元スレ咲「キャバクラ行ったら世界が変わった」霞「ええ、よくってよ」
SS+覧 / PC版 /みんなの評価 : ★★★
1 :
始めに以下の注意点をご参照ください
※これはわりとなんでも許せる人向けの霞咲のような何かです
※たぶんキャバクラの出番は最初以外そんなにない
※書き溜めなしのマイペース脳内更新
※コメディのつもりで書きます
※咲さんはかわいい(半ギレ)
※おっぱい不足
※わりとなんでも許せる人向け
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2 = 1 :
――繁華街――
揺杏「らっさいらっさい! かわいい子揃ってるよー!」
揺杏「仕事帰りの一杯だけでも大歓迎! クラブ・ドラゴンゲート!」
揺杏「あ! そこの御嬢さん! どうどう? うちは女性にも人気がありまっせ!」
咲「え、私?」
揺杏「そう! そこのかわいい御嬢さん! 行っちゃう? 入っちゃう? なんだったらトイレだけでも貸しちゃうよ! まあトイレは入れるところじゃなくて、出すところだけど!」
咲「は、はあ・・・?」
咲(あ、キャバクラの呼び込みか・・・そういえば、この辺は規制が緩いからよく声をかけられるって、お父さんが言ってたな)
咲(でも・・・かわいいって言われちゃった・・・えへへ)ニタア
揺杏「!?」ビクッ
揺杏(立ち止まってニヤけてる、なんだコイ・・・この人、マジきめぇ)
咲「・・・」
揺杏「あ、あの・・・入って、行きます?」
咲「・・・かわいい・・・えへへ・・・咲さんかわいい・・・えへへへ」ニヤニヤ
揺杏(マジきめぇ! なんか自分の世界に入ってんだけど!)
3 = 1 :
揺杏「ちょっと御嬢さん! マジ大丈夫ですか!?」
咲「え? あ、は、はい。大丈夫です、かわいいです」
揺杏「は、はあ・・・(やべぇ、声かける相手失敗したくせえ)」
咲「入ってもいいですか?」
揺杏「え?」
咲「お店・・・呼び込みしてるって事は、予約なしでも入れるんですよね?」
揺杏「え? あ、ああ毎度! 一名様ごあんな~い!」
4 = 1 :
――クラブ・ドラゴンゲート店内――
咲(気分が良かったから入ってみたけど、キャバクラって初めてだから緊張してきたよ)ドキドキ
咲(へー、中はけっこう高級っぽい感じ。客引きしてたけど、人気が無い店ってわけではなさそう)
ハギヨシ「いらっしゃいませ、ようこそクラブ・ドラゴンゲートへ」
咲「!?」
咲(びっくりした、この店員さんどこから現れたの?)
ハギヨシ「お迎え出来て光栄です。失礼ですが、ご予約のお客様でしょうか?」
咲「いいえ・・・こういうところ来るの初めてなんですけど、大丈夫ですか?」
ハギヨシ「もちろん、歓迎させていただきます。では席までエスコートさせていただきます」
咲「は、はい」
ツカツカ
咲(なんかカッコイイ人が出てきたから、ホストクラブなのかと一瞬思ったけど。周りを見る限りテーブルについてるのはホステスさんだ)
咲(キャバクラっておじさんの男性客ばかりってイメージだけど、私以外にもチラホラ女性客が混じってるな)
ハギヨシ「こちらの席へどうぞ。ただいまキャストがウェルカムドリンクをお持ちしますが、お先にご注文ご指名などはございますか?」
咲「え? あ、大丈夫です、お任せします」
ハギヨシ「かしこまりました」ススッ
5 = 1 :
咲(ふー、なんか私いまインハイの決勝卓より緊張してるよ)
咲(さっきの店員さん、キャストって言ってたけど、それってホステスさんの事かな?)
咲(知らない人と一緒にお酒飲むなんて初めて・・・ちゃんとお話しできるかな)
咲(私が出せる話題って言ったら、本か麻雀くらいだから少し不安かも)
カツカツカツカツ
咲(あ、来たみたい・・・)
霞「お待たせしました、カスミと申します。お隣失礼します」
咲「え?」
霞「え?」
それはかつて麻雀のインターハイで戦った二人の、思いがけない再会だった
6 = 1 :
咲「鹿児島のおねーさん・・・石戸さん?」
霞「もしかして清澄の・・・咲ちゃん?」
咲「やっぱり・・・・・・びっくりしました」
霞「私もよ、まさかこんな所でまた会うなんて・・・偶然、なのかしら?」
咲「はい、たまたま呼び込みに惹きつけられて入ったお店だったので・・・」
霞「そうなの・・・」
咲「はい・・・」
霞「・・・あ、もし良かったら他の子に代わってもらうわ。知ってる顔が相手だと、こういうお店の意味が無いわよね?」
咲「あ、待ってください。キャバクラって初めてで、実はちょっと心細かったんです・・・」
咲「・・・石戸さんが嫌じゃなければ、隣にいてください。私としてはその方がありがたいです」
霞「そう? そう言ってもらえるなら良かったわ・・・あ、ウェルカムドリンクです、どうぞ」
咲「ありがとうございます」
霞「・・・」
咲「・・・」ゴクゴク
7 = 1 :
隣り合って座る咲と霞。
数年ぶりの再会に戸惑い、しばし沈黙する二人だが、仕事柄かそれを先に破ったのは霞だった。
霞「本当に久しぶり・・・咲ちゃんはまだ麻雀を続けているの?」
咲「あ、はい、続けてます。一応プロにもなれました」
霞「そうだったの・・・すごいわ。いえ、でも咲ちゃんの実力なら驚くような話でも無かったわね」
咲「石戸さんは麻雀をやめてしまったんですか? 神代さんもプロにはならなかったみたいですが」
霞「・・・私は元々、家の修行の一環で麻雀をやっていただけだったから。他の子は解らないけど、私はもうずっと牌に触っていないわね」
咲「そうだったんですか。あれ・・・他の人の事も解らない? 永水の人達って親戚じゃなかったんですか?」
霞「私、家を・・・神宮を一人だけ出たから」
咲「あ・・・」
霞「ふふ、私の話なんてきっと面白くないわ。それよりプロになった咲ちゃんの活躍を聞きたいわ。よかったら聞かせてくれる?」
霞「私、テレビとか見ないから、そういう話に疎くて・・・」
咲(今ちょっとだけ、石戸さん暗い表情になった・・・きっと触れられたくない話だったんだね。悪い事しちゃった)
咲「・・・活躍っていっても、大した話はないですよ?」
霞「うそうそ、引き出しがあるって顔してるわよ? おねーさんは誤魔化せません」エヘン
咲「う・・・じゃあちょっとだけ」
8 = 1 :
咲は最近のプロ雀士としての活動をかいつまんで霞に話す
霞「・・・ふんふむ、今年は三冠もとったのね。すごいわ、もう雲の上の人みたい」
咲「なんか・・・自慢しちゃったみたいで恥ずかしいです」テレテレ
霞「そんなことないわ、咲ちゃんの活躍は誇るに値できるものだし、私も麻雀をやっていた時の事を思い出せて楽しいもの」
咲「・・・私、けっこう話下手なのに、石戸さん相手なら何故か言葉が止まらなくて。聞き上手なんですね」
霞「うふふ、それが仕事だもの。あ、それと咲ちゃん、できればここではカスミって呼んでほしいわ・・・一応そういうお店だから」
咲(・・・あ、そうか源氏名)
咲「気が付かなくてすいません・・・その、霞さん」テレ
霞「はーい」
咲「ちょっと・・・照れちゃいますね。というか源氏名って本名使わないんじゃないですか?」
霞「細かい事は言いっこ無しよ。それより咲ちゃん、グラスが空いたけど何か頼む?」
咲「じゃあ、できるだけ高いお酒でお願いします」
霞「え? どうしたの? うちの店、けっこうお高いけど大丈夫?」
咲「大丈夫です、普段は本くらいしかお金使う事ないですし・・・それに指名したわけでもないのに、霞さんにずっとついててもらって申し訳ないです」
霞「そんな気をつかわなくていいのよ・・・ここは楽しくお酒を飲む場所だから、自分の好きなようにふるまっていいの」
咲「それならこれでいいんです、私久しぶりにお酒飲むのが楽しいって気分なので」
霞「あらあら、そう? じゃあ新鋭プロ雀士さんには、いっぱい飲んでいってもらおうかしら」
咲「はい、霞さんも付き合ってくださいね」
霞「うふふ、分かっていますとも」
9 = 1 :
――二時間後――
咲「う・・・」ドサ
霞「え、ちょっと、咲ちゃん!?」
咲「きもちわるい・・・飲みすぎちゃったみたい」
霞「ええ? さっきまで全然平気そうだったのに・・・もしかして限界超えるまで、酔いがまわらないタイプ?」
咲「そうかもしれません、お酒を飲む機会が少ないので知らなかった・・・うう」
霞「ごめんなさい気付かないで・・・タクシー、呼んだ方がいいわね」
咲「あ・・・待ってください。私、まだ・・・帰りたくない」
霞「ん、どうして?」
咲「・・・この時期は、ちょっと家に居ずらい理由がありまして」
霞「この時期?」
咲「はい・・・いま麻雀の世界大会といえる国際戦が開催されてて、国内のプロから代表選手が選ばれるんですけど・・・」
霞「あ、そういえばそんな事、お客さんが話してたわね」
咲「実は私、代表で出た国際戦で失格になった事があるんです」
霞「え?」
咲「強い人とあたれたのが嬉しくて・・・対局中に麻雀って楽しいよねを言っちゃったんです」
咲「そしたら審判に止められまして・・・つられて歌いだした同卓のミョンファさんと一緒に失格になりました」
霞「あらあら・・・」
10 :
咲たんはカワイんだよ 神聖不可侵である宮永の所の咲にどんどん手を出してくれよ 百合百合脳どもが
百合は神聖なもので 女の子同士は清潔なの わかる? お前らのしてることは いちゃついてる女の子達に 花咲かせて喜んでるようなものなんだよ
あと 咲が百合漫画じゃないとか言ってる奴はアニメ見てないだろ 麻雀興味ないから 原作は知らないけど あんな百合百合してる素晴らしいアニメの原作が百合漫画じゃないわけがない それに 作者も百合好きらしいし 咲が百合漫画だというのは 紛れもない事実
それに 百合が世間ではマイナーだとか 言ってる奴がいるけど そんなわけ ねーだろ なのはやゆるゆり らきすたがどれだけ人気だとおもってんだよ こんな当たり前のことも理解できずに 百合のためだけに喚き散らすから咲たんは可愛すぎるって事にされるんだよ
11 = 1 :
咲「その時から連盟からは国際試合禁止の処分を受けまして・・・自分の浅慮のせいだって解ってるんですけど、この時期になるとその時の話が各所で蒸し返されて・・・」
霞「そうだったの・・・それはつらいわね」
咲「照お姉ちゃんが活躍してるだけに、なかなか過去の事にならないんですよね・・・」
咲「いまだに『宮永姉妹のマナ悪の方』とか『宮永姉妹の愛想の無い方』とか、『国内三冠()なお国際戦は・・・』とか、ネタにされ続ける始末」
咲「他にも、『眼力だけで人を殺しそう』とか『観戦してたら眼鏡が割れる』とか、謂れのない中傷もうけるし・・・」
霞(それは謂れのない事でもないような・・・)
咲「はあ・・・せめてお姉ちゃんみたいに営業スマイルがうまくてマスコミ映えすれば、なんて思ったり」
霞「そうだったの・・・あ、でもお家に帰りたくないっていうのはどうして? まさかお家にも何か嫌がらせが?」
咲「・・・いえ、両親がお姉ちゃんの応援したくても、私がいると気をつかわせちゃうので」
霞(けなげな・・・)
※咲は実家暮らしですが、アラフォーになっても実家暮らしのプロもいるから何も問題ないよ!
13 = 1 :
咲「あ、愚痴になっちゃいましたね・・・こんな話聞かせてしまってすいません」
霞「ううん、いいのよ。ここはそういう外の嫌な事を吐き出す場所でもあるのだから、何も遠慮はいらないわ」
咲「・・・不思議、和ちゃん相手でもこんな話できないのに、自然と言葉にできちゃう」
霞「うふふ、お酒の力かしら?」
咲「いいえ、霞さんが相手だから・・・かもしれないです」
霞「え?」
咲「なんて・・・えへへへへへ」グテー
霞(・・・なんだ、酔ってるだけね)
霞(でもちょっと嬉しいわ)
咲「よし! 決めました! 今日はここで飲み明かします!」
霞「え?」
咲「スタッフーーーー!」
ハギヨシ「お客様、お呼びでしょうか?」
咲「このお店にある一番高いお酒、五本くらい持ってきてください」
霞「ちょ、ちょっと咲ちゃん?」
ハギヨシ「・・・お客様、まことに失礼ですが、お先にお支払いのご確認をさせていただいてもよろしいでしょうか?」
咲「ロンおぶモチ! カード一括、責任払いで!」スチャ
ハギヨシ「・・・かしこまりました」
咲「今日はこれ、アゲアゲでもいいんですよね? 脱いでもいいですか?」
霞「え?」
咲「靴・・・ってもう脱いじゃった、えへへ」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
霞(な、なにやら大変な事になってる気がするわ、咲ちゃん目が据わってるし)
咲「キャバクラって楽しいよね!」ゴウッ
霞「」
14 = 1 :
――数時間後――
咲「すぴー・・・すぴー・・・」zzz
揺杏「うわあ、空瓶の数マジすげえ・・・ドン引きだけど」
ハギヨシ「・・・このお客様だけで普段の一日の売り上げを超えました」
揺杏「他のテーブルにまで高いお酒奢ってましたよね。うわあ、なんか見た事ないラベルのワインが転がってんですけど・・・」
ハギヨシ「ドン ペリニヨンのレゼルブ ドゥ ラ ベイですね、ドンペリゴールドとも呼ばれます」
揺杏「ゴールド? ドンペリピンクは聞いた事ありますけど」
ハギヨシ「ピンクと呼ばれるロゼヴィンテージと比べると、ゴールドは年代にもよりますが通常五倍ほどの値が付きます」
揺杏「五倍とか・・・なんすかこの人、どっかの社長とかっすか?」
ハギヨシ「プロ雀士の方ですね、拝見したことがあります」
ハギヨシ「それにしても困りましたね、もう閉店ですが熟睡されていらっしゃるご様子」
ハギヨシ「タクシーを呼ぶにしても、お住まいが分からないと送れませんし・・・カスミさん、名刺などは頂いてますか?」
霞「あ、いいえ・・・そういえば、貰っていませんでしたわ」
ハギヨシ「・・・そうですか、困りましたね。荷物を漁るような真似はできませんし」
揺杏「適当なホテルまで送って部屋に運ぶのはどうですか?」
ハギヨシ「泥酔状態の女性をホテルに連れ込むようでよくありませんね、噂になればこの店のイメージダウンにもなりかねます」
ハギヨシ「それに、宮永咲プロといえば今はデリケートな時期。スキャンダルを捏造されてしまう恐れもあります」
揺杏「うーん、じゃあどうしますか? これじゃ店しめれないし」
15 = 1 :
霞「・・・あの、では私の家に咲ちゃんを泊めるのはどうでしょう?」
ハギヨシ「カスミさんの?」
霞「はい、一応は古い知り合いですから・・・それなら何かあっても、久々に会った友人の家に泊まった、で済ませる事ができます」
ハギヨシ「なるほど・・・そうですね、カスミさんの家ならマスコミの目にもとまりにくい場所にありますし、いいかもしれません」
ハギヨシ「ではタクシーを呼んでおきましょう」
揺杏「あ、タクシーまでは私が運びまっす、地味にガタイがいいのだけが取り柄なんで」
霞「じゃあ、お願いしますね・・・」
霞(不思議な気分ね、神宮にいた頃の知り合いとの再会は、それほど快いものでは無いはずなのに・・・)
霞(・・・でも、自分で驚くくらいすんなりと、泊めると言ってしまった)
霞(神宮にいた頃を感じるものは全部捨ててきたのに、その頃を思い出す咲ちゃんに、私はいったい何を感じているの?)
咲「すぴー・・・すぴー・・・」zzzz
霞(うふふ・・・かわいい寝顔)
霞(考え過ぎね・・・久々の上客に浮ついた、そういう事よ、きっと・・・)
華々しく活躍しながらも、過去の失敗によりイマイチ認められないプロ雀士
生まれ育った家と過去を捨てて、夜の街で働く華となったキャバ嬢
二人の夜は更けて更けて、そして当然のように日が明ける
16 = 1 :
見切り発車なのでとりあえずここまでっす
付き合ってくれた方いたらありがとうございました
17 :
おつ
19 :
麻雀って楽しいよねはダメだったのか
20 :
すっごい面白かった!
ぜひ続けてほしい
21 :
乙乙
22 :
なかなか面白い
23 :
続きが楽しみな感じ
24 :
この未来の咲さんの交遊関係気になるな
特にちらっと名前の出たあの人とか
なんやかんやあったのかな
25 :
続きはよ
26 :
もちろん続きますよね
27 :
咲さんは
原村和とお似合いだと思います。
29 :
続きはよ
30 :
――霞宅・早朝――
チュン チュン
咲「ん・・・ん?」
咲(朝か・・・)
咲(あれ? でも何か違和感がある・・・)
咲(・・・お布団で寝てる、ココ私の家じゃない?)
咲(そうだ・・・昨日は家に居づらかったから街をブラついて・・・キャバクラに入って・・・)
咲(あれ・・・その後の事・・・あんまり覚えてない)
トントントントン
咲「ん、良い匂い・・・? お味噌汁かな?」
霞「あら咲ちゃん、起こしちゃった? ごめんなさい狭い部屋で」
咲「霞さん!? え? じゃあここ・・・」
霞「あ、ごめんなさい。いきなり知らない場所で目が覚めて混乱するわよね」
霞「昨日は咲ちゃんがお店で酔いつぶれちゃって、目を覚ましそうに無かったから私の家に泊まってもらう事になったの」
咲「あ、やっぱりそうだったんですね・・・」
咲「・・・あんまり覚えてないんですが。すいません、いっぱいご迷惑かけちゃいましたよね?」
霞「うふふ、気にしないで。私の方こそ酔いつぶれるまで飲ませてしまって、キャスト失格よ」
霞「それより二日酔いはないかしら? 一応お薬も用意してあるのよ」
咲「ええと・・・それは大丈夫みたいです。ちょっとだけ手先の痺れが残ってますけど、それだけなので」
霞「そう? ならよかったわ。でも凄いわね、あれだけ飲んだら普通は酷い二日酔いになるのに・・・やっぱり若さかしら?」
咲「えーと、どう・・・なんでしょう?」
咲(なんとなく、ハッキリと答え難いのはなぜなのかな?)
31 = 30 :
霞「じゃあ、お詫びという訳ではないのだけれど、よかったら朝食食べていってくれないかしら?」
咲「そんな悪いですよ・・・」
霞「遠慮はしないでね。なんて、大したものは出せないけれど」
咲(あ・・・すでに二人分用意してある)
咲(それに良い匂い嗅いだせいか、お腹もすいてきたよ)
咲(そう言えば、昨日は夕食を外で食べる気だったのに、お酒のつまみくらいしか食べてなかったな)
咲「・・・やっぱり、もらってもいいですか?」
霞「よかった。じゃあもう少しだけ待っててね、もうすぐできるから」
咲「はい」
トントントン
霞「ふんふむ♪ ふんふむ♪」
軽快な包丁の音に合わせるように鼻歌を歌う霞
その後ろで布団を畳みながら、咲は落ち着かない様子で霞の住まいを眺める
咲(・・・なんて言うか今時珍しい、趣きのあるアパート。四畳半に台所がついただけというシンプルさ)
咲(家具も必要最低限で、テレビも置いてない・・・あ、でも本棚はある)
咲(本棚に並んでいるのは・・・資格試験の教本や問題集?)
霞「咲ちゃーん」
咲「はい!?」ビクッ
霞「? できましたよ、さあ一緒に食べましょうか」
咲「あ・・・はい、いただきます」
32 = 30 :
畳みによく似合うちゃぶ台に、霞は朝食を並べていく
並ぶのは白米、ネギの入ったシジミの味噌汁と焼いたサンマという、和食の定番
他にもビン詰めの梅干し等も自由に取れるように添えてあった
咲「ん・・・あ、おいしい」
霞「うふふ、口に合ってよかった。誰かに食べてもらう機会は無いから、本当はちょっと不安だったの」
咲「すごくおいしいですよ、なんていうか・・・すごく優しい味がします」
咲「もしかして、ここに並んでるものって、二日酔いに効くものだったりします?」
霞「え?」キョトン
咲「あ、ごめんなさいテキトーなこと言って・・・なんとなくそんな気がしただけなので」
霞「ううん、違うの・・・咲ちゃんの言ってる事当たっているわ」
霞「味噌汁のシジミも、サンマに付け合せた大根おろしも、あと梅干しも二日酔いに効くって言われてるの」
霞「お水の仕事をしてると、自然とそういう知識が身に付いてきちゃうのね」
咲「そうだったんですか・・・でも、きっとそれで、こんなに優しい味がしたんですね」
霞「・・・」
咲「霞さん?」
霞「あ、ごめんなさい・・・なんでもないの、ちょっと嬉しくなっちゃって」
霞「やっぱりいいものね、こうして誰かと一緒に食卓を囲むのは・・・ふう」
咲(ん・・・?)
33 = 30 :
霞「あら・・・そうだわごめんなさい、のんびりしちゃってたけど、私これから出かけなきゃいけないの」
咲「え? こんな朝早くですか?」
霞「ええ、お弁当屋さんのアルバイトがあるのよ・・・咲ちゃんはどうしましょう? 二日酔いなら、ここで休んでいてもらおうと思っていたのだけれど、大丈夫ならもう帰りたいわよね?」
咲「あ、ええと・・・その」
霞「?」
咲「・・・ずうずうしいお願いなんですけど、霞さんが帰ってくるまでお留守番していてもいいですか?」
霞「いいえ、ずうずうしいだなんて、全然構わないわ。もともと、ゆっくり休んでもらうつもりでいたから」
霞「でもどうしたの? あ、もしかしてやっぱり二日酔いの症状が出てきちゃった?」
咲「あ、違うんですけど・・・あ、いえやっぱりそうかもしれません」
霞「そうだったの・・・気づかなくてごめんなさい、じゃあお薬も飲んでゆっくり休んでいてね」
咲「はい・・・ありがとうございます」
霞「それじゃあ、行ってきます。あ、何かあったらアルバイト先の番号がこれだから連絡してね」
咲「解りました」
34 = 30 :
そうして、朝早くから出かけていく霞を見送る咲
咲(嘘ついちゃった・・・本当は二日酔いじゃないのに)
咲(霞さん、夜の仕事だけでも大変そうなのに、他の仕事も掛け持ちしてるんだ・・・)
咲(・・・そのせいなのかな、どこか不調そうに見えた)
咲(なんとなく・・・昔のインハイの二回戦で竹井部長が不調になった時とかよりも、深刻な何かを感じたような気がする)
咲(霞さんが帰ってきたら、それとなく話してみよう・・・)
咲(・・・それに、酔いつぶれた挙句、泊めてもらってご飯も貰って、そのお礼もちゃんとしたいしね)
35 = 30 :
――霞宅周辺・昼頃――
霞(ふう、今日はお客様多かったわ・・・お弁当屋さんも少し忙しくなってきたわね)
霞(うふふ、でも店長からは、看板娘の霞ちゃんのおかげだって言われちゃった)
霞(看板娘・・・娘・・・うふふ)ニヤニヤ
霞(ハッ・・・いけない、こんな風に思いだし笑いをしていると、揺杏ちゃんにきめえって言われちゃう! 慎まないといけないわね)
霞(さて、お惣菜の残りも貰えたし、これと合わせて何か昼食も、咲ちゃんに用意してみようかしら・・・)
霞(・・・いやだわ私)
霞(ご飯がおいしいって言われたからって、舞い上がってるのかも・・・?)
霞(咲ちゃんはお酒が入らなければ遠慮がちな子みたいだし、ただのお世辞に決まっているのに・・・)
そんな色々を頭の中で思い描き、逡巡しながら霞は自宅である古いアパートまで行き着く
36 = 30 :
霞(・・・あれ? 何か良い匂いがする・・・私の部屋から、かしら?)
ガチャッ
咲「あ、霞さんおかえりなさい」
霞「た、ただいま・・・どうしたの咲ちゃん? その恰好」
家に帰った霞を出迎えたのは、エプロン姿の咲だった
咲「えへへ、昨日と朝のお礼にご飯でも作って待ってようと思っていたんですけど・・・」
咲「近所のスーパーを探すのに迷ってしまって、霞さんが帰ってくるまでに間に合いませんでしたね・・・」
咲「あ、勝手に台所借りてしまってすいません」ペッコリン
霞「いいえ、構わないけれど・・・そんな気を遣わなくてもよかったのよ?」
咲「違いますよ、ご飯のお礼はご飯でする。先輩からそれは当然のことだって言われてますから」
霞「そ、そう?」
咲「それよりお疲れでしょう? もう少しでできますから、座って待っていてくださいね」
霞「え、ええ・・・それじゃあ、お言葉に甘えて」
霞(なんか咲ちゃんが、ちょっと強引な気がしたりしなかったりするのだけれど・・・)
霞(でも、せっかく作ってくれると言っているのだから、待っていましょうか)
咲「きゃあああああああ!?」ドンガラガッシャーン
霞「え?」
咲「うわああああああああ!?」ドンガラガッシャーン
霞「」
37 = 30 :
――三十分後――
咲「はあはあ・・・できました」
霞(咲ちゃん、すごく満身創痍だけど何を作ってくれたのかしら?)
霞(台所の惨状とか、昨日とは別の意味で、色々と大変な事になっているけれど。うん・・・どんなものが出てきても、平静でいる心構えをしておきましょうか)
咲「どうぞ、野菜炒めです」コト
霞(!? こ、これは・・・思いのほか普通の・・・えーと、料理と言っていいのかしら?)
咲「・・・すみません、こんなものしか作れなくて。父と二人暮らしが長かったもので、その・・・」ズーン
霞「お、落ち込まないで、ね? ほら、すごくおいしそうじゃない! うん! ちゃんと全部しっかり火が通ってる! おいしいわ!」シャキシャキ
咲「・・・すみません、ちょっと焦がしちゃってすみません」ズズーン
霞(う、フォローしたつもりが、更に落ち込ませてしまったわ。ど、どうしましょうどうしましょう)オロオロ
霞「あ、そうだわ、これお弁当屋さんで貰ったお惣菜、余りものだけど一緒にたべましょう?」
咲「・・・はい」
38 = 30 :
咲(何をやっているんだろ私・・・霞さんのどこが不調なのか見極めるつもりだったのに、むしろ気を遣わせている・・・)
咲(麻雀以外は本当に駄目なんだな私・・・というか麻雀でも失態を犯しているから、駄目なとこしかない気がする・・・)
咲(こんな私が他の誰かの心配をする事自体、なんだかおこがましい気がしてきたよ・・・)
霞「咲ちゃんの野菜炒めおいしいわ、少し甘めの味付けがされてる所とか、とても私の好みよ」
咲「え? 甘い? ・・・う、これは」
咲「・・・すみません、塩と砂糖間違えるとか今時漫画でもやらない失敗をしてすみません」ズズズーン
霞(・・・さすがに咲ちゃんが、普段ちゃんと日常生活を送れているのか心配になってきたわ)
39 = 30 :
――食後――
霞「ごちそうさまでした」
咲「ごちそうさまでした」
霞「さて・・・と、じゃあ洗い物は任せてね」
咲「あ、それは私が・・・」
ズッテーーーン
咲「あ、足が痺れ・・・」
霞「うふふ、無理しなくていいからくつろいでいてちょうだい。私、洗い物得意だから」
咲「うう、すみません」
咲(駄目すぎるよ私、駄目の極みだよ・・・)
霞「ふう・・・よっこいしょ」
グキッ
霞「え? あ・・・」
ドサッ
咲「!?」
咲(霞さんが倒れた!? うそ、まさかこれが?)
霞「う、うう・・・」
咲「霞さん! しっかりしてください霞さん!」
咲「霞さあああああああああん!」
40 = 30 :
――1時間後――
憩「これは・・・ぎっくり腰やね」
霞「」ズーン
咲「そ、そう・・・ですか」
憩「まあ一週間は安静にしとくのが一番や、そもそもそのぐらいは痛くて起き上がれんと思うし」
霞「」ズズーン
咲「ありがとうございます先生、わざわざ診察に来てもらって」
憩「いえいえ、じゃあ湿布と痛み止め出しときます。くれぐれも悪化せんように気を付けてくださいな」
診察を終えた医師が帰り、アパートの部屋で霞と咲二人きりになる
腰に負担をかけないよう、うつ伏せの恰好になっている霞に付き添うように咲は残っていた
霞「」ズーン
咲(うわあ、霞さんがすごく落ち込んでるよ・・・うつ伏せで表情は見えないけど、鬱オーラが全身から滲み出してる)
咲「あ、あの霞さん・・・気を落とさないで下さいね?」
霞「ふ、ふふ、笑ってくれていいのよ咲ちゃん。昔から初美ちゃんとかにBBABBAとネタにされてきた私だけど、二十代でぎっくり腰だなんて・・・」レイプメ
咲(いや全然笑えません)
41 = 30 :
咲「あの、若くてもぎっくり腰になる人もいるって、先生も言ってたじゃないですか。疲れが溜まったり睡眠不足が原因になったりもするって」
咲「差し出がましいですが・・・少し無理をして働き過ぎていたんじゃないんですか?」
霞「う・・・」
霞「・・・そうかもしれないわね・・・はあ・・・」
咲「・・・・・・ごめんなさい」ポロポロ
霞「え!? ど、どうしたの咲ちゃん」
霞(いきなり泣き出しちゃったわ・・・)オロオロ
咲「私・・・実は霞さんの不調に気付いてたんです」グス
霞「え?」
咲「言い出せませんでしたけど、朝に霞さんが出ていく時・・・何かおかしいって気付いて・・・その何かが具体的には解らなかったので、的外れな事を言って不安にさせるより、できれば見極めてから伝えようと思って・・・」
霞「そう・・・そうだったの、それでお留守番をするって言ったのね?」
咲「はい・・・でも逆効果だったかもしれません。ぎっくり腰の引き金も、私が作ったようなものですし・・・」
咲「・・・私って、ほんと駄目ですよね。肝心な時に役に立たないで、いつも失敗ばかりなんです」ポロポロ
霞「そんな・・・咲ちゃんは何も悪くないわ・・・う、痛ッ」
腰の痛みに耐えながら、霞は体の向きをゆっくり変える
42 = 30 :
咲「霞さん!? 安静にしてなきゃだめですよ!」
霞「だい・・・じょうぶ・・・それより、涙を拭いて咲ちゃん」
そう言って霞は、咲の頬をつたっていた涙を手で拭う
霞「・・・優しい子ね咲ちゃんは・・・私の事を気にかけてなければ、そうして傷つかずに済んだのに・・・今も心配してここに残ってくれて」
咲「そんな、私はそんなことないです・・・ただ」
霞「ただ?」
咲「霞さんが優しいんです。お店でも、ご飯の味も・・・だから私もその優しさを少しでも返そうと思っただけで・・・」
霞「咲ちゃん・・・」
霞「・・・・・・ねえ、少し昔話をしてもいい?」
咲「昔話・・・ですか?」
霞「ええ、昔話と言っても、私が神宮を出た時の話なのだけど・・・」
咲「え・・・いいんですか?」
霞「何がかしら?」
咲「・・・お店では、その辺の話をすることを避けたいような感じでしたから・・・その」
霞「あら、うふふ・・・咲ちゃんには隠し事できないわね、なんでもお見通しみたい」
咲「たまに言われるんです、麻雀で色んな気配を見てきたせいか・・・他人の機微を察してしまうことがあって」
霞(ふんふむ、そういう事もあるのね・・・狭いところに力を集中させるだけでなく、そうやって他の事にも流用できる力の形も)
霞(そういえば・・・うちのクラブの指名ナンバーワンの尭深ちゃんも、ハーベストタイムでお客様を呼び寄せるし、才能のある子は何をさせてもすごいのかしらね)
43 = 30 :
咲「霞さん?」
霞「あ、ごめんなさい考え事をしてしまって・・・それよりも私の話ね・・・咲ちゃんに聞いてもらいたいの」
咲「は、はい」
真剣な顔で聞く体制を整える咲に、霞は温和な微笑みを向けながら話し出す
霞「私ね・・・自分がどういう存在なのか分からなかったの」
咲「え?」
霞「詳しい事は言えないけど、生まれた時からある人の代わりになる事が義務付けられていて・・・周りにいる大人も同年代の子も、それが当然だと思っていて、そしてそういう家に生まれた私も、それが当たり前だと思っていて」
咲「・・・」
霞「でも、ある日その当たり前に疑問をもってしまったの・・・石戸霞という私は、本当にその生き方を望んでいるのかって、ね」
霞「そして、気がつけば私はいつの間にか家を出ていた・・・」
咲「・・・そう、だったんですか」
霞「ええ・・・今思えば、それは思春期特有の悩みみたいで、ちょっと恥ずかしいのだけどね」
霞「でも世間は思っていたより厳しくて、私は家に守られていたんだなってたまに実感するの」
咲「後悔、してるんですか?」
霞「うふふ、してないつもりだったんだけどね・・・働いて、少しでも認められれば嬉しいし、誰かの代わりじゃない石戸霞がここに居るんだって実感したから」
霞「でも・・・無理はしていたみたい、こうした形で体にでてしまったんですもの・・・咲ちゃんにまで心配と迷惑をかけてしまって、本当に情けないわ私」
咲「そんな、私は別に・・・」
44 = 30 :
霞「ううん、私・・・家に、神宮に戻る事にするわ、どのみちこの体じゃしばらくは働けないし、日常生活だって難しいもの」
咲「霞さん・・・」
咲(どうしよう・・・本当にそれでいいの? 霞さんは・・・私は)
咲(よくない、気がする・・・いや、私が嫌だ)
咲「あの・・・霞さん」
霞「ん?」
咲「神宮に戻るのは、もう少し待ってみませんか? もしかしたら、気が変わるかもってこともあるかもしれませんし」
霞「いえ・・・でも」
咲「せめて体が治ってから、その時にまた改めて考えてもらうってのでは、いけませんか?」
咲「治るまでは、私が霞さんのお世話をしますから」
霞「え!? そんなの悪いわ・・・同情で、そこまでの事をしてくれなくても・・・」
咲「違います、同情じゃありません。私はただ・・・霞さんとお酒を飲めたのが楽しかったから・・・」
咲「昨日は本当に楽しかったんです・・・麻雀の調子も下がってて気分が沈んでいた時に、霞さんと会えて、久しぶりに楽しい気分を思い出させてもらいました」
霞「咲ちゃん・・・」
咲「もしも霞さんが神宮を出ずににいたなら、こうして会う事も無く、私はそんな気持ちを思い出せなかったと思うんです」
咲「わがままを言ってすいません・・・でも私、霞さんがせっかく築いたものを、仕方なくでやめてほしくない」
霞「・・・」
咲「どうかお願いします、体が治るまで神宮に戻るのは保留にしてください」ペコリ
45 = 30 :
霞「・・・」ツー
咲「!?」
霞「あら、やだ・・・涙がでてきちゃった。いやだわ歳をとると涙もろくて・・・」
咲「あ、いえ・・・」
霞「もう咲ちゃん、そこは嘘でもまだ若いですって言ってくれないと」プンプン
咲「あ、すみません、驚いちゃって・・・」
霞「ふふ、驚いたのはこっちの方よ、咲ちゃんって意外と強引なのね・・・でも、言ってくれた事、すごく嬉しい・・・本当に」
咲「じゃあ・・・」
霞「お言葉に甘えてみようかしら・・・私も本当は、こんな形で神宮に戻るのは違うって思っていたから・・・」
霞「でも本当にいいの? 動けない人間の世話って大変よ咲ちゃん・・・私も昔、御爺様のお世話をさせてもらった事があるけど」
咲「はい! 全力以上でお世話させて頂きます!」
霞(すごいやる気・・・嬉しいけど、ちょっと不安もあるかしら・・・小蒔ちゃんといい、頑張り屋さんは裏目に出る事があるから・・・)
霞(なんて・・・それは私も他人の事は言えないのよね。頑張ってみた結果がぎっくり腰だもの・・・)
霞「じゃあ、よろしくお願いします咲ちゃん」
咲「はい!」
こうして、ぎっくり腰になった霞の世話をする為に、しばらく咲は共同生活を送る事になった
46 = 30 :
――数日後――
えり「さあまもなく始まります麻雀プロ・アマチュア交流戦、実況はわたくし針生と、解説は三尋木プロにお越しいただいております」
咏「どもどもー」
えり「今回で十四回目の開催となりますこの交流戦、国内大会で優秀な成績を収めたアマチュア選手と、現役のプロ選手の意地をかけた戦いとなりますが」
えり「さてどうでしょう三尋木プロ、プロの目から見て特に注目すべき選手はおりますでしょうか?」
咏「さーてねぃ。でもまぁアマチュアから一人挙げるなら、ちゃちゃのんかねぃ」
えり「ちゃちゃのん・・・もとい佐々野選手は現役アイドルでありながら、アマチュアの大会でタイトルを獲得していますね」
咏「どうしてもアイドル的に騒がれがちみたいだけど、いくらかのプロには迫れる実力を持ってんじゃないかねぃ、しらんけど」
えり「なるほど・・・では次はプロの中での注目選手を教えていただけますか?」
咏「わかんねー、今は国際戦の最中で有力プロはそっちに行っちゃってるし」パタパタ
えり(この人はよくも・・・皆思っていても言わない事をズケズケと)
えり「いえしかし、競技人口が年々増え続け、その実力も常に高まりつづける日本の麻雀界。日本代表に選ばれなかった選手の中にも、今年活躍した選手は存在しています」
えり「今回初の参加になります宮永咲プロなどはいかがでしょう? 以前の国際戦では代表選手に選ばれ、今年は国内で三冠を獲得し話題を集めた選手ですが」
47 = 30 :
咏「宮永ちゃん? ふーむ、じゃあ同じ団体だしちょっと贔屓目に紹介しようかねぃ」
えり「いえ普通に紹介してください」
咏「きっちりしてんねー。じゃあ普通に紹介すっけど、あのこはこの顔ぶれの中じゃあ、まあ頭一つ飛び出してる」
えり「贔屓目なしの三尋木プロからお墨付きがもらえました宮永プロ、流石は国内三冠という訳ですね?」
咏「いや、しらんし」
えり「」イラッ
咏「あのこはさぁームラがあんだよねーいろいろと、それにこの時期は調子を落としがちだし、まぁ例年通りならアマチュアでも、一見いい勝負もできたんじゃあないかい?」
えり「例年通りなら一見いい勝負? 一見いい勝負という言葉も気になりますが、例年というのはどういう事でしょう? 今年は何か違うということでしょうか?」
咏「まぁねぃ、ちょうど会場のカメラが回ったし、宮永ちゃんのあのツラみてみろよアナウンサー」
えり「え?」
咏「ありゃバイオレンス感充分だねー」ニヤ
えり「・・・? どういう? ・・・あ、試合開始のようです。引き続き実況と解説は・・・・・・」
48 = 30 :
――対局会場――
東二局・親佐々野いちご
いちご「ツモ、2600オールじゃ」
いちご(よし、今日はええ感じじゃ・・・)
いちご(このプロアマ交流戦、活躍できればプロの実業団の目にもとまれる・・・もうちゃちゃのんをただのアイドルやとは言わせんよ)
いちご(しかしその為には・・・)チラッ
咲「・・・」ゴゴゴゴゴゴゴ
いちご(・・・宮永姉妹の営業スマイルが下手な方、こいつに勝たんといかんのじゃ)
いちご(しかし東一局は流局じゃったが、宮永は倍満の手を聴牌しとった・・・しかも他家の鳴きがなかったなら海底で和了ってたいうオマケつき)
いちご(フリテンじゃったおかげで流局になったが、まさか海底牌が見えとったのじゃろか?)
いちご(・・・いやいや、偶然、たまたまじゃろう、天江衣じゃあるまいし)
49 = 30 :
東二局・一本場
八順目
いちご(よし、張った・・・じゃが捨てるのは三索か)
いちご(・・・まだ場に一枚も出てないのう)
いちご(でも親番じゃしここは押していく場面じゃろ。ちゃちゃんの一手はこれ)
いちご「リーチ」コト
咲「カン・・・」
いちご「!?」
いちご(大明槓じゃと・・・宮永プロ、ここまで一度もカンをせんで不気味じゃったが・・・まさか)
咲「ツモ・・・」
いちご(・・・やっぱり嶺上開花か、どっかのアホなプロと違って「開花ならずや」みたいなハッタリじゃのうて)
パラパラパラ
いちご「う、これは!?」
咲「・・・緑一色です」ゴッ
いちご(嘘じゃろ・・・役満、しかも責任払いとか)
いちご「そんなん考慮しとらんよ・・・」ジワア
50 = 30 :
――放送室――
えり「だ、第一試合は東二局一本場で決着・・・これは何と言っていいか」
咏「あっはっは、ちょーおもしれー」
えり「・・・さすがは三冠という事でしょうか、しかし宮永プロが試合で役満を和了ったのは、もしかしてこれが初めてではないでしょうか?」
咏「お、さすが勉強家だねぃ、出場者の過去の牌譜はチェック済みてわけかい?」
えり「全てではありませんが一応、役満を和了った試合などは項目で真っ先に出てくるので、私に見落としが無ければですが」
咏「まああの子、役満聴牌しそうな時はあえて崩したりするからねぇ、和了りにいったのはプロになって初めてだろうよ」
えり「えーと、それは何か理由があっての事でしょうか?」
咏「わかんねー、全てがわかんねー」パタパタ
えり「」イラッ
えり(絶対わかりにわかってるこの人・・・)
えり(まあでも、特殊な打ち筋については、こういう場であまり語られたくないプロも多いって先輩アナが言ってたし・・・三尋木プロなりに気を使ってるからなのかもしれないけど)
えり「・・・ええでは、一旦コマーシャルです。第二試合はもうまもなく始まります」
CM中
咏「わりぃけど、ちょっと出てくるね」
えり「は!? ちょっと三尋木プロ、CM なんて一分もありませんよ!」
咏「早めに戻っからさぁ、なんとかつないでおいてねぃ」ヒラヒラ
えり「おいーーーーーー!!」
みんなの評価 : ★★★
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