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元スレ榛名「榛名だってイチャイチャしたい」
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榛名「……」
榛名(提督を探すといったものの、会うのが少し怖い気がした)
榛名(……いろんな感情が渦巻いて、今どんな顔して会えばいいのか、ちゃんと笑顔を作れるのかわからない)
榛名「……」
榛名(結局、榛名は中途半端なのだ。気持ちの整理もつけないまま、戦うことで気を紛らわしてるだけ。だから大事なところで戦果がだせない)
榛名「でも、気持ちの整理なんて……あ」
夕張「――――」
榛名(廊下の向こう、曲がり角のところに夕張さんが見えた。彼女なら提督の居場所を知ってるかもしれない)
榛名「夕張さ――」
榛名(出しかけた言葉を呑み込む)
榛名(彼女は物陰で抱き合っていた。提督と)
夕張「ん……」チュ
提督「お前、誰かに見られたら」
夕張「大丈夫です。みんな、宴会に夢中ですから」
夕張「最近忙しくてこうして2人でゆっくりできることなかったじゃないですか」
提督「それは、そうかもしれないが……」
夕張「5分だけ。ね? そうしたら、戻りましょう?」
提督「……そうやってねだられたら断れないな」
夕張「ふふ、提督……」チュ
榛名「……あ」
榛名(気付いたら逆方向に駆け出していた)
榛名「……」
霧島「あ、榛名おかえり。提督は?」
榛名「……もう少ししたら戻ると思う」
隼鷹「ひゅ~、やったぜ! みんなに報告だぁ!」ダッ
霧島「きゃっ、ちょっと、私も!?」
榛名(隼鷹さんに引っ張られて席を離れる霧島を横目に、席に座ってお酒を流し込む)
榛名(動悸が止まらない。胸が痛い。苦しい)
榛名(どうして)
榛名(これは榛名が望んだことのはずなのに)
榛名(提督と夕張さんの仲が深くなることが、提督の眼に榛名が映らなくなっていくことが、こんなにも苦しいなんて)
榛名(榛名が身を退けば退くほど、提督のために戦えば戦うほど、尽くせば尽くすほど、提督の中から榛名がいなくなっていく)
榛名(そういうことなんだ)
榛名(辛い。辛い……)
榛名「」グッ
榛名(でも、それでももう……榛名は諦めるしかないんだ)
金剛「……」
―― 祝勝会後 廊下
金剛「榛名」
榛名「……お姉様?」
金剛「大丈夫? なにかあった?」
榛名「え?」
金剛「なんだか無理してるように見えたから……」
榛名「っ……そんなことありません。榛名は大丈夫です」
金剛「本当?」
榛名「……ええ、榛名は大丈夫です」
金剛「嘘。今だって怖い顔してるよ。気付いてる?」
榛名「え……」
金剛「榛名。私には取り繕わなくていいんだよ? 辛いなら辛いって、ちゃんと言って欲しい」
榛名「お姉様……」
金剛「……私、最近榛名の笑顔見てません」
榛名「そう、でしょうか」
金剛「……やっぱり提督のこと?」
榛名(さっき見た提督達の姿が頭をよぎる)
榛名「違います」ズキッ
榛名(お姉様はきっと本気で榛名を心配してくれている。でも、お姉様が提督のことを口にする度に胸が苦しくなった)
金剛「提督のこと……本当はそんな簡単に諦められるものじゃなかったんでしょう?」
榛名(夕張さんと抱き合う姿が、唇を重ねる姿が、幸せそうな笑顔が頭を埋め尽くしていく)
榛名(苦しい。止めて欲しい。榛名は諦めなくちゃいけないのに)
榛名「……だとしても、榛名はもういいんです」
金剛「本当? 榛名、本当はまだ提督のこと」
榛名「やめてください!」
金剛「」ビクッ
榛名「そんなこと言われなくたって榛名が一番わかってるんです!」
榛名「でも仕方ないじゃないですか!」
榛名「榛名はもう拒絶されてしまった! なのに、諦められるとかまだ好きなのかとかどうしてそんなことを聞くんです!?」
榛名「これ以上榛名にどうしろって言うんですか!」
金剛「榛名……」
榛名「……」ハァハァ
榛名「ごめんなさい。もう、諦めさせてください……」
榛名「榛名はこれ以上提督に迷惑をかけたくない」
榛名「失望されたくない」
榛名「――嫌われたく、ないんです」ジワッ
榛名「だから……」ポロポロ
金剛「ごめん。ごめんなさい榛名」ギュッ
榛名「う、うぅ……あっ、ああぁぁぁ」ポロポロ
金剛「ごめんね。辛かったね……」ナデナデ
榛名「あああぁぁぁああああ」ギュー
金剛「……」ヨシヨシ
――――
――
榛名(あの後、榛名はお姉様にしがみついて大泣きしてしまった)
夕張「今日の出撃は戦闘哨戒です」
夕張「先日大規模作戦を行いましたが、反攻が無いとは限りません。敵艦隊の動向を調査し、接敵した場合は可能な限りこれを撃破します」
夕張「哨戒ルートですが――」
榛名(今思えば誰かに見られてもおかしくない状況だったが、私たちの様子に気付いた比叡姉様と霧島が上手いこと人払いをしてくれたらしい)
夕張「……榛名さん、聞いてます?」
榛名「」ハッ
榛名「大丈夫です。すみません」
夕張「珍しいですね。ぼーっとするなんて。調子が悪いなら無理せず言ってくださいね?」
榛名「いえ、榛名は大丈夫です! 行けます!」
夕張「なら、良いんですが……こほん」
夕張「本作戦の説明は以上です。何かありますか?」
北上「な~し」ヒラヒラ
赤城「特にありません」
金剛「No problemネ!」
加賀「問題ないわ」
夕張「では、準備に取り掛かってください」
――海上
榛名(ひとしきり泣いたことで気持ちの整理ができたと思いたいが、そう上手くはいかないものだ)
榛名(あれから数日が経ったのに榛名の心には未だぐずぐずが残っていて、それがどうしようもなく榛名を苦しめる)
赤城「――!」
榛名(それでも榛名は戦わなくてはならない。今までの償いのため、提督のため……そう思ってこれまで頑張ってきたのだから)
夕張「ーーーー」
榛名(でも、榛名は見てしまった)
金剛「――」
榛名(榛名に見せたことのない笑顔で)
榛名(榛名にかけたことのない幸せそうな声音で)
榛名(榛名に触れた時とは違う優しげな手つきで)
榛名(夕張さんを抱き寄せる提督を)
榛名(接吻を交わす2人の姿を)
北上「――い! 榛名!」
榛名(今思い出しても胸が苦しい。叫びだしてしまいたいほど、心が痛い)
榛名(どうして榛名じゃないんだろう)
榛名(諦めるなんて嘘だ。戦果を求めてる理由だって、償いのためだけなんかじゃない。榛名は提督に見て欲しくて、提督の一番になりたくて)
榛名(榛名だって本当は……ずっと前から、今だって――)
夕張「榛名さん避けてっ!」
榛名「」ハッ
榛名「しまっ」ズッ
榛名(夕張さんの声に、榛名が我に返った時にはもう遅かった)
榛名(目の前に迫っていた敵の砲弾は榛名の顔を掠めると、そのまま榛名の右舷装備に直撃した)
榛名「きゃぁぁぁぁ!」
榛名(爆発が起こり、艦が揺らぐ)
榛名(右舷の砲塔が吹き飛び、爆発がまた新たな爆発を呼んだ)
妖精1「敵砲弾、右舷に直撃! 第一、第二砲塔大破!」
榛名「くっ……第三、第四砲塔回頭! 当たらなくても良いです! 牽制してください!」
榛名「消化急いで! 誘爆を防いでください! 両舷全速!」
榛名「っ!?」ガクン
妖精2「右脚艤装、応答ありません!」
妖精1「敵、第二射来ます!」
妖精2「右舷艤装完全に沈黙、駄目です! 艦の水平を保てません!」
榛名(冷たい海水の感触と共に、右足が沈むのを感じた。右脚の浮力も推力も失ったせいで右半身が酷く重い)
榛名(グラリ、と視界が傾き、右脚が波に包まれる)
榛名(幸か不幸か、榛名の姿勢が崩れたことで、敵の砲弾は榛名の横を掠めて海の中に消えた)
榛名(大きな水柱が立ち、榛名の身体を揺らす。)
榛名「っ……左脚機関最大! 右舷艤装を全て破棄」
妖精「しかし、そんなことをしては艤装の加護が半減してしまいます!」
榛名「このまま的になるよりはマシです!」
妖精「~っ!」
榛名(軽くなった身体を左足の推力で何とか立て直す)
榛名「主砲! 砲撃開始!」
夕張「っ……金剛さん! 榛名さんがやばい! フォローして!」
金剛「言われなくても!」
ズッ
金剛「っ」
戦艦ル級「……」ズズズ
金剛「Shit」
夕張(ル級に阻まれて金剛さんの足が止まる)
夕張「っ」チラッ
駆逐イ級「――!」ザパァッ
夕張「ちっ」
夕張(海から飛び出してきたイ級を避け、20.3cm連装砲で土手っ腹に風穴を空ける)
夕張「」クルッ
夕張(舞い上がった爆煙を抜け、振り返りざまに榛名さんと対峙している戦艦タ級へ艦首魚雷を放った)
夕張「赤城さん!」
夕張(私がそう声を上げた時には、空を赤色のリボンのエンブレムをあしらった艦載機が空を舞っていた)
夕張(艦載機が金剛さんの行く手を阻んでいたル級へ次々に爆撃していく。同時に幾つかの艦載機が榛名さんの方へ向かうのが見えた)
赤城「……」ウィンク
夕張(流石、よく見てるなぁ)
妖精「敵、砲撃を確認!」
榛名「回避します!」
榛名(敵の砲弾が榛名の顔の真横を通り過ぎていく)
榛名「っ」
榛名(榛名の顔の真横を掠めた砲弾は、榛名の頬を切り、同時に幾束かの髪の毛を引きちぎっていった)
榛名(引きちぎられた何本かの髪の毛と一緒に、髪留めが落ちていくのが見えた。提督に頂いた、大切な髪留め)
榛名(普段は大破しても取れることはないのに。艤装を半分破棄したのがよくなかったのだろうか)
榛名「駄目っ」
榛名(思わず手を伸ばすが届かない)
榛名(嫌だ、と思った)
榛名(アレを失ってしまったら、提督へのこの気持ちまで失ってしまう。そんな気がした)
榛名(叶わなくたって、馬鹿みたいだって、榛名はまだこの気持ちを失いたくない)
榛名(立ち止まり、海の中に手を伸ばす)
妖精「敵、砲撃を確認! 着弾まであと――」
榛名(妖精が何か言っているが、耳に入らない)
榛名(伸ばした手の先で、榛名の想いが海へ落ちていく)
榛名(上手くいかない)
榛名(どうして……?)
榛名「榛名はただ――」
金剛「榛名!」
榛名(伸ばした手は、お姉様に握られていた)
榛名(そのまま引っ張られて、敵の砲弾をすんでのところで回避する)
金剛「どうして立ち止まるの!? 死ぬ気!?」
榛名「……」ポロポロ
金剛「榛名?」
榛名「提督に頂いた髪留めを……無くしてしまいました」ポロポロ
榛名「榛名は……っ。ごめんなさい」
榛名「まだやれます!」
金剛「榛名……」
金剛「……」ブチッ
タ級「」ズズズ
金剛「ぶち殺し、確定デース」
夕張(どうやら金剛さんは無事榛名さんと合流できたようだ。赤城さんの艦載機がタ級へ爆撃しているのも見える)
夕張(崩すなら、今かな)
夕張「北上さん!」
北上「はいよ~」ジャカッ
北上「酸素魚雷40門、一斉射~」
夕張(40もの魚雷が水面を這い、爆発と水柱が次か次へと立ち上る)
北上「ひーふーみー……あ、ごめん。撃ち漏らした」
夕張(彼女がそう言うが早いか、水柱の間を縫うようにして飛ぶ艦載機があった)
夕張(赤城さんのものと色違いの青色のエンブレム)
加賀「鎧袖一触よ。心配いらないわ」
夕張(艦載機から放たれた魚雷が敵に突き刺さり、残った敵を沈めていく)
赤城「付近に敵影なし」
夕張「了解。各自、戦闘態勢のまま待機」
夕張「赤城さんと加賀さんは偵察機で付近の警戒をお願いします」
夕張「榛名さん!」
榛名「……」ボロボロ
夕張(……思ったより損傷が酷い。今回はここまでかな)
夕張「」ピピッ
夕張「はい、夕張です」
榛名「ゆ、夕張さん。榛名はまだいけます」
夕張「ええ、そうです」チラッ
夕張「……わかってます。では」
夕張「今回はここまでです。この海域を急ぎ撤退します」
榛名「そんな、待ってください! 榛名は大丈夫です! まだやれます」
榛名(嫌だ。戦いで役に立てなければ、榛名は――)
夕張「榛名さん、わかっていると思いますが、大破で撤退はウチの掟です」
榛名「ですが!」
夕張「榛名さん」
榛名「っ」
夕張「撤退です」
榛名「……わかりました」
夕張「榛名さんを中心に輪形陣を敷きます。先頭は金剛さん、北上さんは私と殿を。両翼は一航戦のお二人に任せます」
―― 執務室
提督「……ひとまず、無事で良かった」
榛名「ありがとう、ございます……」
提督「報告は聞いている。戦闘中に考え事か?」
榛名「申し訳ありません」
提督「……その、俺のことか」
榛名「っ……いえ、違います。榛名の個人的なことです」
提督「そうか……内容がなんであれ、戦闘に集中しないのは良くない」
榛名「はい。ごめんなさい」
提督「今回は無事だったが、次はそうはいかないかもしれない。悩みがあるなら、俺でも誰でも良い。相談してくれ」
榛名「……ですが、これは榛名が自分で解決しなければならないものですから」
提督「だったら出撃前に言ってくれ。戦闘に集中できないようであれば、出撃は差し控える」
榛名「そんなっ」
提督「榛名がいくら出たいと言っても、万全でないなら出すわけにはいかない。そんな危険を犯させることはできない」
榛名「そんな、それでは……」
提督「……榛名、お前が最近頑張っているのはその、俺にあんなことをしたからか?」
榛名「」ビクッ
榛名「そ、それは……」
提督「だとしたら、そんなに思いつめなくていい」
提督「言ったはずだ。俺はもう許したと」
提督「そんなことのために必要以上の危険を負う必要はないんだ」
提督「頼むから、無理だけはしないでくれ」
榛名「提督……」
榛名「どうして……どうしてそんなに優しくしてくださるのですか……」
提督「大切だからだ」
榛名「どうして、そんなことを言うのですか」
提督「……これまでずっと一緒にやってきただろ。そうでなくても、俺たちのためにこんなに頑張ってくれているお前を大切に思わないなんて俺には無理だ」
榛名「榛名は提督に酷いことをしました。卑怯なことをしました」
榛名「艦娘としてだって、こうして被害を出して……お役に立ててません」
榛名「それでも、提督は榛名を大切だと、仰るのですか」
提督「そうだ」
榛名「……」
提督(沈黙がヒリヒリと肌を焼くようだった)
提督(彼女は今にも泣き出しそうな顔をしていた。嬉しそうな悲しそうな辛そうな……そんな複雑な表情だった)
提督(そんな彼女を見ると、俺の心もまたズキリと痛む。もしかしたら、俺はまた榛名を苦しめているのか)
提督(それでも伝えたかった。たとえ恋人としてじゃなくても、榛名が十分大切な存在だということを)
榛名「提督にとって榛名は……なんなのですか」
提督「大切な――」
榛名「大切な部下? 仲間? 友人?」
榛名「大切ってどういう意味……?」
榛名「榛名はその言葉をどう受け止めればいいのですか……」
提督「それは……」
榛名「……提督は、榛名をどう思っているのですか」
提督「……」
榛名「……榛名は、提督が好きです」
提督「……榛名」
提督(彼女の頬には涙が伝っていた)
提督(俺を好きだと言って泣いていた)
榛名「榛名は、提督が好きです……」
榛名「榛名を導いてくれるあなたが、支えてくれるあなたが、いつも気にかけてくれるあなたが、優しく話しかけてくれるあなたが、榛名はどうしようもなく好きなんです」
榛名「提督が榛名を大切だというその意味も、提督には夕張さんがいることだって本当はわかってます。でも、だからってどうしたらいいんです?」
榛名「榛名だって忘れようとしました!」
榛名「でも、いくら忘れようとしたって、諦めようとしたってこの気持ちはなくならない。日増しに増えていく気持ち、欲望……榛名は」
榛名「あなたを好きになるほど卑屈になって、苦しくなって……汚い自分に気づいてしまう。でもそのどれもあなたと一緒にいれば受け止められた」
榛名「あなたと一緒にいることが、幸せだったんです」
榛名「だから……だから」
榛名「榛名はあなたに必要とされたかった」
榛名「あなたにとっての一番になりたかった」
榛名「でも、恋人としても、女性としても一番にはなれない」
榛名「だから、艦娘として、兵器として……あなたの、あなたのための武力として、榛名は一番になろうと思ったんです」
榛名「でも、上手くいかない」
榛名「FS作戦でも、敵の旗艦を撃ちぬいたのは時雨ちゃんで……榛名が率いた第一艦隊は有効打すら与えることができなかった。今回だって……榛名はほとんど役にたってない!」
提督「そんなことはない。榛名は必要だ」
榛名「……どうして」
提督「っ……」
榛名「どうして、榛名じゃないのですか……」
提督「榛名……」
榛名「……榛名じゃ、ダメなのですか」
榛名「榛名では、ダメなのですか」
提督「……駄目だ」
榛名「っ」
榛名「どうして、どうしてですか……榛名だって提督を誰より愛しています」
榛名「秘書官の仕事もできます。きっと提督のお役にたてます。支えることができます」
榛名「戦闘だって……今以上に強くなって、きっと提督に勝利をお届けします」
提督「……榛名。そういうことじゃないんだ。わかるだろ」
榛名「……」ポロポロ
榛名「そう、ですよね……榛名……すみません」
提督「」ズキッ
提督「だが榛名、俺は」
榛名「やめてください!」
提督「」ビクッ
榛名「提督には夕張さんがいる! なら、どうして榛名に優しくするんです!? 好意を向けてくれるんです!?」
榛名「もうこれ以上榛名に優しくしないでください!」
提督「榛名、俺は」
榛名「嫌だ! 聞きたくない!」
榛名「どんなに好きになったって、あなたは榛名の想いに応えてはくれないのに!」
提督「っ」
榛名「あ……っ、ごめんなさい!」ダッ
ドア<バタン
提督「榛名……」
今回はここまでです。ありがとうございました
今年中に終わらせられなくてごめんなさい
良いお年を
今年中に終わらせられなくてごめんなさい
良いお年を
乙
これは提督が良くないよな
必要以上に踏み込んじゃってるのにこれだもんな
これは提督が良くないよな
必要以上に踏み込んじゃってるのにこれだもんな
提督の気持ちも間違ってはいないんだがこの状況では最悪の回答だろうな
このまま榛名が不幸にならん展開を祈るわ
このまま榛名が不幸にならん展開を祈るわ
まあ一応榛名が不幸なまま終わってもカタルシスは得られる
ただスレタイが…
ただスレタイが…
そんな保守しても作者の投稿周期からみると続きは月末くらいだと思われるから黙って待とうぜ
お久しぶりです
お待たせしていて申し訳ありません
年を開けてから急に仕事が忙しく、時間が取れませんでした
まだ書き上がっていないのですが2ヶ月経っちゃいそうなので出せるとこまで投下します
お待たせしていて申し訳ありません
年を開けてから急に仕事が忙しく、時間が取れませんでした
まだ書き上がっていないのですが2ヶ月経っちゃいそうなので出せるとこまで投下します
夕張(諸々の雑務を終えて執務室に帰ってきた時だった)
夕張(中から榛名さんの声が聞こえた)
夕張(泣いているような、そんな声だった)
ドア<バタン
榛名「……」
夕張「あ……」
榛名「っ」タタッ
夕張(部屋を飛び出してきた彼女と一瞬目があったが、彼女は何も言わず走りさってしまった)
夕張「……」
夕張(榛名さん……泣いてた)
夕張「……」
提督「……」
夕張(執務室に入ると、呆然と立ち尽くす提督がいた)
提督「夕張……」
夕張(彼もまた、辛そうな顔をしていた)
夕張「……提督」
叢雲「ちょっと、次の遠征のことなんだけど」
提督「……」
夕張「……」
叢雲「……何この空気」
――――
――
叢雲「……ふぅん。ま、なるべくしてなったって感じじゃないの」
提督「っ……」
叢雲「あんた、踏み込み過ぎ。榛名が大事なのはわかるけど、タイミングってもんがあるでしょ。今回は最悪」
提督「しかしこのままでは」
叢雲「心配なら出撃だけ控えさせる命令を出すだけで良かったでしょ。今回のことを嗜めるのはあんたじゃなくてもできたはずよ」
提督「む……」
叢雲「夕張、あんたもよ」
夕張「うん……」
叢雲「気付いてたでしょ。どうして出撃させたの?」
夕張「……それで榛名さんの気が済むならって思って。榛名さんなら多少調子が悪くても大丈夫かなって……」
叢雲「あんたにしては少し浅慮だったんじゃない?」
夕張「うん……ごめん、なさい」
叢雲「私に言ってもしょうがないでしょ」
夕張「……うん」
提督「……」
叢雲「あんたはもう少し榛名を……女性として見るべきよ」
叢雲「あの娘は女性として大切にされたいの。わかるでしょう? それができないなら必要以上に踏み込むべきではないわ」
提督「……ならどうすれば良かったんだ? 冷たくすれば良かったのか? それが無理なら受け入れるしかなかったと?」
提督「だがそれは夕張に対して不義理になってしまう。俺は……夕張だけを愛そうと努力したつもりだ。でもそれは間違いだったのか……?」
夕張「提督……」
叢雲「はぁ……榛名に冷たくするって選択肢はないわけね」
提督「……それは」
叢雲「あんたのその……心に決めた一人を……夕張を愛し抜こうとする姿勢は正しいものだと思う」
叢雲「でも、なら尚更榛名に対して優しくすべきではなかったわ。少なくとも今は……ね」
提督「だが、それは」
叢雲「冷たくしろとか酷いことをしろって言ってるわけじゃない。必要以上に優しくするなって言ってるのよ」
提督「む……」
叢雲「あんたが榛名を家族のように大切に思っているのはわかってる。でも、それを今のあの娘に押し付けてもあの娘が苦しむだけだってこと」
叢雲「……この際だから言っておくけど、私達にとって一人の女として愛されるって言うのは本当に嬉しいことなのよ」
提督「……」
叢雲「艦娘になった時点で私たちの身体はもう普通の人とは違う。きっと、完全に元に戻ることもないでしょう」
提督「叢雲……」
叢雲「……そのこと自体にもう後悔はないわ」
叢雲「けど、こうなってしまった私達を……今後、あんたと同じように愛してくれる人が現れる保証はない」
叢雲「私達は化物と変わらないから」
提督「っ、それは違う!」
叢雲「本当にそうかしら」
叢雲「病気には滅多にならないし、身体能力もちょっと引くぐらい底上げされて、おまけに若さも保てて……ふふ、ここだけ言えば至れり尽くせりね」
叢雲「でも、それだけじゃない。敵の砲撃で傷だらけになった身体が、吹き飛んだ四肢が、"お風呂"に入るだけで治り、あまつさえ高速修復剤などというよくわからない液体を身体にかけただけで1分と経たず元通りになる」
叢雲「正直、自分でも気持ち悪いと思うことがあるわ」
叢雲「かつて私達が人間だったことなんて、もうほとんどの人にとって関係ないの」
叢雲「私達を人と扱わない奴らなんていくらでもいる。実際にそういう扱いを受けてきた娘だってたくさんいるわ」
叢雲「でも、そんな中で……あんたは私達を大切だって言ってくれた」
叢雲「怪我をしたら心配してくれる。悪いことをしたら叱ってくれる。意見が食い違ったら喧嘩してくれる。楽しかったら一緒に笑ってくれる……まるで家族みたいに」
叢雲「そして――」チラッ
夕張「……」
叢雲「……実際に艦娘を一人の女として愛してくれている事実がある」
叢雲「夕張があんたを独占したいのも、榛名があんたに執心するのも……正直わからないでもないわ」
叢雲「でも、この状況をそのままにして良い理由にはならないわ。どうするのか決めなさい」
夕張「……」
提督「……」
―― 榛名の部屋
榛名(逃げ帰ってきてしまった。提督に暴言を吐いて、喚き散らして……)
榛名(榛名はどうすれば良かったのだろう)
榛名(失恋なんて誰もが経験してるはず……なのに、榛名はどうしてそれを消化できないの)
榛名「提督……」
榛名(前はその名を呼ぶだけで、考えるだけでも幸せだったのに)
榛名「っ、う……」ジワ
榛名(溢れ出る気持ちがただただ辛い)
榛名(どうして、なんで)
榛名(榛名は何のために頑張ってきたの……)
榛名「榛名、榛名は……」
金剛「……榛名?」
榛名「お姉様……?」
金剛「どうしたの? 大丈夫?」
榛名「お姉様……」ジワ
榛名「……榛名はもう、大丈夫じゃ、ないです」ポロポロ
金剛「……少しは落ち着いた?」ヨシヨシ
榛名「はい……ごめんなさい」
金剛「構いません。それで……提督と何かあったの?」
榛名「……榛名が一方的に我儘を言ってまた提督を困らせてしまいました」
金剛「やっぱり……諦められない?」
榛名「……難しいです」
金剛「そう、ですか……」
榛名「……最初、提督に榛名の気持ちを打ち明けた時、無理だって言われたんです。夕張さんを裏切れないから、榛名とそうなることは無理だって」
榛名「でも、榛名は諦められなくて……必死で頑張れば、認めてもらえる。褒めてもらえる。もしかしたら榛名のことも受け入れてもらえるって思ったんです」
榛名「だから……榛名頑張ったんです。秘書官の仕事も。戦いだって」
榛名「……でも、提督の隣にはいつも夕張さんがいて」
榛名「……」
金剛「榛名……」
榛名「だから、榛名は諦めようと思って……酷いことも、してしまいましたし……」
榛名「でも……この前、見ちゃったんです」
榛名「榛名に見せたことのない笑顔で」
榛名「榛名にかけたことのない幸せそうな声で」
榛名「榛名に触れた時とは違う優しげな手つきで」
榛名「夕張さんを抱き寄せる提督を……そっと口付けを交わす姿も」
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