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    元スレシンジ「僕が?」

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    101 = 83 :

    - ミサト宅 -

    アスカ「ねぇ、シンジ。ソファーもっとそっちつめてよ」

    シンジ「これ以上、向こうにいけないんだけど」

    アスカ「それじゃ私が寝転がれないじゃなぁ~い」

    シンジ「……………」

    アスカ「よいしょっと。う~いい感じ。膝枕ってわりといいのね」

    シンジ「足、痺れそう……」

    アスカ「そんぐらい我慢しなさいよ! 私の髪さわれるんだから役得でしょ?」

    シンジ「え? 触っていいの?」

    アスカ「…………触りたいの?」






    ミサト「……………帰ってきてからずっとあの調子」

    ペンペン「クエ~」

    ミサト「歳をとるってこういうことなのかしらねぇ~~」

    102 = 83 :

    - 翌日 第三新東京市立第壱中学校 昼休み -

    アスカ「――それでさぁ、シンジってば加持さんにヤキモチ妬いたらしくて、帰ってから様子おかしかったのよね。ずっと変だとは思ってたけど。
    でも、私も悪いことしたなって気がつくことができて、謝ったの。そしたらシンジも許してくれて――ヒカリ、聞いてる?」

    ヒカリ「……うん」

    アスカ「それで、今日の朝なんだけど、私の好きなおかずお弁当にいれてくれて。これ見て? すごくない?
    同年代でこんなやつなかなかいないと思うのよね。だめだめ。そんなに見たってあげないからね。これは私のなんだから」

    ヒカリ「……うん、あのアスカ」

    アスカ「シンジったらさぁ………ん? なに?」

    ヒカリ「も、もう、碇くんの話はいいかなー」

    アスカ「そう? でもかわいいとこあんのよねあいつ。なんていうか小動物? 無害っぽいしだから気が休まるのかしら――」

    ヒカリ「あ、アスカ!」

    アスカ「えっ?」

    ヒカリ「もう! 碇くんの話は! いいから!」

    アスカ「う、うん。わかった」


    103 = 83 :

    ヒカリ「………………」もぐもぐ

    アスカ「………………」もぐもぐ

    ヒカリ「………………」もぐもぐ

    アスカ「………………」もぐもぐ

    ヒカリ「………………はぁ。アスカ、いいよ。碇くんの話して」

    アスカ「えっ? だってさっき――」

    ヒカリ「碇くんの話しないと何も喋らないじゃない!!」

    アスカ「そんなことないわよ」

    ヒカリ「ふぅ。碇くんとは一緒に、その、寝れたの?」

    104 = 83 :

    アスカ「んーん。それはまだ」

    ヒカリ「だから今日は眠そうなんだ」

    アスカ「うん、一晩中起きてたから」

    ヒカリ「……えっ。アスカってもしかして不眠症?」

    アスカ「ううん。一晩中、シンジの顔ながめてたの」

    ヒカリ「――――えっ?」

    アスカ「…………」もぐもぐ

    ヒカリ「アスカ。お願い、私の聞き間違いよね? ずっと起きて碇くんの顔見てたの?」

    アスカ「そうよ?」

    ヒカリ「その間、碇くんは?」

    アスカ「寝てたわ」

    ヒカリ「明かりもつけずに一晩中?」

    アスカ「目が慣れてくるとけっこう見えるのよ?」

    ヒカリ「あ、アスカっ! しっかりして!」

    105 = 83 :

    アスカ「ど、どうしたのよ? ヒカリ」

    ヒカリ「碇くんはどこにもいかないよ!」

    アスカ「なによ、突然。どっか行っても捕まえるわ」

    ヒカリ「そういう意味じゃなくて……!」

    アスカ「じゃあどういう意味?」

    ヒカリ「もしかして、碇くんに、依存、しだしてるんじゃ……⁉︎」

    アスカ「……?」

    ヒカリ「どうしよう、碇くんに伝えた方がいいのかな………でも…………」

    アスカ「ヒカリ、さっきからブツブツ言ってどうしたの?」

    ヒカリ「いくらなんでも早すぎるよ!」バンッ

    アスカ「うわぁ⁉︎ な、なにが?」

    106 :

    やべぇよ、やべぇよ........

    107 = 83 :

    ヒカリ「アスカ。お願い。真剣に聞いて」

    アスカ「う、うん」

    ヒカリ「私たちまだ日が浅い友達だけど……ううん、碇くんとなにがあったかわからないけど」

    アスカ「そうね?」

    ヒカリ「アスカの、その、まっすぐなところは凄く良いとこだと思うの」

    アスカ「ありがと」もぐもぐ

    ヒカリ「碇くんと、一度話合った方がいいんじゃないかなぁ?」

    アスカ「………なにを?」

    ヒカリ「……(しっかりするのよヒカリ! くじけちゃだめ! でもどうしたら伝わるの!)」

    アスカ「――ぷっ!」

    ヒカリ「あ、アスカ?」

    アスカ「ヒカリって本当に良い子なのね。みんなから委員長って言われてるのがわかるわ」

    ヒカリ「あ……」

    アスカ「うん、私達、親友になれそうな気がする」

    ヒカリ「えっ?」

    アスカ「これからもよろしくね! ヒーッカリ!」

    ヒカリ「う、うん!」

    108 = 83 :

    ヒカリ「そ、それでね、アスカ――」



    生徒「あの、碇くん」



    シンジ「ん、えーと」

    生徒「あの、放課後、体育館裏まで来てくれませんか………待ってますから……!」

    トウジ「な、なんやぁ?」

    ケンスケ「ひゅ~。やるもんだなぁ~」

    シンジ「あの……! 行っちゃった」

    トウジ「センセ、今のはもしかして告白なんちゃいまっか?」

    シンジ「えぇ⁉︎」



    ヒカリ「さっきの子って、いつも話しかけるのを伺ってた――――ひぃっ!」

    アスカ「――――………」

    109 = 83 :

    ヒカリ「す、鈴原ぁっ! あんたちょっと黙りなさいよっ!」


    トウジ「なんや委員長! 昼休みぐらい好きに騒いだってええやろがいっ!」

    ケンスケ「まぁまぁ」


    ヒカリ「――あ、アスカ? 」

    アスカ「……どしたの? ヒカリ」

    ヒカリ「あ、あれ? なんでもない?」

    アスカ「さっきの子。大丈夫かな?」

    ヒカリ「……え? うん。もう教室に帰ったみたいだけど」

    アスカ「そうじゃなくて、シンジにフラれちゃうでしょ?」

    ヒカリ「ん?」

    アスカ「なぁに?」

    ヒカリ「碇くんがフるかはまだわからないんじゃない?」

    110 = 83 :

    アスカ「だって、シンジには私がいるでしょ?」

    ヒカリ「……あのね、アスカ。碇くんとアスカはお友達なんだよね?」

    アスカ「あったりまえじゃない!」

    ヒカリ「碇くんと付き合ってるわけじゃないんだよね?」

    アスカ「なぁっ⁉︎ な、なななななんで私がバカシンジと⁉︎」

    ヒカリ「(…………これって………ひょっとして………)」

    111 = 83 :

    - 放課後 体育館裏 -

    ケンスケ「ほら! こっちだよこっち!」

    トウジ「ほほ~、こんなええスポットがあったとはのー」

    ケンスケ「(本当は隠し撮りのスポットなんだけどさぁ)」

    ヒカリ「アスカ、こっちこっち」

    アスカ「……はぁ。私は別に」

    トウジ「しっかし、委員長から覗きを提案してくるとは………おぬしも悪やのう」

    ヒカリ「ち、違うわよっ! これはアスカのためで――」

    トウジ「はぁ? なんや、それ?」

    ヒカリ「(アスカはきっと好きってことを認められてない――だから、認めさせればいいのよ)」

    ケンスケ「シッ! 誰かきた!」

    112 = 83 :

    シンジ「………………」




    ケンスケ「先にシンジかー」

    トウジ「なんや、えらいソワソワしてないか? ――いだだだだだだっ!」

    アスカ「………っ!」

    トウジ「ちょ! おまっ! 指が肩に! どんな握力――」

    ヒカリ「鈴原! 静かに我慢して!」

    トウジ「ぬ、ぐぐぐ…………」

    ケンスケ「おっ、あっちから誰かくる」

    113 = 83 :

    生徒「……ぇ……あ………」

    シンジ「――……」




    ヒカリ「~~っ! 全然声が聞こえないじゃない!」

    ケンスケ「(しかたないだろ~隠し撮りスポットなんだから)」

    アスカ「…………」

    トウジ「いっ⁉︎ ほ、骨がミシミシいうとる!」

    ヒカリ「これじゃアスカが自覚できないじゃない!」

    ケンスケ「……なぁるほど。そういうことかあ」

    トウジ「ちょ、誰かこいつを止め……っ!」

    ヒカリ「相田くん、わかったの?」

    ケンスケ「まぁ、なんとなく」

    ヒカリ「っ! あっ!碇くんの胸に飛び込んだっ――」



    生徒「……っ!」

    シンジ「…………………」



    アスカ「――――このっ!」

    トウジ「あっ! いっ⁉︎ 」ゴキン

    ヒカリ「あ、アスカ⁉︎ ちょ。ちょっとまって!」

    ケンスケ「お、おい! トウジ! しっかりしろ!」

    トウジ「……………」

    ケンスケ「あ、泡ふいて………」

    ヒカリ「だめ! 相田くん! アスカ止めて!」

    ケンスケ「わあぁ⁉︎」



    アスカ「――ちょっと! なにやってんのよっ!!!」

    114 = 83 :

    シンジ「あ、アスカ?」

    生徒「えっ……あの……その……」

    アスカ「はやく離れなさいよっ!」

    生徒「………ご、ごめんなさいっ!」


    タタタタッ


    ケンスケ「いてて……」

    ヒカリ「もう! 覗かせるだけのはずだったのに!」

    ケンスケ「あの女生徒はどっか行っちゃったのかぁ」

    ヒカリ「私たちも碇くんの前に行かないと――!」

    115 = 83 :

    ヒカリ「――い、碇くん!」

    シンジ「洞木さん、ケンスケまで?」

    ケンスケ「よ、よぅ……」

    アスカ「………………」

    ヒカリ「あのっ! ごめんなさい! こんなつもりじゃなかったの!」

    シンジ「え、えーと」

    ケンスケ「……………はぁ」

    シンジ「とりあえず、落ち着いてよ」

    ヒカリ「どうしよう! 私、碇くんに言うべきだったのに!」

    アスカ「ヒカリ……」

    ケンスケ「(こりゃパニックになっちゃってるなぁ)」

    シンジ「アスカ」

    アスカ「なによ?」

    シンジ「とりあえず、洞木さんを落ち着かせよう」

    アスカ「……そうね。ほら、ヒカリ、大丈夫よ」

    116 = 83 :

    ――――
    ―――


    ヒカリ「……ごめんなさい、取り乱しちゃって」

    ケンスケ「(委員長はまじめだからなぁ)」

    アスカ「……ん。もう平気?」

    ヒカリ「……うん」

    シンジ「ケンスケ、トウジは?」

    ケンスケ「あっちで伸びてる」

    シンジ「……やっぱり、いたんだ」

    ケンスケ「なぁ、碇。………ごめんな?」

    シンジ「……うん、まぁ、なんて言ったらいいか」

    117 = 83 :

    ケンスケ「さっきの子は、フったんだろ?」

    シンジ「うん……」

    ヒカリ「…………あ、あの。碇くん」

    シンジ「…………?」

    ヒカリ「今回のこと、私がアスカたちを誘ったの」

    シンジ「洞木さんが?」

    ヒカリ「ごめんなさい――」

    シンジ「えっと」

    アスカ「ヒカリ……私が出て行ったから……」

    ヒカリ「ううん。やっぱり良くなかったのよ」

    ケンスケ「碇! 頼む! この地獄を早く終わらせてくれ!」コショコショ

    シンジ「………はぁ。洞木さん、アスカ、ケンスケ。わかった。もういいよ」

    118 = 83 :

    ヒカリ「ほ、ほんと――?」

    シンジ「きっと何か理由があったんだろうから」

    アスカ「…………シンジ」

    ケンスケ「よしっ! これでもう終わりっ!」

    ヒカリ「(碇くんに今言わなくちゃ――)」




    ウーーーッ
    『緊急警報、緊急警報、市民の皆さんは速やかに避難してください――』




    シンジ「――アスカ!」

    アスカ「使徒ぉ⁉︎」

    120 = 83 :

    - 初号機 弐号機 プラグ内通信 -

    アスカ「シンジ。あんたは私が守ってあげるから後方で支援」

    シンジ「えぇ⁉︎ 交互に近接なんじゃ?」

    アスカ「怪我したらどうすんのよ! 私は日本でのデビュー戦なんだし……まぁ見てなさいって」

    シンジ「命令違反はまずいよ! 僕独房に入ったことあるんだ!」

    アスカ「……あんたがぁ?」

    シンジ「その、二体目の使徒で………」

    アスカ「あんたも逆らうことあんのね」

    シンジ「うん、まぁ」

    アスカ「ファーストまではいかないけど、あんたも優等生だと思ってたわ」

    123 = 83 :

    - ネルフ本部 ミサト デスク -

    リツコ「関係各省からの抗議文と被害報告書。で、これがUNからの請求書、広報部からの苦情もあるわよ」

    ミサト「ふ~……」

    リツコ「ちゃんと目を通しておいてね」

    ミサト「読まなくても分かってるわよ、喧嘩をするならここでやれ、って言うんでしょう?」

    リツコ「ご明察」

    ミサト「いわれなくったって、使徒が片付けばここでやるわよ」

    リツコ「副司令官はカンカンよ。今度恥かかせたら左遷ね、間違いなく」

    ミサト「碇司令が留守だったのは不幸中の幸いだったけどさ」

    リツコ「いたら即刻クビよ。これを見ることもなく、ね」

    ミサト「で、私の首がつながるアイディア、持ってきてくれたんでしょ?」

    リツコ「一つだけね」

    ミサト「さっすが赤木リツコ博士、持つべきものは心優しき旧友ね~」

    リツコ「残念ながら、旧友のピンチを救うのは私じゃないわ」

    リツコ「このアイディアは加持くんよ」

    ミサト「――加持の?」

    124 = 83 :

    - ネルフ本部 第三通路 自販機前 -

    シンジ「(あの瞬間、なにかデジャヴみたいな――)」

    アスカ「(ううん、なにか、もっとはっきりした――)」


    シンジ&アスカ「(――なんだろう?)」


    加持「二人とも、残念だったな」

    シンジ「…………」

    アスカ「…………」

    加持「――どうした?」

    シンジ「あ、いえ……なんでも」

    アスカ「ミサトは?」

    加持「大人は片付けがあるものさ」

    アスカ「……そ」

    加持「おそらく、2日は缶詰めだろうな」

    アスカ「え? それって……」

    加持「俺が二人の監督を頼まれてるんだが、あいにく、暇じゃなくてね。口裏を合わせてくれるかい?」

    シンジ「え? でも――」

    アスカ「――合わせる! 加持さんはうちにいたことにすればいいのね!」

    125 = 83 :

    - 夜 ミサト宅 -

    シンジ「あ、あの…………アスカ」

    アスカ「ん~?」

    シンジ「あの、ソファーでテレビ見るのはいいんだけど……ちょっとひっつきすぎなんじゃ」

    アスカ「そぅ? 前に膝枕してたじゃない?」

    シンジ「今日は僕が座って、あ、アスカがピッタリくっついてるじゃないかぁ!」

    アスカ「…………だめ?」

    シンジ「まずいよ! 胸あたってるよ!」

    アスカ「当ててるって言ったら……?」

    シンジ「………………」ゴクリッ

    アスカ「いやらしい顔してるわよ……?」

    シンジ「テレビ、見ないの?」

    アスカ「シンジの顔見てる」

    シンジ「(だめだ、だめだ、流されちゃだめだ!)」

    126 = 83 :

    シンジ「そうだ! 風呂はいらなきゃ!」

    アスカ「え~」

    シンジ「あ、アスカもLCLの匂いついてるよね?」

    アスカ「シャワーで洗い流すじゃない」

    シンジ「あ……そうだった」

    アスカ「でも、いいわよ。はいりたいんでしょ?」

    シンジ「う、うん」

    アスカ「……そ。なら入ってきなさい」

    127 :

    - シンジ 風呂の中 -

    シンジ「(……なにか、すごい危機を感じる)」

    シンジ「(はぁ……どう接したらいいのかな)」

    シンジ「(アスカと向き合うには……)」

    シンジ「(とりあえず、上がったら普通にしよう)」

    128 = 127 :

    - ミサト宅 リビング -

    シンジ「…………あれ? アスカ?」

    シンジ「(いない、寝たのかな)」



    ゴンッ!



    シンジ「――痛っ!」

    アスカ「……………」

    シンジ「(頭、殴られ)………あ……(意識が)……アスカ」ドサァ

    アスカ「……………」



    129 = 127 :

    アスカ「シンジ、やっと二人になれたね。今日はあんたが告白されるからびっくりしたわ。あんた、押しに弱そうだから抱きつかれた時は思わず止めに入っちゃった。
    だいたいあの子――あの女もムカつくのよね。私たちみたいにエヴァパイロットじゃないのに勘違いしちゃってさぁ。
    ありえなくない? 普通告白する? しないわよ。きっとあの女はシンジを騙そうとしてたんだわ。だから私が守ってあげたの」

    シンジ「………」

    アスカ「ヒカリも色々心配してくれて良い子なんだけどイラっとしちゃった。あぁ~あ。せっかく親友になれると思ったのに。……でも、シンジがいればいい。私にはシンジがいればいいの。
    とりあえず、あの女の自宅を今度エヴァで出撃したときにさりげなくふんずけとくわ」

    シンジ「…………」

    アスカ「加持さんのこと、本当にごめんね。でも私はもうシンジだけだから。シンジしかいないから。だから、もっと私を見て」

    アスカ『私だけを見て』

    131 :

    伏線が回収されないからモヤモヤするけど面白いなこれ

    132 :

    ダブルとか前世?とか伏線残しつつ本編は面白い

    133 = 127 :

    - 翌日 ミサト宅 -

    シンジ「――……う……うぅん」

    シンジ「(この天井は……部屋の……昨日はたしか……)」

    ギシッ ギシッ

    シンジ「(……なんだよこれ⁉︎ なんなんだよこれっ⁉︎)」

    シンジ「(ベットに縛りつけられてる! 手足が動かせない……っ! それに口もガムテープで……喋れない!)」



    アスカ「…………シンジ。起きた?」



    シンジ「ふごふご……んんぅーっ⁉︎」

    アスカ「昨日はごめんね? 痛かった?」

    アスカ「今日は学校は行かなくていいみたいだから、ずっと一緒にいましょ。本当は、ずっとこうしていたいけど、ミサトにバレたら一緒に住めなくなるし」

    シンジ「(アスカ……! これほどいてよ!)」

    アスカ「暴れちゃいけないから、縛ったの。一応、口も。でも安心して。今日一日シンジのことはなんでも私がやってあげる。もちろんトイレも。なにも汚くなんかないよ」

    シンジ「(どこ見てるんだよ……アスカ……あれは? 古い………人形? なんだ?)」

    アスカ「ずっと、ずっと、ずっとずっとずっとズット。こうなる日を待ち望んでたのかもしれないわ。――だって! 私はこれまでで一番幸せを感じてる!」

    アスカ「エヴァと比べたら……まだわからないけど、でも、きっとこのままいけば………!」

    134 = 127 :

    シンジ「(アスカ………それは人形だよ!)」

    アスカ「――私は、私は、よくわからなくなっちゃったの」

    アスカ「どうしたらいいのか……ママは……私を見てくれない」

    シンジ「(……! ママ?)」

    アスカ「どうしたらママは私を見てくれたの? わからないのよ! シンジ! ねぇ! どうしたらママは私だけを見てくれたの⁉︎」

    シンジ「(もしかして………アスカのトラウマって………! うっ!)」

    ギュゥー ギリギリ

    シンジ「(アスカッ……! 首を締めてきてる……!)」

    アスカ「お願いだから私だけを見て! もうどこにも行かないで!」

    シンジ「(い……息がッ……!)」

    135 = 127 :

    アスカ「――…………ッ⁉︎ ご、ごめん! シンジ!」

    シンジ「げほっげほっ! ……ふーふー……」

    アスカ「私……ママと同じこと……ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい」

    アスカ「息が苦しいの? ガムテープはがした方がいい?」

    シンジ「ふーっふーっ」コクコク

    アスカ「………でも、騒いだりしない?」

    シンジ「…………」コクリ

    アスカ「わかった……。首赤くなってる。ごめん。今はがすね」

    136 = 127 :

    シンジ「あ、アスカ……」

    アスカ「…………」

    シンジ「(ここは何て言うべきか、間違えちゃいけない気がする……でも、どうしたら……)」

    アスカ「…………」

    シンジ「その人形は?」

    アスカ「――――ッ」ビクッ

    シンジ「どうしても知りたいんだ。もしかしてお母さんに関係あることなの?」

    アスカ「…………うん」

    シンジ「(向き合わないと……! 逃げちゃだめだ。逃げちゃだめだ、逃げちゃだめだ……!)」

    シンジ「………アスカ。お腹すいてない?」

    アスカ「――――えっ?」

    シンジ「お腹すいてるなら、なにか作るよ」

    アスカ「どこか行こうとしてる?」

    シンジ「そうじゃないんだ。アスカが心配なだけで」

    アスカ「うそっ! いきなりこんな状態で私の心配なんかするはずないっ!」

    137 = 127 :

    シンジ「……心配なんだ。アスカのことが」

    アスカ「あんたバカァ⁉︎ 大バカよ! 私のこと嫌わないとおかしいじゃない!」

    シンジ「(やっぱり、アスカはきっと揺れてるんだ。おかしいことがわかるってことは……)」

    アスカ「シンジ! あんたまさか私を騙そうとしてるの⁉︎」

    シンジ「(だけど、振り幅が大きい。不安になると信じられなくなって、疑って、傷つけようとする)」

    アスカ「………もう私………」

    シンジ「アスカ。本当なんだ。本当に心配してる」

    シンジ「(だから、アスカには、気持ちで話すんだっ!)」

    138 = 127 :

    アスカ「嘘よ! だってまだ一週間もたってないじゃない! それなのに、こんなの信じられない!」

    シンジ「……僕も、そう思う。だけど、ほっとけないのは本当だから」

    アスカ「シンジ……私、あんたにはじめて会った時、懐かしいって思ったの。ねぇ、あんた、なんなの?」

    シンジ「――それは僕にもわからない。けど、今は、そんなことよりもアスカのことが心配なんだ」

    アスカ「…………」

    シンジ「信じてほしいんだ。アスカ」

    アスカ「…………」

    シンジ「僕はどこにもいかないよ。お母さんと何があったのかも、話せるときに話してくれたらいい。アスカが話やすい時に」

    アスカ「………ぅっ……うっ……」

    シンジ「焦らなくていいんだ。だって僕たちはまだ子供なんだから」

    アスカ「シ、シンジィ………」



    加持『そうしてれば、アスカから全てをさらけだすだろう』


    シンジ「これからの時間も、これまでのアスカのことも、ゆっくり解決していけばいいんだよ。アスカ」

    139 = 127 :

    ――――
    ―――


    アスカ「シンジ、縛ってたところ、痛くない?」

    シンジ「うん」

    アスカ「本当? 頭も、病院行かなくて平気?」

    シンジ「血はでてないし、大丈夫だよ」

    アスカ「な、なんでもするから。なにかあったら言うのよ?」

    シンジ「大丈夫だよ、アスカ」

    アスカ「あの、シンジ……」

    シンジ「ん?」

    アスカ「私、少し頭冷やしてくる。ヒカリにも、告白した子にも、なんだか悪いことしちゃったから」

    シンジ「え? けど、今日は学校行ってないからあんまり出歩かない方がいいんじゃ」

    アスカ「少し、考えたいの」

    シンジ「………そっか」

    アスカ「体調大丈夫よね? い、いなくならないわよね?」

    シンジ「うん……」

    アスカ「わかった。それじゃぁ……」

    シンジ「――いってらっしゃい」

    140 = 127 :

    - ネルフ本部 ラボ -

    加持「よっ」

    リツコ「あら、あの子達はもういいの?」

    加持「俺の出る幕じゃないさ。多少余計な口出しはしてしまったみたいだがね」

    リツコ「終わりよければすべてよし、とも言うわよ? それにシンジくんは理想的な成長をしているといえるんじゃないかしら?」

    加持「…………」

    リツコ「あの子、加持くん以上の女たらしになるかもしれないわね」

    加持「ふっ。たしかに、シンジくんの働きぶりには感心させられるよ……アスカのトラウマは克服できそうじゃないか?」

    リツコ「四歳にして目の前で母親が首吊り自殺をしているのを見るのは並大抵のことではないわよ」

    加持「まだしばらく不安定だと?」

    リツコ「さぁ? 未来は不確定だけど、条件付きならば、はやい段階で――とは言えるんじゃないかしらね」

    加持「フォースの選定に間に合えばいいんだが――」

    リツコ「(おそらく、あの子たちの立場が逆転することになる)」

    加持「マルドゥック機関には介入できないかい?」

    リツコ「口出しすれば、碇司令が黙っちゃいないわよ?」

    加持「……ふぅ~」

    リツコ「加持くん、あまり根を詰めすぎると死ぬわよ。これは友人としての忠告」

    加持「ご忠告痛みいるよ。しかし、俺はなんでも自分で確かめないと気が済まないタチでね」

    リツコ「(やるつもりなのね、介入)」

    加持「それじゃリッちゃん、また今度」

    141 = 127 :

    - 第三新東京都市 繁華街 -

    アスカ「(はぁ。今さらになって凄い自己嫌悪だわ……)」

    アスカ「(冷静になってみると、痛いやつよね。私って)」

    アスカ「(碇シンジ……。もうすぐ一週間だけど……普通に考えたらここまで心の距離が近づくなんてありえない)」

    アスカ「(違う。そうじゃない。私から心を開くなんてありえない………だけど――――)」


    アスカ「(――――惹きつけられる)」


    アスカ「(これまでの人生で、加持さんだって、ううん、出会ってきた中でこんなことなかった)」

    アスカ「(シンジ………懐かしいことと関係があるの?)」


    カップル「なぁなぁ、あの子かわいいな?」
    カップル「どこ見てるの! 信じられない!」


    アスカ「(……はん。バッカみたい。昼間からイチャつくとか。しかも男も薄っぺらいし、あんなのならシンジのほうがよっぽど………)」

    アスカ「(――いつから? 屋上で私を守るって言ってくれた時から、ずっとシンジのこと見てた)」

    アスカ「(………もしかして、はじめて会った時から?)」

    アスカ「………はぁ」

    142 = 127 :

    - ミサト宅 -

    ミサト「シンジくーん? アスカー? いるー?」

    シンジ「――あれ? ミサトさん? 明日まで泊まりこみで仕事じゃなかったんですか?」

    ミサト「えへへ、日向くんにお願いして切り上げてきちゃった」

    シンジ「(昨日じゃなくてよかった)……はぁ、いいんですか?」

    ミサト「まぁまぁ。それよりアスカは? ちょっと二人に話があるのよ」

    シンジ「アスカなら今出てますよ」

    ミサト「ん~そっかぁ~。帰りは遅くなるのかしら? あんまり時間がないのよねぇ~」

    シンジ「今日はすこし、時間を与えてあげてください。僕でできることならしますから」

    ミサト「……なんかあったの?」

    シンジ「いえ、仲直りしただけです」

    ミサト「ふぅん。時間……必要なのね?」

    シンジ「……はい」

    ミサト「……わかったわ。今回の話は二人の協力が不可欠だし……どーんと! のんびりして待ちましょうか!」

    143 = 127 :

    - 第三新東京都市立第壱中学校 放課後 校舎前 -

    ヒカリ「…………」テクテク

    アスカ「ヒカリっ! ヒカリっ!」

    ヒカリ「………? ――アスカ?」

    アスカ「ずっと待ってたのよ。よかった」

    ヒカリ「待ってたってここで?」

    アスカ「うん、昨日のこと謝ろうと思って」

    ヒカリ「ううん。もういいの」

    アスカ「昨日の、あの子は……」

    ヒカリ「あの子には、私から謝っておいたから大丈夫よ。私のせいなんだし」

    アスカ「…………」

    ヒカリ「…………」

    アスカ&ヒカリ「…………あの」

    アスカ「……あ」

    ヒカリ「……えへへ。ねぇ、よかったら、うちに遊びにこない?」

    144 = 127 :

    - 洞木宅 -

    ヒカリ「もうすぐしたらご飯だけど、アスカも食べてく?」

    アスカ「うぅん。そこまでしてもらっちゃ悪いし、いいわ。シンジも待ってるだろうし」

    ヒカリ「――くす」

    アスカ「なによ?」

    ヒカリ「本当にアスカは碇くんのことが好きなんだなぁって」

    アスカ「ヒカリ、前もそれ言ってたわよね」

    ヒカリ「うん、だってそうなんだもん」

    アスカ「……はぁ。シンジのことは、たしかに、うん、これまでにないぐらいの人だとは気がついたわよ」

    ヒカリ「――ほんとっ⁉︎」

    アスカ「……私がこれほどまでに気になるなんて、悔しいけど、認めざるをえないわ」

    ヒカリ「アスカ、前に碇くんのこと「気にかけてやってる」って言ってたのってやっぱり認めたくなかったから?」

    アスカ「……ん。そうなのかも。私からいくのは大人の余裕のある人ばかりだったから」

    ヒカリ「…………」

    アスカ「受け入れてくれるっていう安心感がないとだめなのよ。だから大人を求めてたのかもしれないわ」

    ヒカリ「うんうん。年上ってそういうところあるよね」

    145 = 127 :

    アスカ「だけど、大人はみんな私のことエヴァのパイロットとしてしか見てくれなかった。私のことを見てくれたのは加持さんだけ」

    ヒカリ「…………」

    アスカ「………。加持さんも私のことを女の子として扱ってたけど、子供としても扱っていたわ」

    ヒカリ「…………」

    アスカ「シンジは、シンジだけは、私と対等に、エヴァのパイロットとしても、子供同士としても向き合ってくれた」

    ヒカリ「………なんだか、ずるいな」

    アスカ「えっ?」

    ヒカリ「恋愛って、自分と向き合ったり、人と向き合わなきゃできないことだから、アスカが大人に見える」

    アスカ「そうかしら……」

    ヒカリ「うらやましいよ。昨日はまったくそんなとこ見せなかったのに。気がつくことができたじゃない」

    アスカ「…………うん。でも、ヒカリもそういうことわかってるってことじゃないの?」

    ヒカリ「私は、少女漫画の影響だから……えへへ」

    アスカ「…………ふふ」

    ヒカリ「アスカも見たいなら言ってね? 少女漫画うちにたくさんあるから」

    146 = 127 :

    ヒカリ「……でも、よかった」

    アスカ「ん?」

    ヒカリ「アスカ、このままだとなにしでかすかわからない感じだったから」

    アスカ「――――あー、うん」

    ヒカリ「……?」

    アスカ「ヒカリ、引かないで聞いてくれる?」

    ヒカリ「もう夜中見てたとか言われなくても引かないわよ」お茶グビグビ

    アスカ「――シンジを監禁したの」

    ヒカリ「ぶふぅっっっ!!」

    アスカ「うわぁっ⁉︎」

    147 = 127 :

    ヒカリ「あ、アスカァ⁉︎」

    アスカ「も、もう大丈夫。解放してあるから」

    ヒカリ「解放って――碇くんは大丈夫なの⁉︎」

    アスカ「う、うん。なんともないっていつも通りしてくれてる」

    ヒカリ「…………」

    アスカ「さ、さすがにやりすぎたとは思ってるわよ」

    ヒカリ「………すごいね」

    アスカ「………うん。でもあいつバカだから。凄いと思ってないんだろうけど」

    ヒカリ「…………碇くんってね、転校した時、孤立してたのよ」

    アスカ「そうなの?」

    ヒカリ「うん。エヴァのパイロットっていうこともあったけど、昼休みは一人でいることが多かった」

    アスカ「鈴原から殴られたことあるって聞いたことあるわ」

    ヒカリ「……鈴原は妹さんが巻き込まれたから」

    アスカ「でも、それは事故よ」

    ヒカリ「……うん。私たちにはできないこと、碇くんやアスカたちはしてる」

    アスカ「………」

    ヒカリ「みんな感謝してるのよ。口にださないだけで。だから、鈴原のことあんまり悪く言わないであげて」

    アスカ「……わかった」

    ヒカリ「あのね、アスカ」

    アスカ「うん?」

    ヒカリ「ちょっと耳かしてくれる?」

    アスカ「はぁ? だってここには誰も……まぁいいわ、なに?」

    ヒカリ「実は、私――」

    アスカ「――――――よりによって、すずはらぁっっっっ⁉︎」

    148 = 127 :

    転校した時→×
    転校してきた時→○

    149 :

    - ミサト宅 夜 -

    アスカ「すぅー……はぁーっ。よしっ!」

    ガチャ

    アスカ「シンジ! ただい――」

    ミサト「お帰りなさ~い!」

    アスカ「――ミ、ミサトっ?」

    ミサト「待ってたわよん」

    アスカ「仕事は?」

    ミサト「まぁまぁ。いいからいいから。それじゃ、はじめましょーか!」

    アスカ「なにを?」

    ミサト「今度の作戦準備。ほら、シンちゃんはリビングで待ってるからさっさと行って」



    ミサト「――第7使徒の弱点は1つ! 分離中のコアに対する二点同時の荷重攻撃、これしかないわ」

    シンジ「……荷重攻撃?」

    ミサト「つまり、エヴァ2体のタイミングを完璧に合わせた攻撃よ。――そのためには2人の協調、完璧なユニゾンが必要なの」

    アスカ「ユニゾンってそんな無茶な……」

    ミサト「そ・こ・で、無茶を可能にする方法。二人の完璧なユニゾンをマスターするため、この曲に合わせた攻撃パターンを覚え込むのよ」

    アスカ「…………」

    シンジ「…………」

    ミサト「使徒は現在自己修復中。既に2日ロスしたから第2波は4日後、時間がないわ。頼むわね」

    150 = 149 :

    - 翌日 ミサト宅 -

    アスカ「な、なによこれぇ~~~⁉︎」

    ミサト「あら? 気に入らなかった?」

    アスカ「こんなダサいTシャツを私に着ろってゆーの⁉︎」

    ミサト「シンちゃんとペアルックよん?」

    アスカ「――ほ、ほんと?」

    ミサト「もちろん、シンちゃんは今自分の部屋で着替えてるから」

    アスカ「は、はん。ま、まぁ。しかたないわね!」

    ミサト「アスカ、あんた素直になったりつんつんしたり忙しいのね」

    アスカ「どういう意味よっ⁉︎」

    ミサト「ご覧の通り見たままの意味よ、さ、ちゃっちゃと着替えちゃいなさい」

    アスカ「む、ムカつく……っ!」


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