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    元スレ提督「新薬の効果を試してほしい?」

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    201 :

    まだ新薬の在庫あるんやろ?この戦乱にまた一人投下してもええんやで?

    202 :

    おう全員で戦わせるんだよ、あくしろよ

    203 :

    残り全部不知火か加賀に投入したらどうなるんだろう・・

    204 :

    イ級「ワテラガ」
    ロ級「ノンデモ」
    ハ級「カマヘン」
    ニ級「デ?」

    205 :

    ヲ級でてこい

    206 :

    フラタ姉さんだろ!

    207 :

    ヲ級もタ級も大好きです

    208 = 206 :

    俺のル級姐さんは?

    209 :

    リ級ちゃんだろ

    210 :

    >>1提督はどこにきえたんや?

    211 :

    飛行場姫ちゃん早く飲んで!

    212 :

    不定期更新になってしまって本当に申し訳ないです
    続きが多少書けたので投下していきたいと思います
    後、とてつもなく今更なんですが
    このSSは独自設定、二次ネタなどが沢山入っています
    それを踏まえた上で見ていただけると有難いです
    滅茶苦茶遅い業務連絡ですいませんでした

    213 = 24 :


    提督「それで雪風、聞くのが遅れたが結局何の用だったんだ?」

    雪風「あ、申し遅れました!昨日も来たんですが、薬の研究の件でですね!」

    提督「おおそうだったな……」チラッ

    何気なく、薬を既に服用済みの二人の顔に目をやる

    不知火「」チーン

    加賀「」チーン

    提督(見つめ合って固まってたと思ってたら今度は生気がない目をして固まってる……)

    提督(薬の副作用か何かなのか?)←原因

    提督「ふむ……」

    提督「で、雪風」

    雪風「何でしょうか!司令!」

    提督「……本当にこれ飲むのか?」

    雪風「はい!提督のお役に立てるならどんな事でもします!」

    提督「そうか……それなら雪風の意志に口を挟むのは余計な事になるな」

    提督「こんな自分の為に尽くしてくれると言うんだ、本当に有り難いよ」スッ

    自然と提督の手がまた雪風の頭の上に伸びていた
    今度はあやすような撫で方ではなく、褒めるような撫で方だった

    雪風「ひゃっ!」ビクッ

    提督「あっ、すまん。つい手が伸びてしまっていた」

    雪風「い、いえ!突然だったのでビックリしてしまっただけです!」

    提督「そうか、驚かせてすまない」サッ

    提督の手が雪風の頭から離れる

    雪風「あ……」

    提督「ん?」

    雪風「いえ……なんでもないです」シュン

    提督「……もしかして」

    雪風「ち、違いますよ!本当はもっと頭を撫でてほしかったなんてそんな厚かましいこと考えてませんよ!」

    提督「……雪風は嘘をつくのが本当に下手だなぁ」ナデナデ

    雪風「う、うぅ……自分が不甲斐ないです……」

    不知火(これは……あざとい!)

    加賀(でもこれ天然なんでしょう?)

    不知火(ふむ……時代はあざとい系天然女子ですか……)

    加賀(どうやらまだ混乱してるみたいですね、しっかりしなさい不知火)

    加賀(武器とはその人が持って初めて兵器になるのです。自分の特性を省みない属性はかえってマイナスになりますよ)

    不知火(さっきから加賀さんの胸からチラチラ"これでアナタも今日からあざとい系天然女子になれる!"って本が見えるんですけど)

    加賀(実はこれ雪風の部屋から頂戴してきたんです)

    不知火(速攻で雪風売りましたね、最低です)

    214 = 24 :


    提督「さて……これが例の薬だ」コトン

    雪風「……」ゴクリ

    提督「まぁ、尻込みするよな普通は」

    雪風「あはは……やっぱり目の前にいざ出てくるとちょっと物怖じしちゃいますね」

    提督「無理はするなよ、雪風」

    雪風「……いえ!大丈夫です司令!」

    雪風(司令の為に役立ちたい、これは紛れもない本心だから!)

    提督「そうか」

    提督はそれ以上は何も言わず、黙って見届ける事にした

    雪風「では……いきます」

    雪風「んっ……」ゴクッ

    雪風「……!げほっ!げほっげほっ!」ガクガク

    提督「雪風!」バッ

    薬を飲んだ直後に痙攣しだした雪風
    提督は慌てて駆け寄り雪風の体を支えた
    薬を飲んだのを見たのは二人目といえど、目の前で艦娘が倒れるのを見るのは慣れるはずもなかった

    提督「大丈夫か!?雪風!」

    雪風「し、司令……」

    雪風「ごめんな……さい、少しお休みいただきます……」ガクッ

    提督「雪風!」

    雪風「……」スゥスゥ

    提督「……ほっ」

    不知火「不知火も見るのは二回目になりますが、流石に動揺しますね」

    加賀「……ええ、私は初めてでしたから足が動きかけていました」

    加賀(けど……私なんかよりもっと速く提督は動いていた……)

    加賀(いくら私は人間に似ているとはいえあくまで艦娘。それに反射速度で勝った提督は……)

    加賀(陳腐な言葉ですが、これが"愛の力"というものなのでしょうか)

    加賀(……駄目ですね、言葉としては捉えられますが、本質までは分かりません。まだまだ未熟ということですね)

    215 = 24 :


    提督「すまんな雪風……こんなベッドだがせめてゆっくり寝てくれ」

    そっと雪風の体を降ろしてあげる
    雪風の体はまるで羽のように、静かにベッドに沈んでいった

    提督「さて……そろそろ仕事を始めるとするかな」

    不知火「待ってください提督」ガシッ

    加賀「ええ、どさくさに紛れて戻ろうとしないでください」ガシッ

    提督「うごっ!肩が!肩がぁ!」

    不知火「不知火のお願いの前に不知火の目の前で雪風の頭を撫でるなんて……」

    不知火「新手の焦らしプレイでしょうか?生憎不知火はそういう性癖もつけることができますが」

    提督(そのカミングアウトはどうなんだろう)

    不知火「ですが……」

    不知火「どんな事があっても、最後は不知火を誰よりも愛してくれないと許しません」

    提督「不知火……」

    不知火「ふ、ふん別に雪風に嫉妬しているわけじゃないんだからね!勘違いしないでよね!」プイッ

    提督「え、えぇ!?」

    加賀(属性ぶっこみすぎでしょう、提督困惑してますし)

    加賀(ですが、数撃ちゃ当たるというやつでしょうか。提督の好みを探すのもまた正妻としての努めですね)

    加賀「提督、私も膝枕と耳かきをしてあげると言っていましたよね」

    提督「あ、あぁそうだったな」

    提督(先ほどの雪風の一件で頭から吹っ飛んでいたなんて言えないな……)

    加賀「もうっ、私との約束忘れるなんていけない子なんだから!このーっ☆」ポカポカ

    提督「え、えええええええ!?」

    不知火(提督の顔がまるでブラックホールに吸い込まれた時みたいな表情になってます)

    加賀(なるほど、こういうキャラは驚愕する……と)メモメモ

    加賀(驚いた提督の顔も可愛いですね、これからも色々開拓していきましょう)

    提督(やっぱりこの薬、皆に飲ませてよかったんだろうか……?)

    結構深刻に考える提督であった


    216 = 24 :




    ねぇねぇ、聞いた?

    どうしたの?

    今度私達の艦隊に……"死神"が来るんだって……

    ええ!?本当に!?

    どうしよう……絶対嫌だよ……

    そんな……嘘でしょ!?

    私まだ死にたくないよぉ……

    なんとかして助かる方法は無いのかなぁ……

    やっぱり、関わらないようにするのが一番なんじゃない?

    そうだよね、それくらいしかできないよね……

    ……何が"奇跡の駆逐艦"よ

    その実態は他の人達の命を刈り取って生きているだけの"死神"じゃない!

    ちょっと、声が大きいよ!

    いいでしょ、もし居たら聞こえるように言ってるのよ

    本人だって死神としての自覚があれば、何かしらケジメをつけるでしょ?それをしないって事は

    きっと楽しんでやってるのよ、ほんと最低だわ……

    ……居なくなればいいのに、あんな子


    217 = 24 :



    イナクナッテシマエバイイノニ、コンナコ

    コンナシニガミ、キエテシマエバイイノニ

    ドウシテ、ワタシハイキテルノ?

    ドウシテカミサマハ、ホカノコタチトイッショニサセテクレナイノ?

    ドウシテ?ドウシテ?

    キセキナンテイラナイカラ、ヒトツダケノゾミヲカナエテヨ

    ネェ……

    218 = 24 :


    「……お前が新入りの子か?」

    「……そうですけど、それがどうかしましたか?」

    「探していたんだ、お前の事」

    「……なんですか?"死神"の私に何か用でしょうか」

    「死神?お前が?」

    「そう呼ばれてるの、知らないんですか?有名ですよ、"奇跡の駆逐艦"なんて肩書よりですね」

    「私が皆さんの命を奪ってるから生きている、そして私が生き残るために次の犠牲を探して色んな艦隊に入ってくる……」

    「そういう認識みたいですね」

    「……」

    「おかしいですか?それとも怖いですか?」

    「……お前は、そんな事を言われてどう思っているんだ?」

    「慣れましたよ、もう」

    「私はもう誰とも関わっちゃいけないんだって、分かりましたから」

    「関わらなければ、傷つく事はありません。何を言われても笑っていられます」

    「笑っていて、それを気味悪がられても、笑います」

    「だって私が悲しんだら、他の人に言われちゃいます」

    「"死神"が悲しむな、本当に悲しむべきはお前以外の人だ、って」

    「……」

    「……もう話は終わりましたか?それでは私は」

    219 = 24 :


    「いや、まだ話は終わっていない」

    「……なんですか?私はもうこれ以上は話したくないです」

    「なあ、お前はさっきから死神死神って言ってるが」

    「ええ」

    「その死神って、一体どこにいるんだ?」

    「……は?」

    「おかしいな、お前の話し方だとまるで自分が死神だと言ってるように聞こえるんだが」

    「……だからそう言ってるじゃないですか」

    「自分の目の前には、可愛い女の子しか居ないぞ?」

    「あの、話を本当に聞いていましたか?馬鹿なんですか?」

    「ああ、自分の事を一番よくわかっている自分でも馬鹿だと思う」

    「けど、自分より馬鹿な奴が居るとしたら」

    「お前の活躍を実際に見ないで、言伝だけでお前を死神と避ける奴らかな」

    「……!」

    「何でお前が悲しんじゃ駄目なんだ?」

    「何でお前が仲間と一緒に居たいと思うのが駄目なんだ?」

    「誰が決めた?神様か?」

    「……一万歩譲ってそれを神様が決めたとしよう」

    「けどな、本当に神様がそう言ったとしたら」

    「自分はその神様をぶん殴ってやる」

    「そして、こう言わせるようにしてやる」

    「"自分の生き方は自分で決める物"だとな」

    220 = 24 :



    「……さっきから黙って聞いていれば私の事を悟ったような話ばっかり」

    「貴方に何が分かるんですか!?私の事なんて何も分からない癖に!!」

    「死神と呼ばれ、恐れられ、蔑まれ、恨まれ!!」

    「幾度となく投げかけられた言葉に、自分の存在理由まで分からなくなった!」

    「だから死にたかった!けど死ねなかった!死ぬのは怖かった!」

    「自分の感情だって表に出すことは許されない!自分の本心だって表に出すことなんて許されない!」

    「分からないでしょ!?私の事なんて何も分からないでしょ!?」

    「だからもう私に関わらないでよ!悟ったような口を聞かないでよ!!」

    「だから……もう……っ……」

    「……」

    「……すいません、取り乱してしまいました。もう本当に失礼します、それでは」

    「……そうか」

    「なんだ、もう自分が神様を殴りに行く必要はなかったな」

    「……何の話ですか」

    「お前は言ったよな、もう慣れてるって」

    「確かに俺はお前の事が分からない、けどな」

    「泣いてる子が居ることに気づけ無い程、馬鹿でもない」

    「……え?」

    221 = 24 :


    いつの間にか、私の目からは涙が溢れていたらしい
    いつから?なんで?
    あんなに怒っていたはずなのに
    ついに自分が壊れてしまったんだろうか
    ……何も分からない

    「確かに、お前がどれだけ辛かったかなんて、自分の言葉では指し図る事なんてできないほど辛い事だと思う」

    「でも、自分に過去をどうにかする能力なんてない、だから」

    「自分にできるのは、今のお前を助ける事だけだ」

    「たす……ける?……私を?」

    「ああ、死神なんてどこにも居ないって証明してやる」

    「その為に自分は絶対に死なない」

    「……無理に決まってます、貴方だってすぐ……」

    「なら、自分が死ぬとき、それは」

    「お前と一緒に逝ける時だ」

    「え……」

    「まあ、死ぬ気も死なせる気も微塵もないけどな。本当にifの話だ」

    「だがifの話だとしても、お前を自分は置いていかない」

    「奇跡の駆逐艦って証明できるまで世界がお前の敵でも、自分だけはずっとお前の味方だ」

    「……」

    「何も分からない、なら他の事でカバーするさ」

    「大馬鹿なりの考えだ、どうだ?」

    「……ええ、本当に馬鹿ですね」

    「はは、そうだろう。よく分かっている」

    (……助ける、なんて初めて言われた。いままではずっと、助けてくれ、だったのに)

    (私の話を聞いて、こんな言葉が出るなんて、馬鹿じゃなかったらなんなんでしょうか)

    (絶対無理だってのに)

    (……でも)

    (……もう一度だけ、あと一回だけ、人を信じてみてもいいのかな)

    222 = 24 :


    「はぁ……」

    「ん?」

    「ため息もつきたくなりますよ、さっきまであんなに感情を剥き出しにして怒ってたのに、いつの間にか泣いてて」

    「そして今は、呆れている。全部これどこかのお馬鹿さんが原因ですね」

    「はは、照れるな。そこまで褒められると」

    「褒めてないですよ、脳みそ腐ってるんですか?」

    「腐ってなきゃこんなくさい事言えないだろ?」

    「……それもそうかもしれないですね」クスッ

    「分かりました、見届けてあげますよ、貴方の最期」

    「それまでよろしくお願いしますね、"司令"」

    「ほう、ってことは一生一緒に居てくれるって事か、よろしくな」

    「減らず口ばっかり、そもそも貴方には寿命があるでしょう」

    「その時は生まれ変わってまた会いに行くさ」

    「……いつまでそんな事言ってられるか、楽しみにしてますよ」ニヤ

    「ああ、楽しみにしていてくれ」

    「こほん、さて、申し遅れました」

    「私の名前は、"死神"……改め、"奇跡の駆逐艦"」

    ――雪風、です!

    223 = 24 :



    皆さん、本当にごめんなさい

    雪風は、皆さんの憎しみ、悲しみ、喜び、怒りそれら全てを背負って、もう少し生きてみようと思います

    最低だと思いますよね、でも、雪風は初めて言われたんです

    自分の生き方は、自分で決める物だって

    だから、最低の私は、最低なりに頑張って、這いつくばってでも生きていこうと思います

    なので、皆さん、もう少しだけ待っていてください

    長くなりました。そして、これが最期の謝罪です

    生きていてごめんなさい、でも雪風は生きていきます

    ――たとえ、それが死ぬ事より辛くたって、自分が決めた生き方だから

    224 = 24 :

    酒の勢いで書いた書き溜め放出したのでまた書き溜め作ってきます……

    227 :

    おつ
    ここまでドス重い雪風は初めて見た
    ありだな

    228 :

    修造が出てくるかと思ったわー

    雪風が少し大人っぽい?

    229 :

    乙したー

    雪風の中身ってどんなんやろかねぇ

    230 :

    戦闘妖精やろ…

    231 :

    ラブコメなのかシリアスなのか

    232 :

    雪風が・・・敵だと言っている

    233 :

    雪風かうぃいよ!!1!

    234 :

    お久しぶりです……
    中々投下できませんでしたが、ちまちま書いていたものを投下していきたいと思います
    不定期な投下で本当に申し訳ないです

    235 = 24 :


    提督「分かった!分かった!だから順番にな?な!?」

    不知火「なら不知火が先に」

    加賀「何故そうなるのですか、年長者を敬う事は世間の常識と言います」

    不知火「世間の常識はここでは通用しません、不知火がルールです」

    提督「いやここ一応自分の部屋ね」

    加賀「ふむ……なら公平にここはじゃんけんで決めませんか?」

    加賀「古典的ですが、後腐れがない楽な方法でしょう」

    不知火「なるほど……拳で語り合うのもまた乙な話ですが、ここはその話にのりましょう」

    提督「何でそんなに喧嘩腰なの不知火は」

    不知火「不知火にとって命がかかっているようなものなのです。なのでこれは不知火の人生にもかかわります」

    提督「頭撫でられる事に人生かかってるの!?結構安いな人生!」

    加賀「ではいきますよ……さいしょはぐー」

    不知火「じゃーんけーん……!」

    236 = 24 :



    雪風「う、うぅん……」ムクッ

    不知火(こ、このタイミングでぇっ!?)

    加賀(これが……女神が与えた幸運というものなのですか?)

    提督「ん、雪風。起きたか」

    雪風「あれ……ここ……」ボー

    提督「ここは提督室、そして雪風はあの薬を飲んだ後、倒れてしまって、それからしばらく眠っていたんだ」

    提督「どこか痛む所は無いか……?」スッ

    パシッ

    提督「へっ?」

    雪風「何をしているんですか司令、今何故私の体に触れようとしたんですか?」

    提督「え、いや、その、どこか痛む所があったらって……」

    雪風「もし痛む所があったとして、提督が私の体に触って解決することなのですか?」

    提督「いや、それはだな」

    雪風「それはだな、ではないです。きちんと説明してくれませんか?何故触ろうとしたんですか?」

    提督「それは、あの、その、心配だったから……」

    雪風「ふむ、心配だったから。なるほど、それは理にかなっているかもしれませんね」

    雪風「私が倒れて、それに心配した司令が目を覚ました私に対して安堵しての行動……十分筋が通っています」

    雪風「それならば初めからそう言ってくれればいいものを、私が変な誤解をしてしまったではないですか」

    提督「え、あ、うん、すまん」

    雪風「では司令に粗相をしてしまったお詫びとして、此方へどうぞ」チョイチョイ

    提督「へ?でも……」

    雪風「私が来なさいと言っているのです。それに司令は従えばいいのですよ」ニッコリ

    提督「は、はひ……」テクテク

    雪風「ん……よしよし」ナデナデ

    提督「ほぁぁ!?」ビクゥ!

    雪風「少々厳しい言葉を投げてしまいました。怖かったですか?」ナデナデ

    提督「は、はい、少し怖かったです……」

    雪風「そうですか、それはごめんなさい。ですが司令、これからはきちんと説明してから行動するんですよ?」

    雪風「説明とは大事な事です。それをする事によって話の筋が通りますし。大人なら常識の事です」

    雪風「今度からはしっかり実践しましょうね?司令?」ニコッ

    提督「ひゃ……ひゃい……」トローン

    237 = 24 :


    不知火 加賀(だっ、誰だぁっ!?)

    不知火(起きて早々提督が心配して手を差し伸べた所をいきなり冷酷に払いのけた……)

    加賀(普段の雪風だったらありえない事です、まずその時点で提督は混乱させられたでしょう)

    不知火(そこからの普段では考えられないような理詰め、淡々と問い詰める様はいつもと真逆でした)

    加賀(そしてここからが真骨頂……谷底にぶん投げてからの天国!!)

    不知火(これも今までの雪風とは全く違う手法です……彼女は電と同じで庇護欲をこれでもかと掻き立てられるキャラだったと思います)

    加賀(だがしかし次から次に起きる今までとのギャップのオンパレード……)

    不知火(しかし最期のあの聖母のような頭撫でで提督はもう完全に雪風の虜に……)

    加賀(目がハート状態ってこの事を言うんですね)

    不知火(飴と鞭……うまく使いこなせば落ちない者は居ないと言われていましたが……)

    加賀(これは……本当に雪風なのですか?気のせいか、一人称まで変わっている気がします)

    238 = 24 :


    雪風「……」ジー

    雪風「……」ニコォ

    加賀 不知火「!」

    不知火(この不知火が、雪風に臆している……!?)

    加賀(誇り高き一航戦の私が……)

    雪風「よーしよーし司令はいい子ですね~」ナデナデ

    提督「うっうっ……仕事辛い……上司うざい……」グスングスン

    雪風「大丈夫ですよ、司令なら乗り越えられますよ。私も付いていますし」

    提督「本当?雪風が居ないと自分は駄目だよ……」

    雪風「ええ、私はずっと一緒に居てあげますよ。」

    雪風「文字通り、貴方の"最期"までね」ボソッ

    提督「そうか、なら安心だなぁ」スリスリ

    雪風「こらっ、くすぐったいですよぉ」

    <キャッキャッ

    不知火 加賀(某霊駆除漫画の途中からでてきたヒロインに全部かっさらわれた気分です……)

    不知火「……ですが」

    加賀「ここで諦める私達じゃありません、そうですよね?私のライバル、不知火」

    不知火「ええ、不知火のライバルは貴方だけですよ、加賀さん」

    雪風「……」

    雪風(……まぁ、こんなもんじゃ諦めませんよね)

    雪風(ふふ……でも司令はいずれ、私の虜にしてあげますよ。楽しみにしていてくださいね……)

    雪風「さて司令、そろそろ離れてくださいね。お仕事の時間ですよ」

    提督「えぇ……もう少し……」

    雪風「だ・め・で・す」グイッ

    提督「……ハッ!?自分は一体何を!?」

    提督「雪風が倒れて手を差し伸べようとした時から……うっ、思い出せん」

    不知火 加賀(ずいぶんと都合のいい記憶喪失ですね)

    雪風「クスクス……」

    239 = 24 :


    提督「そうだよ仕事だよ、っていや、その前に」

    不知火「あら、今度は学習したようですね」

    加賀「私の提督なら言う前に気づくと信じていましたよ」

    提督「信じてるならその手に持ってる凶器をしまってくれないか」

    加賀「あらやだ私ったら、間違えてつい愛用の拷問器具を持ってきてしまいました」

    提督「その話を聞いて100倍ドン引きだよ!!」

    加賀「レプリカですよ、あくまで」

    加賀「まあ、実用性はあるかもしれませんが」ボソッ

    提督「凄い不穏な言葉聞こえたよ!?」

    提督「……まあ、それは置いておこう」

    提督「で、結局どっちがじゃんけんに勝ったんだ?」

    不知火「ああそれがですね……」

    240 = 24 :


    雪風「司令、さっきから何の話なんですか?私にも分かるように説明してください」ズイッ

    加賀「……」ピキッ

    不知火「……」ピキピキッ

    提督「あ、あーえーとだな……」

    提督(やばいやばい、二人の顔が阿修羅になってるよ)

    提督(だがこれを隠したら雪風が今度は……ああああ……)

    雪風「し・れ・い?」ギロッ

    提督(な、なんで雪風から戦艦級のオーラが……!?)

    提督「……」ダラダラダラ

    提督「……よし、じゃあ説明するからちょっと三人共後ろ向いててくれないか?」

    雪風「……その提案はかなりの疑問ですが、教えてくれるなら受け入れましょう」クルッ

    不知火「……言ったら」ボソッ

    加賀「……拷問器具」ボソッ

    提督「……」ガタガタガタガタ

    提督「……よし、三人共後ろを向いたな」

    提督「それじゃ、少し待っててくれ」

    雪風「なるべく早くしてくださいねー司令」

    雪風「早くしてくれないと……私また怒っちゃいますよ?」クスクス

    不知火「もう提督には指一本触れさせませんよ、雪風」ギロッ

    雪風「あら……怖い顔」クスクス

    加賀「少しばかり先手を打ったからといって、調子に乗ることは愚鈍な輩がする事ですね」

    雪風「それは誰に向かって言ってるの?自分?ふふっ……」

    加賀「……頭にきました」ピキピキッ

    後ろに黄色のオーラを纏った三人……
    一触即発の空気に提督が下した決断とは……!

    三人「提督(司令)っ!まだですか!?」クルッ

    モヌケノカラーン

    三人「……」

    雪風「これはお仕置きが必要みたいですね……」

    不知火「仕方ないですね、ここは一時休戦といきましょう」

    加賀「提督を確保する事が最優先事項ですしね」

    雪風「ええ、仕方ないですね。ここは手を組みましょう」

    ある意味、提督の判断はよかったのかもしれない(?)
    三人が結託したのだから……表面上は

    雪風(ふふ……司令を私が一番最初に捕まえて……)

    不知火(誰も居ない部屋に引きずっていって……)

    加賀(私だけしか見れないようにする……)

    三人「……」ニヤァ

    三人が去っていった後に、遠征の報告に来た駆逐艦の子が、提督室の空気の異変に敵襲と勘違いして助けを求めたのはまた別の話である

    241 = 24 :


    提督「はぁ……はぁ……ここまで来れば……」

    提督室からかなり遠い所にある、工廠に提督は来ていた

    提督「こ、ここなら資材も沢山あるし隠れられるだろう……大丈夫だ……大丈夫だ……」ブツブツ

    日向「何を一人でぶつぶつ言っているんだ……君は」

    提督「うぼぁぁっ!!!」

    日向「うおっ」

    提督「……って日向か、驚かせないでくれよ」

    日向「いや、驚いたのは私の方なんだがね?」

    提督「ここでなにしてるんだ?」

    日向「私としては君に聞きたい質問だが……」

    日向「まぁいいさ、私は装備のメンテナンスにね、先の戦闘で少し損傷してしまったんだ」

    提督「ふむ……大丈夫だったか?」

    日向「ああ、一日もあれば直せる程度だ、すぐに出撃できるさ」

    提督「いや、自分は日向の体が大丈夫だったか聞いたんだが……」

    日向「……?あぁ、私ならほら、この通りピンピンしてるぞ」

    提督「そうか……よかった」

    日向「しかし、つくづく思うが、君は変な提督だな」

    提督「変、自分が?」

    日向「所詮、私達なんて兵器なんだから、多少の損傷なんて当たり前だろう?」

    日向「他の鎮守府の提督でそんなに艦娘達の体調とかを気にしているって話は聞いたことないからね」

    日向「私も以前居た鎮守府では自分より装備を大事にしろと言われてたもんでね、つい装備の事を聞かれたのかと思ったよ」

    242 = 24 :


    提督「……」

    提督「なぁ、日向」

    日向「なんだい」

    提督「自分は、変か?」

    日向「……変だね、うん。紛れも無く」

    日向「所詮私達なんて使い捨てだってのにさ、そこまで私達に固執する理由はなんなんだい?」

    提督「……そうだなぁ」

    提督「まぁこれは当たり前の事だけど、お前らは"お前たち"しか居ないだろ?」

    日向「……」パチクリ

    提督「けどこれは本当に当たり前の事だからな……日向が求めてる答えとはまた別の事なんだろうな……」

    日向「あー……いや、十分だよ。君の言いたい事は分かったさ」

    提督「こんな当たり前な話でよかったのか?」

    日向「……それが当たり前かどうかは、常識のズレが起きているのかもね」

    日向「世間の常識じゃぁ私達なんていくらでも代わりが居る、使えなくなったらまた新しい艦を作るように……」

    日向「だから君の言うような私達は私達しか居ないっていう考えは、とっても珍しいと思うがね」

    提督「でもそれって、普通だろ?」

    日向「……話は聞いていたか?」

    提督「そうか、ある程度自覚はしていたが……やっぱり変なのか、自分って」

    日向「……まぁ、そうなるな」

    日向「でもな、私はその変な君が好きだぞ?」

    提督「え」

    日向「ああ、好きってのは……まぁ、あれだ」

    日向「尊敬してるとか、まあそんな意味として受け取ってくれ、うん」

    提督「そ、そうか……」ドキドキ

    提督(日向は時折こういう直球で勘違いするような言葉を言ってくるからな……落ち着け、自分)←ブーメラン

    243 = 24 :


    日向「……ふむ、ならついでにもう少し質問してもいいかな?」

    提督「あ、あぁ。自分に答えられる事なら」

    日向「ありがとう。それじゃあ……」

    日向「何で、私達は戦ってるんだろうな」

    提督「……え」

    日向「護りたい人を護るため?国の勝利の為?名誉の為?恩賞の為?」

    日向「そして、"敵"っていうのはなんなんだろうね?」

    日向「あっちから見ればその"敵"ってのは私達だ」

    日向「それだったら、どっちが正義でどっちが悪なんだろうね?」

    日向「こっちにも正義ってのがあるように、奴さん達にも正義ってもんがあるのかもね?」

    日向「まあ、それは言語が通じないから分からないだけかもしれないんだが」

    日向「……戦うために生まれた私がこんな事を口走るなんて、絶対に言ってはいけないはずなんだがな」

    提督「それ……は」

    日向「……少し意地悪な問だったかな?」

    提督「……」

    日向「ま……君にこの質問をするのはよくなかったな」

    日向「すまん、気にしないでくれ。どうやら私も提督と同じで変な奴みたいだ」

    提督「……それはフォローになってるのか?」

    日向「はは、なってないな全く」

    日向「……それじゃ、私はそろそろ行くよ。ゆっくり話せて、よかった」

    提督「ごめんな、答えられなくて」

    日向「いいさ、気にしないでくれ。あの質問は私の気の迷いさ」

    日向「私達は戦う為に生まれた、そして戦いで死ぬために生まれた」

    日向「これは揺るぎない事実さ、答えになってるよ」

    日向「それじゃ、また」

    提督「……ああ、また」

    244 = 24 :


    離れていく、日向の背中
    傍から見れば、いつもの頼もしい背中かもしれない
    けど、提督から見ればその背中は、どこか寂しげに見えた
    話を聞いたからだろうか?それとも気のせいだろうか?
    でもそれが、提督には耐えれなかった

    提督「……日向!」

    日向「……?」

    提督「質問に答える事はできなかったけど、これだけは言わせてくれ」

    提督「自分は、誰も沈めない、平和になるまで絶対な」

    提督「敵にも正義はある、だけど自分には信念ってもんがある」

    提督「それが自分のエゴでも、それを自分は貫き通していく」

    提督「だから……戦いで死ぬなんて人生、自分には絶対にさせないからな!」

    日向「……」

    日向「……やっぱり、君は変だね」

    提督「自覚しているさ」

    日向「なら、そのエゴを貫き通してみな、私もできるだけ付き合うよ」

    日向「それじゃあ本当にさよならだ」

    提督「ああ、"またな"」

    日向「……あぁ、"またね"」

    気のせいか、日向の背中は
    いつもの強くて凛々しい背中になっていた、ような気がした

    日向「……」テクテク

    日向(変な奴……だけどさ)

    日向(私は、大好きな変な奴だよ?)

    日向(まぁ、また近い内に会うだろう、なぁ"提督"?)

    日向はポケットから赤い印の付いた棒を取り出し、くるくる回しながら機嫌よく工廠を出て行った

    245 = 24 :


    不知火「あ、日向さん。少しいいですか?」

    日向「ん?どうした不知火」

    不知火「実は今提督を探しているんですが……どこかで見ませんでしたか?」

    日向「ああ、提督なら工廠に居るよ」

    不知火「ありがとうございます、では急いでるのでこれで」スタスタ

    日向「うん、またな」

    日向「あ、そういえば何で提督あそこに居たのか聞けなかったな……まぁいいや」

    提督「……ふぅ」

    提督(やっぱり、色んな考えの娘達が居るんだなぁ……)

    提督(……もっと、皆の話を聞きたいな。逃げ回りつつ話ができれば……)

    不知火「ごきげんいかがですか?提督」

    提督「……」ガクガクガクガク

    不知火「どうして震えているんですか?提督の秘書艦、不知火ですよ?」

    提督「……や、やぁ奇遇だな不知火」

    不知火「ええ、奇遇ですねこれは最早運命なのでは?」

    提督「一つ聞いてもいいか、不知火」

    不知火「一つとおっしゃらず、何でも聞いてください提督」

    提督「その後ろに持ってる注射器は……なんだ?」

    不知火「すいません、それは答えられません」

    提督「いやあの」

    不知火「ならヒントだけ、これは狩猟用の麻酔薬ですね」

    提督「それ答え!てか自分に使う気だったのかよそれ……」

    不知火「あくまでも、最後の手段ですよ。暴れられたら困りますから」

    提督「な、何をするつもりなんだ……?」

    不知火「決まっているでしょう……?それはですね」

    246 = 24 :


    提督(……南無三!)

    不知火「頭を……撫でてください」

    提督「……へ?……あ……そうだったな」

    提督「はぁ~……」ヘタリ

    不知火「……何命が助かったみたいな顔しているんですか?」

    提督「いや、気迫がな……」

    不知火「不知火はどんな事があってももう提督に手は出しませんよ」

    不知火「拘束したり、昏睡はさせたりするかもしれませんが」ボソッ

    提督「あー何も聞こえんなー」

    不知火「まぁそんな事はどうでもいいんです、早くしてくれませんか?」ズイッ

    提督「……はは、不知火は可愛いな」

    ……自分をただそのお願いの為だけに探しまわっていた不知火が、とても可愛く見えた
    異常な条件下の吊り橋効果ってやつかもしれないが、提督にはとにかくそう思えた
    それもそのはず、提督の目の前に居たのは、一人の恋する少女だったから

    不知火「なっ……」カァァ

    不知火「はぁ……本当に提督はずるいですね、今は不知火のターンだったじゃないですか」

    提督「はは、緊張がとけたらつい本音がな」

    不知火「……っ!その言葉も余計です!」

    提督「っと、すまんすまん」

    不知火「い、いえ、そ、それより早くしてくれませんかっ!?」

    提督「うん、おいで不知火」

    不知火「……はい」

    あぐらをかいて座った提督に、とことこと近づいていく不知火
    密着するまで近づくと、不知火は提督のあぐらの中に背中を見せて座った

    不知火「……待たされた分、やってくれなきゃ嫌ですからね」ムスッ

    提督「ああ、気が済むまでやってあげるさ」ナデナデ

    不知火「あ……」

    提督「どうだ、痛くないか?」

    不知火「いえ……ちょうどいいです」

    提督「そうか、よかった」

    247 = 24 :


    不知火(……)

    不知火(……さっきまで、提督に対してあれだけ怒っていたのに)

    不知火(それをまた、提督に宥められてしまいました)

    不知火(やっぱり不知火の軸となっているのはいつも提督なのですね、分かっていましたが)

    不知火(何故、提督と一緒に居るとこんなに安心するんでしょう?)

    不知火(恋……とはまた別の何かがあるのでしょうか?)

    不知火(それとも……)

    提督「不知火?」

    不知火「なっ、なんでしょう?」

    提督「いや、なんだかぼーっとしてたみたいだから」

    不知火「そ、それはですねえーと」

    不知火(い、言えない……まだ自分の中でも分からない事なのに……何か別の事……別の事……)

    不知火「提督のナデナデが凄い気持ちいからで……あ!」

    提督「……そうか、ご期待に添えてなによりだよ」

    不知火「~~っ!!」

    火がついたように顔を真っ赤にして、そのまま俯いてしまった
    提督はそれを見てまた可愛いと思い、耳まで真っ赤にしている不知火に対して、悪戯心がむくむくと沸き上がってきた

    248 :

    >赤い印の付いた棒

    あかんwwww当選者だww

    249 = 24 :


    提督「……」サワ

    不知火「ひゃっ!?て、提督?」

    提督「ん?どうした?」

    不知火「な……なんで不知火の耳を触っているんですか?」

    提督「いやあなんか耳が真っ赤になっていてなぁ、心配だったんだ」ニヤニヤ

    不知火「そ、それは!」

    提督「不知火は原因が分かったりするか?」

    不知火「……提督は意地悪です」

    提督(……可愛いなぁ)

    いつもやられる立場だっただけに、受け身になってる不知火に対して次は何してやろうか楽しみになってきた提督
    不知火も受けに回ると弱いのは自覚しているらしく、ただ提督が手を出すのに赤面しながら体を寄せていた

    提督(……不知火の肩、腕、お腹……)

    不知火「ひゃっ、あっ、んんっ……!」

    提督(腰、太もも、ふくらはぎ……)

    不知火「んんっ!提督!そこはっ!」

    不知火の全身を撫でたり、揉んだり、くすぐってみたり
    とにかく、好き放題だった

    提督(いかん……妙な気分になってきた……)

    正気に戻ろうと、一旦手を止める
    そこでやっと不知火がグッタリしている事に気づいた
    それに慌てて手を離す

    不知火「はぁ…はぁ…」グッタリ

    提督「す、すまん!やりすぎたな」

    不知火「……いいですよ」ボソッ

    提督「……え?」

    不知火「提督がしたいなら……不知火は、いいですよ?」

    ゆっくり振りむきながら、提督の顔を上目遣いで見て、そう言った
    後ろを向いていたので表情が分からなかったが、不知火は顔を真っ赤にし、少し息も乱れ、瞳が潤んでいた
    不知火としてはこれでも精一杯声を出したつもりだったのだが、蚊がなくような声になってしまっていた
    だが、その小さく囁くような声と表情は、とてつもない破壊力になっていた

    250 = 24 :


    提督(……したいって……まさか……な)

    不知火「提督……」ポー

    提督「……!!」

    提督「だ、駄目だっ!」バッ

    不知火「あっ……」

    提督は反射的に不知火を押しのけていた
    それは、明確な拒絶でもあった

    不知火「てい……とく?」

    拒絶された不知火の顔は、先程までと打って代わっていた
    甘えて、信頼しきった顔
    それが、信じていた人に拒絶され、混乱したような、呆然ともしているような表情だった

    提督「……はっ!?」

    提督「ご、ごめん!不知火!突き飛ばしたりなんかして、怪我はないか?」

    不知火「……いえ、体はどこも」

    提督「そ、そうか……よかった」

    不知火「……提督、ありがとうございました。撫でてくれてとても嬉しかったです」

    不知火「不知火は少し行く所があるので、失礼します」

    提督「あ、あぁそうか。気をつけてな」

    不知火「……えぇ、ではまた」

    駆け足で去っていく不知火
    その背中を見つつ提督は、自分のとった行動に困惑していた
    言葉で止める事なんていくらでもできたはずなのに、先に体が動いていた
    考えれば考える程分からなくなり、提督は俯いた
    起き上がれるようになった時には、当然不知火の姿は見えなかった
    背中を追うことなんて、とてもできなかった


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