元スレ八幡「そして冬休みになった……」 雪乃「……」
SS+覧 / PC版 /みんなの評価 : ☆
101 = 86 :
「そんで、終業式の日に話が戻る。葉山が俺に対する態度で怒っただろ。だから俺に謝りた
いというふざけた理由でノコノコ総武高までやって来たんだ。そんで、部活が終わるまで校門
の前で待っていたらしい。まぁなんだ、さすがに目が合ってしまったらそのまま無視なんて
できないだろ……」
「そう。わざわざ校門の前で比企谷くんをずっと待ってたとはずいぶんと殊勝なようね」
再びこの場にいない折本に敵意をむき出しにして合の手を入れる。
ちょっと怖いんだけど。
102 = 86 :
「仕方ないから、喫茶店に入ったんだ。そしたら、またお前の姉ちゃんが……」
「いいわ。みなまで言わなくても良いわ、比企谷くん。それにしても姉さんといい、あなた
の元同級生の何とかさんといい忌々しいわね」
雪ノ下は自分で気づいているのだろうか。
今まで見たことがないくらい感情をむき出しにして、怒りの炎を燃やす自分の姿を……。
103 = 86 :
「あとな、蛇足だがあの時お前に会っただろ。実は、その直前に折本にキレてしまった。
もしお前にあの時会わなかったら折本のことを思いっきり罵倒してしまうところだった。
まあ、だから、お前には不快な思いをさせてすまなかったが助かったわ……。
あ、あの、ありがとな……」
「え、ええ。確かにものすごく不快ではあったけど、礼を言われるとそんなに悪い気は
しないわね……」
雪ノ下はもじもじ身体を動かしながら答える。
もしかしてトイレにでも行きたいのか?
「とにかく、イレギュラー因子についてはそんなところだ」
「ほ、本当にそ、それだけかしら」
だからそんなにもじもじするなって。
早くトイレ行けよ。
「ああ、本当だ」
104 = 86 :
しかし、この時大変なことを失念していた。
雪ノ下陽乃についてはもう一つ言及しておかなければならないことがあった。
事前に頭の中で論点を整理していたはずなのに、どういうわけかこの時頭の中から
すっぽりと抜け落ちていた。
105 = 86 :
また明日
106 :
待ってます
107 :
原作読んでないからまるでわからんが面白いよ
108 :
これが9巻のネタバレですね!わかります
109 :
おもろい
110 :
クソビッチ折本は自分の糞食って絶望して死ね
111 :
いろはすは八幡にだけ本当の自分を曝け出す
ヒロイン候補だってはっきりわかんだね
112 :
いよいよ本題に入ろうとしたその時、携帯が震えた。
着信は材木座からだった。
雪ノ下に中座を告げると、通話を開始した。
『八幡、大変だぞ』
「何した、材木座」
『お主、今どこにいる?』
「海浜幕張駅前だけど」
『なら知ってるか……』
「えっ、何をだ?」
『京葉線と総武線と千葉線が止まったぞ』
「何っ?!」
京葉線は人身事故、総武線と千葉線はクレーン転倒で架線事故があったそうだ。
時計を見るとバスでバイト先に向かうのであればそろそろ出なければならない時刻だ。
せっかく雪ノ下となんとなくいい雰囲気で話ができていたのに水を差す形になってしまった。
このまま雪解けを迎えられそうだったのに。
113 = 112 :
「雪ノ下、千葉方面に向かう電車が全部止まってしまった。申し訳ないが、このあとバイトがあるから……」
「わかったわ。私としてもなかなか有益なことを聞けたわけだし、続きはその、あなたのバイトが終わって
からってことでどうかしら」
仕方ないわねと微笑みながら雪ノ下は赦してくれた。
昨日はあんなに会うのを嫌そうにしていたのに今日は本当にどうしたのか。
それに有益な話って、俺何か話したか。
114 = 112 :
「ところで比企谷くん、バイトは何時まで?」
「8時までだ」
「そう。またこの店でいいかしら」
「ああ」
そう答えて雪ノ下と再会の約束を取り付けて会計に向かおうとすると呼び止められる。
「比企谷くん、ちょっと……」
「どうした、雪ノ下」
115 = 112 :
雪ノ下はトートバッグからパンさんのメモ帳とペンを取り出すと何かを書きつけてそっと
手渡された。
「わ、私の携帯番号とメールアドレスよ。そ、その、あなたのバイトが終わるまで電車が復
旧していないとは思わないのだけれど、もし待ちぼうけになっても、そ、その困ってしまう
から……。そ、それと、ひ、比企谷くんのもお、教えてくれると助かるの……だけれど」
自分から言い出しておいて、そんなに俺と連絡先を交換するのが嫌なのかよ。
引きつりながら俺の連絡先聞いてくるのやめてくれない。
俺、何か悪いことしているみたいじゃない。
それにお前の連絡先を知ったところで悪用したりしないから。
あとが怖いし……。
ほんと、お前は俺のことをどれだけ不審者扱いしているの?
116 = 112 :
変に改まって緊張している雪ノ下に俺の連絡先を知らせ、晩の再会を約束するとバス乗り場に急いで向かった。
なんとか雪ノ下とは和解したい。
そして、……。
そして、…………。
二の句が継げない。
俺は一体どうしたいんだ?
材木座から投げかけられた問いが再び頭にこびりついて離れなくなってしまった。
117 :
ティーカップの人かな?
118 = 117 :
ティーカップの人かな?
119 :
やはりバレてしまったか
120 = 119 :
トリじゃなくスレタイ入れてしまった…… orz
121 = 119 :
× × ×
「よう、材木座」
「八幡よ、間に合ったか」
気分が良かったせいか、今日は俺から声をかけた。
未だに材木座の問いに答えを出せていない。
特に2つ目の問いは、問自体の意味がさっぱりわからない。
今の俺にこんな問い自体が成立しているのかと首をひねってしまうレベルだ。
材木座はそのことに触れもせず、相変わらず鬱陶しい話し方でどうでもいい話題を振ってくる。
122 = 119 :
選挙の件以来、こいつに頼りがちな自分がなんとも情けないのだが、頼りがいのある奴で
あることは間違いない。
調子に乗られると困るので面と向かって奴には言っていないが、俺は材木座義輝のことを
友達だと思っている。
俺らしくないって?
そうかもな。
だけど、折本の俺に対する態度からわかったことが一つある。
折本かおりの俺に対する態度は、俺が材木座に対してとってきた態度そのものにほかならなかったと。
材木座ともう二つ三つくだらない会話をすると、仕事の時間になった。
ハーブティーのリラックス効果のおかげだろうか。
あれほど嫌っていた労働に汗かくことが清々しく感じる。
あれっ……?
もしかしてハーブはハーブでも脱法ハーブだったなんてことはないよね。
雪ノ下の挙動もかなりおかしかったし。
123 = 119 :
休憩時間になった。
さすがにハーブティーの効果はすっかりと影を潜め、やっぱり俺は働きたくないと再確認
するに至っていた。
そうはいってもまだこれから数時間働かなければならない。
自販機コーナーでハーブティーを探すが見つからなかった。
代わりにカモミールティーで一服することにした。
「時に八幡……」
材木座が話しかけてきた。
「おう、お疲れ。何か用か?」
「お主、今日はすっきりとした顔をしているな。昨晩我と話して吹っ切れたのか」
昨日はこいつ、俺のことをうぬと呼んでいたが、今日はお主に変わっている。
こいつの中の設定はいったいどうなっているのだ。
軽くキモさを感じたが、そこには触れないことにした。
124 = 119 :
「昨日、雪ノ下に会ったんだ」
「ほえっ?」
材木座は素っ頓狂な声をあげた。
「は、八幡、お主ずいぶん攻めに出たな」
「帰りの電車でたまたま会っただけだ。そんで、今朝会う約束をして少しだけだが話をしてきた」
「ほう、それで万事解決というわけか」
材木座は、一人でウンウン頷きながら勝手に納得している。
「いや、お前から千葉方面の電車がすべてストップしているって連絡があっただろ……」
「ふむ」
「それで、話は途中で終わってしまった」
「なーるほどー。それでバイトの後、逢引きをするのだな。ふむふむ」
「なんでそうなる。だいたい、逢引きって何だ。お前は昨晩、俺の話をちゃんと聞いていたのか?」
こいつの頭の中はいったいどうなっているんだ。
125 = 119 :
「で、もう逢わぬのか」
もしかして、お前の脳内で「会う」が「逢う」とかに勝手に妄想変換されていないよな?
「いや、今日はバイトのあと話の続きをしてくる。今のところは何とか解決できそうな感触
はある」
材木座の妄想が怖いので「会う」という単語を用いないようにする。
とにかくお前の妄想キモすぎるぞ。
「そうか。八幡よ、お主の健闘を祈るぞ」
「ああ」
こうして休憩を終えた俺たちは再び仕事を始めた。
126 = 119 :
こんなところで
128 = 119 :
× × ×
8時になった。
2日間の短期のバイトがようやく終わった。
署名捺印と引き換えにバイト代を貰うと材木座と別れて駅の方へと急ぐ。
コートのポケットからスマホを取り出すと雪ノ下からのメールを受信していた。
メーラーを起動してメールを開くと思わず苦笑してしまった。
-------------------------------------------------------------------------
受信日時:1月4日20:00:00
差出人:雪ノ下
題名 (none)
本文「バイト終わったかしら」
-------------------------------------------------------------------------
129 = 119 :
なんだよこのメール、突っ込みどころあり過ぎだろ。
まず送信時刻だ。
8時ジャストって何?
しかも秒単位で。
お前ちょっと気が早過ぎだろ。
それから、題名くらい打て。
それに本文短すぎ。
せめて「お疲れ様」くらいあったっていいのではないかい。
何というかこれぞ雪ノ下て感じのメールだ。
本当に仕方なくメールしたわという心情がありありと滲み出ている。
130 = 119 :
さて、電車に乗ってからレスするか。
今晩はこの冬一番の冷え込みになるそうだ。
これから喫茶店に向かうが、それまで温かいものを我慢だなんてできそうにない。
そんなことを考えていると、おあつらえ向きにちょうど目の前ゲーセンの軒先に自販機がある。
ホットのカフェオレを買って軒下で暖を取ると、少し生き返った気がした。
おっと、こう悠長にしていられない。
雪ノ下を待たせないように急がないとな。
131 = 119 :
ポツポツ……、ザー……。
軒下から動こうとしたその瞬間、雨に打たれた。
驟雨だ。
くそー、ここで雨宿りしてー。
恨めしそうに店内を覗くと一台のゲーム機が見えた。
「!」
これならちょっとぐらい雨宿りしても雪ノ下は咎めたりしないよな……。
132 :
× × ×
さっきからたて続けに雪ノ下の火のついたような催促メールが届いている。
何これ新手のスパムメールかよ。
俺のメールボックスがパンクしてしまうぞ。
最初のメールは「まだかしら」だった。
俺は「駅に着いたらメールする」とレスしたものの雪ノ下は合点がいかないようだ。
次のメールからは「どこかしら」に変わった。
そのつど俺は「もうすぐ稲毛海岸に着く」だとか「検見川浜に停車中」とレスを返す。
京葉線ユーザーの雪ノ下は所要時間がいかほどのものかについては当然熟知している。
それなのに、いちいち俺の所在確認のためのメールを送ってくる。
氷の女王は相当お怒りらしい。
きっと今日の寒波もこの女王様の仕業に違いない。
133 = 119 :
うわっ……、また来たぞ……。
雪ノ下の苛烈さや執念深さは身をもって熟知していたつもりであったが、ここまでも
凄まじいものだとは思ってもいなかった。
そういえば、こいつの見てくれに騙されて未だに告白して轟沈する者が後を絶えない
そうだ。
これから告白しようと思っている連中に告ぐ。
心を折られたくなければやめとけ……と。
134 = 119 :
『間もなく海浜幕張、海浜幕張。お出口は――』
ようやく駅に着きそうだ。
こりゃ、雪ノ下に会ったらもうアレだな。
俺の必殺技「土下座」、これしかないな。
それでもダメなら「エクストリーム土下座」をするまでだ。
ドアが開くとワインレッドのラインカラーの車両を真っ先に飛び出して改札めがけて走った。
階段を駆け下り改札を飛び出すと、仁王立ちした雪ノ下の姿が見えた。
135 = 119 :
ここまでです
136 :
ああ絶妙な焦らしプレイ
137 = 119 :
「比企谷くん、一体いつまで待たせる気かしら」
冷たい冷気を放つような視線と口調で背筋が凍りつく。
やはり、今日の寒気はこいつのせいだろう。
それにしても寒いな。
「雪ノ下、なんでこんなところにいるんだ。おまえん家すぐ近くなんだから、家で待ってるな
り喫茶店に入ってるなりしてればよかっただろ」
合理的な雪ノ下がなんで好き好んでこんな寒いところで待っているのか俺にはさっぱり
理解できない。
138 = 119 :
「雨が降っているからよ。比企谷くん、あなた今朝会った時に傘を持っていなかったでしょ。
だから、濡れないようにと思って傘を持ってきたのよ」
今朝の様子といい、今の様子といい今日の雪ノ下はなんだか変だ。
悪いものでも食ってしまったのか。
「そう言う割には傘を1本しか持っていないのだが……」
「ひ、比企谷くん、話をはぐらかさないで貰いたいのだけれど。なぜ来るのがこんなにも遅
いのかしら」
話をはぐらかしたのはお前の方だろ。
何顔を真っ赤にして焦っている。
ほんと、今日のお前絶対変だぞ。
139 = 119 :
「いや、ちょっと、その……、ゲーセンでな……雨宿りしてたんだわ」
ちょっとだけと思って入ったはいいが、15分もいたからな。
こればかりは責められても仕方ない。
「それは雨宿りではなくて油を売っていたの間違いではないのかしら。どうせ、いかがわしい麻雀ゲーム
でもしていたのではなくて」
「さすがに今日はしないわ。……いや、俺は断じてそんなものは……」
いつだかゲーセンに行った時にもこんなことあったな。
あの時は小町のせいで雪ノ下に睨まれたよな。
いや、今も超睨んでいてとても怖いです。
「まあ、いいわ。行きましょう」
駅を出ると雨は既に止んでいた。
そのかわり、一段と冷え込みが厳しくなっている。
口を開くだけで体力を消耗してしまいそうだ。
ふたり無言のまま足早に喫茶店へと急いだ。
140 = 119 :
大幅に手直しをしているので小出しになってしまいます
ちゃんと終わるかな……
141 = 119 :
× × ×
カチャ……。
ミルクティーのカップをソーサーに置く音が貸し切り状態の店内に遠慮がちに響いた。
夜が更けるにつれて、寒さがますます厳しくなってきた。
猫舌の俺も今日ばかりはさすがに冷めるまで待つことができずに飲んだ。
おかげで舌がヒリヒリする。
「比企谷くん、大丈夫かしら」
心配そうに雪ノ下が俺の顔を覗く。
こいつが俺に気遣いを見せるとは珍しい。
だからこんな天気なのだろうか。
142 = 119 :
「ああ、大丈夫だ。朝は中途半端に話が終わって済まなかったな」
「いいえ、仕方ないわ」
俺が激しく遅刻したせいで、さっきまでムスッとしていた雪ノ下が柔和な笑みを見せる。
「ミルクティーを飲んで生き返ったところで、早速本題に入ろうか」
「ええ」
雪ノ下の表情がキュッと引き締まる。
143 = 119 :
「まずはな、選挙の時は雪ノ下に色々と不快な思いをさせてしまった。本当にすまなかった」
深く頭を下げて雪ノ下に謝罪した。
本当はこんな言葉で始めるつもりはなかった。
具体的に謝罪のポイントについては何も触れられていない。
我ながら失敗したと思った。
案の定雪ノ下は納得していない。
「比企谷くん、あなたらしくない要領を得ない謝罪ね。『色々』とは具体的に何を指すのかしら」
雪ノ下にはあからさまに不快な態度で返されるかと思っていた。
しかし、俺が話の糸口をうまく見つけられなかったことを察してくれたのだろう。
話を切り出した時のキュッと引き締まった表情を崩すことなく、穏やかな口調で返してきた。
144 = 119 :
「こうして時間を割いてもらっているのにすまない。予め頭の中で整理をしてきたつもりだが、
ただのつもりだった。うまく説明するのに時間がかかるかもしれないが、お前の疑問、質問に
対してはすべて答える。だから、もう少し付き合ってもらえないか」
「ええ、いいわよ。私もそのつもりよ」
雪ノ下の表情がほんの一瞬穏やかなものになった。
こいつも一応、俺との和解を望んでいるようだ。
ただ、そこが問題だ。
当初考えていたよりも難しいものに感じられた。
145 = 119 :
まずはこんなところで
146 :
乙
相変わらず続きがすごい気になる
147 = 119 :
レスどうもです。
一度は完成させたのでしたが、綻びだらけで書き直しです…… orz
書き溜めがないのでいつものようにハイペースとは敷きませんがご容赦ください。
148 = 136 :
悶えながら待ってますわ…
149 = 119 :
では、もう少しだけ投下します
150 :
きた
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