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    元スレ武内P「女性は誰もがこわ……強いですから」

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    51 :

    まゆP頑張って超頑張れ

    53 :

    おつおつ、この娘どもコワイでござる

    54 :

    女性コワイ

    66 :

    一回ガス点検やったほうがいいレベル

    67 :

    怖い、怖い…幸子も小梅もアクセル全開だな

    68 :

    みんな強かやな

    69 :

    実際こうなったらどうやって逃げればいいんだろうな…
    女性の多い職場だけに逃げ場もないぜ

    81 :

    みんな食べればいい

    82 :

    楽しみにしてる

    84 :

    皆オンリーワン狙いなんだよなぁ

    85 :

    あっこれ壮絶なフルーツバスケットだ

    86 :

    ジェイソンはチェーンソーじゃないと何度言えば分かるんだ!

    93 :

    ⑥むう、やりますね。楓さんの次に高得点です



    「どうしたのものでしょうか……」


    デスクに両肘を乗せ、頭を抱え込みます。
    高垣さんたちに相談に乗ってもらい軽減した悩みは、元の倍以上に膨れ上がりました。


    「お二人とも……本気なのでしょうか?」


    キスマークを隠すために貼ったシップをなでながら考える。
    二人ともまだ子どもで親愛と愛情を取り違えており、成長すれば自然と本当に好きな人ができると思っていますが……それは楽観的なのかもしれません。

    白坂さんは三年どころか五年後でも今のままかもしれず、輿水さんの独占欲は子どもではなく女性のものだったのではないでしょうか。


    「……っと。今は勤務中でしたね」


    今日中に上に回さなければならない書類が目にとまり、いったん考えるのをやめます。
    ついに仕事にまで影響が出始めるとは。
    気持ちを入れ替えるためにコーヒーでも飲もうかと席を立ちあがりかけた時、ドアがノックされました。


    「Pチャン、いるかにゃ?」

    「前川さん? ダンスレッスンの後に、衣装合わせの予定だったはずですが」

    「衣装合わせが少しずれるって」

    「そうでしたか」


    私に連絡が来ていませんが、前川さんは衣装合わせで今日は終わりなので、少し遅れても連絡はいらないと判断してのことでしょう。


    「それでちょっと時間ができちゃったから、Pチャンの様子を見にきたんだけど……首を押さえてたのは寝違えたからかにゃ?」

    「え、ええ! そうなんです。心配をおかけしていまい申し訳ありません」


    やはりキスマークを隠し続けていたのは変に思われていたようです。
    しかしわずかに空いた時間で様子を見にきてくれるとは……ありがたいと同時に、理由が理由なだけに申し訳ありません。

    そんな風に恥じ入っていますと、前川さんが無言で――


    「じー」


    ――無言ではなく、口にしながら私を見つめています。


    「前川さん?」

    「……Pチャン、顔色が悪いにゃ。寝不足というより、なんだか悩み事を抱えているみたいだにゃ」

    「……っ」

    「やっぱり。カマかけだったけど、本当に悩んでいたんだにゃ」


    動揺した私の様子から、あっさりと確信がとれたようです。
    見抜かれた恥ずかしさから首筋に手をやると、前川さんが困ったように笑いました。


    「みくに話して……って言ったら、もっとPチャンを困らせそうだから言わないにゃ」





    前川みく

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    94 = 1 :

    確かに人に話せる悩みではありません。
    まして、相手が同じ未成年のアイドルとなればなおのこと。


    「けど覚えていて欲しいのは、みくたちのためにPチャンが一生懸命なように、みくたちだってPチャンのためになりたいんだよ。Pチャンが言ってくれれば……ううん、言わなくたっ

    て力になるつもりなんだから」

    「前川さん……」


    悩みを話したわけではない。
    解決策が見つかったわけでもない。

    それでも自分を味方してくれるというてらいの無い真っ直ぐな宣言は、落ち込んでいた私の心に活力を与える息吹きでした。


    「まあそれは別としてにゃ」

    「ええと……どうされましたか」


    つい先ほどの雰囲気とは打って変わって、半眼でこちらを見つめる前川さんは尻尾をパタンパタンと振る不機嫌な猫のようです。


    「Pチャンは周りの人ばかり心配して、自分のことをおろそかにしがちだにゃ。それに押しに弱いところもあるし、相手のことばかり考えていつの間にかとんでもない目にあいそうで不安だにゃ」

    「は、はあ……」

    「みくがしっかりしていないと、女の娘たちから次々とセクハラされたり、徹夜明けで熟睡している寝込みを襲われそうな気がするにゃ」


    そのようなことありえませんと否定したいものの、なぜでしょうか。
    一瞬リーディングシュタイナーが発動しかけたような気が。


    「そんなPチャンにはPチャンのことを第一にする人……面倒見がいい女の娘を見つけるべきだにゃ!」

    「は、はあ」

    「あれ? なんだか乗り気じゃないにゃ。Pチャンは結婚するつもりはないのかにゃ?」

    「い、いえ。そういうわけでは。ただどうすれば私などがそのような女性と巡り合えるだろうかと」


    結婚という言葉は今悩まされている一つだと明かすわけにもいかず、慌てて――しかし以前から思っていた不安を口にしました。


    「うーん。Pチャンは優しいし顔は怖いけどカッコイイし、背も高いから出会いの場に行けばいくらでも相手の方からやってくるとみくは思うにゃ。だから問題なのは、より取り見取りな中で、Pチャンが自分に合う女性を選べるかだにゃ」


    婚活パーティに参加したことはないのですが、耳にする噂は参加することをためらわせるものです。
    噂はしょせん噂だと置くとしても、短時間の出会いで相手を見抜ける自信はありません。
    アイドルとしての可能性についてなら多少あるのですが。


    「ここはみくがPチャンの結婚相手に相応しい条件を挙げていくにゃ!」

    95 = 1 :

    前川さんは胸を張りながら人差し指を元気よく天に向けました。
    その動きで揺れてしまった膨らみから慌てて目をそらします。


    「私に相応しい条件……ですか。聞かせてもらえますか」

    「まず第一に、さっきも言ったけど面倒見がいいこと! そして第二は当然、猫好きなこと! 猫好きに悪い人はいないから」

    「なるほど」


    前川さんらしい意見に思わず笑ってしまいます。
    猫に限定しなくても動物好きな女性には好感が抱けるので、なかなかいい着眼なのかもしれません。


    「そして! Pチャンの結婚相手に相応しい条件があと一つあるんだにゃ!」

    「それはなんでしょうか?」


    最後の一つはよほど重要な事なのか、それとも自信があるからなのか。
    ためをつくってもったいつけます。
    世話焼き、猫好きときましたが、いったい何が取りを務めるのでしょうか。


    「最後は!」

    「最後は?」

    「おっぱいが大きいこと!」

    「…………は、はい?」


    耳を疑い首をかしげますが、前川さんは気にせず続けます。


    「中身が一番重要だけど、性癖に素直なことにこしたことはないにゃ。外も中も好みなら、夫婦円満長続き間違いなし!」

    「あの……前川さん?」

    「ん? どうしたのPチャン?」

    「その……性癖に素直であることが重要であるかは置いておきまして。なぜ、胸が大きい女性を押すのですか?」


    下手に扱えば潰れてしまう繊細な紙細工のような質問を、喉の渇きを覚えながらかろうじて紡ぎ出し――


    「え? だってPチャン巨乳好きでしょ」


    ――それを猫は障子を破って遊ぶのは自分の特権といわんばかりの無遠慮さで、一撃で一切合財を終わらせた。

    96 = 1 :

    「みくや未央チャンの谷間が見える時、一瞬食い入るように見てから慌てて目をそらして、罰が悪そうにしながら目線を首から上以上に必死に固定してるにゃ」


    さっきだってみくの胸から慌てて目をそらしてたにゃと、あっさりと気づいていたことをばらされ、血の気が凍り、生汗が噴き出る。

    アイドルをそのような目で見てはならないと常日頃から自戒していました。
    まして私が預かっているアイドル達は皆未成年なので特に気をつけていましたが……頻度を減らすことはできても、ゼロにすることだけはどうしてもできません。
    せめてアイドルの皆さんが不快感を覚えないようにと努力し続けましたが……私がイヤらしい目で見ていることは、とうに見抜かれていたとは。


    「まことに……申し訳ありませんでした」

    「にゃにゃ!? どうしたんだにゃPチャン!」


    机に頭がぶつかるまで頭を下げ、ただ許しを請うしかできません。


    「その……ちなみに、前川さん以外に気づいておられる方は?」

    「えっ。きらりチャンとかな子チャンはどうかなー。蘭子チャンはまったく気づいてないけど、未央チャンは気づいていてわざとPチャンに……ってPチャン? 言っておくけどみくたち、別に不快だなんてそんなことちっとも思ってないから」

    「お気遣いいただき……ありがとう、ございます」

    「だーかーらー、そういう意味じゃなくって」


    両頬をパチンと手で軽く叩かれ、そのまま下がっていた頭を持ち上げられます。
    机の向かい側から前のめりの姿勢で私をつかむ前川さんと、目と鼻と距離で見つめ合うことになりました。


    「みくたちはオシャレのために胸元が開いた服とか着ているけど、見られるのがそんなに嫌ならオシャレしないにゃ。というかPチャンがみくたちを見る視線なんて、学校のエロ男子や電車のスケベ親父に比べれば見ているうちに入らないにゃ。そ・れ・に♪」


    前川さんは楽しそうに笑うと前のめりの姿勢のまま、洋服の胸元を引っ張ってみせます。
    見てはならないと顔を横にそむける一瞬、今にもあふれそうな柔らかな膨らみが脳裏に刻まれてしまいました。


    「ふふーん、やっぱりPチャンは巨乳好きだにゃ。カワイイ子猫ちゃんを食べたいって我慢する野獣の目だったにゃ」


    煮るなり焼くなり好きにしてくださいと、白旗を挙げ全面降伏したい気持ちです。
    自暴自棄のあまり、子猫と表現できるようなサイズではなかったとうっかり漏らしそうになるほどに。


    「Pチャンはみくたちに悪いことしたって思っているかもしれないけど、みくたちはアイドルだし、そうでなくっても男がそういった生き物でそんな目をするのは仕方ないってのはこれまでの人生でとっくにわりきっているにゃ。まあ……見る相手と見方ってものもあるけど」


    視線をそらしているのでわかりませんが、そのうんざりとした口調からよほど変な目に遭われたこともあるのでしょう。
    しかしすぐに気を取り直し、他所を向く私の頬を指先でつつきます。


    「Pチャンが相手なら、今みたいに近くで見られても気持ち悪くもなんともないにゃ。むしろPチャンがうろたえる姿が見れて楽しいぐらいだから、すぐに目をそらさないでもっと見てもいいんだよ?」

    「前川さん……励ましていただけるのは嬉しいのですが、男をあまり勘違いさせる発言をすると危険な目に遭いかねないので気をつけてください」


    もし前川さんが他の男性にも似たようなことをして、その男性が理性の効かないタイプだとすれば……想像するだけで恐ろしい。


    「相手は当然選ぶよ。Pチャンとか、PチャンとかPチャンとか」

    「信頼していただけるのは嬉しいのですが……」

    「確かに信頼しているけど、Pチャンが考えている信頼とは違うんだけどにゃあ」

    「……それは?」

    「まあとにかく! Pチャンの結婚相手に相応しい条件をまとめるにゃ」

    97 = 1 :

    何が違うのかと訊きたいところですが、あまり話したくないことなのか強引に話を戻されました。
    まあ信頼はしてくれているとのことなので、いいことなのでしょう。


    「えっと、面倒見がいいこと、猫好きであること、そしておっぱいが大きなこと!」

    「……三つ目も加えるのですか」

    「当然にゃ! あ……でもこれって」


    もはやどこか遠くの世界のように感じながら、かろうじて抗議の意思を示すもののあっさりと流され悲しみを噛みしめていると、前川さんが顔をうつむかせながら体をくねらせ始めました。


    「Pチャンの理想の結婚相手って……みくになるんだね」

    「いえ、その……」


    雲行きが怪しくなってきた、まさか前川さんまでと一瞬思ったものの、どうやらそれはうぬぼれが過ぎたようです。


    「ごめんねPチャン。みくはトップアイドルになる夢があるから、Pチャンと結婚するわけにはいかにゃいの。みくのおっぱいを見るだけで我慢してほしいにゃ」


    告白したわけでもないのに振られはしたものの、ここ最近の妙に緊迫した流れとは違い正直安心できました。


    「それは残念です。前川さんと結婚できれば幸せな毎日だったでしょうに」

    「あ、でもみくがトップアイドルになった後なら話は別にゃ! Pチャン自身のためにもみくを一日も早くトップアイドルにするんだにゃ」

    「ええ、今まで以上に頑張らせてもらいます」

    「そ、それはダメにゃー。Pチャンが無理して体壊したらトップアイドルになっても結婚してあげないから!」


    自然と頬がほころび、ついには肩が震え始めてしまいました。
    私の結婚について、ここまで愉快でリラックスしながら話せたのは初めてかもしれません。


    「はい。ではほどほどに頑張らせていただきます」

    「よし! じゃあみくはそろそろ衣装合わせに行ってくるから」


    そう言うと前川さんは軽快で、かつ機嫌の良い足どりで去って行きました。
    今朝様子がおかしかった私の確認ができて、心配の種が無くなかったからでしょう。

    私の方は以前として重大な悩みを抱えたままですが、前川さんとの会話で幾分か気がまぎれました。
    仕事に集中することにしましょう。










    「フフ……フフフフフフフ」

    「トップアイドルになったら……約束したにゃ♪」

    98 = 1 :

    ⑦友達として応援するために、これは預からせてもらいます♪



    前川さんが出られてから約一時間後。
    私も書類の決裁をもらうために部屋を出て、戻ってきてみると部屋の中に先ほどまでなかった匂いがすることに気がつきました。

    それはシャンプーや香水など、男が身にまとうのものとは違った甘い香り。
    残り香にしては匂いがはっきりとしていますが、部屋に私以外は――


    「ドーン! プロデューサー元気ィ!?」

    「ほ、本田さん!?」


    開けたドアの後ろに隠れていたのでしょうか。
    死角から急に本田さんが抱きついてきました。


    「はーい、未央ちゃんでーす! 今朝プロデューサー元気が無かったから……ん、今はちょっとマシかな? けどまだまだ足りないし、未央ちゃんが元気のおすそわけにきました!」


    斜め後ろから抱きつかれたのでなんとか首をひねって本田さんの顔を見るのですが、いたずらが成功した喜びの中に私への気遣いもあって、怒るに怒れません。
    とはいえ、若い女性が無暗に男に抱きつくのは止めなければ。


    「本田さん……お気持ちは嬉しいですが、いったん離れてもらえませんか?」

    「まあまあそう言わずに。元気が無い時はある人からもらうのが一番だよ。こんな風にね♪」

    「……ッ!?」


    ぐりぐりと頭をこすりつけてくるだけならいいのですが、問題はその柔らかで女性的な体を形が変わるのではと思うほど強く寄せてきていることです。
    引き離そうにも後ろからなので、説得するか乱暴に振り払うかしかできません。

    どうしたものかと悩んでいる時、違和感を覚えました。
    その違和感は私の全身を硬直させるにあまりあり、後頭部を鈍器で殴られたかのような衝撃で視界がグニャリと歪みます。


    「プロデューサー?」


    私の様子がおかしいことに気がついた本田さんが心配げな声をあげます。
    しかし私が気づいたことが杞憂でないのならば、心配されるのは私ではなく本田さんです。
    私は固まってしまった喉をなんとか震わせ、確認しました。


    「本田さん。その……たいへん失礼とは思いますが――」


    背中に感じる柔らかな感触。
    その中でも特に柔らかな双丘。
    これが、少しばかり柔らかすぎた。


    「――ブラジャーを、つけておられますか?」


    望んだのは否定の言葉。
    否定だけで終わらず、馬鹿にされて蔑まれ、変態扱いされても構わない。
    それだけの覚悟を以って挑んだ問いの答えは。


    「あ……アハハ~。気づかれちゃったか」


    恥ずかしさを誤魔化す笑い声でした。

    腕で前を覆い隠しながら、ようやく本田さんが私から離れます。





    本田未央

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    99 = 1 :

    「いやー、それがね? レッスンが終わった後になって、替えのブラ忘れてきたことに気づいちゃって。今洗濯して乾燥待ちなとろこなんだアハハハハ……ハハ。プ、プロデューサー?」

    「なんでしょうか?」

    「もしかして……怒ってる?」

    「はい」

    「ふぇぇ……即答だよぉ」


    怒るにきまっています。
    私だったからよかったものの、二人きりの状態でこのようなことをすれば襲われても文句が言えないではありませんか。


    「本田さん、あちらに」

    「は、はい……」


    本田さんをうながし、パーテーションで部屋から区切られているソファに向かい合う形で座ります。


    「いいですか本田さん。貴女はアイドル、いえアイドルであることを抜きにしても、魅力的な女性なのです」


    例えば緒方さんなどはあれほど可愛らしいのに自覚や自信がなかったりしますが、本田さんは別の意味で自覚といいますか、危機感が足りないように思えます。
    自分に魅力があることはわかっているのに、その魅力が何を引き起こすのかをわかっていないのではないでしょうか。


    「若い貴女には時代錯誤に思えるかもしれませんが、女性に慎ましさが求められていたのは男尊女卑という一面以外にも、女性の身を守る意味合いもあったと私は考えます」

    「身を守る……?」

    「男という生き物は残念ながら、女性の美しい姿を見たり触れたりすると、途端にまともな判断ができなくなるのです。自制心が弱い者になると、そのまま犯罪に手を染めることもありえます」


    そして若い時分は自制心が弱く、それに反比例するように衝動が強い。
    会ったことの無い本田さんのクラスメイトを想像する。
    彼らは普段どれだけの苦悩を抱えているのでしょうか。

    クラスの密かなアイドルである彼女は毎日笑顔であいさつをしてくれるだけでなく、気軽に話しかけ、肩を叩くなど軽くではありますがボディタッチまでしてくれます。
    ただそれだけでその日一日は幸せな気持ちになれていたのに、彼女は芸能界という遠い世界へと飛び去ってしまいました。
    普段会える機会が減る代わりに、テレビや雑誌などプロの手によって普段とは違った彼女の魅力が演出されています。

    間近で会える機会が減った胸の寂しさは、気がつくと勝手に手が自らのものを慰め、申し訳ないと思うものの手は止まらずかえって勢いが増し、画面で彼女の笑顔が映し出された瞬間に果ててしまう。
    快楽の波が引くとあんなにも綺麗な彼女を想像で汚してしまった罪悪感で、知らずと涙が落ちる。

    そして翌朝。
    気持ちの整理がつかぬまま登校すると、笑顔で挨拶をしてくれる彼女の姿が。
    その笑顔を見ながら果てたことを否応なく思い出し、その日以後彼女と目を合わせて話す事ができなくなり、ますます彼女が遠ざかる。
    その隙間を埋めるように彼女を録画したメモリは増え、雑誌を買いそろえることに熱をあげる。

    そんな堕ちていく日々の中、偶然校庭のすみで彼女と出くわす。
    彼女はここ最近様子がおかしい彼のことが気になっていたようで、いい機会だとそのことについて尋ねる。

    彼女は自分のことを気にかけてくれていた。
    まともに話す機会が減ったというのに。
    きっと彼女も俺のことを――

    この場には自分たち以外に誰もいない。
    近くには用具室があり、南京錠は昼間は開けっ放しだ。
    快楽と罪悪感まみれの妄想を実現しようと、彼女の腕をつかみ取り――


    「プロデューサー……深刻な顔しながら、私をネタにエッチなこと考えてない?」

    「んんっ」


    少し想像がいきすぎたようです。
    本田さんの半眼に思わず目をそらし、自分でもわざとらしいとわかる咳が出てしまいました。

    100 = 1 :

    「と、ともかく。今のように付き合ってもいない男に、それもブラジャーもせずに抱きつくなど、もし私が我慢できずに手を出そうと考えたなら――」

    「プロデューサー……手を出すの?」


    うつむきながら本田さんがか細い声で尋ねます。

    どう答えたものかしばし迷いました。
    私はプロデューサーですから、アイドルに決して手など出しませんと答えたいのが本心です。

    しかし本田さんに男性への正しい警戒心をもっていただくには、手を出しかねないと答えるべきでしょう。
    たとえその結果私への信頼が損なわれるとしても……本田さんの身を案じるのでしたら、辛くともそうしなければ。


    「……今回は我慢できましたが、今後もこのようなことが続くようであればそういったことも起きえ――」

    「ヤッター♪」

    「ほ、本田さん!?」


    それは予想外の行動でした。
    てっきり私の答えに失望するかと思っていたのに、うつむいていた状態から上げられた顔はなぜか喜色に染められていました。
    予想外の事態に呆気にとられる間もなく、本田さんは歓声をあげながら机を飛び越えて私に飛びついてきたのです。


    「そっかー、プロデューサーは未央ちゃんのことをそんなエッチな目で見てたんだー。そうだよねー、プロデューサー巨乳好きだもんねー♪」


    なぜ、こんなことに。

    私はただ本田さんに、男性への警戒心をもっと持ってもらいたかったのです。
    それなのになぜ私に勢いよく抱きついてきているのでしょうか。
    あと前川さんと同じで、私を巨乳好きだと当然のように認識されていたのですね……。

    私はソファに浅く腰掛けていたことと突然の事態に呆然としたこともあって、今は本田さんに押し倒されかかっている状態です。


    「いやー、未央ちゃん心配してたんだよ。ひょっとしてプロデューサーはゲイなんじゃないかって。巨乳好きだとは思っていたけど、女の人に興味があるってこれではっきりして安心したよ」

    「~~~~~っっっ」


    本田さんは私のお腹辺りに顔を埋めるように押しつけてきているため、顔色はうかがえません。
    ただし耳が赤く染まっていることはわかります。

    いえ、それよりも問題なのは。
    本田さんのブラジャーで固定されていない胸が、頭をこすりつける反動で私の股に触れては離れ、触れては離れを繰り返していることです。

    何としても本田さんを引き離さなければなりませんが、今私の両腕は崩れそうな上体を支えていて、腕を動かせば完全に押し倒されます。
    それはそれで非常に問題です。


    「ゲイじゃないんだったら、プロデューサーが結婚とか女性のことで悩んでいるって噂も本当なんだよね?」

    「……本田さん?」


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