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    元スレシンジ「僕が?」

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    51 = 42 :

    アスカ「…………」鼻ズビビー

    シンジ「(ハンカチはそういう使い方じゃないんだけどなぁ)」

    アスカ「……………ぁりがと」

    シンジ「ん?」

    アスカ「私、いままでなにしてたんだろ」

    シンジ「………………」

    アスカ「あんたと暮らしはじめて二日でこんなことになっちゃってるなんて」

    シンジ「あー、うん、そうだね」

    アスカ「私はこれまで大人の人が好きだったのに、あんたといるとよくわからないわ」

    シンジ「そうなの?」

    アスカ「このワタクシ様よ? 同年代なんてみんなサルみたいなもんだったし」

    シンジ「……(黙ってればかわいいけどなぁ)」

    アスカ「大人達には困った笑顔向けられるばかりだった」

    シンジ「加持さんって人?」

    アスカ「………まぁ、いろいろ」

    シンジ「そっか」

    アスカ「ねぇ、あんた、どこかで会ったことある?」

    シンジ「いや? ないと思う……けど(でも、アスカも感じてたのか?)」

    アスカ「そう、なら気のせいね」

    シンジ「う、うん」

    アスカ「あんた、私のこと守ってくれるの?」

    52 = 42 :

    シンジ「守るってなにから?」

    アスカ「……あんたバカァ? 女の子を守るっていったらわかるでしょ?」

    シンジ「……えーと、使徒?」

    アスカ「ほんとにバカね……。いろんなことからよ」

    シンジ「う~~~~ん」

    アスカ「…………………」ジーッ

    シンジ「できる範囲なら、守るよ」

    アスカ「40点」

    シンジ「えぇ⁉︎」

    アスカ「ハッキリ言い切りなさいよ。男らしくないわねぇ~」

    シンジ「わ、わかったよ。守るよ」

    アスカ「本当に?」

    シンジ「うん」

    アスカ「本当に本当に本当に?」

    シンジ「う、うん」

    53 = 42 :

    アスカ「……そ。それなら私もあんたを守ってあげる」

    シンジ「えっ?」

    アスカ「約束破ったら承知しないからね!」

    シンジ「わかったってば、しつこいなぁ、なんなんだよもう……」

    アスカ「話は終わり! さ、もう昼休み終わっちゃうから戻りましょ!」

    シンジ「あ! ちょ! ちょっと待ってよ! アスカぁ!」

    54 = 42 :

    - 夜 ミサト宅 -

    シンジ「アスカ、そっちに皿並べてくれる?」

    アスカ「わかったわ」

    ミサト「………………」

    シンジ「それと、箸も」

    アスカ「もう持ってるわよ、ミサト、邪魔」

    ミサト「………………」

    アスカ「まだ焼けないの?」

    シンジ「うん、もうちょっとかな」

    アスカ「私、わりとハンバーグ好きなのよ」

    シンジ「そうなの? なら、丁度よかったね」

    ミサト「………………」

    アスカ「あんた、いつもいつ買い出ししてるの?」

    シンジ「特に決まってない。学校の帰りとか」

    アスカ「そ。なら今度からは私もついていってあげる」

    ミサト「ちょお~~~~っとストップ」

    シンジ&アスカ「……………?」

    ミサト「シンちゃん? アスカ? ちょっちそこに座りなさい」

    シンジ「なんですか? ミサトさん今忙しいんですけど」

    アスカ「そうよ、ミサトもちょっとは自分のことしなさい。シンジばっかりさせてないで」

    ミサト「……………いいから、座りなさい」

    55 = 42 :

    ミサト「…………これはどういうこと?」

    シンジ&ミサト「……………?」

    ミサト「(本人達に自覚なしか……)」

    シンジ「あの、ミサトさん――」

    ミサト「シンちゃん、ちょっと部屋で音楽でも聴いてきてくれない?」

    アスカ「ちょっとミサト、なんでシンジを邪険にさるのよ」

    シンジ「あ、えっと」

    ミサト「邪険になんてしてないわよ。ね? お願い、シンちゃん」

    シンジ「………わかりました」

    アスカ「シンジはいかなくていいわよ。ミサトがいけばいいのに」

    ミサト「…………………」

    シンジ「いや、うん、ちょっと音楽聴いてきます」

    ミサト「……ありがと」

    56 = 42 :

    アスカ「それで? なに?」

    ミサト「……(聞きたいのはこっちの方よ)」

    アスカ「はやくしてくれる? シンジが部屋で待ってるし」

    ミサト「アスカ、シンちゃんとなにかあった?」

    アスカ「……あぁ。なんだそんなこと」

    ミサト「そんなことって」

    アスカ「別に。ちょっと目をかけてやろうと思っただけ」

    ミサト「そ、それにしたって距離が近づきすぎじゃないかしらん?」

    アスカ「ミサトには関係ないでしょ? エヴァのパイロットの管轄義務はそこまで含まれてるの?」

    ミサト「そこまではないけど…………昨日の今日よ?」

    アスカ「私たちはなにもやましいことなんかしてないわ」

    ミサト「や、やましいことって?」

    アスカ「不潔。なにか今変なこと考えたでしょ?」

    ミサト「……………」

    アスカ「……………」

    ミサト「と、とにかく! すこし離れなさい!」

    アスカ「いやよ」

    ミサト「いやって……」

    アスカ「絶対にいや」

    57 = 42 :

    ミサト「(こ、これはマズイわね……)」

    アスカ「あぁ、それと私の部屋、引越しの荷物がまだ片付いてないのよね。だからシンジの部屋で寝るから」

    ミサト「えぇ⁉︎」

    アスカ「シンジにはまだ言ってないけど、後から言うわ」

    ミサト「だ、だぁめよ! なにかあったらどうするつもり⁉︎」

    アスカ「昨日は家をあけてたじゃない」

    ミサト「そ、それは……」

    アスカ「大丈夫よ。あいつヘタレだから」

    ミサト「そ、そうは言ってもシンジくんもお年頃なのよ⁉︎」

    アスカ「いざとなったら私の方が強いわよ」

    ミサト「(こ、この子、本気なの?)」

    アスカ「もういい? シンジのハンバーグはやく食べたいんだけど」

    ミサト「だめよ! 認められません! 部屋が片付いてないんだったら私の部屋で寝なさい!」

    アスカ「ミサトの部屋ぁ? あの状態で?」

    ミサト「ぐ、ぐぬぅ……シンジくんを呼んできて」

    58 = 42 :

    シンジ「――えぇ⁉︎ アスカが僕の部屋で⁉︎」

    ミサト「シンちゃんは、もちろん嫌よね?(……お願いシンジくん! 断って!)」

    アスカ「………………」

    シンジ「ほ、本気なの? アスカ」

    アスカ「なによ、嫌なの?」

    シンジ「い、嫌ってわけじゃあ」

    アスカ「ならいいんじゃない」

    ミサト「ちょっちそれは強引すぎない?」

    アスカ「…………うざい」

    ミサト「ちょ、ちょっとアスカ」

    アスカ「私達はエヴァのパイロットなのよ! 普通にしててなにが悪いのよ!」

    ミサト「…………落ち着きなさい」

    アスカ「ミサトのは越権行為よ!」

    シンジ「あ、あの」

    アスカ「シンジだってパイロットなんだしなにも起きるはずない! それともそんなに信用できないわけ⁉︎」

    ミサト「……………」

    アスカ「……………」

    ミサト「…………わかったわ、ただし、荷物は近日中に片付けること。いいわね?」

    アスカ「…………ふん」

    59 = 42 :

    - 深夜 シンジ部屋 -

    シンジ「(結局、ミサトさんは部屋に仕切りのカーテンをつけることで妥協した)」

    シンジ「(けど、これってマズイんじゃないのかなぁ)」

    アスカ「…………シンジ? もう寝た?」

    シンジ「…………ん? ど、どしたの?」

    アスカ「なんだか、眠れないの」

    シンジ「へ、へぇ、そうなんだ」

    アスカ「そっち、行っていい?」

    シンジ「ぇ、ええ⁉︎」

    アスカ「だめなの?」

    シンジ「あー、えーっと」

    アスカ「ん……………」ゴソゴソ

    60 = 42 :

    シンジ「(ち、近い、数十センチ近くにアスカの顔が……)」

    アスカ「なによ、あんた、もしかして緊張してるの?」

    シンジ「す、するわけないだろ!」

    アスカ「……うそつくのが下手ね」

    シンジ「……………」

    アスカ「今日は、ありがと」

    シンジ「あ………」

    アスカ「なんか、色々とふっきれた気分だわ」

    シンジ「もしかして、それを言うために?」

    アスカ「それもあったけど、部屋が片付いてないのはほんとよ」

    シンジ「(やっぱり、良い子なんじゃないか)」

    アスカ「……シンジ、シャンプーなに使ってるの?」

    シンジ「スーパーのやつだよ」

    アスカ「もっと良いのつかったら?」

    シンジ「うーん、あんまり興味ないから」

    アスカ「でも、悪い匂いじゃないわね」

    シンジ「うわ、ちょ、ちょっ(嗅がれてる⁉︎)」

    アスカ「うん、良い匂い」

    シンジ「あ、あの、アスカ――」

    アスカ「………………」

    シンジ「アスカ……?」

    アスカ「………………」

    シンジ「ね、寝ちゃったのか……」

    61 = 42 :

    - 翌日 第三新東京市立第壱中学校 昼休み -

    シンジ「……………」

    トウジ「なんや、センセ、えらいクマやのー」

    シンジ「うん、ちょっとね」

    ケンスケ「夜更かしでもしたのかぁ?」

    シンジ「(ほとんど寝られなかった)」

    トウジ「……しっかし、昨日はどうなることかと思ったでー」

    ケンスケ「ほんとほんと。アスカが戻ってきたときにはケロってしてたけどさぁ」

    シンジ「なんでもなくてよかったよ」

    アスカ「――シンジっ!」

    トウジ&ケンスケ「うわぁ!」

    アスカ「なによ、レディに対していきなり驚くとは失礼ね」

    トウジ「いきなり現れるな!」

    シンジ「どしたの? アスカ」

    アスカ「お昼一緒に食べましょ!」

    シンジ「えーと、洞木さんはいいの?」

    アスカ「ヒカリなら平気よ。ちゃんと言ってあるから」

    62 = 42 :

    シンジ「あー、うん。わかった」

    アスカ「それじゃ移動しましょ! 屋上でもいい?」

    トウジ「……………」

    ケンスケ「……………」

    シンジ「アスカにまかせるよ」

    アスカ「殊勝な心がけね、あ、これシンジが作ってくれたお弁当なんだけど――」

    トウジ「まてまてまてまてまてぇいっ!」

    シンジ&アスカ「……?」

    トウジ「お前らどうなっとんねん!」

    ケンスケ「こ、これはひょっとして……」

    63 = 42 :

    トウジ「シンジ! お前は今わいらと一緒に食べようとしてたんちゃうんか!」

    シンジ「あ、それは、そうだね」

    アスカ「…………」

    トウジ「ワイらとそこの女とどっちとんねん!」

    シンジ「えぇ? いや、あの」

    アスカ「…………バッカみたい、行きましょ。シンジ」

    ケンスケ「いかりぃ~。一人で抜けがけする気かぁ~」

    アスカ「……あぁ~んもう、うっさい! だいたいねぇ、あんた達も食べたいんなら誰かを誘えばいいじゃない!」

    トウジ「ぬぐっ」

    アスカ「自分じゃなんにもできないくせにシンジの足掴むんじゃないわよ」

    トウジ「な、なんやとぉ⁉︎」

    アスカ「なによ⁉︎」

    ケンスケ「お、おい、トウジ」

    トウジ「…………………」

    アスカ「……………ふん」

    シンジ「あの、アスカ」

    アスカ「シンジ! 行くの⁉︎ 行かないの⁉︎」

    シンジ「――トウジ、ごめん」

    トウジ「……………おう」

    64 = 42 :

    - 屋上 -

    アスカ「さ、食べましょ」

    シンジ「――あの、アスカ」

    アスカ「なに?」

    シンジ「さっきのトウジのことなんだけど……」

    アスカ「あぁ。それがなに?」

    シンジ「あの、ちょっと言いすぎじゃないかなって」

    アスカ「………………」

    シンジ「悪気があるわけじゃないんだ。ただ、先に約束してたから」

    アスカ「………わかったわ。後で謝っとく」

    シンジ「えっ? いいの?」

    アスカ「友情ってやつなんでしょ? 男のは気持ち悪いけど、悪かったわよ」

    シンジ「アスカ……ありがとう」

    アスカ「ん。食べましょ」モグモグ

    シンジ「いただきます。………そういえば洞木さんと仲良くなったんだね」

    アスカ「……昨日の借りもあったしね。面倒見がいいから悪い子じゃないみたい」

    シンジ「(あぁ、他の女子からなにか聞いたのかな)」

    アスカ「シンジ、聞きたいことがあるんだけどいい?」

    65 = 42 :

    シンジ「ん? なに?」

    アスカ「あんた、ファーストとどういう関係なの?」

    シンジ「綾波? えーと、エヴァのパイロット仲間、かな」

    アスカ「ふぅ~ん」

    シンジ「アスカも仲良くなれると思うよ」

    アスカ「私は別にいいかな。なんか興味なくなったし」

    シンジ「興味って…………」

    アスカ「ねぇ、シンジ。私があんたを守ってあげるからファーストとあんまり話さないで」

    シンジ「えぇ?」

    アスカ「私思うのよね。人間関係ってあまり多様性必要ないって」

    シンジ「…………」

    アスカ「一人の親友には何人の友達が束になってもかなわないじゃない? それなのに何人も仲良くなろうとする?」

    シンジ「…………」

    アスカ「何人も何人も、友達100人なんて言っても薄くなるだけよ。そんなの不毛だわ」

    シンジ「…………」

    アスカ「だから心を許せる人は大切なのよ」

    シンジ「………アスカは僕に心を許してるの?」

    アスカ「まだあんまり。でも許そうとはしてるわよ?」

    シンジ「そうなんだ」

    アスカ「うん」

    シンジ「…………アスカは僕が綾波と話するのが嫌なの?」

    アスカ「う~ん、なんかザワザワすんのよね」

    シンジ「そっか。…………うん。わかった」

    アスカ「ほんとっ⁉︎」

    66 = 42 :

    シンジ「うわ⁉︎ ちょ! 顔近い!」

    アスカ「……あ、だってそう言うとは思わなかったから」

    シンジ「エヴァに関することは無理だけど――」

    アスカ「うんっ! それでもいい! ありがとうシンジ!」

    シンジ「(うーん、よかったのかな………)」

    アスカ「あ、それとあんたが朝飲んでたマグカップ、お揃いのがほしいんだけどどこで買ったの?」

    シンジ「え? あれは、たしかミサトさんが選んでくれたやつで――」

    アスカ「ミサトがぁ?」

    シンジ「うん。こっちに来た時、荷物ほとんどなかったから」

    アスカ「……………ふぅ~ん」

    67 = 42 :

    - ネルフ本部 ラボ -

    リツコ「別にかまわないんじゃなくて?」

    ミサト「もし間違いがあったらどーすんのよ……」

    リツコ「避妊さえしてくれればかまわないわよ」

    ミサト「え? そうなの?」

    リツコ「エヴァはA10神経で接続しているし、良い結果が得られるかもしれないわね」

    ミサト「もし、(子供)できちゃった場合は――」

    リツコ「……クビね。間違いなく」

    ミサト「どぉすんのよぉ⁉︎」

    リツコ「気が早すぎるんじゃない? まだあの子達が開通したわけじゃないでしょう?」

    ミサト「う~」

    リツコ「………………」

    ミサト「しかし、最近は中学生でここまでマセてんのねぇ~」

    リツコ「あら、アスカは元々背伸びをしているし、エヴァのパイロット同士という吊り橋効果を考えれば不思議ではないわよ?」

    ミサト「……………家に帰るのが億劫だわ」

    68 = 42 :

    - 夜 ミサト宅 -

    ガラガラ
    ガチャーンッ


    アスカ「――――いったぁ~~~」

    シンジ「ど、どしたの⁉︎ アスカ!」

    アスカ「……指切っちゃった」

    シンジ「大丈夫? 今絆創膏持ってくるから」

    アスカ「……あっ。シンジのマグカップ――」

    シンジ「これを落としたんだ?」

    アスカ「割れちゃった」

    シンジ「うん。でもいいよ、また買えばいいから。破片があるかもしれないから動かないでね」

    アスカ「うん――」

    69 = 42 :

    ミサト「たっだいまぁ~!」

    アスカ「ねぇ、シンジ。シンジってこういうのが好きなの?」

    シンジ「うーん、あんまり」

    アスカ「でも、クラスの男子はみんなかわいいって言ってるじゃない」

    シンジ「僕はあんまり好きじゃないかな」

    アスカ「この子は?」

    ミサト「……ただいまぁ~」

    シンジ「うーん」

    アスカ「はっきりしないわねぇ~」

    シンジ「あんまりテレビのアイドルとか見ないから」

    ミサト「………………」

    シンジ「ん? あ、おかえりなさい、ミサトさん」

    アスカ「あら? いたの。ミサト」

    ミサト「あんたたち! テレビ見てないでこっち座りなさい!」

    70 = 42 :

    シンジ「………………」

    アスカ「………………」

    ミサト「………………」

    シンジ「……………え、えと」

    ミサト「シンちゃん?」

    シンジ「は、はい!」

    ミサト「ソファーでテレビを見るのはいいけど距離が近すぎないかしら?」

    シンジ「す、すみません」

    アスカ「………………」

    ミサト「アスカは部屋の片付け進んでるの?」

    シンジ「あ、あの。今日は僕が手伝いをお願いしてて――」

    ミサト「どうなの? アスカ」

    アスカ「やってるわよ!」

    71 = 42 :

    ミサト「…………はぁ。シンちゃんは今日は私の部屋で寝なさい」

    アスカ「――――っ⁉︎」

    シンジ「み、ミサトさんの部屋でですか?」

    ミサト「アスカはシンジくんの部屋で寝ること。いいわね?」

    シンジ「でも、ミサトさんは?」

    ミサト「私はソファーで寝るわ」

    アスカ「…………………はん」

    ミサト「……………アスカ?」

    アスカ「なによ? 結局、ミサトも保身なのね?」

    ミサト「私はあなた達を保護しています」

    アスカ「保護ぉ? 勝手に住まい決めておいて。仲良くやってたら勝手に仕切るのが?」

    ミサト「あなた達は適度な距離を保てなくなってるわ」

    アスカ「まだ三日じゃない! 様子見しないでなにを焦ってるのよ!」

    72 = 42 :

    ミサト「………仲良くやるのは否定しないわ。でも、あなた達は男と女なのよ?」

    アスカ「不潔。なんにでもそんな風にしか考えられないのね」

    シンジ「あ、アスカ――」

    アスカ「あぁ~~あ。やだな。こんな大人になんかなりたくない」

    ミサト「……………これは命令よ。現時刻をもって一緒に寝るのを禁じます」

    アスカ「――っ!!」

    ミサト「シンジくんも。いいわね?」

    シンジ「……………」

    アスカ「――ふざけるんじゃないわよ! やってらんないわ!」

    シンジ「あ、あの。ミサトさん」

    ミサト「……………」

    アスカ「……わかったわよ。私は自分の部屋で寝る。だからシンジも自分の部屋で寝て」

    ミサト「ほんとなのね……?」

    アスカ「職権乱用されちゃお手上げよ!」

    73 = 42 :

    - 深夜 シンジ部屋 -

    シンジ「……………」スヤァ

    アスカ「シンジ、シンジ」

    シンジ「……………ん? あすか?」

    アスカ「シッ、声下げて話して」

    シンジ「今何時……って夜中の3時じゃないか」

    アスカ「ミサトもようやく寝たみたい」

    シンジ「あぁ………寝るまで待ってたの?」

    アスカ「あんたムカつかないの? 勝手な言い草で行動を制限されちゃってさ」

    シンジ「うん、でも、一緒に寝るのはまずいよ」

    アスカ「どうして? やましいことなにもしてないじゃない」

    シンジ「(僕が我慢してるだけなんだけどなぁ)」

    アスカ「ミサト、加持さんとうまくいってないのかしら?」

    シンジ「加持さんってミサトさんとなにかあるの?」

    アスカ「あんたバカァ? あの二人デキてんのよ」

    シンジ「えっ? そうだったの?」

    アスカ「うまくいってるならあっちで勝手にすればいいのに――」

    シンジ「でも船のデッキでアスカも加持さんに抱きついてたじゃないか」

    アスカ「――あっ。それは、その」

    シンジ「アスカは、いいの?」

    アスカ「いいの。シンジ、今、嫌な気分になってる?」

    シンジ「ん? んー」

    アスカ「……加持さんのことはもういいの。他の大人にも抱きついたりするのやめる」

    シンジ「そうなんだ」

    アスカ「ごめんね?」

    シンジ「いや、僕は…………」

    74 = 42 :

    アスカ「明日、エントリープラグのテスト日よね」

    シンジ「あぁ、そうだったね」

    アスカ「私、エヴァに関しては誰にも負けたくない」

    シンジ「うん」

    アスカ「シンジならいいかなって思うけど、やっぱり、弐号機は私の全てだから」

    シンジ「それならそれでいいよ」

    アスカ「…………いいの?」

    シンジ「うん。大切ならいいんじゃないかな」

    アスカ「ありがと。なんかちょっとシンジって加持さんに似てる」

    シンジ「そうかな?」

    アスカ「うん、いると安心するし」

    シンジ「そっか」

    アスカ「ねぇ、シンジ。昨日、誰かの役に立ちたいって言ってたじゃない?」

    シンジ「…………うん」

    アスカ「それならもう役に立ってるのよ。私達はエヴァに乗ってるだけで役にたってる」

    シンジ「…………そうだね」

    アスカ「パレードしたっていいぐらいよ?」

    シンジ「はじめて乗った時、僕はわけがわからなくて、トウジの妹を傷つけちゃったらしいんだ」

    75 = 42 :

    アスカ「……………」

    シンジ「乗りたくて乗ってるわけじゃないのに、なんでトウジから殴られなきゃいけないんだろうって思った」

    アスカ「………殴られたの?」

    シンジ「うん、でもそれはいいんだ。トウジもエヴァの大変さを知って僕にワイを殴れって言ってきたし」

    アスカ「……………」

    シンジ「あれがなかったら、きっと今も、他人のことなんか考えずにエヴァに乗っていたと思う」

    アスカ「……………」

    シンジ「エヴァの一番はアスカがふさわしいと思うよ」

    アスカ「ありがと」

    シンジ「…………うん」

    アスカ「今日はもう部屋に帰る」

    シンジ「わかったよ」

    アスカ「おやすみ、シンジ」

    シンジ「――おやすみ、アスカ」

    76 = 42 :

    - 翌日 第三新東京市立第壱中学生 昼休み -

    ヒカリ「アスカ、今日は碇くんとご飯食べなくていいの?」

    アスカ「うん、一緒に食べましょ。ヒカリ」

    ヒカリ「――えへへ、なんだか嬉しいな」

    アスカ「……………」モグモグ

    ヒカリ「……………」

    アスカ「……………」

    ヒカリ「…………あの、アスカ」

    アスカ「なぁに?」

    ヒカリ「碇くんばっかり見てない?」

    アスカ「違うわよ」

    ヒカリ「でも、碇くん達の方――」

    アスカ「たまたまシンジが私の見てるところにいるだけ」

    ヒカリ「そ、そうなんだ」

    アスカ「………………」

    ヒカリ「碇くんってわりと人気あるよね」

    アスカ「…………どういうこと?」

    ヒカリ「ひっ⁉︎ あ、アスカ。ちょっとこわい」

    アスカ「……ごめんごめん。それで?」

    ヒカリ「他のクラスでも碇くんって結構人気あったりするよ。エヴァのパイロットだし」

    アスカ「……ふぅ~ん」

    ヒカリ「碇くんは鈴原たちと喋ってるから気がついてないみたいだけど……あ、ほら」

    アスカ「…………」

    ヒカリ「あの子も話しかけるタイミングいつも伺ってるみたいだけど、鈴原達が邪魔で話しかけられないみたい」

    アスカ「知らなかったわ……」

    ヒカリ「アスカは碇くんしか見てないでしょ?」

    アスカ「そ、そんなことっ!」

    ヒカリ「ない?」

    アスカ「ないわ!」

    77 = 42 :

    ヒカリ「(いつも碇くんのこと見てるのに……)」

    アスカ「だいたいあんなののどこがいいのよ。そりゃエヴァのパイロットっていうのはステータスだろうけど」

    ヒカリ「うーん」

    アスカ「ちょぉっとは、ほんのちょぉっとは頼りになるかな、なんて思う時もあるわよ? けど、それはエヴァに乗ってる時だけだし」

    ヒカリ「…………」

    アスカ「だから、あんなのに話しかける子が不幸にならないよう、私からあいつのダメなとこ言いまくってやるわ」

    ヒカリ「…………そうだね、碇くんってダメダメだよね」モグモグ

    アスカ「――ヒカリ。今なんつったの?」

    ヒカリ「私もあの人のどこがいいのかわかんない。かっこわるいし――」

    アスカ「――やめて」

    ヒカリ「…………アスカ、やっぱり怒るんじゃない」

    アスカ「えっ?」

    ヒカリ「なんで止めようとするの?」

    アスカ「え? え~それはその~」

    78 = 42 :

    ヒカリ「ずっと碇くんのこと見てるよね? ううん、目で追ってる」

    アスカ「うっ」

    ヒカリ「碇くんは今日はなにしてた?」

    アスカ「…………今日?」

    ヒカリ「うん」

    アスカ「えっと、朝一緒に登校してから、ホームルーム前にトイレに行ってたわね。でもあんまり時間かからなかったから、たぶん小だったみたい。
    それで、教室に帰ってきたら鈴原達と少し話して授業の準備。パソコン立ち上げてたんだけど調子悪かったのかな? ……なんだか顔しかめてたから。
    そのあとは授業を受けて四回、窓の外を見てた。授業中によそ見しちゃだめよね。でもたまーに横顔もいいかな、なんて。
    なにか気になることあるのかなって思って私も窓の外を見たんだけど、なにもなかったわ。
    それからまたトイレに行って、今度は少し時間かかってたから大だったのかも。そのあと体育だったでしょ?
    男子はグラウンドで走っててシンジは中間ぐらい。ほんとなんにでも中間ぐらいよね。

    それから――――ヒカリ? どうしたの?」

    ヒカリ「………………」

    79 = 42 :

    アスカ「ひ、ヒカリ? 箸が落ちてるわよ?」

    ヒカリ「あ、アスカ。碇くんは見られてること気がついてる?」

    アスカ「え? 気がついてないわよ。夢にも思ってないんじゃない?」

    ヒカリ「そ、そう。それならよかった」

    アスカ「…………ヒカリって私の友達よね?」

    ヒカリ「えっ? う、うん」

    アスカ「まだ日は浅いけど、私と仲良くしてくれる?」

    ヒカリ「も、もちろんよ」

    アスカ「ちょっと声をさげてほしいんだけど…………絶対に大声あげないでね?」

    ヒカリ「う、うん。わかった」

    80 = 42 :

    アスカ「実は――ネルフの意向でシンジと私、一緒に住んでるの」

    ヒカリ「え、えぇえええぇ!?」

    アスカ「――声が大きい! みんなこっち見てるじゃない!」

    ヒカリ「ご、ごめんなさい。でも、大丈夫なの?」

    アスカ「なにが?」

    ヒカリ「だって碇くんだって男の子だよね……」

    アスカ「はぁ……。ヒカリまでそんなこと言うのね。大丈夫よ。あいつヘタレだし」

    ヒカリ「アスカがそう言うなら……」

    アスカ「うん、私も誰かに話聞いてほしかったの」

    ヒカリ「話?――ちょっと待ってお茶飲ませて」

    アスカ「――どうやってシンジと一緒に寝られるかなって」

    ヒカリ「――ぶふぅっっっ!!」


    81 = 42 :

    アスカ「きゃあ⁉︎ ちょっとヒカリ汚いっ!」

    ヒカリ「ご、ごごめんなさ――アスカ! 碇くんと寝るの⁉︎」

    アスカ「シンジと一緒に寝るとぐっすり眠れたのよ」

    ヒカリ「…………え? ってことはもう寝たの⁉︎」

    アスカ「一晩だけだけど……ヒカリ、大丈夫?」

    ヒカリ「………………い、碇くんは、その、大丈夫だった?」

    アスカ「最初は戸惑ってたけど、受け入れてくれたみたい」

    ヒカリ「………その、なにもなくて寝るだけなんだよね?」

    アスカ「そうよ?」

    ヒカリ「そ、そっかぁ」

    アスカ「ヒカリ、顔真っ赤だけど………」

    ヒカリ「なんでアスカは真顔で話せるの⁉︎」

    82 = 42 :

    アスカ「そんなにおかしい?」

    ヒカリ「おかしいわよ!」

    アスカ「そうなのかな……そうかも」

    ヒカリ「例えば、誰でもいいけど相田くんとかと一緒に寝たいと思う?」

    アスカ「思わないわね」

    ヒカリ「鈴原がそばで寝てたらどうする?」

    アスカ「[ピーーー]わ」

    ヒカリ「碇くんは?」

    アスカ「…………んー、まぁ、シンジだしいいかな」

    ヒカリ「アスカって碇くんのことが好きなんだね」

    アスカ「……なんでそうなるの?」

    ヒカリ「………………」

    アスカ「ひ、ヒカリ? こめかみがひくついてるわよ?」

    83 :

    ヒカリ「……落ち着くから一緒に寝たいんだったよね?」

    アスカ「うん」

    ヒカリ「碇くんが受け入れてくれるなら、大丈夫なんじゃない?」

    アスカ「それがそうもいかなくて、ネルフの管理人がいるんだけどその女が邪魔なのよ」

    ヒカリ「じゃ、邪魔?」

    アスカ「そう、あんまりにもムカつくから刺し殺してやろうかと思ったけど。死体の処理方法なんかわからないからやめたわ」

    ヒカリ「………………」

    アスカ「なにかいい方法ないかしらぁ、昨日はシンジの服を持ってきて寝たんだけど、イマイチだったのよね」

    ヒカリ「ふ、ふく………」

    アスカ「そう、シンジの服って結構いい匂いするのよ。私も昨日知ったんだけど。シンジがシャワー浴びてる時に脱衣所で歯磨きしてたら目に入って、部屋に持って帰っちゃった」

    ヒカリ「………………」

    アスカ「ずーーーーーっと匂い嗅いでたらなんだかふわふわしちゃったけど」

    ヒカリ「あ、アスカって服かぐのが趣味なの?」

    アスカ「ううん。シンジのがはじめて」

    84 = 83 :

    ヒカリ「…………ど、どうしよう」

    アスカ「ヒカリ? どしたの?」

    ヒカリ「………アスカの心配してたけど……碇くんのほうが危ないかも……」

    アスカ「シンジがぁ? 大丈夫よ。私が守ってあげるって約束したし」

    ヒカリ「……やっぱり、自覚ないんだよね」

    アスカ「ヒカリ? なに言って――」

    ヒカリ「大丈夫! 私は応援するよ!」

    アスカ「あ、ありがとう?」

    ヒカリ「碇くんにもなにも言わな………ううん、なにも言えないから安心して!」

    アスカ「そ、そう?」

    ヒカリ「あの、だから、他の子になにかしちゃだめだよ?」

    アスカ「私が? 誰に?」

    ヒカリ「――碇くんが告白されたらどうする?」


    アスカ「――――…………」バキィッ


    ヒカリ「ひぃ⁉︎ 箸が折れっ⁉︎」

    アスカ「――誰が告白するの?」

    ヒカリ「しないしないしないしないっ! 誰も告白しない!」

    85 :

    シンジがちゃんと相手した結果一週間も経たずにこの病みっぷりである。

    87 = 83 :

    リツコ「第一に、アスカの精神状態がとても安定していることが考えられるわね」

    ミサト「…………」

    リツコ「エヴァとのシンクロは精神汚染とのせめぎ合いでもあるわ。より深く、高いシンクロ率をだすためには多幸感、すなわち心身共に健康であることが重要なのよ」

    ミサト「…………シンジくんと一緒に住んでるから?」

    リツコ「可能性としてはありえるわね。ただし、さらに検証するためには二人を引き離すことになるけど」

    ミサト「うーん」

    リツコ「科学者としては実験に賛同したいところだけど、あまりオススメはできないわ。とりかえしがつかなくなる可能性もある」

    ミサト「…………ふぅ」

    リツコ「どうするの? 作戦本部長さん」

    89 = 83 :

    レイ「……………シンクロ率が高いと、そんなに嬉しい? なぜ?」

    アスカ「嬉しいに決まってるじゃない! みんなが褒めてくれる! ミサトだってバツの悪そうな顔してたわ!」

    レイ「…………あなたは人に褒められるために、エヴァに乗ってるの?」

    アスカ「――っ! 悪いっ⁉︎」

    レイ「…………………」

    アスカ「…………………」

    シンジ「……二人とも、やめなよ」

    アスカ「………はんっ。あんた、人形みたい」

    レイ「……………私は人形じゃない」

    90 = 83 :

    加持「――とりこみ中かな?」

    アスカ「あっ! かじさぁ……ごほん……加持さん、どうしたの?」

    シンジ「……………」

    加持「すこし、シンジくんと話がしたくてね」

    アスカ「シンジとぉ?」

    レイ「………………」

    シンジ「……わかりました」

    加持「すまないな。アスカ、シンジくんを借りてもいいかい?」

    アスカ「え? えーと、その~」

    シンジ「アスカは先に帰ってなよ」

    アスカ「いや!」

    シンジ「すこし、遅くなるかもしれないよ」

    アスカ「加持さん、遅くなるの?」

    加持「いや、そんなに手間はとらせないさ」

    アスカ「なら、待ってる」

    シンジ「わかったよ、それじゃ行きましょうか。加持さん」

    加持「ああ――」

    91 = 83 :

    - ネルフ本部 男子ロッカールーム -

    加持「アスカのシンクロ率を聞いた時は驚いたよ。うまくいってるみたいじゃないか」

    シンジ「そんな、僕とアスカは別に」

    加持「これからもアスカのサポートを続けてやってくれ」

    シンジ「…………はい。大事な友達ですから」

    加持「友達……ね」

    シンジ「……?」

    加持「ドイツでの暮らしぶり、アスカからなにか聞いたかい?」

    シンジ「いえ、まだ、家族がいることだけ」

    加持「…………そうか」

    シンジ「加持さんはアスカとずっと一緒に暮らしていたんですか?」

    加持「いや、日本に来るまでの三年間だけだ」

    シンジ「……………」

    加持「シンジくんと違い、彼女は幼い頃からエヴァ弐号機のパイロットとして選ばれてから英才教育を受けてきた」

    シンジ「……………」

    加持「あの歳で大学を卒業してるってこと、知ってたかい?」

    シンジ「え、えぇ⁉︎ アスカってそんなに頭いいんですか⁉︎」

    92 = 83 :

    加持「もともとの物覚えの良さもあったんだろうが、努力の賜物だろうね」

    シンジ「し、知らなかった」

    加持「シンジくん。――アスカは愛情に飢えている」

    シンジ「…………」

    加持「まだ中学生の君には荷が重いかもしれないが、支えてやってくれ」

    シンジ「…………加持さんは支えてあげないんですか?」

    加持「ふっ。俺じゃダメなのさ。俺は大人の中で唯一アスカを女扱いしただけだからな」

    シンジ「……………」

    加持「難儀なことに、トラウマもかかえていてね」

    シンジ「……………」

    加持「そのトラウマを取り除くには、アスカ自身ときちんと向き合う異性が必要なのさ」

    シンジ「……………」

    加持「シンジくんさえよければ、アスカと向き合ってやってくれ。そうすれば、おのずとアスカからシンジくんに全てをさらけだすだろう」

    シンジ「………………ずるいや、そんなの」

    加持「君にはいつも謝ってばかりだが、すまないな」

    93 = 83 :

    - 夜 ミサト宅 -

    アスカ「…………」もぐもぐ

    シンジ「…………」

    アスカ「……だめ。我慢できない。どうかしたの?」

    シンジ「…………ん?」

    アスカ「帰ってからずっと変よ、あんた」

    シンジ「あぁ……そうかな」

    アスカ「加持さんとなにかあったの?」

    シンジ「……………」

    アスカ「加持さんは、悪い人じゃないと思うけど……なにか言われたの?」

    シンジ「そうじゃないんだ」

    アスカ「………?」

    94 = 83 :

    シンジ「アスカは、加持さんのことが好きだったの?」

    アスカ「えっ⁉︎ なに、いきなり」

    シンジ「…………」

    アスカ「あ、あんた………もしかして、ヤキモチ妬いてるの?」

    シンジ「なんでそうなるんだよ!」ズッコケ

    アスカ「だっていきなりそんなこと聞くなんておかしいじゃない!」

    シンジ「……………」

    アスカ「し、シンジ? そんなに嫌だった?」

    シンジ「僕は、別に」

    アスカ「うそ! ずぅぇ~ったい変!」

    シンジ「………はぁ」

    アスカ「そ、その、加持さんのことはそりゃあ前はちょっと、ううん、かなりいいかなって思った時も…………あるけど」

    シンジ「……………」

    アスカ「でも! それはもう過去の話よ! 今は別になんともない!」

    シンジ「……………」

    アスカ「シンジ? ……なんとか言いなさいよ!」

    シンジ「ごちそうさま」

    アスカ「ぁ………」

    95 = 83 :

    ミサト「ただいまぁ~………あら? 電気ついてない? シンちゃぁ~ん? アスカぁ~? いないの~?」


    電気パチッ


    ミサト「――――………………いぃっっっっ⁉︎」

    アスカ「……………」

    ミサト「あ、アスカ……あんた、電気もつけないでなにやってるの………?」

    アスカ「……………」

    ミサト「ちょ、ちょっと?」

    アスカ「……………」

    ミサト「し、シンジくんは?」

    アスカ「……………ない」

    ミサト「はい?」

    アスカ「いないって言ってんのっ!!!!!」

    96 = 83 :

    - 近くの公園 -

    シンジ「はぁ、なにやってんだろ」

    加持『アスカを、支えてやってくれ』

    シンジ「ふぅ。僕は…………」



    レイ「――………碇くん?」



    シンジ「……綾波?」

    レイ「………………」

    シンジ「こんなところで、どうしたの?」

    レイ「…………いま、帰りだから」

    シンジ「あぁ、そっか。この公園、通り道なんだね」

    レイ「…………碇くんは、どうして?」

    シンジ「僕は、なんとなく、帰りたくなくて」

    レイ「………………そう」

    シンジ「うん」


    レイ「…………うち、くる?」

    97 = 83 :

    - アスカ 自室 -

    アスカ「なによなによなによっ! なんなのよ!」ドカンッ

    アスカ「(昔のことなんかどうだっていいじゃない!)」

    アスカ「(私だって、シンジにそんなのいても……。うーん、嫌かも?)」

    アスカ「(待って。落ち着くのよ、アスカ。私、シンジが嫌なことしたのかな?)」

    アスカ「(シンジが他の女と腕を組む……嫌。シンジが他の女に抱きつく……嫌。でも、私にとって加持さんはシンジにとってのミサトみたいな……そう、保護者?)」

    アスカ「(加持さんは私のことを女の子、お姫様扱いしてくれた。だから良かった。好きだと思ってた)」

    アスカ「(シンジがミサトに抱きついてたら………? 不潔。嫌。信じらんない)」

    アスカ「(私、シンジにそういうこと見せつけてた………?)」

    98 = 83 :

    - ミサト宅 リビング -

    ミサト「ペンペン~。いつからこの家はこうなってしまったのかしらね~。密度濃すぎると思うのよ」

    ペンペン「クエ~」


    ドタドタドタドタッ!


    アスカ「ミサトッッッ!!!!」

    ミサト「は、はい⁉︎」

    アスカ「シンジは⁉︎ どこ⁉︎」

    ミサト「さ、さぁ~?」

    アスカ「保安部でもなんでもいいからはやく連絡取りなさいよ!!! 私知ってるんだからね!!警護についてるの!!!」

    ミサト「――っ⁉︎」

    アスカ「シンジになにかあったらどうするつもり⁉︎」

    ミサト「ちょっと、落ち着きなさい」

    アスカ「チッ、押し問答にかまってる暇なんてないのよ! 私、探しに行ってくる!」

    ミサト「アスカ⁉︎ ちょ! 待ちなさい!」


    ダダダダダッ ガチャン バチンッ!


    ミサト「………はぁ」

    99 = 83 :

    - 近くの公園 -

    シンジ「――綾波のうち?」

    レイ「…………」コクリ

    シンジ「あぁ、うん。でも、悪いよ」

    レイ「……………いい」

    シンジ「うーん」



    アスカ「――――シンジッ!!」



    シンジ「あ、アスカ?」

    レイ「……………」

    アスカ「はぁっはぁっ……(ファーストがなんでこんなところに! でも今は……)……シンジ、私が悪かったわ。謝る。ごめん」

    シンジ「……………」

    アスカ「ごめん。加持さんとはもう本当になんでもないの。そう、気がついたから」

    シンジ「…………アスカが謝ることないよ」

    アスカ「……………」

    シンジ「僕は、すこし、反抗してたのかもしれない」

    アスカ「えっ?」

    シンジ「(そう、誰かに押しつけられるのが嫌だったんだ。そうされなくてもアスカは友達なのに)」

    アスカ「……私から加持さんに文句いってくる!」

    シンジ「えぇ⁉︎ いいよ! やめてよ!」

    アスカ「だって、シンジ、なにか言われたんでしょ?」

    シンジ「加持さんは、アスカのこと心配してた」

    アスカ「――え? え、そうなの?」

    シンジ「うん。だから、悪い人じゃないんだと思う」

    アスカ「……そう。…………あの、一緒に帰ってくれる?」

    シンジ「…………そうだね。……綾波も、ありがとう」

    レイ「……………もういいの?」

    シンジ「うん。僕になにができるかわからないけど」

    レイ「……………そう」

    アスカ「し、シンジ? ファーストとなにしてたの?」

    100 = 83 :

    シンジ「綾波は僕のこと心配してくれてたんだ」

    レイ「………………」

    アスカ「………………」

    レイ「……………嫌になったら、言って」

    アスカ「――なっなぁんですって~⁉︎」

    シンジ「あ、ありがとう」

    アスカ「ふ、ファースト! あんた………っ!!」

    シンジ「あ、アスカ! 帰ろう! 綾波も、また学校で!」

    レイ「………………」


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