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元スレ一夏「祈るがいい」

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51 :

乙です
すごくいいですけどメール欄にsagaっていれた方がいいですよ

53 :

乙!期待してるぞ!

54 :

いるポジションがワンサマなだけな気が

56 :





「ようやく見つけたぞ」




「織斑一夏」



57 = 56 :





「教えてくれ」




「お前のその眼は何を見ている?」




「お前のその心は何を感じている?」



「あの時お前は何を失い、何を得た?」



58 = 56 :





「お前は、何故生きる」



59 = 56 :





「お前がそうなったのは、私のせいだ」




「だから、知りたい」




「お前の為にも、私の為にも」



60 = 56 :





「私は、知らねばならない」




「お前の行く末を」




「お前の最期を」




「その義務が、私にはある」



61 = 56 :





「私には、打つ手がないんだ」




「お前に対して、どうする事も出来ない」




「罪滅ぼしにすらなりはしない」




「何と愚かで滑稽なのだろう」




「だが、私は見届ける」




「お前という存在を」



62 = 56 :





「いつの日か下る罰も、甘んじて受けよう」




「例え憎まれ、軽蔑され、哀れまれようとも」




「見届ける」



63 = 56 :





「お前の結末は、どんなものなのだろう」




「いずれ分かる事だ」




「その時は、必ず訪れる」



64 = 56 :






「その時、私に何が出来る」




「もし、そうでなかった時には」




「私は、お前を止める」




「この身投げ打ってでも」




「止める、止めねばならない」




「私は、そうせねばならない」



66 = 56 :





山田「ISには、意識に似たようなものがあり、互いに対話のようなものをします」

山田「つまりは、一緒に過ごした時間で分かり合うというか………」

山田「ええっと………操縦時間に比例して、ISも操縦者の特性を理解しようとします」

山田「それによって相互的に理解し、より性能を引き出せることになる訳です。ISは道具ではなく、あくまでパートナーとして認識してください」


「先生ーそれって彼氏彼女のような感じですかー?」


山田「それは、そのぉ……どうでしょう………私には経験がありませんので分かりませんが…………」モジモジ


「先生赤くなってるー」
「先生可愛いー」
「彼氏欲しいよね」
「超大物ならそこにッ……!」
「あんた、そんなキャラだっけ?」
「みんな楽しそうだねー」


キャッキャキャッキャワイワイガヤガヤ



67 = 56 :





キャッキャキャッキャワイワイガヤガヤウフフ


(………これはアレか)

(いわゆる女子校特有の雰囲気か)

(馬鹿馬鹿しいというか何というか…………)チラッ

一夏「…………………………………」

(こんな中であいつは参考書を読んでいるのか)

(いや、待て。読んでいるのか?ただ眺めているだけにも見えない事もないが………)

(まるで、読む事に意味はないみたいに)

(…………私の深読みだったな。授業に集中しよう)

(武士たる者、文武両道でなくては)カリカリカリカリ



68 = 56 :





キーンコーンカーンコーン



山田「あ、授業終わっちゃいましたね………」

千冬「そうだ織斑、お前のISだが準備に時間がかかる」

一夏「…………………………………」

千冬「学校に予備がなくてな、少し待ってもらう代わりに、お前に専用機を用意するそうだ」



ザワッ


「専用機!?しっしかも、一年生のこの時期に!?」
「つまるところは政府から支援が出てるってことだよね……」
「そりゃあ、有名人の織斑くんだものね」
「でも単純にスゴいよ!入学早々に専用機持てるなんて!」



69 = 56 :





ザワザワザワザワ



千冬「理由は分かるな」

一夏「教科書6ページだ」

千冬「なら分かるな。本来は国家あるいは企業の人間にしか与えられないIS専用機………だがな」

千冬「お前の場合は特殊も特殊、今まで類を見ないケースだ。貴重なサンプルのデータ収集の為の専用機が用意される事になった、という訳だ」

一夏「…………………………………」

千冬「気に食わんか?」

一夏「問題ない」



70 = 56 :





「あの………先生」


千冬「何だ、言ってみろ」


「篠ノ之さんって………もしかして篠ノ之博士の関係者か何かなんでしょうか………?」


「…………」

千冬「そうだ。篠ノ之はあいつの妹だ」



エエエエエェェェェェエエエエーーー!!


「すっ、すごい!このクラスに有名人の身内が二人もいる!」
「でも篠ノ之博士って今行方不明で、世界中の企業や技術者達が探してる人だよ!?」
「どこにいるとかわからないのー?」
「篠ノ之博士ってどんな人!?やっぱり天才!?」
「どんなお姉さんだったの?」



71 = 56 :





ガヤガヤガヤ



「…………」


「ねえねえ篠ノ之さん!」
「教えてよー!」


「関係ない」

「…………私は何も知らない。教えられるような事はない」

「こんな事しか言えなくて、すまない」



シーン



72 = 56 :





キーンコーンカーンコーン



千冬「チャイムが鳴ったぞー席に着けーヒヨッコ共ーほうーそうかそうか、そんなに私からグランド20週のプレゼントが欲しいか」



ササササッガタタタン



千冬「素直でよろしい。山田先生、授業を」

山田「分かりました」

山田「さっきの続きからやりまーす」



73 = 56 :





(…………姉さんか)

(あの人は、今何処で何をやっているんだろう)

(日本中探して、見つけ出してどうこうしようなんて思わない)

(いや、今の私にはあの人の事を気にしていられる程の余裕はない)

(…………私自身の事もある)

(それに、一夏の事だってあるんだ)

(一つ一つが大き過ぎる)

(その重さで私が潰れてしまいそうになる)

(……………………そんな中なのに)

(あいつのあの眼が、私の頭の中から離れない)

(まるで何もないようなあの眼が…………)

(理由も、何があったのかも私は知りたい)

(潰れている場合じゃない)



………

……

74 = 56 :

………

……




(………あいつも必死だな)



カツカツカツカツッ



セシリア「良かったですわね、専用機を用意してもらえて」ビシッ

セシリア「私が専用機、あなたが訓練機じゃあ全く持ってフェアではありませんし、何の面白みもありませんかものね」

セシリア「フフン……まあ専用機もらったところで、私の勝ちは揺るぎないものですけど」

一夏「…………………………………」

セシリア「どうなさいます?勝ち目のない勝負はしないのが得策かと思いますわよ?」

セシリア「何故なら私は、限られた467機のISの中のさらに限られた専用機を持つ、全人類六十億の中でもエリート中のエリートなのですわ!」

セシリア「残念ながらあなたはーー」

一夏「…………………………………」スクッ

セシリア「ッ」ビクッ

一夏「…………………………………」カツンカツンカツン

セシリア「ちょっ………ちょっと!話はまだ終わってませんのよ!逃げる気ですの?!」



カツンカツンカツン



75 = 56 :





セシリア「お待ちなさい!」



カツン……カツン…………



セシリア「……………屈辱ですわッ!」バンッ



ポン


「ドンマイ、セシリアさん」
「分かるよーソレ。気になるからって素直になれないのって分かるよー思春期真っ盛りだねー」
「諦めないで!」
「めげずに一緒に頑張ろ」
「チャンスはまだあるって」



セシリア「違いますの!そうゆう事ではありませんの!」

(必死で食ってかかってるが、あまりの結果に三周回って同情すら覚えるよ)



76 = 56 :





普通に見れば一夏は極度に無口な男に見えるのだろう。そうではないと気付くような人間は極めて少ないと言ってもいい。ただ者ではないという事なら一夏の様子から誰でも分かるようだ



現に今も、一夏に接触したセシリアは自分は全く相手にされなかったのだと、彼はただの礼儀知らずで寡黙な男、彼から少し感じた違和感も自分の気の所為だったのだと、自分の思い違い程度にしか思っていない



77 = 56 :





ーーーー本当にそうなのか?ーーーー



そう疑問に思ったのは箒だった。さっきの接触でセシリアは無視されたのではなく、一夏にとってどうでもいい存在だっただけ。それどころか、自分も含めた他の人間にも、それが当てはまるように思えた。あまりに荒唐無稽な話なのだが、箒には何故か確信があった。『女の勘』とでも言うべきものが



78 = 56 :





ここで箒は、今が昼休みだった事と自分はまだ昼食をとっていない事を思い出した。頭を切り替えて机の上のノートや教科書を引き出しの中へと放り込み、立ち上がってそそくさと教室を後にした。途中セシリアがさっきの事で女子達からあれやこれやとあらぬことを言われて、その訂正に非常に難儀してたようだったが気にせず通り過ぎた。箒はそんな事を気にするよりも、何かサッパリしたものを食べながら考え事がしたかった



廊下に出て一夏の行方を追おうとは思ったものの、腹の虫の声には勝てず。そのまま食堂まで一直線に歩いていった


79 = 56 :

……

………




ピリリッ ピッ



千冬「よおクラリッサ、収穫があったのか?」

クラリッサ『日本の少女マンガはやはりいい………』

千冬「そうか」

クラリッサ『待て待て待て、切るんじゃないぞ』

千冬「文句なら腹の虫に言ってくれ」

クラリッサ『その腹の虫も黙るような事が分かったんだ。知っておいて損はないぞ』

千冬「黙るかどうかは知らんが聞こう」

クラリッサ『そうこなくては』



80 = 56 :





クラリッサ『お前の、弟に関する事だ』

千冬「…………聞こうか」

クラリッサ『あの事件の元凶と呼ぶべき奴がいた。そいつの名前はメンデロ・アル・ヘディア』

クラリッサ『年齢不詳で出身不明、さらには性別までも何もかもが不明だ。まるで元から存在しなかったみたいにな』

クラリッサ『そもそもこいつはあんな所で一体何を目的とした実験をしていたのか、どのくらいの規模で何をしたのかも不明』

クラリッサ『現在、潜伏場所、生死確認、その実験内容に至るまで全て調査中だ』

クラリッサ『恐らくこいつはあの時、私達が実験施設に辿り着くよりもさらに先に、実験施設を完全に粉砕し、全ての研究データ及びバックアップなど、自分の痕跡にまで至る一切を消去したんだと思われる』

クラリッサ『何故そうしたのかはーー』

千冬「不明………か」

クラリッサ『そうだ。我々シュヴァルツェ・ハーゼの力を持ってしても、藁の一本も何も掴めやしない』

千冬「お前達が調べて調査中、不明ばっかりとは、奴さんは余程の奴なんだな」

クラリッサ『ああその通りだ。全くもってお手上げだ』



81 = 56 :





千冬「じゃあ何でお前達は、そんな奴がいたと分かったんだ?」

クラリッサ『残っていたんだよ、あの場所に』

千冬「あそこにか?…………馬鹿な」

クラリッサ『何もかもが破壊され、燃やし尽くされていたあの現場、お前は地獄だと言ったな』

千冬「あの光景を目の当たりにして、そうとしか言いようがなかっただろ」

クラリッサ『そうだったな、全く持ってその通りだった。その地獄の後に見つけたんだ。奇跡的に焼け残った一枚の紙をな』

千冬「まるでパンドラの箱だな」

クラリッサ『そんな御大層なものじゃない。その紙は半分程燃えてしまっていた。だが焼け残った部分には、メンデロの名前ともう一つ、恐らく本人の直筆でこう書かれていたんだ』

クラリッサ『リセットしたい事がある。今までの事はみんななかったことにして、掌から滑り落ちてしまったものをもう一度、この手に握りしめたい…………とな』

千冬「奴には、希望すら残されていなかったんだな」

クラリッサ『そうだろうな。奴は何か取り返しのつかない事をやってしまったんだろう。それを無かった事にしたいが為に、何かにすがるように、あそこまで暴れ廻ったんだろうな』

千冬「私には分からん…………分かりたくもない」

クラリッサ『奇遇だな、私もそうだ』

千冬「お前とはつくづく気が合うな」

クラリッサ『ハッハッハッ、嬉しいな』



82 = 56 :





千冬「それはいいが、さっきの話をまとめると」


二人「『ほとんど分かってない』」


千冬「って事だよな」

クラリッサ『ああ、分かったのは名前と関係者だったって事だけだ。すまない』

千冬「いや、それでも少なからず価値はある」

クラリッサ『腐っても鯛、ってやつだな』

千冬「そうだな、それは私のセリフだな」



83 = 56 :





クラリッサ『それと、ISってのは本当にスゴいな』

千冬「急に改まってどうした?」

クラリッサ『最近の出来事なんだが、一夏が使ってた訓練機がこの前まで動かなかったんだよ』

千冬「故障でもしたか」

クラリッサ『それが調べる前に、気が付いた時にはもう直ってたよ』

千冬「へえ、珍しい事もあるものだ」

クラリッサ『勝手に直ったから良かったものの、あのままだと懲罰ものだったぞ』

千冬「原因不明のISの故障か………誰かさんが聞いたら喜ぶな」

クラリッサ『何の話だ?』

千冬「こっちの話だよ」



84 = 56 :





クラリッサ『原因は何だったんだろうか………』

千冬「そんなに乱暴に扱ってなかったと思うが………」

クラリッサ『何はともあれ、上からお叱りを受けなくて良かったよ』

千冬「それは良かったな」

クラリッサ『お偉さんは本っ当話が長いんだ、眠くなる。それにやっと書き上げた新しいISの手続きと壊れたISの報告書も全部パアになってしまったよ』

千冬「職場の愚痴ならまた今度飲みに行った時にしてくれ、こっちは腹が減ってるんだ」

クラリッサ『そうだったそうだった。時差を忘れてたよ』

千冬「そっちはまだ四時だろ?」

クラリッサ『ああ、スゴく眠い』

千冬「寝てたのか」

クラリッサ『部下からの連絡で起きたんだ。それを聞いて、一刻も早くお前の耳にいれておいた方がいいと思ってな』

千冬「わざわざすまない」

クラリッサ『どういたしまして』



85 = 56 :





千冬「…………………」

クラリッサ『…………………』

千冬「なあ」

クラリッサ『何だ』

千冬「私にいい考えがある」

クラリッサ『聞こうか』

千冬「これはお互いの為になる」

クラリッサ『ほう………それは?』

千冬「電話を切る」

クラリッサ『成程、そうしようか』

千冬「腹が減った」

クラリッサ『私も限界だ』

千冬「じゃあな」

クラリッサ『おう』



ピッ



千冬(メンデロ・アル・ヘディア……一体何者だ………)



グゥー



千冬(こっちでも調べてみるか、まずは腹ごしらえだ)

千冬(腹が減っては戦は出来ぬからな)



カツッカツッカツッカツッ



………

……

86 = 56 :





カチャカチャカチン



(…………駄目だ。サッパリ分からん)

(雲を掴むような話だ。私が知らない六年間の内に何があったのかなんて)

(そういえば千冬さん、第二回モンド・グロッソ大会途中で突然消えたそうだな)



カツン………カツン…



(そこに何かありそうだな)

(思い切って直接聞いてみるか?いや、答えてくれないだろうな。良くて上手く言いくるめられて、帰らされるのがオチだ)

(最悪の場合は…………あの鉄拳だけは貰いたくない。絶対に。絶対に、だ。すごい痛そうだからな)



87 = 56 :





カツン



「!」ビクッ

一夏「…………………………………」

「何だお前か………驚かすな、幽霊かと思ったぞ」

一夏「お前に、頼みがある」

一夏「簡単な事だ。それでお前は手に入れる」



88 = 56 :





「ねえ。君って噂の人?」


一夏「…………………………………」


「聞かなくても分かるよね、男子って君だけだし」

「代表候補生と勝負するんでしょ?」


一夏「…………………………………」



ヒョコッ



「そこで、素人の君が代表候補生のコにも負けないように、私がISについて色々と教えてあげようと思うんだけど………」

「って聞いてる?」


一夏「…………………………………」スウッ


「それで、ISについてどこまで………知って……………」


一夏「…………………………………」


「え、あ……その、やっぱり……何でも、ない…………です」



サササッ



(何も言ってないのに、多分三年生の人が黙って逃げ出した)

(初めの勢いは何だったんだ。名も知らぬ三年生の先輩、こいつの威圧感のようなものにでも当てられたのか?)

(セシリアはこれに気付かなくて、ある意味幸せなのかもな)



89 = 56 :





一夏「お前は、どうする」

「……………聞くよ、その頼みとやら」

一夏「俺は剣道場にいる」スッ

「おい、何をするかをーーー」



カツンカツンカツン



「待て!」



カツン……カツン…………



「行ってしまった……」

(“頼み”?私に何をさせる気なんだ。一夏)



………

……

90 = 56 :

……

………




(まさか、本当に剣道場にいるとはな)

(私が剣道部なのをどうやって調べたんだ?)

(思い出した……………訳ではなさそうだな。そもそもこいつならその辺の生徒に聞けばすぐ答えてもらえるか)

(それに……)チラッ



ヒソヒソヒソ


「あの二人ってどうゆう関係?」
「幼馴染みだってさ」
「あれが織斑くんね」
「しかも千冬様の弟よ」



(剣道部貸し切り状態じゃないか)

(やることが滅茶苦茶だ)

一夏「…………………………………」

「おい、一夏」

一夏「…………………………………」

「防具は着けないのか?」

一夏「必要ない」

「入るやつがなかったのだろ?」

一夏「始めるぞ」

「………ああ、そうしよう」スクッ

一夏「…………………………………」

「行くぞ、手加減はなしだ」

一夏「それでいい」



………

……

91 = 56 :

……

………




「でやぁっ!」ブンッ

一夏「………………………………」スッ

「はっ!」ブンッ

一夏「………………………………」スッ

「面っ!」ブンッ

一夏「………………………………」



ガッ



「くっ……!」ググググッ

一夏「………………………………」 バッ

「しまっーー」

一夏「………………………………」ヒュッ



ピタッ



「ッ……」



カランカタカタカタタン



一夏「…………………………………」スッ

「…………一本取るまでが剣道だぞ」

一夏「…………………………………」

「剣道で竹刀を避ける奴なんてお前だけだぞ、おまけに弾き上げるのもな」ヒョイ

「これで私の連戦連敗か、昔よりもさらに強くなったな」

一夏「…………………………………」



92 = 56 :





「さあ、もう一回やろうか」

一夏「…………いや」



カツンカツンカツン



一夏「今日はここまでだ」

「え、あ……そうか………」ゴソゴソ スポッ

一夏「何かあれば、こちらから連絡する」シュッ

「おっと」パシッ

一夏「……………………………………」

「竹刀を投げるな、馬鹿者」

一夏「……………………………………」カツンカツンカツン

「またな」



カツン……カツン…………



「気分屋だな…………全く」

「こちらの気も知らないで………」



93 = 56 :





(あいつ……IS学園七不思議入りとかしそうだな。神出鬼没で学園唯一の男子生徒、出没スポットとか探されたりしてな)


「織斑くんってすごいね、篠ノ之さん」
「まさか防具なしの片手で熟練者の篠ノ之さんに勝っちゃうんだもんね」


「ルール覚えたら完璧ですよ、あいつ」


「そうだね、いっそのことスカウトしちゃう?」
「いやいやいや、入ってくれないでしょ」
「是非ともウチに欲しい」
「主将もですか」


「ハハハハハ………頑張ってくださいね」



………

……

94 = 56 :





ワイワイガヤガヤ



一夏「…………………………………」カチャカチャ

「やっと見つけた。一緒に食おう一夏」ガタッ

一夏「…………………………………」

「いただきます」

一夏「…………………………………」

「おっ、この鮭おいしい」

一夏「…………………………………」

「…………聞いてもいいか?」

一夏「…………………………………」

「このままで勝てるのか、セシリアに」

一夏「ああ」

「竹刀の打ち合いだけで勝てる程、代表候補生は甘い相手ではないと思うがな」

一夏「お前は、全力で打つだけでいい」

「それだけか?」

一夏「それで充分だ」

「それ以外の協力も、私は惜しまんぞ」

一夏「………………………………」



95 = 56 :





「やっほーおりむー隣いい~?」


一夏「…………………………………」

「!?」

(おりむー!?)


「かなりんも一緒でいいかな~?」

「おーい、こっちこっち」


一夏「…………………………………」

(………どう出るんだ?一夏)


「ねえねえ、ほーちゃんもさーみんなで一緒に夕飯しようよ~」


「ほーちゃん!?わっ、私か!?」


「そうだよ~篠ノ野箒だから、ほーちゃん♪」


「え……ああ、私はいいぞ」


「やったー♪早く早く~」


(何故か親近感を覚える……姉さんと気が合いそうだな……………いや、それはないな)



96 = 56 :





「失礼しまーす」
「やっぱりーみんなで食べた方が楽しいよねー」


一夏「…………………………………」

「そうだな、その通りだ」


「自己紹介するねーおりむー。私は布仏本音、それでこっちは友達のかおりんだよー」
「よろしくね、織斑くん」


本音「よろしくねー」

一夏「………………………………」

「私は篠ノ之箒だ。よろしく頼む」

本音「おーそういやほーちゃんってこの前の剣道の大会で優勝してたねーおめでとさん」

「ありがとう、よく知ってたな」

本音「えへへ、すごいでしょー…………むっ」

「む?」


「む?」


本音「むー」ジィー


「どうしたの?本音」


本音「むむむっ」ジィー

一夏「………………………………」


「織斑くんがどうかしたの?」


本音「………………」ジィッ

「顔に何か付いてるのか?」

本音「違うのだよー」ジィー

「?」


「?」



97 = 56 :





一夏「…………………………………」スクッ

本音「おおー」

「相変わらず食うのが速いな、もう少しゆっくり食べてもバチは当たらんと思うぞ?」

一夏「…………………………………」カツンカツンカツン

「じゃあな」

本音「おりむーバイバーイ」フリフリ


「さようならー」



カツン……カツン…………



「………えっと……その………すまない。あいつはなかなかの気分屋でな、せっかく一緒に食べようと言ってくれたのにすぐ食べ終えてしまって…………でもな、あいつは悪い奴じゃーー」

本音「うん、おりむーは悪い人じゃないと思う」

「えっ?」

本音「いい人だと思う」


「本音、それは勘?それとも思い付き?」


本音「どっちでもないよ。ただ、そう思っただけ」


「フフフッ……なら、織斑くんはいい人ね」


本音「でもね、何だろう?おりむーって不思議」

「そうだな、不思議な奴だよ……………本当に」



98 :





「意外だね、織斑くんって気分屋だったんだね」


本音「意外だね~」

「あいつってどう思われてるんだ……?」


「見た通りのクールな二枚目男子」


「そうなのか………」


「違うの?」


「間違ってないとは思う」

本音「そういえばほーちゃんとおりむーって仲いいねー何で~?」

「あいつと私は幼馴染みでな、ここに来て六年ぶりに再会したんだ」

本音「へー幼馴染みね~」

「一応な」


「一応?」


本音「?」

「記憶喪失らしく、昔の事はほとんど覚えてないみたいなんだ」

本音「そうなんだ~」


「箒さんの事も?」


「そうらしい。現に私の事は何一つ覚えてなかった」



99 = 98 :




ポンッ



本音「元気出して、ほーちゃん」ナデナデ

「ありがとう……」


「でもでも、記憶なんてふとした拍子で戻るって聞いたよ」


「そうだったらいいんだが……」


「記憶ってのは木みたいなもので、記憶喪失になると枝の揺れが止まった状態になるんだって。だから周りが、記憶の枝を揺さぶれば、他の枝も一緒に揺れ始めて記憶が戻るかもしれないんだってさ」


本音「うーむ。よく分からニャイ!」

「…………………」


「そんなに難しく考えなくても、箒さんが一緒にいてればそのうち戻ると思うよ」


「そんなものなのか?」


「人間って頭で忘れてしまっても、心の方はちゃんと覚えていて忘れないものなんだって」


本音「わー人間って不っ思議ーかなりんよく知ってるねー」


「全部お医者さんの受け売りだけどね」



100 = 98 :





「諦めなければ…………何とかなるか」

本音「ファイトーおー」


「その調子」


「…………本当になんとかなる気がしてきた」

本音「おおー」


「やっぱり愛って素晴らしいものね」


本音「ねー」

「愛!?いっ、いや、そうゆうのじゃあないんだ………これはだな…………私とあいつの仲だからなんだ。決してそうゆうのではないんだ…………」

本音「その嘘本当ー?」

「え、えーっと…………本当だ」


「へーそうなんだ」ニヤニヤ


「何でにやついてるんだ」


「別にー何でもないよ」


「怪しいな」

本音「ここで問題!かなりんは今、何を考えているでしょーか、正解者には豪華プレゼントが待ってるよー早い者勝ちだよっ」

「えー最近ダイエットがうまくいってない事」


「うっ」


本音「あれー?図星みたいだねー」

「豪華プレゼントは?」

本音「うーんとね、決めてなかった!」

「そんな自信満々に言うか………」ガクッ

本音「えへへ」



………

……


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