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    元スレ上条「あの日、もしかしてお前は、俺以上に」

    SS+覧 / PC版 /
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    みんなの評価 : ★★
    タグ : - とある魔術の禁書目録 ×2+ - マイガール ×2+ - 黒子 + - 上条 + - 上琴 + - 俺ガイル + - 幼馴染 + - 御坂美琴 + 追加: タグについて ※前スレ・次スレは、スレ番号だけ登録。駄スレにはタグつけず、スレ評価を。荒らしタグにはタグで対抗せず、タグ減点を。
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    651 :

    どうもですパラレル

    パラレルですパラレル

    このおまけは、これまでの話とはパラレルです

    では投下していきますパラレル

    652 = 651 :

    0と1の奔流の中で美琴は目覚める

    美琴「webの中?」

    その強大な電子操作能力の応用で、感覚的にwebにアクセスしたときに
    このような0と1の羅列を視覚的に感じる
    しかし、なぜ自分はアクセスしているのだろうか?

    美琴「確か、事故を止めようとして……」

    勤務する研究所で起きた事故
    暴走する機材を止めるために、メインコンピューターにアクセスしたはず

    美琴「全部、止めるのは無理だったから、少しでも被害を減らすためにプログラムを書き換えて」

    同時に磁力をつかって、その他の機材を強引にまとめてバリケードも作った

    美琴「みんなに逃げるように、放送して……」

    逃げる?
    自分はどうだったのだろうか
    たしか、現場の一番近くで……

    美琴「私は、逃げ切れなかった……」

    653 = 651 :

    記憶の中の最後の光景、爆発に呑みこまれる美琴自身の姿

    美琴「そっか、私、死んじゃったんだ……」

    では、今思考している自分自身は何なのだろうか?

    0と1の奔流を眺めているのは誰なのだろうか

    美琴「なにか、無いのかな」

    そう考えた瞬間

    654 = 651 :

    視界が開ける
    どこかの店の陳列棚
    知らない国の国会
    上空から見た大都会

    音も聞こえてくる
    ニュースキャスターが記事を読み上げる
    どこかで誰かがケンカする声
    赤ん坊の泣き声

    Webに繋がった世界中のカメラが目となり
    マイクが耳となる

    美琴「もしかして、私は」

    あの時、能力を通してWebに焼きついてしまった
    御坂美琴の人格と記憶と演算の残滓

    そんな正解にいきついてしまう

    655 = 651 :

    美琴「……まこと、どうしてるかな」

    大切な娘を心配してしまう
    そして

    美琴「……アイツに逢いたいな」

    誰にも聞こえないからこそ
    ずっと奥底に秘めていた想いも出てきてしまう
    電子の海に溺れながら

    656 = 651 :

    上条『青ピー。まこと迎えに来たぞー』

    青ピ『おっす、上やん。ちょっと、まっててな』

    まこと『とうまくん!』

    上条『迎えに来たぞ。さっ、帰ろう』

    まこと『はい!』

    上条『じゃあな』

    まこと『せんせい、さようなら』

    青ピ『また、明日』

    保育園に取り付けられた監視カメラ越しに
    大切な二人の後ろ姿を見守る

    美琴「これじゃ私、ストーカーみたいだ」

    電話やwebに繋がったスピーカー使えば
    声くらいは出せると思う
    でも、できない

    657 = 651 :

    美琴「私は御坂美琴じゃないのかもしれないし」

    そのただの残り滓、能力の反響にすぎないのかもしれない

    だとすれば、もし上条の右手に触れてしまうと

    美琴「消えちゃうのかな」

    もしかすると、進んでそうするべきなのかもしれない
    しかし、できない

    美琴「遠くからでも、見守り続けたいなぁ」

    未練ができてしまった
    あの二人を見る事ができると気付いた瞬間から
    それに

    上条の右手に触れると言う事は

    美琴「また、あの二人の前からいなくなる事になるのかな『御坂美琴』が……」

    ただの残り滓が、そんな思いを二人にもたらしてはいけない
    絶対に

    658 = 651 :

    初春『御坂さん!』

    麦野『御坂!』

    Webに漂う美琴に懐かしい声がかかる
    いや、正確には音声こみのリアルタイムアクセスだ

    美琴「ふたりとも、どうして……」

    虚をつかれて、そんな言葉が出てきてしまう

    初春『やっぱり御坂さんですね』

    麦野『やっぱり、あのデータの痕跡はお前だったか』

    659 = 651 :

    最初に気づいたのは初春だった
    原稿を出さなくなってきた一方通行のパソコンを、ハッキングしている際に
    自分以外の侵入に気がついたらしい。それも何度も。
    その侵入の際に、毎回まことがいる事に気付いた時に
    偶然、麦野からハッカーとしての初春に、相談があった

    御坂美琴の能力の痕跡がweb上で消えずに増え続けていると

    美琴「そっか。それで気付いたんだ」

    初春『はい! Webに御坂さんの人格や演算が残ってると』

    麦野『やっぱり、正解だったわね』

    美琴「うん。二人とも会えてうれしいよ」

    初春『はい、私も嬉しいです……』

    麦野『で、どうするの』

    美琴「何を?」

    660 = 651 :

    麦野『私達よりも、もっと逢いたいやつらがいるだろうが』

    美琴「逢えないよ」

    初春『どうしてですか! 上条さんもまことちゃんも、御坂さんに逢いたいのに』

    美琴『だめだよ。だって私は』

    『御坂美琴の残り滓だから』

    初春『!』

    麦野『お前!』

    美琴「じゃ、またね」

    言いながら、美琴は電子の洪水に飛び込む
    まるで、二人から逃げるかのように

    661 = 651 :

    上条『今日の夕飯何食べたい?』

    まこと『なんでもだいじょうぶです』

    スーパーの監視カメラ越しに、保育園の帰り
    買い物をする父娘を美琴は眺めていた

    どうしても、その姿に御坂美琴が混ざっている光景を想像してしまう

    上条『遠慮せずに、何でも好きなもの言っていいんだぞ』

    まこと『ええと、それじゃぁ。……わらっちゃだめですよ』

    上条『笑わないぞ、さあ、言ってみろ』

    まこと『……はんばーぐ』

    662 = 651 :

    上条『わかった、ハンバーグだな。でもなんでハンバーグが恥ずかしいんだ』

    まこと『だってはんばーぐは、おとこのこのたべものだから』

    上条『ぷっ』

    まこと『あ! ひどいです! わらっちゃだめです!』

    上条『悪い、悪い。お詫びにとっておきのハンバーグ作ってやるよ』

    まこと『ほんとですか』

    上条『ああ、任せとけ!』

    美琴「いいなぁ」

    663 = 651 :

    そんな言葉が二人を見つめると出てきてしまう
    でも、自分には許されないとも思う

    初春『御坂さん!』

    美琴「初春さん? どうしたの?」

    初春『このデータの場所に行ってください! 麦野さんたちが待ってます』

    美琴「いいけど、どうして?」

    初春『いいから! 絶対ですよ!』

    そのあと、にげんなモヤシ! との言葉を残して初春はいってしまう
    データを解凍すると、日本の学園都市の研究所の一つが示されている

    美琴「なんだろ、ここ」

    とりあえず、行ってみる事にする
    どうせwebなら距離はほとんど意味が無い

    664 = 651 :

    麦野「来たな」

    美琴『これは、私? ううん妹達の誰か?』

    初春に指示された研究所にいたのは
    白衣の麦野と
    機材の上に、横たわる美琴にそっくりな一人の女性

    麦野「はずれ。アンタとアタシがどんな研究をしてたか、思い出しなさい」

    美琴『……ロボット』

    麦野「そう、アンタの姿をしたアンドロイドね」

    665 = 651 :

    美琴『完成したんだ。良かったぁ。でもなんで私の姿なの?』

    研究者として、自分との共同研究を仲間が完成させてくれた事は素直にうれしい
    しかし、その容貌はだれかをモデルにはしていなかったはずだ

    麦野「アンタの新しい体だからよ」

    美琴『え』

    麦野「だから、このロボットに今web上にあるアンタの人格と記憶と演算を移すの」

    美琴『……』

    麦野「そしたら、逢いに行けるでしょ。まことたちに」

    美琴『ありがとう。でもダメだよ』

    666 = 651 :

    麦野「何で!」

    美琴『私は残り滓にすぎないから。そんなのが御坂美琴として逢いにはいけないよ』

    麦野「だったら!」

    御坂「では、ミサカ達の一人として、逢いに行ってください」

    扉を開けながら、御坂妹が部屋に入ってくる

    美琴『アンタ……』

    御坂「残り滓だとか、そんなことはどうでもいいでしょう。大事なのは逢いたいかどうかです。お姉様は逢いたくは無いのですか」

    美琴『……逢いたいよ、でも』

    御坂「デモもストもありません。さあ、準備をしてください」

    麦野「まかせな」

    美琴『いいのかな』

    御坂「母親が家族に逢いに行くのに、いいも悪いもありません」

    美琴『……二人とも、ありがとう』

    別人として、顔を見に行くくらいなら大丈夫じゃないだろうか
    そう思ってしまったら、感情が止まらなくなってしまう
    もう、見守るだけでは我慢できない

    ……逢いたい

    667 = 651 :

    上条「お、御坂妹か、どうしたんだ」

    御坂「普段、学園都市の外のミサカがたまたま来てまして、まことに逢いたいと言うので、連れきましたとミサカは訪問の目的を述べます」

    美琴『はじめまして、ミサカ11112号です』

    上条「おう。はじめまして」

    ずっと聞きたかった声が、集音マイクごしに聞こえてくる
    言いたい事、伝えたい言葉はたくさんある
    でも、それは口にできない

    668 = 651 :

    まこと「おねえちゃん!」

    美琴「はじめまして、まこと」

    まことが美琴に抱きついてくる
    受け止めてそのまま髪を撫でてやる
    触感センサー越しに伝わってくる慣れ親しんだ手触りが愛おしい

    まこと「!」

    御坂「どうしましたか、まこと?」

    まこと「いえ、なんでもないです」

    上条「いま、夕飯の支度してるからさ、あがって食ってけよ」

    669 = 651 :

    美琴『いえ、えん「では遠慮なくごちそうになります」

    美琴の言葉を遮りながら、御坂妹が部屋に上がっていく
    少し、躊躇したあと美琴も上がる

    美琴(なつかしいな、ここ)

    そもそもこの部屋を上条に進めたのは美琴なのだ
    この部屋から、あの思い出も公園がいつでも眺めれるようにと

    上条「適当に座ってくれや」

    まこと「すわってください」

    美琴 『わかりました』

    670 = 651 :

    そのまま、しばらく四人で言葉を交わす
    ずっと夢見てきた光景に近い
    でも、自分は……

    上条「じゃあ、そろそろ用意してくるは」

    御坂「メニューは何ですかとミサカは質問します」

    上条「ハンバーグだよ」

    美琴『ああ。まことの好きなものですからね』

    まこと「!」

    御坂「そうなんですか」

    671 = 651 :

    美琴『ええ』

    まこと「どうして、しってるんですか」

    美琴『!』

    しまった、まことはハンバーグが好きな事を女の子らしくないと
    秘密にしていたのに、これは

    まこと「ままと、とうまくんにしかおはなししてません。もしかして」

    672 = 651 :



    「まま?」



    673 = 651 :

    まことのその言葉とともに、部屋を飛び出す
    誤魔かすことも、なにも思いつかずに体が動いていた
    機械の塊に癖に、感情にすぐに反応する

    674 = 651 :

    美琴『……ここは』

    随分逃げたつもりだったのに、気がつくと
    あの公園にいた

    美琴『何やってるんだろ、私』

    誤魔化しようはあったはずなのに、

    上条「美琴!」

    美琴『アンタ!』

    ずっと逢いたかった
    しかし、今一番会いたくない人が走ってきた

    675 = 651 :

    上条「御坂妹に聞いたよ」

    美琴『そっか、聞いちゃったんだ』

    上条「……帰ってきてくれて嬉しい、俺は、ずっと」

    美琴『やめて!』

    上条「美琴?」

    美琴『私は、御坂美琴じゃない! その能力の残り滓なのよ!』

    上条「違う」

    美琴『違わない! だったら試しにその手で触ってみなさいよ! すぐに消えるんだから!』

    676 = 651 :

    上条「消えねえよ!」

    不意に抱きしめられる

    その、左腕だけで

    上条「消えない、俺が消すのは幻想だけだ。だって、お前は」

    抱きしめる力が強くなる。懐かしい体温が美琴を包む

    「俺とまことにとって現実なんだよ!」

    677 = 651 :

    美琴『……当麻』

    上条「俺の事、気を使って向こうに行ったんだろ。ありがとうな。でも、もう大丈夫だから」

    美琴の耳元で上条が囁く

    「もう、お前とまことを守れるくらい、強くなったから」

    なんで、自分も麦野も涙を流す機能を付けなかったのだろうか

    678 = 651 :

    まこと「まま! とうまくん!」

    御坂「申し訳ありません、どうしてもと言うので連れてきました」

    まこと「まま!」

    まことが再び美琴に抱きついてくる

    まこと「もうどこにもいかないでください! いいこにしますから!」

    美琴『まこと……』

    上条「言っただろ。お前は俺たちのとって、現実だって」

    美琴『……うん。まこと』

    679 = 651 :

    言いながら、まことを抱きあげる
    ほんの少しだけ重くなった事をデータは示している
    自分がいない間に大きくなったのだろうか

    まこと「まま、まま」

    美琴『ごめんね。これからは傍にいるから』

    まこと「はい!」

    このぬくもりと、包んでくれる体温を二度となくさないように
    そんな誓いを言葉に込めて

    美琴『ずっとね』

    能力の残り滓でも構わない
    自分は御坂美琴なのだ


    二人が、認めてくれる限り

    680 = 651 :

    美琴『ねぇ、一つだけお願いがあるの』

    上条「ん、なんだ?」

    御坂妹がかえり、まことも寝付いてしまったあと
    上条に声を掛ける

    美琴『あの子がおっきくなって、貴方が長生きして、おじいさんになって、流石に死んじゃうかもしれない時に』

    上条「時に?」

    美琴『今度は、両腕で抱き締めてね』

    それまでは傍に居させてください

    上条「死ぬとか、縁起でもねぇ」

    美琴『だめかな』

    上条「さあな」

    681 = 651 :


    数十年後、学園都市

    この日、長く教師を続けてきた一人の老人の葬儀がしめやかに行われた
    喪主を務めるのは彼の娘の夫で、孫やひ孫、彼の友人や教え子たちが出席した

    彼の娘のたっての希望で、棺には一体のアンドロイドが入れらる
    彼の昔の恋人にして、娘の母親だった女性の姿を模して造られたという
    それは、かれが生きている間ずっと傍にいて、彼が息を引き取ると同時に機能を停止した。

    まるで、抱きしめられかのように彼に寄り添うそれは、
    恋人に抱きしめられているようにみえたという


    おまけ 了

    682 = 651 :

    以上です

    おまけはこれまでとパラレルですのでお気を付けください

    >>326の書き込みとトーキョーN◎VADのルールブック読み返したりで思いつきました

    ホント、パラレルですので

    次はそのうちに、一方さんがマッドサイエンティストになる話(カップリングは上琴)か
    エヴァのシンジ×アスカ(ネット用語でLAS)とかを書きたいと考えてます


    読んでくださった方ありがとうございます

    684 :

    パラレルだろうと本編だろうとおまけだろうと関係ない
    この親子三人が幸せならそれで充分、充分だっ!
    くそ、涙がとまらねぇぜ・・・

    >>1ありがとう!
    優しくて温かくて素敵な物語を本当にありがとう!
    次回作も楽しみにしてるよ!

    685 :



    でもどうせならクローン体を作ってそこに美琴を学習装置で書き込めば良かったんじゃないかとも思った

    686 :

    乙だぜ。

    687 :

    乙でした
    昼間から電車で泣いちゃったでしょ

    688 :

    やばい…。
    涙腺やばい…。

    今までの話も含めてほんとよかったよ。
    温かい気持ちになれた。

    乙でした。

    690 :

    webを漂う美琴とか
    ラストとか綺麗すぎる

    691 = 651 :

    >>685

    む、むぎのんは他の人が作るクローンより、自分と美琴が造ったロボを信用してたんですよ

    692 :

    乙です
    パラレルでも幸せになれたようでよかった
    クローンだと病気や急な成長を施したことにより後々現れるかもしれない後遺症とかでまた先に逝ってしまうかもしれない
    二度も好きな人を亡くす悲しみを味あわせたくないからとかそんな解釈してたわ
    幸せになった分更に辛いだろうしな

    693 = 651 :

    あと、思いついたけど、本編で活かし方が分からなかった設定です

    右太郎君は重力操作レベル4(のちに5)

    彼の重力操作は巨大な手で、押さえつけられてるようだという

    うん、使いどころないですね、この設定

    694 :

    >>693
    フィアンマの嫁は結局誰だったんだ…

    695 :

    696 :


    次回作も楽しみにしてるよ
    LASな人って上琴に流れやすいんだろうかww


    >>685
    クローンだと本来宿ってた人格を上書きするようなことになるかもだし
    まぁ色々倫理的にアレだろう
    自分が命を懸けて否定してきたことを覆すことになりかねないし

    697 = 651 :

    >>696

    まじめに分析するといろいろ理由があるのでしょうが、
    とりあえずは美琴さんアスカかっこいい、
    シンジきゅん上条さんハァハァ
    で良いんじゃないでしょうか

    698 :

    乙!
    なんだがなぜか上条さんの葬式で親族以上に大泣きするあっくんの姿が頭をよぎって俺困惑

    699 :

    彼の娘の夫の部分でまことの連れて来た彼氏にぶちぎれるあっくんの姿が浮かんだ俺の勝ち

    700 = 685 :

    上条「いいぜ、てめぇがまことの選んだ男を否定するってんなら、まずはその幻想をぶち[ピーーー]!」

    一通「ヒーロー!俺が間違ってたぜェ」


    まこと夫「…………」

    まこと「いつもの病気なので気にしないでください」

    ここまでは脳内再生余裕でした


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