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元スレ提督「…さぁ出撃してこい!」 曙「黙れクソ提督」
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金剛「はん!!昔はイケメンだからって許すなんてことはないdeath!!」
霧島「金剛姉様荒れていますわね…」ボソッ
比叡「そりゃあもう…」ひえええ…
青葉「むむむ…さてさて何かあるとしたら、この司令官の机の引き出しの中だと思ったんですが…」
赤城「鍵がついてますね…」
青葉「しかもダイヤル式ですか…なんで机ごときにこんな無駄に高性能な鍵を…」
天龍「…よっぽど見られたくないものが入っているんだろ」
青葉「シンプルに六桁の数字を合わせる方式ですか…。誰か心当たりのある数字がある人いますか?」
電「さっぱりなのです」
雷「さっきプロフィールに提督の生年月日が記載されてたわよ?シンプルにそれじゃない?」
青葉「いえ、もうそれは試してみたのですが違うみたいですね」
瑞鶴「机壊しちゃえばいいじゃない」
青葉「最終手段はそれですが…。いかんせん中身が分からないのであまり手荒な方法は…」
響「困ったね…」
暁「どうしましょう…」
五月雨「…たぶん分かりますよ」
暁「五月雨ちゃん!??」
天龍「おまっ、どこいってたんだよ!!」
五月雨「提督の机の鍵を開けたいんですよね…?」
青葉「五月雨さん、何か心あたりが…?」
五月雨「…たぶん、シンプルに372525だと思います」
瑞鶴「…へ?37…2525?」
霧島「…?何かの暗号ですか?」
金剛「…」
比叡「っ!あー!!これって、みんなニコニコって読めますよ!!」
雷「いやさすがにないでしょ…あのゴミがそんな番号にするはず…」
青葉「…開きました…」
全員(五月雨以外)『』
五月雨「ほら、提督の考えなんて私はお見通しです…!」
赤城「…そ、それで肝心の中身は…?」
青葉「ノートが何冊も入っています…これは…?」
瑞鶴「提督日誌…?日記みたいなものかしら…」
青葉「とりあえず開いてみましょう」
『マル月バツ日
今日の資材変動うんぬんかんぬん
今日のノルマうんぬんかんぬん
今日の任務うんぬんかんぬん』
天龍「この日付は…提督が来て割とすぐの頃か」
瑞鶴「なにこれ…めっちゃ真面目に提督業してるじゃない…」
赤城「…さすがに驚きました」
電「これ、本当にあの人のノートなのですか…?…もしかして提督妖精さんのノートじゃ…」
瑞鶴「まって続きがあるわ」
『今日の艦娘
いぜん艦娘同士の険悪さは残っており、些細なことでいがみ合う姿が見て取れる。
しかしわずかであるが回復の兆しも見て取れた。
私の着任当初、部屋は別々にし毎日のように前提督に褒められたい一心で武功を取り合いいがみ合っていた第六駆逐艦隊は、部屋を同じにし、私の悪口で食堂で盛り上がっていた。
仲の悪かった一航戦と五航戦も互いの距離を縮め、訓練場で4人揃って練習している姿が見て取れた。
…おそらく、4人が抱く前提督への恋慕の感情が彼女たちの間を引き裂いて距離を作っていたのだろう。
…だがまだ瑞鶴と加賀はギクシャクしている様子だ。
しばらくゆっくり見守ろうと思う。』
電「ッどういう…ことなのですか…」
雷「た…たしかに、今の提督に変わってから…。私たちは喧嘩をしなくなったけど…」
加賀「…」
瑞鶴「…ねぇ、加賀姉っていつから私のこと好きだったの?」
加賀「黙秘します」
赤城「ッ!!??」
『サンカク月シカク日
私のこの作戦は順調だ。
艦娘の間には明らかに会話が増えたし、静かだった食堂も今は賑やかな声であふれている。
艦隊の間も以前のようなMVPを競って取り合うようやことはなく、お互いにお互いをかばい合いながら海域を解放している。
懸念材料があるとすれば、天龍や龍田。陸奥や長門など一匹狼の者達だ。
彼らは未だに戦場に固執し、戦闘狂と揶揄されるのにふさわしい姿勢を未だ保持している。
彼女達もどうにかして艦娘の輪に含めてやりたい。
というわけで彼女達には人懐っこい駆逐艦達の教育艦になってもらうことにした。
彼女達と誰に対してもフレンドリーな駆逐艦達の間に、うまく友好関係が築かれるといいのだが…』
天龍「…」
暁「てんりゅー、最初は怖かったよねぇ」
電「うるせーと殺すぞしか言わなかったのです」
暁「でも今はもう全然怖くないわ!」
天龍「うるせー」
響「うん、怖くないね」
天龍「」
瑞鶴「そういえばあの頃と比べたら、陸奥や長門もずいぶん丸くなったわね」
電「はい、陸奥さんは…」
暁「長門に関してはノーコメントで」
『なに月なに日
五月雨に提督妖精さんが俺だということがバレた。どないしよ(龍驤ボイス)
あばばばば…』
天龍「五月雨にバレたって…おい!??」
青葉「さ、五月雨さんはこんはに早くから司令官の演技に気づいていたんですか!!??」
雷「いやそんなことより…いやそっちも大切だけど!!???」
加賀「て…提督妖精さんの正体って…!?」
金剛「テートク自身だったんデスカ!!??」
青葉「そうですよ?」
天龍「喉さすりながら裏声出してな…。いや、俺も初めて見たときは我が目を疑ったが…」
電「」
暁「電が白眼をむいて倒れたわ!!?」
霧島「私の計算では脳が現実を受け入れることを拒否したのでしょう…」
比叡「」
金剛「比叡!?しっかりするデース!?」
青葉「ははは…これは予想以上にすごいや…。こんなに何冊にもわたって1日の漏れもなく、私たちのことをちゃんと見てノートを取ってる…」
天龍「見てるこっちが気恥ずかしくなるくらいな…」
霧島「…私たちに嫌われるように仕向けたのも全部提督の計算通りだったわけですね…」
暁「…そんな…」
瑞鶴「…こんなに私たちのことを考えていてくれたのに…。私ったら今までなにしてたんだろう…」
雷「…冷静になれば気づきそうなことだったのに…。たしかに今の提督になってからみんな仲良くなったし、怪我する子も断然少なくなったし…」
赤城「艦娘を慰み者にしているという話も…。そういえば提督にそのようなことをされたと話す艦娘は誰1人いませんでしたね…」
瑞鶴「それどころか下着姿で突撃してくる不知火を服着せていつも追い返してたみたいよ…」
電「…あれ?そういえば不知火ちゃんは?」
不知火「ここです」ぬいっ
青葉「!?ビックリしました、静かだったから存在忘れてましたよ…」
不知火「面白いものを見つけたので…」
雷「なにそれ…アルバム?」
不知火「クローゼットの奥にありました。…私たちのいろんな写真や、孤児院での集合写真が写されてます」
電「この真ん中で紙袋被ってピースしてる人…まさか司令官なのですか!?」
不知火「そうですよ、あの人はいつも私たちにたくさんのプレゼントを配り、そして遊んでくれました」
赤城「そんなことも…してたんですか…」
青葉「…さて、皆さん、分かりましたか?…私たちの司令官は、クソ野郎じゃなかったことに…」
電「はい…なのです…」
暁「そうみたいね…」
雷「まだ信じられないけど…」
響「ハラショー」
赤城「本当に私たちのことを考えてくださっていたのですね…」
加賀「瑞鶴が信じるなら私も信じるわ」
瑞鶴「…まだお礼も言えてないのに…」
比叡「でも確かに納得しました…。提督妖精さんを誰も実際にみたことがなかったのもこれで説明できますね…」
霧島「私たちの仲を考えて、わざと嫌われ役をえんじていたんですね…」
不知火「司令…」
金剛「…」
比叡「…お姉さま?」
金剛「…いくらあいつがいい人だったとしても、榛名が沈んだのはあいつのせいデス…。私は決して許すことはできないデス…。それにあいつは、榛名のことなんてすぐに忘れて…!!」
青葉「忘れていませんよ…」
金剛「what?」
青葉「司令官は榛名さんのことを忘れていません。…だってほら…」
電「…あっ…。榛名さんの写真…」
青葉「司令官の机の中にありました…。おそらく、司令官は毎日これをみていたことでしょう…。毎日記入してる日誌も一緒に入っているのですから…」
金剛「そ…それでも…!!」
青葉「それにみて下さい…。榛名さんが沈んだこの日の日誌を…」
金剛「…」
『バツ月あるある日
今日、榛名が…
沈んでません。
…いや我ながら何書いてんだろ、俺。
落ち着いて整理しよう。
榛名は前提督のことを愛していた。たぶん誰よりも。
そして辞任して終われた前提督を追うことにした。
しかし一度艦娘になった者は生涯戦うことを宿命づけられ、艦娘をやめて恋人を追いかけることなんて普通は出来ない。
…だから俺は榛名と相談し、榛名が沈んだことにした。
榛名の記録を抹消し、これで名実ともに自由になった榛名は艦娘であるということを隠しながら前提督のいる村へ旅立った。
きっと今頃は感動の再会を果たしていることだろう。
…だが困るのは私だ。
これバレたらマジでやばい。
さすがにあの憲兵さんも見逃してくれないだろう。
もちろんこの事実は艦娘達にも伝えるわけには行かないし…どうすればいいのか…
榛名が見つからないと騒ぎ私を問い詰めてくる金剛に、私は思わずとっさに、榛名を単艦出撃させて沈めたと嘘をついてしまった…
あの時の金剛の表情を忘れられない。
ひどいことをしてしまった…
姉の彼女になら本当のことを打ち明けても良かったのに…
あの絶望に絶望を上塗りしたような金剛の顔を私は生涯忘れることができないだろう…
だがこの一件で私も決心がついた。
泣く艦娘や怒り絶望する艦娘達に、毎度その度に思わず優しくしてあげそうになってしまっていたが、やはりそうは行かない。
私はクソ提督だ。
私はクソ提督になることを本気で決意した。
皆に嫌われても構わない。
皆が幸せになるために。
追記
長門 要注意。
駆逐艦と近づけ過ぎたか…?
島風のパンツを咥えて廊下を走る姿を見たのはきっと私のストレスからくる幻覚と信じたい』
金剛「…そんな…じゃあ…榛名は…生きて…」
青葉「みたいですねぇ…」
比叡「ええぇ…」
霧島「ちょっと説教が必要ですね…榛名にも…あの男にも…」
暁「長門…そんなことまで…」
電「この程度まだまだ序の口なのです。…この前は電のパンツをしゃぶしゃぶにされたのです」
響「」
動画視聴後…(ワイワイガヤガヤ…
川内「はぁ…やれやれ…。ほんとに、いい人だったんだね…すっかり騙されてたよ…」
明石「皆さんさすがに驚いていましたね…。泣き出す子もちらほら…」
川内「そりゃそうさ…。あんなに私たちのことだけを考えて全てをなげうってくれていたあの人に、私たちは罵声と怒声しか浴びせてないんだもの…」
川内「いっそ何も知らないまま別れた方が…。私たちは幸せだったかもしれないって思うくらいね…」
明石「川内さん…」
龍驤「うち最低や…。よう考えればこんなこと気づいて当然やったんに…。いやそんな気はしてたねんで…?どうもあの男の発言や行動は嘘くさいなと…」
川内「…言われてみれば…だよ。だって誰もあいつに直接暴力を振るわれた者もいないし、慰み者にだってされたやつも話は聞いても実際に見たことはない…。無理な作戦をやらられ続けたやつだって実はいないし、怪我人だってほとんどいない」
龍驤「あの男が提督になってから私らはなかようなったし、沈むやつもおらんくなった…」
川内「ほんっと…どうして気づかなかったんだろう…。もう少し早く気づいていれば…。お礼だって言えたのに…」
明石「まだ遅くありませんよ…。きっと提督は向こうで調査を受けたら、一度荷物をまとめるためにここへ戻ってきます。その時に、精一杯のお礼と、出迎えと。そして…」
明石「提督に提督を続けて欲しいとお願いしましょう」
大本営
総督「…」
提督「…」
総督「…すまない…」
提督「…いえ、誰かがやらなくてはならないんです。喜んでやりましょう」
総督「…君の残した彼女達の人生は私が保障しよう…」
提督「そして、全国の孤児の少女達へのサポートも…」
総督「無論だ…」
提督「あとこれを…」つ紙と封筒
総督「?なんだこれは…?」
提督「…みんなが楽しみにしてるクリスマスのプレゼントの予約リストです…。封筒の方にはその分のお金を…。それを私の後任の提督に渡して、そして、クリスマスの夜にこっそり配るように伝えてください…」
総督「……ッお前ってやつは…」
提督「あと1週間ほど時間をください。…それまでに完成させたいものがありまして…」
総督「…何をだ?」
提督「いえ…。うちの川内が頼んだクリスマスプレゼントが、手編みのマフラーだったもので…。今一生懸命、手で編んでるんですよ…。1週間あれば完成できますので、そしたらそれを後任の提督に渡してください…」
総督「ッ……」
提督「…では…」
憲兵「調査は終わりましたか?」扉バタン
総督「あぁ…。…ッあの男を、艦娘への暴行暴言資金の横領に加えて…」
総督「全国の身寄りのない様々な少女を、人権を無視し、無理やり艦娘にさせた罪で起訴してくれ…」
裁判長「判決を言い渡します」
提督「…」
裁判長「死刑」
提督「…」
那珂「ッおいコラクソ総督!!!?」つ胸ぐら掴み
総督「ッ…手を離しなさい!!那珂!!!」
憲兵「ッ!!!」スチャッ!
総督「ッよせ!!…手をあげるな…」
那珂「…」ギリギリ…
総督「…お前がそこまで怒っているのは初めて見たよ…」
那珂「…これはどういうこと…!!?なぜあの提督がこのような罪で囚われているの!!??」
総督「…これが私とあいつの約束だ…」
那珂「ッふざけないでよ!!あの人を失うということがどういうことか本当に理解してるの!!??」
総督「…」
那珂「今までの戦績…全部見させて貰った。…驚いたよ…。正直言ってそこまで強くないあの弱小艦隊で、自分達よりはるかに格上の海域を戦術一つで安全に開放しているんだもの…。あの提督は間違いなく、今この日本のトップクラスの頭脳を持ってる提督だよ…!!」
那珂「そんな貴重な人材を失ってまで、あなたは海軍の罪を、自分の罪を、帳消しにしたいの!!??」
那珂「何もしてないあの提督に全てを押し付けて!!!!」
総督「…あぁそうだよ」
那珂「ッ!?」
総督「…最初から言っているだろう。私は善人ではない。悪人だと。…それにこれはあいつ自身が提案したことだ。…わたしが望み提案したわけではない。…あいつの考えだ…」
那珂「ッそんな!?」
総督「……下がりなさい、那珂。今ならわたしへの暴行は不問に処そう…」
那珂「ッー!!」扉バン
総督「…」
牢屋
那珂「提督…」
提督「…ん?…おぉ、那珂か。こんな薄汚いところまでわざわざ…どうかしたか?」
那珂「」つ鍵
提督「…」
那珂「私があなたをここから逃がします。…私の指示に従って逃げてください」
提督「くく…。那珂心配するな。逃げる必要はない」
那珂「…どうして…ですか?」
提督「裁判長のあれも全て演技だ。私は裏門から運び出される予定になってる。…安心しろ」
那珂「ッええ!??」
提督「だいたい、そんな鍵を持ってこんなところにいたら、次ここに入れられるのは君になってしまうぞ。早く下がるんだ」
那珂「ッー。本当ですよね!?嘘じゃないんですよね!?」
提督「とうぜん。…ッ。ほら足音が聞こえてきた。警備が来る。さぁはやく行け」
那珂「」ダッシュ
提督「…ふぅ…」
提督(悪いな那珂…)
提督(おれは嘘つきのクソ提督なんだ…)
善提督「さ…五月雨!この書類をお願いできるかい?」
五月雨「…」ポケー
善提督「五月雨…?」
五月雨「ッは…はい!わかりました!」
天龍「…遠征艦隊帰還したぞ…」
善提督「!…ありがとう天龍!…みんな怪我はないかい?」
天龍「…あぁ…じゃあ…」フラフラ
善提督「…」
この鎮守府に着任してはや数ヶ月。
未だ艦娘達は皆どこか上の空で、私を頼ってくれる様子はない。
善提督「訓練は順調かい?」
赤城「…ダメです…。どうしてでしょうか…?むかしは何も考えなくてもマトの真ん中を射抜くことなんて造作もなかったのに…」
瑞鶴「…」
加賀「どんなに訓練しても…当たる気がしません…」
善提督「…」
前提督は完璧だった。
完璧にクソ提督を演じきり、そして、海軍のすべての罪をその身ひとつに押し付けられこの世を去った。
ただひとつ最後にミスをしてしまったのは…。
彼女達が、最後の最後で、クソ提督がクソ提督ではなかったことに気づいてしまったことだ…。
善提督「島風…」
島風「…うん?」
善提督「…まだここにいるのか?」
飾り付けられた食堂。
あの日。
1週間ほどかけて鎮守府中を飾り付け、前提督を笑顔で迎え入れ、今までの感謝をみんなで伝えるつもりだった艦娘達に伝えられたのは。
前提督の死刑が執行されたことであった。
島風「だって…あの人が帰ってきた時、誰かがここにいないと寂しいでしょ?」
善提督「ッ…」
艦娘達は徐々に壊れていった。
前提督の残した日記が出回れば出回るほど。
クリスマスのプレゼントの真相に気づいてしまえばしまうほど…。
彼がどのような思いを彼女達に抱き、どのような覚悟と気持ちで彼女達の前に立っていたかを知れば知るほど…。
何も感謝も伝えられてないどころか、怒りの感情しか向けてこなかった自分たちを攻めた。
時雨「夕立、そっちの飾り付けは終わったかい?」
夕立「終わったっぽい」
善提督「…」
時雨「まだ倉庫の飾り付けが終わってないよ…提督が帰ってくる前に早く飾り付けないと…さぁ行こう」フラフラ
夕立「…ぽい…」フラフラ
善提督「…はぁ…。どうしたものかなぁ…」
当然そんな心理状態の彼女達に無茶なんてさせられず、今は簡単な遠征程度しかこの鎮守府はできていない。
川内「…本当にクソ提督だよ…。自分だけ満足して…日本中の人から指を刺されて、悪魔と糾弾されてこの世を去るなんて…」
川内「あなたのせいでみんな壊れちゃったよ…。…青葉なんて何も知らない他の鎮守府の提督があなたをバカにした時、思わずそいつを殴って謹慎処分をくらったんだよ…」
川内「提督…もう1度会いたいよ…。あってお礼が言いたいよ…。…日誌を読んだよ…。私はあなたを嫌っていたけど…あなたは私をあんなに愛してくれていた…」
川内「このマフラーだって…!!去年のクナイだって…!!…私はまだ何もお礼が言えてないのに…!!貰ってばかりだったのに…!!」
川内「……提督……」
墓「…」
川内「…ッもう一度…会いたいよぉ…」ポロポロ…
長門「…」
陸奥「…最近おとなしいわね…」
長門「…当然だ。みんなの心が折れそうな今、私たちビッグセブンが背を伸ばし激励せずしてどうするか!…私たちまで折れてしまっては、本当に、みんな…壊れてしまうではないか…」
陸奥「…その様子だと、あなたも知っていたのね。…あの人がクソ提督ではなかったことを…」
長門「仮にもビッグセブンだぞ?…あんな下手くそな演技…すぐに見抜いていたし、だからこそ、奴にも陰ながら協力していた。…艦娘の仲が良くなるようにな…」
長門「駆逐艦達は私というさらなる敵を得ることでさらに団結し、あっという間に仲良くなった。…まぁ提督が気づいていたかは分からないがな…」
陸奥「…あれはあなたの趣味じゃなかったのね」
長門「当然だ」
陸奥「深い考えの上での行動だったのね」
長門「その通りだ」
陸奥「じゃああなたが今履いている、明らかにサイズの小さいいちごパンツは一体なんなの?」
長門「だから誤解だ陸奥。…決して最初こそ本気でみんなの敵になろうとしたけど、だんだんそれが癖になってきたとかそんなわけではなくてな!?」
陸奥「早く持ち主のとこに返してきなさい。じゃないと部屋の中に入れないから」廊下に蹴り出す
長門「あぁああ!?陸奥うう!!せめてズボンを履かせてくれ!!このまま私に駆逐艦の前でこのパンツを脱ぎ、脱ぎたてパンツを下半身全裸で渡せというのか!!??それはそれで興奮するな!!!」
陸奥「もう知らないから勝手にして」
長門「むちゅううううううう!!??」
陸奥「…なんていって…本当はそのいちごパンツは誰のものでもない、自分で用意したヤツなんでしょ?」
長門「ッ!」
陸奥「…私は大丈夫だから。…まったくあなたに気を使われて元気づけられるなんて…私もまだまだね…」
長門「む…陸奥…」
陸奥「あなたの行動なんてお見通しよ。ふふ…」
長門「いや…これ如月のパンツ…」
陸奥「はよ死ね」46センチ三連装砲
前提督「榛名?おーい榛名!」
榛名「はーい!」
前提督「お前宛に手紙がきてるぞ…金剛だ」
榛名「お姉さま、そんな心配して下さらなくても榛名は大丈夫なのに…」
最初にお姉さまから手紙がきた時は本当に驚いた。
そこには今まで私がなんの連絡もして来なかった怒りの言葉とともに、生きててくれてよかったと何度も綴られた涙まみれのクシャクシャの手紙が入っていた。
それから私たちは定期的にこうして文通を行なっている。
榛名「…」
前提督「なんて書いてある?」
榛名「いつもの私の心配と…。他の艦娘の子達のことが…」
前提督「どうだって…?」
榛名「みんな悩み後悔してると…。どれだけお礼を言いたくても、どれだけ謝りたくても、もうあの人には会えないんですもの…」
榛名「…そういえば私も…。あのひとに直接お礼を言えていませんでした…」
前提督「榛名…」
孤児院
不知火「はい、みなさん並んで下さい、順番にお菓子を渡しますので」
孤児達『わーい!!』
園長「いつもすみません、不知火さん…」
不知火「いえいいんです。…不知火はあの人の行なってきたことをそのまましてるだけですから…」
孤児「ねぇおねぇちゃん?…いつも来てくれてた紙袋のおじさんは今日も来ないの?」
不知火「すみません、あの人は仕事が忙しいみたいで…」
孤児「…そっかー…残念…」
不知火「…」司令…
不知火「はい、みなさん並んで下さい、順番にお菓子を渡しますので」
孤児達『わーい!!』
園長「いつもすみません、不知火さん…」
不知火「いえいいんです。…不知火はあの人の行なってきたことをそのまましてるだけですから…」
孤児「ねぇおねぇちゃん?…いつも来てくれてた紙袋のおじさんは今日も来ないの?」
不知火「すみません、あの人は仕事が忙しいみたいで…」
孤児「…そっかー…残念…」
不知火「…」司令…
鎮守府 門前
龍驤「おわっ!?曙!!…おま、一昨日ぐらいから見かけへんなと思ったら…こんなところにおったんか…!?」
曙「…」体育座り
龍驤「髪も濡れとるやないか!?…まさか昨日の夜の雨の中、一晩中ここにおったんか!??」
曙「…」
龍驤「…アホウ!風邪引くで!…ご飯もどうしてるんや…曙、いったん中に入ろ?…な?」
曙「…」首横振り
龍驤「…そんな風に待っとっても…あいつは帰ってこおへん…。どうしても帰ってこれないほど遠くに行ってしまったんやから…」
曙「…」
龍驤「曙…」
曙「…夢を見たのよ…」
龍驤「…!」
曙「あの男が帰ってきてくれる夢を。…一昨日の夜に」
曙「…たぶん、もうそろそろよ。もうそろそろ、あの人は帰ってきてくれる」
曙「だから私はここにいる」
龍驤「…ッ曙…」
善提督「…報告は以上です…」つ電話
総督『…やはりそうなってしまったか…』
善提督「…はい…。私も最善を尽くしているつもりですが…艦娘達の士気は地に落ち、集中力の欠如から来る負傷者も増え続けています…」
総督『…そうか…』
善提督「クリスマスプレゼントの件についても、何人か真相に気づいてしまった艦娘からあっという間に鎮守府全体に知れ渡り…。川内などに至っては、あの日からずっと夜は泣き腫らしています…」
総督『…』
善提督「…総督…。どうなさいますか…?正直、私1人の手には余る状態です…」
総督『…』
善提督「艦娘たちは悔いています…。何も伝えられなかった自分たちを…」
総督『…ならあの男に会わせてやれば良い。会わせて、礼を艦娘たちに言わせてやればよいのだ』
善提督「…え?」
総督『やつはクソ提督と呼ばれているが、私はちまたではクソ総督と呼ばれていてね。…あいにく、嘘をつくのは得意なんだ』
夜…自室
五月雨「…」
青いケータイを握る。
目の前の机に置いてあるのは黒いケータイ。
どちらも私の宝物だ。
五月雨「…」
わかってる。あの人は私たちが悲しむことなんて望んでいない。きっと私たちの武功をずっと願ってる。
五月雨「…」
青いケータイを開くと、そこには私と提督のツーショット。
画面の中の彼はいつもと変わらぬ笑顔を私に向けて来ている。
五月雨「…みんな悲しんでます…」
語りかける。
今晩も。
そっと静かに。
五月雨「あなたの死を。あなたがいなくなったことを。…みんな後悔してます。…自分の行いを、あなたに向けた鋭利な感情を…」
五月雨「…本当に私以上のドジっ子ですよ…。誰にも気づかれなければ、私たちは傷つくこともなく、きっと平気な顔して今を生きているのに」
五月雨「あなたが優しかったことを…あなたが私たちに向けてくれていた暖かい感情を、みんな知れば知るほど、傷つくんです。…えぇ。だからあなたはみんなが気づかないよう気を配っていたのですね…。最初から死ぬつもりで、もし気づかれたら私達がこうなることが分かっていたから…」
五月雨「…」
青いケータイを握る。
目の前の机に置いてあるのは黒いケータイ。
どちらも私の宝物だ。
五月雨「…」
わかってる。あの人は私たちが悲しむことなんて望んでいない。きっと私たちの武功をずっと願ってる。
五月雨「…」
青いケータイを開くと、そこには私と提督のツーショット。
画面の中の彼はいつもと変わらぬ笑顔を私に向けて来ている。
五月雨「…みんな悲しんでます…」
語りかける。
今晩も。
そっと静かに。
五月雨「あなたの死を。あなたがいなくなったことを。…みんな後悔してます。…自分の行いを、あなたに向けた鋭利な感情を…」
五月雨「…本当に私以上のドジっ子ですよ…。誰にも気づかれなければ、私たちは傷つくこともなく、きっと平気な顔して今を生きているのに」
五月雨「あなたが優しかったことを…あなたが私たちに向けてくれていた暖かい感情を、みんな知れば知るほど、傷つくんです。…えぇ。だからあなたはみんなが気づかないよう気を配っていたのですね…。最初から死ぬつもりで、もし気づかれたら私達がこうなることが分かっていたから…」
五月雨「不知火さんは提督の仕事を引き継いで孤児院によく行っています…。…孤児院の孤児達はまだあなたが亡くなったことを知らないみたいです」
五月雨「瑞鶴さんや加賀さんはスランプです。弓を射っても、全く今までのように当たらないと…」
五月雨「天龍さんや青葉さん、明石さんは毎日後悔してます…。あともう一日早く、あの日先延ばしにせずに、お礼を言えていたら…と…」
五月雨「川内さんは自分であなたのお墓を建てて、毎日そこへ通ってます。…あなたの日誌に全て目を通してから…」
五月雨「長門さんはとうとう逮捕されました」
五月雨「…そんな皆さんよりも…。私は誰よりもあなたのそばにいて…誰よりも先にあなたのことに気づき、誰よりもあなたにお礼を言える機会に恵まれていたのに…」
五月雨「結局私はきちんと伝えられてませんでした…」
五月雨「お礼も感謝も…この気持ちも…」
五月雨「今の提督もいいひとですが、あの人のために働きたいとは思えません…いやちょっと違いますね…。あなた以外の人と働きたいとは思えないんです…」
五月雨「…提督…。もういちど」
五月雨「もう1度だけ、あなたに会いたいです…」ボロボロ…
五月雨「!!??」
提督以外の連絡先は一切入っていない青いケータイ。
提督以外、『誰も他に電話番号を知らない』、私の青いケータイ。
私は震える手でケータイを取り、画面を見る。
見たことのない番号。
そっと通話ボタンを押し、耳に当てる。
期待と不安に膨れ上がる胸。
五月雨「…もしもし…」
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