元スレ京太郎「俺が三年生?」照「私が幼馴染……二番目だけど」
SS+覧 / PC版 /みんなの評価 : ★★★
803 :
・二年、初夏、ライバル
京太郎「いやいや、久ちゃん快勝だな」
久「当たり前でしょ……ままならない相手もいるけど」
京太郎「みほっちゃんか」
久「県予選は今日で最後。勝ち残ってきた相手の中にあの女がいる」
京太郎「つってもちょくちょく当たってたよな」
久「だからこそよ。これまで明確な勝ち負けはなかった……でも、今日は違う」
京太郎「燃えてんな……お、噂をすればだな」
美穂子「あ、京太郎さんと――竹井さん」
804 = 1 :
久「私のことはおまけってわけ?」
京太郎「久ちゃん、やめろよ」
美穂子「私は私の精一杯をぶつけるだけです。それは誰が相手でも変わりません」
久「まぁいいわ……今日は負けないから」
美穂子「私も負けません」
久「行くわよ、京太郎」ガシッ
京太郎「あ、ああ……またな」
美穂子「はい」
美穂子「……負けません、絶対に」
805 = 1 :
『インターハイ個人戦、長野県予選の最終戦が始まりましたね』
『どの選手もこれまで激戦をくぐり抜けてきた強者ぞろいですが、藤田プロが特に注目しているのはどの選手でしょうか?』
靖子『団体戦の天江衣が出場していれば間違いなく台風の目になったとは思うがね』
『では、個人戦の出場選手の中にはいないと?』
靖子『いや、去年も活躍した福路美穂子なんかは期待できるんじゃないか?』
『風越の福路美穂子ですね。今年は全国大会出場を逃しましたが、団体戦のエースとして登用されていました』
靖子『それと、あと一人……』
807 = 1 :
久(もうすぐ東場が終わる)
久(場はほぼ平らで、私とあの女の総合得点に差はほとんどない)
久(なら、ここで点数を稼いだ方が勝つ……!)
美穂子(場が読めない……いえ、見えない)
美穂子(対面の彼女、そこだけがぼやけてかすれたよう)
美穂子(全く見えないわけじゃない。でも……)
久「ロン、11600」
「……はい」
美穂子(油断すると、食い破られる……!)
808 = 1 :
京太郎「これでリードだな……このまま逃げ切れれば一位抜けか」
まこ「しかし、一位にならんでも全国には進めると思うんですけど」
京太郎「色々因縁があるからなぁ」
まこ「あ、それってもしかして」
京太郎「久ちゃんから聞いたのか?」
まこ「ええ、ちょっと」
京太郎「ちなみに、この前のストーカーもみほっちゃん絡みなんだよな」
まこ「じゃあ、先輩がちょっかいかけてたっていうのは」
京太郎「うんまあそうだけど、言い方を考えてくれ……」
まこ「事実なんでしょ?」
京太郎「……はい」
809 = 1 :
『今のはあえて待ちの少ない方へ切り替えたように見えましたが、彼女はこれまでもああいう組み立て方が見られますね』
靖子『相変わらずの上がり方だな』
『藤田プロが注目されているということですが、これまで公式の大会で名前を見たことはありませんね』
靖子『そりゃあそうだろうね』
『ともかくこれで竹井選手が頭一つ分飛び出たことになりますが……』
靖子『そう簡単には終わらないだろうな』
久(これでひとまず差ができた)
久(あとはさらに攻めるか逃げるか……)
久(けれどまだ安全圏とは言い難い、なら――)
久「リーチ」
810 = 1 :
『リーチをかけましたね。さらに点差を広げるつもりでしょうか』
靖子『あるいは点数がへこんだやつを飛ばすか』
『南場を待たずして、対局が終了してしまうかもしれませんね』
靖子『いや、それはどうだろうな』
『だれかが先に上がるかもしれないと?』
靖子『なんにしても……勝負を焦ったな』
美穂子(この状況でのリーチ)
美穂子(点差を広げるのか、対局そのものを終わらせるつもりなのか)
美穂子(どちらかはわからない……でも)
美穂子(靄が、晴れた……!)
美穂子「ロン」
久「――っ」
美穂子「12300です」
811 = 1 :
京太郎「……やられたな」
まこ「さすが風越のエース。ぴったりと合わせられた」
京太郎「いや、多分それだけじゃない」
まこ「と、言うと?」
京太郎「久ちゃんは焦った。だからそこに突き込まれた」
まこ「部長が? いつも通りに見えますけど」
京太郎「俺にはわかるよ。みほっちゃんにもわかったんだろ」
久(やられた……!)
久(これで親は終わりで点数は逆転……)
久(自分でも気づかないうちに焦っていた?)
久(なんにしても、これで私が追いかける立場ってことね)
久(……いいじゃない、やってやるわよ……!)
812 = 1 :
美穂子「ノーテン」
「ノーテン」
久「ノーテン」
「聴牌」
美穂子(これで私の親番は終わり……)
美穂子(この点数なら、攻めることにこだわる必要はない)
美穂子(注意すべき相手は……)
久「……」
美穂子(視線の動きや切り出しの位置、捨て牌から考えると、おそらく聴牌が近い)
美穂子(手を張り替える様子も見られないことからすると、高めの手)
美穂子(オーラスには彼女の親番、ここで勢いづかせるのは危険だわ)
美穂子(それなら――)
美穂子「ポン」
久(ここでオタ風を鳴いた?)
久(まさか――)
「ツモ! 2000・1000」
813 = 1 :
『竹井選手は高めの手を張っていましたが、先を越されましたね』
靖子『いや、あれは妨害されたんだ』
『あのツモ上がりにですか?』
靖子『福路美穂子にだよ。あそこで鳴いても自分に得はない』
『他家の待ちを読んだ上でずらした、ということですか?』
靖子『さすがにあそこまでピタっと嵌ったのは偶然だろうがね』
久(またやられた……!)
久(読まれた? 気取られた?)
久(ダメ、心の中に焦りが募っていく)
久(次はオーラス、私の親番)
久(このままでも上位三名には入れる)
久(でも、あの女には……)
京太郎『だけど、久ちゃんの隣にいる』
京太郎『隣にいて、支えるよ』
814 :
なんか麻雀の試合なんだけど……こえーー
815 = 1 :
久(……あいつ、見てるのよね)
久(じゃあ、負けられないじゃない……!)
美穂子(……空気が変わった)
美穂子(また、見えなくなってる)
美穂子(まずいわ、上がられる前になんとかしないと……!)
久「リーチ」
美穂子(聴牌の気配に気付けなかった!?)
美穂子(まさか、理牌していない? 視線の動きですらブラフ?)
美穂子(現物がない……けど、比較的安全なのは――)トン
久「ロン」
美穂子「――っ」
久「メンピンに一発で5800ね」
816 = 1 :
『オーラスで親の和了、ですが点数は福路選手の方がリードしています』
靖子『この時点で全国出場は確定している。だが、トップ抜け以外は考えてないだろうな』
『竹井選手が一位になるまで上がり止めはないと?』
靖子『3900以上の直撃、5800以上のツモ……はたまた他家が追い落とすか』
靖子『なんにしても、勢いに乗ったあいつは強いぞ』
京太郎「……多分、次で最後だ」
まこ「部長……」
京太郎「大丈夫だ、きっと勝つさ」
京太郎(そうだろ、久ちゃん)
817 = 1 :
美穂子(点差は7000とちょっと)
美穂子(彼女の上がりはもちろん、他家からの直撃でもひっくり返りかねない)
美穂子(このまま堅実に守り抜けば……!)
美穂子「……」トン
久(点差は7000とちょっと)
久(もちろん対面以外だって油断できない)
久(でも、引っ込んだら勝ち取れない……!)
久「リーチ!」
美穂子(また聴牌していた……!)
美穂子(ダメ、鳴ける牌がない……ずらせない!)
久(待ち牌は二枚どころか三枚切れ)
久(引掛けでもないのに、こんな待ちを選ぶのはおかしいってのはわかってる)
久(でも、私はこれでやってきた。これでやってこれた)
久(ひねくれた私のひねくれた待ち……)
久(でも――)
久「――ツモ、2600オール!」
久(――上がっちゃうんだから仕方ないじゃない……!)
818 = 1 :
美穂子(点差は7000とちょっと)
美穂子(彼女の上がりはもちろん、他家からの直撃でもひっくり返りかねない)
美穂子(このまま堅実に守り抜けば……!)
美穂子「……」トン
久(点差は7000とちょっと)
久(もちろん対面以外だって油断できない)
久(でも、引っ込んだら勝ち取れない……!)
久「リーチ!」
美穂子(また聴牌していた……!)
美穂子(ダメ、鳴ける牌がない……ずらせない!)
久(待ち牌は二枚どころか三枚切れ)
久(引掛けでもないのに、こんな待ちを選ぶのはおかしいってのはわかってる)
久(でも、私はこれでやってきた。これでやってこれた)
久(ひねくれた私のひねくれた待ち……)
久(でも――)
久「――ツモ、2700オール!」
久(――上がっちゃうんだから仕方ないじゃない……!)
819 = 1 :
京太郎「久ちゃん、やったな!」
まこ「正直、久しぶりに震えました」
久「ありがと」
京太郎「どっか行くか? 今日は俺のおごりでいいぞ」
まこ「うちの店でもいいですよ」
久「うん……でも、その前に会っておきたい人がいるから」
美穂子「負けた……」
美穂子「全てを出したつもりだった……それでも負けてしまった」
美穂子「あの頃の上埜さんが……いえ、それ以上になって帰ってきていた」
美穂子「それに……」
久『リーチ!』
美穂子「私は、最後の最後で引いてしまった」
美穂子「でも彼女は前に出た」
820 = 1 :
華菜「先輩っ」
美穂子「池田さん……」
華菜「全国出場、おめでとうございます!」
美穂子「ありがとう、あなたも頑張ったわね。ベスト20入りじゃない」
華菜「先輩に比べれば全然だし」テレテレ
美穂子「ううん、私はあなたよりも先輩だから……きっと一年後はもっと上に行けるわ」
華菜「私、頑張りますっ」
美穂子「期待してるわ」
久「ちょっといい?」
美穂子「……竹井さん」
華菜「むっ」
久「二人きりで話したいことがあるの」
華菜「そういうのはまず華菜ちゃんに――」
美穂子「わかりました」
華菜「先輩!?」
美穂子「大丈夫、少しお話するだけだから、ね?」
華菜「う~、わかりましたよぅ」
久「じゃあ、行きましょ」
美穂子「はい」
821 :
熱いなあ
822 = 1 :
美穂子「あの、それで話とは?」
久「今日は私の勝ち。これで一勝一敗ね」
美穂子「……はい」
久「麻雀は、だけど」
美穂子「……何が言いたいんですか?」
久「とぼけないでよ、京太郎のことよ」
美穂子「私は……」
久「あいつ、事あるごとにあんたのことばかりよね」
久「みほっちゃんみほっちゃんって……バカじゃないの?」
久「この前なんて、同じ部の私をほったらかしてあんたを慰めてたみたいだし」
久「はっきり言って、気に入らないわ……!」
美穂子「……」
久「何か言ったらどうなの?」
美穂子「私、だって……」
823 :
女の戦いって怖い
824 = 1 :
美穂子「京太郎さんは、口を開けばあなたのことばかり」
美穂子「久ちゃん久ちゃんって……」
美穂子「いつだってそう……あなたはいつも一緒にいられて、私は違う」
美穂子「私だって、気に入りません……!」
久「なによ、このっ」ガシッ
美穂子「いたっ……やめてください!」
久「あいつ胸が大きな子が好きだからね! どうせそれだけだろうけど!」
美穂子「なっ……!」
久「でも生憎とね! 一緒にいる時間はこっちのほうが長いんだから!」
美穂子「それがなんだって言うんですか! 付き合いの長さが全てじゃありません!」
久「――っ、黙れ!」
美穂子「何か言えって言ったのはそっちです!」
久「このっ!」
美穂子「なんですか!」
825 :
キャプも言い返すか!
826 = 821 :
キャットファイトきた
仲良く喧嘩しな
827 = 1 :
久「……ボロボロね」
美穂子「……お互い様です」
久「こうやってだれかと取っ組みあったの、久しぶり」
美穂子「私は初めてです」
久「バカみたいね……」
美穂子「本当に……」
久「……でも、なんかすっきりした」
久「ねえ、美穂子って呼んでいい?」
美穂子「じゃあ、私は久って呼んでもいいですか?」
久「もちろんよ」
久「負けないから……色々と」
美穂子「私も負けません……色々と」
久「……ぷっ」
美穂子「……ふふっ」
『二年、夏、全国へ』が解放されました
828 = 814 :
しかし、全国には奴がいる
セカンドが
829 = 1 :
選択済みエピソード
・一年
入学式、久との再開
春、美穂子登場
春、二人のあいだにある壁
美穂子再び
初夏、久との対立
初夏、美穂子への依頼
初夏、美穂子との特訓
初夏、決戦前夜
決戦
初夏、リスタート
夏、新たな出会い
夏、欠けた月
夏、初めての執事(アルバイト)
夏、衣の麻雀講座
今宵、月が満ちるとも
夏休み、遠征初日
夏休み、松実姉妹
夏休み、遠征二日目――鹿児島
夏休み、眠り姫
夏休み、遠征三日目――大阪
夏休み、目覚めぬ未来
夏休み、遠征四日目――岩手
夏休み、八尺(実際には六尺五寸)
夏休み、遠征最終日――東京
夏休み、グランドマスター
夏の始まり
エピローグ
その後の美穂子
秋、バイト執事再び
秋、衣の誕生日(略してころたん)
秋、膝枕の日
冬、雪の降り始め
冬、年の初めに
冬、節分の前の日
三月八日、一年後の誕生日
三月十五日、好みのタイプは?
三月十六日、初めてのお出かけ
・二年
部活動紹介、まこ入部
春、学食にて
美穂子との再会
初夏、ストーカー?
初夏、池田の逆襲
初夏、タイムリミット
初夏、県予選開始
初夏、団体戦決着
初夏、縺れた糸
初夏、まこの苦労日記
初夏、ライバル
・三年
優希との出会い
春、和の初恋?
春、インハイチャンプ
初夏、最後の一人
初夏、不和
和の悩み
咲との微妙な関係
優希の好物
・EX
小学五年、幼馴染
中学二年、三月、照との別れ
830 = 1 :
『三年、秋、天照大神』の解放条件を一部満たしています
三年編のインターハイを終わらせることで完全に解放されます
現在選択可能エピソード
1・一年、三月、おもちと温泉と
2・二年、夏、全国へ
3・三年、初夏、合宿
>>+2
831 = 825 :
ギスギスはすっきりで無くなって好敵手って感じだな
832 = 823 :
1
834 :
このSSの続きを毎日楽しみにしてる
835 = 1 :
1で了解
今日のエピソードだけ見ると久が主人公以外の何者でもないですね
キャップとは川原で殴り合う的な展開を経て認め合ったわけですが
ともあれ、全国大会に入ったら登場人物が増えます
大阪の面白い顔の人とか、奈良の王者とか、マイル・シローズとか
あとは荒川ナースとか、セカンド幼馴染ですかね
当然、一年編で出会ったキャラも出る人は出ます
そしてこっちの苦労も増えるという仕様……
それじゃ、いい加減寝ます
837 :
おつー
今回も楽しませてもらったよ
841 :
乙
全国も楽しみだ
842 :
乙
セカンド幼なじみとかマイナスなイメージが強いのに照からラスボス臭がするのはなぜなのか
843 :
真・ヒロインだからやろ
京ちゃんが立ち直れたキッカケを作った子やし
844 :
乙
二年の県大会編が終わって遂に全国ヒロイン群雄割拠編ですか
セカンドは脅威となるかかませになってしまうのか気になるな
845 :
最後で照がもっていってくれると信じてる
846 :
幼なじみは負ける法則あるし、ラスボス属性>>幼なじみ属性な照が勝つのは確定的に明らか
848 :
いつの間にかヒッサとキャップのキャットファイトが始まっていただと…!
そうか、暫くしたら次は鬼神テルーとか(白目
849 :
おつー
テルーのコークスクリューが炸裂するフラグ...?
850 :
2年目って京太郎巡ってインターハイ個人戦が熱いってノリか
みんなの評価 : ★★★
類似してるかもしれないスレッド
- 京太郎「俺が三年生?」久「私が幼馴染じゃ不満?」 (1001) - [66%] - 2015/2/27 1:30 ★★★×5
- 京太郎「俺が三年生?」玄「私の、育ててほしいな」 (1001) - [63%] - 2016/3/14 0:00 ★
- 京太郎「俺が三年生?」咲「私だって幼馴染だもん……一応」 (1001) - [58%] - 2015/5/30 0:15 ★★★
- 京太郎「俺が三年生?」マホ「お兄さんと一緒です!」 (1001) - [56%] - 2015/12/3 15:45 ★
- 京太郎「俺が三年生?」誓子「えっちなこと……しても、いいよ?」 (1001) - [54%] - 2017/1/3 15:30 ☆
- 京太郎「俺が三年生?」初美「もっと傍にいてもいいですかー?」 (1002) - [53%] - 2018/8/20 0:30 ○
- 京太郎「俺が三年生?」淡「えへへ、だーい好き!」 (1001) - [52%] - 2017/4/22 0:45 ★
- 京太郎「俺が三年生?」ネリー「手、つないでもいい?」 (1001) - [52%] - 2016/5/16 10:00 ☆
トップメニューへ / →のくす牧場書庫について