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    元スレ幼馴染「ずっと前は好きだったよ」 男「えっ」

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    101 = 1 :

    翌日 朝 公園
    副部長「ぶっちょー!」

    幼馴染「……お、おはよ」

    副部長「なに驚いてるんですか?」

    幼馴染「だって、合宿の時はなかなか起きない眠り姫なのに、私よりも早く公園にいるんだもん。そりゃあ、驚くよ」

    副部長「ふふん。あたしだってやればできるんです!」

    幼馴染「合宿の時にやってくれると嬉しいんだけどね」

    102 = 1 :

    幼馴染「あれ? なんでボール持ってきてるの?」

    副部長「そりゃあ、バスケの練習をするからですよ」

    幼馴染「残念だけど、ステップワークしかやりませーん」

    副部長「ええ……朝っぱらからハード過ぎませんか……」ウゲェ

    幼馴染「そんな嫌そうな顔しないの」

    副部長「だってぇ、せっかく早起きしたのにボールを触らないなんて……」

    幼馴染「つまらないことをどれだけやるかが重要なんだよ」

    副部長「はぁ……」

    幼馴染「それにね、ガンガン走った後に食べるプリンは超美味しいんだよ。それだけできついステップワークを頑張れるから」

    副部長「……プリン? えっ、プリン食べれるんですか?」

    幼馴染「うん! そのうち、おと……」

    副部長「部長?」

    幼馴染「……練習が終わったら、近くにあるコンビニに買いに行こう」

    103 = 1 :

    コンビニ
    副部長「美味しいー!」

    幼馴染「でしょ?」

    副部長「はいっ! ただのプリンがこんなに美味しく感じるなんて!」

    幼馴染「もっと本数をこなせば美味しくなるよ」

    副部長「そこまでしたくはないです……」

    幼馴染「私も食べよっと」パクッ

    幼馴染「……?」

    副部長「あー、おかわりしたくなっちゃった。もう一個たべませんか?」

    幼馴染「……」

    副部長「どうしたんですか?」

    幼馴染「……ううん。なんでもないよ」

    幼馴染(……いつもより美味しくない)

    104 = 1 :

    北高 3年生教室
    「うーす」

    男友「……遅くね? 最近はやけに早く登校してたのに」

    「早起きする必要がなくなったんだよ」

    男友「まぁ、早起きしても得はないからな。なんなら、起きてもいいことはないまである。そのまま眠り続けていたほうがいいんじゃねえの」

    「そうだな。お前も永眠はしっかりとったほうがいいぞ」

    105 = 1 :

    「お前、いつも以上にやる気なさそうだけどどうしたの?」

    男友「疲れてんだよ……」

    「あらあらお盛んですなー」

    男友「出ました、童貞思考。平日にヤルわけねえだろ。猿じゃあるまいし」

    「まぁ、それもそうか」

    男友「つーか、結婚するまで純潔を守るから」

    「そんなこと言ってるから、彼女持ちのくせに童貞なんだよ、お前」

    106 = 1 :

    男友「つーか、お前も顔色悪くね」

    「ちょっと体がだるくてな」

    男友「大丈夫か?」

    「……」

    男友「なんだよ、その面は」

    「友が心配してくれるなんて思わなかったからよ」

    男友「お前を看病してくれる人なんていないんだから、俺が心配してやらないと可哀想だろ」

    「余計なお世話だ!」

    107 = 1 :

    昼休み 西高 バスケ部部室
    幼馴染「……」ボー

    副部長「部長がたそがれてるー」

    幼馴染「……副部長?」

    副部長「ぶっちょー、恋する乙女の顔してますよ」

    幼馴染「し、してないし! ぼーっとしてただけで、あいつのことなんて……」

    副部長「あいつ?」

    幼馴染「な、なんでもない!」

    副部長「やっぱり好きな人できたんでしょー?」

    幼馴染「できたわけじゃないもん!」

    副部長「だから、なんなんです、それ……」

    108 = 1 :

    幼馴染「つーか、私に好きな人がいたとしても副部長に教える義務はないから!」

    副部長「……そうですよね」

    幼馴染「あ、ごめん……」

    副部長「あたしがズバリ当ててみせましょう!」

    幼馴染「……はい?」

    副部長「部長の思い人を絶対に解いてみせる!」

    幼馴染「……」

    副部長「おばあちゃんの名に懸けて!」

    幼馴染「副部長?」

    109 = 1 :

    副部長「実は怪しい人物を何名かリストアップしてきたんです」

    幼馴染「まぁ、面白そうだし付き合ってあげるよ」

    副部長「まず一人目は男バスの部長です」

    幼馴染「いや、ないから」

    副部長「即答!?」

    110 = 1 :

    幼馴染「だって、あいつ、彼女いるじゃん。彼女がいる男を想い続けられるほど気長な女じゃありませーん」

    副部長「でも、相手に恋人がいるほうが、燃えてくるじゃないですか。絶対、振り向かせてみせる! てきな」

    幼馴染「そりゃ、副部長はそうかもしれないけど、私は相手の彼女のことを考えると引いちゃうよ」

    副部長「潔癖だなあ……。じゃあ、もしも好きな人に彼女ができたらどうしますか?」

    幼馴染「それは……」




    『実は俺、彼女出来たんだ』

    幼馴染『えっ……えっ!?』

    『だからもう、お前とは会わない』

    幼馴染『待って、待ってよ、男!』

    『さよなら』

    幼馴染『男―――――――!』




    幼馴染「あ、会わなくなるんじゃないかなあ……」ジワッ

    副部長「どうしたんですか、部長!?」

    111 = 1 :

    幼馴染「べ、別に何でもないし!」

    副部長「明らかに泣きそうになってましたけど……」

    幼馴染「……もうこれで終わりなら、私は次の授業の準備するけど」

    副部長「あります! まだありますって!」

    幼馴染「じゃあ、さっさと言いなさいよ」

    副部長「わ、わかりましたよ……次は軽音部の部長です」

    幼馴染「……ああ、去年の文化祭でバンドやってた人?」

    副部長「そうです! ボーカルを務めてたイケメンですよ!」

    幼馴染「まぁ、あり得ないよね」

    副部長「!?」

    112 = 1 :

    幼馴染「あいつの女癖の悪さ知ってるでしょ?」

    副部長「知ってますけど……でも、イケメンですよ? 女なら一度は抱かれてみたくありません?」

    幼馴染「そんなに言うほどイケメンかな?」

    副部長「どう見たって、イケメンでしょう!? ファンクラブができるほどですよ!?」

    幼馴染「まー、私の好みではないかな」

    副部長「じゃあ、どんなのがいいんですか?」

    幼馴染「そうだなあ……」




    『……』ニコッ




    幼馴染「……馬面、かな」

    副部長「えぇ……」

    113 = 1 :

    副部長「部長ってB専なんですね……」

    幼馴染「そんなことないと思うけど」

    副部長「でも、馬面って、要は面長ってことですよね。……ないわー。マジないわー」

    幼馴染「副部長だって人のこと言えないでしょ」

    副部長「なんでですかー! あたしはオラオラ系イケメンが大好物な面食いですもん! 馬面が好きなゲテモノ食いの部長とは違います!」

    幼馴染「……あえてツッコミをいれないであげたけど、副部長がそこまで馬鹿にするなら、私だって言わせてもらうけどさ」

    幼馴染「今、名前が挙がった2人の男は、副部長が好きだった男どもじゃないの! しかも、両方に二股をかけられた上に、ヤリ捨てされたんでしょ!? よくもそんなクズ野郎共を私の彼氏候補として挙げられたわね!」

    副部長「ぶ、部長も騙されちゃったかなー、って……」

    幼馴染「ヤリ捨てられて落ち込んでる副部長を慰めてたのは、誰?」

    副部長「……部長です」

    幼馴染「その私が、あの二人と付き合うなんて、わざわざヤリ捨てられに行ってるようなもんじゃないのよ!!」

    114 = 1 :

    幼馴染「なにがリストアップよ。副部長の過去の男の名前を挙げただけじゃない」

    副部長「つ、次が本命なんです!」

    幼馴染「誰よ?」

    副部長「西高の……」

    幼馴染「ち、ちが……」

    副部長「部長さんです!」

    幼馴染「……何部の?」

    副部長「やだなー。女バスに決まってるじゃないですか!」

    幼馴染「……」

    副部長「ライバル関係の2人が切磋琢磨を重ねていくうちに、相手のいい部分を知っていき、やがて恋に落ちていく……うーん! 美しい百合です!」

    幼馴染「ねえよ」

    副部長「あ、はい」

    115 = 1 :

    西高 3年生教室 
    幼馴染(まったく。副部長のせいで、貴重な昼休みが潰れちゃったじゃない)

    幼馴染(……男に彼女ができたら、か。その時、私はどうするんだろう)

    幼馴染(まぁ、男に彼女ができるなんてあり得ないか。男のこと好きになるような物好きな女の子なんているわけ……いや、いるか。私がそうなんだから)

    幼馴染(それに男が誰かを好きになる可能性だってあるんだ。私以外の誰かを愛おしいって想うことはあり得るんだ)

    幼馴染(……男に会いたくなってきた。メールしてみようかな)

    幼馴染(……)

    幼馴染(ううん。日曜日には会えるんだし、それまで我慢しよう……)

    116 = 1 :

    >>114 訂正
    幼馴染「なにがリストアップよ。副部長の過去の男の名前を挙げただけじゃない」

    副部長「つ、次が本命なんです!」

    幼馴染「誰よ?」

    副部長「北高の……」

    幼馴染「ち、ちが……」

    副部長「部長さんです!」

    幼馴染「……何部の?」

    副部長「やだなー。女バスに決まってるじゃないですか!」

    幼馴染「……」

    副部長「ライバル関係の2人が切磋琢磨を重ねていくうちに、相手のいい部分を知っていき、やがて恋に落ちていく……うーん! 美しい百合です!」

    幼馴染「ねえよ」

    副部長「あ、はい」

    117 = 1 :

    今日はここまで

    118 :

    可愛いなぁ幼馴染ちゃん

    119 :

    今年を捨て学年にしても、北高って、来年以降もくっそ強くないか?
    1年に女妹ちゃんと男友妹ちゃんおるわけでしょ?

    120 :

    コメントありがとう!

    >>118
    可愛いって言ってくれてありがとう! 前作のヒロインと比較して、幼馴染は可愛いって言ってもらえないから自信失ってた。
    本当にありがとう。今後ともよろしく!

    >>119
    今後、作中でその辺に言及することはないと思うのでここで回答するね。
    北高は1年と3年に有力選手が揃ってる。つまり、2年生の代は谷間の世代。
    逆に西高は2年生に有力選手が集まっていて、北高から県内王者の座を奪い返す絶好のチャンス。なので、現3年を捨てて2年の育成に力を入れてるっていうこと。
    わかりづらくてごめん。

    また疑問に思ったことがあったら、ガンガン質問してね!

    121 :

    最近ちょっと見てなかったら、続きでてたのかー
    応援してるぞ

    122 :

    >>121
    ありがとう!
    全力で頑張ります!

    123 :

    金曜日 朝 公園
    副部長「……」ハァハァ

    幼馴染「さぁ、ラスト3本だよ。キツイだろうけど頑張ろう」

    副部長「あた……しは……よゆ……うですよ」

    幼馴染「なに言ってんのよ。息も絶え絶えなくせに」

    副部長「な……んで……ぶっちょー……はよゆうなんで……すか」

    幼馴染「私は走り込んできたからねー。ステップワークをサボってきた副部長とは違うんです」

    副部長「……この体力お化けが」

    幼馴染「なんで、悪口を言うときは呼吸整ってんのよ!」

    125 = 1 :




    副部長「朝練終わりのプリンは格別ですー!」

    幼馴染「さらに追い込んだら、もっと美味しいよ」

    副部長「そこまでしてまで味わいたくないです……」

    幼馴染「そう? 美味しいのに」

    副部長「そんなこと言ってるわりには全然食べてないじゃないですか」

    幼馴染「……なんか、食欲なくてね」

    副部長「やっぱり体調悪いんですか……?」

    幼馴染「ううん。そういうわけじゃないけど……」

    副部長「……みんな、心配してるんです。最近の部長、元気なさそうだから、どこか悪いのかなって」

    126 = 1 :

    幼馴染(なにやってんだろ、私。後輩たちに心配をかけるなんて……)

    幼馴染「ごめんね。心配かけて……」

    副部長「いえ、そんなことはいいんですよ! それよりも部長の体調のほうが……」

    幼馴染(しっかりしなきゃ。部長の私がこんなんじゃ、日曜日の総体予選で勝てない)

    幼馴染「体調は大丈夫なんだけど……」

    副部長「なら、どうして元気ないんですか……」

    幼馴染(わかってる、わかってるけど……)

    幼馴染「それは……」

    幼馴染(男に会いたくてたまらないの……)

    127 = 1 :

    幼馴染「プライベートでちょっといろいろね……」

    幼馴染(男と再会してから、私は弱くなってしまった。一人でいることに耐えられない。彼が傍にいてくれない世界でなんて、もう生きていけない)

    副部長「や、やっぱり、好きな人できたんですか!?」

    幼馴染「できたわけじゃなくて……」

    幼馴染(……そうだ。再会してからじゃないんだ。ずっと前から——男への想いを自覚した小学4年生のあの夏の日から——私は……)

    幼馴染「おとこぉ……」グスッ

    副部長「ど、どうしたんですか!?」

    幼馴染(男がいないとダメなんだ……)

    128 = 1 :

    幼馴染「あのときだってそうだったのに、どうしてこんなことしちゃったんだろ……男と会えなくなったら、自分がどうなるのか経験してたはずなのに……」

    副部長「あのとき? 男……?」

    「俺のこと呼んだ?」

    副部長「!!?」

    幼馴染「おと……こ……?」

    「な、なんで泣いてんだよ!?」

    幼馴染「男ぉぉぉぉ!」ギュウウウウウウウウ

    「どうしたんだよ……」ナデナデ

    副部長「……」ポカーン

    129 = 1 :




    「ほれ、これ飲んで落ち着け」

    幼馴染「……」ギュウ

    「……ほら、キャップ開けてやったから、とりあえず飲め」

    幼馴染「……」ゴクゴク

    「お前、どうし……」

    幼馴染「……」ギュウウウウウウウウ

    「……あのなぁ」

    幼馴染「私が立ち直るまで傍にいてくれるんじゃないの……?」

    「わかった、わかったから、潤んだ瞳で上目遣いするのはやめろ」

    130 = 1 :

    幼馴染「そういえば、副部長は……?」

    「あの女の子なら、先に学校に行くってよ。……まぁ、ここに居ても気まずいだけだろうしな」

    幼馴染「そうだよね……」

    「あの子に謝っておけよ。突然、お前が泣き出したから、さぞかし驚いただろうよ」

    幼馴染「……私ね、男と少し会えないだけで、寂しくってたまらないの」

    「まさか、それが泣いていた理由か……?」

    幼馴染「うん。自分でも馬鹿だなって思うけど、たった3日間、男と会えなかっただけで私は枯れちゃったんだ」

    幼馴染「だからね?」

    幼馴染「私のこと潤して……」ギュ

    131 = 1 :

    幼馴染「……ごめんね、気持ち悪いこと言って」

    「いや、まぁ……俺も同じようなもんだしな……」

    幼馴染「えっ?」

    「俺もお前に会いたかったんだよ。だから、ここに来たんだ」

    幼馴染「……っ!」ギュウウウウウウウウウウウウウウ

    「痛! 締めすぎだっての!」

    132 = 1 :

    幼馴染「だ、だって、男が変なこと言うから!」

    「俺も寂しかったんだよ。説明もなしに、来るな、なんてメールを送りつけられるし」

    幼馴染「ご、ごめん……」

    「本当だよ。お風邪までひくし最悪だった」

    幼馴染「えっ!? 大丈夫なの!?」

    「水、木って二日間学校を休んだけどな。もう大丈夫だよ」

    幼馴染「なんで、教えてくれなかったの……」

    「自惚れてるかもしれないけど、風邪をひいたことをメールすれば、幼が見舞いに来てくれるだろ?」

    幼馴染「そんなの……当たり前じゃん」

    「でも、総体予選中なのに風邪うつしたら大変だし、早く治して幼の顔を見に行こうって我慢したんだ。……なのに、会いに来てみれば泣いてるし。しかも、抱き着いてるから顔見れねえし」

    幼馴染「……」

    「お前の笑顔が見たいんだけどなぁ」

    幼馴染「……充電が完了するまでお待ちください」ギュウ

    「はいはい。いくらだって待ちますよ」ナデナデ

    133 = 1 :

    「おい。そろそろ学校に行かないと遅刻すんぞ」

    幼馴染「……げっ。もうこんな時間なの」

    「30分近く抱き着いてたからなぁ……」

    幼馴染「うっさい! むしろ、30分も私に抱きしめられてたんだから、感謝しなさいよ!」

    「……ありがとう。幼に会えて嬉しかった。抱きしめてもらえて安心できたよ」

    幼馴染「そんなこと言われたら学校にいけないってばぁ……」ギュウ

    「素直に言えばこれだもんなぁ……」

    134 = 1 :

    幼馴染「あと10分はこうしてて……」ギュウウウ

    「まぁ、それくらいなら、学校にギリギリ間に合うか」ポンポン

    幼馴染「……ねぇ」

    「ん?」

    幼馴染「私、男のこと……」



    幼馴染『好きになる要素なんかないでしょ』



    幼馴染「……」

    「どうした?」

    幼馴染「……ううん。なんでもない」

    135 = 1 :

    今日はここまで

    137 :

    かわいい奴らだな

    ってゆーか、こっちもまた血糖値上がりそうな現象が

    138 :

    >>136
    ありがとう! これからもよろしく!

    >>137
    コメントありがとう!
    前作よりは糖分控えめ、になるはず……

    139 :

    昼休み バスケ部部室
    副部長「で、何も言わずに逃げ帰ってきた、と」

    幼馴染「だ、だって、しょうがないじゃない! 今の男を好きになる要素なんかない、って断言しておいて、今さら『ずっと前から好きでした』なんて告白できないよ!」

    副部長「そもそも、どうしてそんなこと言ったんですか?」

    幼馴染「……今思えば、自分への暗示だったんだと思う。薄れかけていた男への想いが再会をきっかけに蘇らないように、自分に言い聞かせたんだ」

    幼馴染「じゃないと、今回のように男のことしか考えられなくなって、バスケに集中できなくなっちゃうから……」

    140 = 1 :

    幼馴染「高校に入学した頃なんて酷かったんだから。男に会いたい、ってそればっかり考えてた。部活に出ても全然身に入らなくて、顧問に毎日怒られて、先輩たちには失望されて、仕舞いには県選抜まで落ちて……あの時期は人生のどん底だったね」

    副部長「そんなに寂しかったのなら会いに行けばよかったのに……」

    幼馴染「……当時、何度もそう思ったけど、勇気がなくて会いに行くどころか、メールすることさえできなかったよ。今回だって一緒。メールや電話をすれば、少しは心も安らいだだろうけど、何もできなかった」

    副部長「臆病すぎませんか? 今日の男さんの様子を見るかぎり、部長を拒絶したりしませんよ」

    幼馴染「……どうしても怖いんだ。嫌われたらどうしようって」

    副部長「その気持ちはわからなくもないですが、いつまでも受け身のままでは何も変わりませんよ」

    幼馴染「それはそうなんだけど……」

    副部長「~~~~~~もう! シャキッとしなさい!」ペチン

    幼馴染「!?」

    141 = 1 :

    副部長「うじうじ悩んでるなんて部長らしくありませんよ! 好きなら、押して押して押し倒してしまえばいいんです!」

    幼馴染「お、押し倒す!?」

    副部長「そうですよ! 今日なんか、絶好のチャンスだったじゃないですか! なのに……」

    副部長「告白寸前で逃げ出すとかどういうことですか!」バンッ

    幼馴染「ひぃぃ……」ガタガタ

    142 = 1 :

    副部長「今度の日曜日にデートするんですよね? そこで決着をつけてきてください!」

    幼馴染「買い物するだけで、デートってわけじゃ……」

    副部長「……」ギロッ

    幼馴染「……善処します」シュン

    副部長「部長、恋が実るかどうかはタイミングが重要なんです。いま、このチャンスを逃してしまったら、誰かに男さんを奪われてしまいますよ」

    副部長「据え膳食わぬは女の恥です。この好機を必ずものにしてください」

    143 = 1 :

    幼馴染「……ありがとう、副部長。私、頑張ってみるよ」

    副部長「そうですよー! みんな、応援してるんですから、頑張ってください!」

    幼馴染「……みんな?」

    副部長「はいっ! 西高女子バスケ部、歴代最強との呼び声高い現2年の代のなかでも、5傑と評されるあたしたちがついてます! ねっ、みんな!」

    元気っ子「もちろんだよー!」

    無口っ子「……」コクリ

    面目っ子「部長の告白が成功するように私が策を考えます」

    生意気娘「童貞野郎なんて、色仕掛けすれば楽勝だろ」

    幼馴染「……」

    副部長「あたしたち、5傑が全力でサポートしますからね!」

    幼馴染「……お前ら、全員一列に並んで歯食いしばれ」

    副部長「!!!!?????」

    144 = 1 :

    副部長「ど、どうして怒るんです!?」

    幼馴染「普通に考えればわかるでしょ」

    副部長「わかりませんよ! あたしたちは部長の恋を応援するって言ってるんですよ!? 怒る理由なんてないじゃないですか!」

    幼馴染「応援してくれるのはありがたいし、嬉しいよ。そこじゃなくて……」

    元気っ子「まーまー。部長はきっと生理なんだよー。とびっきり重いやつがきてるんじゃないかな」

    副部長「……なるほど。それなら、仕方ないですね」

    幼馴染「違えよ」

    145 = 1 :

    生意気娘「お前ら馬鹿だなー。部長は朝からステップワークを何本もこなしたんだろ? 生理中ならそんなことできねえよ」

    無口っ子「……!」

    元気っ子「それもそうだね……」

    面目っ子「……では、なぜ、部長は機嫌を損ねているのでしょう?」

    生意気娘「そりゃあ、欲求不満だからだろ」

    副部長「なるほど。久しぶりに男さんと触れ合ったことで、抑えていた性欲が……」

    幼馴染「おい、アホレンジャー。いい加減にしろよ」

    146 = 1 :

    副部長「あ、アホレンジャーですと!? あたしたちをそんなふざけた呼び名で愚弄するとはいい度胸です!」

    生意気娘「そうだ! こいつら4人はアホだけど、わたしはまともだ!」

    面目っ子「五人の中で一番、偏差値の低い身体をしている女がまともなわけないでしょう」

    無口っ子「……下品な胸ぶらさげやがって」

    生意気娘「黙ってろ、根暗コンビ。お前らはびくびくしながら静かにしていたほうがお似合いだぜ」

    面目っ子「身長150cm未満の貴女がバスケ部の部室にいるほうが不自然よ」

    無口っ子「……乳牛は牧場に帰れ」

    生意気娘「んだと!?」

    副部長「喧嘩はやめなよ!」

    元気っ子「ねーねー。帰りにさ、銀だこ行こうよー」

    副部長「あんた、状況わかってんの!?」

    幼馴染(もうやだ、この後輩たち……)

    147 = 1 :

    廊下
    元気っ子「怒られちゃったね……」

    無口っ子「……」シュン

    生意気娘「あそこまでキレることねえのに……」

    面目っ子「まぁ、盗み聞ぎした私たちに原因がありますよ」

    副部長「……」

    元気っ子「どうしたの?」

    副部長「部長に何もしなくていいって言われちゃったなぁ……って」

    無口っ子「……全面拒否だった」

    面目っ子「私たち、そんなに信頼ないのでしょうか……」

    生意気娘「そういうんじゃないだろ。部長が言ってただろ、自分の力でなんとかするって。そもそも、人の恋路に干渉しようとしたことが間違ってたんだよ」

    元気っ子「ここはひとまず、引くしかないかあ……」

    面目っ子「それが賢明でしょうね」

    副部長「……部長の力になりたかったなぁ」

    「……」

    148 = 1 :

    土曜日 朝 公園
    幼馴染「ふぅ……。そろそろ、終わりにしようか」

    副部長「何言ってるんですか! まだまだこれからですよ!」

    幼馴染「……どうしたの?」

    副部長「な、なにがですか……?」

    幼馴染「いつもなら、早々に切り上げてベンチで休んでるのに、今日はやけに張り切ってるじゃない」

    副部長「明日は総体予選の準決勝ですよ!? 今、頑張らないでどうするんですか!」

    幼馴染「気合入ってるのはいいことだけど、試合前に負荷をかけすぎても良くないよ」

    副部長「そうかもしれませんが……」

    幼馴染「今日はここまでにしよう。さっ、コンビニでプリンでも……」

    副部長「なるほど。それが狙いですか」

    幼馴染「……」ギクッ

    副部長「男さんとコンビニで待ち合わせしてて、一刻も早く男さんに会いたいから、さっさと終わらせたいんですね?」

    幼馴染「よーし! あと10本やろう! ガンガン負荷かけまくるよー!」

    副部長(……よし。なんとか時間は稼げそう)

    149 = 1 :

    コンビニ前
    「あ、あの……」

    元気っ子「……」ニコニコ

    無口っ子「……」ジー

    面目っ子「……」ジトッ

    生意気娘「……」ギロッ

    (なんだ、これ……)

    150 = 1 :

    今日はここまで


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