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元スレ京太郎「修羅場ラヴァーズ」 由暉子「誰よりも、何よりも」
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ここで京太郎がやってきて…ってそれ救いに見せかけた泥沼じゃねーか!
目を閉じると、雨粒が色んなところを叩く音が、耳を埋め尽くしました。
寒い。冷たい。
けれども、彼は、あの時のように抱きしめてはくれません。
だって彼の胸の中は、あの子のものだから。
「……ねむい、です」
このまま、泥のように、雨水に流されて。
水溜りの中に、とけることができたのなら。
私の心の中は、きっと、そんな想いで満たされているのでしょう。
寒い。冷たい。
けれども、彼は、あの時のように抱きしめてはくれません。
だって彼の胸の中は、あの子のものだから。
「……ねむい、です」
このまま、泥のように、雨水に流されて。
水溜りの中に、とけることができたのなら。
私の心の中は、きっと、そんな想いで満たされているのでしょう。
――けれど、きっと。
「大丈夫ですか!?」
運命の出会いっていうのは、きっと、こういうことを言うのだと。
「大丈夫ですか!?」
運命の出会いっていうのは、きっと、こういうことを言うのだと。
「え……」
何よりも暖かくて、素敵な気持ち。
私のまぼろしでないのなら、この声を、私が間違えるわけがありません。
「すぐ、人を呼びますから!!」
あんなにも、夢見た彼が。
幾度となく、瞼の裏側に描いた顔が。
何よりも、誰よりも、私のことを、見詰めていました。
何よりも暖かくて、素敵な気持ち。
私のまぼろしでないのなら、この声を、私が間違えるわけがありません。
「すぐ、人を呼びますから!!」
あんなにも、夢見た彼が。
幾度となく、瞼の裏側に描いた顔が。
何よりも、誰よりも、私のことを、見詰めていました。
よく見ると、少し遠くから、ユキちゃんがこっちへ走ってきています。
一緒に歩いて帰っている途中、だったのでしょうか。
「すいません、少し我慢していて下さい……!」
転んだ時に切ってしまったのか。
私の膝からは、赤い血が流れていました。
けれど、傷の痛みよりも、体の冷たさよりも。
「あ……ぁ」
――ずっとずっと。
誰よりも、何よりも。
私だけを、見てくれる。
たった一つだけ、ユキちゃんに勝てるところを見つけられた私の心の中には。
ただ一つの、小さな喜びが、芽吹いていました。
一緒に歩いて帰っている途中、だったのでしょうか。
「すいません、少し我慢していて下さい……!」
転んだ時に切ってしまったのか。
私の膝からは、赤い血が流れていました。
けれど、傷の痛みよりも、体の冷たさよりも。
「あ……ぁ」
――ずっとずっと。
誰よりも、何よりも。
私だけを、見てくれる。
たった一つだけ、ユキちゃんに勝てるところを見つけられた私の心の中には。
ただ一つの、小さな喜びが、芽吹いていました。
――その時、不思議なことに。
痛いほどに私の体を叩いていた雨が、確かに止んだのです。
「あ、あ……!」
風で流されたのか、雲と雲の間に出来た隙間。
雨空に閉ざされていた太陽の光が、私たちを、優しく包みました。
「これは……」
京太郎くんが見上げた空。
雲の間から差す陽の光。
それは、私たちだけを照らす舞台照明のようであり。
私たちを祝福する光のようであり。
「そっか……そう、なんですね」
――歪な、傷痕のようでもありました。
【聖痕】
痛いほどに私の体を叩いていた雨が、確かに止んだのです。
「あ、あ……!」
風で流されたのか、雲と雲の間に出来た隙間。
雨空に閉ざされていた太陽の光が、私たちを、優しく包みました。
「これは……」
京太郎くんが見上げた空。
雲の間から差す陽の光。
それは、私たちだけを照らす舞台照明のようであり。
私たちを祝福する光のようであり。
「そっか……そう、なんですね」
――歪な、傷痕のようでもありました。
【聖痕】
雲の切れ目を傷痕と表現するとかそんなん考慮しとらんよ…
>>1のセンスすげえ
>>1のセンスすげえ
乙
これは将来が怖いww 雲を確かに晴らして見せたが、まさかこんな晴らし方になるとは
これは将来が怖いww 雲を確かに晴らして見せたが、まさかこんな晴らし方になるとは
乙
有珠山のメンツの会話見ても結構それっぽいし修羅場ってテーマでなくても短編集とか書けそう
有珠山のメンツの会話見ても結構それっぽいし修羅場ってテーマでなくても短編集とか書けそう
乙
修羅場というよりヤンデレ色が強いのですが、どうしたら良いでしょうか。
修羅場というよりヤンデレ色が強いのですが、どうしたら良いでしょうか。
温かく、とても素敵な気持ち。
「ま、待ってください……!」
気がついたら、私は走り去っていこうとする彼の腕を、夢中で掴んでいました。
そうしなきゃいけないような、ここで置いてかれちゃダメだって――何かに、突き動かされるような。
もしかしたら、コレを――天啓と、呼ぶのかもしれません。
「ま、待ってください……!」
気がついたら、私は走り去っていこうとする彼の腕を、夢中で掴んでいました。
そうしなきゃいけないような、ここで置いてかれちゃダメだって――何かに、突き動かされるような。
もしかしたら、コレを――天啓と、呼ぶのかもしれません。
キター!
天啓は天啓でもそれはサタンのもたらしたものではなかろうか
天啓は天啓でもそれはサタンのもたらしたものではなかろうか
「何ニヤニヤしてるんですか? 気持ち悪いですよ」
相変わらず容赦のない突っ込みに、京太郎は苦笑しつつ携帯を畳んだ。
声の方向に振り向けば、山のようなプリントの束を抱えた小柄な少女。
「手伝うよ。大変だろ?」
「……ありがとう、ございます」
頼まれごとを嫌な顔一つせずにホイホイと受け入れるものだから、気が付いた時にはその小さな体には収まりきらない量の仕事を抱えている。
それがこの、真屋由暉子という少女だ。
初めは親切心半分、あわよくば可愛い女の子とお近付きになりたい下心が半分で声をかけたのだが。
「ほい。いつものゴミ捨て場だよな?」
「はい。よろしくです」
今ではすっかり、目が離せなくなってしまった。
何だかんだ言って世話焼きな京太郎には、少し危なっかしいところのある由暉子は放っておけなかったのである。
相変わらず容赦のない突っ込みに、京太郎は苦笑しつつ携帯を畳んだ。
声の方向に振り向けば、山のようなプリントの束を抱えた小柄な少女。
「手伝うよ。大変だろ?」
「……ありがとう、ございます」
頼まれごとを嫌な顔一つせずにホイホイと受け入れるものだから、気が付いた時にはその小さな体には収まりきらない量の仕事を抱えている。
それがこの、真屋由暉子という少女だ。
初めは親切心半分、あわよくば可愛い女の子とお近付きになりたい下心が半分で声をかけたのだが。
「ほい。いつものゴミ捨て場だよな?」
「はい。よろしくです」
今ではすっかり、目が離せなくなってしまった。
何だかんだ言って世話焼きな京太郎には、少し危なっかしいところのある由暉子は放っておけなかったのである。
泥んこ成香ちゃんに冷たい微笑みを向けるユキが想像できるwww
成香の続きじゃなくて、由暉子か
さてこれは単発なのか前のと関係ある連作なのか、京太郎は多分携帯で写真をニヤニヤ見るような女の子が居そうなわけだけど
さてこれは単発なのか前のと関係ある連作なのか、京太郎は多分携帯で写真をニヤニヤ見るような女の子が居そうなわけだけど
野暮ったい大きな眼鏡と長目の前髪が齎す印象に加え、彼女自身あまり不満を言わない性格なので勘違いされがちだが、由暉子は言いたいことは遠慮しないタイプだ。
更にややこしいことは、キツイ発言をすることがあっても、別にその相手を嫌っているわけではない、ということである。
由暉子とそこそこに付き合いの長い京太郎には十分にそのことが理解できているために、先程の発言程度では一喜一憂することはない。
「……そういえば」
「ん?」
「さっきのアレ、何だったんですか?」
そして、さっきのアレとは聞くまでもなく、ニヤニヤしながら携帯の画面を見ていたことだろう。
「まぁ、ちょっとな」
「……ちょっと……ってなんですか」
じっと、眼鏡の奥の大きな瞳が見詰めてくる。
心なしか、いつもよりお互いの距離が近い。肩と肩が触れ合いそうだ。
いつのも彼女なら大して気にすることはないのだが、今日はやけに踏み入ってくる。
「ちょっと前の雨の日あっただろ? そこでさ――」
それに少し引っかかりながらも、京太郎は先日あった出来事を話し始めた。
更にややこしいことは、キツイ発言をすることがあっても、別にその相手を嫌っているわけではない、ということである。
由暉子とそこそこに付き合いの長い京太郎には十分にそのことが理解できているために、先程の発言程度では一喜一憂することはない。
「……そういえば」
「ん?」
「さっきのアレ、何だったんですか?」
そして、さっきのアレとは聞くまでもなく、ニヤニヤしながら携帯の画面を見ていたことだろう。
「まぁ、ちょっとな」
「……ちょっと……ってなんですか」
じっと、眼鏡の奥の大きな瞳が見詰めてくる。
心なしか、いつもよりお互いの距離が近い。肩と肩が触れ合いそうだ。
いつのも彼女なら大して気にすることはないのだが、今日はやけに踏み入ってくる。
「ちょっと前の雨の日あっただろ? そこでさ――」
それに少し引っかかりながらも、京太郎は先日あった出来事を話し始めた。
目の前で転びそうになっていた有珠山高校の女子生徒を反射的に抱きとめてしまったこと。
タイミング悪く吹いた強い風に、彼女の傘が吹き飛ばされてしまったこと。
見詰めあって、つい気恥ずかしくなって、走り去ろうとしたら引き留められたこと。
そして――
「……その人と。相合傘をして帰ったわけですか。須賀くんは」
「うん。お礼させて下さいってことで、メルアド交換までしちゃったよ」
「……」
「……ユキ?」
急に押し黙ってしまった由暉子を怪訝に思うも、彼女の返事はない。
やれやれだと、京太郎は胸の中で溜息を吐き――
「……あ」
――そういえば俺、ユキのメルアド知らねえや。
ふと、そんなことを思いついた。
タイミング悪く吹いた強い風に、彼女の傘が吹き飛ばされてしまったこと。
見詰めあって、つい気恥ずかしくなって、走り去ろうとしたら引き留められたこと。
そして――
「……その人と。相合傘をして帰ったわけですか。須賀くんは」
「うん。お礼させて下さいってことで、メルアド交換までしちゃったよ」
「……」
「……ユキ?」
急に押し黙ってしまった由暉子を怪訝に思うも、彼女の返事はない。
やれやれだと、京太郎は胸の中で溜息を吐き――
「……あ」
――そういえば俺、ユキのメルアド知らねえや。
ふと、そんなことを思いついた。
最初のが成香ならば、そして成香が違う選択肢をした世界ならば
これは確かに神のもたらした天啓だったな
これは確かに神のもたらした天啓だったな
「……」
とは言え、黙りを決め込む今の由暉子にメルアドを聞いても教えてくれるだろうか。
変なところで頑固なのだ、この真屋由暉子という少女は。
「……あ、アレ。あの人だ」
「え?」
何気なく視線を泳がせた先。
校門の前でジャンケンをしている有珠山高校の女子生徒たち。
「あの、ちょっと前髪が長い人。あれが今の話の、本内さん」
「えっと――」
と、タイミングの悪いことに。
由暉子が振り向いた瞬間、前方不注意になってしまったせいで足元の小石に気が付かず。
「あっ!」
「大丈夫か!?」
プリントの束を撒き散らしながら、盛大にすっ転んでしまった。
とは言え、黙りを決め込む今の由暉子にメルアドを聞いても教えてくれるだろうか。
変なところで頑固なのだ、この真屋由暉子という少女は。
「……あ、アレ。あの人だ」
「え?」
何気なく視線を泳がせた先。
校門の前でジャンケンをしている有珠山高校の女子生徒たち。
「あの、ちょっと前髪が長い人。あれが今の話の、本内さん」
「えっと――」
と、タイミングの悪いことに。
由暉子が振り向いた瞬間、前方不注意になってしまったせいで足元の小石に気が付かず。
「あっ!」
「大丈夫か!?」
プリントの束を撒き散らしながら、盛大にすっ転んでしまった。
前のめりに両腕を伸ばして倒れる姿は見ていて気持ちの良くなるくらいの転びっぷりで。
倒れた瞬間の、彼女の豊満な部分が広がる瞬間はまさにおもちのようで眼福――ではなく。
「眼鏡は、無事でした」
「怪我は?」
「多分大丈夫かと」
下らない方向にそれかけた思考を首に振って戻し、プリントの束を脇に置いて屈む。
転んだせいで制服は汚れてしまっているが、見たところ由暉子の身体に目立つ傷はないようだった。
「ほら」
「……」
差し伸べた手を、じっと見つめて。
「……由暉子?」
「……ありがとうございます」
逡巡するように何度か瞬きしてから、由暉子は京太郎の手を取った。
倒れた瞬間の、彼女の豊満な部分が広がる瞬間はまさにおもちのようで眼福――ではなく。
「眼鏡は、無事でした」
「怪我は?」
「多分大丈夫かと」
下らない方向にそれかけた思考を首に振って戻し、プリントの束を脇に置いて屈む。
転んだせいで制服は汚れてしまっているが、見たところ由暉子の身体に目立つ傷はないようだった。
「ほら」
「……」
差し伸べた手を、じっと見つめて。
「……由暉子?」
「……ありがとうございます」
逡巡するように何度か瞬きしてから、由暉子は京太郎の手を取った。
繋いだ手を引っ張って由暉子を立たせる。見た目以上に彼女の体は軽く、そして柔らかかった。
美容やファッションにはあまり興味が無い由暉子だが、繋いだ指は白く細く、なめらかで、綺麗だと京太郎は思った。
「……もう大丈夫です」
「あ、あぁ」
つい見惚れてしまったが、いつまでもそうしているわけにはいかない。
名残惜しく思いながらも、京太郎は由暉子の手を離す。
「はやく、プリントを――」
「はい、どうぞ」
美容やファッションにはあまり興味が無い由暉子だが、繋いだ指は白く細く、なめらかで、綺麗だと京太郎は思った。
「……もう大丈夫です」
「あ、あぁ」
つい見惚れてしまったが、いつまでもそうしているわけにはいかない。
名残惜しく思いながらも、京太郎は由暉子の手を離す。
「はやく、プリントを――」
「はい、どうぞ」
風で散らばる前に、速くプリントを回収しないと。
そう考えた由暉子に白い紙の束を差し出す腕は、京太郎のものではなく――
「おケガはありませんか?」
「あなたは……」
――本内、成香。
「また、お会いできましたね」
ニッコリと京太郎に満面の笑みを見せる彼女こそが、さっきまでの話題の中心となっていた少女だった。
そう考えた由暉子に白い紙の束を差し出す腕は、京太郎のものではなく――
「おケガはありませんか?」
「あなたは……」
――本内、成香。
「また、お会いできましたね」
ニッコリと京太郎に満面の笑みを見せる彼女こそが、さっきまでの話題の中心となっていた少女だった。
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