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元スレ梨子 「ひぐらしのなく頃に」
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~その頃 黒澤家前~
千歌 「携帯…切った方がいいよね。会話中に携帯とか鳴らしたら日本刀で斬られるかも…!」
梨子 「千歌ちゃんは黒澤家をなんだと思ってるの…?」
千歌 「まぁ冗談はこのくらいにして…」
梨子 「半分本気だったでしょ」
千歌 「…ルビィちゃんはいないよね?」
梨子 「朝には外出したって。多分そろそろ曜ちゃんと合流する頃だと思うよ」
千歌 「すごいなぁ…私なんて待ち合わせのギリギリに家出るのに」
千歌 「携帯…切った方がいいよね。会話中に携帯とか鳴らしたら日本刀で斬られるかも…!」
梨子 「千歌ちゃんは黒澤家をなんだと思ってるの…?」
千歌 「まぁ冗談はこのくらいにして…」
梨子 「半分本気だったでしょ」
千歌 「…ルビィちゃんはいないよね?」
梨子 「朝には外出したって。多分そろそろ曜ちゃんと合流する頃だと思うよ」
千歌 「すごいなぁ…私なんて待ち合わせのギリギリに家出るのに」
梨子 「千歌ちゃんは時間にルーズすぎ。…さて、そろそろ行こっか」
千歌 「うん…。緊張するなぁ…」
梨子 「昔は協力関係だったんでしょ。その時の感覚で行けば大丈夫よ」
千歌 「うん、頑張る!」
ーーーーーー
ーーーー
ーー
千歌 「うん…。緊張するなぁ…」
梨子 「昔は協力関係だったんでしょ。その時の感覚で行けば大丈夫よ」
千歌 「うん、頑張る!」
ーーーーーー
ーーーー
ーー
~黒澤家 客間~
黒澤母 「…………。」
ダイヤ 「…………。」
千歌 「…………。」
梨子 「…………。」
千歌 (ほ、ほら梨子ちゃん! なにか話してよ!)
梨子 (えぇっ!? 無理よ、こんな空気で話を切り出すなんて…)
千歌 (私だって無理だってぇ…)
黒澤母 「……あの」
千歌 「ひゃいっ!?」
黒澤母 「…………。」
ダイヤ 「…………。」
千歌 「…………。」
梨子 「…………。」
千歌 (ほ、ほら梨子ちゃん! なにか話してよ!)
梨子 (えぇっ!? 無理よ、こんな空気で話を切り出すなんて…)
千歌 (私だって無理だってぇ…)
黒澤母 「……あの」
千歌 「ひゃいっ!?」
黒澤母 「なにか御用があったのではないですか? 高海さんがどうしてもと仰るので、こちらも予定をあけたのですが…」
千歌 「ご、ごめんなさい! 用事はちゃんとあって、その…」
ダイヤ 「……はぁ。あなた方2人で来られたということは、あの話でしょう?」
梨子 「……はい。内浦の怒りについて、ダイヤさんが知っていることを教えて欲しいんです」
黒澤母 「申し訳ありませんが、黒澤家の敷地内でそのような話は…」
梨子 「お願いしますっ! どうしても、この呪いの原因を突き止めなくちゃいけないんです!」
千歌 「ご、ごめんなさい! 用事はちゃんとあって、その…」
ダイヤ 「……はぁ。あなた方2人で来られたということは、あの話でしょう?」
梨子 「……はい。内浦の怒りについて、ダイヤさんが知っていることを教えて欲しいんです」
黒澤母 「申し訳ありませんが、黒澤家の敷地内でそのような話は…」
梨子 「お願いしますっ! どうしても、この呪いの原因を突き止めなくちゃいけないんです!」
黒澤母 「…あなた、過去に何かありまして?」
梨子 「えっ…?」
黒澤母 「この街に越してきて1ヶ月程と聞きます。それなのにそれほどのお覚悟…過去に何か呪いによる被害を受けたように感じます」
千歌 「梨子ちゃん…」
ダイヤ 「あなたの目は、まるで狂人化事件の被害者の目と同じです。この呪いに対して、確かな恨みがあるような…」
黒澤母 「ダイヤさん」
ダイヤ 「…失礼しました、お母様」
梨子 「えっ…?」
黒澤母 「この街に越してきて1ヶ月程と聞きます。それなのにそれほどのお覚悟…過去に何か呪いによる被害を受けたように感じます」
千歌 「梨子ちゃん…」
ダイヤ 「あなたの目は、まるで狂人化事件の被害者の目と同じです。この呪いに対して、確かな恨みがあるような…」
黒澤母 「ダイヤさん」
ダイヤ 「…失礼しました、お母様」
黒澤母 「…私共とて、呪いの原因究明を諦めた訳ではありません。しかし、ウイルス性の感染症などという根も葉もない噂を信じ、市民に警告をするような有様」
ダイヤ 「私共も、もうお手上げの状態なのです」
千歌 「…梨子ちゃん、どう思う?」
梨子 「…嘘をついてるようには思えない。問題は、神具のことを認知しているかどうか」
ダイヤ 「神具…? 神社などに祀られているものですか?」
梨子 「淡島神社…かつてあの神社に、とある神具が祀られていたことをご存知ですか?」
ダイヤ 「私共も、もうお手上げの状態なのです」
千歌 「…梨子ちゃん、どう思う?」
梨子 「…嘘をついてるようには思えない。問題は、神具のことを認知しているかどうか」
ダイヤ 「神具…? 神社などに祀られているものですか?」
梨子 「淡島神社…かつてあの神社に、とある神具が祀られていたことをご存知ですか?」
黒澤母 「淡島神社のことは存じておりますが、神具のことは今初めて…」
千歌 「黒澤家でも、知らないことはあるんですね」
梨子 「ちょっ…千歌ちゃん!」
黒澤母 「ふふっ、黒澤家とて、街のことを隅から隅まで把握出来ている訳ではありません。もし全てを知っていたら、そもそもこんな呪いにこの街を蝕ませたりするものですか」
当主様は自虐的に笑って見せた。
…なんだか、必要以上に緊張していたことが、馬鹿らしく思えた。
黒澤母 「…それで? その神具とやらがこの呪いに関係しているとでも?」
千歌 「黒澤家でも、知らないことはあるんですね」
梨子 「ちょっ…千歌ちゃん!」
黒澤母 「ふふっ、黒澤家とて、街のことを隅から隅まで把握出来ている訳ではありません。もし全てを知っていたら、そもそもこんな呪いにこの街を蝕ませたりするものですか」
当主様は自虐的に笑って見せた。
…なんだか、必要以上に緊張していたことが、馬鹿らしく思えた。
黒澤母 「…それで? その神具とやらがこの呪いに関係しているとでも?」
梨子 「はい。実はその神具は人に使うと、その者のありったけの感情を引き出し、その後に無気力症に陥れるらしいんです」
ダイヤ 「…話を聞く限り、内浦の怒りと一致していますわね」
黒澤母 「淡島神社のことの資料でしたら、書庫に幾らかあるかも知れません。すぐに探させます」
当主様は使いに書庫から淡島神社の資料を探すよう命じ、手元にあったお茶を上品に飲み干した。
ダイヤ 「…では、本が見つかりましたら私からお伝えします」
黒澤母 「よろしくお願いします、ダイヤさん。…では、私はこれで」
梨子 「待ってください! …もう一つ聞きたいことが」
ダイヤ 「…話を聞く限り、内浦の怒りと一致していますわね」
黒澤母 「淡島神社のことの資料でしたら、書庫に幾らかあるかも知れません。すぐに探させます」
当主様は使いに書庫から淡島神社の資料を探すよう命じ、手元にあったお茶を上品に飲み干した。
ダイヤ 「…では、本が見つかりましたら私からお伝えします」
黒澤母 「よろしくお願いします、ダイヤさん。…では、私はこれで」
梨子 「待ってください! …もう一つ聞きたいことが」
ダイヤ 「聞きたいこと?」
千歌 「……。」
梨子 「はい。ダイヤさんの妹…黒澤ルビィちゃんのことです」
黒澤母 「…っ! あなた…!」
梨子 「…その反応、やっぱり何もないとは思えませんね」
梨子 「単刀直入にお聞きします。どうして実の娘を捨てるような真似をしたんですか?」
黒澤母 「……? 捨てる?」
千歌 「……。」
梨子 「はい。ダイヤさんの妹…黒澤ルビィちゃんのことです」
黒澤母 「…っ! あなた…!」
梨子 「…その反応、やっぱり何もないとは思えませんね」
梨子 「単刀直入にお聞きします。どうして実の娘を捨てるような真似をしたんですか?」
黒澤母 「……? 捨てる?」
梨子 「ルビィちゃんから直接聞きました。私が未熟だったから、黒澤家に見捨てられた…と」
ダイヤ 「ルビィ、そんなことを…」
黒澤母 「…私は、ルビィを捨てるようなことはしていません」
梨子 「でも、ルビィちゃんが確かに…!」
ダイヤ 「ルビィは勘違いしているのです。おそらく私達の意図を汲み取れていないのですわ」
梨子 「……それって、どういう…」
言い終わる前に、私の携帯に電話がきた。
この場の空気を一掃するかのように鳴り響いた着信音によって、私たちの会話は遮られてしまった。
ダイヤ 「ルビィ、そんなことを…」
黒澤母 「…私は、ルビィを捨てるようなことはしていません」
梨子 「でも、ルビィちゃんが確かに…!」
ダイヤ 「ルビィは勘違いしているのです。おそらく私達の意図を汲み取れていないのですわ」
梨子 「……それって、どういう…」
言い終わる前に、私の携帯に電話がきた。
この場の空気を一掃するかのように鳴り響いた着信音によって、私たちの会話は遮られてしまった。
梨子 「…電話? 曜ちゃんからだ」
千歌 「ちょっ…ちょっと梨子ちゃん! 斬られるよ!」
梨子 「まだ言ってたの…」
黒澤母 「お友達からですか? …どうぞ、出てください」
梨子 「すいません、少し失礼致します」
通話ボタンを押し、客間を後にする。
廊下に出てから携帯を耳にあてると曜ちゃんに突然大きな声を出され、思わず「きゃぁっ!?」と声が漏れる。
曜 「た、助けて梨子ちゃん!!」
梨子 「どど、どうしたの曜ちゃん…そんなに慌てて」
千歌 「ちょっ…ちょっと梨子ちゃん! 斬られるよ!」
梨子 「まだ言ってたの…」
黒澤母 「お友達からですか? …どうぞ、出てください」
梨子 「すいません、少し失礼致します」
通話ボタンを押し、客間を後にする。
廊下に出てから携帯を耳にあてると曜ちゃんに突然大きな声を出され、思わず「きゃぁっ!?」と声が漏れる。
曜 「た、助けて梨子ちゃん!!」
梨子 「どど、どうしたの曜ちゃん…そんなに慌てて」
曜 「大変なんだよ…街の人が! 街の人がぁっ!」
梨子 「よ、曜ちゃん。少し落ち着いて…」
ダイヤ 「梨子さん! 少しよろしいですか?」
梨子 「ダイヤさん…?」
ダイヤ 「電話先のお相手…もしや外におられるのですか?」
梨子 「えっ、はい。曜ちゃんが駅前に」
ダイヤ 「すいません、少し貸してください!」
私の返事を待たず、ダイヤさんは私の携帯を無理やり奪い取った。
梨子 「よ、曜ちゃん。少し落ち着いて…」
ダイヤ 「梨子さん! 少しよろしいですか?」
梨子 「ダイヤさん…?」
ダイヤ 「電話先のお相手…もしや外におられるのですか?」
梨子 「えっ、はい。曜ちゃんが駅前に」
ダイヤ 「すいません、少し貸してください!」
私の返事を待たず、ダイヤさんは私の携帯を無理やり奪い取った。
ダイヤ 「もしもし曜さん!? そちらの現状を教えてください!」
曜 「ダイヤさん!? いやその…街の人達が一斉に狂人化しちゃって…!」
梨子 「嘘…!」
曜 「私みたいにずっと外にいた人とかは大丈夫なんですけど、室内にいた人はみんな…!」
ダイヤ 「一斉に狂人化…? そんなことがあるわけないでしょう!」
曜 「でも本当なんです! とにかく街が今大混乱で…!」
ダイヤ 「……っ! お母様!」
ダイヤさんは私に携帯を乱暴に返し、客間へと戻って行った。私もダイヤさんに続き、部屋に戻る。
曜 「ダイヤさん!? いやその…街の人達が一斉に狂人化しちゃって…!」
梨子 「嘘…!」
曜 「私みたいにずっと外にいた人とかは大丈夫なんですけど、室内にいた人はみんな…!」
ダイヤ 「一斉に狂人化…? そんなことがあるわけないでしょう!」
曜 「でも本当なんです! とにかく街が今大混乱で…!」
ダイヤ 「……っ! お母様!」
ダイヤさんは私に携帯を乱暴に返し、客間へと戻って行った。私もダイヤさんに続き、部屋に戻る。
千歌 「梨子ちゃん…! 大変なんだよ、今沼津中で狂人化が!」
梨子 「うん。今曜ちゃんから聞いたとこ。でもどうして…」
ダイヤ 「こんな時にルビィは一体どこへ…」
梨子 「…! ルビィちゃんなら多分…。もしもし曜ちゃん?」
曜 「それが…ルビィちゃんがまだ来てないんだ。約束の時間から1時間は経ってるのに!」
ダイヤ 「そんなことありえません! ルビィは誰よりも時間に律儀です!」
梨子 「うん。今曜ちゃんから聞いたとこ。でもどうして…」
ダイヤ 「こんな時にルビィは一体どこへ…」
梨子 「…! ルビィちゃんなら多分…。もしもし曜ちゃん?」
曜 「それが…ルビィちゃんがまだ来てないんだ。約束の時間から1時間は経ってるのに!」
ダイヤ 「そんなことありえません! ルビィは誰よりも時間に律儀です!」
大混乱、まさにその状態。
沼津中で狂人化が起こり、曜ちゃんは今必死で逃げ回っている。
ルビィちゃんは行方不明…もう私達は、何から手をつけたら良いのか分からなくなっていた。
梨子 「ダイヤさん…一体どうすれば…!」
ダイヤ 「そんな、こんな状況私には! お母様、一体私達は何をすれば…!」
黒澤母 「…………。」
ダイヤ 「……お母様?」
当主様は、一向に黙り込んでいた。
…やっと口を開いたと思えば、ボソボソと何かを呟きながら、客間から出ていってしまった。
沼津中で狂人化が起こり、曜ちゃんは今必死で逃げ回っている。
ルビィちゃんは行方不明…もう私達は、何から手をつけたら良いのか分からなくなっていた。
梨子 「ダイヤさん…一体どうすれば…!」
ダイヤ 「そんな、こんな状況私には! お母様、一体私達は何をすれば…!」
黒澤母 「…………。」
ダイヤ 「……お母様?」
当主様は、一向に黙り込んでいた。
…やっと口を開いたと思えば、ボソボソと何かを呟きながら、客間から出ていってしまった。
千歌 「…? 当主さん?」
2.3分経っただろうか。
突然客間の障子が、勢いよく蹴り飛ばされた。
そこにいたのは、日本刀を携える当主様だった。
ダイヤ 「お、お母様…!?」
千歌 「や、やっぱり日本刀持ってたんじゃん!」
梨子 「当主様…!? お願いします、落ち着いて!」
私たちの言葉は届く気配すらなかった。
もう私達は、逃げることしか出来なかった。
ーーーーーー
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2.3分経っただろうか。
突然客間の障子が、勢いよく蹴り飛ばされた。
そこにいたのは、日本刀を携える当主様だった。
ダイヤ 「お、お母様…!?」
千歌 「や、やっぱり日本刀持ってたんじゃん!」
梨子 「当主様…!? お願いします、落ち着いて!」
私たちの言葉は届く気配すらなかった。
もう私達は、逃げることしか出来なかった。
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梨子 「あれも狂人化ですか!?」
ダイヤ 「…おそらく。お母様は突然あのような行動をとるお方ではありません」
…必死で走っている内に街へ出た。
そこに広がっていた光景は、地獄だった。
千歌 「あれ……もしかして…死体…?」
ダイヤ 「あっ……あぁぁぁ…あぁぁ!!!」
梨子 「酷い…」
おそらく狂人化した人にやられたのだろう。
体は刃物で何回も刺されたのか、傷だらけの死体が目に見える範囲だけでも3体はあった。
ダイヤ 「…おそらく。お母様は突然あのような行動をとるお方ではありません」
…必死で走っている内に街へ出た。
そこに広がっていた光景は、地獄だった。
千歌 「あれ……もしかして…死体…?」
ダイヤ 「あっ……あぁぁぁ…あぁぁ!!!」
梨子 「酷い…」
おそらく狂人化した人にやられたのだろう。
体は刃物で何回も刺されたのか、傷だらけの死体が目に見える範囲だけでも3体はあった。
梨子 「どうして…どうしてこんなことに…っ!」
――体に電撃が走った、そんな感覚がした。
左腕が自由に動かない。
……違う。左腕が“無い”んだ。
千歌 「…………!」
ダイヤ 「梨子さんっ!!!」
――体に電撃が走った、そんな感覚がした。
左腕が自由に動かない。
……違う。左腕が“無い”んだ。
千歌 「…………!」
ダイヤ 「梨子さんっ!!!」
最後の気力を振り絞り、後ろを振り向く。
日本刀を構えた当主様がそこにいた。
私めがけて日本刀を再び振りかぶる。
梨子 (……ここまでなんだ、私)
救えなかった。
また、この街を救えなかった。
日本刀を構えた当主様がそこにいた。
私めがけて日本刀を再び振りかぶる。
梨子 (……ここまでなんだ、私)
救えなかった。
また、この街を救えなかった。
…………“また”?
自分の頭の中によぎったこの言葉に、とてつもない違和感を覚えた。
この言い方ではまるで、私が以前にもこの街を救えなかった経験があったみたいではないか。
梨子 「……私は、何を…」
……ひぐらしのなく声が、微かに聞こえる。
今の時期では、少し季節外れだろうか。
確か、ここに越してきた時もひぐらしが鳴いていたっけ。
自分の頭の中によぎったこの言葉に、とてつもない違和感を覚えた。
この言い方ではまるで、私が以前にもこの街を救えなかった経験があったみたいではないか。
梨子 「……私は、何を…」
……ひぐらしのなく声が、微かに聞こえる。
今の時期では、少し季節外れだろうか。
確か、ここに越してきた時もひぐらしが鳴いていたっけ。
……私はあの時、人を信じることが得意ではなかった。だから、一番信じるべき人間を疑ってしまった。あれは私の失態。
その失態が招いた惨劇…千歌ちゃんの狂人化。
そして次は…思いを口にすることが出来なかった。しっかり相手を信じていたのに、それを相手に伝えきれなかった。
その結果引き起こった惨劇…この街の終わり。
梨子 (……そっか、全部思い出した)
その失態が招いた惨劇…千歌ちゃんの狂人化。
そして次は…思いを口にすることが出来なかった。しっかり相手を信じていたのに、それを相手に伝えきれなかった。
その結果引き起こった惨劇…この街の終わり。
梨子 (……そっか、全部思い出した)
私がこの街に越してきたのは、もう3度目。
そして3回とも惨劇を食い止められなかった。
…前回私言ってたっけ。「絶対に失敗しない」って。馬鹿みたい。
梨子 (…………。)
ふと、自分の携帯が光っていることに気付く。
1時間ほど前に、果南さんからメールがあったみたいだ。
そして3回とも惨劇を食い止められなかった。
…前回私言ってたっけ。「絶対に失敗しない」って。馬鹿みたい。
梨子 (…………。)
ふと、自分の携帯が光っていることに気付く。
1時間ほど前に、果南さんからメールがあったみたいだ。
ダイヤ 「うぐぅっ……!」
千歌 「ダイヤさんっ!」
ダイヤさんが私を庇い、体を斬られる。
梨子 (ごめんなさい…ダイヤさん。私のせいです…わたしが何も覚えてなかったから…!)
千歌 「ダイヤさんっ!」
ダイヤさんが私を庇い、体を斬られる。
梨子 (ごめんなさい…ダイヤさん。私のせいです…わたしが何も覚えてなかったから…!)
――自分でも不思議だ。
私の体は、まだ諦めようとしていないらしい。
携帯を開き、果南さんのメールを確認する。
……せめて、今回がダメだとしても、“次”にヒントが残せれば。
梨子 (……ダイヤさんがくれた時間、無駄にしません!)
私の体は、まだ諦めようとしていないらしい。
携帯を開き、果南さんのメールを確認する。
……せめて、今回がダメだとしても、“次”にヒントが残せれば。
梨子 (……ダイヤさんがくれた時間、無駄にしません!)
9/14 (土)15:30
From : 松浦 果南
宛先 : 高海 千歌 渡辺 曜 桜内 梨子
件名 : 気をつけて
ーー
ダイヤからメールがあったんだけど、狂人化を引き起こすウイルスが、今日突然活性化してるって噂が広がってるみたい。
情報源がわからないんだけど、用心するに越したことはないね。今日はできるだけ外に出ない方がいいかも。
あと空気清浄機はちゃんと付けておいてってダイヤが言ってたよ。
気をつけてね
From : 松浦 果南
宛先 : 高海 千歌 渡辺 曜 桜内 梨子
件名 : 気をつけて
ーー
ダイヤからメールがあったんだけど、狂人化を引き起こすウイルスが、今日突然活性化してるって噂が広がってるみたい。
情報源がわからないんだけど、用心するに越したことはないね。今日はできるだけ外に出ない方がいいかも。
あと空気清浄機はちゃんと付けておいてってダイヤが言ってたよ。
気をつけてね
梨子 (ウイルス…。本当にこれは、ウイルスによるものなのかな)
梨子 (なにかもっと別の…大切なことを見落としている気がしてならない…)
梨子 (でもありがとう、果南さん。)
梨子 (次の沼津は、必ず救って見せます…! だから今回は…)
梨子 (許して…ください)
最後の一撃を喰らい、私の意識は完全に闇の中へと溶け込んでいった。
ーーーーーー
ーーーー
ーー
梨子 (なにかもっと別の…大切なことを見落としている気がしてならない…)
梨子 (でもありがとう、果南さん。)
梨子 (次の沼津は、必ず救って見せます…! だから今回は…)
梨子 (許して…ください)
最後の一撃を喰らい、私の意識は完全に闇の中へと溶け込んでいった。
ーーーーーー
ーーーー
ーー
本日はここまでとさせていただきます。
次回、最終編(回答編)です。
ここまで読んでいただきありがとうございました。ぜひ最後までお付き合い下さい
次回、最終編(回答編)です。
ここまで読んでいただきありがとうございました。ぜひ最後までお付き合い下さい
一度目なら、今度こそはと私も思う。
避けられなかった惨劇に。
二度目なら、またもかと私は呆れる。
避けられなかった惨劇に。
三度目なら、呆れを超えて苦痛となる。
そして苦痛は決意に変わる。
この街に越してくるのは、これが最後だと。
避けられなかった惨劇に。
二度目なら、またもかと私は呆れる。
避けられなかった惨劇に。
三度目なら、呆れを超えて苦痛となる。
そして苦痛は決意に変わる。
この街に越してくるのは、これが最後だと。
~8月26日(月)桜内家新居~
梨子母 「梨子ー! 荷物運ぶの手伝いなさいよ!
ほとんどあなたの本でしょー!?」
梨子 「分かってるー」
ここ内浦に越してくるのは“4度目”だが、ひぐらしの声が煩く響いているのは変わらない。
荷物を運んでいると、隣家から出てきた千歌ちゃんと目が合う。…まだ向こうは私を知らないから、会釈程度でその時の挨拶は終わった。
梨子 「千歌ちゃん…」
…よし、覚えてる。全部覚えてる。
この街で過ごした3度の夏。最後に力を振り絞って見た、果南さんからのメールも。
梨子母 「梨子ー! 荷物運ぶの手伝いなさいよ!
ほとんどあなたの本でしょー!?」
梨子 「分かってるー」
ここ内浦に越してくるのは“4度目”だが、ひぐらしの声が煩く響いているのは変わらない。
荷物を運んでいると、隣家から出てきた千歌ちゃんと目が合う。…まだ向こうは私を知らないから、会釈程度でその時の挨拶は終わった。
梨子 「千歌ちゃん…」
…よし、覚えてる。全部覚えてる。
この街で過ごした3度の夏。最後に力を振り絞って見た、果南さんからのメールも。
…ふと部屋のピアノを目にした時、狂人化した時の記憶がフラッシュバックした。
千歌 『……ぃ たぃ…ょ 梨 ……こ ちゃ……ん』
梨子 「……っ!」
梨子 「…ごめんさい、千歌ちゃん」
梨子 「今度は絶対に…失敗しないから!」
ーーーーーー
ーーーー
ーー
千歌 『……ぃ たぃ…ょ 梨 ……こ ちゃ……ん』
梨子 「……っ!」
梨子 「…ごめんさい、千歌ちゃん」
梨子 「今度は絶対に…失敗しないから!」
ーーーーーー
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~8月31日(土)~
鞠莉 「一ヶ月しか離れてなかったのに、なんだかすごく懐かしく感じるね」
ダイヤ 「はぁ…感謝してくださいよ? こんなに長い間あなたを匿っていたんですから」
鞠莉 「勿論! Thank you ダイヤ!」ギュッ!
ダイヤ 「うぅ…暑い…」
果南 「ほら鞠莉、まだ暑いんだから離れなって……ん?」
梨子 「…………。」
鞠莉 「一ヶ月しか離れてなかったのに、なんだかすごく懐かしく感じるね」
ダイヤ 「はぁ…感謝してくださいよ? こんなに長い間あなたを匿っていたんですから」
鞠莉 「勿論! Thank you ダイヤ!」ギュッ!
ダイヤ 「うぅ…暑い…」
果南 「ほら鞠莉、まだ暑いんだから離れなって……ん?」
梨子 「…………。」
鞠莉 「What? 君、何か用?」
梨子 「あっ、こんに…はじめまして」
ダイヤ 「あなた確か…夏休み明けから転入してくる」
梨子 「桜内梨子です。実はお話があって…」
果南 「話?」
梨子 「はい、私…」
梨子 「この街の呪いを解き明かしたいんです!」
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梨子 「あっ、こんに…はじめまして」
ダイヤ 「あなた確か…夏休み明けから転入してくる」
梨子 「桜内梨子です。実はお話があって…」
果南 「話?」
梨子 「はい、私…」
梨子 「この街の呪いを解き明かしたいんです!」
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~鞠莉の部屋~
果南 「……本気で言ってる? それ」
梨子 「はい、本気です」
ダイヤ 「ではつまり、再来週の土曜日…街で狂人化が大量発生すると?」
梨子 「信じられないこと言ってるのは重々承知です! でも本当なんです!」
鞠莉 「ふーむ…じゃあ君は、どうしてそのことを知ってるのかな?」
梨子 「…実際に経験したから」
果南 「……本気で言ってる? それ」
梨子 「はい、本気です」
ダイヤ 「ではつまり、再来週の土曜日…街で狂人化が大量発生すると?」
梨子 「信じられないこと言ってるのは重々承知です! でも本当なんです!」
鞠莉 「ふーむ…じゃあ君は、どうしてそのことを知ってるのかな?」
梨子 「…実際に経験したから」
果南 「経験した…? 街が滅ぶのを?」
果南さんの問いかけに、私は黙って頷く。
ダイヤ 「あなた、ふざけるのもいい加減に…!」
鞠莉 「待って、ダイヤ。もうちょっと聞いてみようよ」
ダイヤ 「鞠莉さん…?」
鞠莉 「よかったら教えてくれない? あなたが経験してきたこと」
梨子 「…もちろんです」
私は全てを話した。
この夏…3度経験した、ここ沼津での生活を。
果南さんの問いかけに、私は黙って頷く。
ダイヤ 「あなた、ふざけるのもいい加減に…!」
鞠莉 「待って、ダイヤ。もうちょっと聞いてみようよ」
ダイヤ 「鞠莉さん…?」
鞠莉 「よかったら教えてくれない? あなたが経験してきたこと」
梨子 「…もちろんです」
私は全てを話した。
この夏…3度経験した、ここ沼津での生活を。
果南 「なんで…私のみかんのことまで知ってるの」
鞠莉 「ダイヤの妹さんのことも当たってるんでしょ? ダイヤ」
ダイヤ 「はい…そのことは門外不出であるはずなのですが」
梨子 「…私が知ってるのはここまでです」
果南 「いや、十分すぎるんじゃないかな…」
鞠莉 「ダイヤの妹さんのことも当たってるんでしょ? ダイヤ」
ダイヤ 「はい…そのことは門外不出であるはずなのですが」
梨子 「…私が知ってるのはここまでです」
果南 「いや、十分すぎるんじゃないかな…」
梨子 「まだ、犯人に繋がる確たる証拠が掴めてないんです。お願いします…私に、協力していただけませんか!?」
ダイヤ 「協力…と言いましても」
果南 「私たちは何をすればいいの?」
梨子 「情報源です。ウイルスのことや、その活性化の噂を流した人を知りたいんです」
ダイヤ 「なるほど…。再来週ウイルス活性化の噂を流す人物を特定すればよろしいのですね?」
果南 「ダイヤ…協力するの?」
ダイヤ 「…私もそろそろ、内浦の怒りに振り回されるのには飽き飽きしていました。真相を知りたいのは、私も同じです」
ダイヤ 「協力…と言いましても」
果南 「私たちは何をすればいいの?」
梨子 「情報源です。ウイルスのことや、その活性化の噂を流した人を知りたいんです」
ダイヤ 「なるほど…。再来週ウイルス活性化の噂を流す人物を特定すればよろしいのですね?」
果南 「ダイヤ…協力するの?」
ダイヤ 「…私もそろそろ、内浦の怒りに振り回されるのには飽き飽きしていました。真相を知りたいのは、私も同じです」
鞠莉 「…決まりね。私も協力するよ、梨子」
果南 「2人とも…なんでそんな簡単に」
鞠莉 「野暮なこと聞いちゃNoだよ果南」
ダイヤ 「自分を信じて欲しければ、まず相手を信じる…鞠莉さんがいつも仰っているでしょう?」
果南 「…分かったよ。私も色々調べとく」
梨子 「みなさん…ありがとうございます!」
……これで残る課題はあと2つだ。
犯人、そして神具の正体を突き止めなければ。
ーーーーーー
ーーーー
ーー
果南 「2人とも…なんでそんな簡単に」
鞠莉 「野暮なこと聞いちゃNoだよ果南」
ダイヤ 「自分を信じて欲しければ、まず相手を信じる…鞠莉さんがいつも仰っているでしょう?」
果南 「…分かったよ。私も色々調べとく」
梨子 「みなさん…ありがとうございます!」
……これで残る課題はあと2つだ。
犯人、そして神具の正体を突き止めなければ。
ーーーーーー
ーーーー
ーー
~9月11日(水)沼津駅前~
曜 「…でもよかった。果南ちゃんと千歌ちゃんが仲直りしてくれて」
千歌 「うん。全部梨子ちゃんのお陰だよ」
梨子 「ううん、千歌ちゃんがちゃんと自分の気持ちを伝えたからだよ」
千歌 「いやぁ…えへへぇ」
…結局、大した進展のないままこの日を迎えてしまった。タイムリミットである土曜まであと3日。
しかし今日が一番の勝負時だ。今日は、“あの子達”に会う日だから。
千歌 「…あっ、ルビィちゃん! おーい!」
ルビィ 「あれっ、千歌さん、曜さん! それと…」
曜 「…でもよかった。果南ちゃんと千歌ちゃんが仲直りしてくれて」
千歌 「うん。全部梨子ちゃんのお陰だよ」
梨子 「ううん、千歌ちゃんがちゃんと自分の気持ちを伝えたからだよ」
千歌 「いやぁ…えへへぇ」
…結局、大した進展のないままこの日を迎えてしまった。タイムリミットである土曜まであと3日。
しかし今日が一番の勝負時だ。今日は、“あの子達”に会う日だから。
千歌 「…あっ、ルビィちゃん! おーい!」
ルビィ 「あれっ、千歌さん、曜さん! それと…」
梨子 「はじめまして、桜内梨子です」
ルビィ 「あっ、お姉ちゃんから聞いてます! なんでも呪いを解き明かそうとしてるとか…」
千歌 「そうなんだよ! 私達も頑張ってるんだけど…」
曜 「神具のこととか、資料がほとんど残ってなくて…。早くも行き詰まったって感じかな」
花丸 「…あ! 梨子さーん!」
梨子 「花丸ちゃん、こんにちは」
ルビィ 「あっ、お姉ちゃんから聞いてます! なんでも呪いを解き明かそうとしてるとか…」
千歌 「そうなんだよ! 私達も頑張ってるんだけど…」
曜 「神具のこととか、資料がほとんど残ってなくて…。早くも行き詰まったって感じかな」
花丸 「…あ! 梨子さーん!」
梨子 「花丸ちゃん、こんにちは」
梨子 「花丸ちゃん、どうかな?」
花丸 「いや…それが全然。オラのとこでも資料がまだ見つからなくて」
梨子 「そっか…」
善子 「ずら丸ー? この前の話だけど…」
梨子 「…? あなたは?」
善子 「あっ…はじめまして。津島善子です」
花丸 「あれっ、ヨハネって言わないずら?」
善子 「流石に先輩相手は…」
花丸 「いや…それが全然。オラのとこでも資料がまだ見つからなくて」
梨子 「そっか…」
善子 「ずら丸ー? この前の話だけど…」
梨子 「…? あなたは?」
善子 「あっ…はじめまして。津島善子です」
花丸 「あれっ、ヨハネって言わないずら?」
善子 「流石に先輩相手は…」
花丸 「善子ちゃん、オラの幼馴染みなんです。神具のことについて一緒に調べてもらってて」
梨子 「そうだったんだ。ありがとう」
善子 「いえそんな…」
花丸 「なんかここまで謙虚な善子ちゃんは違和感しかないずら」
善子 「うっ、うるさいわね!」
梨子 「そうだったんだ。ありがとう」
善子 「いえそんな…」
花丸 「なんかここまで謙虚な善子ちゃんは違和感しかないずら」
善子 「うっ、うるさいわね!」
千歌 「梨子ちゃーん、そろそろ行くよー?」
梨子 「あっ、うん。じゃあ二人とも、引き続き調べてもらってもいいかな? 私も色々調べるから」
花丸 「はい、任せてください!」
善子 「ふっ…これも堕天使としての運命」
梨子 「…?」
花丸 「あっ、いつものことです」
梨子 「そ、そう…」
梨子 「あっ、うん。じゃあ二人とも、引き続き調べてもらってもいいかな? 私も色々調べるから」
花丸 「はい、任せてください!」
善子 「ふっ…これも堕天使としての運命」
梨子 「…?」
花丸 「あっ、いつものことです」
梨子 「そ、そう…」
梨子 「じゃあ、よろしくね」
花丸 「はい、さようなら」
曜 「じゃーねー!」
ルビィ 「……あっ」
花丸 「どうしたずら? ルビィちゃん」
ルビィ 「…飴、渡しそびれたなぁって」
ーーーーーー
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花丸 「はい、さようなら」
曜 「じゃーねー!」
ルビィ 「……あっ」
花丸 「どうしたずら? ルビィちゃん」
ルビィ 「…飴、渡しそびれたなぁって」
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~9月13日(金)梨子宅~
明日…またあの日が来る。
一週間の疲れを取るため仮眠を取ろうとしたが、その考えが頭にまとわりつき、なかなか眠ることが出来ない。
そんな状態から一気に目を覚まさせてくれたのは、ある一通のメールだった。
花丸 『神具の正体がわりました! 今から私の家に来れますか!?』
梨子 「……っ!」ガバッ!
慌てて飛び出てから気付く。
花丸ちゃんの家ってどこだっけ…?
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明日…またあの日が来る。
一週間の疲れを取るため仮眠を取ろうとしたが、その考えが頭にまとわりつき、なかなか眠ることが出来ない。
そんな状態から一気に目を覚まさせてくれたのは、ある一通のメールだった。
花丸 『神具の正体がわりました! 今から私の家に来れますか!?』
梨子 「……っ!」ガバッ!
慌てて飛び出てから気付く。
花丸ちゃんの家ってどこだっけ…?
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~国木田家 客間~
梨子 「…水?」
花丸 「はい、神具の正体は水でした。通称“狂信水”」
善子 「この水を使うと、使われた人間は一時的狂気に陥り、その後無気力化する…らしいです」
梨子 「やっぱり、ウイルスなんかじゃなかった。…でもこれを犯人はどう使ったんだろう」
善子 「もし梨子さんが言う通り、街の人を全員狂人化させるとなると、全員に水を飲ませることになる」
花丸 「流石にそれは…」
梨子 「…水?」
花丸 「はい、神具の正体は水でした。通称“狂信水”」
善子 「この水を使うと、使われた人間は一時的狂気に陥り、その後無気力化する…らしいです」
梨子 「やっぱり、ウイルスなんかじゃなかった。…でもこれを犯人はどう使ったんだろう」
善子 「もし梨子さんが言う通り、街の人を全員狂人化させるとなると、全員に水を飲ませることになる」
花丸 「流石にそれは…」
……思考を巡らせる。
1度目。私はおそらく狂人化していた。
あの時、私はそれらしき水を体に含んだだろうか? …いや、そんな記憶はない。
2度目。千歌ちゃんが狂人化したあの時。
私は狂人化しなかった。つまり1度目と変わったところに、狂人化のヒントがあはずだ。
それに、ずっと部屋にいた曜ちゃんも狂人化していなかった。その時の私と曜ちゃんの共通点は…?
3度目。当主様が狂人化した時。
駅前でルビィちゃんと待ち合わせをしていた曜ちゃんは、狂人化しなかった。だが室内にいた人々は揃って狂人化した。
1度目。私はおそらく狂人化していた。
あの時、私はそれらしき水を体に含んだだろうか? …いや、そんな記憶はない。
2度目。千歌ちゃんが狂人化したあの時。
私は狂人化しなかった。つまり1度目と変わったところに、狂人化のヒントがあはずだ。
それに、ずっと部屋にいた曜ちゃんも狂人化していなかった。その時の私と曜ちゃんの共通点は…?
3度目。当主様が狂人化した時。
駅前でルビィちゃんと待ち合わせをしていた曜ちゃんは、狂人化しなかった。だが室内にいた人々は揃って狂人化した。
梨子 「…その水って、どのくらい摂取すると狂人化するの?」
花丸 「詳しくは書かれてないんですけど…極めて微量でも狂人化は起きるみたいです」
梨子 「……。」
曜 『私みたいにずっと外にいた人とかは大丈夫なんですけど、室内にいた人はみんな…!』
梨子 「…もし、“飲む”以外でも発症するとしたら…?」
善子 「えっ? でも水なんですから、飲む以外に摂取する方法なんて…」
花丸 「詳しくは書かれてないんですけど…極めて微量でも狂人化は起きるみたいです」
梨子 「……。」
曜 『私みたいにずっと外にいた人とかは大丈夫なんですけど、室内にいた人はみんな…!』
梨子 「…もし、“飲む”以外でも発症するとしたら…?」
善子 「えっ? でも水なんですから、飲む以外に摂取する方法なんて…」
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