元スレ右京「聲の形?」
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51 = 41 :
竹内「大体喜多先生だって同じじゃないですか!
アンタだって手話ができないのにそれを子供たちにいきなり覚えさせようとした!
自分ができないことを子供たちにはやらせる。恥ずかしいと思わないのか!」
竹内「それに合唱コンクールの時だって
西宮を入れたらコンクールがメチャクチャになると伝えたはずだ!
それなのに西宮に同情してゴリ押し、その結果どうなった?うちのクラスは最下位だった。
アンタ結局やること成すことが無責任じゃないか!
そんなアンタに俺を責める資格なんかないだろ!!」
そんな辛辣な言葉で喜多を罵倒する竹内。
自分は硝子がクラスの子供たちと一緒に
合唱コンクールに参加したらどうなるか予想が付いていた。
それなのに喜多がゴリ押ししたせいでクラスの雰囲気はメチャクチャになった。
お前にもその責任の一端があるだろと糾弾してみせた。
そのことを問われて思わず目を逸らす喜多…
だがそれだけでは終わらなかった。
「植野!さっきから黙っているが女子ではお前が石田と一緒に西宮をイジメたよな!」
「佐原ぁっ!自分だけ関係ないってツラしてるがこのまま済まされると思ってるのか!」
「それに川井!
さっきから随分他人をボロクソに言っているがお前だってイジメに加担していたな!」
「俺だけが悪いわけじゃない!みんな同罪だ!」
さらにはクラスの児童たちすら糾弾した。
このまま自分だけが悪者にされてたまるか。
こうなればもう一蓮托生。お前たちも道連れだとでもいうかの如く糾弾を続ける竹内。
そんな竹内だが最後にどうしても糾弾しなければならない人間がいた。それは…
52 = 41 :
「最後はアンタですよ西宮さん!何でこんな娘をこの学校に入れた!」
「なんですって…?」
「まだわからないのか!
見ればわかるだろ。アンタの娘はこの学校で対応出来るわけないんだよ!
障害者だからってどんな迷惑かけても許されると思ってたのか!?」
それは西宮八重子にしてみれば酷く不快な発言の数々だった。
自らの許容を超えた存在である西宮を担当させられてしまったこと。
通常業務だけでも大変だというのに
そのうえ専門外である障害児童の教育など行えるわけがない。
それに対する恨み辛みをこれでもかというほど発散させていた。
そんな竹内を尻目に右京はこの場で公正な判断を下すことは不可能であると校長に進言。
一旦この場を終わらせて、これより保護者会を開いてもう一度今回の件を話し合い
さらに硝子の補聴器の損害金である170万円も
石田一家だけが負担するのではなく
同じくイジメに加担して補聴器を損傷させた児童の親にも払わせるようにと意見した。
その意見に渋々ながらも頷く校長…
こうして激昂する竹内に代わり校長がLHRを終了させた。
この後、緊急の保護者会を開いて
その場で改めて補聴器の損害金について話し合うことを取り決めた。
それによりクラスの児童たちは誰もが俯いたままだ。
それもそのはず、自分たちの行いが明らかとなり
この後で保護者会を開くとなれば当然自分たちの行いが親に知れ渡る。
そうなれば自分たちが親からどんな叱責を受けるかと恐怖に怯えていた。
53 = 41 :
とりあえずここまで
まだ続きます
54 :
序盤の何者かの呟きはLHRの後なのか
55 :
相変わらずこの作者さんの勧善懲悪モノはスッキリ出来るな。
構成に「こまけえことはいいんだよ」的な所は多いけど、俺ガイルコラボの頃から好きだった。
56 :
担任、動機はとにかく行動がクズ過ぎて
子どもに直接被害出してあの居直りの言い草によく耐えたなあの右京さんが
2011年は大津で大きな事件があった年だから、それもあって今は表沙汰になったら厳しいね。
ここまで来ると当時でも相当だけど、特に今だと警察が噛んだら小学生でも児相通告レベルの事案だし
担任本人がいじめ放置、煽動の故意性までぶっちゃけたら懲戒免職もあり得る
57 :
担任が処分されて更に事件が起きるのか
58 :
LHRは終了してとりあえず6年2組の児童たちはそれぞれ散り散りと行動を取っていた。
そんな中、硝子は母の八重子に連れられて学校の玄関にいた。
「硝子、これから美容室に行くわよ。」
「うぅ…うぅ…」
「こうなったのもあなたの弱さが原因よ。
やっぱり髪を短めに切ってクソガキどもに舐められないようにしなければならないわね。」
「あ…うぅ…」
「こうなったのも全部あのクソガキどもとそれにこの無理解な学校のせいよ。」
硝子の言葉にもならない声に耳も貸さず無視を続ける八重子。
爪を噛みながら先ほどのLHRでの出来事をかなり不快に感じていた。
それは娘を貶めた自分がクソガキと蔑んでいるクラスメイトたち。
それに子供たちと一緒になって娘をクラスから排除しようとした担任教師。
さらに無理解な学校側。そのすべてに苛立ちを感じていた。
だが今の八重子を一番苛立たせているのは他の誰でもない娘の硝子自身だ。
自分は障害を抱える硝子を普通の子として強く育てたい。ただそれだけなのに…
何故いつもこんな裏目に出てしまうのか?
どうしてこの子は自分の想いをわかってくれないのか?
やはり難聴のせいでその想いが伝わらないからでは?
そんな疑惑が心の中で渦巻いていた。
59 = 58 :
「いいえ、難聴は関係ありませんよ。」
「あなたは…さっきの…」
「そういえばまだ自己紹介をしていませんでしたね。警視庁特命係の杉下といいます。」
そんな西宮親子の前に再び姿を現す右京。
まだ何か用があるのかと聞き流しながら硝子と共に学校を出ようとした。
「失礼ですがこれから娘を美容室へ連れて行かなければいけません。お話ならあとで…」
「硝子さんの髪を切るつもりですね。
辛うじて髪で覆われている耳の部分を出して補聴器を見せる。
それはやめておいた方がいいですよ。ハッキリ言えば愚行です。」
愚行…自らの行いをそう否定された。
まさかこうまで言われるなんて…
いくら警察とはいえそこまで言われる筋合いはない。
その言動に不快感を抱いた八重子は
未だに嫌がる硝子を無理やり連れてこの場を去ろうとするのだが…
60 = 58 :
「いい加減気づいたらどうですか。
そんなことをすれば硝子さんの心は必ず折れてしまいます。
娘さんはあなたが思っているほど強くはありませんよ。」
「赤の他人に何がわかりますか…警察だからってそこまで言われる筋合いはないわよ…」
「確かに警察が家庭の教育方針に口を挟むのは筋違い。
ですが見過ごせないこともあります。
このまま行けばあなたは取り返しのつかない過ちを及ぼすのですから…」
まるでこれから西宮一家が辿る結末を予想しているかのように告げる右京。
その要因は娘の硝子ではなく母親の八重子自身にあるとそう告げてみせた。
「この学校と同じくあなた自身もまた硝子さんの障害に無理解だったはずです。」
「無理解ですって…?私は硝子の母親ですよ!それなのにどうして!?」
「それではお聞きします。何故硝子さんを普通学級のこの学校へ入れたのですか。」
本来、障害児を抱える親にはある選択肢が与えられる。
それは普通学級の学校へ通うか、
もしくは障害を抱える子供の専門的な教育体制が整っている養護学校へ通わせるかの選択。
つまり硝子には養護学校へ通う選択肢があったはず。
それなのに敢えて普通学級の学校を選択したのは何故なのか?
61 = 58 :
「そんなの決まっているわ。この子は普通の子です。
だからこそ他の子たちと一緒に普通に学ばせようとしただけ。それの何が悪いんですか!」
普通の子、難聴である硝子を普通の子と八重子は評した。
その発言を聞いて右京はようやく理解することが出来た。
八重子がこうなった現状を未だに理解出来ていないことが…
「確かに障害児とはいえ必ずしも普通学級へ通えないということはありません。
子供に教育の場を与えるのは社会の役割。
その学校へ通うことが出来ないことなどあってはならないことなのですから。
ですがあなたはそのことで生じる他人への迷惑を一度でも考えたことがありますか。」
「迷惑ですって…?」
迷惑などと…何を言っている…
八重子は思わず心の中でそう呟いた。迷惑を受けたのはむしろ自分たちの方だ。
娘は学校でイジメに遭い大事な補聴器を壊された。
それなのにこの男は何を言っているのか?
そんな右京の発言に思わず呆れた様子を見せる八重子だが…
62 = 58 :
「それなら石田くんのお母さんはどうですか。
今回あなたは石田さんにかなりの迷惑を掛けたじゃありませんか。」
「石田さんに迷惑って何を言ってるんですか!
あの女の息子は硝子をイジメていたことをあなただって知ってるでしょ!
子供をあんな下品なクソガキに育てて何が迷惑よ!?」
八重子はここが校舎であることも関わらず怒鳴るように石田の母を罵倒した。
あの女が石田をあんなクソガキに育てた。
だから迷惑を被ったのは私たちの方だ。
それなのに何が迷惑かと…そう怒鳴るように叫んだ。
「確かに石田くんが硝子さんにイジメを行ったことは事実であり
彼の保護者である母親にはそのことを償う義務があります。
しかしそのために損害金である170万円のお金を用意しなければならなかった。」
「そんなの当然でしょ!石田くんはそれだけのことをやらかしたんですよ!」
「ですがいきなり170万円を持って来いと言われてそんな大金を簡単に用意出来ますか?
言っておきますが
補聴器の弁済に用意した170万円は石田さんが汗水垂らして得た大切なお金です。
そのお金は決して軽々しいモノではありませんよ。」
「だから何なの!娘は深く傷ついたのよ!」
「確かに硝子さんは深く傷ついた。
しかしこうも思うんですよ。
あなたが補聴器の壊れた最初の1~2回で
硝子さんのイジメに気づけばこんな事態にまで酷くはならなかったはずだと…」
その指摘を受けてそれまで怒鳴り散らしていた八重子の声がピタリと止んだ。
まるで何か痛いところを突かれたみたいに険しい顔になる八重子。
だが右京はそんな八重子に構わず自らの考えを述べた。
63 = 58 :
「思えばどうにも奇妙でした。
硝子さんの補聴器は肌身離さず持ち歩かなければならない大事なモノです。
それを8回も壊されてこれほど大事になるまで母親であるあなたは見過ごしていた。
普通に考えてこんなこと有り得るのでしょうか?」
「それは…硝子は一人でイジメに立ち向かえばと思って…」
「おやおや、イジメられている娘さんにそこまで期待するのは酷でしょう。
唯でさえ硝子さんは難聴を患っているのです。
一人で立ち向かうなどハッキリ言えば不可能。
さて、それでは何故こんな事態にまであなたは見過ごしていたのか?
それはこうなることを望んでいたからではありませんか。」
「何で…私が…そんなことを…」
「その方が与えられるダメージが大きいからですよ。
半端な額では大事にもならず学校側に適当に言い包められて処理される可能性がある。
しかし170万円もの大金が発生するとなれば話は別です。
そんなことになれば学校側が弁済を負わされる可能性もある。
だから学校側もその責任から逃れるためにクラス会を開いて犯人を炙り出した。
そしてあなたは可能な限り過剰な制裁を加える。
つまりあなたが行ったことは憂さ晴らしみたいなものですよ。」
憂さ晴らし…そんなことを告げられて八重子は苛立ちを隠せなかった…
よくもヌケヌケとそんなことを…
いくら警察とはいえ
障害を持つ子供を抱える親の気持ちも知らずになんて酷いことを言うのか。
糾弾する右京を憎たらしげに睨みつける八重子は
何故自分がそんなことをしなければならないのかと言うのだが…
そんな二人のもとへ一人の男が現れた。
64 = 58 :
神戸「それは以前にも同じことがあったからですね。」
「神戸くん、ようやく合流してくれましたか。」
「ええ、杉下さんの読み通りでした。
硝子ちゃんは転校前の学校でもイジメを受けていたらしいです。
それが原因でトラブルが起きてこうして今の学校に転校する羽目になったとか…」
先ほどから右京とは別行動を取っていた神戸。
そんな神戸が何を調べていたのか?それは硝子が居た前の学校のことだ。
神戸の調べによると硝子は前の学校でも今回のような嫌がらせを受けていたらしい。
その時の被害は微々たるものだったので有耶無耶に処分されてしまい
西宮親子はある意味泣き寝入りの形で幕引きとなった。
それを踏まえると今回の件は前の学校の時のような二の轍は踏みたくなかったということ。
つまり右京の指摘する八重子の憂さ晴らしというのも強ち間違いではないようだ。
「先ほどお宅に招かれた時に家の様子を見ましたが何年も住み慣れた様子でした。
それなのに硝子さんはつい最近この学校に転校してきたとのことだった。
余所から引っ越してきたわけではないとするなら
それは前の学校でトラブルが起きたということになりますね。」
「転校前の学校で聞きましたが
人間関係で何度かトラブルが起きていたらしいですね。」
「神戸くんの調べた通りならあなたはこうした事態を予測することも出来たはず。
その時点で他の子とはうまくやれないと判断して養護学校という選択肢もあった。
それにも関わらず再び普通学級のこの学校へと転校させた。
確かにイジメた子供たちにこそ非はあります。
ですが子供がイジメられる可能性の高い学校へ転校させるのもどうかと思いますよ。」
もううんざりだ。それが八重子の心情だった。
こんな見ず知らずの刑事たちにここまで指摘されるとは侮辱もいいところだ。
仮にそうだとしてだからどうした?それで自分は何か悪いことをしたとでも?
それに硝子だって今は無理でもいずれは健常者の子供たちと触れ合えることができるはず。
それなのにこの刑事たちはそんな可能性を踏み潰そうとする。
そんなことはさせない。何を言われようと母親として頑なな姿勢を決して崩すものか。
そう改めて決意した八重子はこう言い放った。
65 = 58 :
「さっさといなくなったらどうですか。
今回の件は終わったんですよ。もう要件は済んだはずでしょ!」
確かに八重子の言うように今回の件は一応収まった。
右京たちにしてみても今回の硝子のイジメ問題は行きがかりの偶然で関わっただけ。
本来ならこれ以上西宮親子と関わるべきではないのだが…
「いいえ、我々は最初からあなたに用があってここまで来たんですよ。西宮八重子さん。」
その途端、これまで優しい口調だった右京の言動が急に厳しいものへと変わった。
その変化に八重子は思わず額に冷や汗を垂らした。
自分は何もやましいことなどやっていない。
警察に疑われるような行いなど何もしていないはずなのに…
それから右京は神戸に硝子をこの場から遠ざけるように指示を出した。
恐らくこれから話すことは娘の硝子に聞かせるような内容ではないらしい。
そして八重子と二人きりになった右京は彼女にこう告げた。
66 = 58 :
「ご主人が逮捕されました。正確に言えば元ご主人ですがね…」
その報せを聞き八重子は呆然とした。
夫が…逮捕された…?
いくら別れたとはいえ硝子と結絃の父親。その夫が逮捕だなんて…
それからすぐさま遠ざけられた硝子へと視線を向けた。
しかし硝子は難聴であるためにそのことをわかっていないようだ。
まさかこんなことで初めて硝子が難聴だったことが幸いだと思えるのは皮肉だ。
だがこれは一体どういうことなのか?
八重子はすぐさまその事情を尋ねた。
「ご主人は違法な宗教詐欺を行っていました。
それも家族絡みでの犯行、この件にはあなたの義両親も関わっています。」
先日、角田課長率いる組対5課が八重子の夫が詐欺を行っていた宗教法人を摘発。
その手伝いの一環として右京たち特命係もこの件に関わっていた。
摘発されて次々と逮捕されていく面々。
そんな最中、主犯である八重子の夫とその両親がとんでもないことを口走った。
67 = 58 :
『これは…あの女の…八重子の呪いだ…』
『八重子が産んだ忌み子の因果応報が私たちにも災いを招いたのよ。』
『あいつらはワシらを騙しただけに飽き足らずこんな貶めるとは…なんて親子だ…』
『 『すべてあの女の…八重子のせいだ…』 』
この物語の冒頭でも語られた恨み言。
それが摘発された直後に語った夫とその義両親の証言だった。
その事実を告げられて八重子は愕然とした。
そんな…まさか…自分がそんな筋違いの理由からそこまで恨まれていたなんて…
夫とは硝子の障害を理由に離婚されてからもう10年も音沙汰無し。
今回の逮捕についても八重子は何も関わりを持ってはいない。
だからこそ思った。
夫の助けが得られない以上、自分が子供たちを支えなければならない。
そのためには弱い自分を捨てなければならなかった。
だからこそ涙を振り払い弱さを捨てた。
気丈に振舞うことで硝子を普通の子と同じく育てようと決意したのに…
「もう夫とは10年も音沙汰はありません。今更逮捕されても私たちには関係ないことです。」
「その様子だと関わりがないのは事実のようですね。
申し訳ありません。警察としても疑いが出た以上は調べなくてはなりませんから。
こうして遠路遥々と出向かなければならないもので…」
右京たちが八重子の元を訪れたのはこの確認を済ませるため。
そんな公務員のお役所仕事など自分には関係ない。
それに障害を理由に硝子を捨てた前夫とその義両親がどうなろうと知ったことではない。
いや、むしろ当然の報いだ。娘に理解のなかった夫とその義両親。
それが自らの悪行で逮捕されるなんてこれこそまさに因果応報だとそう罵ってみせた。
68 = 58 :
「確かに逮捕された旦那さんとご両親は自業自得。当然の結果でした。
ですが硝子さんの障害について無理解なのは母親であるあなたも同じはずですよ。」
「私が…あいつら同じ?どういうことよ!?」
「言った通りあなたも硝子さんの障害については無理解な節があるはずですよ。」
何を馬鹿げたことを…
自分はこんなにも硝子を想っているのにそれなのに無理解…?
そんなことがあってたまるものかと言ってのけた。
だが右京とて何の根拠もなくそんなことを指摘したりはしない。
その根拠とは先ほどの西宮家でのやり取りだった。
69 = 58 :
「お母さまからお聞きしましたが硝子さんの障害が発覚したのは3歳の頃でしたよね。」
「そうです…硝子は突発的にそうなってしまって…」
「本当にそうなのですか?
実はそれよりもっと前から硝子さんの障害について気づいていたのではありませんか。」
そんな指摘を受ける八重子。
つまりこういうことだ。
八重子は硝子の障害が発覚するまでそのことを今まで隠していたのではないのか?
その傾向があると指摘された。
「そんな…私は夫たちとはちがう…あいつらみたく硝子を見捨てずに育てたわ!」
「仰る通りあなたは娘さんを健気にも大切に育てた。
しかしそれとは別で障害に関しては目を瞑っている部分があることは確かです。
その証拠が部屋にあったあのボロボロの玩具でした。」
右京が西宮家で見つけた硝子が昔使っていた玩具。
そのどれもがボロボロに扱われていた。
確かに幼児が扱ったとなれば多少はボロボロになっていても仕方はない。
だがそれでもあの玩具の扱われ方は幼女が遊んでいたにしては乱暴すぎた。
70 = 58 :
「思えばボロボロになった玩具にはある共通点がありました。
あれらは音を発する玩具、つまり打楽器。それを幼少時の硝子さんに与えましたね。」
「あれは…硝子が夢中になって遊んでいるから…楽しいと思って…」
「夢中になってですか。
なるほど、それは本当のことなのでしょう。
しかし当時の硝子さんが純粋に楽しんでいたのかは疑わしいと思うのですがねぇ。」
「何で…そんなことを…当時のことを知らないあなたにそこまで言われる筋合いは…」
「確かに僕はその当時のことを知りません。
しかし年端もいかない女の子が玩具を乱雑に扱うこと。それに硝子さんの障害。
これらを組み合わせるとある事実が浮かび上がります。
その玩具は硝子さんが楽しむためではなく
母親であるあなたが硝子さんの耳が正常か確かめるために与えたものではないのですか。」
その指摘を受けて八重子の表情は
まるで図星でも突かれたかの如く血の気が引くかのように青ざめた。
幼少時の硝子に与えた玩具は純粋に子供を楽しませるために与えたのではなく
自分が硝子の耳が正常であるか確かめるために与えたもの。
しかしそれが何を意味するのか?
「硝子さんの障害が発覚したのが3歳と聞いて奇妙に思えました。
幼少時の難聴というのは一般的に先天性であることがほとんどです。
それなのに3歳になるまでその症状が出なかった。これは実に疑わしい。
新生児には聴覚検査が行われます。その段階で症状が判明しないとは考えにくい。
しかしその症状を母親であるあなたが隠していたとなれば話は別です。」
「何で…私がそんなことを隠さなきゃならないんですか…」
「それはあなたが先ほどから仰っている『普通』という言葉にあるからですよ。」
そう、先ほどから八重子は頑ななまでに硝子のことを普通と表していた。
確かに硝子は難聴という障害を抱えている以外は至って普通の少女だ。
だが右京たちから見れば八重子は硝子のことを必要以上なまでに普通として扱っている。
それはある意味、親のエゴというべきものだ。
71 = 58 :
「娘さんを普通の子として育てたい。
それは言い換えれば自分がお腹を痛めて産んだ娘は障害というハンデを負っていない。
あなたもまた娘さんたちを捨てた前夫とその義両親と同じく
硝子さんの障害を受け入れることが出来ずにいるんですよ。」
「あなたは硝子さんの障害から目を背けている。そうではありませんか。」
それはあまりにも残酷な宣告だった。
この学校の連中や無理解だった父親たちだけでなく
母親である自分すら硝子の障害から目を背けているなんて…
だが硝子と障害を分けて考えれば話は別だ。
そもそも夫と離婚するきっかけになったのは硝子の障害が原因。
その原因となった障害を八重子が忌々しく思えていた。
だからこそ硝子の障害が憎かった。それを認めたくはなかった。
本来なら娘には難聴という障害は現れずに自分は幸せな生活を営むことが出来たはず。
それなのに硝子の障害が発覚したことによりそれが狂った。
義両親から忌子を産んだと罵られ夫からは離婚され、
その当時まだお腹に身篭っていた結絃共々押し付けられ自分たちは捨てられた。
確かにそれは不幸な出来事だ。
だがそれは八重子にとっての不幸でしかない。硝子にとっての不幸とは別物だ。
72 = 58 :
「硝子さんにとっての不幸とは母親であるあなたが障害に無理解だということです。」
「硝子さんのことは大切に思ってもその障害に関しては忌々しく思った。」
「だから娘さんを普通学級の学校に入れた。」
「それにあなたが家族の中で唯一手話を覚えていない。」
「それはつまり硝子さんの障害に目を背けていること。」
「そして…あなたが『普通』にこだわる理由は…」
「硝子さんを普通に育てたいのではなく…」
「あなたが障害など患っていない
普通の健常な子を産んだという後付けが欲しかったからではありませんか。」
それが右京の下した結論だった。
無論これは憶測であり確たる証拠というものはない。
だがその事実を突きつけられて八重子自身思うところがあった。
今の意見を否定してみせたい。けどそれが出来ない。
その通りだから…
離婚した原因も…それにこうして硝子が学校でイジメられる原因も…
すべては硝子の障害が原因。
そのことを何度も忌々しく思えた。それが事実だからだ。
73 = 58 :
「だから…何だというの…そこまで警察に文句を言われる筋合いはないわ…」
「ええ、我々もそこまで口を挟むような権限などありません。
しかしそれでも敢えて口を挟まなければならないんですよ。
何故ならあなたが硝子さんに『普通』を求めたせいで
クラスの子供たちによってあの子は孤立に追い込まれてしまったのですから。」
そんな…娘に普通を求めただけで何故そんなことに…?
そう疑問を抱く八重子に右京は自らの携帯を見せた。
画面には先ほど右京自身も目撃した6年2組の授業風景が撮られていた。
一見、なんともない普通の授業であるが…
「これがなんだと言うんですか…普通の授業じゃないですか…」
「よく見てください。
竹内先生は児童たちへの授業を行っています。
授業の内容はごく一般的なもの、普通の子供なら理解出来るものだといえます。
ですがこれを難聴の硝子さんに理解出来るものだとは思えません。」
右京は先ほど竹内が糾弾された時に話した6年2組の授業をもう一度説明した。
この動画の硝子は竹内の声が聞こえないために授業内容を理解出来ずにいた。
竹内もそんな硝子に構うことなく淡々と授業を進めていた。
つまりこういうことだ。
担任である竹内は硝子に対して個別の指導などは一切行ってはいない。
やはりこの授業は明らかに硝子への配慮など行われていなかった。
74 = 58 :
「けど…それじゃあ…硝子はどうやって授業を学んでいたの…?」
「その答えはこれです。次の動画を見てください。」
それから次の動画を見るとようやく竹内はある指示を出した。
『おい植野、西宮に今どこまで進んでいるのか教えてやれ。』
『チッ…ほら…教科書10Pのここ…わかる…?ちがう!そこじゃなくてここ!』
竹内の指示で硝子の近くにいた植野が忌々しく舌打ちしながら内容を教えていた。
不機嫌に無作法で教える植野。
だがそれでも難聴の硝子には理解させるのが難しく手間が掛かりきりだった。
その間に授業は容赦なく進んでいった。
これでは植野は授業の内容を聞きそびれて遅れてしまう。
だが教師から命じられた以上は嫌でもこの役割を行わなくてはならない。
そのため植野は硝子を容赦なく憎たらしげに睨みつけた。
そんな植野に対して硝子は申し訳なく頭を下げるのみ…
これでは硝子がクラスで孤立していっても無理はなかった。
75 = 58 :
「不幸にもあのクラスでは硝子さんに対する配慮は成されなかった。
そのせいで硝子さんは次第に周りから孤立してしまった。
何故こんなことになったのか。
それは勿論担任の竹内先生が硝子さんの障害に無理解だったことが大きい。
しかしそれだけではなく母親であるあなたが
硝子さんに普通であることを押し付けてしまったことにあるのではありませんか。」
「あなたは硝子が普通であることがそんな難しいことだというんですか!?」
「そう、障害を抱える硝子さんには普通であることは難しいことなんですよ。
難聴、さらに転校してきたばかりでろくに周りとコミュニケーションも取れない。
クラスメイトたちは足を引っ張る硝子さんに対して負の感情を抱いている。
そんな状況で硝子さんに普通を求めることがどれほど酷であるかわかりますか。」
障害を抱えている硝子に『普通』を求めること。
それは母親であっても健常者である八重子には決して理解できない悩みだ。
硝子が普通であろうとするほど周りから孤立していく。それは悪循環に等しい行いだ。
「だからこそあなたは立ち止まるべきです。今ならまだ間に合います。
硝子さんに普通を求めるのではなくどうかありのままのあの子を受け入れてください。」
それが警察官としての領分を超えたであろう右京の意見だ。
今こそ歩みを止めて振り返るべきだと…
そうでなければ手遅れになるとそう告げた。
しかしそれでも未だに諦めた素振りを見せない八重子。
そんな八重子に右京はさらなることを指摘した。
それは西宮家が抱えているもうひとつの問題だ。
76 = 58 :
「失礼ですが妹の結絃ちゃんはひょっとして不登校ではありませんか。
先ほどお宅にお邪魔した時におかしいと思いました。
姉の硝子さんは無理やり学校へ連れて行かれたのにあの子はそのまま無視された。
恐らく硝子さん絡みで結絃ちゃんとの仲がうまくいってないのではありませんか。」
「さらに言えば恐らく子育てもお母さまに任せきりのようですね。
今はまだそれでもいいのかもしれません。
ですがお母さまがいつまでもその面倒を見てくれるという保証はありませんよ。」
それは西宮一家が抱えるどうしようもない問題だった。
確かに八重子は硝子のことで姉思いの結絃と衝突してしまいそのせいで不仲が続いていた。
それに…母親も…
この先ずっと母が娘たちの面倒を見てくれる保証はない。
既に高齢に差し掛かっている母だ。近い将来…亡くなることだって…
今の西宮家は辛うじて母が支えてくれているようなもの。
その母が亡くなれば西宮一家はすぐに家庭崩壊を起こす。
それはいずれ迫るだろう西宮一家が目を背くことなど許されない問題。
ここで立ち止まらなければその問題が確実に一家を崩壊させることは目に見えていた。
「私は…娘を普通に育てたい…ただそれだけなのに…何でそれが許されないのよ…」
八重子はか細い声でそう右京に訴えた。
どれだけ言われようと娘を普通に育てたい思いは決して変わらなかった。
それは母親としては至極当然の願い…
だがその願いを叶えるにはどうしてもある犠牲が生じてしまう。
そのことを八重子はまだ理解出来ずにいた。
77 = 58 :
とりあえずここまで
西宮父ちゃんの宗教云々はssのオリジナル設定です
でも原作4巻でそれっぽい感じだったので敢えてそう設定しました。
78 :
右京の言葉が八重子に届いてくれ…
80 :
乙です。こういう読み応えがあるSSが書ける人が羨ましい。
ここまで読んで、普通高校を卒業後に自殺した身体障害者の話を思い出した。自殺者の遺書には母親が強引に普通高校に入学させたことへの恨みつらみ(学校では同級生の補助が必要で心苦しかったこと、特別支援学校なら身体障害者就労支援カリキュラムもあるのに普通高校に行った為にそういったカリキュラムを受ける機会を失ったこと等)が書かれていた。
クソガキやクズ教師が糾弾されるのは当然として、我が子の障害を頑なに受け入れない親もまた障害児を不幸にする。
81 :
てんす(^q^)とそのキチ親と違って、身体障害者は心は普通の人間だからね。「普通」を背負わされるほど辛いこともないわ。
82 :
まあ、偉そうなこと抜かしても我々エアプ勢には生涯理解できない境遇なんですけどね
83 :
「――――何それ…?」
右京と八重子の話し合いの最中に一人の少女が割って入った。
それは今の動画にも出ていた硝子たちのクラスメイトの植野直花という少女だ。
どうやらこの植野は先ほどから右京たちの話を盗み聞きしていたらしい。
「ねえ…それってつまり…こういうこと…?」
「おばさんは西宮さんを普通にしたいからこの学校に入れたわけ?」
「そんなの出来るわけないってわかってるのに?」
植野はまるで信じられないという表情で八重子に迫っていた。
そんな植野に思わず怯えてしまう八重子。
こんな娘と同い年の年端もいかない子供に怯えるなんてあり得るはずがないのに…
84 = 83 :
「植野さんでしたね。
あなたは竹内先生から硝子さんのお世話係を押し付けられたわけですか。」
右京の質問に植野は静かに頷いた。
それは先ほど右京が目撃したクラスの実態。
本来、障害があろうがなかろうが児童を指導するのは担任教師の役目。
だが硝子の場合はかなり特殊だった。担任の竹内は当初から硝子を疎んじていた。
また竹内には聴覚障害を患う児童への指導に対する経験はない。
そのため竹内は生徒に硝子の世話をさせるためにお世話係を付けた。
それは主に女子が役目を担っており必然的に席が近い植野が当番を請け負っていた。
「私は…西宮さんが転校してきてからずっとお世話係を押し付けられた…」
「最初は…ちゃんとやってたよ…」
「けど…段々疎ましくなってきた…だってあの子何度教えてもわからないみたいで…」
それは仕方のない問題だ。
児童たちに耳の聞こえない硝子に何かを伝えることは思いの外困難だ。
本来、この指導を行うべき竹内は既にその責務をお世話係の児童たちに投げ出していた。
そのため植野も硝子に何をどう教え込んだらいいのかわからなかった。
しかも担任の竹内はそんな状況に置かれている自分のことも知らず淡々と授業を進める。
そのせいで植野自身もまた授業に遅れが生じてしまい
この原因である硝子に対してストレスを感じるようになってしまった。
86 = 83 :
「やはり6年2組の問題は責任の押し付けだったわけですね。
担任の竹内先生は子供たちに硝子さんのお世話係をやらせることでその責務を放棄した。
しかし子供たちは硝子さんにどう伝えればいいのかわからなかった。
つまりこの問題は弱い立場の人間に責任を押し付けていったことですね。
まさに西宮さんが離婚の際に旦那さんから難聴の硝子さんを押し付けられたように…」
弱い立場の人間に責任を押し付ける…
この悪意ある連鎖によって硝子のイジメは起きた。
それを聞いた瞬間、八重子は思わず吐き気がした。
かつて夫から受けた仕打ちが
廻り巡ってこのような形で娘の硝子へのイジメとして行われるなんて…
これがかつて義母から言われた因果応報だとでもいうのだろうか。
「ねえ…何で…私たちなの…」
「私たちは西宮さんの召使じゃない。」
「自分のことがなんにも出来ないヤツを学校に通わせないでよ!」
明確なまでの拒絶。
それが植野の…いや…6年2組の子供たちの意思だ…
八重子は硝子がこの学校で今度こそうまくやっていけるものだと思っていた。
だが実際はそうならなかった。
担任である竹内は娘の硝子への指導を投げ出していた。
しかしそれは押し付けられたクラスメイトの児童たちも同様だった。
結局そのしわ寄せの最後は立場が一番弱い硝子自身に向けられることになった。
87 = 83 :
「つまり善意の施しにも限度があったわけですか。
押し付けられた植野さんたちも最初のうちは善意で動いていた。
しかし障害への知識に乏しい子供たちではすぐに限界が来てしまったということですね。」
「何よそれ…だってクラスの子たちが助け合うのは当然のことじゃ…」
「それにだって限度がありますよ。
実際僕たちもそのことをあなたのご自宅で痛感しましたからね。」
それは先ほど公園でずぶ濡れだった石田を保護した時のことだ。
あの時、石田は西宮家の人々から善意の施しを受けられなかった。
その原因は勿論石田の自業自得にあるわけだが…
だがそれでも愛娘を傷つけた少年を受け入れることなど出来るはずもない。
それと同様に6年2組の子供たちも
自分たちに害を与えるだけしかない硝子を疎ましく思うのも無理はないことだった。
「そりゃ西宮さんにはちょっとは悪いことしたと思ってるよ。
石田だって私たちがもっと前にやりすぎだって注意しとけばこうはならなかった…」
「それでも…西宮さんが来るまで私たちのクラスはうまくいってたんだよ…」
「けど…それも…西宮さんが来てから全部が狂い出した…」
「クラスの雰囲気は最悪で…石田もイジメられるようになって…」
「おばさんには関係ないことだけど…私…石田のことが好きなんだ…」
「そんな好きな人が…西宮さんのせいでイジメられていくのは耐えられなかった…」
「それでおばさんこう言ったよね。私たちがクソガキだって。確かにそうかもね。」
「けど私たちがクソガキなら………アンタはクソババアだ!」
「結局こういうことだろ。アンタは自分でガキの面倒見れないから私らに押し付けた!」
「つまり私らは西宮さんじゃなくアンタの後始末を押し付けられたんだ!!」
植野はこれまで憤りのなかった感情をすべて八重子にぶつけてみせた。
硝子がこの学校に来てからの恨み辛みをすべて…
すべては硝子の母親であるお前のせいだとそう罵ってみせた。
そんな罵倒を受けた八重子はようやく理解できた。
『娘の硝子を普通の子として育てたい。』
この母親として当然の願いを叶えるにはどうしても犠牲が出る。
その犠牲とはクラスメイトの子供たちに迷惑がかかること。
クラスメイトたちの迷惑によって硝子がイジメられるという悪循環が発生してしまう。
つまり自分がどれだけ硝子を普通に育てたいと願っても
そのことで生じる悪循環により周りがそれを許そうとはしなかった。
88 = 85 :
植野、全て八重子が悪いことにしようとしているけど、お前も同じ無地穴だからな
89 = 83 :
「ちがう…私は…」
今の植野の言葉を動揺しながらも否定する八重子。
私はあなたたちに責任など押し付けてはいないと…
だが植野はそんな八重子に容赦しなかった。
「何がちがうんだよ?だったらちゃんと産めばいいだろ!」
「西宮の耳を聞こえるように…」
「あいつをまともに産めばこうはならなかったはずだろ!!」
それは植野の口から感情のままに出た咄嗟の発言。
恐らくこれまでの硝子への恨みと辛みがそうさせてしまったのかもしれない。
だが今の発言はこの西宮八重子にとって禁句だった。
今日まで八重子の不幸の原因となったのはすべて硝子の障害が原因。
離婚も…その後の家庭環境も…
その発端となったのは硝子の障害によるものだった。
それをこんな年端もいかない少女に指摘された。目の前で自分と娘に対して怒り狂う少女。
だがそれと同時に八重子はこうも思った。
90 = 83 :
『お前なんかに…何がわかる…』
こんな苦労知らずの娘に何がわかる?
硝子が生まれてからこの12年間
硝子の難聴で最も苦しんだのは他の誰でもない母親である自分だ。
周りに理解者はいなかった。誰もが植野と同じ反応だった。
『すべてお前のせいだ。母親であるお前がこんな出来損ないの子供を産んだからだ!』
何度もそう貶された。
そう思った瞬間、この目の前で喚き散らす植野が忌々しくなってきた。
かつて自分と娘の硝子を貶してきた悪意ある連中と同類である植野を八重子は…
91 = 83 :
「西宮さん!落ち着いてください!」
気づいた時、そこには廊下に横たわる植野の姿があった。
どうやら八重子は怒りに任せて植野を殴りつけてしまったらしい。
「痛゛っ…」
しかも植野は相当強く殴られたらしく酷く痛みを訴えていた。
小学6年生の児童と大人では当然腕力に差が出る。
「こんなこと…するつもりは…」
いくら子供に非があろうと先に手を出したのは大人である自分だ。
恐らく植野の親にこのことを咎められるかもしれない。
そんな心配が八重子の心にのしかかってきた。
それから右京は神戸を呼んで植野を保健室に連れて行くように指示を出す。
八重子に関してもこのことを植野の親に伝えるために同行することになった。
こうして静かに連れて行かれる二人だが…
しかし今の光景を目の当たりにして
一人大きなショックを受けた人間がいたことを誰も気づかずにいた。
92 = 83 :
とりあえずここまで
次の更新もかなり修羅場になるかも
93 = 85 :
乙
周りのせいで本人自体は悪くない硝子に被害が行っているのが許せない
障害者なのは本人の性じゃないし……
94 :
乙
八重子にその気があれば、いじめ加害者のクソガキに差別発言されたと逆に場をかき回せるな
既にいじめが表になってる上にそのクラスの人間から
「健常者に産めと言われた!」「健常者に産めと言われた!!」「健常者に産めと言われた!!!」
な態度で、もっと言えばマスコミ巻き込むとでも言われたら学校も植野親も告訴や賠償どころじゃなくなる
絶対的正論で言えば植野が文句を言う先は学校であって西宮じゃないからクラスとしていじめに回った時点で加害者の負け
95 = 94 :
いっちゃんヤバイパターンだと、障害児への差別いじめでマスコミにリークする
取材始めた記者に接触して「悪質ないじめを受けて、そのクラスの子どもに心無い罵声を浴びせられてつい手を上げてしまいました
仲裁して下さった警察の方もその場にいました、本当に申し訳ない事をしました」
な態度で何を言われたのかという質問を待って「耳の聞こえる子に産めば良かったと言われました」
いじめの方がごまかし様もない事実になってるからこれやられたら植野側が最悪ネット私刑で詰みかねない
まあ、八重子もそのぐらい頭回ればもう少し上手く立ち回ってただろうけど。妄想連投すまん。
96 = 85 :
そんなことも浮かばない馬鹿な女だからこんな結末になったんだろう
学校側も馬鹿ばっかり
97 :
誰か一人賢い人間がその場にいたら違ったのにな
植野に面倒を全部任せたら植野が授業を受けられないから当番制で隣の席を変えればいい
コンクールに西宮を参加させるか生徒達に話し合わせればいい
…やっぱり担任が無能だとしか思えん。押し付けるにしてももっと上手く押し付ければ良かった
98 :
人は元々賢くない
右京ほどでなくとも賢く良識がある人間は少ないのだ
八重子の暴行を見たのは硝子か…?
99 :
だとしても周りの対応がひどすぎないか?
というか担当の先生は今回の件でクビや責任押し付けられるぐらい無能
100 = 97 :
今回はたまたま障害者だから受け入れ体制がないって言い訳してるけど、
仮にいじめとか盗難とかイレギュラーな出来事が発生してもこの担任は何もしないと思う
教師は半分慈善事業みたいなもの。授業教えるだけが仕事だって言うなら学校ではなく塾の講師になればいい
みんなの評価 : ○
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