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    元スレ幼馴染「ずっと前は好きだったよ」 男「えっ」

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    51 = 1 :

    「あの名門が20年ぶりに準々決勝敗退だもん。この県内でバスケをやっている人間からすれば嫌味も言いたくなるよ」

    幼馴染「それはこっちの台詞。県ナンバー1のあんたが北高に入学したおかげで県内の勢力図が変わったんだから」

    「やめてよ。私は県ベスト8くらい負けるようなチームでお気楽にバスケしたかったのに、西高が弱体化したせいで、全国常連になったんだからさ」

    幼馴染「なっ……!」

    「全国なんていいことないよ。休みはなくなるしさー。1年のときも2年のときも全国にでたせいで夏休みが潰れたんだから」

    幼馴染「高校生最後の夏休みはたっぷりとエンジョイさせてあげるわ」

    「そうしてもらえるとありがたいけど、新人戦の決勝で20点差の大敗したようなチームには期待できないなぁ」

    52 = 1 :

    幼馴染「……私たちはあれから必死に練習したわ。厳しい練習を重ねて、技術を磨いてきた。西高が全国に返り咲くために、血が滲むような努力をしてきたんだから」

    「その結果が関東大会予選準々決勝敗退?」

    幼馴染「あ、あれは……」

    「貴女が5ファールで退場してから流れ変わったのよね」

    幼馴染「……っ」

    「まぁ、西高は全国の舞台に戻れるよ」

    「君が引退した後に、必ずね」

    53 :


    前作の時も思ったが、スポ根好きなんだな

    54 = 1 :

    >>53
    バスケやらサッカーやってたんで、その影響もあるかもしれないです。
    前回よりはスポ根要素は薄くなりますけどね。

    55 = 1 :

    幼馴染「……今度の土曜日は覚悟してなさい」

    「男くんとデートするの?」

    幼馴染「は、はぁ!? なんで男とデートするのよ!」

    「やっぱり、男くんと知り合いなんだ」

    幼馴染「!!?」

    「まぁ、私が男くんにボディタッチするたびに顔面蒼白になってたもんね。知り合い以上の関係に決まってるか」

    56 = 1 :

    幼馴染「ち、違う!」

    「いや、隠す必要ないでしょ? 別に私は男くんと何かあるわけではないし」

    幼馴染「……なら、なんで一緒にいるのよ」

    「気になる?」

    幼馴染「いいから言いなさいよ!」

    「私が性格悪いの知っていて、回答してもらえると思うほうが間違ってるよ」

    57 = 1 :

    「まっ、これで男くんにメールできる口実ができたわけだし良かったんじゃないの」

    幼馴染「別にメールしなくたって、直接聞くからいいわよ」

    「会う機会あるの?」

    幼馴染「毎日、私の朝練を見に来てくれるからね」

    「……ごめん。ドヤ顔されても困るんだよね」

    58 = 1 :

    金曜日 朝 公園
    幼馴染「……」

    「なにぼーっとしてんだよ」

    幼馴染「男……」

    「ったく、練習サボってていいのかよ」

    幼馴染「あ、あのね……」

    「……なんだよ?」

    幼馴染「えっと、その……」モジモジ

    「トイレに行きたいのか?」

    幼馴染「どうしてそうなるのよ!」ベチン

    59 = 1 :

    「違うのか……?」

    幼馴染「あったりまえでしょ!?」

    「じゃあなんで、もじもじしてんだよ……」

    幼馴染「変態! 変態 変態!!!」ポカポカ

    「痛い! 痛いから!」

    幼馴染「いいじゃん、ドMなんでしょ! これもまた気持ちいいんじゃないの!」

    「俺は言葉責め専門だよ!」

    幼馴染「へ、変態! 変態!! 変態―――!」ベチン

    60 = 1 :

    幼馴染「もう! 変なこと言わないでよね!」

    「解せぬ……」

    幼馴染「なんか言った!?」

    「なにも言ってねえよ……それで、なんだよ? なんか話があるんだろ?」

    幼馴染「き、昨日さ……」

    「昨日?」

    幼馴染「昨日の晩御飯は何食べたの!?」

    「……」

    幼馴染「……」

    「……カレーだけど」

    幼馴染「ああ、そうなんだぁ……」ガックシ

    61 = 1 :

    「そんなこと聞いてどうすんだよ……」

    幼馴染「どうするんだろうね、本当にね……」

    「まぁ、いいや。俺もお前に聞きたいことがあってだな」

    幼馴染「なに!? 私は何も見てないし、聞いてないからね!?」

    「何をだよ……」

    幼馴染「だ、だから、別に……羨ましいだなんて思って……ないんだから……」グスッ

    「ど、どうした!?」

    62 = 1 :

    幼馴染「どうして、あの子は私ができないことをいとも簡単にするの……」

    「あの子……?」

    幼馴染「狡い、狡いよぅ……」ポロポロ

    「お、おい……」゙

    幼馴染「私だって……男と買い物したい……」

    「……えっ」

    幼馴染「一緒にバッシュ選んだりしたかった……」

    「えっ」

    63 = 1 :

    「ち、ちょっと待て! あの子って、女のことか!?」

    幼馴染「そうだよ……昨日、二人が買い物してるとこ見たんだよ……」

    「!?」

    幼馴染「私も男と同じ高校に通ってればあんな風に……」

    「違う! 昨日のアレは違うんだ!」

    幼馴染「私、見たもん……二人で楽しそうに買い物してるとこ見たもん。恋人みたいに買い物してたもん」

    「誤解だって!」

    幼馴染「……見たもん」プイッ

    「な、なんでこうなるんだ……」

    64 = 1 :

    幼馴染「バスケ部の部長なんか知らない、なんて嘘じゃんか……」

    「えっ!? あいつ、部長だったの!?」

    幼馴染「白々しい……」

    「本当に知らなかったんだってば! あいつとそんなに仲良くないしさ」

    幼馴染「……一緒に買い物するほど仲良いじゃん」

    「それは、女がバスケ部だから……」

    幼馴染「私だってバスケ部だもん。男と一緒にいた時間は私のほうが長いもん……」

    幼馴染「……なのにどうして、あの子を選ぶの」

    65 = 1 :

    「俺の話を聞いてくれ」

    幼馴染「……やだ」プイッ

    「いいから聞けって!」グイッ

    幼馴染「……やだ! 絶対聞かない!」ブンブン

    「どうして、そこまで頑ななんだよ!」

    幼馴染「だって……だって、話しを聞いたら、男とあの子が付き合ってることを認めなきゃいけなくなっちゃう……」

    「付き合ってない。あいつはクラスメイトってだけ」

    幼馴染「……嘘だ。ただの同級生なだけで一緒に買い物するわけない」

    「仕方ないだろ。俺の知り合いでバスケやってんのは幼と女だけなんだから。俺の人脈の狭さ舐めんな」

    幼馴染「つまり、私よりあの子を選んだんでしょ……」

    「俺がバッシュを買う理由ってなんだよ。俺がバスケを始めると思うか?」

    幼馴染「……女にプレゼントするためじゃないの」

    「なんで肝心なところはわからないかなぁ」

    幼馴染「な、なによ……」

    「お前にプレゼントしたかったんだよ」

    66 = 1 :

    幼馴染「わ、私に……?」

    「そうだよ。総体前にサプライズでプレゼントしようと思ってな」

    幼馴染「な、なんで……?」

    「お前が頑張ってるから、なにか力になりたかったんだ」

    幼馴染「……っ」

    「まぁ、なんだその……誤解させて悪かったな」

    幼馴染「……やだ。許さない。私をこんなに泣かせて、恥ずかしい思いまでさせたんだから、絶対に許さない」

    「ま、まじか……」

    幼馴染「……買うときは私も一緒に連れていってくれないと許さないんだから」

    「……」

    幼馴染「……」

    「そうだな。一緒に行こうな」

    幼馴染「なににやにやしてんのよ!」ベチン

    67 = 1 :

    幼馴染「あーもう最悪! 朝っぱらからこんなに泣くなんて!」

    「気分転換にプリンでも食うか?」

    幼馴染「……」ジー

    「な、なに……?」

    幼馴染「食べさせて」

    「はっ?」

    幼馴染「ほら、早く」

    「……お前、なに言ってるのかわかってんの?」

    幼馴染「女とは恋人みたいなことをするのに、私とはしないの?」

    「それはさっき説明しただろ」

    幼馴染「はーやーく」

    「いや、だから……」

    幼馴染「早くしろよ、この童貞!!!!!」バチン

    「はいいいいいいいいいいいい!」

    68 = 1 :

    幼馴染「はー、美味しかったぁ」

    「ご満足いただけたようならなによりです……」

    幼馴染「ねぇ」

    「まだなにか?」

    幼馴染「男と一緒にいられて幸せだよ」ニコッ

    「……っ!」カァァァ

    幼馴染「顔真っ赤だよ」

    「こ、この……童貞殺しめ」

    69 = 1 :

    幼馴染「これで明日に向けて気合が入ったでしょ? バイト面接頑張ってね」

    「……そうだな。幼と買い物に行けるように、絶対にバイト受からないとな」

    幼馴染「そうそう! 楽しみにしてからね!」

    「幼も明日試合だよな? 頑張れよ」

    幼馴染「任せてよ。あの女に勝つから」

    幼馴染「……絶対に勝つんだから」

    70 = 1 :

    今日はここまで

    71 :

    おつ
    過去作も知りたい

    72 = 1 :

    >>71
    こちらになります。
    「ずっと前から好きでした!」 後輩「……誰?」
    http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1477304804/

    一応、時系列は同じ時期です。よろしくお願いします。

    73 :

    >>24のやりとりが前作と同じだけど登場人物は関係あるの?

    74 :

    >>72
    一気に読んだわ
    途中でまったく出なくなった男友が主人公なのか

    75 :

    >>73
    前作から名前の表記が変わっただけで、登場人物は同じです。
    また、時系列も同時期です。前作で描き切れなかった部分の話です。

    >>74
    あんなに長いSSを読んでくださってありがとうございます!
    前作における男友が、今作の主人公です!

    76 :

    土曜日 西高 体育館
    「やっほー。男くんに聞けた―?」

    幼馴染「……」ギロッ

    「あれ? 聞けなかったの?」

    幼馴染「試合前よ。黙ってくれない?」

    「たかが練習試合なんだし力抜いていこうよ」

    幼馴染「私にとっては公式戦のようなものなの!」

    「そんなに力んだって結果は変わらないって」

    幼馴染「その減らず口を黙らせてやるわ……!」

    77 = 1 :




    「さて」ダムダム

    幼馴染「……」

    「適当に遊ぶかな」スッ

    幼馴染「やらせない!」ベシッ

    「……へぇ!」

    幼馴染「よ、よし!」

    78 = 1 :




    幼馴染「入れ!」シュッ

    「……」パサッ

    西高部員「部長、ナイシュー!」

    幼馴染「……ふふん」ドヤァ

    「……」

    79 = 1 :

    審判「チャージドタイムアウト!」

    西高 ベンチ
    西高顧問「よし! ナイスゲームだ!」

    西高部員「北高に20点差をつけてリードしてるなんて……!」

    西高顧問「そうだな。新人戦のころとはまったく別のゲームになっている。特に幼、相手のエースを良く抑え込んでいるぞ!」

    幼馴染「は、はいっ!」

    西高顧問「この点差はお前の頑張りによるところは大きい。このまま続けてくれ」

    幼馴染「……っ!」

    西高顧問「期待してるぞ」ポンポン

    幼馴染「~~~~~~はいっ!」グッ

    80 = 1 :

    北高 ベンチ
    北高顧問「おい、このままで終わるなよ! 最低でも10点差以内にするんだ! この点差で負けたりしたら罰走だからな!」

    「あら、ずいぶん弱気だこと。勝たなくていいのかねー」

    1年生部員「でも、この点差だと、逆転は難しいんじゃ……」

    「いや、むしろちょうどいいんじゃないかな」

    1年生部員「へ……?」

    「試合が終わればわかるよ」

    81 = 1 :

    (……残り8分か。そろそろ始めますかね)

    幼馴染「もう北高の時代は終わりよ」

    「気が早いなぁ。試合は終わってないよ」

    幼馴染「この点差じゃ終わったようなもの。逆転なんかできやしない」

    「知らないの? 湘北は残り5分で20点差を逆転したんだよ」

    幼馴染「漫画の話でしょ。これは現実なのよ」

    「そう。これから貴女は残酷な現実を知ることになる」

    幼馴染「なに言って……」

    「私が本気出してると思った?」

    幼馴染「……!」

    82 = 1 :

    夜 公園
    幼馴染「……」

    「やっぱりここに来てたのか」

    幼馴染「男……」

    「幼がいるかと思って面接の帰りに寄ってみたんだけど、正解だったな」

    幼馴染「……っ」

    「プリン買ってきたんだ。一緒に食べようぜ」

    幼馴染「……」ギュウウウウウウ

    「幼……」

    83 = 1 :

    同時刻 ファミレス
    「いやー、美味しかったねえ」

    1年生部員「すみません。奢ってもらって……」

    「いいよいいよ。お互いに、今日はあんまり早く帰るのもアレだろうしさ」

    1年生部員「まあ、確かに……」

    「それに、今日は君も頑張ったし、これはご褒美だよ」

    1年生部員「あたしなんてなにも……」

    「なに言ってるのさ。西高に逆転勝ちできたのは、君がDFを頑張ってくれたからだよ。いくら点を決めても、DFがザルなら追いつくこともできなかっただろうし」

    1年生部員「そうかもしれませんけど。でも、今日のMVPは部長ですよ。ラスト10分であれだけ得点を奪うなんて凄すぎます」

    「そうかな? たいしたことないと思うけどなあ」

    1年生部員「だって、部長がマッチアップしていたのは、西高のキャプテンですよ? あの人、選抜に選ばれていますよね?」

    「選抜って言ってもたかが地区選抜じゃん」

    1年生部員「そりゃ、県選抜の部長と比較したら実力は劣ると思いますけど……」

    84 = 1 :

    「まあ、今日の彼女は良かったとは思うよ」

    1年生部員「ですよね。第3ピリオドまで、部長を抑えこんでましたもん」

    「本当にしつこいDFだったよ」

    1年生部員「……すみません」

    「いいの。抑えこまれたように見せたのは事実だし」

    1年生部員「見せた……?」

    「いやー。開始から凄い気合が入っててさ、うるさいのなんの。しかも、点が入るたびにドヤ顔してくるんだよ? 20点差がついた時なんて、あいつ絶頂を迎えてたんじゃないかな」

    「だからこそ、試合が終わった瞬間の、あの女の顔が最高に笑えたんだけどね」

    85 = 1 :

    1年生部員「え、えっと……」

    「もう少し、希望を持たせてやりたかったんだけどね。あの馬鹿顧問がうるさいから、ラスト20秒で逆転することにしたよ。本当は、ブザービーターで終わらせるつもりだったのに」

    1年生部員「……まさか、わざと相手にリードさせたんですか?」

    「あれ、気付かなかったの? 私が、あんなヘタクソにあれだけやられるわけないじゃん。手を抜いてあげてたんだよ」

    1年生部員「どうしてそんなことを……」

    「だってあの子、私に勝とうと必死だったし。夢くらい見させてあげてもいいじゃない? 実際、幸せだったと思うよ。中学からの宿敵である私をあれだけ打ちのめしたわけだから」 女「さすがにあれだけ挑発的な顔をされると、頭にきたけどね、でも、よかったよ。あの顔が見れたんだから。全てに絶望して、生きる希望を失った、あの醜い顔。写真撮っておけばよかった」

    「本当、幸せの絶頂からどん底に落ちる人間って、見ていて楽しいよね」

    86 = 1 :

    「20点差を逆転されたのか……」

    幼馴染「……馬鹿だよね、私。あの子を抑え込めてるなんて舞い上がっていたけれど、それはただ本気を出してなかっただけなのにね」

    「女が強がってただけだろ」

    幼馴染「ううん。実際、タイムアウト明けから動きが違ったもん。……それまでは別人だったのかと錯覚するほど、スピードが違ったの」

    幼馴染「だから、本当に手を抜いていたんだよ……」

    「な、何のためにそんなことするんだよ!」

    幼馴染「そんなの決まってるじゃん。私なんかに本気を出す価値はないってことだよ」

    87 = 1 :

    「で、でも、お前だって、あの名門で部長になれるくらいの実力なんだろ?」

    幼馴染「……うちの代はね、捨て学年なんだって」

    「なんだよ、それ……?」

    幼馴染「私たちの代は北高が最強で全国に出る見込みがない。逆に2年生は有望な選手が揃っている。それなら、3年生よりも2年生を優先的に起用して育成しよう、っていうのが顧問の方針なんだ」

    「酷い話だな。実力でレギュラーに入れないなら諦めがつくけど、将来的なことを見越して実力の劣る下級生がレギュラーなんてさ」

    幼馴染「……うん。だから、みんなもそれが納得できなくてやめちゃった」

    「だから、3年生が幼しかいないのか……」

    幼馴染「私が部長になれたのはそういう理由なんだよ。3年生は私しかいないから自動的に部長になっただけなの」

    88 = 1 :

    幼馴染「部長だけじゃない。レギュラーに入れたのだってそう」

    「そこまで卑屈になることないだろ。レギュラーを勝ち取ったのは、幼の実力だよ」

    幼馴染「関東大会の予選は準々決勝で負けちゃったんだけど、その試合で私退場したの。退場した時点で15点差つけられて負けてたんだけど、そこから追い上げていったんだ……私の代わりに入った選手が大活躍してね」

    幼馴染「顧問に言われちゃったよ。3年生だから試合に出してるだけだからな、一人くらい3年生を入れておかないといけないから地区選抜クラスでも我慢して起用してるだけだ、って」

    「ひ、酷すぎる! 頑張ってるやつにそんなこと言うなんてあり得ねえよ!」

    幼馴染「仕方ないよ事実だもん。それに、見返してやろうって奮起したし、朝練を始めたことで男と再会もできたしね」

    幼馴染「だからこそ……今日の試合を勝ちたかったんだけどなぁ……」グスッ

    89 = 1 :

    幼馴染「もう……我慢してたのに泣けてきちゃった……」

    「幼は泣き虫だしな」

    幼馴染「そう、だね……。昔から私は事あるごとに泣いてたね」

    「俺が小学校の運動会で転んだ時も高校受験で志望校に落ちた時もお前は泣いてたな」

    幼馴染「……よく覚えてるね」

    「ああ。それで救われたからな」

    幼馴染「私が泣いていることが?」

    「俺が落ち込んだとき幼は必ず傍にいて感情を共有してくれた。嬉しい時は笑って、悲しい時は泣いて、俺に寄り添ってくれた。それがどれだけ幸せなことだったのか、別々の高校に通うようになって痛感したよ」

    幼馴染「男……」

    「……俺は幼みたいに一緒に泣いてやることはできないけど、傍にいる。お前が立ち直れるまで、ずっと」

    「だから、なんつーか、その……思う存分泣いてくれ」

    幼馴染「なによ、それ……泣けとか、馬鹿じゃないの……もう泣いてるっつーの」ギュッ

    「……うん」ポンポン

    幼馴染「……ありがとう」ギュウウウウウ

    「どういたしまして」ナデナデ

    90 = 1 :

    幼馴染「ふぅ……」

    「落ち着いたか?」

    幼馴染「……うん。おかげさまで」

    「そりゃ、良かった」フッ

    幼馴染「……っ!」カァァ

    「ん? どうした、顔真っ赤だけど?」

    幼馴染「……ど、童貞のくせにそんな風に微笑むんじゃないわよ」

    91 = 1 :

    「おい、大丈夫か?」

    幼馴染「な、なんであんたは平気なのよ!?」

    「はぁ?」

    幼馴染「~~~~~プリン! プリン頂戴!」

    「……なんで、口開けてるんですか?」

    幼馴染「いちいち言わなきゃわかんないの!?」

    「それはもうさすがに……」

    幼馴染「私が立ち直るためならなんでもするんじゃないの?」

    「なんでもなんて言ってねえよ!」

    幼馴染「……ダメ?」ウルウル

    「お前、それ反則だろ……」カァァ

    幼馴染「さっきの微笑みのほうがよっぽど反則だったわよ」

    92 = 1 :

    今日はここまで

    94 :

    おっつおっつ

    95 :

    『あ、あのさ、幼……』

    幼馴染『どうしたの、そんな緊張しちゃってさ』

    『今度の金曜日にバイト代が出るんだ』

    幼馴染『……!』

    『来週の日曜日、幼の試合の後、バッシュを買いに行かないか』 

    幼馴染『……』

    『遅くなったけど、お前にプレゼントしたいんだ』

    幼馴染『……本当に遅すぎるよ』

    『わ、悪い……』

    幼馴染『楽しみにしてたんだから、期待を裏切らないでよね!』

    『……おう。任せとけ!』

    96 = 1 :

    一か月後 月曜日 西高 体育館
    幼馴染「じゃ、先に上がるねー」

    副部長「……ぶっちょー」

    幼馴染「なんで、不満そうな顔してるのよ」

    副部長「だってえー、部長、最近帰るの早いんですもん」

    幼馴染「そんなことないけど……」

    副部長「ありますって! 前は1時間くらい残って練習してましたもん! 今はストレッチしたら、すぐ帰るじゃないですか!」

    幼馴染「まぁ、長い時間練習しても効率悪いじゃない? それに、私が練習している間、後輩たちは帰れないから悪い気がしてた」

    副部長「……彼氏でもできました?」

    幼馴染「!!?」

    97 = 1 :

    副部長「女ぽくなったっていうか、色気が出てきたっていうか……肌の艶もいいし、オシャレにも気を使うようになったし。なーんか、男の影がちらちらと見えるんですよねえ」

    幼馴染「彼氏なんかいないよ!」

    副部長「じゃあ、好きな人ができたとか?」

    幼馴染「……」

    副部長「……」

    幼馴染「で、できたっていうわけじゃない!」

    副部長「なんですか、それ……」

    98 = 1 :

    幼馴染「もう変なこと言わないでよ! いい加減にしないと怒るよ!」

    副部長「だってぇ……最近、部長が居残り練習に付き合ってくれないんですもん」

    幼馴染「あ……」

    副部長「前はあたしが納得するまで付き合ってくれたのに……」

    幼馴染「……ごめんね。確かにみんなとの時間が減ってたかもしれない」

    副部長「ほんとですよー。部長は居残り練習しなくてもどんどん上手くなってるし、置いてかれてる気分です!」

    幼馴染「……実は朝練してるんだ」

    副部長「朝練?」

    幼馴染「うん。毎朝、5時に起きて近くの公園で練習してるの。その分、居残り練習を早めに切り上げてたんだ」

    副部長「朝5時かぁ……起きれるかなあ」

    幼馴染「えっ」

    99 = 1 :

    副部長「どこの公園でやってるんですか?」

    幼馴染「南中近くの公園だけど……」

    副部長「あそこですかー! だったら、うちから10分くらいなんで行けます!」

    幼馴染「い、いいよ、悪いし。私が居残り練習に参加するようにするからさ」

    副部長「いーえ。朝5時から起きているのなら、早く寝たほうがいいですって」

    幼馴染「そうだけど……」

    副部長「なにか問題あるんですか?」

    幼馴染「問題っていうか、その……」

    副部長「……誰かと一緒に朝練をしてるとか?」

    幼馴染「何でもない! 何でもないから! 一緒にやろうね!」

    100 = 1 :

    帰り道
    幼馴染(はぁ……。ややこしいことになっちゃったな)

    幼馴染(とりあえず、朝練来ないように男にメールしておこう。日曜日のこととか話しておきたかったんだけどしょうがないか)

    幼馴染(まぁ、メールでやりとりすればいいか)

    幼馴染(……うん。そうだよ。むしろ、毎日会ってたここ最近のほうがおかしいんだ)

    幼馴染(だから、大丈夫。……大丈夫だよね)

    ブーブー
    「珍しいな。幼からメールなんて」


    【しばらくの間、朝練に来ないで】


    「えぇ……」


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