元スレ提督「怜悧盲目」
SS+覧 / PC版 /みんなの評価 : ☆
401 :
テストとか言って怖いの投下した(ブルブル
403 :
提督「────以上で今回の合同演習の説明は終わりだ」
提督「……何か質問はあるか?」
長門「提督よ、出発はこの後すぐか?」
提督「ああ、演習地の設営の関係で人手が足りていないらしい。すでに摩耶と天龍と龍田は向かわせたからお前らも合流してくれ」
提督「それと、今説明した内容の細部についてはあいつらに伝えていない。その伝達もよろしく頼む」
長門「了解した」
長門「……私からはもう特に無いが、お前らはどうだ?」
時雨「僕も特に無いね」
夕立「夕立も無いっぽい!」
夕立「…………あ、でもでも、ちょっぴり心配かも?」
提督「ん、何が心配なんだ?」
夕立「えっとね、私達皆出かけちゃうでしょ? 提督さん一人で大丈夫かなぁって」
提督「それ、龍田にも似たようなこと言われたぞ……」
提督「心配するな、これでも自炊くらい出来る」
夕立「……本当?」
長門「私は見たことがないが……」
時雨「昔の話だよ。僕がここに来る前と、来て少し経つ頃のお話さ」
時雨「……大丈夫だよね?」
提督「……時雨までそれを言うか」
提督「何だか馬鹿にされてる気分になるな」
時雨「ふふ、冗談だよ」
提督「まったく……」
提督「……質問はもう無いな? それじゃ準備が出来次第出発してくれ」
提督「────くれぐれもよろしく頼むぞ」
夕立「ぽいっ!」
夕立「頑張って全部殲滅するっぽい!」
提督「うん、一応接待だからな? 説明聞いてたか?」
時雨「あはは……」
提督「……夕立の手綱は頼んだぞ、時雨、長門」
時雨「ん、任せてよ」
長門「ああ、任された」
提督「頼むぞ、本当に……!」
404 = 1 :
──────────────────
──────────────────
405 = 1 :
『────本当に見送りはいいのか?』
『ふっ、提督は心配性だな。今生の別れでもあるまいし』
『気持ちだけで十分だよ。ありがとう、提督』
『行ってきまーす♪』
406 = 1 :
提督「────ああ、行ってらっしゃい」
提督「……………………」
提督「………………ふぅ」
提督「皆行っちゃったなー……」
提督(時間は……まだ十二時にもなってないのか)
提督(……飯にはまだ早いな)
提督(この書類終わらせて、資料作ったら丁度いい時間になるか……?)
提督「…………よし、仕事仕事!」
提督「やることやっとかないと笑われるからな!」
407 = 1 :
提督「えーとこの日の戦果は…………で、開発結果は確か…………」
提督「ふむ…………」
提督「…………んー」
提督「………………」
提督(……静かだな)
提督(一人になるなんて何時ぶりだ?)
提督(そりゃあ今までだって一人になる時間はあったけど、それでも誰かが鎮守府に居る感覚はあったし……)
提督(何ヶ月……じゃきかないな。何年ぶり、か……)
提督(………………)
提督(……あ、間違えた)
提督(………………)
提督「────時雨ー?」
提督「…………居るはずない、か。当然だな」
提督(………………)
提督(ふっ、ふふっ……。何だか俺、馬鹿みたいだ)
提督「………………うん」
提督「……ちょっとだけ、寂しいな」
408 = 1 :
──────────────────
──────────────────
409 = 1 :
「────ん、何だい?」
「えーと、どこからどこまでって言われても……」
「今回は全部本当だよ? 演習だってちゃんと行われるし」
「うん、そうだね。提督のことは確かに心配だけど……必要なことだから」
「提督は皆が思っている以上に鋭いから、僕達が隠れたりしても何となく分かると思うよ」
「…………ふふっ、僕は一番付き合いが長いからね。……自慢じゃないよ?」
「……うん、いろいろ考えたんだけど、それしか方法がなかったんだ」
「僕だってなるべく薬には頼りたくなかったよ────っと」
「……………………ふふっ♪」
410 = 1 :
「────『寂しい』だってさ」
「嬉しいなぁ……♪」
411 = 1 :
提督「────終わったー……!」
提督(思ったより時間がかかったな……)
提督(飯、うーん……今から作るのは……)
412 = 1 :
提督「朝のカレー、残ってるかな……?」
413 = 1 :
投下終了。
それではまた。
414 :
乙乙、続きが本当に気になるなぁ…
416 :
長門「────こちら長門。……提督か?」
長門「ああ、そうだな。提督の言う通りもう少しで着く」
長門「…………ふふっ」
長門「ん? いや、深い意味は無いぞ?」
長門「提督が寂しさから連絡してきたかと思うと可愛くてつい、な」
長門「……ふっ、提督がそこまで言うのならそういうことにしておこう」
長門「他に何か用件は?」
長門「………………ああ、その資料なら棚の右側二段目にあるぞ。白いファイルだ」
長門「……他には?」
長門「…………別に何か用件が無くとも私は付き合うぞ? 提督のためならばな」
長門「ははっ、怒るな怒るな。ちょっとしたおふざけだ。たまにはいいだろう?」
長門「────ああ、……ああ」
長門「分かっているさ……また後で、な」
長門「………………ふぅ」
417 = 1 :
時雨「提督からかい?」
長門「ああ、資料の場所を聞かれたが……それはオマケだろうな」
長門「時雨の読み通り、寂しくなったんだろう。……末恐ろしいな」
時雨「……その言い方だと僕が計算高いみたいじゃないか」
時雨「『僕の読み通り』じゃなくて『皆の読み通り』だろう?」
長門「ふっ、そう謙遜するな」
時雨「あー、もうっ……、そういうのじゃないのに……」
時雨「まったく……」
長門「ふふっ……そうむくれるな。可愛い顔が台無しだぞ」
長門「…………それはさておきここからのことだが」
時雨「……そうだね、次に通信が来るとしたら演習前────夕方か、演習後────夜のどちらかだと思うんだ」
時雨「でもどちらも出ないよ。仮にそれ以外で提督から通信が入っても出ちゃ駄目だ」
時雨「代わりに深夜にこちらから通信を入れる」
長門「深夜? 提督が既に寝ていて出ない可能性もあるぞ?」
時雨「それについては大丈夫だよ。ちょっとだけ目が冴えるモノも入れておいたからね」
長門「……………………」
時雨「そんなに怖い顔で睨まないでおくれよ」
時雨「何度も説明したけど、人体への影響は一時的で後遺症も何も無い安全なモノなんだからさ」
長門「そもそもが違法な薬に安全も何もあるか?」
時雨「……ごもっともだね」
時雨「でもさ、皆がこれ以上……あと一年ないし二年も待つことが出来たと思うかい?」
長門「…………それは」
時雨「────僕は無理だよ」
418 = 1 :
時雨「今までずっと、提督のために頑張ってきた。最初は見返りも何も要らないと思ってたけど、流石にもう限界だよ。少し、ほんの少しでもいいからご褒美が欲しい」
時雨「────提督が欲しい」
419 = 1 :
時雨「────っと、ごめんよ」
時雨「こんな時に言うことじゃ無かったよね」
長門「……いや、そうでもない」
長門「何故そこまで頑張れるのか、ずっと疑問だったが……今やっと理解できた」
長門「……我慢していただけで、時雨も私達と同じだな。安心したよ」
長門「…………私も、そうだ」
長門「────提督に必要とされたい」
長門「…………こんな時に言うことでは無かったか?」
時雨「……ううん。そんなことないさ」
時雨「分かってくれて嬉しいよ」
時雨「………………楽しみだね、長門」
長門「────ああ、そうだな」
420 = 1 :
夕立「────お待たせー♪」
夕立「待ったっぽい?」
時雨「お帰り、夕立。全然待ってないよ」
長門「ちゃんと沈めてきたか?」
夕立「もっちろん!」
夕立「敵さん、戦艦も空母も居たけど頑張ったっぽい!」
長門「そうか、よくやったな……。偉いぞ」
夕立「万が一でも提督さんのところに向かったら大変なんだから、当然っぽい!」
夕立「でも褒めて褒めてー♪」
時雨「偉い偉い、夕立は凄いね」
夕立「えへへー♪」
421 = 1 :
投下終了です。
もう少しで本編が終わります。
予想以上にマイルドに終わりそうです。
それではまた。
422 :
乙です
カレーは中辛が好きだな(すっとぼけ
424 :
……マイルド?
425 :
アギトかな?
426 :
寒い。
夕方頃からずっと、気持ちの悪い寒さに襲われている。
体が震えてしまうほどというわけではないが、その気持ちの悪さから思うように仕事は進まず、予定していた分量を残したまま早々に切り上げてしまった。
風邪をひいたかもしれないと思って熱を測ってみたが問題は無く、他の病気を考えてみるものの、鎮守府を無人にするわけにはいかないためそもそも病院等に行くことが出来ないということに気付いて諦めた。
ともかく、これ以上の悪化は不味い。
食欲は無かったが栄養を摂らない訳にもいかない。本日三度目となるカレーを無理やり胃に流し込み、自室のベッドに潜り込む。
この時点で時計は八時頃を指していた。
そして今、その時計は頂点を回ろうとしている。
眠れない。
もちろん体調の悪さというのもある。
しかしそれ以上に心配で仕方無いのだ。
枕元に置いた通信機はうんともすんとも反応を見せない。
あれから一度も、連絡が来ていない。
何か不測の事態が起こったのかもしれないと思い、本部に問い合わせてみたが、無事に到着して演習に参加したらしい。
彼女達から直接の連絡が来ないのは、何か理由あってのことなのだろう。
そう割り切ろうとしたはずなのに、当の俺はこうして彼女達からの連絡を待ち続けている。
こちらから連絡をしようと何度も思ったが、そのたびに龍田や夕立達の言葉が思い起こされて、直前で踏みとどまってしまう。
それらも含めて、今の自分が情けなくて仕方無い。
身体が弱ると精神も弱るとはよくいうが、今の俺が正にその状態だった。
427 = 1 :
寒い。
夕方頃からずっと、気持ちの悪い寒さに襲われている。
体が震えてしまうほどというわけではないが、その気持ちの悪さから思うように仕事は進まず、予定していた分量を残したまま早々に切り上げてしまった。
風邪をひいたかもしれないと思って熱を測ってみたが問題は無く、他の病気を考えてみるものの、鎮守府を無人にするわけにはいかないためそもそも病院等に行くことが出来ないということに気付いて諦めた。
ともかく、これ以上の悪化は不味い。
食欲は無かったが栄養を摂らない訳にもいかない。本日三度目となるカレーを無理やり胃に流し込み、自室のベッドに潜り込む。
この時点で時計は八時頃を指していた。
そして今、その時計は頂点を回ろうとしている。
眠れない。
もちろん体調の悪さというのもある。
しかしそれ以上に心配で仕方無いのだ。
枕元に置いた通信機はうんともすんとも反応を見せない。
あれから一度も、連絡が来ていない。
何か不測の事態が起こったのかもしれないと思い、本部に問い合わせてみたが、無事に到着して演習に参加したらしい。
彼女達から直接の連絡が来ないのは、何か理由あってのことなのだろう。
そう割り切ろうとしたはずなのに、当の俺はこうして彼女達からの連絡を待ち続けている。
こちらから連絡をしようと何度も思ったが、そのたびに龍田や夕立達の言葉が思い起こされて、直前で踏みとどまってしまう。
それらも含めて、今の自分が情けなくて仕方無い。
身体が弱ると精神も弱るとはよくいうが、今の俺が正にその状態だった。
428 = 1 :
『────提督さん、起きてるっぽい?』
429 = 1 :
待ち望んでいた声に、思わず体が跳ねた。
努めて冷静に言葉を絞り出す。
夕立からの通信は、連絡を寄越さなかったことの謝罪から始まった。
準備の後すぐに合同演習が開始となり、時間に余裕が無かったらしい。
夜も夜で、今度は夜戦が長引いてつい先程まで演習が続いていたとのことだ。
それならば仕方無い。
気にしなくていい、そう告げると夕立の嬉しそうな声が返ってきて、その声音に俺も微笑んでしまう。
続けて演習結果を聞こうと思ったのだが、夕立達も流石に疲れてしまったらしく、通信機越しに欠伸をする音が聞こえた。
かなり名残惜しかったが、俺のように体調を崩されては困る。二言三言の言葉を交わし、また後で、という言葉とともに通信は途切れてしまった。
しばしの余韻の後、思い出したかのように寒さが襲ってくる。
寒い。さっきより、ずっと。
無意識に通信機に伸ばしかけた手を、寸前で引っ込める。
ちっぽけなプライドだ。馬鹿馬鹿しい。
体を丸めて、暗闇の中で目を瞑る。
寒い。
寒い。
430 = 1 :
…………寂しい。
431 = 1 :
鳳翔「────こんばんは、提督」
鳳翔「初めまして、ですね」
432 = 1 :
時雨「……どうしてここに居るんですか?」
時雨「あなたには最後の詰めをお願いしたはずです」
「…………大丈夫です」
「私よりも適任な方が、向かってくれましたから」
時雨「……詳しく話してくれるんだよね?」
「ええ」
「────全て、お話し致しましょう」
433 = 1 :
投下終了。
二重投稿がありました。すいません。
次の投下で本編終了です。
エピローグ、番外編と続きます。
疑問点は質問にてお答えします。
それではまた。
435 :
いよいよ終わりかぁ、どういう風に終わるんだろうか
436 :
ほうしょうさんと榛名のダブルプレー?
437 :
続きまってますよー
438 = 437 :
続きまってますよー
439 :
いつまでもまってます
440 :
まだかなー?
441 :
遅いな
442 :
いつまでも待ってるよ
443 :
……り、リアルが忙しくて。
もう少々お待ちください。
次の土・日には投下いたします。
446 :
待ってます
447 :
────ふと気付いたら、俺は飯を食べていた。
448 = 1 :
提督「…………あれ?」
提督(今、何を考えていたんだっけ?)
提督(…………何か、何かとても大事なことを考えていたような……)
提督「……美味い」
提督(いやいや、悠長に食べてる場合じゃないんだけど)
提督(────ああ、くそっ。全く思い出せない……)
提督(……というか飯が美味くて困る。さっきから箸が止まらないし、考えることよりも食べることを優先してしまう)
提督(俺の好みを知り尽くしているかのような絶妙な味付けがされた料理の数々……こんな美味しい朝ご飯は『初めてだ』)
提督(………………初めて?)
提督(いや、そんなことはないはずだ)
提督(だってこれを作ってくれたのは────)
449 = 1 :
鳳翔「────お味はいかがですか?」
450 = 1 :
提督「ああ、鳳翔さん」
提督「『いつも通り』美味しいですよ」
鳳翔「ふふ、そうでしょうか? それは良かったです」
鳳翔「……頑張った甲斐がありました♪」
提督(美味しいって言っただけでこんなに喜ぶなんて、鳳翔さんは大げさだなぁ……)
提督(そんなこと『何回も言った』はずなのに……)
提督(………………)
提督(…………何回も?)
鳳翔「提督」
提督「は、はいっ! 何ですか!」
鳳翔「ふふっ、どうしてそんなに驚くんですか? 『何か考え事でもしていましたか?』」
提督「……いや、大したことじゃありませんよ」
提督「それよりも、おかわり、良いですか?」
鳳翔「はい、もちろん」
鳳翔「少々お待ちくださいね?」
提督「ええ、よろしくお願いします」
提督「………………」
提督「…………あれ?」
みんなの評価 : ☆
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