私的良スレ書庫
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元スレ提督「ウチの雷と電がおかしい」
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>>1の時点で誘惑に負けない奴がどれだけいるのか...
―――
頭がぼーっとする。身体が熱い。
視界がぼやける。軍学校を卒業する時ブランデーを一瓶丸ごとイッキした時に似てる。
「司令官、どうしたの?」
座ったまま額に手を当て呻く俺に雷が心配そうにそういってこちらに近づいてくる。
「大丈夫だ、なんでもない」
言いながら視線をそちらに向けるとそこには雷の顔はなく、
代わりに先程のゲームの結果なにも纏っていない下半身があった。
シミも傷もない白く肉付きの薄い太もも、無毛の恥丘。
そして一本のスジ。幼さゆえかやや膨らんだ下腹部からのラインに目を奪われる。
「……司令官。どうしたの?」
数秒前と変わらぬ台詞。
けれどそれは同じ言葉とは思えない程、甘く甘く。
声に誘われるようにスジから目を離し顔をあげて見えた雷の顔は。
「ねぇ司令官。……苦しい?」
俺が凝視してた下半身とは裏腹に、
淫靡な色深く、妖艶な笑みを浮かべていた。
「……あぁ、苦しい」
ストップをかける自分が居る。
けれどなにかに浮かされた様に口は容易く滑る。
氷上の様に、摩擦を感じさせず。つらつらと。
「司令官さん。電達なら、その苦しいの治せるのです」
後ろから、電の声がする。
それと共に、衣擦れの音。軽い布が、床に落ちる音。
「司令官、どうして欲しい?」
「雷を」
「電を」
『どうしたい?』
前後から、甘い声の二重奏。
それは、俺の中のなにもかもを台無しにする溶剤。
溶ける。溶ける。
「俺は――」
>>109
よし、言い値で買おう
よし、言い値で買おう
一見エロに縁遠そうな二人にこんなに責められたら即落ちしてしまう
このままダメにされたい
このままダメにされたい
落ち着け落ち着け。
これはなにかおかしい、流石に思考が流されすぎだ。
きっとなにか起きてる。一旦落ち着こう。
「大丈夫? ほら、ゆっくり深呼吸して」
ゆっくりと近づいて俺の左側からそっと囁く雷。
「私達の声に合わせてゆっくりと吸うのです」
同じく右からは電が、耳朶に息がかかる距離で囁く。
「はい、鼻から大きく吸ってー」
雷が。
「お腹が大きくなるくらい」
電が。
「はい。口から大きく吐いてー」
左から。
「ゆっくりと、ゆっくりと。身体の中がからっぽになるまで」
右から。
「吸ってー」
「新鮮な空気が身体に入って、気持ちがいいのです」
左右から交互に。
「吐いてー」
「嫌なもの全部、一緒に流れていく」
頭がぼんやりと。
「また吸ってー」
「だんだんと頭がぼーっとしてくる」
靄がかかる。
「はい。吐いてー」
「私達の言う事に従うのは、気持ち良い」
そうなのかも知れない。
「同じペースで呼吸を続けて」
「だんだん身体に力が入らなくなる」
腕も、足も、鉛のようで。
指先がだらんと伸びて、だんだんと顔をあげてるのが億劫になる。
「私達に従うのは、気持ちいい」
「私達の声は、気持ちいい」
『そうでしょう?』
「これから私が三つ数えるわね」
「そしたら電が手を叩くのです」
「その音を聞いたら司令官は、もう目を開けてられない」
「ゆっくりと沈んでいくのです」
「イメージして? 温かい湯船に浸かってる自分」
「身体が軽くて、力を抜いたら浮いてしまいそうなのです」
「とってもリラックスして、ふわふわ。ふわふわするの」
「疲れも、嫌な事も、じわじわ流れるのです」
「さーん」
「暖かい。気持ちいい」
「にーい」
「お湯が、だんだん身体に染み込んでくる」
「いーち」
「自分の輪郭が曖昧になって、どこまでがお湯でどこまでが自分かわからない」
「ゼロ」
パチンと手の叩く音が――。
聞こえなかった。
代わりに聞こえたのはバァンと強く扉の開く音。
蝶番が壊れるんじゃないかという勢いで開いた扉は、
勢いそのままに再度閉まりかけて、途中で止まる。
そしてその戻ってきた扉を手で押さえて、入ってきたのは―――。
「クソ提督を返してもらいにきたわよ!」
―――曙の、声だった。
既に首にも力が入らず。
ぼんやりとした視界に開いた扉の下の方が映っているだけ。
そこからドカドカと派手な足音と共に細い曙の足がフェードインしてくる。
「ていうか、あんたらなんて格好してるのよ……」
「最悪のタイミングなのです」
「電扉に鍵してなかったの!?」
「雷ちゃんがどかどか盛った挙句いきなり始めるから忘れたのです!」
頭の上で三つの声が言い争いをしている。
けれどその声は、まるで遠い場所の様に小さく微かにしか聞こえない。
「ったく、ほらクソ提督! さっさと起きなさい!」
あられもない格好のまま、
先程までの妖艶さも淫らさも甘さも消えて年相応の声で争う姉妹を尻目に、
さらに曙はこちら近づいてくる。
「……ねぇあんたらこいつになにしたの? 目が虚ろなんだけど」
ぐいと首元を掴まれて強制的に顔をあげさせられる。
曙と目が合って。困惑したような表情が狭くなった視界に現れる。
「答えないって訳ね。まぁいいわ、力技で戻すからっ!」
振りかぶった右手、開いたままのそれがやけにスローモーションに。
パァン!
そして頬の痛みと共にやってきた。『その音』に俺の意識は、深く落ちて行った。
―――
バタンと倒れるあいつの身体。
ぐったりとしてぴくりとも動かない。
「……え、ちょっと提督! クソ提督! え!?」
いくら声をかけても動かない。
そんな強く引っ叩いたつもりは……まぁあったけど。
なにせ身体の丈夫さには定評のある奴だ、
一発で動かなくなるとは思えない。
「あー、張り手の音で暗示に入っちゃったのかしら?」
「かもしれないのです」
私が横たわる提督の身体を揺さぶっていると電と雷の口から
気になる単語が飛び出した。「どういうこと?」とキツく聞くと、
二人は顔を見合わせながら。催眠という単語を口にした。
「催眠って、いわゆるあなたはだんだん眠くなるーって奴?」
「なのです」
なるほど、あいつの様子がおかしかったのはそういう事ね。
まったく世話の焼ける男なんだから。
「で、どうすれば元の馬鹿なクソ提督に戻るわけ?」
「んー少し時間がかかるわ」
「トランス状態に入ってるので、この状態でスイッチのオンオフを
植え込んだ上で意識を引っ張り戻さないといけないのです」
はぁ、頭が痛くなってきた。
話には聞いてたけどこの二人マジでこんななのね。
「……ちなみに催眠状態にして二人はなにをしようとしたわけ?
こんな状態のこいつをどうするってのよ」
仕切り直そうと思ってちょっとした疑問を聞いてみる。
ぶっ倒れた事自体は大した事じゃなさそうだし、
私が居る場なら二人もなにもしようがないでしょうし。
少し格好的に寒いかもしれないけどそれはまぁ、
この二人がこんなんだと知りながら悪戯しようとした提督の自業自得ということで。
「この状態なら色々な事を条件づけできるのよ。
例えばなにかあったら一番に私に頼るようにとか」
「特定の言葉を聞いたら電を襲っちゃうとかできるのです!」
催眠って色々できるのね。
というかそもそもあぁいうのは全部やらせだと思ってたけど、
現実に起こり得るとは。
「……例えば、その――――とかも?」
「できるのです」
「無意識下の刷り込みはすごいんだから。とても簡単にできちゃうわよ」
「へぇ……?」
「まぁとにかく解くにしろ、深めるにしろ色々とこの後は準備が必要なのよ。
だからちょっと待っててくれるかしら」
催眠の事は私はよくわからない。
だから二人の言う事の真偽など確かめ様がないけれど、
こいつを元に戻すためにはとりあえず従っておくしかない。
「……わかったわ」
「じゃあお茶でもどうぞ、なのです」
「ありがと、……っていうか二人ともいい加減下穿いたら?」
ここまで、二人とも半裸(下半身)のまま。
どうなってるのかしらこの鎮守府の風紀は。
私だって漣を筆頭に仲いい連中とそういう話はするけど。
ここまでじゃないっての。
「甘い香り……」
受け取ったお茶に口をつけると広がる仄かな甘さと香り。
以前金剛に入れてもらったローズヒップに少し違いかも。
少し違いかもってなんやねん
結局近いんか遠いんかどっちやねん
少し近いかも。 のミス
結局近いんか遠いんかどっちやねん
少し近いかも。 のミス
そのまま勧められるがままに二杯ほどお茶を飲みほした後、
別室に行っていた雷が小道具を色々ともって戻ってきた。
「じゃあ一旦司令官をベッドに移すわね」
「なのです」
不自然な体制のまま動かない提督を二人でベッドに運んでいく。
私も手伝ってもよかったのだけど、二人の監視があるので少し離れた位置から黙ってそれを見守る。
……お茶おいし。流石にこういうスキルは二人には敵わないわね。
艦種に関わらずここ全体で見てもトップくらすなんじゃないかしら。
「よし! とりあえずはオッケーね」
雷のベッドに仰向けで寝転がる提督。
その横に先程持ってきた小道具を並べていく。
「あ、電おかわり頂戴」
「はいなのです」
部屋の照明は少し落とされて仄暗く、雷が焚いたお香の香りがお茶と混ざって
まるでここが切り離された特別で幻想的な空間かのように錯覚しそう。
本当にこれから本物の催眠術が始まるんだと思うと少しわくわくする自分が居る。
「じゃあこれから始めるわ。慎重にやらないといけない作業だから
決して音を立てないで静かにしててね」
こくりと首だけを縦に振って返事をして、
変な事をしないように一挙手一投足に注意して、
変な暗示を入れないように雷の小さな囁きも聞き逃さないようにしないと。
ポーン、ポーン、ポーン。
雷が持ってきた小さな機械からそんな音が定期的に流れ出す。
なにか、弾力性のあるものが弾むような軽快な音。
「あなたは、意識がハッキリしてる? それとも深くどんよりとしているかしら?
ハッキリしてるなら自分の意思で、そうでないなら、
無意識がきちんと私の声を聞いているから大丈夫」
小さな囁き、柔らかくて甘い。
ふわふわとしたまるで綿飴のような声調が静かな部屋に広がる。
私はそれを黙って聞く。
「ポーン、ポーンって音が聞こえるでしょう?
これは、あなたの心。あなたの意識。
ゆっくりと跳ねて上がる時もあれば、重力に従って落ちる時もある。
あがって、さがって。あがって、さがって。
この音に、耳を澄ませて? だんだん、だんだん、
力の抜けた、リラックスしたあなたの身体も弾みだす」
緩急をつけた声色。それを受けて提督の身体が小さく揺れ動く。
私は、黙ってそれを見続ける。耳を傾け続ける。
「ポーン。ポーン。弾んでいる、楽しい、気持ちいい。幸せ。
ずっと続いたらいいのに、そう思うのは悪いことじゃないのよ」
目を瞑ったまま一言も発しない提督の顔を覗き込みながら、
雷は手慣れた様子で一人続ける。本当にどこでこんな技術身に着けたのかしら。
「?」
不意に違和感に気づく。
ぱちゃぱちゃと手元のお茶が揺れている。
地震? ……いや、違う私の身体が……揺れてる?
「一際大きく、あなたの身体が、意識が高く弾む」
カップが手から落ちそうになる。
力が入らない。
「そして、重力に従って落ちて、落ちて、落ちて……。
床が抜けてどんどん落ちる、落ちる落ちる落ちるどんどん加速して
真っ暗な闇の中へ落ちていく、司令官も、曙ちゃんも」
「あ……あぁ……」
ゆっくりと身体が浮かび上がる感覚がして、私の意識は沈んでいった。
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