私的良スレ書庫
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元スレ魔王「お前、実は弱いだろ?」勇者「……」
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今夜の投稿はここまでです。ここまで読んでくださってどうもありがとうございます。
# 山へ向かう道
数学者「しかし、魔物が全く現れませんね」
僧侶「勇者の手に掛かった魔物はもう人を襲ったりしなくなるみたいですよ」
勇者「はは。お蔭で戦闘はからっきしの駄目勇者なんですけどね」
数学者「それはどうでしょうか。
古い言葉に『戦わずして人の兵を屈するは善の善なる者なり』とあります。
百戦百勝が必ずしも優れているというわけではありません。
真に優れているのは戦わずして勝つ者の方でしょう。
つまり、優れた勇者が戦闘に長けている必要はないと思うんです」
勇者「確かに数学者さんの言うことも尤もですね」
勇者(戦闘に長けている必要がないとはいえ、体力が皆無というのはさすがに……)
僧侶「ほら、勇者。難しいこと考えてないで行こうよ!」
勇者「うん、そうだね」
魔猿「ユーキャ! ユーキャ!」
# 静謐の森
勇者「ええっと、賢者の庵は確かこっちの方だったよね」
魔猿「キキキ!」
…………
数学者「ほう、これが賢者の庵ですか。話には聞いていましたが実際に見てみるとこれはまた……」
僧侶「あ、いたわね。小生意気なドア!」
ドア「ご用件をどうぞ。賢者様はとてもお忙しくしていらっしゃるのです」
勇者「賢者さんに会いに来ました。学園都市の学長の推薦状もあります」
ドア「承知致しました。こちら拝借致します」
勇者の手にあった推薦状がはたと消えた。
僧侶「これは、転送魔法ね……」
ドア「御意にござります。賢者様のもとへお送りしました。今しばらくお待ちくださいませ」
僧侶「ふーん……それにしても、よくこんな人気のないところにずっといられるわね。
私だったら暇すぎて死んじゃいそう」
ドア「私は来客に応対するよう創られているだけですので、不満などございません。
尤も、魔法を使いこなせない聖職者には理解できないことかもしれませんが」
僧侶「ちょっと、何なのよ! 小生意気を通り越して思いっきり悪口言ってるじゃない!」
ドア「おや、賢者様から許可が下りたようです。突き当りの研究室にいらっしゃるのでこのままお進みください」
僧侶「うう……」
勇者「僧侶、行こうよ。
僧侶が今までどれだけ努力してきたのかも、僧侶の魔法が立派だっていうことも僕は知ってるから」
僧侶「うん……ありがとう」
魔猿「オーキョ! オーキョ!」
# 研究室
勇者「失礼します」
賢者「お入りな。お前が勇者だね。
あの人の若い頃と瓜二つじゃのう。こちらのお嬢さんもどこかで会ったかのう」
僧侶「え……? 私たちここへ来たのは初めてですよ」
賢者「いかんいかん、すっかり耄碌してしまったようじゃな」
勇者「あの……あの人というのはどなたのことでしょうか?」
賢者「お前の祖父じゃよ。あの人に結界の魔法を教えたのはわしじゃてな」
勇者「賢者さんが魔法を伝授したというのは祖父だったんですね!」
賢者「当時わしらは力を増大させていた魔王を倒すに能わず、
お前の祖父がその持てる全ての魔力を以ってどうにか封印したのじゃ」
勇者「でも十年前に封印は解かれていますよね」
賢者「封印と言っても所詮は仮初めの手段に過ぎないのじゃ。
五十年以上持っただけでもあるいは喜ばなければならないのかもしれぬ。
畢竟、魔王を打つしか我々が生きる術はないのじゃよ」
勇者「魔王についてもっとを教えてもらえませんか」
賢者「ふむ。敵を知るにはまず己について知らねばならぬ」
僧侶(己について……)
数学者「勇者君、確かにその通りですよ。
君の特殊な能力しかり、我々にはわからないことが多すぎると思うんです」
賢者「女神の加護じゃな。どれ」
賢者は勇者の額にその皺ばんだ手を当てた。
賢者「むむ、なかなか複雑な力じゃな……」
僧侶「そ、それでわかるんですか?」
賢者「女神の加護も一種の魔力からなるのじゃよ。
多少経験のある者ならばこうして探ることができるのじゃ」
勇者「それで、僕にはどんな加護が……?」
賢者「ふむ……実際に目にするのは初めてじゃが、これはエレンコスじゃな」
勇者「エレンコス?」
賢者「さよう。加護を受けてから不可解なことがあったはずじゃ」
勇者「ええ。どんな魔物や人間でも僕の話だけは聞いてくれるみたいなんです。
それで今までは極力戦闘を避けてこられました」
賢者「知性ある者はいついかなる時であろうとお前の話を聞くというのがエレンコスじゃ。
そして、説き伏せられた者はそれを正しいと信じることになる」
勇者「ただ説得するっていう力だと思ってました」
賢者「しかし賢い者を相手にする場合ほど苦戦することになるじゃろうて」
勇者「ところで……女神の加護には副作用のようなものもあるんでしょうか?」
賢者「ふむ……お前も気付いているようじゃな。
だが、なぜお前の体力がこんなことになっているのか、わしにもわからんのじゃよ。他に例を見ないことじゃて」
勇者「なぜ女神様はこのようなことを……」
賢者「勇者よ、自惚れるでない。加護を受けた以上は、それがお前に必要だということじゃ」
勇者「本当にこれで世界を平和にできるんでしょうか……」
賢者「お前の祖父はそんな泣き言など並べなかったぞい。
自分に魔王を打つほどの力がないと悟った後であっても、封印の為にここで厳しい修練を積んだ人じゃて」
勇者「はい、すみません……。
でも、僕は必ずやってみせます! そう約束した人たちがいるんです」
賢者「ふむ。一度した約束は守らなくてはならぬ」
賢者「魔王は実体を持たぬ存在じゃ。その真の姿を捕らえるには太陽の雫が必要だと言われておる」
僧侶「なんなんですか、それは?」
賢者「まばゆい光を放つ水じゃよ。
この森を抜けて山の方へ向かうと麓に太古の遺跡がある。
遺跡のどこかに、太陽の雫がしたたり落ちる鍾乳石があるはずじゃ。
この聖杯に一杯もあればなんとかなるじゃろう。
聖杯はお前にやるから、雫を手にしたら再びここへ来ると良かろう」
勇者「わかりました! どうもありがとうございます。
早速出発しよう!」
数学者「一旦学園都市へ戻りませんか? 馬車を用意しようと思います」
僧侶「ふふ。私も馬車の方が良いなあ」
勇者「そうですね。そうしましょう!」
魔猿「ユーキャ! ユーキャ!」
賢者「それから、一つ忠告じゃ」
勇者「はい、何でしょう」
賢者「その魔猿の子供じゃが、もしそやつが人間の言葉を覚え始めたらすぐに殺すのじゃぞ」
勇者「……え?」
僧侶「どういうことですか! こんなに人にも懐いてるって言うのに……」
魔猿「ユーキャ?」
賢者「なまじ人間に懐いてしまった魔物が知性を持つと、魔物にも人間にもなり切れず精神が不安定になりやすいのじゃ。
故に自然に還ることも叶わず、魔力による精神干渉も受けやすくなる。
このまま言語を解するようになれば間違いなくいつかお前たちに牙をむくことになるじゃろう。
その時はお前たちの手でそやつを殺してやることこそが最善じゃろうて」
僧侶「そんな……」
僧侶はすでに涙ぐんでいる。
勇者「はい。その時までにしっかり考えておきます……。
では、失礼しました」
# 山へ向かう道
僧侶「勇者……魔猿ちゃんは大丈夫よね?」
勇者「僕にはどうしたら良いかわからないよ……」
数学者「勇者君。もう自然にも還れないとなるとこの子は私たちが責任を持って育てなくてはならないと思います。
この先、最悪の事態にならないよう善処しましょう」
僧侶「大丈夫。大丈夫よ」
僧侶は魔猿を抱きかかえ頭を撫でている。
魔猿「オーキョ?」
# 学園都市
数学者「ここから遺跡までは結構あるようですね。私の方で馬車の手配はしておきます。
明日の朝出発ということでいかがでしょう?」
勇者「ありがとうございます。僧侶は明日の朝で大丈夫?」
僧侶「朝が苦手な勇者が大丈夫なら、私に聞くまでもないと思いますけど?」
勇者「はは、こればっかりは否定できないや。
それでは数学者さん、また明日」
# 宿屋
勇者「僧侶、まだ魔猿のことを考えてるのかい?」
僧侶「うん……賢者が言ってたことがどうしても気になっちゃって」
勇者「元気出して。まだ魔猿がどうかなっちゃうって決まったわけじゃないしさ」
僧侶「そうよね……。
ねえ、答えたくなかったら別に無視してくれても良いんだけど……」
勇者「何?」
僧侶「もし明日で世界が終るとしたら、勇者はどうやって過ごす?」
勇者「はは、心理テストか何かかな?
そうだなあ。
なんだかんだ言っても僕はやっぱりこの世界が好きだから、いつもと同じように過ごすんじゃないかな。
いつも通り起きて働いて寝て、それでお終い。
それがどうかしたの?」
僧侶「ううん、良いのよ。私、今日はちょっと疲れちゃったみたいだから先に寝るね」
勇者「うん。おやすみ」
僧侶「おやすみ」
# 翌朝
数学者「遺跡までは馬車で四日ほど掛かりそうですね。大体の用意はこちらでできていますよ」
勇者「すっかり任せっきりですみません。では行きましょう!」
僧侶「ふふふ。馬車って初めて!」
魔猿「ウキ!」
数学者「私が馭者をしますから、君たちは後ろで休んでいて構いませんよ」
勇者「いえ、そうはいきません。僕にも馬の扱い方を教えてもらえませんか?」
数学者「わかりました。と言っても覚えることはそれほど多くありませんがね。
では、出発です!」
…………
…………
勇者が道々馬車の止め方や曲がり方を教わっている一方で、僧侶は魔猿を抱いて寝息を立てていた。
勇者「手綱を握るのにも結構力が要るんですね」
数学者「ええ、慣れてしまえばどうと言うことはありません。
もう少し肩の力を抜いてみると良いですよ」
丘を登ったところで視界が一気に開けた。
数学者「海が見えてきましたね」
勇者「海を見ていると何だか神秘的な気持ちになるんですよね」
数学者「それは、生命は海から生まれたと言われていますから、何か惹きつけられるものがあるのかもしれませんね。
学問もまた海から生まれたとも言われているんですよ」
勇者「数学者さんはどうして数学を研究しているんですか?」
数学者「ただ好きだから、ですかね。
数学というと無機質なものだと思う人も多くいるみたいですが、その実結構人間臭いところもあるんです。
好きという気持ちがなければ、
私のような凡夫がこのように生涯を一つ事に捧げるようなことなどできなかったでしょう。
その点、生まれながらにして生を宿命付けられている君は、本当に強い人です」
勇者「いえ、僕は強いどころか女神の加護によって体力を失ってしまった弱い人間です。
そんな僕が『勇者』を自称するなんて恥ずかしいですよね」
数学者「『勇者』とは勇気ある者のことを言うのではありませんか?」
勇者「はい、確かにそうなのでしょうけど……」
数学者「勇気とはどのようなものなのでしょうね」
勇者「そうですね……。
危険を前にしても果敢に立ち向かい逃げようとしないこと、なんてどうですか?」
数学者「では、蟻がたった一匹で象に戦いを挑んだとして、この蟻は勇気があると言えますかね。
私にはただ向こう見ずなだけに思えます。勇気と蛮勇とは別物なのではありませんか」
勇者「数学者さんは勇気についてどう考えてるんですか?」
数学者「そうですね。こういうのはどうでしょう。
『勇気ある人とは、どのような快楽や苦痛、欲望や恐怖のうちにあっても
本当に恐れるべきものとそうでないものとを見分けられる人のことである』」
勇者「恐れるべきもの……?」
数学者「私たちはこの先様々な窮地に立たされるかもしれません。
時には苦渋に満ちた決断を迫られるかもしれず、
また時には刹那の快楽に溺れそうになることもあるかもしれません。
しかしその時々で常に本分を見失うことなく正義を貫くことのできる人物こそ、
勇気ある者――『勇者』なのではありませんか。
私の知る限り、君は正真正銘の『勇者』です。
そして勇気ある者はまた強い人なのです」
勇者「……僕は何だか自分がわからなくなってしまいそうです」
数学者「ははは。さあ、堅い話はこのくらいにして、僧侶さんを起こして食事にしませんか?」
# 食後
僧侶「おなかいっぱいになったらまた眠くなってきちゃった。
あれ? 数学者さんもお休みですか?」
数学者「はい。勇者君に、もう一人で大丈夫だからしばらく休むようにと言われましてね」
僧侶「そうだったんですね。では私はこれからもうひと眠り……」
…………
…………
数学者は本を読んでいた。
僧侶「うーん、よく寝た!」
僧侶は大きく伸びをした。
数学者「おはようございます。あまり寝すぎると夜中に寝られなくなりますよ」
僧侶「その点は問題ありません! 私の特技はいつでもどこでも眠れることですから!」
数学者「ははは、それは羨ましい。私は寝たくてもなかなか寝付けないことが多いもので」
僧侶「ふふふ。
数学者さんは何の本を読んでたんですか?」
数学者「ああ、これですか。これはある民俗学者が世界各地から集めた民話や説話を編纂したものですよ。
森で迷子になったところをエルフに助けられた子供の話や湖に現れたドラゴンの話などがあって、
大へん面白く感じますね」
僧侶「私もそういう言い伝えとかって興味あるんですよ!
ちょっと見せてもらっても良いですか?」
数学者「ええ、どうぞ」
僧侶「ありがとうございます!
うーんと……不老の男?」
数学者「それはちょうど今私が読んでいたところですね」
僧侶「じゃあ一緒に読んでみましょ!」
――不老の男――
丘の上にあるこの村は、家の数にして十軒ばかりの小さな村である。
ここ数十年、村の者の間で度々不思議な男を目にしたの噂が立つ。
この男、いつ見掛けようとその姿常に十七、八の青年に見えるという。
そこで村の者は男を神の使いと思いなして訪問の度に歓待することとなった。
ある夏、年の頃なら男と同じと見える若い娘を連れてやってきた。
この二人、何かを探しに来たようであったが、結局見付からなかったと見えてそうそうに村を去っていったそうだ。
そしてそれ以来男ははたと姿を見せなくなったという。
数学者「説話ですから、なかなか物語のような話の落ちはありませんがいかがでしたかな」
僧侶「数学者さん、この本っていつ出版されたんですか?」
数学者「初版は十年ほど前のようですね」
僧侶「そうですか……」
数学者「どうかされましたか?」
僧侶「いえ、とっても面白いなって思って!」
僧侶(まさか、こんなことって……)
# 数日後
僧侶「馬車の扱いもだいぶ板に付いてきたみたいね!」
勇者「はは。体力こそないけど小さい頃から剣術の稽古を受けてたからね。腕力だけはあるんだ」
数学者「しかし、それにしても大したものですよ。
どうです。この旅が終わった折には私と牧場の経営でもしてみませんか?」
僧侶「勇者だけなんてずるいですよお! 私も私も!」
魔猿「ウーウ! ウキ!」
勇者「え? え? 経営だなんて、そんな、僕にはとても……」
数学者「ははははは。冗談ですよ。勇者君にもやりたいことがあるでしょうからね」
勇者「はは。数学者さんってば、すごく真面目な顔して言うものですから……」
勇者(やりたいことか……)
僧侶「あら! 何か見えてきたわよ!」
僧侶の視線の先には、朽ちかけた石柱や草に埋もれた石畳の残る道があった。
# 太古の遺跡
数学者「これは大理石ですね。
これがこの辺りから切り出されたのだとすれば、確かに鍾乳洞が近くにありそうですよ」
数学者は石柱を軽く叩きながら言った。
僧侶「うーん、でも洞窟なんてどこにもなさそうだけど」
勇者「少し遺跡を調べてみよう!」
魔猿「ユーキャ!」
…………
…………
僧侶「ねえ、この石の道ってよくみると丸とか四角の模様になってない?」
数学者「そうですね。このモザイク模様……この遺跡はどれくらい昔に作られたんでしょうかね」
勇者「ここは街の中心だったんでしょうか」
数学者「もしそうだとすると、この意匠の凝らされた石畳はいささか不自然かと……」
勇者「あれ? あそこの柱だけ他のよりも太くありませんか?」
数学者「行ってみましょう!」
…………
やや高くなったところにそれはあった。
僧侶「この柱にはうねうねした絵みたいのが描いてあるわね」
数学者「これは……線文字ですね」
勇者「何ですか、それは?」
数学者「四千年ほど前に使われていた文字ですよ」
僧侶「数学者さん、まさか読めたりするんですか!」
数学者「いえ、少し見たことがあるというだけですので、私にはとても……」
僧侶「そうですかあ。残念」
数学者「しかし妙ですね。ここだけ柱の大きさが違うのはもちろんですが、まるで周囲を見下ろすかのような立地。
ここは、ひょっとしたら神殿などの宗教施設だったのかもしれません」
勇者「床にも何かたくさん書き込まれてますよ!」
僧侶「わ、ホントだあ。でも柱と違って丸と棒とばっかり」
数学者「むむ……」
数学者は床に刻まれたものを注視している。
僧侶「どうしたんですか? 実はホントは読めるとかっていう……」
数学者は懐からペンと紙を取り出すと何やら計算を始めた。
僧侶(ねえ、勇者。数学者さん何してるのかしら?)
勇者(僕にも全然わからないけど、こういう時は黙って見てた方が良いのかも)
僧侶(どうやらそのようね)
…………
数学者「わかりました!」
勇者「本当ですか!」
数学者「はい! この辺りに書かれているものはほとんどが円と線分からなっていますが、
よく見てみるとその全てが一から九個ずつ書かれていることが分かると思います。
そのことから私は、これが数字を表しているのではないのかと考えたんです」
僧侶「ちょ、ちょっと待って! 全然わかりません!」
数学者「では、ここを見てください」
そう言って数学者は床のある個所を示した。
数学者「例えば、ここには、とげの付いた円が四つ、ただの円が三つ、横向きの線分が六つ、
縦向きの線分が九つ書かれていますよね。
そこで、これらを4369という数字を表していると考えてみるんです」
僧侶「そうは言っても、それが本当に数字を意味してるのかはわからないわよね?」
数学者「普通であればそうなんですが、この辺りに書かれているものを数字として読んでみると、
1387、74665、2113665、9995671、88466521などになるんですよ」
勇者「何の規則性もなさそうですが……」
数学者「ところが、なんとこれらは全て、2を底とする擬素数なんです!」
僧侶「ニオテイトスルギソスウ?」
数学者「ええ、どうやらこの文明は高度な数学の技術を有していたようです。
かつて、『万物は数である』という教義のもとに
特定の数に神性を見出すという教団があったと聞いたことがあります。
この地では擬素数を聖なる数字としていたのではないでしょうか」
僧侶「つまり、どういうことですか?」
数学者「私の仮定が正しければ、ここは2を底とする擬素数を祭る祭壇であったはずです。
そうするとその中で最小の341という数には絶大な力が秘められているとされていたと思われます」
僧侶「つまり……?」
数学者「この中から、341を表す文字、
円が三つ、横向きの線分が四つ、縦向きの線分が一つ書かれたものを探してみましょう!」
僧侶(ねえ、勇者。数学者さんいつもより生き生きしてない?)
勇者(僧侶がご飯の度に元気になるのと一緒だよ)
僧侶(……ん? 何か言った?)
勇者「そうですね! 探しましょう!」
僧侶(……後で覚えてなさいよ)
今夜はここまでです。ありがとうございました。
>>129に出てきた擬素数に関して補足です。
なお、擬素数がストーリーに直接かかわることはなく、今後深く掘り下げることもないので、
このレスのここより下の部分は読み飛ばしていただいても全く問題ありません。
2以上の整数aに対して、 a^b を b で割った余りが a となるような2以上の整数bについて考えます。
bが素数のとき、常に上の条件は満たされます。
一方、bが素数でない場合でも上の条件を満たすことがたまにあります。
そのような素数にまぎれている数のうち奇数であるものを「擬素数(pseudoprime)」と呼び、
特に上のような場合、「aを底とする擬素数(pseudoprime to base a)」と呼びます。
>>129に出てきた擬素数に関して補足です。
なお、擬素数がストーリーに直接かかわることはなく、今後深く掘り下げることもないので、
このレスのここより下の部分は読み飛ばしていただいても全く問題ありません。
2以上の整数aに対して、 a^b を b で割った余りが a となるような2以上の整数bについて考えます。
bが素数のとき、常に上の条件は満たされます。
一方、bが素数でない場合でも上の条件を満たすことがたまにあります。
そのような素数にまぎれている数のうち奇数であるものを「擬素数(pseudoprime)」と呼び、
特に上のような場合、「aを底とする擬素数(pseudoprime to base a)」と呼びます。
>>131
わかりにくかったらすみません。
とげ丸の数は千の位、ただの丸は百の位、横線は十の位、縦線は一の位を表しています。
例えば下の画像は1357を表しているという具合に。
http://imgur.com/RTLpqQP
わかりにくかったらすみません。
とげ丸の数は千の位、ただの丸は百の位、横線は十の位、縦線は一の位を表しています。
例えば下の画像は1357を表しているという具合に。
http://imgur.com/RTLpqQP
#
件の数字は程なくして見付かった。というのも、この高台のちょうど中央にそれがあったからだ。
勇者「これが、神聖な数なんですね……」
僧侶「うーん、でもこれと言って変わった様子はなさそうね」
魔猿「フシューフシュー」
僧侶「どうしたの、魔猿ちゃん!」
魔猿は突然息を荒げて、石畳をガリガリと手で擦り始めた。
僧侶「ちょっと! 駄目よ。落ち着かなくちゃ!」
勇者「あれ? でもなんか衝撃でこの石だけちょっとぐらついてるみたいだよ」
数学者「これは動かせそうですね」
僧侶「風が吹いてきてる……この下に何かあるのかしら!」
魔猿「フーフー」
勇者「よし、任せて!」
勇者が力を込めると、石はもっさりと抜けた。
雨の後のような土のにおいがほんのりと辺りに漂う。
勇者「暗くてよくわからないけど、下に続いているみたいだ」
僧侶「他の石も動かせない? これだけじゃいくらスリムな私でもさすがに通れないわね」
魔猿「フキ!」
魔猿はそう吠えるや、穴に向かって飛び込んでいった。
僧侶「魔猿ちゃん! 危ないわ! 戻ってきて!」
勇者「僧侶、気持ちはわかるけど、ここは落ち着いて。
ちょっと下がってくれないかな。この石も動かせそうなんだよ」
勇者は穴の隣の三つの石を引き抜いた。
勇者「僕たちも急ごう!」
…………
勇者「真っ暗だ……みんな、階段になってるから気を付けて!」
僧侶と数学者も後に続く。
僧侶「夏だっていうのにここは寒いくらいね。ちょっと待ってて……」
僧侶が手に込めた魔力を放つと、拳大の光を放つ球体が勇者たちの頭上に現れた。
数学者「これはすごい……」
僧侶「えへへ、このくらいの簡単な魔法ならお手の物よ!
さあ、先を急ぎましょう! 魔猿ちゃんが心配だわ」
勇者「うん!」
人の手が加わっていたのは階段だけであり、
三人は至るところにある石筍に足を取られないようにしながら、注意深く歩を進めた。
数学者「これは天然の洞窟ですね」
勇者「ということは、この洞窟の上に文明が栄えて神殿を造ったということでしょうか」
数学者「ええ、それは間違いないでしょう。
何せ、この鍾乳洞ができたのは何百、あるいは何千万年も以前のことでしょうから」
僧侶「すごい。数学者さんってなんでも知ってるのね!」
数学者「はは、ただ単純に何かを知るということが好きなだけなんです」
僧侶「魔猿ちゃんはどこへ行ったのかしら……」
勇者「ここまで一本道だったんだから、きっとこの奥にいるはずだよ」
僧侶「ええ……」
勇者「しかし、こんなに水溜まりが多いなら、このあいだ買った長靴を持ってくるんだったなあ」
数学者「おや、ずっと先の方から明かりが漏れてきているみたいです」
僧侶「ホントだわ! 急ぎましょ!」
三人が駆け付けた先は、行き止まりになっていた。
そこでは、巨大な鍾乳石が淡く光っており、傍らで魔猿が低く唸り声を上げていた。
魔猿「フー……」
僧侶「魔猿ちゃん! 急に行っちゃうんだもの。心配したじゃない!」
僧侶は魔猿を抱きかかえた。そうしているうちに、魔猿の全身の緊張が徐々に解けていった。
勇者「魔猿が無事で本当に良かったよ」
数学者「それにしてもどうして急に走り出したりしたんでしょうかねえ」
僧侶「ひょっとしたら……この前賢者の庵に行った時も思ったんだけど、
魔猿ちゃんは魔力に引かれちゃうんじゃないかしら……。
この光ってる石からは――いや、石を覆ってる水からは強い魔力を感じるの」
勇者「魔力に引かれる、か。
……なんだか嫌な予感がするなあ。これからは特に気を付けて行こう」
僧侶「そうね……」
勇者「そして、これが太陽の雫ってわけだね」
勇者は、巨大な氷柱のように垂れ下がっている鍾乳石の下に、賢者から貰った聖杯を置いた。
数学者「賢者の話ではまばゆい光を放つ水ということでしたが、これはそこまで明るくはないみたいですね」
三人の心配をよそに、聖杯に溜まる量に比例して、水はその輝きを増していった。
僧侶「これはすごいわね……」
勇者「うん。きっと昔の人はこの光に聖なるものを感じて、そして神殿を造ったんだね」
太陽の雫が放つ光に見惚れている間に、聖杯はすっかり雫で満たされた。
勇者「よし、これだけあれば十分かな! 賢者の元へ帰ろう!」
その時、突然大地が大きな唸り声を上げた。
僧侶「きゃ!」
勇者「な、なんだ!」
次の刹那、足元が大きく揺れだし、周囲からは岩の落ちる音が何度かした。
数学者「地震です! みなさん落ち着いて! 壁際は避けて中央に集まるのです!
鍾乳洞はそう簡単には崩れたりしませんから!」
勇者「はい」
三人は息を呑んで揺れが収まるのを身を寄せ合って待った。
魔猿は僧侶の腕の中で落ち着かな気にしている。
勇者はきっと頭上を見つめていた。揺れが収まるまでの時間がとてつもなく長く感じられた。
魔猿「ウキキ!」
勇者「もう……大丈夫、かな?」
僧侶「ちょっと……勇者。いつまでそうしてるの?」
勇者「え?
…………うわわわ、ご、ごめん。そういうつもりじゃ」
勇者は僧侶を後ろから抱きかかえる形になっていた。
僧侶「うふふ、冗談よ。ありがとう。守ってくれて」
勇者「は、ははは。そ、そんな大したことじゃないよ」
数学者「みなさん、大丈夫でしたか?
余震の恐れもあります。ここは急いで戻った方が良いでしょう。
一列になって私に付いてきてください」
僧侶「聖杯は勇者が持ってね」
勇者「うん。
……あれ? あんなに揺れたのに全然こぼれてないや」
僧侶「その聖杯にも弱い魔法が掛けられてるみたいよ。ちょっと傾けてみて」
勇者が僧侶に言われたままにしてみると、
聖杯にはまるで透明の蓋でもされているかのように、雫がこぼれてくることはなかった。
勇者「へえ、すごいや!」
僧侶「そんなことは良いから、ほら、ちゃんと前見て歩く!」
勇者「う、うん!」
#
数学者「なんとか出られましたね。ただ、まだ安心はできません。柱などにはあまり近付かない方が良いでしょう」
遺跡の石柱が数本、新たに倒れていた。
勇者「はい、わかりました」
僧侶「あんな大きな地震って私初めてよ」
勇者「ああ、僕もだよ。震源は一体どこなんだろう?」
数学者「私にもわかりません。ただ、縦波と横波の間隔からすると、震源地はここから五百キロ以上はあるでしょう」
勇者「そんなに遠くってことは……震源に近い他の町が心配ですね」
数学者「ええ。目下のところは賢者の庵へ急ぎましょう!」
# 静謐の森
僧侶「うーん! ずっと馬車の中で座ってたからおしりが痛くなっちゃった!」
勇者「そんなこと言って、ずっと横になっていびきかいてたじゃないか」
僧侶「え? 嘘! 私そんなにうるさかった?」
数学者「ははは、いびきは聞こえませんでしたが、気持ち良さそうな寝息ならずっと聞こえていましたよね」
僧侶「ああ、もうびっくりしたじゃない!
勇者め……許さない」
勇者「でも僕たちが馬を御している間ずっと寝ていたのは事実じゃないか」
僧侶「むむ、なんかすっきりとしないけど……まあ、良いわ」
勇者「ははは」
魔猿「フルルルル……」
僧侶「なんか遺跡に行って以来魔猿ちゃんの様子がたまにちょっと変よね……大丈夫かしら」
勇者「きっと庵が近いからだよ。あそこからは強い魔力を感じるって僧侶が言ってただろ?」
僧侶「うん、何事もなければ良いんだけど……」
数学者「庵が見えてきましたね!」
…………
僧侶「私、このドア苦手だから勇者が相手してよね」
勇者「え? うん、わかったよ」
ドア「ご用件をどうぞ。賢者様はとてもお忙しくしていらっしゃるのです」
勇者「賢者さんに来るように言われてるんだ。ここを通してくれないかな」
ドア「承知いたしました。今しばらくお待ちくださいませ」
僧侶「人なんて滅多に来ないんだろうから、自分で出てくれば良いのにね」
ドア「賢者様から許可が下りたようです。突き当りの研究室にいらっしゃるのでこのままお進みください」
勇者「うん、どうもありがとう」
魔猿「フシューフルルル……」
# 研究室
勇者「失礼します」
賢者「勇者だね。不味いことになってしまったようじゃな」
勇者「え? 一体何ですか?」
賢者「三日前に大きな地震があったじゃろ。最果ての島で大きな噴火があったようじゃ」
僧侶「最果ての島ってどこかで聞いたような……」
勇者「僧侶! 大学の図書館で読んだ冒険の書だよ!」
僧侶「あ……。ということは、まさか……」
賢者「少しは知っておるようじゃの。最果ての島は魔王の住まう島。
あの地震以来魔王の力は日増しに強大になっいく一方じゃ。
勇者とその仲間たちよ。急いで最果ての島へ向かうのじゃ」
勇者「最果ての島へは、どうやって行けば良いのでしょうか?」
賢者「わしの転送魔法は人を送れぬ故、船で行くことになる。
学園都市の先の港から行けば、遅くとも二十日もあれば着くじゃろう。
後で最果ての島へと導くよう魔法を掛けた羅針盤をお前にやろうぞ。
しかし、勇者よ。魔王は今までの魔物とは全く次元を異にする存在じゃぞ。
してみれば勇者とて――」
僧侶「勇者には女神の加護があるんだから、大丈夫ですよ!」
僧侶は賢者の手を取って言った。賢者は、ほんの一瞬だけ、驚愕の面持ちを浮かべた。
賢者「ふむ……。しかし油断はならぬぞ。お前の祖父のようにな」
勇者「え? 僕の祖父がどうしたって言うんですか!」
賢者「わしも詳らかには聞いておらぬが、
お前の祖父が言うには、勇者同士で女神の加護の力を使うと、上手くいかぬことが稀にあるらしい。
お前の祖父は一度成人した息子を――つまりお前の父親じゃな――自分の時代へ連れて行ったのじゃが、
いざという時になって元の時代へ戻すことが能わなかったと聞く」
勇者「え? そんなこと、初めて聞きました……。
でも父も祖父もいない以上勇者同士でのことを心配する必要はなさそうですね」
賢者「そうではない。いつ何時不測の事態に見舞われるとも限らぬ故、慢心してはならぬということじゃ」
勇者「はい、わかりました……」
賢者「魔王の元へ赴くには、結界の魔法が不可欠じゃろう。あそこは魔力の甚だ強い場所じゃて。
そちらのお嬢さん」
僧侶「は、はい!」
賢者「この中で魔法を得意とするのはお前さんじゃな。
結界の魔法を教えてやろうぞ。付いてまいれ」
僧侶「はい!」
二人は研究室から出ていった。
勇者「祖父にも父にもなせなかったことが僕にできるのか、段々不安になってきました……」
数学者「大丈夫ですよ! もっと自分に自信を持ってください。勇者君は強い人なんですから」
# 庵の外
賢者「そなた、勇者たちに隠しておることがあるな? わしには大体わかっておる」
僧侶「え? いえ、そんなことは……」
賢者「先刻手を触れた際に見えたぞよ。そなたの中の苦しみや葛藤――」
僧侶「は、はい。わかりました。賢者さんにまでは隠せないですよね……。
お話します……」
…………
…………
僧侶「――ということです。これ以上のことは私には……」
賢者「ふむ。そなたも辛かろうが、これも世界の為じゃて。せめて今くらいは無理をするでない」
長い間、実に長い間張りつめていた僧侶の緊張の糸が、ここに切れた。
僧侶「ううう。おばあちゃん、私、怖いよお。悲しいよお。苦しいよお」
僧侶は賢者の胸にすがるようにして顔を埋めた。その瞳からはとめどなく熱い雫がこぼれる。
僧侶「どうして? どうして、私がこんな……」
賢者「ほれほれ、良い子じゃのう。
しかしまだそなたの言った通りになるとは決まっておらぬ」
僧侶「うう。でも、でも、神託が……」
賢者「大丈夫じゃよ。女神様はちゃんと見ていてくださる」
僧侶「ううう……」
# 研究室
勇者「僧侶、遅いですね……僕、ちょっと見てきます」
数学者「ええ、それが良いかもしれませんね」
…………
ドア「お引き取り願います。賢者様はとてもお忙しくしていらっしゃるのです」
勇者「うわ! 内側にも口があったのか」
ドア「お引き取り願います。賢者様はとてもお忙しくしていらっしゃるのです」
勇者「賢者さんじゃなくて僧侶に用があるんだよ」
ドア「お引き取り願います。僧侶様もとてもお忙しくしていらっしゃるのです」
勇者「あのなあ、僧侶は僕たちの仲間なんだから、君には関係ないだろ?
それに何だよ、『僧侶様』って。このあいだまであんなに悪態吐いてたのに」
ドア「僧侶様はとてもお優しい方でいらっしゃいます。
賢者様を通じてこの拙いドアにも伝わってくるのでございます」
勇者「はあ……。よくわかんないけど、もう少し待つことにするよ」
ドア「ご理解とご協力に感謝申し上げます」
勇者(やれやれ)
# 庵の外
僧侶「ありがとう、おばあちゃん!」
賢者「ほっほっほ。わしはそなたの祖母ではないぞよ」
僧侶「良いのよ。おばあちゃんに話したらすっきりしちゃった!」
賢者「そなたはほんに強い子じゃのう。
して、このことは勇者には黙っておくのかえ?」
僧侶「うん! だって、まだわからないし……私も最後の最後まで頑張ってみる」
賢者「わしはいつでもそなたの味方じゃ。忘れるでない」
僧侶「ありがとう!
あ、そうだ! 新しい魔法を教えてくれるんだったわよね?」
賢者「ほっほっほ。立派な子じゃて。あの人を思い出すのう。
では、そなたに結界の魔法を教えてしんぜようぞ。
時間があまりない故、基礎的なことだけじゃがの。
まず、アペイロンという術を覚えるのじゃ」
僧侶「アペイロン?」
賢者「現代魔法の基礎になる術じゃ。結界を張るには無限なるものを司る必要がある。
見ておれ」
賢者が地面に手をかざすと、そこに人が五、六人は入れるであろうほどの雪の結晶のような模様が現れた。
賢者「この中には魔力のそれほど強くない魔物は近付けないのじゃ。
わしがそなたに基礎となる魔力を送ってやるから、やってみると良い。
世界の無限の広がりを心に抱くのじゃ」
賢者は僧侶の左手を握った。
僧侶「うん、わかった。
…………えい!」
僧侶が地面に手をかざすと、今度は親指ほどの模様が現れた。
僧侶「ふう……。
え、ええ? こ、こんなちっちゃいのかあ」
僧侶は肩で息をしている。
賢者「ほっほっほ。初めてにしてはこれ以上ないくらいの出来栄えじゃよ」
僧侶「でもこれってすごく魔力を消費するみたいね。ちょっと休ませて……」
賢者「ここに光の魔力を同時に込めれば結界の完成じゃ。
これでわしがいなくともそなたはいつでも結界の魔法を扱うことができるぞよ。
慣れれば今ほどは魔力を消費しなくなるじゃろうて」
僧侶「うん、ありがとう。私、頑張る!」
賢者「ふむ。良い心掛けじゃ。では、そろそろ戻るとしようかの。そなたの仲間も心配しておるぞ」
僧侶「そうだった! すっかり忘れてた!」
# 研究室
僧侶「お待たせ! 私がいなくて寂しくなかった?」
勇者「あはは、お帰り。そうかもしれない。あまりに遅いから、ちょっと心配してたんだ」
数学者「新しい魔法はいかがでしたか?」
僧侶「うーん、ばっちり! と言いたいところだけど、とりあえず使えるようにはなったって感じかなあ。
ね、おばあちゃん!」
勇者「お、おばあちゃん?」
賢者「ほっほっほ。なかなか筋が良い子じゃて」
僧侶「じゃあ、そろそろ行かなくっちゃね。最果ての島へ」
賢者「そうじゃの。勇者よ。これをお持ち」
賢者は勇者に魔法の羅針盤を手渡した。
賢者「お前たちを正しき道へと導いてくれるじゃろう」
勇者「どうもありがとうございました!」
魔猿「フキ! フキ!」
僧侶「ありがとう、おばあちゃん! バイバーイ!」
賢者「ほっほっほ」
# 庵の外
ドア「僧侶様、お気を付けてお帰りくださいませ」
僧侶「ありがと! またね」
数学者「僧侶さん、気になることがあるんですが……」
勇者「そうだよ。いつのまにあんなに打ち解けたんだい? それも、おばあちゃんだなんて」
僧侶「良いのよ! おばあちゃんみたいに優しいからそう呼んでるだけ!」
勇者「うーん、ドアの変わりようと言い、釈然としないことだらけだ……」
僧侶「細かいことは良いから、急ぎましょ!」
勇者「う、うん」
魔猿「シュルルル!」
スレタイがマスラヲでアペイロンでおりがみか
後者は元ネタが同じなだけだろうが
後者は元ネタが同じなだけだろうが
>>149
スレを立てるまで林トモアキという人は知らなかったんですが、こうまでリンクすることがあると不思議な感じがしますね。
ちなみにこのスレでのアペイロンは、
紀元前六世紀のアナクシマンドロスという人が言ったとされる「ト・アペイロン(無限なるもの)」を想定していました。
今後の展開にも関わってくる予定です。
特殊な言葉なので、ご指摘のラノベもやはりこの言葉を念頭に置いているんだと思います。
ということで、そろそろ投稿していきます!
スレを立てるまで林トモアキという人は知らなかったんですが、こうまでリンクすることがあると不思議な感じがしますね。
ちなみにこのスレでのアペイロンは、
紀元前六世紀のアナクシマンドロスという人が言ったとされる「ト・アペイロン(無限なるもの)」を想定していました。
今後の展開にも関わってくる予定です。
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