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    元スレ恭子「宮永を監禁してもうた……」

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    101 :

    浴室を開けると、湯煙がふわりと漂った。
    イスに座るよう促されて腰掛けると、
    恭子はシャワーのコックを捻った。

    勢いよく出るお湯。
    一瞬湯気が上がり、水の香りがした。

    恭子の行動を肩越しに振り返って見ながら、
    淡々と作業のようにシャワーの用意をしている様が何だか可笑しくなってきた。

    (まるで召使みたい……)

    自分の手で温度を確かめながら恭子は小さく頷き、
    シャワーを一度もとの場所へ戻すと
    屈んで服の袖を肩までまくった。

    「末原さんは入らないんですか?」

    恭子「私はさっき入ったからな」

    そう言った恭子が再びシャワーを手に取った。

    102 = 101 :

    背中にお湯がかかる。
    ちょうど良い加減のお湯が身体全体を包み込んでいく。

    心地よい感覚に咲の顔が綻んだ瞬間。
    恭子は咲の身体を手で擦り始めた。

    「……っ」

    その感触に咲の表情が強張る。

    首筋、耳のまわり、項・・・

    恭子「少し顔あげて」

    言われて、咲はおずおずと顔を上げる。
    喉の周辺を手で擦りながらシャワーで流していく。

    肩、腕、背中・・・

    手の平で擦られていく肌。
    不快に感じない相手の手の感触に戸惑っていた。

    (まるで人形になってるみたい……)

    恭子の手は、まるで物を洗っているように淡々と作業をしている。
    やましさは感じられなかった。

    103 = 101 :

    (ちゃんと約束守ってくれる人なのかも)

    そう思うと、意識しまくってる自分の方が何だかやましい心があるような気がして
    咲は少々恥ずかしくなった。

    (あんまり疑うのも悪いかな)

    恭子の腕が前に回される。
    その間、決して咲を前から見ようとしない。

    胸に手が伸びた瞬間、
    咲はわずかに腰を引き振り返った。
    恭子の手が止まる。

    恭子「どうしたん?」

    あまりに単調な口調に、咲は一瞬言葉を呑み込んだ。

    「……何でもないです」

    そう呟いて前を向く。
    再び動き出す手。

    104 = 101 :

    恭子の手が乳房に触れる。

    (んっ……!)

    洩れそうになる声。咲の身体が緊張する。
    自分以外の人の手の感触。
    鼓動が高まる・・・

    しかし恭子の手は何度か普通に咲の乳房を擦った後、
    何事もなかったかのように下へと降りていった。

    太股、膝、脛・・・

    淡々とお湯を流し、咲の肌を湯に馴染ませていく。

    (この人って……)

    少々安心したようにほうっと息をついた。
    鼓動が治まっていく。

    恭子「目ぇ瞑って、ちょっと下向いて」

    「はい」

    言われた通り下を向き、目を閉じる。
    頭にお湯がかけられていく。
    シャワーの音が耳に心地よい。

    105 = 101 :

    (気持ちいい……)

    わしわしと恭子に頭を擦られる。

    (何だかシャンプーされてる犬になった気分……)

    身体からシャワーが外され、出しっぱなしのお湯はタイルに打ちつけられている。
    恭子はシャンプーを掌にとると泡立て、咲の髪を両手で洗い始めた。

    恭子「泡立たへんな……」

    苦笑まじりに恭子が呟く。
    3度洗って、ようやく泡立つ髪。
    シャンプーの清潔な香りが咲の鼻孔を擽った。

    リンスも終わり、恭子がハンドタオルで顔を拭く。

    恭子「目、開けてもええで」

    ゆっくりと目を開ける咲。
    振り返り、恭子の様子を伺う。
    そんな咲の視線に恭子は苦笑する。

    恭子「何や?信用できへんの?」

    咲はあわてて前を向く。

    「違いますけど……」

    106 = 101 :

    恭子「そうか……」

    言いながら恭子はスポンジにボディソープを泡立てていく。
    そして先ほどと同じ順番で咲の身体が洗われていった。

    手で触られていた時よりくすぐったくて、咲は時折身を捩る。
    そんな咲に苦笑いする恭子。

    お腹を洗い終えた所で恭子の手が止まった。
    スポンジを反対の手に持ち替え、咲の股の間へと手を伸ばす。

    「ひっ……!」

    突然の出来事に、身体の力を抜いて安心しきっていた咲は驚き、
    喉から上擦った声が洩れた。

    「や……」

    思わず身を捩るが、恭子は構わず続ける。

    恭子「何や宮永。ここ洗う時手で洗わんのか?」

    普通に聞いてくる恭子。
    咲は戸惑いながら答える。

    「じ、自分で洗う時は、手ですけど……」

    泡がぬるぬると咲の股間を滑る。
    口を開けば声が出そうで、咲は唇を噛み締めた。

    107 = 101 :

    恭子「せやろ。こないにデリケートとこ、ガサガサなスポンジで擦るんはちょっとな」

    言いながら恭子の手が動く。
    敏感な部分を指が掠め、思わず身体が震える。

    「ん……っ」

    艶めいた咲の吐息が僅かに恭子の耳に届く。
    恭子はそれを聞こえない素振りで再びスポンジを握った。

    「はぁ……」

    咲の口から小さく安堵の息が洩れる。
    しかし、自分の身体の異変に気が付き戸惑う。

    紅潮する頬。高まったままの鼓動。荒い息づかい・・・
    そんな自分の状況に恭子が気づいていないわけがない。
    こみ上げる羞恥心が咲の心を襲う。

    しかし恭子はそんな咲の心中を察してか、
    身体を洗い続けながら言った。

    恭子「気にすることあらへんよ。刺激を与えられたら誰だってそうなるやろ」

    咲は何も言えなかった。
    淡々と自分の身体を洗う恭子を責めることはできない。
    必要以上に相手がそこに触れていたわけではなかったから。

    咲は目を閉じて、身体が冷めるのを待った。
    恥ずかしさに耐えながら。
    高鳴った鼓動が治まっていくのを・・・

    108 = 101 :

    恭子「ほな、上がりたくなったら声かけてや」

    咲を湯船に入れると、恭子は浴室の扉に手をかける。
    脱衣所にいるからと告げてその場から出て行った。


    お湯の中で自由のきかない手足に、
    咲は少々不満そうに顔を顰めながら思った。

    (ここで大声出したら飛んでくるのかな……)

    窓を見ながら考える。

    (叫んだところでこんな時間だし、誰も聞いてくれないかな)

    それに、叫べばまた叩かれる。
    静かに首を横に振った。

    (せっかく猿轡がなくなったのに、そんな事したらまた振り出しだよ)

    綺麗になった自分の身体を見下ろす。

    (末原さん、本当に何もしてこなかった……)

    自分の中で冷め切らない熱。
    見た目には治まっていたが、咲の身体の中には残っていた。
    それが、何だか複雑な気分だった。

    触られるのを嫌だと思いながら、そう感じなかった自分の身体。
    咲は肩までお湯に浸かって大きくため息を吐いた。

    109 = 101 :

    (何なんだろ私……)

    ぼそりと呟く。

    恭子「宮永~、まだか~」

    ガラスの扉の向こうから恭子の声が響いてきた。
    少し間を置いた後、咲は返事を返す。

    「もう上がります」

    開かれた扉から恭子が顔を出す。

    恭子「さっぱりしたやろ」

    微笑みながら言う恭子に、咲も僅かに笑みを返した。
    小さく頷いて。

    110 = 101 :

    続きます。

    112 :

    乙このじわじわ陥落させられるのイイよね

    113 :

    末原さん策士やな

    115 :

    乙 末原さんよく我慢できるな

    116 :

    計算なのか天然なのかイマイチわからないあたりやるなあ

    117 :


    ――――――――――――
    ――――――――
    ――――


    恭子「ほな、寝よか」

    パチッと電気を切るスイッチの音が鳴り、
    部屋の中に暗闇が訪れた。

    咲は相変わらず縛られたまま眠りにつく。



    風呂に入れるようになって3日ほどが過ぎていた。
    ここに来て、もう一週間ほど経とうとしている。


    (眠れない……)

    部屋の中はクーラーの冷たい風が漂っている。
    さして熱いはずなどないのだが、咲は寝苦しさに何度か寝返りをうった。

    暗闇を見つめていた大きな瞳を無理やり瞑り、
    眠ろうと努力する。

    しかし、閉じた瞳はすぐに開けられた。

    118 = 117 :

    (やっぱり眠れない……)

    この一週間、ずっと家の中に閉じ込められていた。
    楽しみといったら食事とテレビと・・・恭子との会話。

    他に何もすることが出来ず、
    この部屋から出れるのは風呂とトイレの時だけなのだ。
    運動らしき運動をしていないのに、眠れるはずなどない。

    それに・・・

    「はぁ……」

    無意識に吐いたため息。
    ベッドの下に客用の布団を敷いて横になっていた恭子が、
    僅かに顔を上げて咲を見た。

    恭子「何や、眠れんのかいな」

    もうちょっと起きとくか?と尋ねながら
    恭子は身体を起こそうとした。

    「いえ……いいです」

    短く返事をして、咲は再び目を閉じる。

    119 = 117 :

    チッ・・・チッ・・・チッ・・・

    小刻みに時を刻む時計。
    音が段々と煩くなっていくような感覚に、
    咲は瞼をぎゅっと瞑り唇を噛んだ。

    解っている。
    眠れないのは身体が熱いせい。

    有り余る体力と、連日恭子に身体を洗われている感触が
    咲の中に悶々と溜まる熱として渦巻く。

    (どうしよう……)

    咲だってお年頃。
    こんな時何をすればすぐに眠れるかなど知識としては知っている。
    今まで欲が薄く、そんな事に興味を持つこともなかったが。

    しかしそんな事を人の家で出来るわけもなく、
    まして両手を縛られたこの状態で出来るわけもない。

    120 = 117 :

    (……はぁ)

    何か考えよう・・・
    そう思えば思うほど下腹部が疼く。

    (やばいかな……)

    そう思いながら何度目かのため息を吐いた時。
    恭子が再び顔を上げた。

    恭子「何や、やっぱり眠れんのかいな」

    言いながら体を起こし、部屋の電気をつけた。
    恭子はベッドに近寄り咲の顔を覗きこむ。

    恭子「あれ……宮永、何か顔赤いんとちゃうか?」

    咲の額に手を伸ばす恭子に、
    とっさに身体を引いてそれを避けた。

    「そんなこと、ないです」

    ちょっと焦ったようなその顔が恭子に不信感を与える。

    恭子「そうか?ならちょっと熱測らせてみい」

    「やっ!」

    恭子の声に必要以上に拒む咲。
    眉を顰めた恭子はすばやく咲の額に掌を当てた。

    121 = 117 :

    (あ……心地いいかも……)

    少し冷たい恭子の掌の感触に、咲はほうと息をつく。

    恭子「熱はないようやな」

    「……」

    恭子「汗かいとるな。暑かったんか?」

    立ち上がった恭子は引き出しからフェイスタオルを取り出し、
    咲の身体を拭こうと掛け布団をまくった。

    「あっ……!」

    ロングTシャツを着せた咲の下半身。
    めくれて見えていた下着が濡れているのが目に映った。

    「うう……」

    恥ずかしさのあまり咲は枕に顔を埋める。

    恭子(まぁ、連日風呂で私が弄ってるからな……)

    他人の手で触られて熱が灯るのは誰しもありえる生理現象だろう。
    微妙な空気が漂う中、恭子は静かに口を開く。

    122 = 117 :

    恭子「自分でするか……?それやったら私は下の部屋に行っとくし……」

    「い、いえ……人の家じゃ、その……」

    言い辛そうに咲は言葉を濁す。

    「それに、したことないですし……」

    小さく返答が返ってくる。
    恭子は目を見開いて振り返った。

    恭子「したことないんか……?」

    「は、はい……」

    恥ずかしげに答える咲に、恭子の鼓動が跳ね上がる。
    ここで「してやろうか」・・・そう言っていいものか。

    恭子(……いや。拒否られるんがオチやろうな……でも……)

    手にしたタオルをぎゅっと握ったまま恭子は黙り込む。
    口を開けばあらぬ事を言ってしまいそうで。
    そんな自分を必死に自制する。

    123 :

    もっと前に自制するべきだった

    124 = 117 :

    僅かに顔を上げた咲は、しばし恭子を見つめる。
    そしてためらいがちにゆっくりと口を開いた。

    「あの……、末原さんがしてくれませんか……?」

    思わぬ咲の言葉に恭子は耳を疑う。

    恭子(本気なんか?宮永……)

    咲はじっと見つめてくる恭子と視線を交わしながら考える。

    毎日お風呂で自分の身体に触れてくる恭子の手。
    咲はその手にちゃんと触れてほしかった。

    何の意図もなく、平然と自分の身体を洗う為だけに触れてくる。
    自分のことが好きだと言いながら、自分の身体には興味がない・・・
    そう言われている気がして少ししゃくだったのだ。

    そして、他人のぬくもりにも興味があったのかも知れない。
    頑として約束を守ろうと努めてくれている。
    そんな恭子の手に、触れられてみたい、と・・・

    125 = 117 :

    自分を見つめたまま身動ぎもしない恭子に、
    咲はもう一度同じ事を言った。

    「末原さんが、してください……」

    その瞳は僅かに揺れ、
    それでも恭子をしっかりと捕らえていた。

    恭子「……。ええよ……」

    静かに答え恭子は立ち上がる。

    近づいてくる恭子を見つめながら咲は自分自身に問いかけていた。
    後悔するだろうか、今の言葉を・・・

    (……)

    でも、それでも良いと思える。
    確かに自分が望んだことだから。



    静まりきった部屋とは裏腹に、
    二人の忙しく高鳴った鼓動が闇夜を揺るがす。

    126 = 117 :

    続きます。次回微エロ注意

    >>114
    智葉咲なら前回書きました

    128 :


    天然でやってたのか…

    130 = 117 :

    >>129
    前作 咲「命にかえてもお嬢をお守りします」です

    131 :

    極道咲さんの人だったか

    132 :

    すばらしい

    133 :

    乙 前作のも好きだった。次回が待ち遠し過ぎる

    134 :

    ほほう

    135 = 134 :

    >>1
    http://touch.pixiv.net/novel/show.php?id=1543756
    これ知ってる?極道のやつと似てる気がするんだけど
    スレチすいません。

    137 :

    監禁もので安易にエロ展開に走らないのはいいなと思ったら
    結局エロ入るのか

    139 :

    無理やりしないと言っただけでエロいことしないとは言ってない

    140 :

    恭子がベッドの端に片膝を乗せる。
    ギシッと僅かな音を立てて軋むスプリング。

    恭子「……」

    咲を見下ろすその瞳。
    何か言いたげで、でも黙ったまま。
    その手が咲の身体を拘束している縄を解く。

    「……!!」

    恭子の手が咲の下半身に伸びる。
    スルスルと下着を下ろされていく感覚に、咲の身体は緊張に強張った。
    あらわになった秘所をゆるく撫でられる。

    「んっ……」

    反射的に出た甘い吐息。
    咲は自分を見つめる恭子の視線を避けるように、
    眉間に手の甲を乗せた。

    141 = 140 :

    恭子は咲の秘所へと顔を近づけ、そこを舐めはじめた。

    「ひっ!!」

    生暖かい舌の感触に、咲の喉から引きつった声が洩れる。

    「そ、そんなところ……汚いですからっ……んっ」

    恭子「汚くなんてない、綺麗や……」

    弱弱しく発せられる言葉に、恭子はかぶりを振りつつ続ける。
    ぱさりと落ちてくる恭子の髪が咲の下腹部を擽った。

    視界を覆っていた手を恐る恐る退かし、
    咲は恭子の姿を見つめる。

    秘所を舌で弄られる感覚と、
    瞳が捉えたその姿が咲の心を煽っていく。

    「あっ……はぁっ……」

    自身の乱れていく呼吸に気づきもしないで、
    咲はきつく恭子の片手を握っていた。

    「んっ……も、もぅ……っ」

    恭子「もうイきそうか?」

    目線だけを上げ、割れ目に沿って舌を滑らせながら
    イってもええよと恭子が囁く。

    「んぁっ……あっ……ああっ……!!」

    上部のぷくりと膨れた突起を舌で弄られた途端、
    恭子の手を握ったまま喉元を仰け反らせ、果てた。

    142 = 140 :

    恭子は顔を挙げ、咲の脱力した姿を見つめる。
    荒い息をしながら力の抜け切ったその格好は、堪らなくそそるものだった。

    必死で押し殺そうとする欲望。
    その情欲を挑発するかのような艶かしい肢体。

    薄暗い部屋に、乱れた想い人。

    恭子はぐっと唇を噛み締め、
    咲の髪を掻き撫でた。





    気だるい瞼を開け、咲は恭子を見やる。

    (別にいいかな……、このまま処女を奪われても……)

    相手のもたらした予想以上の快感に、
    咲は薄っすらとそう思った。

    143 = 140 :

    近寄ってくる恭子の顔。
    髪を撫でてくるその表情は酷く切なげで、咲の心を締め付けた。

    離れていく恭子の手にほんの少し淋しさを感じながら、
    それでも咲はこれ以上相手の顔を見てはいけない気がして
    ゆっくりと視線をずらした。

    さっき見た恭子の表情。
    そこには性欲なんて微塵も感じないように見えた。

    咲は開けた瞳を室内に泳がせたまま、
    恭子が自分に服を着せてくれているのを感じていた。

    (この人、本当に私のこと好きなのかな……)


    恭子「さっ、寝るか……」

    そう言って恭子がベッドを降りた。

    「……はい……」


    やがて室内に再び静寂が広がった。
    しかし咲の瞳は開かれたまま。

    満足した体とは裏腹に、心には空虚な穴が開いたようだった。

    定期的に繰り返される瞬き以外に目が閉じられることはなく、
    カーテンの隙間から朝日が差し込むまで咲は起きていた。

    静かに寝息を立て、下で寝ている恭子の横顔を見ながら。
    咲は眠れない理由すら考えずに、
    ただただ見つめているだけだった。

    144 = 140 :

    (末原さんの考えている事なんて分からないよ……)

    覚えているのはそれだけ。
    他に何を思っていたかは思い出せない。

    ただ言えるのは、
    何だかとても寂しかったのだ。





    その日咲が眠りについたのは、
    恭子が目を覚ます少し前だった。

    眠るというよりは意識を失うに近い形で目を閉じた咲。

    目覚めた恭子は身体を起こして、
    そっと咲の頬を撫でた。

    恭子「可愛い寝顔しおって……」

    145 = 140 :

    昨夜の事が嘘のような、心地よい朝のまどろみのなか。
    恭子は苦笑しながら立ち上がる。

    恭子「朝飯でも作るかな……」

    言いながら扉に向かった足元に、
    無造作に投げ出されたままのロープ。

    恭子はそれを拾いあげ、眠っている咲を見た。
    小さく首を振り、ロープを手放して部屋を後にした。


    そうしてまた新たな一日がはじまる。


    なあ、今日はどの位仲良くなれるかな・・・

    外は晴天の散歩日和。
    一緒に外出するのも・・・悪くないかもしれへんな。


    ――――――――――――
    ――――――――
    ――――

    146 = 140 :

    足先が冷える感覚が咲の覚醒しきらぬ頭に目覚めを促す。
    膝を曲げ、スルスルとシーツを這うように足を布団の中に引き入れた。
    肌蹴た掛け布団を軽く握り、自分で肩に掛け直す。

    「……クーラー効きすぎ……寒……」

    ぼそっと呟きながら瞳を開くと、そこに恭子の姿はない。
    客用の布団は几帳面に畳まれている。

    「末原さん……?」

    いない相手を探すように室内を見回しながら起き上がる。
    膝を立てて座り、欠伸をしながら寝癖のついた髪をとかすように指で梳いた。

    「出かけたのかな……って、あれ……?」

    自分の手をまじまじと見つめる。
    手が縛られていない。
    足も自由だった。

    「どうなってるの……」

    小さく呟きつつベッドから起きだし、部屋の扉を開けた。

    147 = 140 :

    一階のリビングからTVの音が聞こえてくる。

    (末原さん、下にいるんだ)

    ふっと安堵感が咲の胸に湧いた。

    トンッ・・トンッ・・トンッ・・

    軽やかな足取りで階段を降り、
    開け放たれたままのリビングの戸をくぐった。

    TVの前のソファにゆったりと座ってくつろいでいる恭子。
    手足を投げ出すように座り、指先で自分の髪の毛先を弄んでいる。

    咲の頬が瞬間熱くなった。

    (あの手で、昨夜……)

    そんな咲の姿に気が付いた恭子はそちらに目を向けた。

    リビングに降り注ぐ暖かな日差しを背に微笑む恭子。
    咲の口元が僅かに緩んだ。

    恭子「おはよう」

    「おはようございます」

    かけられた言葉に、咲もすぐさま挨拶を返す。
    恭子はゆっくりと立ち上がり咲の元へと歩み寄る。

    恭子「寝癖ついてるで。よう眠れたか?」

    伸ばした手で咲の髪を撫でた後、
    そのままキッチンへと入っていった。

    恭子「お腹すいたやろ。今朝食作るから待っててな」

    「あ……、私も手伝います」

    恭子「それは助かるわ。実は私、料理は苦手やねん」

    148 = 140 :

    キッチンで二人並んで作業をする。

    「ハムエッグとサラダ、出来ました」

    恭子「食パンも焼けたで」

    出来上がった料理をトレイに乗せ、
    テーブルへと運んで並べていく。

    恭子「飲み物は麦茶でええか?」

    「はい」

    恭子「じゃあ冷めないうちに食べよか」

    「はい。いただきます」

    他愛もない話をしながら食事が進んでいく。
    そんな中。

    恭子「なあ、食事が終わったら散歩にでも出かけよか」

    「げほっ……!」

    恭子の突然の言葉に咲は噴出した。

    (本気……?)

    自分を見て微笑む恭子に戸惑いながら、
    咲は首を縦に降って答える。

    恭子「ほな、早よ食べて行こか」

    楽しげに食事を続ける恭子に咲は苦笑いする。

    (この人解ってるのかな……、私が逃げるかもしれないって事)

    149 = 140 :


    ――――
    ――――――――
    ――――――――――――


    恭子「ほら、宮永の分の帽子や」

    「ありがとうございます」


    玄関を出ると眩しいほどの日差しが身体に降り注がれる。
    ジリジリと肌が焼かれていくような感覚に、咲は口元を緩ませた。

    久しぶりの外出。久しぶりの太陽。
    咲は歩きながら大きく伸びをした。


    (気持ちいいな……)


    肩を並べて歩く少女ふたり。
    端から見れば只の友人に見えるだろう。

    だって咲は楽しげに笑っているから。
    咲を見つめながら、恭子も穏やかに微笑んでいるから。

    150 = 140 :

    公園のベンチに並んで腰を下ろす。
    太陽が二人の肌を焼いていく。

    恭子「あっついなぁ」

    額の汗を軽く拭い、恭子はぱたぱたと手で顔を仰いだ。

    恭子「夜に来ればよかったやろか……」

    独り言のように呟かれた言葉に、
    咲は笑顔で首を横に振った。

    「昼でよかったです。こうして太陽に当たるの久しぶりですし」

    恭子「そっか。……せや、ちょっとジュースでも買ってくるわ。宮永はここで待っといてな」

    「はい」

    遠ざかっていく恭子の背中を見送りながら、咲は空を見上げた。
    澄み切った水色の高い空に、綿あめみたいなふわふわで真っ白な雲が浮かんでいる。

    「本当、気持ちいい……」

    微笑んだまま、真夏のキツイ日差しを楽しむかのように瞳を閉じた。
    瞼の裏が赤く見える・・・久々のこの感じ。

    咲は穏やかに日向ぼっこを楽しんでいた。


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