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元スレ照「京ちゃんなんて知らない」京太郎「」
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>>353 子どもは正直
>>353 子どもは正直
照『最初は牌をオープンにしてやってみよう。絵柄がみんなに見えるように倒して』
京太郎『こう?』
照『そう。そして理牌…自分がわかるように順番を入れ替えて』
咲『同じしゅるいのをまとめるといいよ、京ちゃん』
京太郎『…できた!』
照『じゃあ説明しながら打っていこう。まずは……』
・
・
・
京太郎『え、えっと、ロン!』
照『そうだね。私がいま出したのが京ちゃんの当たり牌。点数はどうかな?』
京太郎『えっと…リーチで1、タンヤオで1、あとは…うーん』
咲『平和もついてるよ』
照『平和は最初は分かりづらいよね……京ちゃんの手は3900点だね』
京太郎『…すごい、そんなすぐにわかるんだ』
咲『たくさんやってるからね』フフン
照『京ちゃんもたくさん打ったらすぐにわかるようになるよ』
照『じゃあ次は普通通りに、牌も立てて』
照『…いつもどんな風にやってるか、ちょっとだけ見せてあげる。咲もお願い』
咲『…わかった!』ゴッ
京太郎『……?』
京太郎(いまなんか、さきが……気のせいかな)
咲『カン!』
照『……ポン』
京太郎『……これ』タンッ
照『ロン。タンヤオのみ、1000点』パタッ
咲『お姉ちゃん早いよ…』
照『咲の手が進んでたからね』
照『それより……』チラッ
京太郎『…え、ぼくなにか』
照『…なんでもない。次行こうか』
・
・
・
咲『……』チラッ
照『……』タンッ
京太郎『ポン!』
照『…いい鳴きだね。ちょっとわかってきたかな』
照『けど』
京太郎『?』
咲『…カン!』
咲『カン!…もいっこカン!』
京太郎『…!』
咲『ツモ…嶺上開花、三暗刻三槓子で6000オール!』
照『…まあこうなっちゃうんだけど。あと咲、三麻だから9000オールだね』
京太郎『……』
咲『……京ちゃん』
京太郎『……す』
照『す?』
京太郎『すっごい!』ガタッ
咲『え』
京太郎『なにいまの!りんしゃんかいほー?っいうの?めっちゃかっこいい!』キラキラ
咲『おちついて、おちついてよ京ちゃん…』
・
・
・
照『…どう、だった?』
京太郎『すっごいたのしかった、です!』
咲『わたしも京ちゃんと麻雀できて楽しかった!』
照『咲はあとでちょっとお話し。……それでね京ちゃん』
照『もっと麻雀できるようになりたい?』
京太郎『なりたい!』
照『…それならまたうちに来て。よかったら私と麻雀の特訓しよう』
京太郎『とっくん?……なんかかっこいい!』
咲『とっくん?どういうこと?』
照『京ちゃんと打ってみてわかった。京ちゃんはもっとずっと強くなれる』
照『さっき咲が本気出した時、少し変な感じがしなかった?』
京太郎『うーん、なんか……ちょっとゾクっとした』
咲『』ガーン
照『そう。…それが京ちゃんの力。今日は詳しく言わないけど…』
照『でもまだ京ちゃんも本気を出せてない。それに麻雀に詳しくなれば、もっと…』
京太郎『じゃあ、さきのお姉ちゃんが麻雀のせんせーしてくれるってこと?』
照『うん。京ちゃんがやりたいならだけど』
京太郎『…みやなが先生って、よんだほうがいいですか?』
咲『わたしもみやながだよ』
京太郎『そっか…じゃあ、てる先生』
照『うーん、先生っていうのはちょっと、なんか』
京太郎『じゃあ、……てるさん!てるさんってよんでもいい?』
照『…ちゃん付けでいいんだけどな』
照『でもいいよ。わたしは宮永照、照さんだよ、京ちゃん』
咲さんはやり過ぎだと叱られました
過去幕間を引っ張りすぎると良くないんで早めにこれるよう書き溜める所存
過去幕間を引っ張りすぎると良くないんで早めにこれるよう書き溜める所存
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
照『卓についたら、そっと目を閉じる』
京太郎『……』ギュッ
照『“今から麻雀を打つんだ”って頭の中で繰り返す』
照『そして目を開けて』
京太郎『……』カッ
照『意識を卓にグッと押し付ける』
京太郎『……?』
照『……例えば、京ちゃんが卓に寝転んでいるのを想像して』
照『そこから体を溶かしていって、卓にそのまま溶け込んでいくの』
京太郎『……』
照『……』
京太郎『……むずかしい』
照『……ごめん、私もたとえが悪いと思う』
照『卓についたら、そっと目を閉じる』
京太郎『……』ギュッ
照『“今から麻雀を打つんだ”って頭の中で繰り返す』
照『そして目を開けて』
京太郎『……』カッ
照『意識を卓にグッと押し付ける』
京太郎『……?』
照『……例えば、京ちゃんが卓に寝転んでいるのを想像して』
照『そこから体を溶かしていって、卓にそのまま溶け込んでいくの』
京太郎『……』
照『……』
京太郎『……むずかしい』
照『……ごめん、私もたとえが悪いと思う』
・
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京太郎『さきはどうやってカンできるようになったの?』ゴクゴク
咲『うーん……気がついたらわかるようになってたし、ふつうだと思ってたから…』
京太郎『そっか…』
京太郎『相手の力がなんとなくわかるようになるって、てるさん』
照『はむっ……そう。私の“鏡”に似ている』
京太郎『てるさんのかがみ?はさいしょからあったんですか?』
照『…どうなんだろう。気がついたら私の中にあった』
・
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京太郎『さきはどうやってカンできるようになったの?』ゴクゴク
咲『うーん……気がついたらわかるようになってたし、ふつうだと思ってたから…』
京太郎『そっか…』
京太郎『相手の力がなんとなくわかるようになるって、てるさん』
照『はむっ……そう。私の“鏡”に似ている』
京太郎『てるさんのかがみ?はさいしょからあったんですか?』
照『…どうなんだろう。気がついたら私の中にあった』
照『京ちゃんの中でその力がどんな形になるのか、それはまだわからない』モックモック
照『何がきっかけになるのかも…ただ京ちゃんがそれを理解しようとする、わかろうとするのが大切』
京太郎『りかい…』
照『すこし難しい話をするけど、他の人のことをわかろうとするとき、自分と比べて考えるのはよくあること』
咲『…お姉ちゃんはごはん食べたあとでもおやつをペロッて食べちゃう。わたしはおなかいっぱいじゃ食べられないから、お姉ちゃんは本当にあまいものすきなんだなぁって』
照『……コホン。だから自分にそういう力があることをまず信じること』
京太郎『?てるさんが見てくれたんだからあるんだよね?』
照『ああ、……うん、それならいいの』
照『あとは……咲じゃないけど、それが普通だと思うこと』
照『あって当然だと自分に思い込ませる。そうすればいつかすっと出てくる…と思う』ハムハム
京太郎『…目をつぶったりあけたりするのはどうしてですか?』
照『あれは今から力を使う、そのとっかかりを作るというか、おまじないみたいなもの』
照『だから京ちゃんにぴったりかどうかはわからない。……ごめんね』
京太郎『れんしゅう…してみます』
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
照『麻雀のゲーム。そんなのがあるんだ』
京太郎『お父さんに麻雀のれんしゅうしてるって言ったら教えてくれて。家ではそれでべんきょうしてます』
咲『…京ちゃんパソコン使えるの!?』
京太郎『う、うん…そんなにおかしいかな』
咲『だ、だって…変にさわったらピーピー鳴ったり、ばくはつしたりしない?』
京太郎『しないよ…咲は本の読みすぎ。だれでもつかえるよ』
照『……そうなんだ』ボソッ
京太郎『え?』
照『なんでもない』キリッ
・
・
・
照『そろそろ休憩しようか』パタッ
咲『おやつ持ってくるね』トテトテ
京太郎『ふぅ…』
照『お疲れ様、京ちゃん』
京太郎『うん、つかれた…』
照『……頑張ってるね、京ちゃん』
京太郎『?』
照『まだ始めて三ヶ月くらいだけど、ルールも用語もわかるようになってる』
照『さっきの待ちの問題も点数計算もすぐ答えられるようになったし』
照『偉いなあって』
京太郎『…そうかな』
照『そうだよ』
京太郎『だって…ちゃんと打ちたいし』
京太郎『てるさんと、さきといっしょに』
照『…そっか』
照『……』ナデナデ
京太郎『わわっ……どうしてなでるの』
照『……偉いなあって、思っただけ』
京太郎『もう、そればっかり』
バタン
咲『あー、お姉ちゃんが京ちゃんを子どもあつかいしてる』
京太郎『そんなんじゃない!』
照『……』フッ
水曜に来ると言ったな…スマンありゃウソだった
明日ちょっと早いので無理にならない程度に投下ー
明日ちょっと早いので無理にならない程度に投下ー
======================
カランカラン
イラッシャイマセ
京太郎「すみません、お待たせして」
菫「気にしないでくれ。早く来たくて来てるんだから」
菫「遠くまで来てもらってむしろ申し訳ないくらいだよ」
京太郎「いえそんな。……喫茶店なんて初めて来たかも」
菫「いい雰囲気の店だろう?少し遠いのが玉に瑕だが」
菫「さあ、メニューはこっち。好きなのを注文してくれ」
京太郎「いいんですか?自分の分は出しますよ」
菫「気にしないで、昇格祝いとでも思って」
京太郎「…ありがとうございます」
菫「いろいろあるよ。この『カツカレー 920円』とか」
京太郎「まだ夕食には早いですよ」フフッ
菫「まあ、おすすめはこのケーキセットA、かな。ケーキはお好みで。あとここのコーヒーは美味しい」
京太郎「じゃあそれにしてみます。すみませーん!」
京太郎「他の部員と一緒に来たりもするんですか?照先輩とか」フキフキ
菫「照は何度か一緒に来たかな…ただ通うにはなんせ少し遠いからね。学校から二駅、そこから徒歩十分」
菫「あいつは近所にちゃっかり行きつけを確保してるし」
京太郎「スイーツ目当てですよね」
菫「あいつはな…でも一人では行かないらしい。『読書はどこででもできる』とか言って」
京太郎「読書好きですよね、照さん」
菫「お菓子とどちらが好きかな…昔からそうなのか?」
京太郎「それはもう…いつも本読んでましたよ。で、読み終わったらお菓子、と」
菫「今とさほど変わらないじゃないか…」
京太郎「そうですか」
菫「…嬉しそうだな」
京太郎「…そうですか?」
菫「…まあ、いいんだけど」
菫「さて改めて…いきなり呼び出してすまない。合宿終わったその日で忙しないのは重々承知だ」
菫「…一応名目上は部員との個人面談だけどな」
京太郎「…全員とするんですか」
菫「新入部員だけだけど、ひととおりね。そんなに長く時間かけるものでもないし、大抵は部活中に済ませているから…君が思っているほど忙しくはないよ」
京太郎「……部長の仕事って大変ですね」
菫「さて個人面談らしく…最初は須賀君、君についてだ」
菫「…まあ改めて言うことはないかな。昨日も散々ほめた通り。…よくやってると思うよ」
京太郎「…恐れ入ります」
菫「さて照の見立て、というより元から知ってて当たり前だったんだが…君もまた少し変わった打ち手だそうだな」ペラッ
菫「同卓の打ち方の変化…ありていに言えばオカルトの発動を察知できる」
京太郎「…間違いないです。……照さんのおかげで使えるようになったんですから」
菫「…そうか。…照が師匠か」フッ
京太郎「おかしいですか?」
菫「まあ、ちょっとね。麻雀の腕は一級品だが…普段があんな感じだから」
京太郎「…否定はしませんけど」
菫「とにかく、君はその自分にできることをしっかりと理解して活用している。だからこそ、今の結果に結びついているんだろう」
菫「…目標は全国だ。引き続きともに頑張っていこう」
京太郎「はい、よろしくお願いします」
菫「……まったく」
京太郎「…なにか?」
菫「いやなに、照とは一度も対局してなかっただろう?」
菫「だのに君の力に関しての照の描写が具体的だった。これはもっと早く気づけたはず」
京太郎「いや十分早いですって…」
京太郎「ところでそのレポートみたいなのは」
菫「ああ、照がまとめてくれた。私が頼んだんだ」
京太郎「昨日受け取りました?」
菫「…そうだね、最終的に全員分揃ったのは昨日だったかな…それが?」
京太郎「いえ、ちょっと確認したかっただけです」
>オマタセシマシター
菫「少し話はそれるが…淡のことだ」
京太郎「……また何か」
菫「あいつが何かやらかすのはいつものことだ。もういい加減慣れた」
菫「それよりだな…あいつのクラスでの様子を聞きたい」
京太郎(…おかんかな?)
菫「あんな性格してるから正直迷惑ばかりかけてるんじゃないかと心配で」
菫「淡に直接尋ねても大丈夫大丈夫!としか返ってこないし」
菫「部員でしかも同じチームの一員として教育が行き届かないのは私にも責任はあるし」
京太郎(おかんだなこれ)
京太郎「…まああんなんですけど仲良くやってますよ、心配しすぎです」
菫「…そうかな」
京太郎「俺が保証しますよ。…うちの部員だったら一応◯◯さんと××さんも同じクラスで割と親しくしてるので、尋ねてみてもいいかもしれません」
菫「わかった。そうしてみよう」
京太郎「…部長、俺にできることならやりますから、何もかも背負い込まないでくださいね」
菫「…背負えるほど広い背中でもないさ」
カチャカチャ
菫「……ふぅ、やはり美味しいな」
京太郎「先輩もブラックですか」
菫「気分にもよるけどな。甘いケーキにはブラックが合う」
京太郎「同感です」フッ
菫「さて、本題に入ろうか」
京太郎「…はい」
京太郎(先輩の雰囲気が変わった)
京太郎(眼光は鋭く普通よりもさらに精悍で、底まで見透かされる…そんな気さえする)
京太郎(かといって圧制的でもない、温かさも確かに感じられる)
京太郎(…親衛隊の皆さんの気持ちが少しわかる気がする。これが…カリスマってやつか)
菫「まずお互いにスタンスをはっきりさせておきたい」
京太郎(スタンス…?)
菫「今からここにいるのは部長としてではなく、照の一友人としての弘世菫だ」
菫「…照はうちの大エース、不可欠な存在だが……
それ以前に、私にとっては大切な友人だ」
京太郎「……」
菫「君は妹さんとも親交があるから、きっと私よりも考えなければならないことが多いはずだ」
菫「だが私は…照のことを第一に考えて発言する。気を悪くしないでくれ」
京太郎「…わかりました」
京太郎(俺の…番だな)
京太郎「俺は…照さんと咲に仲直りして欲しいと思っています、できれば」
京太郎「でも、部にとっても照さんにとってもこれからの時期が大事だとわかってるつもりです」
京太郎「それに強制できるものでもないですし…突き詰めると二人の問題じゃないですか」
菫「…明け透けだな」
京太郎「…いろいろ悩んだ末です」
菫「そうか。すまない」
京太郎「いえ。……それに今は白糸台麻雀部の一員ですから。マイナスになるようなことはしたくないです」
菫「照にとってプラスでも、部にとってマイナスになるようなことだったら?」
京太郎「その時は部長がさっき宣言した、そのスタンスで行動します」
菫「…一本取られたな」
京太郎「いえ……自分の言葉でなくてすみません」
菫「いや十分伝わったよ、君の気持ちは」
菫「認識のすり合わせから…始めていこう」
菫「…どんなことで仲違いしたかは聞いているか?」
京太郎「ぼんやりとですが。…先輩は?」
菫「…麻雀は好きではないと、あいつは言ってた」
京太郎「……」
菫「何があったかは知らないが……照と妹さんの…咲ちゃんは麻雀が原因で険悪な仲になった」
菫「きっかけは些細なことだったのかもしれない。でも積もり積もった感情はある日爆発して、日常に大きな亀裂が走った」
京太郎「…さすがですね」
菫「褒められても嬉しくはないがな。……タイミングがよくなかったんだろう?」
京太郎「はい。照さんと咲の両親は、……すでにその時別居することを決めていたようです。照さんは」
京太郎「何も言わずに何処かへ行ってしまいました」
菫「君にも別れを告げずに?」
京太郎「…はい」
菫「……どう思った?」
京太郎「…辛かったですよ。照さんと咲と三人で過ごす時間は…かけがえのないものでした、俺にとって」
京太郎「それが消えた、二度と手に入らないところへ行ってしまった。そう感じました」
京太郎「咲は…泣いてました。私が悪いんだって。私がお姉ちゃんを怒らせちゃったって。それも辛かった。責める気にすらなれなかった」
菫「……」
京太郎「…でも結局は、
自分が何もできなかったのが一番辛かったんだと思います」
京太郎「俺が咲から事実を聞いた時は、もう照さんがその場にいた証拠のようなものは全部なくなっていて」
京太郎「もう三人で打てない麻雀卓が残っていただけで」
京太郎「…照さんがいなくてよかったと、一瞬思いました」
菫「…どういうことだ?」
京太郎「……万が一照さんに会えていたところで、引きとめられていた自信もなかったんですよ」
京太郎「弟子気取りの小学生が何か言ったところで…いや、何も言えなかったかもしれない」
京太郎「拒絶されるのも怖かった。想像するだけで……だから、俺は安心したんです。そういう可能性を目の当たりにせずに済んで」
菫「……」
京太郎「…嫌われるとかそういうことを考えたこともなかった、そういう間柄だったんです。少なくとも俺にとってこの三人は」
京太郎「だからなおさら混乱しました。混乱しながら、泣きじゃくる咲を目の前にしておろおろしていました」
京太郎「その時約束したんです。『必ず仲直りさせてやる』って」
菫「それは…」
京太郎「考えなしに口から出てきたんです。…俺もどうしたらいいかわからなかった。でも行動の指針が欲しかったんでしょう」
京太郎「だからそれは無意識ながらの自分への誓いでした。…咲には申し訳ないですけど」
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