元スレシンジ「僕が?」
SS+覧 / PC版 /みんなの評価 : ○
1 :
- ネルフ 本部 -
マヤ「ハーモニスク正常値。A10神経接続への干渉、ありません」
リツコ「続けて」
マヤ「深度をさげます。0.1、0.2、0番1番、ともに汚染区域に隣接。限界です」
リツコ「……ふぅ」
マヤ「やっぱり、まだまだ、ですか?」
リツコ「エヴァとのシンクロやハーモニスクが安定しているからといって楽観視はできないわよ」
リツコ『シンジくん、レイ、上がっていいわよ』
シンジ&レイ『はい』
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2 = 1 :
- ネルフ 本部 エレベーター -
シンジ「あの、綾波は、これからどうするの?」
レイ「……どうって?」
シンジ「や、その、もしかしたら、父さんと一緒なんじゃないかって」
レイ「…………」
シンジ「あ、あの……」
レイ「碇司令とは一緒じゃないわ」
シンジ「あ、そ、そうなんだ」
レイ「…………」
シンジ「や、やっぱり、父さんって、忙しいの、かな?」
レイ「…………」
シンジ「…………あはは(……はぁ)」
3 = 1 :
- ネルフ本部 第三通路 自販機前 -
シンジ「(今日の晩御飯なににしようかなぁ)」
◯◯「やぁ、君が碇シンジくん、かな?」
シンジ「え? えっと……そうですけど」
◯◯「失礼。自己紹介がまだだったね。俺は加地。加地リョウジ。気軽に加地とでも呼んでくれ」
シンジ「は、はぁ」
加地「すこし、話がしたいんだが今は時間あるかな?」
シンジ「話、ですか?」
加地「そう、少し改まった話でね。もう少し静かな所に移動してくれるとありがたいんだが」
シンジ「(なんだろう……)……それは、大丈夫ですけど」
加地「悪いな。それじゃ移動しようか。おっと、コーヒーでいいかい?」
シンジ「はい」
加地「付き合わせるついでに俺からおごらせてもらうよ」
4 = 1 :
- ネルフ 本部 郊外 スイカ畑 -
加地「ここなら、心配ない」
シンジ「あの、話っていったい?」
加地「シンジくんは生き物を飼ったことがあるかい?」
シンジ「……?」
加地「生き物はいいぞー。育てると色んなことが見えてくるしわかってくる」
シンジ「………そうですね」
加地「悪い。話を逸らすのは癖でね。ここにキミを呼んだのは父上について話たかったからだ」
シンジ「父さん?」
加地「…………あぁ。シンジくんはお父さんについてどこまで知ってる?」
シンジ「……父さんのことはあまり知りません」
加地「親子なのに、なぜだい?」
シンジ「……あまり、会わなかったから」
加地「シンジくんは、養父に育てられたんだったね?」
5 = 1 :
シンジ「はい、そうですけど、あの、いったい……」
加地「キミのお父さんはある重大な隠し事をしている」
シンジ「隠し事、ですか?」
加地「あぁ。できれば、その隠し事を暴くために俺に協力してほしいんだ」
シンジ「協力?」
加地「そうだ。約束してくれるなら俺も君の味方になろう。約束するよ」
シンジ「……あの、ちょっと、意味が……」
加地「すまないな。詳しくは言えない。言ってしまえば君は協力を拒めなくなる。だから、嫌なら断ってくれてもいい」
シンジ「(拒めなくなるってどういうことなんだろう)」
加地「突然のことで驚きもあると思う。返事はすぐにとは言わないが、どうする?」
シンジ「………………」
加地「………………」
シンジ「……………どうして、父さんのことを知りたいんですか?」
6 = 1 :
加地「俺は昔からアトランティスの海底都市とかUMAとか未確認のことには目がなくてね。どうしても興味がつきないんだ」
シンジ「父さんは、それに並ぶってことですか?」
加地「……少なくとも俺にとっては、ということにしておこうか。シンジくんもお父さんのこと知りたいんだろう?」
シンジ「………………はい」
加地「しかし、興味だけで首をつっこむにはすこしこわいかな?」
シンジ「よく、わかりません」
加地「……そうか」
シンジ「あの、返事は、すこし待ってもらえませんか?」
加地「かまわないよ。近々、会うことにもなるだろうね」
シンジ「えーと、ネルフの職員、なんですよね?」
加地「いや、俺はフリーターみたいなもんさ」
シンジ「……?」
加地「セカンドチルドレンと一緒に会うことになる」
シンジ「……セカンド、チルドレン」
加地「かわいい女の子だぞ? それじゃ、今度は船上で会おう、それまでに答えを決めておいてくれ」
シンジ「あ、あの………っ!」
シンジ「行っちゃった……なんだったんだろう……加地、さんか…………」
7 :
ツッコミどころ満載だし、もしわざとで伏線だったとかならすまん
加地さんじゃない加持さんだ
8 :
- ミサト宅 -
ミサト「ぷはぁ~~っ! くぅ~~っ! やっぱコレよねー!」
シンジ「…………あの、ミサトさん」
ミサト「どしたの~? シンちゃん」
シンジ「ネルフってフリーターでも入れるんですか?」
ミサト「ふりーたぁー?」
シンジ「はい、あの、ちょっと気になることがあって」
ミサト「フリーターって僕アルバイトォのフリーターってことでいいのかしら」
シンジ「たぶん」
ミサト「シンジくんも知ってると思うけど、ネルフ本部に入るためには専用のゲートがあるわよね?」
シンジ「はい」
ミサト「通るにはIDカードが必要になる、ここまで言えばわかるかしらん?」
シンジ「……(じゃあ、あの人は?)」
ミサト「……シンちゃん、もしかして気になる女の子でもできた?」
シンジ「なっ⁉︎ ち、違いますよ!」
ミサト「むふふ~照れちゃってぇ~! 隠さなくてもお姉さんは大丈夫よ?」
シンジ「ほ、ほんとに違うんですって!」
ミサト「まぁまぁ、いいからいいから。そうねぇ、IDが必要になったらリツコにでも言いなさい。見学ならできるから」
シンジ「だから違うって言ってるでしょ! 僕は加地さんって人がいたから!」
ミサト「………………………」
シンジ「あの、ミサトさん、えびチュ、こぼれ」
ミサト「シンジくん、あんた、今、なんて言ったの?」
シンジ「え? あの、だから、僕は女の子じゃなくて」
ミサト「フルネーム、聞いた?」
シンジ「……あ、はい。えっと、加地リョウジって言ってました」
ミサト「か、かかかかかか、かぁじぃ~~っ⁉︎」
シンジ「ひっ⁉︎ ミサトさん! 首が締まる!」
ミサト「ホント⁉︎ 本当に加持リョウジだって言ってたのね⁉︎」
シンジ「いただだっ! はい! たしかに加地だって言ってました!」
ミサト「………………………」
シンジ「………(やっと離してくれた)……あの、ミサトさん?」
ミサト「…………あ、悪夢だわ」
9 = 8 :
- 翌日 ネルフ本部 ラボ -
リツコ「ーー加地くんが?」
ミサト「そうなのよ、昨日、シンジくんから聞いたんだけど」
リツコ「まさか。彼は今ドイツでセカンドチルドレンと帯同しているはずよ。ありえないわ」
ミサト「…………同姓同名って可能性は?」
リツコ「MAGIのデータベースにそんな名前はないわよ」
ミサト「ちょっち、キナくさくなってきたわね」
リツコ「気にしすぎじゃない?」
ミサト「そうかしら? シンジくんは加持と面識はないはずだし……名前を知ってるのはどう考えてもおかしいわよ」
リツコ「……サードチルドレンの警護レベルをあげる?」
ミサト「いえ、しばらくは様子を見ましょう」
リツコ「そう。そういえばセカンドチルドレンと二号機の引き渡し期日、迫ってきてるわよ」
ミサト「いつ?」
リツコ「明後日。護衛には米艦隊がつくらしいわ」
ミサト「はぁ~。またやっかみがあるのね」
リツコ「仕事よ。セカンドチルドレンは喜んぶんじゃないかしら」
ミサト「あの子は当然と思っていそうだけど」
リツコ「シンジくんも連れていってあげたら?」
ミサト「ん?」
リツコ「たまには息抜き、させてあげてもいいでしょう?」
ミサト「いっがぁ~い! リツコからシンジくんを気にかけるなんて」
リツコ「ヤシマ作戦ではそれなりの戦果をあげたから。それだけよ」
ミサト「……そうね。それもいいかもしれないわね」
リツコ「…………………」
10 = 8 :
- ネルフ本部 ??? -
冬月「君の息子に接触したようだが?」
ゲンドウ「心配ない。鈴はつけてある」
冬月「ふむ。しかし『加地』と名乗ったそうだが、いいのかね?」
ゲンドウ「……あぁ」
冬月「鳴らない鈴に意味はないのではないか?」
ゲンドウ「それならば鈴を変えればいいだけだ」
冬月「しかし、いずれ加地と加持が2人いるとわかるぞ」
ゲンドウ「……全てはシナリオ通りですよ、冬月先生」
冬月「………………」
11 = 8 :
- ミサト宅 -
ミサト「――と、いうわけでぇ、明後日にちょっとした旅行に行くわよん」
シンジ「は、はぁ」
ミサト「セカンドチルドレンは、女の子よ? どう? 嬉しい?」
シンジ「…………(あの人の言ったことは本当だったんだ)」
ミサト「……シンちゃん?」
シンジ「あっ、いえ、あの、はい。わかりました」
ミサト「……そう? お友達も連れていってかまわないわよ」
シンジ「え? でも、いいんですか? 機密とか」
ミサト「そこは私の権限でなんとかしましょう。シンジくんは日頃から頑張ってくれてるんだもの。それぐらいしてもバチは当たらないわ」
シンジ「………あ…ありがとうございます。ミサトさん」
ミサト「いつかも言ったけど、あなたは、みんなに誇れる立派なことをやってるのよ? もっと胸をはりなさい」
シンジ「…………本当に僕でいいのかなって思うんです」
ミサト「…………」
シンジ「誰かに言われて乗ってるだけだし、こわいんです」
ミサト「シンジくん――……」
シンジ「ご、ごめんなさい」
ミサト「……あなたの気持ちがどうであれ、あなたのおかげで結果私たちは生きていられる。今はそれだけを考えなさい。……ね?」
シンジ「……はい」
12 = 8 :
- アスカ 夢の中 -
アスカ「――いいの。私はなんでもできる。もう子供じゃないの」
キョウコ「かわいいかわいいアスカちゃん」
アスカ「私のことはほっといて!」
キョウコ「アスカちゃん、アスカちゃん」
アスカ「いや! いやっ! 嫌! みんな大っ嫌い!」
キョウコ「アスカチャン――」
アスカ「ママッ! いなくならないで! 私のママをやめないで!」
キョウコ「アスカ――」
アスカ「私はママの人形じゃない! ねぇっ! お願いだからこっちを見て!」
キョウコ「一緒に死んでちょうだい」
アスカ「いやっ! ママッ! ママをやめないで!」
キョウコ「死になさい」
アスカ「いや! もういやぁっ!!!!!」
キョウコ「しね。しね。――シネ」
アスカ「嫌ぁぁああっ!!!」
14 = 8 :
- オーバーザレインボー 当日 -
ケンスケ「すげぇ~っ! これがミニッツ級航空母艦! しびれるゥ~~っ!!」
シンジ「ケンスケ、あまり身を乗り出すと危ないよ」
ケンスケ「いかりっ! いや! 碇先生! 誘ってくれてありがとな!」
シンジ「あはは」
トウジ「ワシにはさっぱり良さがわからんわ」
ケンスケ「この良さがわからないだってぇ⁉︎ ……あっ! あっちのはアイオワ級母艦! アーレイバークレー母艦も!!」
トウジ「…………なんやねん」
ミサト「ふふっ、連れてきた甲斐があったわ」
アスカ「――――ヘロォ~ゥ、ミサトっ!」
15 = 8 :
ミサト「アスカ、久しぶりね」
アスカ「……で? サードチルドレンはどこ?」
ケンスケ「お、おい。誰だよあのかわいい子」
トウジ「ほんまや、シンジ、知らんのか?」
シンジ「…………(たぶん、あの子が……)」
ミサト「ここにいるわよ」
アスカ「ふぅ~~~~ん」
トウジ&ケンスケ&シンジ「……………」
アスカ「あんたね! サードチルドレンは!」
トウジ「わ、わい?」
ケンスケ「――ぷっ」
アスカ「なによ? 違うの?」
ミサト「……アスカ、シンちゃんは、こっちよ」
アスカ「え、えぇ~~っ⁉︎ こんなにさえないやつぅ⁉︎」
16 = 8 :
アスカ「………………」
シンジ「………………」
アスカ「………………」
シンジ「………………」
トウジ「なんや、あの二人。見つめあってるで」
ケンスケ「二人の世界かぁ? いやぁ~んな感じ」
アスカ「………っ⁉︎ ち、ちがうわよ!」
シンジ「……(この子が、セカンドチルドレン)」
アスカ「……(さえないと思ったのになに? この感じ?)」
シンジ&アスカ「(……懐かしい?)」
加持「――二人とも気に入ったようでなによりじゃないか」
ミサト「………………そ、そそその声は……」
加持「よっ、久しぶりだな。葛城」
17 = 8 :
ミサト「な、なななんであんたがここにいるのよー⁉︎」
加持「アスカの随伴でね。しばらく一緒の旅路になるな」
シンジ「…………」
加持「――よろしく、碇シンジくん」
シンジ「え? えっと……」
ミサト「シンジくん。前に言ってた加持リョウジってこの人?」
シンジ「………(この人『も』加地? カジリョウジ?)」
ミサト「――シンジくん?」
シンジ「すみません。えっと――」
加持「俺たちは初対面さ。そうだろう? シンジくん」
シンジ「……はい」
ミサト「――そう(初対面? だったらシンジくんに名乗った加持は誰? 警護レベル、真剣に考えた方がいいかもしれないわね)」
加持「……とりあえず、長旅お疲れさん。立ち話もなんだし、移動しないか?」
ミサト「え、えぇ…」
加持「アスカもシンジくんとじっくり話たいのはわかるが、彼は逃げないぞ?」
アスカ「ち、ちがっ! わ、私は別にっ!」
加持「さ、じゃあいこうか。狭い艦内だがコーヒーぐらいはだすよ」
18 :
- 数十分後 オーバーザレインボー デッキ -
加持「よう、遅かったじゃないか」
シンジ「どういうことなんですか?」
加持「すまない。いろいろと疑問はつきないだろうが先に答えを聞かせてくれないか?」
シンジ「でも、あなたとあの時の人は――」
加持「似ても似つかない別人、と言いたいんだろう?」
シンジ「……はい」
加持「それに答えるにも色々とたてこんでいてね。協力するのなら、という条件つきで解消することはできるが――」
シンジ「意味が、言ってることの意味がわかりません」
加持「そうだろうね」
シンジ「こんなので協力しろって言われてもできるわけないじゃないですか」
加持「ふっ。以前に会った俺は影武者みたいなもんさ」
シンジ「影武者?」
加持「代役、でもいいかな。とにかく、君と俺とのパイプ役をかねてもらっている。カジリョウジと名乗ったのは俺と君が合わずとも違和感がないようにしてもらった」
シンジ「そんなことのために?」
加持「それが必要だったからだよ。わざわざ口調を真似てもらったんだが、気がついたかな?」
シンジ「……どうでもいいよ、そんなの」
加持「気を悪くしてしまったのならすまない。ちなみに俺との会話は葛城……君にとってはミサトに言わないでくれると助かる」
シンジ「僕、まだ協力するとは言ってませんよ」
加持「協力する、しないにかかわらずだよ。できれば、ということだが」
シンジ「…………」
加持「そんなに葛城を慕っているのかい?」
シンジ「…………怪しい人よりは」
加持「ははっ、こりゃ一本とられたな。たしかに。違いない」
19 = 18 :
シンジ「協力は、できません」
加持「そうか」
シンジ「…………それだけですか?」
加持「意思は自由なものさ。誰のものでもない、キミだけのものだ」
シンジ「(なんなんだよ、この人)」
加持「さて、あまり時間がない。アスカのこと、よろしく頼むよ」
シンジ「……アスカを?」
加持「あれでいてなかなかに脆い子でね」
シンジ「約束は、できませんよ」
加持「それならそれでかまわないさ。ほら、コーヒー」
シンジ「…………」
加持「(そろそろか……)」
加持「シンジくん。君はこれから色々とやっかいなことに巻き込まれるだろう。だが、それは君のせいじゃない。……いいね?」
シンジ「……?」
加持「これだけは忘れないでくれ。トリガーはキミじゃない。初号機のコアだということを」
シンジ「なにを言って――」
『緊急入電。正体不明の物体接近。総員、戦闘配置。これは訓練ではない。繰り返す――』
シンジ「………っ⁉︎ ……なんだ⁉︎」
20 = 18 :
アスカ「はぁっ、はぁっ、こ、こんなところにいたの、サードチルドレン」
シンジ「あ、君は」
アスカ「いいから来なさい!」
シンジ「うわぁ⁉︎ ちょっと! なんなんだよ! いたたた! 耳ひっぱ!」
アスカ「い・い・か・らぁっ! 黙ってついてくんのよ!」
シンジ「いだだ! わかったから離して――!」
アスカ「……ふんっ!」
加持「(シンジくん、君の未来に幸せがあることを祈っている)」
21 = 18 :
- エヴァ二号機 エントリープラグ内 -
アスカ「LCL Füllung. Anfang der Bewegung. Anfang des Nervenanschlusses. Auslösung von Linkskleidung. Synchro-start」
シンジ「え? なに?」
アスカ「チッ、不純物が多い……。あんた、なにやってんのよ。ドイツ語で言って、ほら」
シンジ「あ、あぁ~。えーっと、ぐ、グーデンボーゲン?」
アスカ「………………」
シンジ「………………」
アスカ「あんたドイツ語もできないのぉ⁉︎ これだからガキは嫌いよ!」
シンジ「で、できるわけないじゃないかぁ! 僕は日本人だよ!」
アスカ「はぁ………。エントリープラグ起動。言語は日本語で」
シンジ「だいたいなんで僕がこんなところにいなきゃらないんだよ」
アスカ「この私様の初陣を特等席で見せてやるって言ってんのよ? 感謝しなさい」
シンジ「別に僕は見たいなんて」
アスカ「なに?」
シンジ「なんでもない」
アスカ「あんた、ちょおっと良い成績だからって調子にのってるんじゃないの?」
シンジ「そ、そんなわけないだろ⁉︎」
アスカ「フンッ! どーだか! 見てなさい……(行くわよ、私の二号機)」
22 = 18 :
- 戦闘後 エヴァ弐号機 エントリープラグ内 -
ミサト『シンジくん、アスカ、今引き上げるからちょっち待ってねー』
シンジ「……ふぅ~」
アスカ「………………」
シンジ「(はやくプラグスーツ脱ぎたいなぁ)」
アスカ「……どうして、さっき邪魔したの?」
シンジ「ん?」
アスカ「開けって念じてる時、私の手を掴んだでしょ」
シンジ「あぁ、それはだって二人で乗ってるから――」
アスカ「なんで邪魔すんのよっ!!!」
シンジ「いだぁ!」
アスカ「私ひとりでもどうにかできたのに!」
シンジ「しかたないじゃないか! あの時はああするしかなかったんだから!」
アスカ「だからそれが必要ないって言ってんの!」
シンジ「だったらどうにかしてみせてから言ってよ!」
アスカ「――ぬぁんですってぇっ! 私の弐号機なのよ! あんたはただの見学なんだから!」
23 = 18 :
シンジ「僕はアスカを守ってあげたんだからいいだろ⁉︎」
アスカ「――守る⁉︎ あんたが⁉︎ この私を⁉︎ あんた何様よ!」
シンジ「結果倒せたんだしもういいじゃないか! 暴れるなって!」
アスカ「勝手に名前で呼んだ罰よ! あぁ~~んもう! なんでこいつと一緒にいなくちゃなんないのよ!」
シンジ「暴れたってなにも解決しないよ!」
アスカ「えっらそーに! あぁ~ん! 無敵のシンジさまぁ~! はんっ! そんなの期待してんでしょ! このスケベ!」
シンジ「このっ――! そんなの期待するわけないだろ! 僕にだって選ぶ権利ぐらいあるよ!」
アスカ「私のどこが気にいらないっていうのよ! バカバカバカ! このバカシンジ!」
24 = 18 :
- エヴァ弐号機 引き上げ後 -
シンジ&アスカ「…………ふんっ!」
ミサト「ど、どしたの? あの子たち」
ケンスケ「さぁ? でもたいして気にするほどでもないんじゃないスかぁ~?」
トウジ「シンジがあんなに感情的になるのはめずらしいのー」
ケンスケ「たしかに。碇っていつも一歩引いてる感じがするんだよなぁ~」
ミサト「……あなた達でもそうなの?」
トウジ「まぁ、たまーにですけど」
ケンスケ「うんうん」
ミサト「ふぅ~ん」
トウジ「それよりミサトはん、あの帰った人はいいんですか?」
ミサト「――加持………っ! あの野郎、今度会ったらただじゃ!」
トウジ「…………」
ケンスケ「こっちもこっちで――」
トウジ&ケンスケ「いやぁ~んな感じ」
25 = 18 :
- 三日後 ネルフ本部 ラボ -
リツコ「……ふぅ」
加持「ため息をついてるのかな」
リツコ「……。加持くん、もういいの?」
加持「あぁ、振られてしまったけどね」
リツコ「……そ」
加持「リッちゃんにも迷惑かけたな」
リツコ「アルバイトもほどほどにね。じゃないと火傷じゃすまなくなる」
加持「肝に命じておくよ。碇司令の様子は?」
リツコ「変わらないわよ、シンジくんについてもいつも通り」
加持「難儀だな。だが、まだ気がつかれてはまずい」
リツコ「いつまで誤魔化せるかしらね」
加持「さぁな。まだ今は大丈夫、それだけさ」
リツコ「ミサトにも言わなくていいの?」
加持「あぁ。だが、シンジくんには真実を知ってほしかったな」
リツコ「……そうね」
加持「今夜の予定はどうかな?」
リツコ「うふふ。でもだめよ。……こわぁ~いお姉さんが見てるから」
26 = 18 :
ミサト「で? なんであんたまだここにいんの?」
加持「出向命令さ。また三人でつるめるな。大学の時みたいに」
ミサト「……………はぁ」
リツコ「ミサトもまんざらでもないんでしょ? 素直になったらいいのに」
ミサト「そ、そんなわけないでしょ⁉︎」
加持「こいつのそんなとこもいいのさ」
ミサト「ちょ⁉︎」
リツコ「あら、さすがは加持くんね」
ミサト「あ、あんたたち――!」
加持「それはそうと葛城。アスカの住まいの手続きは進んでるのか?」
ミサト「……まだよ! マンションに住むと思うんだけど」
加持「おいおい、遅くないか?」
リツコ「シンジくんと一緒に引き取ったら?」
ミサト「……ってことはウチ?」
リツコ「家族ごっこはもう飽きたの?」
ミサト「そんなことは……ないけど」
加持「いいんじゃないか。エヴァのパイロット同士」
ミサト「でも、あの二人大丈夫なのかしら?」
リツコ「合わなければ分ければいいだけよ」
ミサト「う、う~ん」
27 = 18 :
- 数日後 ミサト宅 -
シンジ「な、なんだよ、これ……」
アスカ「あら? あんた帰ってきたの」
シンジ「あ、アスカ。これはいったい……」
アスカ「あんた、お払い箱よ」
シンジ「……お……おはらい……」
アスカ「あんたの部屋の荷物、そこのダンボールにまとめといたから」
シンジ「えぇ⁉︎」
アスカ「それにしても日本人ってなんでこんなに警戒心がないのかしら」
シンジ「……………」
アスカ「見てよ、このふすま。扉に鍵もかけられないのよ? 信じられないわ――」
ミサト「――日本人の信条は慎ましさと奥ゆかさだからよ」
アスカ「うわぁ⁉︎ み、ミサト……いつから………」
28 = 18 :
ミサト「――シンジくんとアスカにはこれから一緒に生活をしてもらいます」
シンジ&アスカ「えぇ~~~~⁉︎」
アスカ「なんで私がこんなやつと!」
シンジ「み、ミサトさん! 無理ですよそんなの!」
アスカ「男女七歳にして同衾せずって言うでしょ⁉︎」
ミサト「変なところで日本人なのね」
アスカ「とにかく! 私は嫌よ! だったら出てくわ!」
ミサト「あなたの住まいはもうここに登録されてるの。どうしてもって言うのなら通路しかないけど」
アスカ「そ、そんなぁ!」
シンジ「あの、なんでなんですか」
ミサト「ん~? 特に理由なんかないわよん。エヴァのパイロット同士、仲良くしなきゃ……ね?」
シンジ「…………………………」
アスカ「…………………………」
シンジ&アスカ「はぁ」
29 = 1 :
ミサト「突然で悪いんだけど、今夜はどうしても抜けられない仕事があるのよ」
アスカ「い、いきなりぃ?」
ミサト「だから、今夜はシンちゃんと二人で夕食食べちゃいなさい」
アスカ「ちょっと! 初日から二人きりって襲われたらどうするのよ!」
ミサト「…………襲うの? シンちゃん」
シンジ「…………いえ」
アスカ「なによ! 私に魅力がないってーの⁉︎」
シンジ「なんなんだよ!」
ミサト「あぁーはいはい。わかったから、それじゃ、戸締りはしっかりするのよ」
30 = 1 :
- ミサト宅 一時間後 -
シンジ「アスカぁ、夕飯できたよー」
アスカ「…………」
シンジ「麦茶でいい?」
アスカ「……いい」
シンジ「なにがよかったからわからなかったからシチューにしたけど、大丈夫?」
アスカ「…………」
シンジ「…………(はぁ)」
アスカ「…………」パクっモグモグ
シンジ「いただきます」
アスカ「………まぁまぁね」
シンジ「ん?」
アスカ「味のこと言ってんのよ! でもシチューぐらい誰でも作れるんだから調子に乗るんじゃないわよ!」
シンジ「あ、あぁ。なんだそんなことか」
アスカ「特別に! 名前で呼ぶことを許可してやるわ!」
シンジ「今までだって名前で――」
アスカ「あんたが勝手に呼んでただけでしょ⁉︎」
シンジ「……わかったよ。ありがとう、アスカ」
アスカ「ふんっ!」
31 = 1 :
- ミサト宅 食後 -
シンジ「ミサトさん、今日は遅いのかな」
アスカ「あんたっていつも家事してんの?」
シンジ「ん? うん。そうだよ、だってミサトさんやらないから」
アスカ「信じらんない。草食系ってやつ?」
シンジ「どうなんだろう? 自分ではよくわからないや」
アスカ「世も末ね……」
シンジ「アスカは料理しないの?」
アスカ「エヴァのパイロットなんだからしなくていいでしょ」
シンジ「そうなのかな」
アスカ「あんたねぇ、私たちの仕事は使徒を倒すことなのよ? あんた、なんのためにエヴァに乗ってるの?」
32 = 1 :
シンジ「正直、よくわからないんだ。人のため、とかじゃないし、言われたから乗ってるだけで」
アスカ「…………あ、あんた、そんな理由でエヴァに乗ってるの?」
シンジ「うん。アスカはなんのために乗ってるの?」
アスカ「決まってるわ! 私は人に褒めてほしいからよ! 自分で自分を褒めてあげたい!」
シンジ「へぇー。なんかすごいね」
アスカ「そうよ! だからプライドをもって私はエヴァに乗ってるの!」
シンジ「プライドかぁ。でも、疲れないの?」
アスカ「…………え?」
シンジ「だって、頑張ってるってことは無理してるってことだよね?」
アスカ「そ、そうよ?」
シンジ「アスカは褒められたいから――でも、そうか、褒められるならいいんだ」
アスカ「ま、まぁそういうこと――」
シンジ「――息がつまったりはしないのかなぁ」
アスカ「…………っ⁉︎」
シンジ「……ん? どしたの?」
アスカ「あんたに、あんたなんかに! なにがわかるってーの!」
33 = 1 :
シンジ「うわぁ⁉︎ いきなりなんだよ!」
アスカ「うるさい! うるさいうるさいうるさい!」
シンジ「…………なんなんだよ」
アスカ「……………」
シンジ「……………」
アスカ「…………もう寝る」
シンジ「え? あの、風呂は?」
アスカ「…………いい」
シンジ「そ、そう」
ペンペン「クェー」
34 = 1 :
- 深夜 シンジの部屋 -
シンジ「(アスカか、あの子も悪い人じゃないのかな)」
シンジ「(使徒。倒すべき敵。どこからきて、どこに行こうとしてるんだろ…………)」
――ガラガラ
シンジ「(ん?)」
ドサッ
シンジ「ぇ…………っ⁉︎ ぁ、ぁ、あ」
アスカ「……………………」スヤァ
シンジ「え、ちょ」
アスカ「……………………」
シンジ「(め、目の前に)」
アスカ「……………………」
シンジ「……………………」
アスカ「……………………」
シンジ「……………………(く、唇…………)」
アスカ「ん………」
シンジ「…………っ」
アスカ「……………ま…………ママぁ………」
35 :
シンジ「――っ!」
アスカ「…………」
シンジ「(あ、あぶなかった!)」
アスカ「…………」
シンジ「泣いてる。寂しいのかな……」
アスカ「…………」
シンジ「なんだよ。自分の方が子供じゃないか」
アスカ「…………」
シンジ「はぁ。しかたない、起こすか」
アスカ「…………」
シンジ「ねぇ、アスカ、起きてよ。風邪引くよ」
アスカ「………ん」
シンジ「アスカ、アスカってば」
アスカ「…………う、うぅん」
36 = 35 :
シンジ「起きてよ、アスカ」
アスカ「…………ん?」
シンジ「はぁ、やっと起きた。自分の部屋に帰りなよ」
アスカ「…………え?」
シンジ「……………」
アスカ「…………⁉︎ あ、あああんた!なんで私の部屋に! どっせぇい!」
シンジ「いだぁ!」
アスカ「草食系だと思ってたらよくもやってくれたわね! あんたなんかいられなくしてやる!」
シンジ「よく見ろよ! ここ僕の部屋だろ!」
アスカ「あんたが私を連れこんだんでしょ⁉︎」
シンジ「そんなことしないよ!」
アスカ「信じられないわ!」
シンジ「ママって言ってたから起こしてあげたのになんだよ!」
アスカ「――っ! あんた今なんて言ったの!!」
シンジ「自分の方が寂しいんじゃないか!」
アスカ「人の寝言を聞いてたの⁉︎ さいってーね!」
シンジ「聞きたくて聞いたわけじゃないよ!」
37 = 35 :
アスカ「………………」
シンジ「………………」
アスカ「…………だめね、やっぱりミサトに言って部屋変えてもらいましょ」
シンジ「………………」
アスカ「あんたとは一緒には――」
シンジ「――僕は、母さんの記憶があまりないんだ」
アスカ「………………」
シンジ「小さい頃に死んだらしくて、父さんもほとんど話てくれない」
アスカ「………………」
シンジ「生きていたとしても、どんな顔をすればいいかわからないから、きっと他人事みたいに考えてるんだと思う」
アスカ「あんたのお父さんって碇司令よね」
シンジ「うん。父さんは僕に興味なんかなくて、先生のところで育ったんだ」
アスカ「………………」
シンジ「いちおう、養父ってことになってるけど、久しぶりに会ったらエヴァに乗れって言われて」
38 = 35 :
シンジ「そう考えると、僕は父さんに認められるためにエヴァに乗ってるのかもしれない」
アスカ「……………」
シンジ「でも、誰かの役にたってたら、とも思う」
アスカ「……あっそ」
シンジ「アスカは、家族はやっぱり――」
アスカ「ドイツにいるわよ。……けど、嫌いなわけじゃないのよ? ただ、ちょっと疲れるっていうか」
シンジ「本当のお母さんは?」
アスカ「――っ!」
シンジ「あ、ごめん」
アスカ「あんた、何が悪いかわかってて謝ってんでしょうね⁉︎」
シンジ「……うん。きっと僕のデリカシーがなかったたからだと思う」
アスカ「……………」
シンジ「僕も母さんがいない、記憶にはないけど、いないのは同じだから」
アスカ「……………」
シンジ「だから、ごめん」
アスカ「…………ふん」
40 :
- 翌日 朝 ミサト宅 -
ミサト「うぅ~、あだまいだぁ~」
アスカ「うっ……。酒くさっ」
シンジ「ミサトさん、水飲みます?」
ミサト「ありがとうシンちゃぁ~ん」
アスカ「昨日は仕事じゃなかったのね……?」
ミサト「仕事もしてたわよぉ~」
シンジ「アスカ、ミルクでいい?」
アスカ「……ん」
シンジ「目玉焼きはきちんと焼く?」
アスカ「そうね」
シンジ「わかった」
ミサト「………(とりあえず、安心かしらね)」
41 = 40 :
- ネルフ 本部 ??? -
加持「いやはや、危険な賭けでしたよ」
ゲンドウ「………賭けは勝ってこそ意味がある」
加持「ご子息についてはよろしいので?」
ゲンドウ「問題ない」
加持「葛城一尉が少し勘繰っているようですが――」
冬月「君のもう一人の加地については、我々で処理しある」
加持「助かります」
冬月「しかし、本当に顔合わせが必要だったのかね? 私にはそうは思えんが」
加持「楔は打ってこそ意味があります。後々にね」
ゲンドウ「積荷はどうなった?」
加持「こちらです。特殊ベークラフトで保存されてますが――生きてます」
冬月「………ご苦労だった。もうさがっていい」
加持「はっ」
42 :
- 第三東京市立第壱中学校 2-A -
先生「あ~、それでは、みなさんに転校生を紹介します。アスカくん、前へ」
アスカ「惣流・アスカ・ラングレーです! よろしくお願いします」
男子生徒「「「うおぉお~~! かわいいぃ~~」」」
トウジ「だ、誰や、あ、あいつは」
ケンスケ「別人みたいに愛嬌ふりまいてるよ」
シンジ「猫かぶっちゃってるねぇ」
先生「席は、そうですね、洞木さんの隣でいいですかね」
ヒカリ「はい!」
43 = 42 :
- 昼休み 教室 -
アスカ「あなたがファーストチルドレン?」
レイ「…………」
アスカ「私、セカンドチルドレン。弐号機のパイロット、惣流・アスカ・ラングレーよ。よろしく、仲良くしましょ?」
レイ「………命令があれば、そうするわ」
アスカ「! ~~~ふんっ!」
トウジ「うはぁ~あれは完全に油と牛乳やな」
ケンスケ「それを言うなら油と水だろ。にしても、あんなに対照的な2人もめずらしいねぇ~」
シンジ「………………」
ケンスケ「碇はどっちがタイプなんだい? やっぱり綾波?」
シンジ「えっ?」
トウジ「センセだとどっちでもイケるで」
シンジ「いや、僕はそんなんじゃ」
ケンスケ「まぁまぁ。タイプぐらいいいじゃないか」
トウジ「せやせや! ビシっと男らしく言うたらんかい!」
シンジ「…………う~ん」
ヒカリ「すずはらぁっ! また馬鹿なこと言ってるでしょ⁉︎」
トウジ「なんや委員長! 男同士の会話にはいってくな!」
44 = 42 :
シンジ「(アスカも悪い人じゃないし、綾波も仲良くなれるといいな………よしっ)」
トウジ「センセ、どこ行くねん?」
ケンスケ「おっ?」
シンジ「――綾波、ちょっといいかな」
レイ「…………?」
シンジ「さっきの、アスカ、その、悪い人じゃないよ」
レイ「……………」
シンジ「仲良くしても、大丈夫だと、思う」
レイ「……………」
シンジ「……………」
レイ「………碇くんは、仲良くしたいの?」
シンジ「ん? えっと、どうだろう」
トウジ「なんや、シンジ仲を取り持つつもりかいな」コショコショ
ケンスケ「やめたほうがいいと思うけどな~」コショコショ
トウジ「おっ! アスカがじっと見て立ち上がった!」
ケンスケ「こりゃ、修羅場かぁ~?」
45 = 42 :
アスカ「――バカシンジっ! あんたなに余計なことしてんのよ!」
シンジ「あ。アスカ」
レイ「………………」
アスカ「私はファーストと別に仲良くなりたいなんて望んでないわ!」
シンジ「え? でもさっき――」
アスカ「気が変わったの! これ以上余計なことしないで!」
シンジ「わ、わかったよ」
レイ「……………碇くんは悪くないわ」
アスカ「っ! なによ、あんたまともに口を聞いたと思えばシンジ?」
レイ「……………」
アスカ「はん! また黙っちゃって! もしかしてあんた、シンジのことが好きなの?」
シンジ「あ、あの――」
アスカ「――あんたは黙ってて!」
シンジ「はい」
レイ「………………」
アスカ「あんた、碇司令のお気に入りなんですってね?」
レイ「………………」
アスカ「黙ってちゃなにもわからないでしょう⁉︎ なんとか言いなさいよ!」
レイ「………………かわいそうな人」
アスカ「――――――っ!!!!!」
バチンッ!
トウジ&ケンスケ「………あちゃあ~~~」
46 = 42 :
トウジ「もろにいったであのビンタは」コショコショ
ケンスケ「綾波もムキになっちゃってまぁ」コショコショ
シンジ「あの、えっと、だ、大丈夫? 綾波」
レイ「…………………」
アスカ「………………もういいっ!」
ドンッ
ダダダダダッ
シンジ「あ、アスカ⁉︎」
レイ「………………」
シンジ「あ、えーと、その」
ヒカリ「碇くん! なにやってんの! 追いかけて!」
シンジ「え? ぼ、ぼくが?」
ヒカリ「女の子が傷ついてるのよ⁉︎ ほっとくつもり⁉︎」
シンジ「わ、わかったよ!」
レイ「………………」
47 = 42 :
- 屋上 -
シンジ「………はぁっ、はぁっ、アスカ、足、はやいんだね――」
アスカ「うるさい! 私のことはほっといてよ!」
シンジ「……………」
アスカ「あんたもファーストの方がいいんでしょ⁉︎ さっさといなくなって!」
シンジ「……………」
アスカ「一人になりたいのよ! きらい! 嫌い! みんな大っ嫌い!」
シンジ「あの……これ、ハンカチ」
アスカ「……………っ!」
シンジ「………………」
48 = 42 :
アスカ「…………」
シンジ「………すこし、落ち着いた?」
アスカ「…………」
シンジ「僕たちはエヴァのパイロットだから、仲良くできたらいい、そう思っただけだよ。余計なことしたみたいでごめん」
アスカ「…………」
シンジ「アスカも、その、話てみたら悪い人じゃなかったから」
アスカ「………なにそれ、だからファーストにあんなこと言ったの?」
シンジ「うん」
アスカ「…………」
シンジ「アスカは初対面だし、綾波も、話てみたら悪い人じゃないよ」
アスカ「…………」
シンジ「も、もちろんアスカも」
アスカ「…………」
シンジ「あんまり、みんな大嫌いとか悲しいこと言うなよ」
アスカ「私はこれまで一人で生きてきたわ」
シンジ「すごいね。アスカは」
アスカ「そうよ! 私はなんでもできる!」
アスカ『だから! ママをやめないで!』
シンジ「……僕には無理だ」
アスカ「あんたには無理でも私はやらなくちゃいけないの!」
アスカ『なんでもやるから! 私のことを殺さないで!』
シンジ「だけど疲れたら、僕も助けるよ」
アスカ「必要ない!」
アスカ『――やめて! 私の中に入ってこないで!」
49 = 42 :
シンジ「だけど、一人じゃ限界もあると思うから」
アスカ「もうやめて! あっちいって!」
アスカ『私の心の中にはいってこないで!』
シンジ「こういうとき――どうしたらいいかわからないんだ」
アスカ「ひっ! ち、近寄らないで!」
アスカ『私の心にあゆみよらないで!』
シンジ「泣いたっていいんだよ、アスカ」
アスカ「――――――――っ!!」
50 = 42 :
アスカ「……………ぅぐっ…………ぅ………うぐっ…………」
シンジ「僕たちは、ここにいていいんだ」
アスカ「――うああああぁっ!」ポロポロ
シンジ「大丈夫、大丈夫だよアスカ」
――――
―――
――
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