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元スレ上条「いくぞ、親友!」一方「おォ!!」
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あまりの痛みにしゃがみ込んでいた二人は、
ようやく痛みが治まってきたらしく、のろのろと立ち上がる。
「……確かに、とうまやあくせられーたを傷つけたのは許せないんだよ。
事情を聞いたからって、ただで許すわけにはいかないかも。
……だから、今ので少しだけ許すんだよ。
一応言っとくけど、完璧に許したわけじゃないんだよ。えーっと…………」
「神裂です、神裂火織。
そして、あっちがステイル」
「うん、かおりにステイル。
だから、これからは行動で謝罪の意志をしめしてね!!」
そう言って、インデックスは両手を差し出す。
二人は少しだけ、戸惑った様子だったが、ゆっくりと手を差し出す。
「……はい!」
「……あぁ!!」
そして、互いに握手する。
確かに、昔のようには戻れないのかもしれない。
しかし、彼らには『未来』がある。
戻れないなら、もう一度やり直せばいい。
これはそのための一歩なのだ。
そして、今度こそやり直させはしない。……絶対に。
そう、上条と一方通行は心の内に決意した。
上条と一方通行は公園のベンチに、腰を落としていた。
今、ステイル達はインデックスの身体につけられた、
『首輪』のありかを探している。
それが見つかるまで、身体を休ませろ――そう言われた。
実際は上条がいると、
探査の魔術が打ち消されてしまい、
邪魔になってしまうからなのだが。
「……なぁ、一つ聞いていいか?」
「……なンだよ」
一方通行は面倒だと思ったが、退屈なので返事した。
「お前さ、『魔術』の向き(ベクトル)は変更できないんだろ?
あの時、なんで神裂のよくわかんねー居合切りの向きを変えられたんだ?」
一方通行は少し考え、思い出す。
「あァ……あれか。
説明すンのが面倒だから、パス」
「何だよ。
いいじゃねえか、教えてくれたって」
大きなため息をついて、彼はしぶしぶと口を開く。
今、ステイル達はインデックスの身体につけられた、
『首輪』のありかを探している。
それが見つかるまで、身体を休ませろ――そう言われた。
実際は上条がいると、
探査の魔術が打ち消されてしまい、
邪魔になってしまうからなのだが。
「……なぁ、一つ聞いていいか?」
「……なンだよ」
一方通行は面倒だと思ったが、退屈なので返事した。
「お前さ、『魔術』の向き(ベクトル)は変更できないんだろ?
あの時、なんで神裂のよくわかんねー居合切りの向きを変えられたんだ?」
一方通行は少し考え、思い出す。
「あァ……あれか。
説明すンのが面倒だから、パス」
「何だよ。
いいじゃねえか、教えてくれたって」
大きなため息をついて、彼はしぶしぶと口を開く。
「……確かに、俺には魔術を操れねェ。
一番簡単な『反射』ですらな。……何でかわかるか?」
「何でって……。
既存の物理現象と『魔術』だと法則が違うから、とか?」
上条がそう答えると、一方通行は目を丸くした。
「……オマエ、普段からそれぐらい冴えてろよ」
「お前、馬鹿にしてんのか」
一方通行は無視して続ける。
「まァ、今のでだいたいあってる。
三日前、俺はあのガキの治療に立ち会ってる。
その時、あのチビ教師が『魔術』を使ったンだがな……。
俺はそいつの向きが操れるか、
試してみたンだが、結果はダメだった。
演算式を組み立てても、計算に誤差が出ちまうンだよ。
あの時の神裂が使ったのもそォだ。
……『決定的な何か』がズレてンだ。
おかげで、一定まで『反射』の計算ができても、誤差が広がって中途半端にしか出来なかった」
「……それじゃあ、一体どうやったんだ?」
一番簡単な『反射』ですらな。……何でかわかるか?」
「何でって……。
既存の物理現象と『魔術』だと法則が違うから、とか?」
上条がそう答えると、一方通行は目を丸くした。
「……オマエ、普段からそれぐらい冴えてろよ」
「お前、馬鹿にしてんのか」
一方通行は無視して続ける。
「まァ、今のでだいたいあってる。
三日前、俺はあのガキの治療に立ち会ってる。
その時、あのチビ教師が『魔術』を使ったンだがな……。
俺はそいつの向きが操れるか、
試してみたンだが、結果はダメだった。
演算式を組み立てても、計算に誤差が出ちまうンだよ。
あの時の神裂が使ったのもそォだ。
……『決定的な何か』がズレてンだ。
おかげで、一定まで『反射』の計算ができても、誤差が広がって中途半端にしか出来なかった」
「……それじゃあ、一体どうやったんだ?」
上条の当然の疑問に、一方通行は答える。
「……神裂の攻撃を喰らったときにふと、気付いたンだよ。
俺は自分の中に今、理解できねェものを入力したンだってな。
『反射』は中途半端にしか、働かなかった。
……てこたァだ、その『決定的な何か』にも向き自体はあったンだよ」
改めて考えれば、その通りなのだ。
三日前にインデックスに発動した回復術も、
今日喰らった神裂の攻撃魔術も、
全て、一方通行にまっすぐと情報が伝わっていたのだ。
そうした違和感を、虚数のように
『実際には存在しない、机上の計算を解き明かすためだけの数字』に
置き換えて、数値を逆算し、それを生み出すための法則を浮き彫りにしたのだ。
まさに自分で付けた、その能力の名の通りの事をしただけである。
「……そォして俺は、そいつの向きを逆算して、
『理解できねェ物理法則』を調べあげた。
『限りなく本物に近い推論』だが、そいつは正しかったらしい」
上条はそれを聞いて、
「……そっか。
やっぱ、お前はスゲーよ」
と言った。
「……神裂の攻撃を喰らったときにふと、気付いたンだよ。
俺は自分の中に今、理解できねェものを入力したンだってな。
『反射』は中途半端にしか、働かなかった。
……てこたァだ、その『決定的な何か』にも向き自体はあったンだよ」
改めて考えれば、その通りなのだ。
三日前にインデックスに発動した回復術も、
今日喰らった神裂の攻撃魔術も、
全て、一方通行にまっすぐと情報が伝わっていたのだ。
そうした違和感を、虚数のように
『実際には存在しない、机上の計算を解き明かすためだけの数字』に
置き換えて、数値を逆算し、それを生み出すための法則を浮き彫りにしたのだ。
まさに自分で付けた、その能力の名の通りの事をしただけである。
「……そォして俺は、そいつの向きを逆算して、
『理解できねェ物理法則』を調べあげた。
『限りなく本物に近い推論』だが、そいつは正しかったらしい」
上条はそれを聞いて、
「……そっか。
やっぱ、お前はスゲーよ」
と言った。
「……あン?」
上条はぽつり、ぽつりと語り出す。
「……この四日間、俺はアイツの――
インデックスの役に全然立てなかった。
やれた事と言えば、ステイルからアイツを助けた事ぐらいだ。
実際、お前がいなけりゃ神裂に殺されてたかもしれない。
教会のついた嘘に気付けないで、
インデックスの記憶を消すのを止められなかったかもしれない。
……そう、考えるとさ、何だか俺ってすげー情けない奴だなって思ったんだ」
一方通行はそれを聞いて、呆れた様子でこう言った。
「はァ……。
オマエって、ほンっとに馬鹿なンだな」
「……え?」
「いいか、上条。
あのガキが、そンな事わざわざ気にするとでも思ってンのか?
アイツはな、オマエにかっこよく助けてほしいとか、思ってねェンだよ。
――――ただ、オマエと一緒にいたいンだよ。
俺とオマエと、三人で過ごしたこの三日間みてェに『普通』に接して欲しいンだよ」
上条はぽつり、ぽつりと語り出す。
「……この四日間、俺はアイツの――
インデックスの役に全然立てなかった。
やれた事と言えば、ステイルからアイツを助けた事ぐらいだ。
実際、お前がいなけりゃ神裂に殺されてたかもしれない。
教会のついた嘘に気付けないで、
インデックスの記憶を消すのを止められなかったかもしれない。
……そう、考えるとさ、何だか俺ってすげー情けない奴だなって思ったんだ」
一方通行はそれを聞いて、呆れた様子でこう言った。
「はァ……。
オマエって、ほンっとに馬鹿なンだな」
「……え?」
「いいか、上条。
あのガキが、そンな事わざわざ気にするとでも思ってンのか?
アイツはな、オマエにかっこよく助けてほしいとか、思ってねェンだよ。
――――ただ、オマエと一緒にいたいンだよ。
俺とオマエと、三人で過ごしたこの三日間みてェに『普通』に接して欲しいンだよ」
そう、彼女はずっとずっと、『異端』な世界でこの一年を過ごしたのだ。
そんな中で、ただ『普通』に自分に接してきて
何の見返りも求めずに守ってくれた優しい少年の存在は、
彼女にとって大きな『救い』だったのだ。
「まったく……。
そもそも、オマエがいなけりゃ、
結局あのガキは助けられねェだろォが。
分かったら、焼肉パーティーの事でも考えてろ」
そう言われ、上条は
「……ありがとな、一方通行。
やっぱり、お前ホントいい奴だな」
と言って、笑った。
「……そりゃ、どォもォ」
一方通行は仏頂面で答えて、星空を見上げた。
「……やぁ。
ようやく君の出番だよ、上条当麻」
しばらくして、ステイルがこちらにやってきた。
どうやら、術式が見つかったらしい。
「ん。分かった、すぐ行く」
「よォやくか、長かったなァ、オイ」
「そうだな。
そんじゃ、まぁ……」
そんな中で、ただ『普通』に自分に接してきて
何の見返りも求めずに守ってくれた優しい少年の存在は、
彼女にとって大きな『救い』だったのだ。
「まったく……。
そもそも、オマエがいなけりゃ、
結局あのガキは助けられねェだろォが。
分かったら、焼肉パーティーの事でも考えてろ」
そう言われ、上条は
「……ありがとな、一方通行。
やっぱり、お前ホントいい奴だな」
と言って、笑った。
「……そりゃ、どォもォ」
一方通行は仏頂面で答えて、星空を見上げた。
「……やぁ。
ようやく君の出番だよ、上条当麻」
しばらくして、ステイルがこちらにやってきた。
どうやら、術式が見つかったらしい。
「ん。分かった、すぐ行く」
「よォやくか、長かったなァ、オイ」
「そうだな。
そんじゃ、まぁ……」
「いくぞ、親友!」
「……おォ!!」
今、一人の少女を救うために、二人の少年が立ち上がる。
「(オマエらは絶対に俺が守る)」
「ん?何か言ったか?」
一方通行の小さなつぶやきに、上条が振り返る。
「……なンでもねェよ、三下」
そう言って、一方通行は先に歩き出す。
と言ったところで、今回は終了でございます。
次回で、一巻を終わらせます。
はたして、上条たちはインデックスを救うことができるのか!?
……次回をお楽しみに。
それでは、皆様。三日後にお会いしましょう。
次回で、一巻を終わらせます。
はたして、上条たちはインデックスを救うことができるのか!?
……次回をお楽しみに。
それでは、皆様。三日後にお会いしましょう。
皆様、どうも1でございます。
今日の終わりごろに投下します。
今日で一巻を終わらせます。
しばらくお待ちあれ。
今日の終わりごろに投下します。
今日で一巻を終わらせます。
しばらくお待ちあれ。
「……それで?『首輪』ってのは、どこにあるんだ?」
現在、上条は高さ十メートルの屋根付きベンチで眠っている、
インデックスの前に立っていた。
何でも、眠っているほうが探査しやすいから、とのことらしい。
辺りには、探査に使われたルーンのカードが散らばっている。
「あぁ、今説明しよう。
何、そんな難しい場所にあるわけじゃないさ。
まずその子の口を開けて、喉の辺りを見てくれ。
……見たな?そこのいかにもって雰囲気の、それがお目当ての『術式』さ」
上条は発見したらしく、こっちに手を振る。
一方通行と神裂、ステイルの三人は少し二人から距離を置いている。
一応、何かあったらすぐにでも駆け付けられるようにはしているが。
「……うん、よし。
じゃあ、早速ぶっ壊すぞー!!」
「……いちいち大声で叫ぶンじゃねェよ、馬鹿」
「まったくの所だね。
……早いとこあの子を助けろ、ド素人!!」
「……お前ら、あとでぶっ飛ばす」
そんな会話をしながら、上条は右手を口に突っ込む。
神裂とステイルはごくり、と唾を飲み込んでいる。
一方通行も、少しだけ緊張した。
バキン、という『右手』が何かを壊した音がした。
三人は一気に息を吐いて、安堵した。
しかし次の瞬間――――
現在、上条は高さ十メートルの屋根付きベンチで眠っている、
インデックスの前に立っていた。
何でも、眠っているほうが探査しやすいから、とのことらしい。
辺りには、探査に使われたルーンのカードが散らばっている。
「あぁ、今説明しよう。
何、そんな難しい場所にあるわけじゃないさ。
まずその子の口を開けて、喉の辺りを見てくれ。
……見たな?そこのいかにもって雰囲気の、それがお目当ての『術式』さ」
上条は発見したらしく、こっちに手を振る。
一方通行と神裂、ステイルの三人は少し二人から距離を置いている。
一応、何かあったらすぐにでも駆け付けられるようにはしているが。
「……うん、よし。
じゃあ、早速ぶっ壊すぞー!!」
「……いちいち大声で叫ぶンじゃねェよ、馬鹿」
「まったくの所だね。
……早いとこあの子を助けろ、ド素人!!」
「……お前ら、あとでぶっ飛ばす」
そんな会話をしながら、上条は右手を口に突っ込む。
神裂とステイルはごくり、と唾を飲み込んでいる。
一方通行も、少しだけ緊張した。
バキン、という『右手』が何かを壊した音がした。
三人は一気に息を吐いて、安堵した。
しかし次の瞬間――――
「…………ぐっ!?」
上条の右手が勢いよく後ろへと吹き飛ぶ。
元々、神裂に切り裂かれていた傷口が、さらに酷くなっていた。
後方で見ていた三人は、さらに驚くべきモノを見た。
眠っていたはずのインデックスの両目が静かに開く。
その眼の中には鮮血のように鮮やかな、真っ赤な魔法陣の輝きがあった。
「!?いけません、上条とう……」
神裂が叫んだが、もう遅かった。
インデックスの両目が輝くと同時に、何かが爆発した。
上条の体はこちらに向かって、凄まじい勢いで吹き飛ばされる。
「……くっ!!」
ありえないスピードで飛んで来た彼を、神裂が何とか受け止めようとする。
砂を後ろに引きずりながらも、彼女はどうにか受け止めた。
「――警告、第三章第二節。
Index-Librorum-Prohibitorum――禁書目録(インデックス)の『首輪』、
第一から第三まで全結界の貫通を確認。
再生準備……失敗。『首輪』の自己再生は不可能。
現状、十万三千冊の『書庫』の保護のために、侵入者の迎撃を優先します」
一方通行達は、目の前を見る。
そこには、不気味な動きでゆっくりと立ち上がるインデックスがいた。
その瞳には、人間らしい光を宿しておらず、ぬくもりもない。
一方通行には、見覚えがある眼だった。
三日前、小萌先生に『魔術』を使わせた時の、
見つめられるだけで凍てついてしまいそうな眼だ。
「……そういや、一つだけ聞いてなかったな」
上条はボロボロの右手を握り締めながら、呟いた。
「『超能力者』でもないのに、魔力とかいうのがお前にない理由」
その答えが、これだ。
教会も馬鹿ではない。
二重三重のセキュリティを作っておいたのだ。
おそらくは『首輪』が外された時のために、
彼女の魔力全てを使い、十万三千冊の魔導書を操る
まさに『最強』の自動迎撃システムを作りだしたのだろう。
Index-Librorum-Prohibitorum――禁書目録(インデックス)の『首輪』、
第一から第三まで全結界の貫通を確認。
再生準備……失敗。『首輪』の自己再生は不可能。
現状、十万三千冊の『書庫』の保護のために、侵入者の迎撃を優先します」
一方通行達は、目の前を見る。
そこには、不気味な動きでゆっくりと立ち上がるインデックスがいた。
その瞳には、人間らしい光を宿しておらず、ぬくもりもない。
一方通行には、見覚えがある眼だった。
三日前、小萌先生に『魔術』を使わせた時の、
見つめられるだけで凍てついてしまいそうな眼だ。
「……そういや、一つだけ聞いてなかったな」
上条はボロボロの右手を握り締めながら、呟いた。
「『超能力者』でもないのに、魔力とかいうのがお前にない理由」
その答えが、これだ。
教会も馬鹿ではない。
二重三重のセキュリティを作っておいたのだ。
おそらくは『首輪』が外された時のために、
彼女の魔力全てを使い、十万三千冊の魔導書を操る
まさに『最強』の自動迎撃システムを作りだしたのだろう。
「――『書庫』内の十万三千冊により、
防壁に傷をつけた魔術の術式を逆算……失敗。
該当する魔術は発見できず。
術式の構成を暴き、対侵入者用の特定魔術『ローカルウェポン』を組み上げます」
インデックスはかすかに首を曲げて、
「――侵入者に対して最も有効な魔術の組み込みに成功しました。
これより特定魔術『聖(セント)ジョージの聖域』を発動、侵入者を破壊します」
そう言った瞬間、彼女の両目にあった二つの魔法陣が一気に拡大した。
それらは彼女の顔の前に、重なるように配置してある。
左右一つずつの眼球に固定されているようで、
彼女が首を動かすと空中の魔法陣も同じように後を追う。
インデックスが、人の頭では理解不能な『何か』を歌った瞬間、
魔法陣二つがいきなり輝いて、爆発した。
二つの魔法陣の接点を中心に、
空気に真っ黒な亀裂が四方八方、
インデックスの周りを走り抜けていく。
それ自体が何人たりとも彼女に近づけさせはしない、一つの防壁のように。
そうして、亀裂が内側から膨らむ。
わずかに開いた隙間からは、獣のような匂いが漂う。
防壁に傷をつけた魔術の術式を逆算……失敗。
該当する魔術は発見できず。
術式の構成を暴き、対侵入者用の特定魔術『ローカルウェポン』を組み上げます」
インデックスはかすかに首を曲げて、
「――侵入者に対して最も有効な魔術の組み込みに成功しました。
これより特定魔術『聖(セント)ジョージの聖域』を発動、侵入者を破壊します」
そう言った瞬間、彼女の両目にあった二つの魔法陣が一気に拡大した。
それらは彼女の顔の前に、重なるように配置してある。
左右一つずつの眼球に固定されているようで、
彼女が首を動かすと空中の魔法陣も同じように後を追う。
インデックスが、人の頭では理解不能な『何か』を歌った瞬間、
魔法陣二つがいきなり輝いて、爆発した。
二つの魔法陣の接点を中心に、
空気に真っ黒な亀裂が四方八方、
インデックスの周りを走り抜けていく。
それ自体が何人たりとも彼女に近づけさせはしない、一つの防壁のように。
そうして、亀裂が内側から膨らむ。
わずかに開いた隙間からは、獣のような匂いが漂う。
そうして、『何か』が近づいてきている。
魔術師二人は声も出ないらしい。
呆然と『それ』を見ていた。
そんな中で、上条と一方通行は一歩、前へと踏み出す。
「……ふン。なンつゥかよ、ホントRPGでもやってる気分だな」
「ははは。……まったく、そうだな」
そう言いながらまた一歩踏み出す。
「今の内に帰ってもいいンだぜェ、上条くゥゥゥン?」
「ハッ。そういうそっちこそ、ビビってんじゃねえのか?」
さらに一歩、踏み出す。
「……上等だ、三下。
後で吠え面かくなよ?」
「そっちこそ、な」
「……まァ、いい。そンじゃ――行くか!!」
「あぁ!!」
二人は一気に駆け出す。
ただ、あの少女ともう一度笑いたい――そのためだけに。
魔術師二人は声も出ないらしい。
呆然と『それ』を見ていた。
そんな中で、上条と一方通行は一歩、前へと踏み出す。
「……ふン。なンつゥかよ、ホントRPGでもやってる気分だな」
「ははは。……まったく、そうだな」
そう言いながらまた一歩踏み出す。
「今の内に帰ってもいいンだぜェ、上条くゥゥゥン?」
「ハッ。そういうそっちこそ、ビビってんじゃねえのか?」
さらに一歩、踏み出す。
「……上等だ、三下。
後で吠え面かくなよ?」
「そっちこそ、な」
「……まァ、いい。そンじゃ――行くか!!」
「あぁ!!」
二人は一気に駆け出す。
ただ、あの少女ともう一度笑いたい――そのためだけに。
二人が彼女との距離を四メートルまで縮めたその時、
亀裂が一気に広がり、『開いた』。
そんな巨大な亀裂の奥から、『何か』が覗き込む。
次の瞬間、亀裂の奥から光の柱が二人に襲いかかる。
一方通行よりも少し先に行っていた上条は、それに向かって右手を迷わず突き出す。
じゅう、と鉄板などで肉を焼くような激突音が一方通行に届いてくる。
しかし、光の柱はまったく消えようとしない。
(どォなってやがる!?確かに右手に触れてンじゃねェか!!)
上条は重圧に吹き飛ばされそうになり、じりじりと後退している。
どうやらインデックスは、十万三千冊全てを利用した魔術を放っているようだ。
一冊一冊が『必殺』の意味を持つ、全てを使っているなら納得もいく。
「――『聖ジョージの聖域』は侵入者に対して効果が見られません。
他の術式へ切り替え、
引き続き『首輪』保護のため侵入者の破壊を継続します」
インデックスの冷徹な声が響いてくる。
亀裂が一気に広がり、『開いた』。
そんな巨大な亀裂の奥から、『何か』が覗き込む。
次の瞬間、亀裂の奥から光の柱が二人に襲いかかる。
一方通行よりも少し先に行っていた上条は、それに向かって右手を迷わず突き出す。
じゅう、と鉄板などで肉を焼くような激突音が一方通行に届いてくる。
しかし、光の柱はまったく消えようとしない。
(どォなってやがる!?確かに右手に触れてンじゃねェか!!)
上条は重圧に吹き飛ばされそうになり、じりじりと後退している。
どうやらインデックスは、十万三千冊全てを利用した魔術を放っているようだ。
一冊一冊が『必殺』の意味を持つ、全てを使っているなら納得もいく。
「――『聖ジョージの聖域』は侵入者に対して効果が見られません。
他の術式へ切り替え、
引き続き『首輪』保護のため侵入者の破壊を継続します」
インデックスの冷徹な声が響いてくる。
そこへ、
「それは『竜王の吐息(ドラゴン・ブレス)』――
伝説にある聖ジョージのドラゴンの一撃と同義です!
いかな力があるとはいえ、人の身でまともに取り合わないでください!」
神裂とステイルが駆け寄ってくる。
一方通行はそれを聞いて、
「あァ、そォかよ。
ならこォするまでだ」
言うと同時に地面を踏み抜き、その衝撃のベクトルを操る。
それはそのまま、インデックスが立っている地面へと進み、彼女の足元を隆起させる。
それによって、彼女の体は後ろに吹き飛ぶ形で倒れ込む。
インデックスの『眼球』と連動していた魔法陣が動き、光の柱が大きく狙いを外す。
巨大な剣を振り回すかのごとく、屋根と公園の後ろにあった廃ビルが二つに切り裂かれた。
夜空に漂う漆黒の雲までもが引き裂かれる。
……もしかしたら、大気圏外の人工衛星まで破壊したかもしれない。
破壊された屋根からは、光の柱と同じく純白の光の羽がゆっくりと舞い散る。
「それは『竜王の吐息(ドラゴン・ブレス)』――
伝説にある聖ジョージのドラゴンの一撃と同義です!
いかな力があるとはいえ、人の身でまともに取り合わないでください!」
神裂とステイルが駆け寄ってくる。
一方通行はそれを聞いて、
「あァ、そォかよ。
ならこォするまでだ」
言うと同時に地面を踏み抜き、その衝撃のベクトルを操る。
それはそのまま、インデックスが立っている地面へと進み、彼女の足元を隆起させる。
それによって、彼女の体は後ろに吹き飛ぶ形で倒れ込む。
インデックスの『眼球』と連動していた魔法陣が動き、光の柱が大きく狙いを外す。
巨大な剣を振り回すかのごとく、屋根と公園の後ろにあった廃ビルが二つに切り裂かれた。
夜空に漂う漆黒の雲までもが引き裂かれる。
……もしかしたら、大気圏外の人工衛星まで破壊したかもしれない。
破壊された屋根からは、光の柱と同じく純白の光の羽がゆっくりと舞い散る。
『光の柱』の束縛から逃れた上条は、
一気に走ってインデックスに近づこうとする。
しかし、それより先にインデックスが首を巡らせた。
このままでは、また捕まってしまう!!
「――Fortis931!!
……魔女狩りの王(イノケンティウス)!」
ステイルが叫ぶと同時に、身構える上条の前に、
炎の巨人が出て来て彼の盾となった。
ぶつかり合う光と炎を迂回して、
上条は全速力でインデックスの元へと走り寄る。
「――警告、第六章第十三節。新たな敵兵を確認。
戦闘思考を変更、戦場の検索を開始……完了。
現状、最も難度の高い敵兵『上条当麻』の破壊を最優先します」
『光の柱』ごとインデックスは首を振り回す。
同時に魔女狩りの王も上条の盾になるように動く。
光と炎は互いに喰いつぶし合いながら、延々とぶつかり合う。
上条は、一直線にインデックスを帰る場所へと『迎え』に行く。
あと四、三、二、一メートル!!
「ダメです――――上条とう……」
もう少しで魔法陣に触れられるというところで、神裂の叫びが響く。
何十枚もの光り輝く羽が、彼の頭上へ降りかかろうとしている。
一気に走ってインデックスに近づこうとする。
しかし、それより先にインデックスが首を巡らせた。
このままでは、また捕まってしまう!!
「――Fortis931!!
……魔女狩りの王(イノケンティウス)!」
ステイルが叫ぶと同時に、身構える上条の前に、
炎の巨人が出て来て彼の盾となった。
ぶつかり合う光と炎を迂回して、
上条は全速力でインデックスの元へと走り寄る。
「――警告、第六章第十三節。新たな敵兵を確認。
戦闘思考を変更、戦場の検索を開始……完了。
現状、最も難度の高い敵兵『上条当麻』の破壊を最優先します」
『光の柱』ごとインデックスは首を振り回す。
同時に魔女狩りの王も上条の盾になるように動く。
光と炎は互いに喰いつぶし合いながら、延々とぶつかり合う。
上条は、一直線にインデックスを帰る場所へと『迎え』に行く。
あと四、三、二、一メートル!!
「ダメです――――上条とう……」
もう少しで魔法陣に触れられるというところで、神裂の叫びが響く。
何十枚もの光り輝く羽が、彼の頭上へ降りかかろうとしている。
魔術を知らない上条や一方通行でも分かる。
たった一枚でも触れたら、大変なことになるのだろう。
そして、彼が右手を使えばそれを防げるだろうという事も分かっている。
しかし、
「――警告、第二十二章第一節。
炎の魔術の術式の逆算に成功しました。
曲解した十字教の教義(モチーフ)をルーンにより記述したものと判明。
対十字教用の術式を組み込み中……第一式、第二式、第三式。
命名、
『神よ、何故私を見捨てたのですか(エリ・エリ・レマ・サバクタニ)』完全発動まで十二秒」
魔女狩りの王は、だんだんと押されていく。
光の羽を一枚一枚右手で撃ち落とせば、
その間にインデックスに体勢を立て直されるだろう。
自分の事か、彼女の事か――。
上条の答えはとうに決まっているだろう。
一方通行には、分かっている。
たった一枚でも触れたら、大変なことになるのだろう。
そして、彼が右手を使えばそれを防げるだろうという事も分かっている。
しかし、
「――警告、第二十二章第一節。
炎の魔術の術式の逆算に成功しました。
曲解した十字教の教義(モチーフ)をルーンにより記述したものと判明。
対十字教用の術式を組み込み中……第一式、第二式、第三式。
命名、
『神よ、何故私を見捨てたのですか(エリ・エリ・レマ・サバクタニ)』完全発動まで十二秒」
魔女狩りの王は、だんだんと押されていく。
光の羽を一枚一枚右手で撃ち落とせば、
その間にインデックスに体勢を立て直されるだろう。
自分の事か、彼女の事か――。
上条の答えはとうに決まっているだろう。
一方通行には、分かっている。
しかし、一方通行はそんなつまらない未来で終わらせるつもりなどない。
「……お、おォォォォっっっ!!」
彼は風を操り、上条達を吹き飛ばさないように、
羽が舞う上空のみに暴風をたたき付ける。
しかし、
「……くっそがァァァ!!」
羽は全く風の影響を受けず、ゆっくりと落ちていく。
そうしている間に、上条は右手を振り下ろす。
右手に触れた、黒い亀裂とその先の魔法陣はあっさりと切り裂かれる。
まるで、皿なんかを保護するのに使う、
プチプチしたヤツを潰すかのようなお手軽さで。
「――警、こく。最終……章。第、零――……。
『 首輪、』致命的な、破壊……再生、不可……消」
ぷつり、とインデックスの口から全ての声が消えた。
「……お、おォォォォっっっ!!」
彼は風を操り、上条達を吹き飛ばさないように、
羽が舞う上空のみに暴風をたたき付ける。
しかし、
「……くっそがァァァ!!」
羽は全く風の影響を受けず、ゆっくりと落ちていく。
そうしている間に、上条は右手を振り下ろす。
右手に触れた、黒い亀裂とその先の魔法陣はあっさりと切り裂かれる。
まるで、皿なんかを保護するのに使う、
プチプチしたヤツを潰すかのようなお手軽さで。
「――警、こく。最終……章。第、零――……。
『 首輪、』致命的な、破壊……再生、不可……消」
ぷつり、とインデックスの口から全ての声が消えた。
光の柱も、魔法陣も消え、辺りに走った亀裂が消えていく。
「早くガキ連れて逃げろ、上条!!」
一方通行はそう叫んだ。
声が聞こえた方向――親友の方を上条は見た。
その時、上条当麻の頭の上に、一枚の光の羽が舞い降りた。
「上条!!」
親友の悲痛な叫びを聞いた彼は、笑って一言だけ言うために口を動かす。
「――――」
一方通行はそれを聞いて固まる。
そして、上条は満足そうに笑って、
倒れているインデックスに覆いかぶさるように倒れ込む。
降り注ぐ光の羽から彼女の体を庇うように。
この夜。上条当麻は『死んだ』。
「早くガキ連れて逃げろ、上条!!」
一方通行はそう叫んだ。
声が聞こえた方向――親友の方を上条は見た。
その時、上条当麻の頭の上に、一枚の光の羽が舞い降りた。
「上条!!」
親友の悲痛な叫びを聞いた彼は、笑って一言だけ言うために口を動かす。
「――――」
一方通行はそれを聞いて固まる。
そして、上条は満足そうに笑って、
倒れているインデックスに覆いかぶさるように倒れ込む。
降り注ぐ光の羽から彼女の体を庇うように。
この夜。上条当麻は『死んだ』。
翌日――――
一方通行は第七学区にあるとある病院の廊下を、
カエル顔の医者と歩いていた。
この医者は、巷では冥土返し(ヘブンキャンセラー)
とまで呼ばれる名医らしいが、
一方通行にはあんまりそうは思えなかった。
まぁ、どうだっていいことだが。
しばらくして、ある少年の病室に二人はたどり着く。
一方通行がドアを開けようとした瞬間、
白い修道服(安全ピンで留めてある惨めなヤツ)
を着た少女が先にドアを開けて、部屋から出て来た。
ずいぶんとご立腹らしく、
ぷんぷん、という擬音がよく似合いそうな動きをしていた。
そのまま彼女は部屋を出ると、どこかへと歩き出す。
「オイ、クソガキ。
オマエ、どこに……」
「散歩!!!!」
一方通行が行き先を聞こうとすると、
いかにも怒ってます、と言わんばかりに叫んだ。
一方通行は第七学区にあるとある病院の廊下を、
カエル顔の医者と歩いていた。
この医者は、巷では冥土返し(ヘブンキャンセラー)
とまで呼ばれる名医らしいが、
一方通行にはあんまりそうは思えなかった。
まぁ、どうだっていいことだが。
しばらくして、ある少年の病室に二人はたどり着く。
一方通行がドアを開けようとした瞬間、
白い修道服(安全ピンで留めてある惨めなヤツ)
を着た少女が先にドアを開けて、部屋から出て来た。
ずいぶんとご立腹らしく、
ぷんぷん、という擬音がよく似合いそうな動きをしていた。
そのまま彼女は部屋を出ると、どこかへと歩き出す。
「オイ、クソガキ。
オマエ、どこに……」
「散歩!!!!」
一方通行が行き先を聞こうとすると、
いかにも怒ってます、と言わんばかりに叫んだ。
「ナースコールがあったからやってきたけど……あー、これはひどいね?」
先に部屋に入ったカエル医者がそんな事を言った。
一方通行が部屋に入ると、
ベッドから上半身だけずり落ちている、ツンツン頭の少年の姿があった。
少年は頭のてっぺんを両手で押さえて泣いていた。
死ぬ、これはホントに死ぬ、とか独り言をしているのがまた、リアルだ。
一方通行はドアを閉めると、椅子に座る。
そして、ゆっくりと口を開く。
「…………オマエ、本当によかったのかよ?」
「……えっと、何がだ?」
逆に少年は質問する。
質問に質問で返すなよ、とか思ったが、今そんな事はどうでもいい。
彼はもう一度ゆっくり口を開いて、聞き直す。
先に部屋に入ったカエル医者がそんな事を言った。
一方通行が部屋に入ると、
ベッドから上半身だけずり落ちている、ツンツン頭の少年の姿があった。
少年は頭のてっぺんを両手で押さえて泣いていた。
死ぬ、これはホントに死ぬ、とか独り言をしているのがまた、リアルだ。
一方通行はドアを閉めると、椅子に座る。
そして、ゆっくりと口を開く。
「…………オマエ、本当によかったのかよ?」
「……えっと、何がだ?」
逆に少年は質問する。
質問に質問で返すなよ、とか思ったが、今そんな事はどうでもいい。
彼はもう一度ゆっくり口を開いて、聞き直す。
透明な少年は黙り込む。
昨日、彼は脳に舞い降りた羽によって脳細胞が『破壊』され、
思い出を全て失ってしまったのだ。
それでも彼は何故か、一方通行からこれまでの経緯を聞いて、
とある少女――インデックスには本当の事を言いたくない、と言った。
「……あれで良かったんじゃないか」
ぽつり、と透明な少年は言った。
「俺。なんだか、あの子にだけは泣いて欲しくないなって思ったんだ。
――そう思えたんだよ。
これがどういう感情か分からないし、きっともう思い出せないんだろうけど、さ」
透明な少年は、何の色もなく笑うと、
「先生は、どうしてあんな話を信じてくれたんです?
魔術師だの、魔法だの、お医者さんには一番遠い存在じゃないですか?」
と、医者の方を見て言った。
「何、患者の必要なモノを揃えるのが僕の仕事だからね?これくらい、朝飯前というヤツだよ」
医者はそう言って、笑った。
何で笑っているのか分からない、と言った顔で。
少年の笑みを見ていると、まるで鏡のように笑ってしまうのだろう。
どちらが『鏡』なのかは、一方通行には分からない。
それぐらい少年の笑みには、哀しみも喜びも、何もなかった。
どこまでも透明なのだ。
昨日、彼は脳に舞い降りた羽によって脳細胞が『破壊』され、
思い出を全て失ってしまったのだ。
それでも彼は何故か、一方通行からこれまでの経緯を聞いて、
とある少女――インデックスには本当の事を言いたくない、と言った。
「……あれで良かったんじゃないか」
ぽつり、と透明な少年は言った。
「俺。なんだか、あの子にだけは泣いて欲しくないなって思ったんだ。
――そう思えたんだよ。
これがどういう感情か分からないし、きっともう思い出せないんだろうけど、さ」
透明な少年は、何の色もなく笑うと、
「先生は、どうしてあんな話を信じてくれたんです?
魔術師だの、魔法だの、お医者さんには一番遠い存在じゃないですか?」
と、医者の方を見て言った。
「何、患者の必要なモノを揃えるのが僕の仕事だからね?これくらい、朝飯前というヤツだよ」
医者はそう言って、笑った。
何で笑っているのか分からない、と言った顔で。
少年の笑みを見ていると、まるで鏡のように笑ってしまうのだろう。
どちらが『鏡』なのかは、一方通行には分からない。
それぐらい少年の笑みには、哀しみも喜びも、何もなかった。
どこまでも透明なのだ。
「……案外、俺はまだ覚えてるのかもな」
一方通行はそれを聞いて、思わず尋ねた。
「オマエの『思い出』は、脳細胞ごと『死ンで』ンだぜ?
…………脳に残ってないのによ、一体どこに『思い出』があるってンだよ」
一方通行は、一つの答えを目の前の少年に期待した。
コイツなら、きっとどうなっても根本的な部分は変わってない。
――――そう、思えたのだ。
「どこって、そりゃあ決まってんじゃねえか」
透明な少年は笑って答えてみせた。
「――――心に、じゃないか?」
一方通行はそれを聞いて、思わず尋ねた。
「オマエの『思い出』は、脳細胞ごと『死ンで』ンだぜ?
…………脳に残ってないのによ、一体どこに『思い出』があるってンだよ」
一方通行は、一つの答えを目の前の少年に期待した。
コイツなら、きっとどうなっても根本的な部分は変わってない。
――――そう、思えたのだ。
「どこって、そりゃあ決まってんじゃねえか」
透明な少年は笑って答えてみせた。
「――――心に、じゃないか?」
「…………は」
そう聞いて、一方通行はポカン、としてから
「は、はははは!!ひっ、あはははは!!」
おもいきり笑った。
「む。何だよ、人が真面目に答えたのに」
透明な少年は、少しむっとしたらしい。
「ハッ、そりゃ悪かったな」
そう言って、彼は立ち上がり、部屋の出口まで歩き出す。
「……じゃあなァ、また明日来てやる。
そン時にオマエの周りの事、出来る限りは教えてやるよ。
……あとよォ、あのガキの方は俺が当分は面倒を見といてやる」
現在、『首輪』がとれたインデックスは、
当分は様子見として彼らに預けられる事になっている。
……最も、一方通行はインデックスの事は少年の方に任せるつもりだが。
そう聞いて、一方通行はポカン、としてから
「は、はははは!!ひっ、あはははは!!」
おもいきり笑った。
「む。何だよ、人が真面目に答えたのに」
透明な少年は、少しむっとしたらしい。
「ハッ、そりゃ悪かったな」
そう言って、彼は立ち上がり、部屋の出口まで歩き出す。
「……じゃあなァ、また明日来てやる。
そン時にオマエの周りの事、出来る限りは教えてやるよ。
……あとよォ、あのガキの方は俺が当分は面倒を見といてやる」
現在、『首輪』がとれたインデックスは、
当分は様子見として彼らに預けられる事になっている。
……最も、一方通行はインデックスの事は少年の方に任せるつもりだが。
「ありがとな。
…………えーっと」
「一方通行(アクセラレータ)だ、一方通行」
「うん。ありがとな、一方通行。
お前って、ホントいい奴なんだな」
そう言われ、一方通行は少し笑う。
……昨日もそンな事言われたなァ、と思う。
何となく彼は、『上条当麻』の最期の言葉を思い出した。
「た の ん だ ぞ 」
それが彼の残した最期の言葉だった。
彼は『親友』の顔を思い浮かべる。
そして、
「……あばよ、『親友』」
そう、彼は少年に聞こえないようにつぶやき、部屋を出ていく。
「……さァて、とォ。
昼になっちまったし、あのガキを捜すとしますかねェ」
『親友』との約束を果たすために、彼は新たな決意を胸に歩き出す。
…………えーっと」
「一方通行(アクセラレータ)だ、一方通行」
「うん。ありがとな、一方通行。
お前って、ホントいい奴なんだな」
そう言われ、一方通行は少し笑う。
……昨日もそンな事言われたなァ、と思う。
何となく彼は、『上条当麻』の最期の言葉を思い出した。
「た の ん だ ぞ 」
それが彼の残した最期の言葉だった。
彼は『親友』の顔を思い浮かべる。
そして、
「……あばよ、『親友』」
そう、彼は少年に聞こえないようにつぶやき、部屋を出ていく。
「……さァて、とォ。
昼になっちまったし、あのガキを捜すとしますかねェ」
『親友』との約束を果たすために、彼は新たな決意を胸に歩き出す。
以上で一巻は終了でございます!
最後については、一方さんが二人を庇って
記憶を無くすとかにしようかとも思ったんですが、
なんか、違うなーと思ったのでやめました。
とりあえず、次回からはニ巻!……と言いたいところですが、
1.5巻として、上条さんが退院した時のお話を書きたいなと思います。
ので、次は読み飛ばしてくれても構いません。
それでは、皆様。また、三日後に。
最後については、一方さんが二人を庇って
記憶を無くすとかにしようかとも思ったんですが、
なんか、違うなーと思ったのでやめました。
とりあえず、次回からはニ巻!……と言いたいところですが、
1.5巻として、上条さんが退院した時のお話を書きたいなと思います。
ので、次は読み飛ばしてくれても構いません。
それでは、皆様。また、三日後に。
記憶消失=「上条当麻」の死
の表現が原作よりもなんかガツンときた
の表現が原作よりもなんかガツンときた
うん。これはどんなに長くなってもいいから
ずっと続けて欲しいと思った
一巻完結乙!!!!
どもども、1でございます。
超夜中に小ネタ編投下しに来ますね。
皆様、少々お待ちを。
超夜中に小ネタ編投下しに来ますね。
皆様、少々お待ちを。
さて、やって来ました。
1でございます。
これから、投下していきます。
今日は、小ネタ編をお送りいたします。
1でございます。
これから、投下していきます。
今日は、小ネタ編をお送りいたします。
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