私的良スレ書庫
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元スレいろは「せんぱーい、いちゃいちゃしましょー」八幡「無理」
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八幡(今さらだ、一度逃げてしまった男がどの面を下げて『また会おう』なんて言えるのだろう)
八幡(しかし、一色はこうも続けた。『そんなの、一度フラれて好きな人に逃げられちゃった方がよっぽど言えませんよ』)
八幡(たしかに、それはそうかもしれない。だけど、どうだろう。こんなのただの自己満足にしかならないんじゃないか)
八幡(そう反論したが、『もし断られたり、返事がなかったら、それでもいいんです。その方がいいかもです。……でも、ごめんなさい。本当に、ただの私のわがままです。結衣先輩とせんぱいを傷つけちゃうだけになるかもしれないです。……でも、嫌なんです』)
八幡(怒ってもよかったと思う。一色の言っていることは、明らかに論理が破綻していた。結局、『私が嫌だからそうしてください』というだけの話だった)
八幡(だが、怒れなかった。一色が誰のためを思ってそう言っているのかは、伝わっていたからだ。一色自身だって、少なからず不安に思うところはあっただろうに)
八幡(由比ヶ浜がずっと俺のことを引きずっている、だなんて思い上がるつもりはない。あいつもきっと幸せな今を過ごしているのだと思っているし、願っている)
八幡(そこに俺が連絡していいのかという懸念はあった。だが、由比ヶ浜を信じて、そして何より一色の信じる俺自身を信じるからこそ、今なら会って話せるのかもしれないという思いはあった)
八幡(そして俺は、携帯のメモリーにまだ眠っている、何度も消そうとして消せなかったその名前を、何年かぶりに呼び出した)
八幡(奇跡的に、返信はすぐに来た)
――
八幡(遠目で、それらしい女性が見えた。彼女もこちらに気づいたようで、軽く手をふりながら駆け寄ってきた。まるで子犬みたいに)
結衣「やっはろー、ヒッキー!久しぶり!」
八幡(ああ、変わらない。由比ヶ浜結衣だ)
八幡「……おう、久しぶり」
結衣「うわー本当にヒッキーだー!……なんか、背ちょっと伸びた?」
八幡「全く伸びてねえよ、スーツ着てるからそれっぽく見えるだけじゃねえの」
結衣「あー、そうかも!」
八幡(由比ヶ浜はおかしそうにちょっと笑って、頭を下げた)
結衣「会おうって言ってくれて、ありがとうね。ヒッキー」
八幡「……こちらこそ、来てくれてありがとな。店、入るか」
結衣「うん!」
八幡(あの頃と同じように元気いっぱいに、由比ヶ浜は頷いた)
――レストラン内。ある程度、料理が運ばれてきた頃
結衣「ここのご飯、美味しいね」
八幡「ああ」
結衣「ヒッキーもこういうお店、使うようになったんだ。大人になったんだね……」
八幡(しみじみと由比ヶ浜は言う。親戚のおばちゃんかよ)
八幡「まあ、そんなに来るわけじゃないけどな」
結衣「あはは、そうなんだ。なんかでも、ヒッキーも社会人になったんだなぁって感じ。……ねえ、元気だった?」
八幡「ああ、元気だった。……お前は?」
八幡(ずっと料理や飲み物を行き来していた二人の視線が、やっと交わった)
結衣「私は……元気じゃなかったかも」
八幡「…………そうか」
結衣「嘘だよ。ゆきのんとか、周りの友達のおかげで元気になってきて……。今は、毎日が楽しいよ!」
八幡(由比ヶ浜はいたずらに成功した子供みたいに笑った。その笑顔を見て、それは嘘じゃないことを確認する)
八幡「そうか、良かった」
結衣「うん。……前にね、ヒッキーがゆきのんと会ったっていうのはゆきのんから聞いてたんだ。その時にね、聞いたよ。いろはちゃんと、付き合ってるんだよね?」
八幡「ああ」
結衣「そっか。……ヒッキー幸せそうだったって、ゆきのん言ってた。おめでと、ヒッキー」
八幡「……ありがとう」
八幡(彼女がどんな表情や気持ちでそれを言っているのか分からなくて、俺は思わず下を見てしまう)
結衣「ねえ、ヒッキー。不思議だと思うんだけどね。……それを聞いて私、本当に嬉しかったんだ。泣くかと思ってたんだけどね」
八幡「……」
結衣「でも、本当に悲しい気持ちにはならなかったの。ヒッキー幸せなんだ、よかったぁって。うれしくて、うれしくて。たはは。そういう意味では、ちょっと泣きそうにはなったんだけど」
八幡(顔を上げると、由比ヶ浜は優しく微笑んでいた。いつかのあの日と同じように)
結衣「私ね、ヒッキーにフラれちゃってからいろいろ考えたんだ。どうして私じゃダメなの、なんでって。嫌なことばっかり考えた」
八幡「……」
結衣「ヒッキーのフった本当の理由が、分かってたのにね。……ゆきのんの気持ちに、私は気づいてたのに」
八幡「……」
結衣「……だから、ね。あの……ね」
八幡(由比ヶ浜の表情が、大きく歪む。その大きな双眸が涙でいっぱいになる。眉尻を下げて、それでも笑おうとしたような顔で、彼女は言う)
結衣「ヒッキーに、ごめんって、ずっと言いたかったんだ」
八幡「な……」
八幡(それを見て、やっと俺の口が動く。その言葉は、胸からこみ上げる熱い何かで震えていた)
八幡「何で、お前が謝るんだよ……?」
八幡(悪いのは、俺だったのに。二人の気持ちから逃げてしまった、俺だったのに)
結衣「だって、だって」
八幡「俺が逃げたのが悪いんだよ。お前は、何一つ、悪いことなんかしなかっただろうが」
八幡(自分の好きだった相手に、想いを伝えただけだろうが)
結衣「……私は、ゆきのんが一人になるかもしれないって分かってて、告白したんだよ」
八幡「それでもきっとお前はあいつを一人にするつもりはなかった」
結衣「何も方法は考えてなかったくせにね。きっとそうなったらゆきのんは一人で、手の届かないところまで離れていくって知ってたのに。……それで結局、ヒッキーを一人にしちゃった。……だから、ごめん」
八幡「……」
結衣「ヒッキーが誰よりも、奉仕部の空間が好きだったのを知ってたのに、私が壊しちゃった。……だから、ごめんって言いたかったんだ」
八幡「……俺が一人になったのは、俺自身の問題なんだよ。だから……もう、謝るな」
八幡(俺がお前から告白された時、どれだけ嬉しかったと思う?自分で決めた選択を、どれだけ後悔したと思う?嬉しくて、でも悲しくて、あの晩、どれだけ泣いたと思う?)
八幡(だから……だから。あの時のことを、言わなければよかったなんて、なかったことにしたいだなんて。そんなことはどうか、どうか言わないでくれ)
八幡(俺がこんなことを考えてはいけないのは分かっている。思考それ自体が最低のものだ。だが、そう思わずには、願わずにはいられなかった)
結衣「……うん、分かった。もう、謝らない。でも、もう一つだけ言わせて」
八幡「……何だ?」
結衣「ありがとう、ヒッキー。ずっと、ずっと、本当にありがとう」
八幡(彼女のその大きな目から、たまっていた涙が赤くなった頬を伝う)
八幡(それは、いつだったかバーで見た雪ノ下雪乃のそれと、とても似ていた)
八幡(記憶の中の由比ヶ浜はいつだって心から楽しそうに笑って、心から哀しそうに泣いていた。そして周りの人間のことで本気で傷ついて、悩んで。その純粋すぎる、優しすぎる心が故に)
八幡(最後まで、決して言えなかったけれど。そんな由比ヶ浜結衣に、俺は本当に恋をしていたんだ)
――泣きやんだ後
結衣「たはは、泣いちゃってごめんね」
八幡(照れくさそうに彼女は笑った)
八幡「気にすんな」
結衣「ありがと!……んー、ちょっと湿っぽくなっちゃったし、昔話でもしよっか」
八幡「ああ、いいぞ」
八幡(由比ヶ浜は嬉しそうに笑って、語り始めた)
八幡(それからは、とても穏やかで楽しい時間だった)
八幡(初めて会ったときの、俺が事故をした話。奉仕部に由比ヶ浜が初めて来て、クッキーを作った話。今思い返してもあれは不味かったと言うと、由比ヶ浜は「今は成長したんだよ!」って嬉しそうにスマホを取り出してお菓子の写メを見せてくる)
八幡(やっぱり変わらんと言うと、「食べてみたら美味しいんだから!」って少し怒った。でも「美味しいよね……うーん」とすぐに首を傾げたりした。どっちだよ)
八幡(材木座の話をすると「誰だっけ?……ああ!厨二!」と一瞬本気で忘れてやがった。材木座さんに謝ってください)
八幡(戸塚に関しての話はとても盛り上がった。主に俺が)
八幡(葉山の話や、三浦の話や、川崎の話。平塚先生の話。夏のキャンプ、文化祭に体育祭、修学旅行、生徒会長選挙。そして、雪ノ下雪乃と、奉仕部の話。話題は途切れることはなかった)
八幡(当時は辛いことも多かったはずなのだが、二人とも笑っていた。比企谷八幡と由比ヶ浜結衣は顔を見合わせて、あの頃のことを笑って話していた)
八幡(それはとても不思議で、とても嬉しいことで。少し泣きそうになりながらも、ずっと俺は喋り続けていた)
――
八幡(ふと時計を見ると、もう閉店間際だった。楽しい時間は早く過ぎるというのは、大人になっても変わらない)
八幡「そろそろ、閉店の時間だ。……あのな、由比ヶ浜。最後に一つだけ、聞いてほしいことがある」
結衣「え、何?」
八幡「あのな。……俺、来月に結婚するんだ。一色と」
八幡(由比ヶ浜は大きく目を見開いて、ゆっくりとその唇に笑みを浮かべた)
結衣「そうなんだ、おめでとう。ヒッキー」
八幡「ありがとな」
結衣「式にはちゃんと呼んでよね。ううん、呼ばれなくても行くから!ゆきのんとね」
八幡(悪戯っぽく笑いながら、由比ヶ浜はそう言った)
八幡「……おう。席、用意しとく」
結衣「お願いね」
八幡「ああ」
八幡(「じゃあ、出よっか。」由比ヶ浜がそう言って、二人とも立ち上がった。会計を済ませ、お店を出たところで立ち止まる)
結衣「今度は、三人で会おうね。ゆきのんも入れてさ。……ううん、三人だけじゃなくて、先生とか、さいちゃんとか、小町ちゃんとか、皆で会おうよ。きっと、楽しいと思う。その時はもちろん、いろはちゃんも連れてきてね。いろんなこと聞きたいな~」
八幡「いいけど、あまり恥ずかしいこと聞くなよ」
結衣「あはは、手加減するよ。それじゃあまたね、ヒッキー」
八幡「ああ、また」
結衣(遠ざかっていくヒッキーの背中を見ながら、私は少しだけ泣きそうな自分に気が付いていた)
結衣(でももし今ここで彼の背中を見ながら泣いちゃうと、二度と私はヒッキーに笑って会えない気がしたから、なんとか押し込めた)
結衣(次にヒッキーと会ったときは、私の付き合っている人の話をしよう)
結衣(気弱で生真面目で、ちょっと鼻からずれたメガネをかけてて、頼りなさそうに笑う。私の心を溶かしてくれた男の子の話をしよう)
結衣(まだ、胸には少しの切なさが残っている。でもこれでやっと、私は彼のことを心から好きだって、自信を持って言える気がした)
結衣(帰ったら、彼に電話をしよう。「心配かけてごめん、今終わったよ、ありがとう」って)
結衣(そして、いっぱい甘えよう)
結衣(ヒッキーにフラれた頃は、それでも世界が続いていくことが嫌だった。嫌で嫌で、たまらなかった)
結衣(それでも、世界は続いてる。だから、今は思うんだ。ヒッキーと笑って話せた、幸せそうなヒッキーを見れた、今だから思うんだ)
結衣(私は、この世界のことがもっともっと好きになれると思う。自分のことがもっともっと、好きになれると思う)
結衣(まずはその一歩として、明日。久しぶりにゆきのんとケーキバイキングに行くことを楽しみに思いながら、私も駅に向かって歩き出した)
今日はここまででした。更新がどんどん遅くなっててすみません……
見てくれてる人には本当に感謝です。おやすみなさい
見てくれてる人には本当に感謝です。おやすみなさい
一ヶ月前に案内状も出してない人の席を二つも増やさなきゃいけないプランナーさんが一番可哀想だろ!
この人の作品は八幡がメインヒロインとくっつかないで他の人とくっつくのが1/3ある
>気弱で生真面目で、ちょっと鼻からずれたメガネをかけてて、頼りなさそうに笑う。
すまん、これ俺だわ
すまん、これ俺だわ
戸塚はもっと大物落として欲しいわ。ガハマさんとか小物落としてもつまらん
名前あり彼氏作る方が荒れるだろうな
由比ヶ浜はどうでもいいけど
由比ヶ浜はどうでもいいけど
由比ヶ浜は原作で主人公とくっ付くからえーやん
いろはすとか所詮ヒロインの起爆剤の扱いやぞ…
いろはすとか所詮ヒロインの起爆剤の扱いやぞ…
個人的には出してくれてよかった
出さない方がよかったって人の意見も分かるけどね
出さない方がよかったって人の意見も分かるけどね
元気じゃなかったかも発言の後で彼氏の存在を知ると彼氏が不憫でならないんだけど・・・
ヒッキーはキャスターやらピースやらブラックデビルやらの甘いタバコ吸ってるイメージで読んでたわ
ガハマさん既に吹っ切れて男いるならこの言動は純粋にうざい。っていうか軽蔑の対象
吹っ切れてないのに男作ってても構わないけど、そうだったらこの再会は当てつけがましくてうざい
男いないで八幡引きずってるままだったら連絡取った八幡がドクズで勧めたいろはがただの嫌な女なっちゃう
まあさじ加減難しいね。ガハマさんが男作ってること自体に文句言うやつは論外だけど
他のSSなら軽く流すけどここのSSは雰囲気とてもよく進んできてたからちょっと微妙なのくるだけでどうしても落差がね。目立っちゃうね
雪ノ下の似たような話は綺麗にまとまったのにこの差はなにが原因なんだろう。ガハマさんのキャラの問題かしら
吹っ切れてないのに男作ってても構わないけど、そうだったらこの再会は当てつけがましくてうざい
男いないで八幡引きずってるままだったら連絡取った八幡がドクズで勧めたいろはがただの嫌な女なっちゃう
まあさじ加減難しいね。ガハマさんが男作ってること自体に文句言うやつは論外だけど
他のSSなら軽く流すけどここのSSは雰囲気とてもよく進んできてたからちょっと微妙なのくるだけでどうしても落差がね。目立っちゃうね
雪ノ下の似たような話は綺麗にまとまったのにこの差はなにが原因なんだろう。ガハマさんのキャラの問題かしら
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