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    元スレ武内P「女性は誰もがこわ……強いですから」

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    251 :

    >>250
    これどうしても鹿に見える

    252 :

    乙乙

    まゆP…幸せになれよ…

    253 :

    ゴール決められちゃったか……
    おまけで当たりも引いたらかな?

    255 :

    乙乙

    256 :

    誰かこの荒らしに反応してやれよ。
    無意味な労働してて馬鹿みたいで可哀想だろ。

    260 :

    ⑩ありすちゃん、待ち合わせ場所は●●に変更するのがオススメですよ



    日野さんを医務室に預けた帰り道のことでした。
    自販機前のロビーチェアで、一人の女性が腰を落ち着け本をめくっています。

    深い知性を感じられる蒼い瞳の輝き、絹のような長い黒髪、ページを一つ一つ確かめながら優しくめくる細い指先。
    何をせずともただ彼女が落ち着いて物事に集中しているだけで、この場いったいが清浄な空気に包まれたように思えます。

    そんなことを彼女――鷺沢さんを見て思っていると、急に彼女の様子が一片しました。
    形のいい眉を寄せ、さらに持っていた本を間近に近づけます。

    よく見ると彼女が手に持つ本は、文庫本でも文芸誌でもなく、華やかな表紙の女性ファッション雑誌だ。
    意外だと思うのは年頃の女性に対して失礼なのでしょうが、彼女が読むタイプの雑誌ではないので軽く驚きます。
    アイドルとして勉強しているのか、純粋に興味があるのか、あるいは時間つぶしに横にあるマガジンラックから適当に抜き取ったのか。

    いずれにせよ彼女がその雑誌に集中していることに変わりありません。
    彼女は信じられないというように小声で何かを呟き、顔も赤くなっています。

    読書の邪魔をしてはならないと、足早に過ぎ去ろうと目の前を横切った時のことでした。


    「誘惑……男性は、女性に誘惑してほしいものなのでしょうか?」

    「……そういった男性は少なからずいると思います」


    鷺沢さんは恥ずかしいのか本に目を向けたままの問いに、とっさに当たり障りのない答えを出します。
    すると彼女はさらに難しい問いかけへと移しました。


    「では……CPのプロデューサーさんも誘惑されたいのですか? そのような趣味が?」

    「いえ、その……」


    予想外の問いかけに言葉が詰まると、彼女は肩を落としてため息をついてしまいました。


    「仮にそのような趣味があったとしても……私のような地味で暗い女に誘惑をされても困惑なされるか、あるいは誘惑されているということにすら気づいてもらえないでしょう」

    「……それだけは決してありません。貴女に誘惑されて、平静でいられる男などいません」


    これは迷いなく答えられる問いだったので、静かに断言しました。

    深窓の令嬢のように一つ一つの所作が美しく気品があり、それでいて嫌味さを一切感じられない控えめで貞淑な装い。
    長い黒髪のストレートはシンプルであるが故に他の追随を許さず、彼女の肩を境に前後に流れる姿は、川の中央で直立する岩を境に流れを変える水のような美しさを持つ。
    優しく響く澄んだ声音は言葉を一つ一つ選ぶようにゆっくりと、そして深い教養を裏付けに物事を多角的に美しく表現される。
    そのうえ内気な性格であるにも関わらず、アイドルとして不慣れであったことにも取り組もうとする健気で前向きな姿。

    アイドルは皆、男の理想を少なからず体現しています。
    そして鷺沢さんはそんな男たちの理想への一つの答えとすらいえるでしょう。





    鷺沢文香

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    261 = 1 :

    「そうですね……あの方は優しい人だから、きっとそう言ってくださるでしょう」

    「……鷺沢さん?」

    「え……?」


    会話がどうにもかみ合っていないことに気がつき、まさかという思いから声のトーンがあがってしまいました。
    声の調子が変わったからか、鷺沢さんは初めて本から顔を上げます。


    「プロデューサーさん……え、もしかして私……そ、そんなっ」


    どうやら本に夢中なあまり、目の前に私がいたことに気づいていなかったようです。
    私への最初の問いはあくまで独り言で、その後の会話のようなものは夢うつつのまま行われたのでしょう。

    鷺沢さんは顔を赤くして混乱されていますが、私の方も女性の独り言に相槌をうっていたわけでして、彼女に負けず劣らず混乱しています。
    どうしたものかと思っていると、鷺沢さんがピタリと動きを止めました。

    何事かと注視していると、そっと胸の前で猫のように両手を構え、


    「が、がおー」


    恥ずかしそうで今にも消え入りそうな、しかし耳からこぼすにはあまりにもったいない可愛らしい鳴き声をあげました。


    「が……がおー」


    どうしていいのか、どう反応すればいいのかわからず。
    気づけば私も同じ言葉を口にしていました。


    「……」

    「……」


    静寂が場を支配しました。
    鷺沢さんは両手を構えたまま耳まで真っ赤に染め、私を上目遣いで見たまま硬直しています。
    私はというとやや腰が引けた体勢で、やはり硬直しています。

    何なのでしょうか、これはいったい。
    傍から見れば美女と野獣が互いに面食らっている状態です。


    「ち、違うんです」


    ここで鷺沢さんが動かれました。
    慌てて横に置いていた雑誌を手に取り、ページを探すのに手間取りはしましたが目的のものを見つけ、それを私に掲げます。


    「今年の流行は小悪魔ファッション……小生意気に男を誘惑しちゃえ?」

    「…あ……あの、あまり『ぐわっ』という感じだと大悪魔的かと思ったので……小悪魔的に小さくまとめてみたのですが……」

    「ああ……なるほど」


    てっきりライオンの物まねなのかと。


    「その……恥ずかしい話なのですが、私はこれまで男の人に甘えたり、まして誘惑したことなど一度もありません。男の人を騙すという意味ではなくて、ここ、これからはそういったことも必要なのではと」


    別に恥ずかしがることではないと思うのですが、鷺沢さんは何度も目をそらしては、その度に懸命に私に視線を戻します。

    262 = 1 :

    「奏さんのようにチャーミングに誘惑できればと……これまで何度も夢想しました」

    「鷺沢さんは速水さんと仲が良かったですね。教えていただいては?」

    「き、キスをおねだりする方法から始まってしまいまして……」

    「速水さん……」


    彼女らしいといえば彼女らしいのですが、鷺沢さんにそこから始めるのはハードルが高すぎます。


    「何も慌てずに今のように本で知識を得たり、速水さんなど周りのアイドルを観察して少しずつ勉強するだけでも大丈夫だと思います。鷺沢さん、既に貴女はその佇まいだけで男が放っておけなくさせる魅力の持ち主なのですから」

    「……放って、おかれているんですが」


    鷺沢さんを励まそうとした言葉だったのですが、どういうわけかさらに落ち込ませてしまいました。
    もしかすると鷺沢さんには気になる男性がいてその人に振り向いてほしい、ないしは構ってほしいと思われて勉強されているのでしょうか。

    アイドルは恋愛禁止なので、せめて構ってほしいと願う程度であってほしいと思いつつ、慌てて別の方向から慰めます。


    「な、何より鷺沢さんはまだお若いですから、自然と、そして急速に身につけることができます。私なんてもういい歳になるにも関わらず、ろくに女性の口説き方も知らないことと比べれば何の問題もありません」

    「……では、プロデューサーさんが女性へのアプローチに慣れる練習を始めたという噂は本当なのですね」


    噂話に耳を立てるイメージがあまりない鷺沢さんにまで伝わっているとは、いったいどんな伝わり方をしているのでしょうか。
    私が女性に慣れようとすることに、そこまで話題性があるとは思えないのですが。


    「あの……実は最近、大学で困ったことがありまして。聞いてもらってもいいでしょうか?」

    「ええ、もちろんです」


    相談事のようなので、鷺沢さんの隣に腰掛けます。


    「構内を一人で歩いている時に、顔は知っていますが名前までは知らない男性に呼び止められたのです。中庭の方に誘われたのですが、講堂への移動中でしたし、何よりあまり親しくない男性と二人になるのが怖かったので……断ろうとしたのですが、うまく声が出なくて、首を横に振るぐらいしかできなかったんです」

    「それで……その男性は諦めましたか」


    嫌な予感がして先を促します。
    その時のことを思い出したのか、鷺沢さんは顔を暗くしてうつむきます。


    「その人は私から離れようとせず……身勝手な事を言い始め、ついには私の手首を握って……驚いたのに、それ以上に恐ろしくて、小さな悲鳴しかあげられなくて……運よく友人が気づいてくれたので助かったのですが、今考えただけでも身の毛がよだつ出来事でした」


    私も大学に通っていたからわかりますが、学びの場であるにも関わらず己の欲望を満たすことしか考えない者が少数ですがいます。
    そういう輩にとって鷺沢さんのように美しく、そして大人しい女性は格好の獲物なのでしょう。

    爪が食い込む痛みに、知らぬ間に拳を握っていたことに気づきます。


    「……鷺沢さんは●×大学に通っておられましたね?」

    「は、はい」

    「ご安心ください。346側から正式に抗議を行い、その男性に相応な処分が下されるよう圧力をかけます」


    そんな男は大学のためにも退学が相応しいと思いますが、よくて停学、普通に考えれば呼び出して口頭注意で終わってしまうでしょう。
    しかし何もせずに野放しにすれば次は何をしでかすかわかりません。

    怒りを抱いていることを自覚しつつ、なんとか落ち着こうとそんなことを考えていると、鷺沢さんが慌てて止めました。

    263 = 1 :

    「い、いえ。友人に連れられてお世話になっている教授の方に相談して、教授がその方に注意してくださいました。それにそれからは大学内で一人にならないようにと、友人たちが一緒になってくれていますから」

    「そうでしたか……話を大きくしようとしてしまい、申し訳ありません」

    「いえ……親身になっていただき、ありがとうございます」


    話を大きくすればかえって鷺沢さんが大学内で居づらくなる可能性もあるのに……考えが足りませんでした。
    しかしいざという時は346が全力で味方をするという意思が伝わったからか、鷺沢さんの表情がだいぶ和らいだように思えます。


    「ですが……ああいった男性をゼロにすることはできませんし、友人たちに頼ってばかりでは私は弱いままです。ですから、プロデューサーさんが女性へのアプローチに慣れるように、私も……男性からのアプローチを断ることに慣れる必要があるのではと」

    「なるほど……ではお互いの練習として、ここで鷺沢さんを誘ってみてもいいでしょうか」

    「は、はい! ぜひっ!」


    鷺沢さんの言いたいことがわかりこちらから提案すると、鷺沢さんらしからぬ勢いでお願いされました。
    練習で知っている男が相手とはいえ、異性としてアプローチを受けるのです。
    鷺沢さんにとって勇気が必要なことなのでしょう。


    「それでは……始めます、鷺沢さん」

    「はい! ……あっ」


    そっと彼女の手を握り締めます。
    その手は細やかでしっとりとしており、無骨な自分な手が触れるのに恐れ多いという気持ちすら芽生えました。

    手を握ったことへの反応を待つのですが……手を握るところから始めるのは急だったでしょうか。
    鷺沢さんは握られた手を、夢の中にいるような目で見つめるだけです。

    やはり突然のことで事態を理解していないのか。
    あまつさえ優しく、ですが確かに握り返してくるのです。


    「……鷺沢さん。手を振り払うか、あるいは止めるように言わなければ」

    「え……? プロデューサーさんの手を、ですか?」


    突然男に手を握られたというのに、心底不思議そうに小首を傾げられます。
    考えてみると大学での一件は、顔しか知らない男に拒否したにも関わらず手首を握って連れていかれようとしたのでした。
    これまで何度か仕事で関わり、そして練習という前提がある私に手を握られた程度では、危機感を抱けていないのかもしれません。

    ならばもっと直接的に――肩を抱くなどの肉体的なことは無理なので、言葉を用いていきましょう。
    とはいえこれは私自身もかなり恥ずかしいので、演劇だと思い込むことにします。

    咳払いを一つつき、握り合った手をお互いの胸の前にもっていきました。

    264 = 1 :

    「鷺沢さ……文香さん。テレビで貴女の姿を一目見た時から心奪われました。スポットライトの下で躍動する長く美しい黒髪、汗を流しながらも観客に向ける向日葵のような笑顔、吸い込められずにはいられない宝石のような瞳の輝き」

    「……ッ!!?」


    夢の中にいたようであった鷺沢さんがついに目覚め、その両目が驚きから大きく見開きます。
    頬は羞恥で染まり、恐怖からかその身を硬直させ、ただじっと私の言葉を聞き入ります。


    「私は貴女を最初、女神だと思いました。そして木陰で涼みながら、一つ一つのページを噛みしめるように穏やかに、そして慈しむように読み進める貴女を見て、今度は森の妖精だと見紛いました」

    「あ……ァ」


    消え入りそうな儚げな音色。
    ですがこの程度では悪漢は物怖じしませんし、周りの人も危機に気づいてくれません。

    練習でできないことは本番でもできません。
    怯えきった彼女に申し訳ないと思うものの、心を鬼にして最後の言葉を告げます。


    「神秘的な美しさを持つ貴女にたいして恐れ多く、身の程知らずとはわかります。ですがこの想いを秘めたままでは、いつ胸が張り裂けるのだろうと気が気でなく、迷惑であるとは思いましたが想いを告げさせてください」

    「――愛しています」


    思えば女性に告白するのは、練習だとしても初めてです。
    演劇だと思わないとやれなかったとはいえ、こんな告白を現実にする男が日本にいるのでしょうか。
    ともあれ、全力を出し切りました。

    鑑定は如何に?


    「ふ……」


    鷺沢さんはよほど恐ろしかったのか、今にも涙がこぼれそうなほど瞳を潤ませ、恐怖にわななく唇をかすかに動かします。
    その頬が赤く染まるのは羞恥と怒り、そして決意からなのか。

    あと少しで言える、頑張ってくださいと胸の中で応援していると。


    「不束者ですが……よろしくお願いします」


    まったく予想外な返答がこぼれ落ちました。


    「あっ……」

    「鷺沢さん? 鷺沢さんしっかり!?」


    極度の緊張で限界に達したのでしょう。
    意識を失って私の胸に倒れこんできたのを、慌てて支えます。

    どうやら告白までするのはやりすぎだったようです。
    気を失うほど緊張して、あまつさえ告白を承諾までしてしまうのですから。

    ともあれ鷺沢さんを医務室に連れて行かなければなりません。
    彼女の華奢なのに柔らかな感触のする体を、意識せまいと努力しつつ持ち上げ廊下へと進むと――


    「あ――」

    「橘さん?」


    タブレットをこちらに向けていた橘さんと出くわしました。

    265 = 1 :

    「こんにちはCPのプロデューサーさん。文香さんが気を失われているようですが、どうかしましたか?」


    彼女はそう言いながら、何気なくタブレットを背後に回しました。

    嫌な予感がします。

    よくよく考えてみると、気を失った鷺沢さんを私が抱きかかえているのを見たにしては、橘さんの態度は平静すぎます。
    慌てて駆け寄ってきたり、文香さんに何をしたんですかと私を詰め寄るのが橘さんらしい。

    そして私たちに向けられていて、何気なく隠されたタブレット。


    「橘さん……いつからおられましたか?」

    「……………………プロデューサーさんが文香さんの手を握りしめ、愛の告白を始めたところからです」

    「なぜ目をそらすのですか? 最初から見ていたのではないですか?」

    「いいえ。少なくともこの待ち合わせ場所に来て――」


    よそを向いたまま、吹けるのならば口笛でも始めそうな様子から一変。
    彼女は背後に『ロンパァ』という擬音表現が出てきそうな会心の笑顔と共に、後ろ手に持っていたタブレットをかざし、小気味よく人差し指で叩いて見せました。


    『鷺沢さ……文香さん。テレビで貴女の姿を一目見た時から心奪われました』


    「撮影を始めたのは告白辺りからです」

    「……ッ!!?」


    橘さんに目撃されたこともさることながら、録画までされていた事実に思わず鷺沢さんを支える力が抜け、ずり落ちそうになって慌てて支えなおします。


    「ん……」

    「さ、鷺沢さん……気がつかれましたか?」


    録画の件は大問題ですが、鷺沢さんの体調の方が大事です。
    鷺沢さんは私の声かけにうっすらと目を開き、目の焦点が徐々に合い始めました。


    「プロ、デューサーさん?」

    「はい。今貴女を医務室に連れて行く最中でした」


    目が覚めて突然男に抱きかかえられている状態です。
    誤解と混乱を産まないようにまずそのことを伝えたのですが、まだ意識がはっきりとしていないのか彼女には聞こえていない様子でした。


    「プロデューサーさん……夢じゃ、なかったんですね」

    「夢……ですか?」


    視界の端で、鼻息を荒くしながらタブレットを操作している少女が気になりますが、今はこちらです。

    266 = 1 :

    「こんな風にプロデューサーさんに抱きかかえられるだなんて……まるで、物語のお姫様になったかのよう」

    「さ、鷺沢さん!?」


    首の後ろに両手を回されました。
    もはや言い訳などできない完全なお姫様抱っこの体勢です。


    「プロデューサーさん……プロデューサーさん♪」

    「~~~~~っっっ」


    あまつさえ彼女は私の肩に頬を寄せ、陶酔しきった甘い声で囁くのです。
    骨抜きにされるという言葉の意味が、ようやくわかりました。
    私はプロデューサーだから、彼女は今正常な判断ができていない夢うつつの状態だから……そんなお堅い理性が次々と溶け、このまま二人だけでどこかに行きたいという願望がふつふつとわいてくるのです。

    舌を噛み、かろうじて持ちこたえます。

    正気に戻ると次の問題があることに気がつき、そちらに視線を向けます。
    実に満足げな表情をした少女がいました。


    「さて、と。用事があるので失礼させてもらいます」

    「用事とは……何でしょうか」


    ジリジリと後退する彼女を追いかけたいものの、鷺沢さんは未だ夢うつつの状態で手を離すわけにはいきません。


    「いえ、たいしたことではありません。ただ人の彼氏に手を出さないように、貴方と仲が良い人たちにこの証拠映像を見て頂こうかと」

    「まっ……」


    待ってくださいと言う間もなく。
    彼女は猫を思わせる俊敏さで飛び出し、曲がり角へと姿を消してしまいました。

    いつの間にか幸せそうに、穏やかに寝息を立てる鷺沢さんを抱きかかえたまま、ただ見送る以外に私にできることはありませんでした――

    267 = 1 :

    ⑪状況は整いました。行ってきます、時子様!



    念のため鷺沢さんを医務室に預けた後(日野さんは気持ちよさそうに寝ていました)、橘さんを探してクローネの部屋に向かったのですが、待っていたのは例の映像を視聴済みの速見さんたちでした。

    慌てて部屋を出ようとしたものの時すでに遅し。
    速見さんと北条さんに「貴方ってロマンチックなだけじゃなくて、情熱的なところもあるのね」「いいなー。私も不器用だけど優しい誰かさんみたいな人に、あんな風に求めてほしいなあー。ああ、一度でいいからしてくれないかなー」とさんざんからかわれました。

    それにしても……神谷さんが部屋の端から非難がましい目で見ていたのは何だったのでしょうか。
    話しかけようにも目が合うと慌てて目をそらし、顔を赤くして頬を膨らませるだけでした。

    ですが部屋にいた皆さんに事情を説明すると、速水さんと北条さんは「まあそういうことにしておいてあげるわ」「じゃあそういう体で今度は私に♪」などからかうのは止まりませんでしたが、神谷さんはホッと胸をなでおろしていました。
    もしかするとユニットメンバーが恋愛禁止という暗黙の了解を破ったと思い、その原因となった私に怒っていたのかもしれません。

    何はともあれ、疲れました。
    部屋に戻り椅子に腰かけ、天を仰ぎます。

    例の映像の誤解はどう解けばいいものか。
    アイドルの皆さんにメールを一斉送信しようかと考えていると、ドアがノックされました。


    「失礼しま――プ、プロデューサーさん!?」


    部屋に入るや否や、島村さんが慌てて駆け寄ります。
    いったい何事でしょうか。


    「大丈夫……ですか? 顔にその……言いにくいんですけど、元気が無かったですよ」


    どうやら一目で心配になるほど顔に出ていたようです。
    アイドルに心配をかけるわけにはいかないと一呼吸して、気持ちを改めます。


    「失礼しました。少し考えすぎて煮詰まっていただけなので、お気になさらず。ところで何か用件がおありだったのでは」

    「んー」

    「島村さん?」

    「用件の前に失礼しますね」


    島村さんは椅子に座った私の後ろに回り込むと、肩に手をかけました。


    「プロデューサーさんはお疲れみたいですから、肩を揉みながら話させてもらいます」

    「あ、いえ。そんなことをさせるわけには――」

    「まあまあ! パパが卯月の肩もみは世界で一番って言ってくれてるんですから、任せてくれて大丈夫です」


    プロデューサーがアイドルに肩を揉ませるなど、セクハラやパワハラに当たりかねないと止めようとしたのですが遠慮だと受け止められ、島村さんは自信たっぷりなにこやかな笑顔で手に力を入れ始めました。





    島村卯月

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    268 = 1 :

    「んっ……しょっと」

    「くっ……」

    「あ、やっぱりこんなに硬いじゃないですか。私がほぐしてあげますからね」


    島村さんのお父さんが世界一だと褒めたのは当然身内の贔屓もあるのでしょうが、確かにたいしたもので、アイドルに肩もみをさせることへの気まずさと共にほぐれました。
    首筋、首の付け根、肩、それに肩甲骨付近を優しく、そして意外な力強さで押されます。
    島村さんの相手への気遣いと、頑張って成長してきた逞しさを感じられ目頭が熱くなる。
    きっと、島村さんのお父さんも同じ気持ちだったのでしょう。

    やがてここ数日の心労もあって眠気がわいてきて、ぼんやりとしていると。


    「前も失礼しますね」


    とんでもない言葉が聞こえて目が覚めかけます。
    しかし目覚ましが聞こえるのに体が動かない、体がまだ半分眠っているような状態にいつの間にかなっていました。
    そして止めようにも島村さんは確認をとりながら手を前へと進め、既に鎖骨辺りに触れる寸前です。

    島村さんの白い指が、私の胸の上で踊り始めました。
    感触を確かめるように最初は少し指を食い込ませるとすぐに上に弾ませ、また少し食い込ませる。


    「痛くないですか?」


    痛くはありません。
    しかし耳元で優しく甘い、いたわる音色をあげないでください。
    貴女の美しくウェーブのかかった柔らかな髪を、私の頬や首などの素肌にあてないでください。


    「ふっ……んっ……」


    一生懸命相手を考えていることが、わずかに見える横顔から見てとれます。
    その健気さで、そんな吐息をつかないでください。


    「プロデューサーさん、気持ちいいですか?」


    もう指先は鎖骨のだいぶ下にまできてしまいました。
    身も心もとろけている内にここまできてしまったのです。
    もう十分だと止めなければ。
    けど私の体は私の体ではないように動いてくれません。

    首を柔らかで暖かなものに包まれます。
    肌触りのいい布地の少し向こうに何があるのか。
    考えてはなりませんが、考えなくてもわかるのです。
    島村さんが手を伸ばすために前のめりになりすぎて、女性の象徴ともいえる柔らかな膨らみが椅子の背もたれに乗り、私を包む。

    意識は茫洋としているくせに、股ぐらはいつの間にか机の下でいきり立っている。
    そのことに気づいた時さまよっていた理性がかすかに戻り、罪悪感と羞恥で深い海の中に沈んでいた意識を必死になって引き上げます。

    途方もない快楽の中から身を離そうとする行為に言い様のない苦痛を覚えますが、心が折れそうになるたびに島村さんの決して穢すことの許されない輝く笑顔を思い出し、こらえ、ついに水面へと顔を出し、意識を覚醒させた瞬間と同時でした。


    「プロデューサーさん……結婚を前提に彼女を探されていると聞いたんですが……本当、ですか」


    寂しそうに。
    切なそうに。
    苦しげに。

    かろうじて絞り出した震える問いが出迎えました。

    269 = 1 :

    彼女の顔を見たくて振り返ろうにも、先ほどまで胸にあてられていた手が両方とも首に添えられて振り返れません。
    何を想って彼女は今の問いをしたのか。
    内容と声音、そしてこれまで彼女と歩んできた道のりから判断しなければなりません。

    思い浮かんだのは本田さん。
    彼女と同じで、自分を支え信頼を寄せていた男性が、見知らぬ女性とどこか遠くへ行くことへの不安と恐怖。

    本田さんの時は安心させようとして妙な誤解を生んでしまいました。
    今度こそはそのような事態にならないよう、細心の注意を払わなければ。


    「……確かに、私は年齢的に結婚を前提とした彼女を見つけなければと思ってもいます。ですが――」

    「じゃ、じゃあ今はいないんですね!」

    「は、はい」


    決して貴女たちを蔑ろになどせず、これまで通り見守っていくことに変わりありませんと続けようとした言葉は、島村さんの歓声に遮られました。
    私に今彼女がいなければ大丈夫なようで……どうも、本田さんとは様子が違うようです。


    「実はその……とても恥ずかしいお願いがあるんですが」

    「お願い、ですか。なんでしょう」

    「パパとママが、えっと……プロデューサーさんを家に招いて食事をしたいと言っているんです」


    それは島村さんがそこまでかしこまることのないお願いでした。
    アイドルの親御さんたちは、往々にして子どもたちの活動内容に心配や不満を抱くものです。
    それを取り除くのもプロデューサーの仕事の内で、定期的に社内の見学会や説明会を開くのとは別に、個別に家庭訪問を行うことも時にはあります。

    ですが、それとは事情が違いました。


    「そ、そのですね! パパとママったらどうしてなのかわからないんですけど、プロデューサーさんがその……」


    首に添えられていた両手が離れたので振り向くと、島村さんは胸の前で両手をもじもじと合わせ、顔を真っ赤にしながらうつむいていました。
    彼女は潤んだ瞳を私に合わせては逸らしていましたが、やがて意を決して恥ずかしそうに、ですがはっきりと告げます。


    「わ、私とお付き合いしていると勘違いしているんです」

    「…………はい?」


    当然ですが私と島村さんは交際などしていません。
    そもそも十年近く恋人がいません。
    まして、担当しているアイドルに手を出すなど。


    「島村さん。事情を聞かせていただけますか?」

    「は、はい!」

    270 = 1 :

    島村さんは身振り手振りで、歩いてもいないのに転ぶのではないかと不安になる様子で慌てながら説明してくださりました。

    彼女が言うには、アイドルとしての毎日が楽しくて、食卓で親御さんたちにその日起きたことを話すのが習慣になっていたそうです。
    しかしいつの頃からか、私の名前を出すとお父様から落ち着きが無くなり、それを見てお母様がおかしそうに笑うようになっていったと。


    「それで昨日突然パパに、卯月の彼氏を今度家に連れてきなさいって言われて……彼氏なんかいないよって言ったら隣からママが、プロデューサーさんのことよって教えてくれたんです」

    「なるほど……」


    未だに困惑を覚えますが、島村さんのお父様の気持ちもよくわかります。
    多感な年ごろになっても男親である自分に冷たくせず、笑顔で肩もみまでしてくれる自慢の愛娘。
    きっと目に入れても痛くないほど可愛いでしょう。

    そんな娘が頻繁に男の名前を出すようになってしまったのです。
    最初のうちこそ仕事上の関わりにすぎないと思っていたでしょうが、島村さんは心底アイドル活動を楽しまれています。
    その中で私について語られる時も、きっと輝かんばかりの笑顔で、男親が不安を抱いても仕方ありません。


    「わかりました。では島村さんのアイドル活動について報告しつつ、やんわりと誤解も解いておきましょう」

    「あ、その……」


    申し訳なさと恥ずかしさがいっぱいな様子で、島村さんが身を縮こませます。


    「恥ずかしいお願いというのはここからでして……ママは事情を察してくれているんで、パパの前では恋人のフリをしてもらえないでしょうか」

    「……理由を聞かせてもらえますか?」

    「パパったら本当に興奮していて、そんな関係じゃないって言っても俺は騙されんぞ、卯月と付き合うのなら俺の許可を得てからにしろってむしろヒートアップしちゃうんです……」

    「なるほど……」


    下手な弁明は火に油を注ぐ事態になりかねないと。
    しかし付き合っていると認めた場合でも、まだ学生であるうちの娘に手を出すとは社会人失格だと逆鱗に触れるのでは?


    「大丈夫です! 最初のうちはパパは不機嫌でつっけんどんかもしれないけど、プロデューサーさんでしたらきっと納得してくれます! だって――」


    身を折り曲げ恐縮していた島村さんが体を起き上がらせ、胸の前で握り締めた手を掲げて、見た者が惹き付けられずにはいられない満開の花のような笑みを浮かべました。


    「――プロデューサーさんは、頼もしくて世界で一番私に優しい人なんですから!」


    その無条件な信頼に。
    澄みきった空のような親愛に。
    何よりその笑顔を見て。


    「はい、わかりました」


    気づけば私は承諾していたのでした――

    271 = 1 :

    ⑫年貢の納め時……ですか



    「プロデューサーって、押しに弱いだけじゃなくて浮気性もあるみたいだね」


    部屋で結婚式の招待状に、参加の欄へ丸をつけていた時のことです。
    入室するや否や、渋谷さんから手痛い一言をいただきました。
    鏡を見ずとも渋面になっているとわかりつつ、招待状を脇に置きます。

    それにしてもこの招待状――同期と佐久間さんの結婚式のものですが、この結婚式にはいくつか疑問点があります。

    なんでも今日付けで佐久間さんはアイドルを引退して、女優とモデルに専念することが決まっていたとのこと。
    今は記者会見中のはずです。

    なぜかこのことを、同期も知りませんでした。
    同期を経由せずに一ヶ月前に決まっていたのです。

    また結婚式場はこういったことに疎い私でも聞いた覚えがある有名なところで、気になって調べてみると最低でも半年、場合によっては一年前に予約する必要がありました。
    結婚式は今から三ヶ月後のジューンブライドです。
    佐久間さんはいつ予約していたのでしょうか。

    同期の親戚への根回しといい、水面下で気づかれないように少しずつ、そして確実に計画を進めていたのでは?
    私がこのような状況でなければもっと親身になって相談に乗れて、このような事態にならなくてすんだのでは?

    疑問はやがて自問自答へと変わっていくのです。

    せめてもの救いは担当アイドルに手を出したことに、他の同僚たちが意外なことに優しい反応を示したことでした。
    あんないい娘にあれだけアタックされればな、むしろアイツはよくもった方だ、など。
    女性陣にいたっては、ようやく覚悟を決めたかと佐久間さんの肩まで持っていました。

    ……しかしなぜでしょう。
    同期と佐久間さんの結婚式について雑談をしている方たちは、なぜか私を哀れんだ目で見ながら「次は……」「いや、大丈夫……だろ?」などと言い出すのです。

    ともあれ。
    今は何とか平静であろうとしていますが、その目から明らかに不満と怒りが感じられる渋谷さんの誤解を解かなければなりません。


    「付き合う前に私に言ってくれる……そう約束したよね。私、一言も聞いてないよ」

    「渋谷さん、私は誰とも付き合っていません。ですが……どうやら、私についての噂に尾ひれがついて流れているようなのです」

    「ふーん。じゃあ全部私の早とちりなんだ」


    渋谷さんのボルテージが高まっているのが伝わります。
    それなのにその目は冷めたまま。


    「いえ、全部が全部とはいえ――」

    「プロデューサーがこれから定期的に美嘉とデートするのも、楓さんとこれまた定期的に、しかも夜にデートするのも」

    「小梅が高校卒業したら結婚する約束をしたのに、みくとも結婚の約束をして、さらに茜とは男の子二人と女の子一人に白い大きな犬を飼う幸せな家庭を築く約束をしたのも」

    「幸子にキスマークをつけられて、智絵里の手料理をいただいて次も作ってもらう約束をしたのも、未央とやらしいことをする約束をしたのに、文香に愛の告白をしたのも――全部私の勘違いだったんだ。ごめんね早とちりして」

    「――ま、せん」

    272 = 1 :

    多少話が膨らんでいたり、弁解したいこともありましたが、嘘はほとんどありませんでした。
    どう誤解を解けばいいのか。
    あまりの難題に硬直していると、クスクスとこらえきれない笑い声が聞こえました。


    「……渋谷さん?」

    「フフッ……ンンッ。ごめん。あんまりにも真剣にプロデューサーが困っちゃったから、つい。なんとなく事情は察しているから大丈夫」


    先ほどまでの様子は演技……だったようです。
    とてもそうは見えなかったので、胸をなでおろします。
    特に私がここ数日皆さんとの間で起きた事を並べ立てている時など、渋谷さんの瞳は絶対零度もかくやという寒気を覚えるほどのものでした。


    「でも念のため確認しておきたいんだけど……文香に告白したのはアレでしょ? 練習か何かでしょ?」

    「は、はい。私は女性へのアプローチに慣れるため、そして鷺沢さんはそれを拒否する練習でした」

    「だよね! ありすってば勝ち誇った顔しながらタブレットを見せて『この通りプロデューサーさんは文香さんの彼氏となりました。個人的感情で近づくの禁じます』なんて言ったんだよ。まったく、まだ幼いのにこういうことに口出そうとするなんておませさんなんだから」

    「は、はい」


    滅多に見られないほど上機嫌でにこやかな渋谷さんに困惑します。
    いったい渋谷さんと橘さんとの間で何が起きたのでしょうか。


    「あ、そうだった。未央の事ならもう大丈夫だよ。ちゃんと私が言って聞かせたから」

    「ほ、本当ですか!?」


    しかしその困惑も、ここ数日で一番差し迫った問題が無くなったと聞き霧散します。
    正直いつ顔を真っ赤にした本田さんがドアを開け、片手にローションを持って現れるのではないかと気が気でありませんでした。

    そのような事態になる前になんとか誤解を解かなければと思っていたのですが、合わせる顔が無いため二の足を踏んでいたところです。
    同性、それも親友からの説得ならスムーズに事は進んだでしょう。


    「他の皆にもこれから言って回るから、プロデューサーは安心していいよ」

    「本当に……本当にありがとうございます。ご迷惑をおかけしまして」

    「もう。そんなに頭下げないでよ」


    渋谷さんが困ったように笑いますが、感謝の念から勝手に頭が下がってしまうのです。


    「問題は楓さんと美嘉か……相談に乗る体だったから責めづらいし、みくも冗談半分だからいくらでも言い逃れできるし……」

    「渋谷さん?」

    「え、何?」


    下げた頭の上を、よく聞き取れませんでしたが不穏な言葉が過ぎたような気がして確かめたのですが、渋谷さんは不思議そうな顔をしただけです。
    やはり気のせいでした。

    273 = 1 :

    「でも、今回のことでハッキリしたね」

    「何がですか?」


    渋谷さんは手を後ろに組みながら背筋を伸ばし、正面から向き合っていた状態からやや斜めに体勢を変えられました。


    「プロデューサーの彼女や奥さんになる人は、普段からプロデューサーが他の女に強引に言い寄られて浮気するんじゃないかって気が気でないよ」


    それは考えもしなかったことでした。
    浮気という愛する女性を傷つける行為などするつもりは毛頭ありませんし、できるほどモテませんし器用でもありません。
    しかしここ数日のことを鑑みると、もし私に彼女や妻がいたならば浮気を疑ったかもしれませんし、そこまではいかなくとも気が気でなかったでしょう。


    「だからプロデューサーの相手は、プロデューサーとこれまで苦楽を共にして深い信頼関係があって些細な事じゃ疑ったりしない人。それに普段からそばに居て周りの女にけん制できる、そんな強い人じゃないと」


    渋谷さんが長い黒髪をかき上げます。
    サラサラという音が聞こえそうな流麗な流れは、一つ一つが黒い輝きの軌跡を生み出しました。

    その光景に見惚れながら、自分は将来のパートナーにそんな負担をかけることになるのかと思いつつ、ここ数日のことを振り返りました。


    「大丈夫ではないでしょうか?」


    それは自分のモノとは思えないほど、他人事のように気負いのない声音でした。


    「大丈夫って?」


    言いすぎたと心配してかチラチラと私を見ていた渋谷さんが、驚いたのかマジマジと私を見ます。

    ここ数日、私の言い方が悪かったのもありました。
    推測が間違っていたのもあるのでしょう。
    しかし私が抵抗しようとしたのに、あっさり押し切られたのも事実。

    渋谷さんが言うとおり、私の将来のパートナーに逞しさが求められるとしても――





    「女性は誰もがこわ……強いですから」

    274 = 1 :

    プロローグ 凛

    一日目 美嘉 楓

    二日目 小梅 幸子 みく 未央

    三日目 智絵里 茜 文香 卯月

    エピローグ 凛

    275 = 1 :





    EX 【島村卯月】




    276 = 1 :

    今日はここまで、書き溜め無し、次回未定、多分三連休のどこか、遅くとも今月中

    クローネで武ちゃんと絡ませたいと思っているアイドルは文香・加蓮・奈緒、そして奏
    いつか美嘉と奏で武ちゃんを取り合いっこするものの、傍から見ると処女力の高さ比べになっているSSを書けたらなーって

    美嘉は処女処女しくて書いてて楽しいです
    しまむーは書けば書くほど深い闇に落ちて怖いです

    どうぶつの森だったら完全犯罪なのだぜ

    277 :

    乙でござる

    278 :

    乙でした
    島村さんが強すぎる…何で1人だけストーキング回避してんですかねぇ

    279 :

    乙乙

    書き溜めなしでこの分量とは

    280 :


    島村さんは時子様に弟子入りしてるの?

    281 :

    おつ
    漬物ォ!

    282 :


    クローネ楽しみ

    283 :

    ちょくちょく入る漬物語録に笑った

    284 :


    卯月はやっぱりかわいいなあ

    そういえば強いってこわいって読むんだよな…

    287 :

    おつ
    こわいだけじゃなく、したたかも強かって書くんやで

    288 :

    強ち(あながち)というのも一応あるけど

    289 :

    全員個性的に可愛い

    290 :

    時子は大学で心理学の勉強してるんだっけ…文香がおとなしいと思ったら、ありすを使って既成事実をダイナミックに作ろうとしてる件

    奈緒の反応見てると、一番ツンデレにアタックしそう…それ系のアニメが好きなら
    ここのアイドル容赦なくPと既成事実を作ろうとする肉食系の多いこと

    291 :

    ちょっと卯月に弱すぎやしませんかねぇ

    292 :

    乙乙

    294 :

    三連休中に投稿するのは無理でごぜーますよ
    今度の土曜には投稿できるようにします

    296 :

    はよ頼むやで

    297 :

    新章は近々始めますが、それにあたって作者からお願いがあります。といっても、単に「作品の連載中、読んでる人は随時コメントをして欲しい」という、それだけです。連載が終わってから纏めて、とかではなくて、“連載中に”コメントが欲しいのです。

    ここでもmixiのコミュニティでも再三言ってることですが、私はSSの作者として、「SSとは読者とのインタラクションの中で作っていくものである」というポリシーを持っています。
    つまり、読者からの声がなく、作者が淡々と書いて投下しているだけという状況では、全く意味がないということです。それなら「書かない方がマシ」といっても大袈裟ではありません。
    特にこの都道府県SSは、本来3年前に終わっている作品を、需要があると言われて新たに書き続けているものです。投下しても1件2件しかコメントが付かないのでは、その「需要」があるのか否かさえ曖昧になります。
    全ての読者にレスを求めるのは酷な事だと思いますが、出来る限り「ROM専」というのはやめて下さい。少なくとも、一夜投下する度に10~20件くらいのレスは付いてほしいです。この数字は、私の考える、SSが正常に連載の体裁を保てる最低限度のレス数です。
    連載を続けるにあたり、そのことだけは、皆さんにお願いします。

    298 :

    風引いてしまう

    299 :

    各キャラのサブタイトル?は島村さんと時子様が言ってるのか?

    300 :

    この想いを、いったい何と表現すればいいんでしょうか。

    プロデューサーさんに付き合っていた人がいた。
    その情報を聞かされた時、視界がぐにゃりと歪み手すりに倒れこみかけます。

    首根っこを誰かに暴力的に掴まれたかのような錯覚。
    ほんのわずかな間に高熱にかかったみたいに体が火照る。

    手すりを支えに体を起こし、考えを整理するために大きく息を吸います。

    今、私の中で渦巻く感情は何でしょう?

    プロデューサーさんに彼女がいた。
    昔のこと。
    私たちと出会うずっと前のこと。
    渋みや包容力が足りない代わりに、今よりもきっとさらに純粋で無垢だったプロデューサーさんを、私以外の女に私の知らないところで穢された。

    その事実をゆっくりと噛みしめ――憎悪と感謝が喉をするりと落ちていくのがわかりました。

    よくも、よくも何も知らないプロデューサーさんを。
    よくぞ、よくぞ何も知らないプロデューサーさんに。

    喉を通る相反する感情は、胸辺りに来たときは絶対値の差をそのままに一つの大きなうねりとなり、お腹の下まで来てしまいます。

    ああ、やっぱり。


    「へそ下辺りが、むずがゆい……っ」


    答えは得ました。大丈夫です時子様。島村卯月、これからもがんばります!


    「あ、そう」


    一部始終を冷めた目、というよりも引いた目で見ていた時子様はなぜか素っ気ない態度です。
    もう。答えを得た錬鉄の英霊を見送る赤い悪魔のように、最高の泣き笑いを見せてくれても良かったのに。
    時子様のデレ期はまだ先のようです。


    「そんなありもしないモノ探してないでさっさと行きなさい。仮にあったとしても遠ざかってるから」

    「ちぇ、時子様のいけず。では行ってきます」


    急いて早足になろうとする気持ちをかろうじて抑え、遅い曲調の歌を口ずさみながら考えをまとめます。
    プロデューサーさんに昔付き合っていた人がいた。
    この情報をシンプルに活用するか、大勢の人を巻き込む策謀へと発展させるか。

    せっかく時子様が【時子様の豚ネットワーク】で拾った情報を与えてくれたんです。
    十分に考えてから実行に移さないと。

    何だか最近時子様が前よりも冷たいですけど、何だかんだでこういう情報を与えてくれたりして可愛がってもらっています。
    SF映画で自分の生み出した生物兵器が世界を滅ぼしかねないと知った科学者のような目で私を見たりするのが不思議ですが、なんででしょうね?


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