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    元スレ瑞鶴「もう二度と離さない」

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    151 = 1 :

    今日はここまでです!

    久しぶりに日常編書きましたが、なんて楽なんでしょうか
    砂糖吐きそうになりながら書きましたが……

    また来ますね!

    153 :

    翌日

    コンコン

    提督「瑞鳳いるか?」

    瑞鳳「提督? 入っていいよ」

    提督「失礼する」ガチャッ

    瑞鳳「提督何か飲み……何かあったの?」

    提督「ああ」

    瑞鳳「すぐ行きます。瑞鶴、ちょっと行ってくるね」

    瑞鶴「うん……でも、行く前に教えて。提督さん、何があったの?」

    提督「そんな大した事ではない。ちょっとしたトラブルだ」

    瑞鶴「嘘。私昨日見ちゃったんだ。提督さんの部下の人が凄い慌てて提督のところに行ったの」

    瑞鳳「瑞鶴! 盗み聴きしてたの!?」

    瑞鶴「違うよ! ただ、あの後お風呂に向かってたら偶然見ちゃただけなの! 内容までは聴いてないよ!」

    提督「分かった。それならば仕方ない……瑞鶴も一緒に来るんだ」

    瑞鶴「いいの?」

    提督「このまま何も言わなければ、無根拠な憶測などが鎮守府に広がる恐れがあるからな。それに、お前も気になってしょうがないだろう?」

    瑞鶴「まあ……」

    提督「二人とも先に行っててくれ。私は陽炎を連れてくる」

    瑞鳳「はい!」

    …………。

    154 = 1 :

    提督「待たせたな」

    瑞鳳「いえ、大丈夫です」

    陽炎「一体何があったの? 私達だけを突然呼び出すってことは、何かあったんでしょ?」

    提督「そうだ。実際にこれまでで一番の非常事態と言えるだろう」

    瑞鳳「教えて下さい……」

    提督「…………欧州へ向かった呉、佐世保、舞鶴3鎮守府の主力艦隊が壊滅した」

    陽炎「嘘……でしょ……!?」

    提督「本当だ。数名は何とか帰還したそうだが、ほぼ全員が轟沈したとの事だ」

    瑞鶴「提督さん……まさか」

    瑞鳳「私達が代わりに行かなければならないのね?」

    提督「ああ。間違い無くかなり厳しい戦いになるだろう」

    瑞鶴「大湊は一緒に出撃しないの?」

    提督「大湊はガラ空きになる本土の防衛の為に出撃しない事になっている」

    瑞鶴「なんかズルい……」

    提督「今回戦力が壊滅した3鎮守府は、これから戦力の再構築をする事になる為、防衛能力は皆無に等しい。また、私達は大湊が横須賀の防衛をする為、全戦力を今回の作戦に投入出来る。関節的にだが、大湊のお陰で私達は最大戦力で作戦に赴く事が出来るのだよ」

    瑞鳳「でも、私達だけでは呉、佐世保、舞鶴連合艦隊の半分程度の戦力です。連合艦隊でも勝てなかった敵に私達が勝てるとは思えません」

    提督「真っ正面からならば瑞鳳の言う通り不可能だろうな」

    陽炎「何か策があるのね?」

    提督「一応だがな。それと、連合艦隊よりも有利な点がある」

    陽炎「有利な点?」

    提督「まだリランカ島はこちらの手の内にある。連合艦隊の様にリランカ島の攻略を行う必要がない。そして、策に関してだが……」

    提督「奇襲を行う」

    ………………………………。

    155 = 1 :

    リランカ島

    提督「そろそろ夕方になるか」

    瑞鳳「とうとう作戦開始ね……」

    提督「そうだな。不安か?」

    瑞鳳「うん……だけど、提督が考えた作戦だもん。私頑張るからね!」

    提督「ありがとう」

    陽炎「司令! そろそろよね?」

    提督「そうだ。近海の様子は?」

    陽炎「問題なし! 潜水艦の反応も無いわ!」

    提督「敵の偵察機も確認出来ず。条件は揃ったな」

    夕張「提督。一応最後に作戦内容と艦隊編成の再確認をお願いしたいかな」

    提督「分かった。作戦内容から確認する。作戦内容はアンズ環礁に巣食う敵艦隊及び飛行場を壊滅させる事にある。あくまでも制圧では無く壊滅だ。この艦隊がドイツとコンタクトを取り帰投する時間さえ稼げれば良い。その為には迅速な進軍が不可欠となる。それを心がけてくれ」

    全員「はい!」

    提督「艦隊編成の確認だ。第一艦隊旗艦瑞鳳。随伴艦に瑞鶴、秋月、電、雷の4名。第二艦隊旗艦陽炎。随伴艦に不知火、野分、舞風の3名。第三艦隊旗艦初風。随伴艦に雪風、天津風、時津風、浦風、磯風、谷風の6名。第四艦隊旗艦川内。随伴艦に長波、響、時雨、夕立、春雨の5名。第五艦隊旗艦比叡。随伴艦に熊野、青葉、摩耶、夕張の4名。そして潜水部隊のゴーヤと囮部隊の卯月、文月だ」

    夕張「で、この前言われた通りに動けばいいのよね?」

    提督「そういう事だ。当たり前だが、各々臨機応変に行動してくれ」

    全員「はい!」

    提督「作戦を始めよう。お前達旗艦は随伴艦全員に朝霧へ乗り込む様に伝えてくれ。出撃だ」

    ………………。

    156 = 1 :

    アンズ環礁沖

    提督「瑞鳳、陽炎、初風、川内、比叡。配置に着いたな?」

    川内「着いた着いた! 早く夜戦させてよ! やーせーん!!」

    提督「少しお前は黙るんだ」

    川内「えー」

    提督「横須賀へ戻ったら私が直々に白兵訓練を行おう」

    川内「いや、それだけは!」

    提督「己の愚かさを呪うがいい」

    川内「そんな……」

    提督「第一艦隊以外は別命あるまで待機。瑞鳳と瑞鶴は艦攻隊を発艦させよ」

    全員「了解!」

    提督「これは詰め将棋のような物だ。一手間違えれば一気にこの作戦は瓦解する可能性がある。絶対に気だけは抜くなよ」

    全員「了解!」

    提督「夜襲を開始する! 艦攻隊は『車懸かり竜巻戦法』を実施せよ!」

    157 = 1 :

    今日はこれで終わりです!

    また来ますね!

    160 :

    闇夜の中、瑞鳳と瑞鶴の導きに従い流星が飛び行く。向かうは比叡の32号水上電探が捉えた敵艦隊であった。

    「多分この近辺にいるはずなんだけど……」

    「瑞鶴、お前の流星隊もまだ敵艦隊を視認出来ていないか?」

    「うん……」

    瑞鳳と瑞鶴は初めての戦法であるからだろう、二人の顔から緊張と戸惑いを見て取れる。

    瑞鳳と瑞鶴は夜間での航空機の誘導という、不慣れな事をさせてなお周囲の警戒させるのは危険である為、艦載機を射出後は朝霧の艦橋で艦載機の指揮を執らせていた。

    「焦らなくてもいい。見落としだけに気をつけろ」

    「はい……」

    「うん……」

    返事も精彩が欠いている。やはり、夜間の飛行の指揮はかなり厳しいのだろう。

    「あれ?」

    瑞鳳が何かに気付いたような声をあげた。そして、緊張と焦りで蒼ざめていた顔はみるみる赤みを帯びて、終いには喜色を浮かべた。

    「見つけた!!」

    「よくやった! 座標は?」

    「データを転送します! 瑞鶴にも送るからこっちに誘導して!」

    「了解! すぐに向かわせるわ!」

    瑞鶴の顔からも焦りの色が消えた。

    「うん! 提督、私の航空隊はどうすればいいの?」

    「爆弾を装備した流星以外は敵の上空を旋回させるんだ。瑞鶴の航空隊は私の指示があるまで近くで待機させろ」

    「「了解!」」

    「敵艦、対空射撃を開始しました!!」

    「今だ! 敵の対空砲火の光を狙え!!」

    「雷装流星、全機雷撃開始!!」

    瑞鳳の掛け声から十数秒、轟音が当たり日に響き渡った

    161 = 1 :

    提督「敵の状態は!?」

    瑞鳳「敵重巡大破! 機関停止!!」

    提督「よくやった! 上空に残していた艦爆でそいつを狙え!」

    瑞鳳「爆装流星、全機急降下!!」

    ヒューン ズドーン!!

    瑞鳳「敵艦炎上!! やったぁ!!」

    提督「瑞鶴、別の艦にも同じく雷撃、爆撃の順で攻撃を行うんだ!!」

    瑞鶴「うん! 対空砲火確認! いっけぇ!!」

    ズドーン!!

    瑞鶴「敵戦艦、機関停止! そして炎上し始めたわ!!」

    提督「完璧だ! 瑞鶴、瑞鳳は朝霧から退艦し、近くにいる秋月、雷、電と合流。合流後艦載機の着艦の為に灯火管制を行え。指示を出したらに照明灯を点灯させるんだ」

    瑞鳳「了解!」

    提督「第四艦隊、炎に照らし出されている敵の艦隊に向けて突撃!」

    川内「待ってました!! 夜戦だぁ〜!! 第四艦隊全艦突撃よ!!」

    提督「文月、卯月! 探照灯照射!! 前もって知らせた座標へ向かって最大戦速で航行!!」

    文月「ふぁ〜こわいよこわいよ〜」

    卯月「探照灯照射だぴょん!!」

    ズドーン! ズドーン!

    卯月「うびゃぁぁ!!?」

    文月「うってきたよ〜!!」

    提督「瑞鳳、瑞鶴。敵が探照灯に惹きつけられている間に照明灯を点灯! 着艦させるんだ!」

    瑞鶴「は、はい!」

    162 = 1 :

    文月「しれいか〜ん! てきがずっとついてくるよ〜!! こわいよ〜!」

    卯月「たすけてほしいぴょん!!」

    提督「初風。その位置から文月と卯月は見えるな?」

    初風「すぐ近くね。よく見えるわ。ついでに敵も丸見えよ」

    提督「魚雷を斉射した後に敵の横から殴り込むんだ。出来るか?」

    初風「当たり前よ」

    提督「同士討ちにだけは気を付けるんだ。必ず可能な限り陣形を維持。それだけでも被害や指揮系統の混乱は抑える事が出来る」

    初風「大丈夫よ。私達に任せなさい」

    提督「頼むぞ。第三艦隊、行動開始!!」

    初風「了解!!」

    提督「陽炎」

    陽炎「ん。なあに?」

    提督「文月が照らし出している敵艦隊が見えるか?」

    陽炎「初風が襲っているのと別の、戦艦や重巡がゴロゴロいるやつ?」

    提督「そうだ。頼めるか?」

    陽炎「うん! もちろん司令の為なら!」

    提督「気を付けろよ」

    陽炎「ありがと! じゃあ、また後でね!!」

    陽炎「不知火! 野分! 舞風! 第二艦隊行っくわよー!!」

    不知火「陽炎、また惚気てましたね」

    舞風「あはは! 陽炎お姉ちゃん顔真っ赤〜」

    野分「あ、舞風……そんな事言ったら……」

    陽炎「何で真っ暗なのにそんなことが分かるのよ!」

    舞風「陽炎お姉ちゃん可愛い〜!」

    陽炎「もうっ! ほら、行くわよ!!」

    不知火「了解」

    陽炎「いつも通り肉薄するわよ! 二水戦の誇り、見せつけてやるのよ!!」

    163 = 1 :

    提督「比叡。各艦隊が敵の遊撃部隊や主力艦隊と交戦に入った。今なら邪魔をされない筈だ」

    比叡「はい! さっすが司令ですね!」

    提督「いや、これはみんながよくやってくれているからだ。私はそのキッカケを作ったに過ぎない」

    比叡「それでも、私は尊敬しますよ」

    提督「そうか。ありがとう」

    比叡「はい!」

    提督「さて、全員三式弾又は零式弾を装填しているか?」

    比叡「私の第一主砲の一門以外には全て装填済みです!」

    提督「うむ。では、射撃地点に移動後すぐに始めてくれ」

    比叡「了解!」

    提督「あと少しで瑞鳳と瑞鶴の爆撃機が発艦可能になるから、援護で回そう。それまでは第五艦隊だけで頑張ってくれ」

    比叡「司令の御期待にお応え出来る様に頑張ります!!」

    提督「ああ」

    比叡「射撃地点に到着! 行きます!!」

    比叡「照明弾発射!! 続いて全艦、砲撃開始!! 全門斉射!! 撃て〜!!」ズドーン!!

    泊地水鬼「ッ!!?」

    ………………………………

    ………………

    ……

    164 = 1 :

    比叡「敵泊地沈黙!! 壊滅させる事に成功しました!!」

    提督「終わったか……」

    瑞鳳「提督、この後は独逸まで行きますか?」

    提督「そうだな」

    瑞鳳「分かりました。みんな、一旦朝霧に帰投しま……」

    天津風「あれ?」

    初風「どうしたの?」

    天津風「何か水中から音が……」

    提督「なんだと!? 第三艦隊対潜戦闘準備! 止まると魚雷でやられる! すぐに動くんだ!!」

    初風「了解! 全員ペアを組んで攻撃と観にに役割を分けなさい! グズグズするんじゃ無いわよ!!」

    天津風「浮上して来てるわ!!」

    初風「え!? なんですって!?」

    天津風「あと少しで完全に浮上するわよ! みんな警戒して!!」

    バッシャーン!!

    U511「み……つけ、た!!」

    天津風「ええ!?」

    初風「……艦娘!?」

    U511「たすけ、て!」

    初風「え?」

    U511「ユーをたすけて!」

    初風「提督、どうするのよ?」

    提督「朝霧に連れてきてくれ」

    初風「分かったわ。ちょっと一緒に来て」グイッ

    U511「は、い……」

    ………………………………。

    165 :

    今日はこれで終わりです


    無事夏イベ完走しました。このSSで江風と風雲と照月を出したいと思ってきました(笑)


    また来ますね!

    167 :

    乙です
    そういや艦これ未実装だけど旧日本軍に夜間戦闘機月光ってのあったんだよな

    168 :

    >>167
    ありましたね。確か極光に斜銃を取り付けて夜間戦闘機化したとか……
    いつか運営が月光を実装してくれるといいですね!

    実は月光を出そうか迷ったのですが、今回は史実の戦法にあやかって、第七五二航空隊の野中一家が得意としていたこの車懸かり竜巻き戦法を少しだけアレンジして出してみました。
    (艦これSSで一度この戦法を使ってみたいという小さな夢が叶いました)

    幸運な事に丁度ゲームの方でも艦載機の熟練度が実装されたので、高練度を要求されたこの戦法的にも丁度良かったですね。



    今日は更新出来ません……申し訳ありません!

    169 :

    朝霧

    提督「初風、ご苦労だった」

    初風「これも任務の一つよ。で、私は出て行った方がいいのかしら?」

    提督「そうだな……頼む」

    初風「一応部屋の外で待機してるから、何かあったら呼び出すのよ」

    提督「ああ」

    初風「それじゃ」ガチャッ パタン

    提督「さて」

    U511「ぅぅ……」

    提督「改めて聞こうか。君の名前を教えてくれないか?」

    U511「ユ、U-511……」

    提督「U……では、君はドイツのUボートの艦娘か。そして……511と言うと……」

    U511「ユー、前は、日本に来た、よ……」

    提督「やはりか。そうすると日本では……」

    U511「呂500って……呼ばれた……」

    提督「やはりか。では、伊58の事は知っているか?」

    U511「うん……知ってる」

    提督「そうか。今は出撃しているが、暫くしたら戻る。その時に紹介しよう」

    U511「ダンケ……」

    170 = 1 :

    提督「で、だ。君がこの様な所にいる理由を話してくれないか。初風に助けてと言っていたと聞いたが」

    U511「…………」

    提督「話したく無いか?」

    U511「あ、の……」

    提督「ゆっくりでいいぞ」

    U511「あの、ね…………ドイツが……」

    提督「ドイツが?」

    U511「みんな、死んじゃった……」

    提督「なんだと!?」

    U511「ひっ!?」

    提督「すまない。だが、どういうことなんだ。もう少し詳しく説明して貰えると助かる」

    U511「何から、話せばいい、の?」

    提督「そうだな……では、君が生き残った理由とドイツの現状を教えて欲しい」

    U511「分かった……」

    171 = 1 :

    U511「ユーはね、イタリアに行ってた、の」

    提督「イタリア? 何か理由があったのか?」

    U511「イタリアと、連絡が、取れなくなった、から……」

    提督「君がイタリアの様子を探れという事だったのかな?」

    U511「うん」

    提督「で、イタリアの様子はやはり」

    U511「艦娘も、人間もいなかった……深海棲艦しか、いなかった、よ」

    提督「そうか……」

    U511「それでね、ドイツにね、戻ったらね……みんな死んじゃってた……」

    提督「誰も艦娘が残っていなかったのか?」

    U511「ビスマルク姉さんも、マックスもみんな、みんな居なかった……」

    提督「人間は……?」

    U511「地上もね、深海棲艦の砲撃や、爆撃を……いっぱい、いっぱい受けてた……」

    提督「だが、それならば」

    U511「もう、地上には草木も無かった……」

    提督「何故だ……何故そこまでして……」

    U511「それでね、ユー、逃げてきたの……海の上にもね、深海棲艦がいっぱいいたよ……」

    提督「この艦隊で突破は出来るか?」

    U511「無理……絶対に死んじゃうよ」

    提督「分かった……U511、君はどうする?」

    U511「ユーが?」

    提督「そうだ。このまま別の国まで逃げるか、日本まで私達と共に向かうかだ」

    172 = 1 :

    U511「ユー、日本に行く、よ……」

    提督「分かった。君を助ける事が出来て良かった。ここまで来た甲斐があったよ」

    U511「うん……ダンケ……」

    提督「ドイツから敵の勢力下ここまで逃げてくるのに疲れただろう。休んで来るといい」

    U511「いいの?」

    提督「勿論だ。他の子に案内させよう……初風、いるな?」

    初風「いるわよ」ガチャ

    提督「この子を仮眠室まで連れて行ってあげてくれ」

    初風「いいわよ。ほら、私に着いて来なさい。案内するから」

    U511「うん……」

    提督「では、よろしく頼むぞ」

    初風「ん」パタン

    提督「ふぅ……」

    提督「なあ、中尉よ」

    乗組員「はい」

    提督「あのドイツが滅んだ。この様な事が信じられるか?」

    乗組員「いえ、正直申し上げますと未だに信じる事が出来ません」

    提督「私もだよ。どうやら我々はあまりにも強大すぎる存在を相手に戦争をしているようだ」

    乗組員「はい」

    提督「私が次に何を言うか分かるかな?」

    乗組員「ええ、勿論」

    提督「聞こうか」

    乗組員「だが、それでも死ぬ訳にはいかない。生き抜かねば意味が無い……ですよね?」

    提督「フフ……流石だな」

    乗組員「伊達に何年も中将の部下をやっておりませんよ。それに、貴方の下に配属されている者ならば全員が同じ答えを言うでしょうね」

    提督「大将や元帥殿に聞かれたら間違い無く島流しだろうな」

    乗組員「だからこそ私達は貴方に付いて行くのですよ。そして艦娘の子達も」

    提督「有り難いな。私は部下に恵まれているよ」

    乗組員「私達も上官に恵まれていますのでお互い様です」

    提督「そんなこと……」

    コンコン コン

    瑞鳳「瑞鳳と瑞鶴です」

    乗組員「艦娘の子ですね。では、私は朝霧を反転させ撤退する準備と指揮に取り掛かります」

    提督「ああ。頼んだ」

    173 = 1 :

    ガチャ

    瑞鳳「失礼します……って、あれ?」

    乗組員「お疲れ様です。中将はお返ししますね」

    瑞鳳「え、あ、ありがとうございます……」

    乗組員「では中将、失礼します」パタン

    瑞鶴「提督さん。あの人、何かあったの?」

    提督「朝霧の事で少しな」

    瑞鶴「そうなんだ〜」

    瑞鳳「あ、そうだ……第一艦隊戻りました。他にも第二、第三、第四艦隊と、文月ちゃんと卯月ちゃん、ゴーヤちゃんが帰投済みです」

    提督「第五艦隊は?」

    瑞鳳「第五艦隊は敵の奥深くまで潜り込んでいたので、少しだけ遅れているみたいです」

    提督「分かった」

    瑞鳳「提督、何かあったの? 知らない子が初風ちゃんと一緒に歩いてたけど」

    瑞鶴「あの白い子だよね。私も気になっていたんだ〜」

    提督「後ほど他の者にも公表するが、あの子も横須賀鎮守府の一員になる」

    瑞鳳「えっ!?」

    瑞鶴「え、何か変なの?」

    瑞鳳「う、ううん。そんな事無いよ」

    瑞鶴「瑞鳳、声が上ずってるよ。何が変なの?」

    瑞鳳「提督……どうしよう……」

    提督「瑞鶴、すまないが一旦この部屋から出ていて欲しい。ここに陽炎を呼んで3人で話し合わねばならない」

    瑞鶴「私も居ちゃ駄目なの?」

    提督「悪いが、まだそれは厳しいな。信用をしているしていないという話では無く、最も鎮守府について分かっているこの2人では無いと駄目なんだ」

    174 = 1 :

    瑞鶴「…………うん」

    提督「この話が終わったら他の誰よりも先に先に瑞鶴に話そう。だから少し我慢してくれ」

    瑞鶴「約束だからね」

    提督「ああ」

    瑞鶴「私、陽炎ちゃん呼んでくるね。そしたら部屋で待ってるから」

    提督「ありがとう」

    瑞鶴「それじゃ、ね」パタン

    瑞鳳「何だか、瑞鶴に悪い事しちゃった気がする……悲しそうだった」

    提督「こればかりは仕方ない……とはいえ、同感だ」

    瑞鳳「でも、それでも瑞鶴には聞かせる事が出来無い話なんだよね?」

    提督「そうだ。こればかりはお前と陽炎以外に相談は出来無い」

    瑞鳳「もしかして……独逸の事?」

    提督「その通りだ」

    瑞鳳「そうね……分かりました。陽炎ちゃんが来たらすぐに話しましょ」

    提督「ああ」

    ………………………………。

    175 = 1 :

    >>160

    訂正

    精彩が欠いている。

    精彩を欠いている。


    瑞鳳の掛け声から十数秒、轟音が当たり日に響き渡った

    瑞鳳の掛け声から十数秒、轟音が辺りに響き渡った

    176 = 1 :

    今日はここまでです。


    また来ますね!

    179 :

    こんにちは!

    今日の夜に更新します! もう暫くお待ち下さい!

    180 :

    コンコン コン

    提督「私だ」

    瑞鶴「うん、入っていいよ」

    カチャッ パタン

    提督「待たせたな」

    瑞鶴「大丈夫……」

    提督「顔が暗いぞ」

    瑞鶴「まあ、ね……」

    提督「仕方がなかったとはいえ、申し訳なかった」

    瑞鶴「それは分かってるし、納得もしてるよ。だけどね、とても嫌になっちゃったの」

    提督「私がか?」

    瑞鶴「…………私、嫉妬しちゃったんだ。陽炎ちゃんに。そして瑞鳳に。そういう訳では無いのは分かっているのに、どうしても嫉妬心を抱いてしまうのそんな私自身が嫌になっちゃったの」

    提督「そうか……」

    瑞鶴「ごめんね、提督さん。突然こんな事を言われたって困っちゃうよね」

    提督「私に関わって来る以上、反応に困る話題ではあるな」

    瑞鶴「うん……」

    提督「だが一つだけ言えるのは、もしも私が逆の立場でも同じ感情を覚えてしまうだろう。こればかりは理屈で割り切る事は到底出来ない」

    181 = 1 :

    瑞鶴「提督さんも?」

    提督「私も一応人間だからな」

    瑞鶴「ちょっと予想外だな。提督さんってあまり表情を表に出さないから」

    提督「それは私が提督という立場にあるからだ。私の感情で艦隊を指揮するなどという事があってはならない。それで仲間が死に追い込まれるよりは自分の感情を抑える方がずっといい」

    瑞鶴「大変だね、提督さんって」

    提督「慣れたよ」

    瑞鶴「でも、私には提督さんみたいにこの気持ちを抑えるのは無理だよ……」

    提督「ならば、その感情を抑えなければいい」

    瑞鶴「え?」

    提督「勿論嫉妬心を瑞鳳や陽炎への憎しみに変えてはいけない。だが、その感情をバネに更なる自身の向上を目指せばいい」

    瑞鶴「でも私自身が自分を赦せないよ」

    提督「いつかお前が成長して心に余裕が出来れば、その嫌な自分も許容する事が出来るだろう」

    瑞鶴「やっぱり提督さんって優しいね」

    提督「そんなこと無いさ。それよりも瑞鶴、落ち着いたか?」

    瑞鶴「さっきよりはね。まだ少しモヤモヤしてるけど」

    提督「今から重要な話をするが大丈夫か?」

    瑞鶴「うん。それは大丈夫だよ」

    182 = 1 :

    提督「では、約束通りお前に先程陽炎や瑞鳳と話して来た事を伝えよう……」

    提督「ドイツが滅んだ」

    瑞鶴「えっ!?」

    提督「ドイツだけでは無い。イタリアも深海棲艦の手に落ちた。まだ生き残っている国はあるやもしれんが、ヨーロッパが完全に壊滅するのも時間の問題だ」

    瑞鶴「嘘だよね……」

    提督「残念ながら真実だ。これらの情報は先程私達の戦力に組み入れられたU511から伝えられた」

    瑞鶴「でも……その子が嘘をついている可能性も」

    提督「メリットが何一つ無い。嘘を付いているのがバレれば良くて深海棲艦が跋扈するこの海に放り出され、悪ければ発覚し次第射殺。それに今ドイツを助ける為に進軍中の艦隊を追い返せばドイツの危機は更に広がる。理由が無いんだ」

    瑞鶴「そうだよね……」

    提督「私は横須賀に戻り次第大本営に向かう。今回の件は万が一にも漏洩させる訳に行かない。そして確実に伝えねばならない」

    瑞鶴「じゃあ、私も付いて行く!」

    提督「それは出来ない」

    瑞鶴「私じゃ駄目なの?」

    提督「いいや、駄目ではない。しかし、瑞鶴である必要も無い」

    瑞鶴「そんな……」

    提督「鎮守府の内情を把握していて、尚且つ護衛を任せることが出来るのは今の所瑞鳳のみだ。ついでに言えば瑞鳳は位の高い人間への礼節も弁えている」

    瑞鶴「じゃあ、結局は絶対に無理なんだね……」

    提督「そうでも無いぞ。もしも瑞鶴に瑞鳳のメリットを上回る何かがあるのならば私は瑞鶴を同行させるだろう。どうだ?」

    瑞鶴「私の長所……」

    183 = 1 :

    瑞鶴「艦載機を飛ばして鎮守府に連絡が取れる」

    提督「瑞鳳でも同じ事が出来る」

    瑞鶴「瑞鳳よりも艦載機の搭載数が多い」

    提督「確かにそれはメリットだ。だが、それだけでは瑞鳳以上の魅力を感じる事は出来ない」

    瑞鶴「速さや装甲、耐久力なら……」

    提督「弱いな」

    瑞鶴「馬力は誰にも……」

    提督「本気で言っているのか?」

    瑞鶴「…………」

    提督「終わりか?」

    瑞鶴「駄目……私じゃ瑞鳳に勝つなんて出来ない……」

    提督「そうか。残念だ」

    瑞鶴「私ってやっぱり駄目だな……これじゃあ瑞鳳の劣化……あれ?」

    提督「どうした?」

    瑞鶴「ちょっと待って……もしかしたら……」

    提督「何かに気付いた様だな」

    瑞鶴「提督さん。何個か質問してもいい?」

    提督「ああ。勿論だ」

    184 = 1 :

    瑞鶴「今まで瑞鳳以外に同行した艦娘はいるの?」

    提督「いないな」

    瑞鶴「もしも私を選んでくれた場合はマナーや仕事内容を教えてくれるの?」

    提督「勿論だ」

    瑞鶴「じゃあ、最後に……提督さんは瑞鶴を試したでしょ?」

    提督「ふっ……良く気付いたな」

    瑞鶴「私に少しも期待してなかったら残念なんて言葉は出ないもん」

    提督「ああ、そうだな。では瑞鶴の言葉を聴こうか」

    瑞鶴「私は瑞鳳に対して戦闘力、情報量、礼節のどれを取っても負けてるわ。だけど、だからこそ提督さんは瑞鶴を選ぶメリットがあるわ」

    提督「ふむ」

    瑞鶴「もしも瑞鳳が鎮守府や海域から動けなくなった場合、瑞鳳の代わりに提督さんと同行出来る艦娘が今いない。それが緊急時や提督さんの安全がかなり危険な状態の場合命取りになる可能性がある。だから今の内に提督さんは、他に何人か瑞鳳と同じ様に動ける艦娘を育成する事でその様な事態は回避出来る」

    提督「他には?」

    瑞鶴「瑞鳳よりも練度や経験は低いけど、私は瑞鳳と同じ様な運用が出来るわ。だから今まで軽空母瑞鳳として出来ていた事は私にも可能」

    提督「この二つだけか?」

    瑞鶴「ううん。あともう一つ。最大の練度と経験を持つ瑞鳳が鎮守府に残る事で鎮守府の防衛能力は今現在よりも大きく跳ね上がるわ。もしも私が鎮守府に残ったとしても艦載機という戦力が増えるものの、有事の際の指揮や判断は今までとさして変わらない。だけど瑞鳳が残れば適切な判断や指示を出せる艦娘が増える。だから、瑞鳳より劣っている私を同行させた方が鎮守府の安全に繋がるの」

    提督「ほう」


    瑞鶴「どう、提督さん? これが瑞鶴を選ぶ事のメリットだよ」

    提督「所々突っ込みどころがあるが、ほぼ満点だ」

    瑞鶴「じゃあ、今回は!?」

    提督「瑞鶴を連れて行こう。頼んだぞ」

    瑞鶴「やったぁ!!!!」

    提督「そんなに嬉しいか?」

    瑞鶴「うん!! 当たり前じゃない!」

    提督「そうか。だが、横須賀に戻るまでの間、出来る限り仕来りやマナーを詰め込ませるから覚悟しておくがいい」

    瑞鶴「それでも私、頑張るから!」

    提督「ああ」

    ………………………………。

    185 = 1 :

    今日はここまでです!

    正式に9/25翔鶴改二実装が発表されましたね。
    瑞鶴は今年中とのことですが、早く実装して貰いたいものです。


    また来ますね!

    188 :

    鎮守府

    バタバタ

    瑞鶴「わー!! わー!! 飛行甲板忘れてた!!」

    陽炎「瑞鶴さん……」

    瑞鳳「それは……忘れちゃだめだよ……」

    瑞鶴「ふぅ……終わった……」

    提督「瑞鶴、そろそろ時間だ。準備は出来たか?」

    瑞鶴「うん。万全! ……とは言えないけど多分大丈夫」

    提督「日用品等が足りなかったら向こうで買えばいい。鎮守府でしか準備出来ない物は確実に持ったな?」

    瑞鶴「それは大丈夫だよ! ……多分」

    提督「まあいい、行くぞ。瑞鳳、陽炎。後の事は任せたぞ」

    陽炎「任せて! でも、司令がいないと私寂しいから、出来る限り早く帰って来てね!」

    提督「善処するよ」

    瑞鳳「提督」

    提督「ん?」

    瑞鳳「行ってらっしゃい」

    提督「ああ。行ってくるよ」

    ガチャ

    瑞鶴「行ってきます!」

    陽炎・瑞鳳「頑張ってね!」

    瑞鶴「うん!」

    パタン

    ………………………………。

    189 = 1 :

    大本営

    コツ コツ コツ コツ

    提督「…………」

    瑞鶴「…………」

    提督「…………」

    瑞鶴「…………」

    提督「瑞鶴」

    瑞鶴「ひゃっ、ヒャイ!!?」

    提督「やはりか……」

    瑞鶴「だ、だってこんな所はじ、はじめ、初めてき、来たんだもん!」

    提督「緊張するなとは言わん。むしろ適度な緊張感は必要だ」

    瑞鶴「はい! はい!」ブンブン

    提督「だが、お前は緊張し過ぎだ。その状態で部屋に入る訳には行かない」

    瑞鶴「で、で、でもぉ……」ガタガタ

    提督「こっちを向きなさい」

    瑞鶴「うん……へっ!!?」

    提督「……」スッ

    瑞鶴「て、提督さん! ち、近い! 近いよぉ〜!! か、顔が!! あっ……」

    提督「ふむ」グニー

    瑞鶴「ひ、ひゃい!! へいほふはん! ひはひっへ!!」

    提督「よし、終わりだ」パッ

    瑞鶴「ひ、ひっどいよ提督さん! 頬っぺたちょっと痛かったんだけど!!」ポカポカ

    提督「こらこら、やめなさい」

    瑞鶴「んむー!!」

    190 = 1 :

    提督「で、どうだ? 緊張はほぐれたか?」

    瑞鶴「え? 緊張? あっ!」

    提督「大丈夫な様だな」

    瑞鶴「本当だ……あんなに緊張してたのに……」

    提督「人間予想外の事が起きると、それまでの事を忘れてしまうからな」

    瑞鶴「でも……」

    提督「ん?」

    瑞鶴「残念だったな……」

    提督「私は誰にでも簡単にはキスはせんよ」

    瑞鶴「もう! 提督さんズルいよ」

    提督「ああ、何とでも言うがいい」

    瑞鶴「はあ……」

    提督「何だ? 私に愛想が尽きたか?」

    瑞鶴「ううん、その逆。提督さんってこんイタズラ好きな所もあるんだなって」

    提督「まあ多少は、な。鎮守府での職務中にはは絶対に出さないが」

    瑞鶴「じゃあどうして私の前では出してくれたの?」

    提督「私が堅苦しい空気を纏っていたら瑞鶴はもっと緊張してしまっていただろう? だからだ」

    191 = 1 :

    瑞鶴「そこは、今は瑞鶴しか居ないからだ、とか言ってくれる所じゃないの?」

    提督「ああ、勿論言わない。私は事実を述べる迄だ」

    瑞鶴「意地悪!」

    提督「そうか、お前はみんなの前で吊るし上げられたいのか? お前の人には言えないような弱みやクセは全て知っているぞ」

    瑞鶴「な、何で!!? 何で提督さんがそんな事を!!?」

    提督「瑞鳳がな」

    瑞鶴「瑞鳳……って、瑞鳳が何で!!?」

    提督「相部屋だろう?」

    瑞鶴「それはそうだけど、出逢ってまだ一ヶ月とちょっとだよ!!? そんな短期間にどうして!!」

    提督「瑞鳳の観察眼を舐めない方がいい。私でさえも嘘を見抜かれる。怖い子だよ、瑞鳳は」

    瑞鶴「提督さんの嘘って?」

    提督「瑞鳳や陽炎を部屋に返した後、睡眠時間を削って書類仕事を進めた日の朝に対面して数秒でバレた。いつもよりも目が細くなっているって指摘されたよ」

    瑞鶴「…………」

    提督「何か私に言う事は?」

    瑞鶴「提督さんに向かって暴言を吐いてしまってごめんなさい……」

    提督「よかろう……さて、お喋りはここまでだ」

    瑞鶴「え? あ!」

    提督「中では元帥殿や大将、そして私と同階級の佐世保、舞鶴、呉、大湊の提督が待っている」

    瑞鶴「うん、じゃなくて………はい!」

    提督「基本的には教えた通りにしていればいい。もしも瑞鶴の発言を求められたらその時は発言をするんだ。大丈夫だと思うが、粗相の無い様に気を緩めるなよ」

    瑞鶴「はい!」

    提督「心の準備は?」

    瑞鶴「大丈夫です」

    提督「ああ」

    コンコン コンコン

    192 = 1 :

    コンコン コンコン

    大将「誰だ?」

    提督「横須賀鎮守府を預かっております提督と、秘書艦の瑞鶴です」

    大将「お前か。入りなさい」

    提督「はっ。失礼します」

    カチャッ パタン

    提督「お待たせしてしまい大変申し訳ありません」

    大将「よい。お前には酷な任務を頼んでしまったからな。ご苦労だった」

    提督「いえ、私には勿体無きお言葉です」

    大将「謙遜ばかりしていると嫌味になってしまう。その悪い癖は直した方がいい」

    提督「はっ!」

    大将「まあ座るが良い」

    提督「では、御言葉に甘えて……」スッ

    瑞鶴「ぁ……失礼します」スッ

    元帥「その娘は……確か初めてだったな」

    提督「最近新たに建造した翔鶴型航空母艦二番艦の瑞鶴です」

    元帥「前回迄は瑞鳳を秘書艦として同伴させていたが、何故変えた?」

    提督「これ迄は瑞鳳を秘書艦として同伴させておりましたが、正直申し上げますと私と瑞鳳が鎮守府不在の間は、鎮守府の機能は大幅に低下しておりました」

    元帥「そうだったな」

    提督「しかし、瑞鶴を秘書艦として登用することによって瑞鳳を鎮守府に残す事が可能となりました」

    提督「もしも私が不在の間に鎮守府に何かしらの危機が訪れても、鎮守府の内情を最も把握している彼女ならば私と同等の指揮が取れ、臨機応変に問題へ対処出来る様になります」

    元帥「ふむ」

    提督「そして瑞鶴自身に関してですが、瑞鶴には瑞鳳と同等以上の性能を発揮する事が出来ます。これが初めての任務という事もあり、礼儀作法等は些か瑞鳳には劣るものの、何度もこの様な場を経験すればそれも様になるでしょう」

    元帥「彼女を同伴させる事にはメリットがある為変更したのだな?」

    提督「はい」

    元帥「うむ。了解した」

    提督「はっ!」

    元帥「では、全員揃った事だ。今回の任務に関する横須賀の中将からの報告を聞こうではないか」

    193 = 1 :

    今日はここまでです!

    また来ますね!

    196 :

    では、報告をさせて頂きます。

    私達横須賀鎮守府は皆様がご存知の通り欧州の生き残りの国とコンタクトを取る為に出撃することになりました。

    その第一段階として、リランカ島を基点とし、深海棲艦の拠点であるアンズ環礁を攻略しました。

    リランカに到着するまでの間損害を受けずに無傷で済んだのは呉、舞鶴、佐世保鎮守府が敵を撃退して下さったお陰です。誠にありがとうございました。

    アンズ環礁攻略につきましては先に報告させて頂いておりますので端折らせて頂きます。今回の本題はこの後です。

    アンズ環礁制圧後我等は西進し欧州に突入しようと準備を整えていたのですが、そんな我等の前にとある艦娘が現れました。

    ドイツ所属のUボートの艦娘、U-511です。彼女はドイツ軍の命令で人間や艦娘が生き残っていたイタリアへ派遣されていました。

    ですが、イタリアに到着した彼女が見た光景は、深海棲艦が跋扈し人間も艦娘も全員が消え去った深海棲艦の世界でした。

    生存者がいない事を確認した彼女はドイツに戻りイタリアの現状を報告しようとしたとの事でしたが、彼女がドイツを離れていた十数日の間にドイツも深海棲艦に滅ぼされていたとの事でした。ドイツも人間艦娘共々全滅したと報告を受けております。

    帰るべき場所を喪った彼女は、記憶に残っているもう一つの母国である日本を目指し、奇跡的にアンズ環礁で私達に遭遇する事が出来ました。

    これが今回の作戦で得る事が出来た情報になります。

    197 = 1 :

    元帥「…………」

    大将「…………」

    呉提督「やはり欧州は深海棲艦の手に落ちていたのか」

    佐世保提督「横須賀に合流したU-511が偽りの情報を提供している可能性は?」

    提督「それは無いでしょう。嘘を吐いて彼女が得る事が出来るメリットはありません。又、深海棲艦の制圧下にある広い海域を単独で横断するのはリスクが余りにも高すぎます。ドイツも限られた防衛の戦力を無下に手放したりしないでしょう」

    佐世保提督「確かに」

    舞鶴提督「もしも西側がその様な状況なのだとしたら、もはや欧州は全滅したと考えた方がいいか」

    提督「ええ、そうですね。何せ最大の戦力を有していたイタリアとドイツが陥落したのですから」

    大湊提督「このままだと近い内に日本は深海棲艦に取り囲まれる事になりかねない」

    提督「本来ならば攻勢に出るべきなのですが、虎の子の呉、佐世保、舞鶴が壊滅してしまった今、戦力を回復させる迄は我が横須賀と大湊が中心となって近海や海上輸送ラインを守らねばならないでしょう」

    大湊提督「そうですね……」

    大将「元帥」

    元帥「うむ」

    大将「本来ならばそうするのが筋であろう。だが、そうはいかない」

    提督「どういう事でしょうか?」

    大将「東部オリョールだ。横須賀の力で漸く手に入れた資源地帯だが、あそこを護る為にはもう少し先まで日本の制圧下にある海域を広げた方がいい」

    提督「具体的にはどこまで戦線を拡大するつもりでしょうか?」

    大将「お前はSN作戦を知っているか?」

    提督「大東亜戦争初期に帝國海軍が立案し、アメリカのウォッチタワー作戦により失敗に終わってしまったあのSN作戦でしょうか?」

    大将「そうだ。我らはもう一度ソロモン、ニューギニアの制海権を取り戻す……つまり、これは第二次SN作戦とでも言うべきか」

    198 = 1 :

    提督「大将……それは、またあの泥沼の戦いを繰り返すという事ですか!?」

    大将「いや、それは違う。作戦の詳細は横須賀で決めて欲しいと思っている。かつてと同じ過ちを繰り返さない為にも」

    提督「まさかこの作戦を横須賀のみで行えと仰るのですか?」

    大将「勿論他の鎮守府と連携してくれて構わない。だがお前も知っている通り大湊と横須賀以外の戦力は壊滅。故に立て直している真っ最中だ。あまり無茶な命令はしてはならぬ」

    提督「……分かりました。この作戦、我等横須賀鎮守府が請け負いましょう」

    大将「頼んだぞ」

    提督「はっ」

    大将「最も重要な案件はこれで終わりだな。では、その他の取り決めをしようではないか」

    ………………………………

    ………………

    ……

    199 = 1 :

    大本営 客室

    ガチャ パタン

    提督「ふぅ……瑞鶴、もう気を抜いていいぞ」

    瑞鶴「提督さん……一言言っていい……?」

    提督「なんだ?」

    瑞鶴「怖かったよぉぉぉぉぉぉ!! 緊張した!! 本当に緊張したよぉ〜!」

    提督「よく出来ていたぞ。これなら今後瑞鶴を連れてきても大丈夫だろうな」

    瑞鶴「提督さんに褒めて貰えて嬉しいんだけど震えが止まらないの! あの場所ピリピリし過ぎだよ!!」

    提督「それは仕方ない。慣れてくれとしか言えん……が、今回は大将と元帥が異様に殺気を放っていたな……」

    瑞鶴「私達が作戦を中止したから……?」

    提督「いや、あの判断が間違っていたのならば今回の会議は私を裁く為のものになっていただろう。それに新たな作戦の作成を任せるなんてあり得ない」

    瑞鶴「そうだね……引き受けちゃって大丈夫だったの?」

    提督「正直に言うとあまり良くはない。が、私が作戦の詳細を立案出来るのならば、他の者に任せるよりはリスクはまだ低いだろう」

    瑞鶴「でも、提督さんの負担が増えるよね? 毎日夜更かしなんかしたらダメなんだからね!」

    提督「それは約束出来ない……というよりも無理だ」

    瑞鶴「むー!」

    提督「とりあえずは私達も戦力の補充をしないといけないな。鎮守府に戻ったら建造をしないとならないな」

    瑞鶴「分かった!」

    提督「うむ。まあその話は明日以降じっくり詰めていこう。それよりも明日は夜が明けたらすぐにここを出て横須賀に戻る。もう寝る支度をしなさい」

    瑞鶴「そうだね。じゃあ、提督さんからお風呂入って来る?」

    提督「私は後でいい。瑞鶴から入って来るがいい」

    瑞鶴「でも……」

    提督「上官や部下は関係ない。気にするな」

    瑞鶴「うん……じゃあさ……」

    提督「何だ?」

    瑞鶴「あの……一緒にお風呂入、る?」

    200 = 1 :

    提督「ほう、そんなに地獄を見たいのか? いい度胸をしている」

    瑞鶴「わー嘘!! 嘘!! ごめんなさい!!」

    提督「今のお前には手を出さんし、何をどうしようとは全く考えていない」

    瑞鶴「それって男としてどうなの……?」

    提督「瑞鶴?」

    瑞鶴「何でもない! 何も言ってません!! お風呂先に入って来るね!!」バタバタ

    提督「やっと行ったか」

    ………………。

    提督「瑞鶴、電気を消すぞ」

    瑞鶴「うん」

    パチッ

    瑞鶴「提督さん……」

    提督「何だ?」

    瑞鶴「私、今日ちゃんと提督さんが求める事をちゃんとこなす事が出来たのかな?」

    提督「ああ。しっかり出来ていたよ」

    瑞鶴「ありがと……提督さん。私、これからも頑張るからね。提督さんと並べる用になるまで頑張るから」

    提督「頼むよ。期待している」

    瑞鶴「うん! ……おやすみ、提督さん」

    提督「おやすみ、瑞鶴」

    瑞鶴「幸せ、だな……」

    ………………………………。


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