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    元スレ一夏「祈るがいい」

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    201 = 160 :





    「……………へ?」

    セシリアの口から、思いもしない声が漏れ出した。そして、そのままぽかんと口を開けたままで「なぜ?」といった表情をしていた。
    アリーナアナウンスの言った通り、シールドエネルギー残量はセシリアの方が一夏より多く残っていた。それにより勝敗が決した訳だが、あまりに呆気のない決着を、セシリアが理解するのには少し時間が必要だった




    それは、始めて実感のなかった勝利だった。



    202 = 160 :





    一夏は、おもむろに方向を変え、Aピットに向かって歩き始めた。
    歩いている途中に銃をバスロットへと仕舞い、落ちていたもう一つの銃も拾って仕舞った。そして、そのまま何事もなかったかのように、Aピットへと進んでいった。
    セシリアは、それをただ呆然と見ていた。



    203 = 160 :





    一夏の乗るヴィンセントが、千冬や真耶、箒が待つAピットへと戻ってきた。
    展開されていたヴィンセントが、一瞬光った。そして、その光が一夏の掌の中に集まって小さくなり、ドックタグとなって姿を変えた。その小さくなったISを、一夏は見つめていた。

    「惜しかったな、もう少しのところまで追い詰めたのにな」

    腰かけたイスをくるりと回して千冬が立ち上がる。

    「見たところ、こいつはモノに出来たようだな」

    掌のドックタグを取り上げて、まじまじと眺める。

    「…………悪いが、こいつはしばらく預からせてもらう」

    一夏の方を振り向いた千冬は、さっきまでとは打って変わり、真剣な顔付きをしていた。そして、その言葉は極めて冷静としていた。

    「安心しろ、しばらくと言っても今日一日程度だ」

    「好きにしろ」

    そう言った一夏は、Aピットの出口へと歩いていった



    204 = 160 :





    Aピットから出ていく一夏を、三人は無言で見送った。

    「さて山田先生、少し手伝って貰えるかな?」

    「あ……はい」

    「まあ、正確に言えば“少し”ではなく“かなり”だがな」

    「いえ、全然大丈夫です。はい」

    惚けていたような真耶が、いつも以上にせわしなくゼスチャーをとる。
    せわしないはずなのだが、何故か妙に大人しくも見える。

    「…………明日になるかもな」

    そんな真耶を尻目に、千冬はボソリと呟いた。



    205 = 160 :





    そんな二人を全く気にも留めずに、箒はAピットから出ていった。その表情は、堅い。
    箒は、さっきの試合を見ていた時から眼つきを変えていた。そう、一夏が爆炎の中から現れた時からずっと。戦いが再開され、終わるまでの攻防も全てを黙々と、眈々と見ていた。
    そして、出ていく時のその眼は、揺るぎないものを固めた眼だった

    「いい面構えだ」

    その表情を見た千冬が、静かに笑った。
    隣の真耶は、いつもらしくなく大人しかった。



    206 = 160 :





    「はぁ」

    セシリアは、自室に備え付けられたバスルームでシャワーを浴びながら、小さな吐息をこぼした。
    今日の試合の結果に納得がいかない。全武装を破壊され、無力化された自分に、あの後勝ち目があったとは思えない。だがあの時、自分はまだ諦めていなかった。
    それは意地のようなものだった。
    いつだって勝利への確信と、向上への欲求を抱き続けていたセシリアにとってそれは、今までなかったもの。



    207 = 160 :





    あの時の、胸の高鳴りが、今でも収まらない。
    こんな事は本当に久しぶりだった。まるで、自分が幼い頃に戻ったかのように。
    無邪気に庭を駆け巡っていたあの頃に。




    ふと、自分の過去を思い出した



    208 = 160 :





    セシリアには両親がいた。彼女の父親は、イギリスの名門貴族、オルコット家に婿養子という立場で婿入りした人物だった。その事が大きな引け目になっていたのだろか彼は、何かにつけて自分を卑しめて諂い、頼りなくおどおどとしていじけていて、嫁である母親に対していつも薄笑いを浮かべていた。それは何処か怯えているようだった。
    そんな情けない醜態を晒す父親を見たセシリアは、幼いながら心の奥底に怒りを覚えずにはいられなかった。そして、ISが発表されれば父親の態度はますます弱くなった。
    母親は、それを鬱陶しがった。もはや夫と話すのすら拒絶していた。彼女は男尊女卑の時代だった頃から、実家の名を守る為、実家の更なる発展の為にいくつもの会社を経営し、数々の成功を収めて力を尽くしていた。常に厳しく、時に優しいその姿に、セシリアは強い憧れを抱いていた。



    209 = 160 :





    そんな両親も、もうこの世にはいない。
    三年前に起きた越境鉄道の横転事故、死傷者は百人超える大規模な事故だった。一度は遺産を狙う関係者による暗殺、陰謀説が囁かれたが、事故の状況はそれを簡単に否定していた。
    あまりにあっさりと、両親二人は悉くこの世からいない人間となってしまった。あの日、いつも別々に過ごしていた両親が、どうしてその日に限って一緒に過ごしていたのか、それは未だに分からない。



    210 :

    ISのSSたくさんあってここも面白いがやっぱ昔あったワンサマーが軍オタのやつをこえられないか

    211 :





    そこから、彼女の戦いが始まった。周りの大人達は狡猾にも、両親を亡くした哀しみに付け入るように、彼女の手元に残された莫大な遺産を狙った。哀れみをもって口先だけの言葉を並べ、擦り寄るように諂い、浅ましく卑怯な手を使ってきた。
    彼女には、両親の死を嘆き、哀しむ暇などなかった。ただ、母の遺した遺産を、母が守ってきたオルコット家の名前を守らねばならなかった。その為にあらゆる勉強をして、どんな事にも屈せずに戦ってきた。
    無情にも、一息つく間もない程に時間は過ぎていった。そして彼女は、自分の特殊な才能に気付いた。勉強の一環として受けたIS適性テストでA+が出た。その才能に着目した政府が、優秀な人材を自分達の国に捕まえておこうと様々な好条件を出してきた。
    政府からの援助があれば、まとわり付く金の亡者共から母の遺産を守れる、そう考えた彼女はそれを承諾した。そうして、第三世代装備ブルーティアーズの第一次運用試験者に選抜され、稼働データと戦闘経験値を得る為に日本にやってきた。



    212 = 211 :





    オズと魔法使いのかかし。脳がないから自分で上手く踊れない。だから風に吹かれながら、揺られながらも必死に、単調な踊りを踊る。そして、上手く踊れるように脳が欲しいと嘆く。そんな愚かに見えるかかしがまさに自分にそのものだった。
    今思えば、自分はオルコット家という広大な土地を守りながら、常に周りの大人達という風に哀れにも踊らされていただけで、自らで踊ろうとした事などなかったのではないかと思う。
    誰も彼もが自分を、セシリア・オルコットとして見ていた。それはオルコット家の後継ぎであるセシリアであって、ただのセシリアである彼女自身ではなかった。



    213 = 211 :





    だが、あの男は違った。
    織斑一夏は、あの時自分をセシリアとして見ていたように思えた。



    214 = 211 :





    セシリアは、今日の試合で、ほとんど会話らしい会話を交わした事のない彼、織斑一夏がどうゆう人物なのか、その核心部分に触れてしまっていたと言える。
    そして、彼女の胸には一夏に対して惹かれるような思いがあった。
    人は誰しもが、強さにひかれる。例えそれがいい意味でも、悪い意味でも。
    彼女はまだ分かっていないが、彼女は織斑一夏が持っている強さに惹かれていた。それは今日の試合が証明した実力ではなく、彼の奥底に静かに眠っているもの。
    彼女自身が感じとったもの。



    215 = 211 :





    不思議だった。何故、自分はこんな気持ちになっているのだろうと自分自身に問い掛ける。

    「はぁ………」

    ノズルから出る熱めのシャワーを全身に浴びながら、長く伸びた金色の髪を掻き上げて、小さな吐息をこぼす。
    胸の高鳴りは、まだ収ってはいない。

    「織斑、一夏……」



    216 = 211 :





    水の流れる音以外は、何も聞こえない。
    それだけが、唯々響いていた



    217 = 211 :





    まだ少し肌寒い春の夜空、春から冬へと季節が変わったとはいえ、冬の面影がまだまだ残っている。
    深夜二時、誰も彼もが寝静まった真夜中、辺りは静寂に包まれていた。
    空には星はなく、月すらも出ていない。暗闇が広がる夜空の下、都会の灯りだけが地上を照らす。その薄明かりの中に、一つの人影。
    IS学園で最も高い建物の屋上に
    その男は、ただそこに立って、視線の先に広がる街を見ていた。そして、おもむろに着ていたスーツの内ポケットから何かを取り出して、深い暗闇が広がる夜空へとかざした。
    それは、淡い青色をしたビー球のような物。
    その男は、それを唯々見つめている。まるで、そこから何かを見出そうとするかのように。その物が何なのかを知ろうとする。



    218 = 211 :





    彼の視界にある、ビー球のような物越しに映る夜空




    その漆黒の夜空を今、一つの流星が過ぎていった



    220 = 211 :





    「ついにあたしの出番ね!」

    クラリッサ「おお、元気な奴だな」

    「ここは一丁あたしがバシッと締めてあげないね」

    千冬「…………」

    クラリッサ「何で黙ってるんだ。予告だぞ、これ」

    「やっぱり、華はいるわよね」

    クラリッサ「黙るのは本編だけにしてくれ、息苦しくてたまらん」

    千冬「すまん。一瞬本気で考えていた」

    「何を?」

    千冬「お前誰だ」

    「えっ…?」



    221 = 211 :





    「え……えええぇぇぇぇ!??」

    千冬「ということで、次回」



    ーーーーー




    Session#3
     チャイナ・ブルース




    ーーーーー



    千冬「嘘だよ」

    「良かった……」

    クラリッサ「女……だよな?」

    「どうゆう意味よ!それ!」

    クラリッサ「……元気な奴だな」



    222 :

    ワンサマさん淡々としてんな…
    >>1

    223 = 211 :


    文字化けしてすいません。投稿遅くてすいません
    まさかセシリアにあんな過去があるなんて知らなかった………それと、原作読んで驚きました。二つの意味で
    地の文は小説っぽくしてみました。読みにくかったらすいません
    文字化けを二度としないように次の投稿も頑張ります

    225 :


    俺はビバップしか知らないけれど面白いと思ったけどな
    ローマ数字の2だったらIIと表記しておけば良いのでは
    環境依存文字は多分全部化けるから
    あと読点で区切らずに改行してしまってもいいところが多くて読み辛くなってるのが

    226 :

    おつおつ

    227 :

    おぉ、>>1よ。このように楽しいものをなぜ、お見捨てなさるのか・・・どうか救世の心を・・・アァアオォオー!!

    230 :


    ネット環境の悪化により、投稿できるのがかなり先になってしまいました。
    いつもいつも一ヶ月もかかって投稿しているのに、さらに遅くなってすいません。
    次回はまとめて投稿するかもしれません
    何としても最後まで書き切りたいので、放置して落とす事なんてしません。
    ご愛読頂いている方々、申し訳ありません。

    231 :

    把握
    舞ってる

    232 :

    おうおう

    234 :

    待つぜ

    235 :


    でけた

    236 :

    待っています

    237 :

    待つ

    238 :

    良ければそろそろ...

    241 :


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