元スレ幼馴染「ずっと前は好きだったよ」 男「えっ」
SS+覧 / PC版 /みんなの評価 : ○
101 = 1 :
翌日 朝 公園
副部長「ぶっちょー!」
幼馴染「……お、おはよ」
副部長「なに驚いてるんですか?」
幼馴染「だって、合宿の時はなかなか起きない眠り姫なのに、私よりも早く公園にいるんだもん。そりゃあ、驚くよ」
副部長「ふふん。あたしだってやればできるんです!」
幼馴染「合宿の時にやってくれると嬉しいんだけどね」
102 = 1 :
幼馴染「あれ? なんでボール持ってきてるの?」
副部長「そりゃあ、バスケの練習をするからですよ」
幼馴染「残念だけど、ステップワークしかやりませーん」
副部長「ええ……朝っぱらからハード過ぎませんか……」ウゲェ
幼馴染「そんな嫌そうな顔しないの」
副部長「だってぇ、せっかく早起きしたのにボールを触らないなんて……」
幼馴染「つまらないことをどれだけやるかが重要なんだよ」
副部長「はぁ……」
幼馴染「それにね、ガンガン走った後に食べるプリンは超美味しいんだよ。それだけできついステップワークを頑張れるから」
副部長「……プリン? えっ、プリン食べれるんですか?」
幼馴染「うん! そのうち、おと……」
副部長「部長?」
幼馴染「……練習が終わったら、近くにあるコンビニに買いに行こう」
103 = 1 :
コンビニ
副部長「美味しいー!」
幼馴染「でしょ?」
副部長「はいっ! ただのプリンがこんなに美味しく感じるなんて!」
幼馴染「もっと本数をこなせば美味しくなるよ」
副部長「そこまでしたくはないです……」
幼馴染「私も食べよっと」パクッ
幼馴染「……?」
副部長「あー、おかわりしたくなっちゃった。もう一個たべませんか?」
幼馴染「……」
副部長「どうしたんですか?」
幼馴染「……ううん。なんでもないよ」
幼馴染(……いつもより美味しくない)
104 = 1 :
北高 3年生教室
男「うーす」
男友「……遅くね? 最近はやけに早く登校してたのに」
男「早起きする必要がなくなったんだよ」
男友「まぁ、早起きしても得はないからな。なんなら、起きてもいいことはないまである。そのまま眠り続けていたほうがいいんじゃねえの」
男「そうだな。お前も永眠はしっかりとったほうがいいぞ」
105 = 1 :
男「お前、いつも以上にやる気なさそうだけどどうしたの?」
男友「疲れてんだよ……」
男「あらあらお盛んですなー」
男友「出ました、童貞思考。平日にヤルわけねえだろ。猿じゃあるまいし」
男「まぁ、それもそうか」
男友「つーか、結婚するまで純潔を守るから」
男「そんなこと言ってるから、彼女持ちのくせに童貞なんだよ、お前」
106 = 1 :
男友「つーか、お前も顔色悪くね」
男「ちょっと体がだるくてな」
男友「大丈夫か?」
男「……」
男友「なんだよ、その面は」
男「友が心配してくれるなんて思わなかったからよ」
男友「お前を看病してくれる人なんていないんだから、俺が心配してやらないと可哀想だろ」
男「余計なお世話だ!」
107 = 1 :
昼休み 西高 バスケ部部室
幼馴染「……」ボー
副部長「部長がたそがれてるー」
幼馴染「……副部長?」
副部長「ぶっちょー、恋する乙女の顔してますよ」
幼馴染「し、してないし! ぼーっとしてただけで、あいつのことなんて……」
副部長「あいつ?」
幼馴染「な、なんでもない!」
副部長「やっぱり好きな人できたんでしょー?」
幼馴染「できたわけじゃないもん!」
副部長「だから、なんなんです、それ……」
108 = 1 :
幼馴染「つーか、私に好きな人がいたとしても副部長に教える義務はないから!」
副部長「……そうですよね」
幼馴染「あ、ごめん……」
副部長「あたしがズバリ当ててみせましょう!」
幼馴染「……はい?」
副部長「部長の思い人を絶対に解いてみせる!」
幼馴染「……」
副部長「おばあちゃんの名に懸けて!」
幼馴染「副部長?」
109 = 1 :
副部長「実は怪しい人物を何名かリストアップしてきたんです」
幼馴染「まぁ、面白そうだし付き合ってあげるよ」
副部長「まず一人目は男バスの部長です」
幼馴染「いや、ないから」
副部長「即答!?」
110 = 1 :
幼馴染「だって、あいつ、彼女いるじゃん。彼女がいる男を想い続けられるほど気長な女じゃありませーん」
副部長「でも、相手に恋人がいるほうが、燃えてくるじゃないですか。絶対、振り向かせてみせる! てきな」
幼馴染「そりゃ、副部長はそうかもしれないけど、私は相手の彼女のことを考えると引いちゃうよ」
副部長「潔癖だなあ……。じゃあ、もしも好きな人に彼女ができたらどうしますか?」
幼馴染「それは……」
・
・
・
男『実は俺、彼女出来たんだ』
幼馴染『えっ……えっ!?』
男『だからもう、お前とは会わない』
幼馴染『待って、待ってよ、男!』
男『さよなら』
幼馴染『男―――――――!』
・
・
・
幼馴染「あ、会わなくなるんじゃないかなあ……」ジワッ
副部長「どうしたんですか、部長!?」
111 = 1 :
幼馴染「べ、別に何でもないし!」
副部長「明らかに泣きそうになってましたけど……」
幼馴染「……もうこれで終わりなら、私は次の授業の準備するけど」
副部長「あります! まだありますって!」
幼馴染「じゃあ、さっさと言いなさいよ」
副部長「わ、わかりましたよ……次は軽音部の部長です」
幼馴染「……ああ、去年の文化祭でバンドやってた人?」
副部長「そうです! ボーカルを務めてたイケメンですよ!」
幼馴染「まぁ、あり得ないよね」
副部長「!?」
112 = 1 :
幼馴染「あいつの女癖の悪さ知ってるでしょ?」
副部長「知ってますけど……でも、イケメンですよ? 女なら一度は抱かれてみたくありません?」
幼馴染「そんなに言うほどイケメンかな?」
副部長「どう見たって、イケメンでしょう!? ファンクラブができるほどですよ!?」
幼馴染「まー、私の好みではないかな」
副部長「じゃあ、どんなのがいいんですか?」
幼馴染「そうだなあ……」
・
・
・
男『……』ニコッ
・
・
・
幼馴染「……馬面、かな」
副部長「えぇ……」
113 = 1 :
副部長「部長ってB専なんですね……」
幼馴染「そんなことないと思うけど」
副部長「でも、馬面って、要は面長ってことですよね。……ないわー。マジないわー」
幼馴染「副部長だって人のこと言えないでしょ」
副部長「なんでですかー! あたしはオラオラ系イケメンが大好物な面食いですもん! 馬面が好きなゲテモノ食いの部長とは違います!」
幼馴染「……あえてツッコミをいれないであげたけど、副部長がそこまで馬鹿にするなら、私だって言わせてもらうけどさ」
幼馴染「今、名前が挙がった2人の男は、副部長が好きだった男どもじゃないの! しかも、両方に二股をかけられた上に、ヤリ捨てされたんでしょ!? よくもそんなクズ野郎共を私の彼氏候補として挙げられたわね!」
副部長「ぶ、部長も騙されちゃったかなー、って……」
幼馴染「ヤリ捨てられて落ち込んでる副部長を慰めてたのは、誰?」
副部長「……部長です」
幼馴染「その私が、あの二人と付き合うなんて、わざわざヤリ捨てられに行ってるようなもんじゃないのよ!!」
114 = 1 :
幼馴染「なにがリストアップよ。副部長の過去の男の名前を挙げただけじゃない」
副部長「つ、次が本命なんです!」
幼馴染「誰よ?」
副部長「西高の……」
幼馴染「ち、ちが……」
副部長「部長さんです!」
幼馴染「……何部の?」
副部長「やだなー。女バスに決まってるじゃないですか!」
幼馴染「……」
副部長「ライバル関係の2人が切磋琢磨を重ねていくうちに、相手のいい部分を知っていき、やがて恋に落ちていく……うーん! 美しい百合です!」
幼馴染「ねえよ」
副部長「あ、はい」
115 = 1 :
西高 3年生教室
幼馴染(まったく。副部長のせいで、貴重な昼休みが潰れちゃったじゃない)
幼馴染(……男に彼女ができたら、か。その時、私はどうするんだろう)
幼馴染(まぁ、男に彼女ができるなんてあり得ないか。男のこと好きになるような物好きな女の子なんているわけ……いや、いるか。私がそうなんだから)
幼馴染(それに男が誰かを好きになる可能性だってあるんだ。私以外の誰かを愛おしいって想うことはあり得るんだ)
幼馴染(……男に会いたくなってきた。メールしてみようかな)
幼馴染(……)
幼馴染(ううん。日曜日には会えるんだし、それまで我慢しよう……)
116 = 1 :
>>114 訂正
幼馴染「なにがリストアップよ。副部長の過去の男の名前を挙げただけじゃない」
副部長「つ、次が本命なんです!」
幼馴染「誰よ?」
副部長「北高の……」
幼馴染「ち、ちが……」
副部長「部長さんです!」
幼馴染「……何部の?」
副部長「やだなー。女バスに決まってるじゃないですか!」
幼馴染「……」
副部長「ライバル関係の2人が切磋琢磨を重ねていくうちに、相手のいい部分を知っていき、やがて恋に落ちていく……うーん! 美しい百合です!」
幼馴染「ねえよ」
副部長「あ、はい」
117 = 1 :
今日はここまで
118 :
可愛いなぁ幼馴染ちゃん
119 :
今年を捨て学年にしても、北高って、来年以降もくっそ強くないか?
1年に女妹ちゃんと男友妹ちゃんおるわけでしょ?
120 :
コメントありがとう!
>>118
可愛いって言ってくれてありがとう! 前作のヒロインと比較して、幼馴染は可愛いって言ってもらえないから自信失ってた。
本当にありがとう。今後ともよろしく!
>>119
今後、作中でその辺に言及することはないと思うのでここで回答するね。
北高は1年と3年に有力選手が揃ってる。つまり、2年生の代は谷間の世代。
逆に西高は2年生に有力選手が集まっていて、北高から県内王者の座を奪い返す絶好のチャンス。なので、現3年を捨てて2年の育成に力を入れてるっていうこと。
わかりづらくてごめん。
また疑問に思ったことがあったら、ガンガン質問してね!
121 :
最近ちょっと見てなかったら、続きでてたのかー
応援してるぞ
122 :
>>121
ありがとう!
全力で頑張ります!
123 :
金曜日 朝 公園
副部長「……」ハァハァ
幼馴染「さぁ、ラスト3本だよ。キツイだろうけど頑張ろう」
副部長「あた……しは……よゆ……うですよ」
幼馴染「なに言ってんのよ。息も絶え絶えなくせに」
副部長「な……んで……ぶっちょー……はよゆうなんで……すか」
幼馴染「私は走り込んできたからねー。ステップワークをサボってきた副部長とは違うんです」
副部長「……この体力お化けが」
幼馴染「なんで、悪口を言うときは呼吸整ってんのよ!」
125 = 1 :
・
・
・
副部長「朝練終わりのプリンは格別ですー!」
幼馴染「さらに追い込んだら、もっと美味しいよ」
副部長「そこまでしてまで味わいたくないです……」
幼馴染「そう? 美味しいのに」
副部長「そんなこと言ってるわりには全然食べてないじゃないですか」
幼馴染「……なんか、食欲なくてね」
副部長「やっぱり体調悪いんですか……?」
幼馴染「ううん。そういうわけじゃないけど……」
副部長「……みんな、心配してるんです。最近の部長、元気なさそうだから、どこか悪いのかなって」
126 = 1 :
幼馴染(なにやってんだろ、私。後輩たちに心配をかけるなんて……)
幼馴染「ごめんね。心配かけて……」
副部長「いえ、そんなことはいいんですよ! それよりも部長の体調のほうが……」
幼馴染(しっかりしなきゃ。部長の私がこんなんじゃ、日曜日の総体予選で勝てない)
幼馴染「体調は大丈夫なんだけど……」
副部長「なら、どうして元気ないんですか……」
幼馴染(わかってる、わかってるけど……)
幼馴染「それは……」
幼馴染(男に会いたくてたまらないの……)
127 = 1 :
幼馴染「プライベートでちょっといろいろね……」
幼馴染(男と再会してから、私は弱くなってしまった。一人でいることに耐えられない。彼が傍にいてくれない世界でなんて、もう生きていけない)
副部長「や、やっぱり、好きな人できたんですか!?」
幼馴染「できたわけじゃなくて……」
幼馴染(……そうだ。再会してからじゃないんだ。ずっと前から——男への想いを自覚した小学4年生のあの夏の日から——私は……)
幼馴染「おとこぉ……」グスッ
副部長「ど、どうしたんですか!?」
幼馴染(男がいないとダメなんだ……)
128 = 1 :
幼馴染「あのときだってそうだったのに、どうしてこんなことしちゃったんだろ……男と会えなくなったら、自分がどうなるのか経験してたはずなのに……」
副部長「あのとき? 男……?」
男「俺のこと呼んだ?」
副部長「!!?」
幼馴染「おと……こ……?」
男「な、なんで泣いてんだよ!?」
幼馴染「男ぉぉぉぉ!」ギュウウウウウウウウ
男「どうしたんだよ……」ナデナデ
副部長「……」ポカーン
129 = 1 :
・
・
・
男「ほれ、これ飲んで落ち着け」
幼馴染「……」ギュウ
男「……ほら、キャップ開けてやったから、とりあえず飲め」
幼馴染「……」ゴクゴク
男「お前、どうし……」
幼馴染「……」ギュウウウウウウウウ
男「……あのなぁ」
幼馴染「私が立ち直るまで傍にいてくれるんじゃないの……?」
男「わかった、わかったから、潤んだ瞳で上目遣いするのはやめろ」
130 = 1 :
幼馴染「そういえば、副部長は……?」
男「あの女の子なら、先に学校に行くってよ。……まぁ、ここに居ても気まずいだけだろうしな」
幼馴染「そうだよね……」
男「あの子に謝っておけよ。突然、お前が泣き出したから、さぞかし驚いただろうよ」
幼馴染「……私ね、男と少し会えないだけで、寂しくってたまらないの」
男「まさか、それが泣いていた理由か……?」
幼馴染「うん。自分でも馬鹿だなって思うけど、たった3日間、男と会えなかっただけで私は枯れちゃったんだ」
幼馴染「だからね?」
幼馴染「私のこと潤して……」ギュ
131 = 1 :
幼馴染「……ごめんね、気持ち悪いこと言って」
男「いや、まぁ……俺も同じようなもんだしな……」
幼馴染「えっ?」
男「俺もお前に会いたかったんだよ。だから、ここに来たんだ」
幼馴染「……っ!」ギュウウウウウウウウウウウウウウ
男「痛! 締めすぎだっての!」
132 = 1 :
幼馴染「だ、だって、男が変なこと言うから!」
男「俺も寂しかったんだよ。説明もなしに、来るな、なんてメールを送りつけられるし」
幼馴染「ご、ごめん……」
男「本当だよ。お風邪までひくし最悪だった」
幼馴染「えっ!? 大丈夫なの!?」
男「水、木って二日間学校を休んだけどな。もう大丈夫だよ」
幼馴染「なんで、教えてくれなかったの……」
男「自惚れてるかもしれないけど、風邪をひいたことをメールすれば、幼が見舞いに来てくれるだろ?」
幼馴染「そんなの……当たり前じゃん」
男「でも、総体予選中なのに風邪うつしたら大変だし、早く治して幼の顔を見に行こうって我慢したんだ。……なのに、会いに来てみれば泣いてるし。しかも、抱き着いてるから顔見れねえし」
幼馴染「……」
男「お前の笑顔が見たいんだけどなぁ」
幼馴染「……充電が完了するまでお待ちください」ギュウ
男「はいはい。いくらだって待ちますよ」ナデナデ
133 = 1 :
男「おい。そろそろ学校に行かないと遅刻すんぞ」
幼馴染「……げっ。もうこんな時間なの」
男「30分近く抱き着いてたからなぁ……」
幼馴染「うっさい! むしろ、30分も私に抱きしめられてたんだから、感謝しなさいよ!」
男「……ありがとう。幼に会えて嬉しかった。抱きしめてもらえて安心できたよ」
幼馴染「そんなこと言われたら学校にいけないってばぁ……」ギュウ
男「素直に言えばこれだもんなぁ……」
134 = 1 :
幼馴染「あと10分はこうしてて……」ギュウウウ
男「まぁ、それくらいなら、学校にギリギリ間に合うか」ポンポン
幼馴染「……ねぇ」
男「ん?」
幼馴染「私、男のこと……」
・
・
・
幼馴染『好きになる要素なんかないでしょ』
・
・
・
幼馴染「……」
男「どうした?」
幼馴染「……ううん。なんでもない」
135 = 1 :
今日はここまで
137 :
かわいい奴らだな
ってゆーか、こっちもまた血糖値上がりそうな現象が
138 :
>>136
ありがとう! これからもよろしく!
>>137
コメントありがとう!
前作よりは糖分控えめ、になるはず……
139 :
昼休み バスケ部部室
副部長「で、何も言わずに逃げ帰ってきた、と」
幼馴染「だ、だって、しょうがないじゃない! 今の男を好きになる要素なんかない、って断言しておいて、今さら『ずっと前から好きでした』なんて告白できないよ!」
副部長「そもそも、どうしてそんなこと言ったんですか?」
幼馴染「……今思えば、自分への暗示だったんだと思う。薄れかけていた男への想いが再会をきっかけに蘇らないように、自分に言い聞かせたんだ」
幼馴染「じゃないと、今回のように男のことしか考えられなくなって、バスケに集中できなくなっちゃうから……」
140 = 1 :
幼馴染「高校に入学した頃なんて酷かったんだから。男に会いたい、ってそればっかり考えてた。部活に出ても全然身に入らなくて、顧問に毎日怒られて、先輩たちには失望されて、仕舞いには県選抜まで落ちて……あの時期は人生のどん底だったね」
副部長「そんなに寂しかったのなら会いに行けばよかったのに……」
幼馴染「……当時、何度もそう思ったけど、勇気がなくて会いに行くどころか、メールすることさえできなかったよ。今回だって一緒。メールや電話をすれば、少しは心も安らいだだろうけど、何もできなかった」
副部長「臆病すぎませんか? 今日の男さんの様子を見るかぎり、部長を拒絶したりしませんよ」
幼馴染「……どうしても怖いんだ。嫌われたらどうしようって」
副部長「その気持ちはわからなくもないですが、いつまでも受け身のままでは何も変わりませんよ」
幼馴染「それはそうなんだけど……」
副部長「~~~~~~もう! シャキッとしなさい!」ペチン
幼馴染「!?」
141 = 1 :
副部長「うじうじ悩んでるなんて部長らしくありませんよ! 好きなら、押して押して押し倒してしまえばいいんです!」
幼馴染「お、押し倒す!?」
副部長「そうですよ! 今日なんか、絶好のチャンスだったじゃないですか! なのに……」
副部長「告白寸前で逃げ出すとかどういうことですか!」バンッ
幼馴染「ひぃぃ……」ガタガタ
142 = 1 :
副部長「今度の日曜日にデートするんですよね? そこで決着をつけてきてください!」
幼馴染「買い物するだけで、デートってわけじゃ……」
副部長「……」ギロッ
幼馴染「……善処します」シュン
副部長「部長、恋が実るかどうかはタイミングが重要なんです。いま、このチャンスを逃してしまったら、誰かに男さんを奪われてしまいますよ」
副部長「据え膳食わぬは女の恥です。この好機を必ずものにしてください」
143 = 1 :
幼馴染「……ありがとう、副部長。私、頑張ってみるよ」
副部長「そうですよー! みんな、応援してるんですから、頑張ってください!」
幼馴染「……みんな?」
副部長「はいっ! 西高女子バスケ部、歴代最強との呼び声高い現2年の代のなかでも、5傑と評されるあたしたちがついてます! ねっ、みんな!」
元気っ子「もちろんだよー!」
無口っ子「……」コクリ
真面目っ子「部長の告白が成功するように私が策を考えます」
生意気娘「童貞野郎なんて、色仕掛けすれば楽勝だろ」
幼馴染「……」
副部長「あたしたち、5傑が全力でサポートしますからね!」
幼馴染「……お前ら、全員一列に並んで歯食いしばれ」
副部長「!!!!?????」
144 = 1 :
副部長「ど、どうして怒るんです!?」
幼馴染「普通に考えればわかるでしょ」
副部長「わかりませんよ! あたしたちは部長の恋を応援するって言ってるんですよ!? 怒る理由なんてないじゃないですか!」
幼馴染「応援してくれるのはありがたいし、嬉しいよ。そこじゃなくて……」
元気っ子「まーまー。部長はきっと生理なんだよー。とびっきり重いやつがきてるんじゃないかな」
副部長「……なるほど。それなら、仕方ないですね」
幼馴染「違えよ」
145 = 1 :
生意気娘「お前ら馬鹿だなー。部長は朝からステップワークを何本もこなしたんだろ? 生理中ならそんなことできねえよ」
無口っ子「……!」
元気っ子「それもそうだね……」
真面目っ子「……では、なぜ、部長は機嫌を損ねているのでしょう?」
生意気娘「そりゃあ、欲求不満だからだろ」
副部長「なるほど。久しぶりに男さんと触れ合ったことで、抑えていた性欲が……」
幼馴染「おい、アホレンジャー。いい加減にしろよ」
146 = 1 :
副部長「あ、アホレンジャーですと!? あたしたちをそんなふざけた呼び名で愚弄するとはいい度胸です!」
生意気娘「そうだ! こいつら4人はアホだけど、わたしはまともだ!」
真面目っ子「五人の中で一番、偏差値の低い身体をしている女がまともなわけないでしょう」
無口っ子「……下品な胸ぶらさげやがって」
生意気娘「黙ってろ、根暗コンビ。お前らはびくびくしながら静かにしていたほうがお似合いだぜ」
真面目っ子「身長150cm未満の貴女がバスケ部の部室にいるほうが不自然よ」
無口っ子「……乳牛は牧場に帰れ」
生意気娘「んだと!?」
副部長「喧嘩はやめなよ!」
元気っ子「ねーねー。帰りにさ、銀だこ行こうよー」
副部長「あんた、状況わかってんの!?」
幼馴染(もうやだ、この後輩たち……)
147 = 1 :
廊下
元気っ子「怒られちゃったね……」
無口っ子「……」シュン
生意気娘「あそこまでキレることねえのに……」
真面目っ子「まぁ、盗み聞ぎした私たちに原因がありますよ」
副部長「……」
元気っ子「どうしたの?」
副部長「部長に何もしなくていいって言われちゃったなぁ……って」
無口っ子「……全面拒否だった」
真面目っ子「私たち、そんなに信頼ないのでしょうか……」
生意気娘「そういうんじゃないだろ。部長が言ってただろ、自分の力でなんとかするって。そもそも、人の恋路に干渉しようとしたことが間違ってたんだよ」
元気っ子「ここはひとまず、引くしかないかあ……」
真面目っ子「それが賢明でしょうね」
副部長「……部長の力になりたかったなぁ」
「……」
148 = 1 :
土曜日 朝 公園
幼馴染「ふぅ……。そろそろ、終わりにしようか」
副部長「何言ってるんですか! まだまだこれからですよ!」
幼馴染「……どうしたの?」
副部長「な、なにがですか……?」
幼馴染「いつもなら、早々に切り上げてベンチで休んでるのに、今日はやけに張り切ってるじゃない」
副部長「明日は総体予選の準決勝ですよ!? 今、頑張らないでどうするんですか!」
幼馴染「気合入ってるのはいいことだけど、試合前に負荷をかけすぎても良くないよ」
副部長「そうかもしれませんが……」
幼馴染「今日はここまでにしよう。さっ、コンビニでプリンでも……」
副部長「なるほど。それが狙いですか」
幼馴染「……」ギクッ
副部長「男さんとコンビニで待ち合わせしてて、一刻も早く男さんに会いたいから、さっさと終わらせたいんですね?」
幼馴染「よーし! あと10本やろう! ガンガン負荷かけまくるよー!」
副部長(……よし。なんとか時間は稼げそう)
149 = 1 :
コンビニ前
男「あ、あの……」
元気っ子「……」ニコニコ
無口っ子「……」ジー
真面目っ子「……」ジトッ
生意気娘「……」ギロッ
男(なんだ、これ……)
150 = 1 :
今日はここまで
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