはっは、そうか!そういうことか男っ……って、えええええええままままだ付き合ってなかったの!?」

    129 = 72 :

     「ヒート先輩は驚き方が素直だなぁ」
    友 「うむ」
      「>>男よ、あれは晴れ渡る初夏の頃だ。もうセミが鳴き始めていた頃だ……」



    ミーンミンミンミーン


    友 「暑っつう……何でもうこんな気温高ぇーのよ。あん?」
    素ヒ「うぉぉぉぉっ!! 太陽ぉぉぉぉっ、お前と私どっちが熱く燃え滾るか勝負だぁぁぁぁぁっ!!」
    友 「すっげぇ……屋上にバカがいる。熱血バカだ」
      「おーい」
    素ヒ「なんだぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
    友 「がーんばーれよーい」
    素ヒ「頑張りまぁぁぁぁぁぁすっ!!!」
      「…………」
      (キュン)


    友 「それから数日間、事あるごとにこの女が関わってきてな。年上でバカなところがこう、ギャップが、な」
    素ヒ「告白しまくったらOK貰った」
     「そうか」
      「お前らバカだろ」
    素ヒ「参考になったか!?」
    友 「なったかー?」
     「いや全然……」
    素ヒ「あのなぁ>>男」
      「私もこれは性分のようなものだ。いつもいつも叫び続けてアホの娘扱いされてきた」
    友 「実際アホの娘だけどな」
    素ヒ「私はこの性分を人に蔑まれてきたんだ。だが、その性分ゆえにそれを気にしなくて済んだ」
      「素直で元気なだけが取り柄の私だった……けれど、友達は欲しかったよ。誰も構ってくれなかったけど、欲しかったんだ」
    友 「…………」
    素ヒ「そんな中っ!>>友だけが私に『頑張れ』と言ってくれたんだ」
      「まさに運命っ……! あまりにも力強い、言葉っ……!!」
    友 「んむむむ……肌がむず痒くなってきたぞおおおおおおおお」
    素ヒ「おおっ! そうかぁぁぁぁぁぁっ!! だが、私は嬉しかったぞぉぉぉぉぉぉっ!!」
     「いい話じゃないか」
    友 「でも、お前らにとっちゃ通過しちゃった道だしな。これ」
     「いや、今の話は参考になったよ。あんがと」

    130 :

    追いついたーーーーー
    ABと不良共に鉄槌をーーーーー

    132 :

    追いついたーーーーー
    ABと不良共に鉄槌をーーーーー

    135 = 134 :

    不B「何!?」
    その辺に落ちていた棒を拾ったのが悪かったか、不Bは折れた棒を投げ捨てる、それと同時に不Aの右拳が襲ってきた。
    不B「うおっと!」
    不Bはその拳をしゃがんで避ける、不Aをそれを見て左足の膝で不Bの腹を狙う。
    不B「ガッ!」
    不Aの狙い通り不Bは蹴りを避けきれず腹にもらった。不Bが膝をついた。
    不A「結構頑張ったがここまでだな不B、頑張ったお礼に良い事教えてやるぜ」
    不Aは不Bの髪を掴んで自分の顔に引き寄せながらその“良い事”を答えた。
    不A「あの絵な、俺がメチャクチャにしたんだ」
    不B「!!」
    不A「良い運動になったぜぇハッハッハッ!」
    不B「ッてっめぇ!」
    不Bが呻きながら右拳を振り上げようとする、しかに不Aに頭を地面に叩きつけられてそれは叶わなかった。
    不A「さぁて、そろそろ終わりにすっか、二度となめた真似しねぇように病院送りにしてやるぜ!」

    ボコボコになった不Bは教師によって発見され、病院に搬送された。
    不Bは翌日目覚め、絵をメチャクチャにした犯人をCに教えるために病院を出て学校に向かおうとし看護婦達に止められた。
    不B「邪魔するんじゃねぇ!」
    不Bは看護婦達を振り払い病院の出口へ向かう、そしてもう一歩で外に出る所で気付いた。
    自分の“携帯”の存在に……。
    不B「ちく…しょう…」
    一気に力尽きた不Bは薄れゆく意識の中こう思った。携帯あるの忘れてた……と。

    しばらくして再び病室で目覚めた不BはCに絵を壊した犯人の事をメールで送った。

    136 = 134 :

    「ん?メールだ」
    不B(メール)「絵を壊した犯人分かった、不Aだ」
    「・・・・」
    (メール「知ってるよ、見たし、キンニ君も居たよ」
    「送信っと」

    メールの内容を見た不B
    不B「……病院抜け出そうとして俺の努力って…」
    看護婦A(この子実はバカね…)

    139 :

    いいよいいよ

    140 :

    被ク「天気予報によると、明日は朝から雲ひとつない天気らしい」
     「野外模擬店が開催される頃には恐らく真っ青ってことな。オーライ」
    素ヒ「被ク達のクラスって何出すんだ?」
    友 「俺らのクラスは気の抜けた奴らの集まりみたいなもんでなー」
    被ク「誰も案を出さなかったから、特に何も行わない事になったんです」
    素ヒ「……やる気ねー」
    友 「他の奴らがありすぎんだよ。良イんじゃね? 楽しむ側と楽しませる側に分かれてる感じで」

    (ここで男、妙にそわそわ)

    被ク「? どうしたんだ>>男」
     「あっ、いや、何でもない」
    友 (ニヤニヤ)
      「こいつなwwwwww被クちゃんと一緒に模擬店回りたいんだってさwwwwwwww」
    被ク「えっ!?」
     「ちょ、おまっ……」
      「あ、いや……うん。まぁそうなんだけど……駄目かな、人多いのは」
    友 「クラスの連中が居るとさ、被クちゃんの気が落ち着かないのかと思ってんだよ」
    被ク「いや、それは大丈夫だ。元々それほど人見知りはしない性格だから」
      「それに……その、私の方からも……」
     「へ?」
    被ク「いやっ! 何でもない、良いよ。行こう、一緒に」
     「あ……ははっ、そうか」
      「ありがとう」
    被ク「……こちらこそ」
    友 (『告白する』っつっても、こりゃもうキマッたようなもんだよなぁ)

    141 = 72 :

    ピーンポーンパーンポーン

    【アナウンス】
    『十分後に、吹奏楽部と軽音部による演奏会を行います』
    『興味のある方は体育館にお集まり下さい』


     「演奏会だってさ。誰か行く人ー?」
    友 「行かね。お前と被クちゃんで行ってくれば」
    被ク「ヒート先輩も行かないんですか?」
    素ヒ「いやぁ、何やってても私は>>友と一緒のが楽しいからな」
    友 (言えん……)
      (「ヒートを連れてくと大声で叫びだすから」とは……言えんよなぁ)
     「……行く? >>女さん」
    被ク「そうだな。芸術に携わる者としては観に行っておかなければなるまい」
     「あはは……描いてるのは俺なんですけど」
    被ク「細かい事は気にするな。さ、行くぞ」
     「おう」


    アナ『次の演奏はスタジオジブリ最新作「崖の上のポニョ」です』
     (も、もう楽譜が出回っていたのか……)
      「しかし、さすがはブラス・バンド。集団で音楽を奏でるってのは、やっぱりパート編成あってこそだよな」
    被ク「放課後はよく演奏している音が聞こえていたからな」
      「君が絵を描いてる一方で、彼らもまたこの日のために練習していたということだ。素敵なことじゃないか」
     「なるほど」
      「つまり俺が絵を描いてたことも>>女さんにとっては素敵なことなんだな」
    被ク「何だ、いきなり」
      「だがまぁ、うん……そうだな」
     (……自分で聞いといてなんだが)
      (今のはクサかったし……て、照れる……/////)
    被ク「お前……真っ赤だぞ……」
     「ッ! ぽ、ポーニョwwwwwwポニョポニョwwwwwwwwww」(←誤魔化している)

    142 = 72 :


    アナ『次は、軽音部による演奏です』
     (……なんだかんだで、こっちのが俺好みなんだよな)
      (人数は少ないけど、ちゃんと自分達のやりたい曲やってる感じで)
    被ク「……ん?」
     「どした?」
    被ク「あのギター担当の生徒……Bじゃないか?」
     「えっ、うそっ」
      「…………あっ、ほんとだ。よく分かったなぁ>>女さん」
    被ク「まぁ……日ごろからよく……視ているからね……」
      「そういえば前に───」



    B 「あのさー、あんたって普段どんな音楽聴いてんのー?」
    被ク「ああ、民族音楽に興味があってね」
    B 「ケルトwwwwwwwwww何だお前、土人かよwwwwwwwwwwwwwwww」
    被ク「ちなみに近年ケルト音楽と呼ばれるカテゴリの中には複数の派層があって、それらは必ずしも元が同じものでは───」
    A 「どーでもええわwwそんなもんww」
      「あたしはやっぱりアクアとかージャンヌとかー」
    C 「J-POP(笑)」
    A 「おめっ、ばっ、バカにしてんじゃねーよ!これがウチらのリアルだっつの」
    B 「ふーん、ケルトねぇ……何回か聴いたことはあるよ」
    被ク「ほ、ほう!」
    B 「あたし何でも聴くしね。好きなのかどうかは別としてー」



    被ク「あの時……Bだけは関心を示してくれた」
      「最も、その後に私は三人の手によって無理やり『マリリン・マンソン』のメイクにさせられてしまったよ」
      「……アレは落とすのが大変だったなー」
     「ははは……」
    被ク「でもまぁ……良いかも知れないな、こういうのは」
      「彼女も努力したんだろう。今ステージの上で演奏してるBに限っては、尊敬してもいい」
     (……)
      (こういう時の彼女の温容な表情には助けられる……彼女の顔はどんな人間に対しても、その行動に価値を示してくれる)
      (例え、それが自分を陥れた主犯であってもだ……)

    143 = 72 :

    B 「おい、お前ら」
    被ク(ビクッ)
     「や、やぁ……演奏、上手だったな」
    被ク「君が出てくるなんて驚いたよ。凄く良かった」
      「ひっ、ひひひ人を弄って遊ぶ前に、これからもっと、ま、真面目に勉強してみたらどうかな」
    B 「あんた、>>男君の後ろに隠れて言っても説得力ないよそれ……声震えてるし」
      「ま、あんたら二人は来ると思ってたけどな。どうせ他にすることも無さそうだし、友達も居ねーだろ」
     「はは……確かに」
    被ク「否定するなよ……」
    B 「>>男くーん、ちょっとコイツ借りるよ?」
    被ク「う……きょ、今日はと明日だけはやめてくれ……二人で、その……」
     「バンド終わってからすることじゃねーだろ。さっき演奏聴いてた生徒さんも、まだ残ってるよ?」
    B 「ばーか」
      「あたしもギター終わって疲れてんの。このクソだっるい時に>>女いじめるほど体力ねーよ」
     「え?」
    B 「あんたが居たら出来ない話なの。マジで鈍いよなぁ……こんな男のどこが良いんだよ」
      「話するだけ、それでも来れない?」
    被ク「……」
      「>>男、ちょっと行ってくるよ。終わったらすぐ戻る」
     「十分経って帰って来なかったら先生呼ぶからな」


    被ク「それで、話というのは……」
    B 「……Cが>>男のこと好きなの、知ってた?」
    被ク「ッ……あ、ああ」
    B 「そっかー」
    被ク「……ま、まさかっ!」
      「Bも……>>男のことを……」
    B 「アホかお前。いじめるぞ」
    被ク「ううっ! そ、それはやめて……」
    B 「ま、それなりにいい男だってのは分かるよ。間抜けだどなww つってもあたし彼氏居るしー」
      「……んでさ。Aのやつが最近Cにもちょっかい出してんのよね」
    被ク「ああ、知ってる」
      「絵を壊させたこともな。Cが白状した……」
    B 「ふーん」
      「ま、あたしもさすがにアレは無いと思ったけどね。Aとはこの高校入ってからの付き合いだけど、まさか仲間討ち始めるとは」
      「Cな……降りるって言ったんだよ」
    被ク「降りる……?」
    B 「……そ。 降・り・る ってな。それからだね、AがCにああなったのはさ」
      「あたしもさー、さすがに友達いじめんのはどうかと思うし。んでさー」
      「あたし、もうA切るわ」

    144 :

    急展開ktkr

    145 = 72 :

    被ク「お、驚いたな……随分と思い切った決断じゃないか」
    B 「そう? A切ってあんたとC側に回ることにしたいんだけど」
      「あたしとCだけ孤立するわけにもいかないじゃん? だから、あんたらと組もうってわけ」
      「条件付きでな」
    被ク「条件……?」
    B 「んー……あのさ」
      「Cと>>男、付き合わしてやってくんね?」
    被ク「えっ……」
      「つまり、それは私に……」
    B 「手ぇ引けってコト。まぁ………あんたには厳しいと思うけどな」
      「C……ほんとは前からあいつのこと好きだったんだろうな。やたら詳しかったしなー>>男のこと」
      「で、どうする?」
    被ク「どうするも何も」
      「それはお前……かなり難しい、というか」
    B 「当たり前じゃん」
      「難しいこと言ってんだから」
    被ク(ビクッ)
    B 「そーやって小動物みたいに反応するクセに、口調は偉っそうで」
      「一丁前に彼氏作ろうって魂胆だから、いじめたくもなるわ」
    被ク「ッ…………」
    B 「───って言うよな、Aなら」
    被ク「え……」
    B 「まぁ、最後に決めんのは>>男君だしー」
      「私らがどうこう言うことじゃないけどね、ホントは」
    被ク「もし、私が断ったら……?」
    B 「……」
      「Cと一緒に、先生に自白するよ。んでAを道連れにして後は……どうなんだろうな。退学かなー」
      「でもCは専門学校に進学したいらしいからな、美容師の。ま、学校であんたらと一緒にいじめられるよりは退学んなった方がねww」
    被ク「そんな……それはお前、違うだろ」
    B 「違わねーよ」
      「うん……多分、違わない。それがあんたいじめた責任だと思うけどね、Aはそうは思ってないんだろうケド」
    被ク「Aはどうして……そこまで私を……」
    B 「さぁ? 何かあるんじゃねーの? 理由だけは話してくんなかったし」
      「あたしはあんたの事が気に喰わないからノッてた。Cもね……」

    146 = 72 :

     「お……」
    被ク「……」
     「本当に何も無かったみたいだな。Bは?」
    被ク「彼氏とデート、だそうだ。文化祭放っぽいてな」
     「ははっ……彼氏、ねぇ」


     。oO(問題はいつ告白するか、だよな)
    被ク。oO(Bがああ言ってきたということは、第三者的に見れば>>男は私のことなどあまり気にしていないということか?)
     。oO(被クさんは俺のことをどう思ってくれているのか。いや、彼女の性格や言動からして好いてくれてはいるんだろうけど)
    被ク。oO(>>男は私のことをどう思っているんだ。それなりに、好意的だと感じていたんだが、私の気のせいなのか?)
     。oO(俺は───)
    被ク。oO(私は───)



               『この人のことが、好きなんだけどな……』



    【美術室にて】
     「ういー、お疲れさん」
    友 「おかえー」
      (ボソッ)
      「で、どう? イケそうか?ww」
     「うーん……ちょっと、分かんないな」
    友 「あら……そ、そうなのか?」
      (おっかしいなぁ……俺は絶対両思いだと思うんだけどな)
     「そろそろここも閉めるよ。もう、一日目は終わる頃だし」
    被ク「今日が雨でなければ、催しが行われる時間ももう少し続いたのにな」
    友 「良いじゃん、早く帰られるんだし」
    素ヒ「おーい>>友、ずっと見張りで疲れたぞー。どっか連れていけー」
    友 「雨の日は元気なくなるなーお前」
    素ヒ「ああ、アイス食いに行こう。アイス」
    友 「生徒会の役員が帰り食いして良いのかぁ?……俺は賛成だけど」
    素ヒ「おおっ! はっはっは、お前のそういう所が大好きだぞッ!」
     (ああ、良いなぁヒート先輩)
    被ク(私もああいう風に直情的になれればな……)
     (………………)
      「なぁ>>女さん」
    被ク「ん?」
     「少し、片付けるの手伝ってくれよ」
    被ク「ああ。構わないよ、他にやることもないしな」

    147 :

    ケルト民謡大好物の俺がwktkしながら通りますよ

    148 = 72 :

     (……)
      (あー、そういやこの絵描いてるとき、俺スゲー決心してたよな)
      (この絵が完成して文化祭が終わったら……俺は……俺はクールさんに……)
    被ク「……おい、>>男」
     「へ?」
    被ク「今の話、聞いてたか?」
     「あ、ごめん。……なんだっけ?」
    被ク「明日は校外からのお客さんが多いということだ。模擬店は多数開催されるし、しかしそうなると私達二人はどうしようか」
      「ずっとここで当番してるわけにもいかないし、>>友とヒート先輩にはもう頼めないぞ。あまり時間を取らせて、水を差したくないだろう」
     「あ、ああ。それもそうだよな」
      「うーん……かと言って俺と>>女さんは一緒に模擬店を……」
    被ク「……」
      「それ、なんだが……」
     「?」
    被ク「お前……Cと一緒に行ったらどうだ」
     「……え?」
    被ク「えっと……ほら、今日のことで落ち込んでいるだろうし。元気付けてやって欲しいというか」
      「彼女だって、被害を与えてしまった当事者に謝りたい気持ちもあるだろうからさ。お互いこう、仲直りの印……というのも、例えが変かも知れないが」
     「>>女さんはどうするんだよ」
    被ク「私はここで留守番してるよ」
      「あ、あー……当日はお客さんも多いから、さすがにAも手を出しては来ないさ」
     (“Aも”………?)
      (どうしたんだ、クールさん……Bと何話したんだろう)
    被ク「ということで、どうだろう>>男。Cと一緒には……」
     「行かないよ」
    被ク「……」
     「はっきりと言っておくが、俺はCがA達と一緒にアンタに謝るまでは許すつもりはない」

    149 = 72 :

    被ク「しかし、絵が壊されたのは……」
     「>>女さんって意外にそういうとこ鈍いよな(俺もだけど)……」
      「俺が言ってるのは絵の事じゃない、君と俺を加害していた事についてだ。それは三人の連帯責任だろ」
      「それに、絵のことだってそうさ。本当に悪いと思ってるなら向こうから頭を下げに来るはずだ」
      「何でこっちがわざわざ謝り易いようにお膳立てしてやらにゃいかん」
    被ク「君の言い分は最もだろう。だが、その、Cは……」
     「Cは、なんだよ?」
    被ク「Cは……」
      「君のことが好きだぞ」
     「…………」
      「……………………」
      「……………………………………え?」
    被ク「だから」
     「ちょっと待て! Bが言ってたのか? え、何? さっきの話はつまり……そういうことか?」
    被ク「いや、私も薄々は、な……気付いてないのは君だけだ」
     「ま、マジかよ……」
    被ク「うむ」
      「だから……どうだ?>>男」
     「いや、どうも何も…………」
      「あのさ」
    被ク「何だい?」
     「アンタは俺のこと、どう思ってるんだよ」
    被ク「いっ」
      「いや、私は別に、別にそのっ…………(////)」
     「俺は女子にあまり免疫のあるほうじゃないから、そういうのには疎いと思う」
      「でも俺……>>女さんとはその、よく喋るし……家にも上がらせてもらって、少なくとも嫌われては無いと思うんだけど」
    被ク「いやっ…………」
      「普通、だよ」
     「ッ!……そ、そうかい」
    被ク「ああ……」
     「普通か……」
    被ク「普通だ……」
      「…………今日は先に帰るよ。じゃあな、明日は私一人でここに居るから」
     「あ、ちょ」


     バタンッ


     「…………」

    150 = 144 :

    せつないのう、せつないのう(´;ω;`)ウッ…


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