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元スレ麦野「ねぇ、そこのおに~さん」
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上条『ははは、麦野さんみたいな綺麗な彼女がいてご飯作ってくれたら上条さんの日常は薔薇色なんですけどねー』
という言葉すら、今の麦野には
上条『麦野…いや沈利。俺のために毎朝味噌汁を作ってくれ…二人の薔薇色の未来のために…』イケメンAA
麦野「違うわよ!!」
上条「!?」
降って湧いたビジョンを振り切ろうとする。セブンスミストの中でもそうだった。外で待つ上条が頭をよぎって結局決め切れずに終わってしまい、手ぶらのままだった。
麦野「上条!」
上条「は、はい!」
だから
麦野「………………」ギュッ
手ぶらだから、腕を絡める事だって出来る。
上条「麦野…?」
最初に腕を絡めた時は、上条を抹[ピーーー]るため、逃がさぬようにするための方便だった。
麦野「病み上がりなんだから付き添いがいるでしょ?ほら行くわよ!」
今は…上条の『右手』に抱き付くように腕を、指先を絡める。
上条「…ああ!頼むよ!」
という言葉すら、今の麦野には
上条『麦野…いや沈利。俺のために毎朝味噌汁を作ってくれ…二人の薔薇色の未来のために…』イケメンAA
麦野「違うわよ!!」
上条「!?」
降って湧いたビジョンを振り切ろうとする。セブンスミストの中でもそうだった。外で待つ上条が頭をよぎって結局決め切れずに終わってしまい、手ぶらのままだった。
麦野「上条!」
上条「は、はい!」
だから
麦野「………………」ギュッ
手ぶらだから、腕を絡める事だって出来る。
上条「麦野…?」
最初に腕を絡めた時は、上条を抹[ピーーー]るため、逃がさぬようにするための方便だった。
麦野「病み上がりなんだから付き添いがいるでしょ?ほら行くわよ!」
今は…上条の『右手』に抱き付くように腕を、指先を絡める。
上条「…ああ!頼むよ!」
全ての異能と幻想を打ち消す右手。こうしていれば…麦野は原子崩しを撃ちたくても撃てない。
麦野「ホンット…世話の焼けるヤツね」
つまり…上条の側にいる限り、自分は『ただの女の子』だ。
麦野「…まっ、いっか。ねえ上条?退院祝いにどっか食べに行こうか?」
上条「うへぇ!?じ、実はな麦野…上条さん今月ちょっとピンチでして…」
レベル5の四位でも、アイテムのリーダーでもないただの『麦野沈利』でいられる。この上条当麻がいる限り。ただの女の子でいたって、怖くなんかない。
麦野「バカねえアンタ…ガキ(年下)が色気出してんじゃないわよ」
世界で一番、自分らしくあれる腕が、何度だって引きずり上げてくれる。そう信じているから。
麦野「――黙って年上には甘えなさい♪」
この、麦野沈利だけの偽善使い(ヒーロー)がいる限り
とある星座の偽善使い(フォックスワード)第2部・終了
麦野「ホンット…世話の焼けるヤツね」
つまり…上条の側にいる限り、自分は『ただの女の子』だ。
麦野「…まっ、いっか。ねえ上条?退院祝いにどっか食べに行こうか?」
上条「うへぇ!?じ、実はな麦野…上条さん今月ちょっとピンチでして…」
レベル5の四位でも、アイテムのリーダーでもないただの『麦野沈利』でいられる。この上条当麻がいる限り。ただの女の子でいたって、怖くなんかない。
麦野「バカねえアンタ…ガキ(年下)が色気出してんじゃないわよ」
世界で一番、自分らしくあれる腕が、何度だって引きずり上げてくれる。そう信じているから。
麦野「――黙って年上には甘えなさい♪」
この、麦野沈利だけの偽善使い(ヒーロー)がいる限り
とある星座の偽善使い(フォックスワード)第2部・終了
とある星座の偽善使い(フォックスワード)の者です。これにて第二部は終了です。呼んで下さる皆さんからのレスを受けて、とても嬉しいです。
次回から第三部になります。麦野と上条の短い夏、ようやく始まります。今現在仕上がっているのは…
・上条当麻の初体験
・麦野沈利の薔薇色の世界
・御坂美琴と女の聖戦
と
・麦野沈利と白い闇
・絹旗最愛の憂鬱
・上条当麻と天使再臨
です。デレた麦野、甘えた麦野、狂気に捕らわれた麦野、色んな麦野になると思います。明日の投下はいつも通りの次回です。それでは失礼いたします。
次回から第三部になります。麦野と上条の短い夏、ようやく始まります。今現在仕上がっているのは…
・上条当麻の初体験
・麦野沈利の薔薇色の世界
・御坂美琴と女の聖戦
と
・麦野沈利と白い闇
・絹旗最愛の憂鬱
・上条当麻と天使再臨
です。デレた麦野、甘えた麦野、狂気に捕らわれた麦野、色んな麦野になると思います。明日の投下はいつも通りの次回です。それでは失礼いたします。
超乙
・上条当麻の初体験
・麦野沈利の薔薇色の世界
・御坂美琴と女の聖戦
3つとも楽しみすぎて困る
・上条当麻の初体験
・麦野沈利の薔薇色の世界
・御坂美琴と女の聖戦
3つとも楽しみすぎて困る
垣根もげろwwwwwダークマター爆発しろwwww
いきなり初体験とか・・・上条ェ・・
いきなり初体験とか・・・上条ェ・・
超乙ぅ!ニヤニヤが止まらんww
>>849のていとくん…素晴らしい名言を残していったな。
>>849のていとくん…素晴らしい名言を残していったな。
帝督爆発しろ。ついにレールガン参戦ktkr
麦のんと取り合いになるのか?胸が熱くなるな…
麦のんと取り合いになるのか?胸が熱くなるな…
俺・・・ずっと前から思ってたんだが
もしかして上条さんって・・・・・・・不幸じゃないんじゃないか?
もしかして上条さんって・・・・・・・不幸じゃないんじゃないか?
上条「む、麦野…オレ、もう我慢出来ない!」ハアッハアッ
麦野「ふふふ…男の子なんだから頑張りなさいよ…ねっ、当麻ったらすごい汗…」
上条「そ、そう言う麦野だって…くっ、もうイク!もうイクぞ!」ハアッハアッ
麦野「ああ当麻!イッちゃダメ!イクなら、一緒じゃないとイヤッ」
上条「ああ~もう限界だあああぁぁぁ…出る!」ハアッハアッ
バタバタバタッ!ガチャン!!
上条「ぷはー!!…って一時間もサウナに入れるか~!!」
麦野「出る時は一緒に行こうって言ったのに…我慢弱いわねえかーみじょう?」
~第六学区・『アルカディア』、フィンランドサウナ~
誤解を招きかねない際どい会話を繰り広げていた舞台は天蓋付きのベッドではなく、うだるような熱さのフィンランドサウナである。
そう、二人が来ているのは第六学区に新設された総合アミューズメント&スパリゾート『アルカディア』である。
その規模、収容客員数、共に学園都市最大と目されるそこへ麦野沈利が優待券を受け取り、上条当麻を誘った形である。
そして二人は今の今まで…フィンランドサウナ一時間耐久我慢大会をしていたのだ。
上条「あのままじゃぶっ倒れちまうだろ!!なんでもっと石に水かけてくれないんですか!?あれじゃ蒸し風呂じゃなくて窯焼きだってーの!!」
麦野「倒れたら色々脱がして置いてっちゃおうかなって☆」バチコーン
上条「色々脱がすって何を!?ウインク止めい!」
麦野「だぁってぇ…」
初体験となるフィンランドサウナで文字通り茹で蛸となった上条が水風呂に浸かって呼吸を取り戻そうとしている傍ら、その縁に腰掛けて嫣然と見やり
麦野「ふふふ…男の子なんだから頑張りなさいよ…ねっ、当麻ったらすごい汗…」
上条「そ、そう言う麦野だって…くっ、もうイク!もうイクぞ!」ハアッハアッ
麦野「ああ当麻!イッちゃダメ!イクなら、一緒じゃないとイヤッ」
上条「ああ~もう限界だあああぁぁぁ…出る!」ハアッハアッ
バタバタバタッ!ガチャン!!
上条「ぷはー!!…って一時間もサウナに入れるか~!!」
麦野「出る時は一緒に行こうって言ったのに…我慢弱いわねえかーみじょう?」
~第六学区・『アルカディア』、フィンランドサウナ~
誤解を招きかねない際どい会話を繰り広げていた舞台は天蓋付きのベッドではなく、うだるような熱さのフィンランドサウナである。
そう、二人が来ているのは第六学区に新設された総合アミューズメント&スパリゾート『アルカディア』である。
その規模、収容客員数、共に学園都市最大と目されるそこへ麦野沈利が優待券を受け取り、上条当麻を誘った形である。
そして二人は今の今まで…フィンランドサウナ一時間耐久我慢大会をしていたのだ。
上条「あのままじゃぶっ倒れちまうだろ!!なんでもっと石に水かけてくれないんですか!?あれじゃ蒸し風呂じゃなくて窯焼きだってーの!!」
麦野「倒れたら色々脱がして置いてっちゃおうかなって☆」バチコーン
上条「色々脱がすって何を!?ウインク止めい!」
麦野「だぁってぇ…」
初体験となるフィンランドサウナで文字通り茹で蛸となった上条が水風呂に浸かって呼吸を取り戻そうとしている傍ら、その縁に腰掛けて嫣然と見やり
麦野「当麻ったらチラチラ私の方見てくるんだもん…あーんなにお熱な目で見られたら色んな所が火照っちゃいそう」
上条「ぶふぅ!?」
わざとらしく胸元に指先をかけて迫る麦野。それを受けてサウナに入っていた時以上に顔を真っ赤にする上条。
もちろん女の嗜みで上条が考えているような場所はバッチリとガードされているからこそ、麦野もこうして悪乗り出来るのだが…
上条「よ、嫁入り前の娘がそんな珠の肌をさらすような破廉恥な真似するんじゃありません!ってやりすぎだろいくらなんでも!」
麦野「傷物にされたら当麻がもらってくれる?」
上条「麦野さん!?」
麦野「…かーみじょう?」
迫る麦野、退く上条、慌てて水風呂から上がり逃れようとする上条の『右腕』にしがみつきながら、麦野は少し背伸びするようにして唇を寄せ…
麦野「“さん”付けは止めなさいって何回も注意したでしょー?えいっ」カプッ
上条「痛だあああぁぁぁー!!!」
思いっきり首筋を噛んだ。
麦野「(見ちゃダメなんて誰も言ってないでしょ…バ上条)」
上条「ぶふぅ!?」
わざとらしく胸元に指先をかけて迫る麦野。それを受けてサウナに入っていた時以上に顔を真っ赤にする上条。
もちろん女の嗜みで上条が考えているような場所はバッチリとガードされているからこそ、麦野もこうして悪乗り出来るのだが…
上条「よ、嫁入り前の娘がそんな珠の肌をさらすような破廉恥な真似するんじゃありません!ってやりすぎだろいくらなんでも!」
麦野「傷物にされたら当麻がもらってくれる?」
上条「麦野さん!?」
麦野「…かーみじょう?」
迫る麦野、退く上条、慌てて水風呂から上がり逃れようとする上条の『右腕』にしがみつきながら、麦野は少し背伸びするようにして唇を寄せ…
麦野「“さん”付けは止めなさいって何回も注意したでしょー?えいっ」カプッ
上条「痛だあああぁぁぁー!!!」
思いっきり首筋を噛んだ。
麦野「(見ちゃダメなんて誰も言ってないでしょ…バ上条)」
~第六学区・『アルカディア』ローズバス~
上条「不幸だ…」
麦野「なに?泣くほど良かった?」
上条「泣くほど痛かったんですぅ!!」
カップル用サウナルームから出た二人は今度は薔薇の花片の浮かぶローズバスなるモノに浸かっていた。
大浴場一面に揺蕩う真紅の薔薇はなかなか壮観であり、入浴客も九割がた女性である。
気後れする上条を強引に引っ張って来たのは他ならぬ麦野だ。
上条「見ろよこの歯形!こんなクッキリ跡ついちまってるじゃねーか!」
麦野「虫除けよ、虫除け」
私以外の女(虫)除けにね、と続く言葉は飲み込む。とは言え、こうもあの手この手で迫っていてもこちらの秘めた感情に気づかない原石級の鈍感男なら多分大丈夫だろうと思うが…
麦野「(やっぱり連れてくるんじゃなかったわ…)」
珍しい男性客というのもあるが、ローズバスに浸かる女性達の中に上条の意外に広い背中や、筋トレではつかない引き締まった二の腕などに視線を送る者がいるのだ。
麦野「(残念…コイツの右腕は私の居場所だから。ごめんねー?)」
上条「不幸だ…」
麦野「なに?泣くほど良かった?」
上条「泣くほど痛かったんですぅ!!」
カップル用サウナルームから出た二人は今度は薔薇の花片の浮かぶローズバスなるモノに浸かっていた。
大浴場一面に揺蕩う真紅の薔薇はなかなか壮観であり、入浴客も九割がた女性である。
気後れする上条を強引に引っ張って来たのは他ならぬ麦野だ。
上条「見ろよこの歯形!こんなクッキリ跡ついちまってるじゃねーか!」
麦野「虫除けよ、虫除け」
私以外の女(虫)除けにね、と続く言葉は飲み込む。とは言え、こうもあの手この手で迫っていてもこちらの秘めた感情に気づかない原石級の鈍感男なら多分大丈夫だろうと思うが…
麦野「(やっぱり連れてくるんじゃなかったわ…)」
珍しい男性客というのもあるが、ローズバスに浸かる女性達の中に上条の意外に広い背中や、筋トレではつかない引き締まった二の腕などに視線を送る者がいるのだ。
麦野「(残念…コイツの右腕は私の居場所だから。ごめんねー?)」
上条当麻の右手、幻想殺し(イマジンブレイカー)。全ての異能を打ち消し、原子崩し(メルトダウナー)すら封じ込める…麦野沈利という『刃』に対する『鞘』
麦野「(でも…この幻想殺しがあってもなくても…きっと私は)」
上条「そろそろ上がろうぜ麦野。でもスゲーなこの風呂。ドラマみたいだぜ…ほらよ」スッ
麦野「うっ…うん…」
ローズバスから立ち上がる上条。滑らないようにと差し伸べられる右手。変な所だけ紳士的だ。しかも誰にでも。一つくらいお前の何かを独占させろと麦野は思う。だが…
ガシッ
その右手を取る。引き上げられる。冥土帰しの腕を持ってしても、お湯の温度でうっすらと浮かぶ白い疵痕は残ってしまった。麦野のせいでついた傷。なのに
麦野「(それが嬉しく思えるなんて、私はやっぱり歪んでるね)」
それがたまらなく、愛おしく麦野には思えた。
麦野「(でも…この幻想殺しがあってもなくても…きっと私は)」
上条「そろそろ上がろうぜ麦野。でもスゲーなこの風呂。ドラマみたいだぜ…ほらよ」スッ
麦野「うっ…うん…」
ローズバスから立ち上がる上条。滑らないようにと差し伸べられる右手。変な所だけ紳士的だ。しかも誰にでも。一つくらいお前の何かを独占させろと麦野は思う。だが…
ガシッ
その右手を取る。引き上げられる。冥土帰しの腕を持ってしても、お湯の温度でうっすらと浮かぶ白い疵痕は残ってしまった。麦野のせいでついた傷。なのに
麦野「(それが嬉しく思えるなんて、私はやっぱり歪んでるね)」
それがたまらなく、愛おしく麦野には思えた。
~第六学区・『アルカディア』デッキチェア~
上条当麻と麦野沈利の血みどろの出会いから、早二週間が過ぎていた。
最初の一週間は入院に当てられたが、もう半分の一週間はなにくれと理由をつけては上条の元に押し掛けたり呼び出したりした。
もちろん『アイテム』としての仕事や集まりは当然ある。それでも時間があるのは学校に行っていないからなのだが――
上条「そう言えば麦野って、どこの学校なんだ?」
麦野「えっ?」
ラン[ピザ]ーゾーンにある一角のデッキチェアにて、上条と麦野は火照った身体を冷ますべく並んでジュースを飲んでいた。二人ともバスローブ姿である。
上条「いやさ、麦野って基本いつも違う服だけど私服だろ?常盤台みたいにずっと制服って訳じゃなさそうだけど、私服OKの学校も確かあったはずだったからさ」
麦野「ああそれで…○○女学院よ。あの学舎の園の中にある」
上条「うへぇ…麦野って本当のお嬢様だったんだな。確かあそこは私服OKだもんな」
麦野「そうよー。同じ服一度でも着ていったら“その服お気に入りなんですね、オホホ”なんて言われるのよ」
カラカラと笑って見せる麦野。もちろん言われた事はないし、そんな輩がいたらそれなりの報復の仕方があるのだ。男にはわからない女のやり方で。が
上条「そっか。なら残念だなあ。麦野の制服姿って、想像出来ないけどちょっと見てみたかったかもな」
麦野「えっ…」
上条当麻と麦野沈利の血みどろの出会いから、早二週間が過ぎていた。
最初の一週間は入院に当てられたが、もう半分の一週間はなにくれと理由をつけては上条の元に押し掛けたり呼び出したりした。
もちろん『アイテム』としての仕事や集まりは当然ある。それでも時間があるのは学校に行っていないからなのだが――
上条「そう言えば麦野って、どこの学校なんだ?」
麦野「えっ?」
ラン[ピザ]ーゾーンにある一角のデッキチェアにて、上条と麦野は火照った身体を冷ますべく並んでジュースを飲んでいた。二人ともバスローブ姿である。
上条「いやさ、麦野って基本いつも違う服だけど私服だろ?常盤台みたいにずっと制服って訳じゃなさそうだけど、私服OKの学校も確かあったはずだったからさ」
麦野「ああそれで…○○女学院よ。あの学舎の園の中にある」
上条「うへぇ…麦野って本当のお嬢様だったんだな。確かあそこは私服OKだもんな」
麦野「そうよー。同じ服一度でも着ていったら“その服お気に入りなんですね、オホホ”なんて言われるのよ」
カラカラと笑って見せる麦野。もちろん言われた事はないし、そんな輩がいたらそれなりの報復の仕方があるのだ。男にはわからない女のやり方で。が
上条「そっか。なら残念だなあ。麦野の制服姿って、想像出来ないけどちょっと見てみたかったかもな」
麦野「えっ…」
思わず、手にした『木莓と柘榴のディアブロソーダ』を落としそうになる。上条が?私の事を話すまで聞いてこない上条が?この…
呼び方を『当麻』に変えても、全然リアクションを返してこない原石級の鈍感男が?
麦野「…かーみじょう」
上条「ん?」
誰の側にいるより落ち着くのに、誰の言葉より容易く自分を揺さぶる。ズルい。
麦野「アンタって制服フェチだったのかなーん?そういえばアンタの部屋の…」
上条「んなー!?違うっ!違うって!あれは青髪のヤツが!」
麦野「ハイハイわかりましたわかりましたーそういう事にしといてあげるわ。寛大な心で」
上条「ご、誤解だあああぁぁぁー!!」
だからやり返してやるんだ。困った顔くらい私の好きにさせろ。そうだ。困れ!困れ!もっと困り顔を見せろ。少しでも私を楽しませろ!!
?「なっ、なにやってんのよアイツ…!」
?「あれ?あのお姉さんどこかで見たような…」
多くの人々が立ち寄る待合所でのドタバタ騒動。その中で一際強い輝きを宿す眼差しが向いているのを、上条当麻は気づかなかった。
呼び方を『当麻』に変えても、全然リアクションを返してこない原石級の鈍感男が?
麦野「…かーみじょう」
上条「ん?」
誰の側にいるより落ち着くのに、誰の言葉より容易く自分を揺さぶる。ズルい。
麦野「アンタって制服フェチだったのかなーん?そういえばアンタの部屋の…」
上条「んなー!?違うっ!違うって!あれは青髪のヤツが!」
麦野「ハイハイわかりましたわかりましたーそういう事にしといてあげるわ。寛大な心で」
上条「ご、誤解だあああぁぁぁー!!」
だからやり返してやるんだ。困った顔くらい私の好きにさせろ。そうだ。困れ!困れ!もっと困り顔を見せろ。少しでも私を楽しませろ!!
?「なっ、なにやってんのよアイツ…!」
?「あれ?あのお姉さんどこかで見たような…」
多くの人々が立ち寄る待合所でのドタバタ騒動。その中で一際強い輝きを宿す眼差しが向いているのを、上条当麻は気づかなかった。
~第六学区・「アルカディア」ショッピングモール~
ひとしきり休憩した後、二人は着替えると施設内のアウトレットモールを闊歩していた。夏がもう目の前だと言うのに新作のサングラスをまだチェックしていないから、という麦野たってのお願いからである。
麦野「あっはっはっは!アンタって全然サングラス似合わない~!背伸びした小チンピラみたぁ~い」
上条「ううっ…上条さんにはこう言うオシャレ向かんの事ですよ…それに誰かさんとキャラがかぶるしな」
麦野「まっ、そうね。私も今ムカつくグラサン野郎思い出しちゃったし」
二人してサングラスをかけ、ケラケラと笑う麦野。上条も慣れないファッションにやや戸惑っている。そんな上条に、麦野は
麦野「それに…」スッ
上条「!」
手を伸ばす。背を伸ばす。上条の顔からサングラスを外し、ニッコリ頬を緩める。
麦野「こっちの方が、アンタがよく見える」
上条「(か、顔が近い!サングラスかけてても可愛い!)」
が、角度によってはキスをしているようにも見えるほど急激に接近した二人の様子に物言いが入った。
?「なにやってんのよアンタはあああぁぁぁ!」
上条「ゲッ!ビリビリ中学生!?」
ひとしきり休憩した後、二人は着替えると施設内のアウトレットモールを闊歩していた。夏がもう目の前だと言うのに新作のサングラスをまだチェックしていないから、という麦野たってのお願いからである。
麦野「あっはっはっは!アンタって全然サングラス似合わない~!背伸びした小チンピラみたぁ~い」
上条「ううっ…上条さんにはこう言うオシャレ向かんの事ですよ…それに誰かさんとキャラがかぶるしな」
麦野「まっ、そうね。私も今ムカつくグラサン野郎思い出しちゃったし」
二人してサングラスをかけ、ケラケラと笑う麦野。上条も慣れないファッションにやや戸惑っている。そんな上条に、麦野は
麦野「それに…」スッ
上条「!」
手を伸ばす。背を伸ばす。上条の顔からサングラスを外し、ニッコリ頬を緩める。
麦野「こっちの方が、アンタがよく見える」
上条「(か、顔が近い!サングラスかけてても可愛い!)」
が、角度によってはキスをしているようにも見えるほど急激に接近した二人の様子に物言いが入った。
?「なにやってんのよアンタはあああぁぁぁ!」
上条「ゲッ!ビリビリ中学生!?」
御坂「誰がビリビリよ!私には御坂美琴って名前があんのよ!…って人前で何しようとしてんの離れなさいよゴラアアアァァァ!」
上条「うおおおぉぉぉ!?」
佐天「みみみ御坂さん!電気出てます!電気出てますって!」
常盤台中学のエースにして第三位『超電磁砲』御坂美琴である。そして傍らには佐天涙子の姿がある。
お馴染みのカルテットで新たにオープンされた『アルカディア』に来る予定が、初春と黒子はジャッジメントの仕事が急に入り、結局二人で来る事となったのだ。
そこで待ち合わせのために時間を潰している間に、美琴は見つけてしまったのだ。この二人を。
麦野「(コイツがあのレールガン?マジでガキなんじゃん。テレビや評判ってあてになんないわね)」
そんなやり取りを麦野沈利はサングラス越しに冷めた眼差しで見つめる。気にいらない。自分を無視して進むやり取りも、突っかかりながらも上条に向ける直向きな眼差しも。全てが――気にいらない。
麦野「…おい、クソガキ共?誰の前でケツ振って跳ねてんだあ…?アアッ!?」
佐天「…!」ゾッ
御坂「…あんたこそ誰よ?」
上条「おっ、おい止めろ二人とも!店の中で暴れんじゃないっての!」
佐天の背中に怖気が走る。サングラス越しにすら煮えたぎるような赫怒と底冷えするような狂気を宿した名も知らぬ女に。
だが御坂も一歩も譲らない。人喰いライオンの尾を踏んだにも関わらず。
麦野「関係ねえよ!!カァンケイねェェんだよォォォ!!有名人気取りかぁ?おえらいもんだなぁ第三位『超電磁砲』様ぁぁぁねえェェ!?」
上条「うおおおぉぉぉ!?」
佐天「みみみ御坂さん!電気出てます!電気出てますって!」
常盤台中学のエースにして第三位『超電磁砲』御坂美琴である。そして傍らには佐天涙子の姿がある。
お馴染みのカルテットで新たにオープンされた『アルカディア』に来る予定が、初春と黒子はジャッジメントの仕事が急に入り、結局二人で来る事となったのだ。
そこで待ち合わせのために時間を潰している間に、美琴は見つけてしまったのだ。この二人を。
麦野「(コイツがあのレールガン?マジでガキなんじゃん。テレビや評判ってあてになんないわね)」
そんなやり取りを麦野沈利はサングラス越しに冷めた眼差しで見つめる。気にいらない。自分を無視して進むやり取りも、突っかかりながらも上条に向ける直向きな眼差しも。全てが――気にいらない。
麦野「…おい、クソガキ共?誰の前でケツ振って跳ねてんだあ…?アアッ!?」
佐天「…!」ゾッ
御坂「…あんたこそ誰よ?」
上条「おっ、おい止めろ二人とも!店の中で暴れんじゃないっての!」
佐天の背中に怖気が走る。サングラス越しにすら煮えたぎるような赫怒と底冷えするような狂気を宿した名も知らぬ女に。
だが御坂も一歩も譲らない。人喰いライオンの尾を踏んだにも関わらず。
麦野「関係ねえよ!!カァンケイねェェんだよォォォ!!有名人気取りかぁ?おえらいもんだなぁ第三位『超電磁砲』様ぁぁぁねえェェ!?」
麦野の左手に光球が収束し始める。原子崩しは暴発寸前だ。タガが外れ一線を超えるまで秒読みすら必要ない。
第三位に対する敵愾心、上条と親しげに接し、自分とは異なり光だけを見つめる眼差しに加速度的に狂気が膨らんでいく。
麦野「キラキラお目めの夢見るお姫様気取りか売女ぁ!光に群がる虫みたいにブチュッて潰してバラ撒いてやるよぉ!!第三位の首と引き換えなら腕の一本安い買い物だよなアアアァァァ!!!」
暗部に属する者の闇。人を殺める事への忌避感と危機感の鈍麻が麦野を怪物に戻して行く。
上条当麻の傍らに寄り添う事を覚えてから、時に姉のように可愛がり、妹のように甘え、母のように世話を焼き、友人のように親しく、恋人のように距離を重ねる事に乖離していく『何か』
『敵』か『まだ敵ではない』人間しかいない暗部の麦野。『上』か『下』しかいないレベル5の麦野。『上条当麻』と『それ以外の人間』しか知らないただの麦野。強すぎる光と影の二面が麦野の怪物性を浮き彫りにする。
御坂「…佐天さん離れて!」
身構える御坂、後退る佐天、踏み出す麦野。そして――
上条「止めろ麦野!!!」
パキィィィン!
その麦野の左手を掴み、幻想殺しで打ち消す。御坂達を背中で守り、麦野をしっかり見据えて
麦野「…当麻アアアァァァ!!!」
上条「…!」グッ
何故庇う。何故私の前に立ちふさがる。何故…
パンッ
御坂・佐天・麦野「「「!?」」」
私に、手を上げるのだ
第三位に対する敵愾心、上条と親しげに接し、自分とは異なり光だけを見つめる眼差しに加速度的に狂気が膨らんでいく。
麦野「キラキラお目めの夢見るお姫様気取りか売女ぁ!光に群がる虫みたいにブチュッて潰してバラ撒いてやるよぉ!!第三位の首と引き換えなら腕の一本安い買い物だよなアアアァァァ!!!」
暗部に属する者の闇。人を殺める事への忌避感と危機感の鈍麻が麦野を怪物に戻して行く。
上条当麻の傍らに寄り添う事を覚えてから、時に姉のように可愛がり、妹のように甘え、母のように世話を焼き、友人のように親しく、恋人のように距離を重ねる事に乖離していく『何か』
『敵』か『まだ敵ではない』人間しかいない暗部の麦野。『上』か『下』しかいないレベル5の麦野。『上条当麻』と『それ以外の人間』しか知らないただの麦野。強すぎる光と影の二面が麦野の怪物性を浮き彫りにする。
御坂「…佐天さん離れて!」
身構える御坂、後退る佐天、踏み出す麦野。そして――
上条「止めろ麦野!!!」
パキィィィン!
その麦野の左手を掴み、幻想殺しで打ち消す。御坂達を背中で守り、麦野をしっかり見据えて
麦野「…当麻アアアァァァ!!!」
上条「…!」グッ
何故庇う。何故私の前に立ちふさがる。何故…
パンッ
御坂・佐天・麦野「「「!?」」」
私に、手を上げるのだ
とある星座の偽善使い(フォックスワード)の者です。本日の投下はここまでです。垣根帝督を話題にしてもらえて嬉しいです。第三部から梅雨~夏になる予定です。
明日も今日と同じ時間になります。それでは失礼いたします。
明日も今日と同じ時間になります。それでは失礼いたします。
>>お湯の温度でうっすらと浮かぶ白い疵痕は残ってしまった。麦野のせいでついた傷。なのに
>>麦野「(それが嬉しく思えるなんて、私はやっぱり歪んでるね)」
>>それがたまらなく、愛おしく麦野には思えた。
むぎのんがヤンデレ過ぎて宇宙がやばい。
>>麦野「(それが嬉しく思えるなんて、私はやっぱり歪んでるね)」
>>それがたまらなく、愛おしく麦野には思えた。
むぎのんがヤンデレ過ぎて宇宙がやばい。
>>876
それなんてタイトル?
それなんてタイトル?
~第六学区・『アルカディア』アウトレットモール~
サングラスが落ちる。店内から音が消える。麦野の視界がぼやける。
上条「…頭冷えたか?麦野」
あれほど荒れ狂っていた狂気が水をうったように引いて行く。代わりに頬が熱い。上条の平手打ちがではない。双眸から零れ落ちてくる熱い何かが
麦野「…どうして?」
上条「どうしたもこうしたもないだろ!!どうしちまったんだよお前!?どうして超えようとしたんだ!絶対に超えちゃいけない線を!お前は超えようとしたんだぞ!!麦野!!」
ビクッとうなだれた麦野の双肩が震える。今私は何をしようとした?上条の側では『ただの麦野沈利』でいると決めたハズなのに…
麦野「…五月蝿い…黙れよ…!」
無力感が一気に押し寄せてくる。なんてザマだ。目の前が暗くなってくる。こんなに耳鳴りがするのに、上条の声だけがやけに響く。
上条「…黙らねえよ」
麦野「…五月蝿い…!」
上条「黙らねえって言ってんだろっ!!」
麦野「黙れって言ってんだろォォッ!!」
佐天「…!」ビクッ
後に引けない。でも前に進んで上条の顔も見れない。頭の悪い女のようにヒステリックな金切り声しか出て来ない。御坂の陰に隠れた黒髪の少女が怯えている。きっと今、自分は見るに耐えない顔をしている。
サングラスが落ちる。店内から音が消える。麦野の視界がぼやける。
上条「…頭冷えたか?麦野」
あれほど荒れ狂っていた狂気が水をうったように引いて行く。代わりに頬が熱い。上条の平手打ちがではない。双眸から零れ落ちてくる熱い何かが
麦野「…どうして?」
上条「どうしたもこうしたもないだろ!!どうしちまったんだよお前!?どうして超えようとしたんだ!絶対に超えちゃいけない線を!お前は超えようとしたんだぞ!!麦野!!」
ビクッとうなだれた麦野の双肩が震える。今私は何をしようとした?上条の側では『ただの麦野沈利』でいると決めたハズなのに…
麦野「…五月蝿い…黙れよ…!」
無力感が一気に押し寄せてくる。なんてザマだ。目の前が暗くなってくる。こんなに耳鳴りがするのに、上条の声だけがやけに響く。
上条「…黙らねえよ」
麦野「…五月蝿い…!」
上条「黙らねえって言ってんだろっ!!」
麦野「黙れって言ってんだろォォッ!!」
佐天「…!」ビクッ
後に引けない。でも前に進んで上条の顔も見れない。頭の悪い女のようにヒステリックな金切り声しか出て来ない。御坂の陰に隠れた黒髪の少女が怯えている。きっと今、自分は見るに耐えない顔をしている。
麦野「私の手は壊す事しか知らねえんだよ!知ってんだろ!オマエと!出会った時だって!出会った後だって!私は…私は!!」
上条「…ならなんでお前は今泣いてんだ!!」
止めてよ。誰か止めてよ。止まらない私をもう一度引き戻してよ。さもなきゃ
麦野「…オマエに私の何がわかるってんだよオオオォォォッッ!!!」
御坂「(この光…まさか…この女!?)」
照準を合わせる。第三位、黒髪、そして――上条当麻に。
壊れろ。全部ブッ壊れちまえ。何もかもなくしてやる。何もかもくれてやる。
内なる獣が叫ぶ。後戻りなど無くしてしまえと―――
上条「麦野が作ってくれたメシの味を――オレは知ってるぞ」
これ以上しゃべるな。これ以上しゃべらせるな。聞きたくない。聞きたくない…!
上条「病院で淹れてた紅茶、全然名前知らないヤツだったけど、すげえあったかかった。吹寄が持って来たリンゴだって、あんな器用に剥いてたじゃねえか」
止めろ、やめろ、やめろ、やめろやめろやめろやめろやめろ…ヤメロ!
上条「オレが死にかけてた時…ずっと手ぇ握ってくれてたじゃねえかよ…!さっきの風呂の時だって握り返してくれただろうがっ!!あんな小さい手で!細い指で!オレを掴もうとしただろうが!!」
演算・失敗・再演算・失敗・再々演算・失敗
上条「いいぜ…オマエが、自分の手は壊す事しか知らないってなら、自分の手から何も生み出せないって思い込んでんなら…!!」
原子が…崩壊する―――!!!
麦野「来るなあああぁぁぁアアアァァァー!!!」
上条「まずは―――その幻想をぶち壊す!!!」
眩い光が溢れだす。指向性を持たぬ光の奔流。狂乱状態の麦野自身まで焼き尽くす白い闇が店内に迸り―――
パキィィィン…!
上条当麻が、その全てを粉砕した。
上条「…ならなんでお前は今泣いてんだ!!」
止めてよ。誰か止めてよ。止まらない私をもう一度引き戻してよ。さもなきゃ
麦野「…オマエに私の何がわかるってんだよオオオォォォッッ!!!」
御坂「(この光…まさか…この女!?)」
照準を合わせる。第三位、黒髪、そして――上条当麻に。
壊れろ。全部ブッ壊れちまえ。何もかもなくしてやる。何もかもくれてやる。
内なる獣が叫ぶ。後戻りなど無くしてしまえと―――
上条「麦野が作ってくれたメシの味を――オレは知ってるぞ」
これ以上しゃべるな。これ以上しゃべらせるな。聞きたくない。聞きたくない…!
上条「病院で淹れてた紅茶、全然名前知らないヤツだったけど、すげえあったかかった。吹寄が持って来たリンゴだって、あんな器用に剥いてたじゃねえか」
止めろ、やめろ、やめろ、やめろやめろやめろやめろやめろ…ヤメロ!
上条「オレが死にかけてた時…ずっと手ぇ握ってくれてたじゃねえかよ…!さっきの風呂の時だって握り返してくれただろうがっ!!あんな小さい手で!細い指で!オレを掴もうとしただろうが!!」
演算・失敗・再演算・失敗・再々演算・失敗
上条「いいぜ…オマエが、自分の手は壊す事しか知らないってなら、自分の手から何も生み出せないって思い込んでんなら…!!」
原子が…崩壊する―――!!!
麦野「来るなあああぁぁぁアアアァァァー!!!」
上条「まずは―――その幻想をぶち壊す!!!」
眩い光が溢れだす。指向性を持たぬ光の奔流。狂乱状態の麦野自身まで焼き尽くす白い闇が店内に迸り―――
パキィィィン…!
上条当麻が、その全てを粉砕した。
~第六学区・『アルカディア』医務室~
佐天「ごめんなさい!ごめんなさい!私達が話し掛けたりしたから…!」
上条「いいって。えーっと…佐天さんだっけ?悪いのはオレ達だから…な?」
御坂「うっ…わ、アタシも悪かったわよ!佐天さんもほんとごめん!怖い思いさせちゃってごめんなさい!」
…アウトレットモールでの一件は幸い店にも損害を与える事もなく、一人の怪我人も出なかったため『能力の暴走』という形で御坂美琴がこの場にいない白井黒子を電話で必死に説得し、なんとか事なきを得られた。
だがその過程で上条当麻は御坂から聞かされた。麦野沈利…レベル5の第四位に間違いないと。
佐天「確かに怖かったです…けど」
佐天は医務室のベッドを見やる。憑き物が落ちたように安らかで静謐な麦野の寝顔を。御坂が言うには極度の錯乱状態でのムチャクチャな演算を行い能力を行使し、それを幻想殺しに打ち消されて糸が切れ気絶したのだと。だが佐天は
佐天「なんだか…いっぱいいっぱいに見えました。この人。抱えこんじゃったものが溢れちゃったみたいに」
だが、御坂は
佐天「ごめんなさい!ごめんなさい!私達が話し掛けたりしたから…!」
上条「いいって。えーっと…佐天さんだっけ?悪いのはオレ達だから…な?」
御坂「うっ…わ、アタシも悪かったわよ!佐天さんもほんとごめん!怖い思いさせちゃってごめんなさい!」
…アウトレットモールでの一件は幸い店にも損害を与える事もなく、一人の怪我人も出なかったため『能力の暴走』という形で御坂美琴がこの場にいない白井黒子を電話で必死に説得し、なんとか事なきを得られた。
だがその過程で上条当麻は御坂から聞かされた。麦野沈利…レベル5の第四位に間違いないと。
佐天「確かに怖かったです…けど」
佐天は医務室のベッドを見やる。憑き物が落ちたように安らかで静謐な麦野の寝顔を。御坂が言うには極度の錯乱状態でのムチャクチャな演算を行い能力を行使し、それを幻想殺しに打ち消されて糸が切れ気絶したのだと。だが佐天は
佐天「なんだか…いっぱいいっぱいに見えました。この人。抱えこんじゃったものが溢れちゃったみたいに」
だが、御坂は
御坂「…同じ、レベル5だから」
やや苦しそうに言う。レベル5にしか見えない世界は、そのままレベル5の抱えた闇そのもの。高みを舞う脚のもげた猛禽類。止まり木を持てない…傷だらけの翼。
上条「…関係ねえ。麦野は、麦野さ…」
レベル5の四位。だがそれは上条にとってただの記号だ。
上条にとっては麦野沈利は…泣き叫びながら必死に手を伸ばす、一人の迷い子にしか見えなかった。
佐天「…どうしたら、こんなにボロボロになるまで傷つくんだろう…」
無能力者の佐天にはレベル5の重圧や孤独は想像の埒外だ。
しかし、一人の人間としてこの疲れきった寝顔を浮かべる少女を見ると…垣間見たその抱えた闇の深さ、暗さに身震いした。
きっと自分なら心が壊れてしまう、そう思った。
~第六学区・『アルカディア』駐車場~
絹旗「…超迷惑ですよ」
上条「…悪い」
絹旗「…超迷惑ですよ、あなたの存在は」
上条当麻はアルカディアの駐車場にいた。御坂と佐天を先に帰し、麦野の携帯電話にあった絹旗の番号にかけたのだ。
未だ眠りから覚めない麦野の自宅を知らない上条は、どう言う繋がりかはわからないが絹旗に託す以外の方法が思い浮かばなかった。
絹旗はすぐさま強面の運転手と共に『アルカディア』へ乗り付けてきた。麦野を迎えるために。
絹旗「最初から私は超不安だったんです。上条が轢かれた時、麦野の取り乱しようを見てからずっと」
やや苦しそうに言う。レベル5にしか見えない世界は、そのままレベル5の抱えた闇そのもの。高みを舞う脚のもげた猛禽類。止まり木を持てない…傷だらけの翼。
上条「…関係ねえ。麦野は、麦野さ…」
レベル5の四位。だがそれは上条にとってただの記号だ。
上条にとっては麦野沈利は…泣き叫びながら必死に手を伸ばす、一人の迷い子にしか見えなかった。
佐天「…どうしたら、こんなにボロボロになるまで傷つくんだろう…」
無能力者の佐天にはレベル5の重圧や孤独は想像の埒外だ。
しかし、一人の人間としてこの疲れきった寝顔を浮かべる少女を見ると…垣間見たその抱えた闇の深さ、暗さに身震いした。
きっと自分なら心が壊れてしまう、そう思った。
~第六学区・『アルカディア』駐車場~
絹旗「…超迷惑ですよ」
上条「…悪い」
絹旗「…超迷惑ですよ、あなたの存在は」
上条当麻はアルカディアの駐車場にいた。御坂と佐天を先に帰し、麦野の携帯電話にあった絹旗の番号にかけたのだ。
未だ眠りから覚めない麦野の自宅を知らない上条は、どう言う繋がりかはわからないが絹旗に託す以外の方法が思い浮かばなかった。
絹旗はすぐさま強面の運転手と共に『アルカディア』へ乗り付けてきた。麦野を迎えるために。
絹旗「最初から私は超不安だったんです。上条が轢かれた時、麦野の取り乱しようを見てからずっと」
上条「………………」
絹旗「あなたは麦野にとって超危険な人間なんですよ!!あなたといると麦野はどんどん壊れていく!!麦野はあんなに弱い女じゃない!あなたが麦野をねじ曲げたんですよ!!」
見た目からは想像もつかない膂力で上条の胸倉を掴む絹旗。如何なる能力なのかは上条は知らない。だが一つ確かなのは――絹旗の怒りが頂点に達していると言う事。
絹旗「何考えてんだか知りませんが半端な偽善や色恋沙汰で引っ掻き回されたら超迷惑なんですよ!死ぬんですよ!?あなたの一言(ワード)一つで、麦野も、私も、フレンダも滝壺さんも!みんな!!」
上条にはわからない世界。麦野が属している世界。ついさっきまで麦野がレベル5だと事を知り、今ですら麦野の家も知らない上条では手の届かない世界。
弱くなる事、即ち死に繋がる麦野の世界。
絹旗「…もう、いいです。とっととどこへなりと超消えちゃって下さい。これっきりにして下さい。私があなたを潰さずにいるのはー…あなたが、あなたが麦野の…!」
もう絹旗は言葉が続けられなかった。もう上条には言葉が発せられなかった。絹旗の目に大粒の涙が溜まっていたから。
上条「…麦野を、頼んだ…」
力無く絞り出した上条の声音は、果たして届いたのかどうかわからない。
雨が降ってきたからだ
絹旗「あなたは麦野にとって超危険な人間なんですよ!!あなたといると麦野はどんどん壊れていく!!麦野はあんなに弱い女じゃない!あなたが麦野をねじ曲げたんですよ!!」
見た目からは想像もつかない膂力で上条の胸倉を掴む絹旗。如何なる能力なのかは上条は知らない。だが一つ確かなのは――絹旗の怒りが頂点に達していると言う事。
絹旗「何考えてんだか知りませんが半端な偽善や色恋沙汰で引っ掻き回されたら超迷惑なんですよ!死ぬんですよ!?あなたの一言(ワード)一つで、麦野も、私も、フレンダも滝壺さんも!みんな!!」
上条にはわからない世界。麦野が属している世界。ついさっきまで麦野がレベル5だと事を知り、今ですら麦野の家も知らない上条では手の届かない世界。
弱くなる事、即ち死に繋がる麦野の世界。
絹旗「…もう、いいです。とっととどこへなりと超消えちゃって下さい。これっきりにして下さい。私があなたを潰さずにいるのはー…あなたが、あなたが麦野の…!」
もう絹旗は言葉が続けられなかった。もう上条には言葉が発せられなかった。絹旗の目に大粒の涙が溜まっていたから。
上条「…麦野を、頼んだ…」
力無く絞り出した上条の声音は、果たして届いたのかどうかわからない。
雨が降ってきたからだ
~第三学区・繁華街~
上条「………………」
上条当麻は夜の街をさ迷っていた。予報の事などとうに頭から消え去っていたからだ。どことはなしに向かう足取りのままに、皆が傘を差して行き交う中、ただ雨に打たれて濡れる上条はやや目立っていた。
これが恋愛小説ならば、アウトレットモールでの御坂美琴との遭遇など、ヒロインの焼き餅が見せ場となり、それで終わるはずだった。
だが、そうはならなかった。いつ音を立てて崩れるかわからない幻想に麦野はしがみつきすぎ、上条はそれに無自覚だった。悪者すらいない、一人の一人の人間で出来ている世界の中で、今上条当麻は独りだった。
上条「…麦野…」
降り注ぐ雨の中、上条当麻は路地裏に腰を下ろした。助けるといったのに、救うといったのに…麦野の幻想(くらやみ)を打ち砕けなかった。
とんだ偽善者だと…うなだれた。
?「ああ?でっけえゴミだなあ…おーい寝てんのか?コンクリのベッドがそんな寝心地がいいとは思えねーが?」
その時
上条「…オマエ…」
?「なんだなんだぁ?誰が書いた安っぽい筋書きだよこりゃ?普通女だろ。こういう時はよ」
降って湧いた声音。同じく傘を持たずにいるのにまるで濡れた様子のない瀟洒なスーツ姿
?「あー…女切らしてっからって男に走る趣味はないぜ?そんくらいの常識はある」
肩口までかかるブラウンの髪、チャラチャラと鳴るガボールのチェーン。自信と皮肉と懐の広さ、深さを感じさせる佇まい。その男の名は――
垣根「湿気たツラしてやがんなぁ?女にでも逃げられたか?」
――学園都市二位にして暗部組織『スクール』のリーダー…垣根帝督である
上条「………………」
上条当麻は夜の街をさ迷っていた。予報の事などとうに頭から消え去っていたからだ。どことはなしに向かう足取りのままに、皆が傘を差して行き交う中、ただ雨に打たれて濡れる上条はやや目立っていた。
これが恋愛小説ならば、アウトレットモールでの御坂美琴との遭遇など、ヒロインの焼き餅が見せ場となり、それで終わるはずだった。
だが、そうはならなかった。いつ音を立てて崩れるかわからない幻想に麦野はしがみつきすぎ、上条はそれに無自覚だった。悪者すらいない、一人の一人の人間で出来ている世界の中で、今上条当麻は独りだった。
上条「…麦野…」
降り注ぐ雨の中、上条当麻は路地裏に腰を下ろした。助けるといったのに、救うといったのに…麦野の幻想(くらやみ)を打ち砕けなかった。
とんだ偽善者だと…うなだれた。
?「ああ?でっけえゴミだなあ…おーい寝てんのか?コンクリのベッドがそんな寝心地がいいとは思えねーが?」
その時
上条「…オマエ…」
?「なんだなんだぁ?誰が書いた安っぽい筋書きだよこりゃ?普通女だろ。こういう時はよ」
降って湧いた声音。同じく傘を持たずにいるのにまるで濡れた様子のない瀟洒なスーツ姿
?「あー…女切らしてっからって男に走る趣味はないぜ?そんくらいの常識はある」
肩口までかかるブラウンの髪、チャラチャラと鳴るガボールのチェーン。自信と皮肉と懐の広さ、深さを感じさせる佇まい。その男の名は――
垣根「湿気たツラしてやがんなぁ?女にでも逃げられたか?」
――学園都市二位にして暗部組織『スクール』のリーダー…垣根帝督である
とある星座の偽善使い(フォックスワード)の者です。本日の投下は以上です。
申し訳ありません。通し番号3―13の最初は3―12の誤りです。内容は順番通りですがすいません。
簡単にですが今後の予定です。
・とある垣根の無手勝流(ウルトラマイペース)
・catch me if you can(星空の下で捕まえて)
と
・むぎのとたきつぼ
・高速道路で正面衝突
・paradise lost
です。では失礼いたします。
申し訳ありません。通し番号3―13の最初は3―12の誤りです。内容は順番通りですがすいません。
簡単にですが今後の予定です。
・とある垣根の無手勝流(ウルトラマイペース)
・catch me if you can(星空の下で捕まえて)
と
・むぎのとたきつぼ
・高速道路で正面衝突
・paradise lost
です。では失礼いたします。
ミサカ嫌われすぎワロタwwこのミサカはそんなにウザくないだろおちけつ
病んで壊れるむぎのんかわいいよむぎのん。
病んで壊れるむぎのんかわいいよむぎのん。
とある星座の偽善使い(フォックスワード)の者です。休みなのでこの時間ですが投下させていただきます。
~第三学区・ホテル「カエサル」~
垣根「ひっでえ雨だ。これだから梅雨ってのはムカつくぜ。髪は決まらねえし服は濡れるし足場は最悪だ。何より気分が滅入る」
コーヒーを啜りながら窓を打つ雨に一瞥を送り、垣根帝督はソファーに腰掛けた。
ここは第三学区の中にあっても飛び抜けて格調高いと言われるVIP御用達のホテルで、彼が逗留するスイートルームは一泊200万を下らない。
だが、時として伊達と酔狂が過ぎる彼にとってさえ、今夜の『拾い物』は珍奇であった。それは…
垣根「なんだありゃ?雨浴か?毛沢東じゃあるまいし、なんだってあんな所に捨てられた子犬よろしくたそがれてやがったんだ?」
上条「それは…」
上条当麻である。路地裏で座り込んでいた所を、ホテルの食事に飽きて街に降りて来た垣根帝督が戯れに連れ帰ったのだ。
セブンスミストで軽い世間話したというだけで互いに名乗る事もなかったと言うのにだ。
上条「…悪い。上手く言えないんだ」
垣根「そりゃそうか。ふられた直後ってのはだいたいそういうもんだ」
上条「ふられた…か。ははは、違うけど似たようなもんですよ」
垣根「ま、飲めよ。こちとら人との会話に餓えてんだ。付き合え」
そう言いながらタオルが頭を拭いた上条にコーヒーを渡した。
暗部に身を置く垣根にとっては、何気ない世間話ですら相手を選ぶ。
少なくとも同じ世界の人間と会話を楽しむ気にはなれない。
だが誰でも良いという訳でもない。気分的には心理定規の取っている客のような気分だ。そう、単に『気分』なのである。
垣根「ひっでえ雨だ。これだから梅雨ってのはムカつくぜ。髪は決まらねえし服は濡れるし足場は最悪だ。何より気分が滅入る」
コーヒーを啜りながら窓を打つ雨に一瞥を送り、垣根帝督はソファーに腰掛けた。
ここは第三学区の中にあっても飛び抜けて格調高いと言われるVIP御用達のホテルで、彼が逗留するスイートルームは一泊200万を下らない。
だが、時として伊達と酔狂が過ぎる彼にとってさえ、今夜の『拾い物』は珍奇であった。それは…
垣根「なんだありゃ?雨浴か?毛沢東じゃあるまいし、なんだってあんな所に捨てられた子犬よろしくたそがれてやがったんだ?」
上条「それは…」
上条当麻である。路地裏で座り込んでいた所を、ホテルの食事に飽きて街に降りて来た垣根帝督が戯れに連れ帰ったのだ。
セブンスミストで軽い世間話したというだけで互いに名乗る事もなかったと言うのにだ。
上条「…悪い。上手く言えないんだ」
垣根「そりゃそうか。ふられた直後ってのはだいたいそういうもんだ」
上条「ふられた…か。ははは、違うけど似たようなもんですよ」
垣根「ま、飲めよ。こちとら人との会話に餓えてんだ。付き合え」
そう言いながらタオルが頭を拭いた上条にコーヒーを渡した。
暗部に身を置く垣根にとっては、何気ない世間話ですら相手を選ぶ。
少なくとも同じ世界の人間と会話を楽しむ気にはなれない。
だが誰でも良いという訳でもない。気分的には心理定規の取っている客のような気分だ。そう、単に『気分』なのである。
上条「いただきます…えーっと…艦長さんでせうか?」
垣根「帝督だ帝督。垣根帝督。おいおい自信無くすぜ…これでもちっとは名も売れてると思ったんだがな」
上条「?芸能人とか?」
垣根「嬉しいが違え。レベル5の二位だ。あの若白髪の下ってのはムカつくがな」
上条「レベル5!?」
垣根「捻りのねえリアクションだ。生で拝むのは初めてか?」
上条「いや…見た目が見た目なんで上条さんはてっきり夜のお仕事の人かと」
垣根「心配するな。自覚はある」
ようやく気分が持ち直してきたのか、上条は訥々と語り始めた。そして垣根は知る。上条がレベル5の女の子と一悶着あった事を。
垣根「(どいつだ?第三位の超電磁砲か?顔は知らねえが第五位の心理掌握か?それとも行方知れずの第六位か?)」
『コイツだけはありえない』と垣根の実体験から候補より外した第四位の麦野沈利がまさか本命とは垣根は露とも知らず、やや考え込んでしまう。
そんな垣根の様子に、思わず上条は問い質してみたくなった。
上条「あのー…垣根さん?」
垣根「あん?」
上条「今更なんですが…なんで上条さんの話を聞いてくれるんでせうか?」
垣根「…あー…」
そこで垣根は天井のシャンデリアを仰ぎ見た。まるでそこにある記憶の宮殿を覗き込むように、舞台俳優のように朗々たる口調で。
垣根「“一度出会えば偶然、二度逢えば必然だ”」
上条「!?」
今度はその言葉に上条が目を見開いた。その言葉はかつて、自分を通学路で待ち伏せていた時の麦野と同じセリフ。
垣根「昔一回口説いた事のある女の受け売りだがな。何でも星座占いの言葉らしいぜ?それが妙に頭に残っててよ。オマエに会ったのも一つの縁じゃねえか?」
垣根「帝督だ帝督。垣根帝督。おいおい自信無くすぜ…これでもちっとは名も売れてると思ったんだがな」
上条「?芸能人とか?」
垣根「嬉しいが違え。レベル5の二位だ。あの若白髪の下ってのはムカつくがな」
上条「レベル5!?」
垣根「捻りのねえリアクションだ。生で拝むのは初めてか?」
上条「いや…見た目が見た目なんで上条さんはてっきり夜のお仕事の人かと」
垣根「心配するな。自覚はある」
ようやく気分が持ち直してきたのか、上条は訥々と語り始めた。そして垣根は知る。上条がレベル5の女の子と一悶着あった事を。
垣根「(どいつだ?第三位の超電磁砲か?顔は知らねえが第五位の心理掌握か?それとも行方知れずの第六位か?)」
『コイツだけはありえない』と垣根の実体験から候補より外した第四位の麦野沈利がまさか本命とは垣根は露とも知らず、やや考え込んでしまう。
そんな垣根の様子に、思わず上条は問い質してみたくなった。
上条「あのー…垣根さん?」
垣根「あん?」
上条「今更なんですが…なんで上条さんの話を聞いてくれるんでせうか?」
垣根「…あー…」
そこで垣根は天井のシャンデリアを仰ぎ見た。まるでそこにある記憶の宮殿を覗き込むように、舞台俳優のように朗々たる口調で。
垣根「“一度出会えば偶然、二度逢えば必然だ”」
上条「!?」
今度はその言葉に上条が目を見開いた。その言葉はかつて、自分を通学路で待ち伏せていた時の麦野と同じセリフ。
垣根「昔一回口説いた事のある女の受け売りだがな。何でも星座占いの言葉らしいぜ?それが妙に頭に残っててよ。オマエに会ったのも一つの縁じゃねえか?」
まあ、結局その女にはその場でふられてそれっきりだったんだがな。と垣根は付け加えた。
垣根「それ以来会ってねえ。とどのつまりはそういう縁がなかったってこった。けどよ――オマエはどうなんだ?」
上条「オレは…?」
カチャッとソーサーにカップを戻し、手指を組ませながら垣根はニッと笑った。不貞不貞しいまでの不敵な表情で。
垣根「確かに女は星の数ほどいる。けどな、手を伸ばさなきゃ星は掴めねえんだよ。それを一度や二度のヘマで諦められんのか?」
上条「…オレの腕はそんなに長くなんかないっすよ」
垣根「バーカ」
気障ったらしい所作が嫌みなほど様になっている。野心と自信に満ち溢れた表情。世を統べ天界を意味する『帝』の字に恥じない傲慢さで
垣根「欲しいもんがあるなら力づくで奪え。守りてえもんがあるなら腕づくで浚え。オマエの言うレベル5の女が誰かは知らねえが、女は女だ。女は言葉じゃ納得しねえ。男だってそうだろ?お前だってそんな小利口な生き物に出来てねえハズだぜ?」
上条「…垣根…」
垣根「掴めよ。お前だけの星を。さもないとその星は――」
そこで言葉を切った垣根の目の色が妖しい輝きを帯びる。黒水晶のような艶消しの光で
垣根「――あっという間にこの街の闇に呑み込まれるぜ?」
上条「………………」
思わず、押し黙る。時折麦野が見せる闇と似た色をした男の歩んで来た、血の斑道とも言うべき過去の片鱗が伺えたからだ。
同時に、麦野の抱えた闇を上条は幻視する。深く抉れたクレバス、噴き出すマグマのような激情…自分という存在が、麦野の闇を否応無しに引き出す。それが麦野を傷つける…そう絹旗に断罪されたのはついさっきだったハズなのに
ハズなのに
『サケベー!イマユクコノミチシカナイトー!タヨリナイムネソノココロヲー…』
もう、こんなにも諦められない。
垣根「それ以来会ってねえ。とどのつまりはそういう縁がなかったってこった。けどよ――オマエはどうなんだ?」
上条「オレは…?」
カチャッとソーサーにカップを戻し、手指を組ませながら垣根はニッと笑った。不貞不貞しいまでの不敵な表情で。
垣根「確かに女は星の数ほどいる。けどな、手を伸ばさなきゃ星は掴めねえんだよ。それを一度や二度のヘマで諦められんのか?」
上条「…オレの腕はそんなに長くなんかないっすよ」
垣根「バーカ」
気障ったらしい所作が嫌みなほど様になっている。野心と自信に満ち溢れた表情。世を統べ天界を意味する『帝』の字に恥じない傲慢さで
垣根「欲しいもんがあるなら力づくで奪え。守りてえもんがあるなら腕づくで浚え。オマエの言うレベル5の女が誰かは知らねえが、女は女だ。女は言葉じゃ納得しねえ。男だってそうだろ?お前だってそんな小利口な生き物に出来てねえハズだぜ?」
上条「…垣根…」
垣根「掴めよ。お前だけの星を。さもないとその星は――」
そこで言葉を切った垣根の目の色が妖しい輝きを帯びる。黒水晶のような艶消しの光で
垣根「――あっという間にこの街の闇に呑み込まれるぜ?」
上条「………………」
思わず、押し黙る。時折麦野が見せる闇と似た色をした男の歩んで来た、血の斑道とも言うべき過去の片鱗が伺えたからだ。
同時に、麦野の抱えた闇を上条は幻視する。深く抉れたクレバス、噴き出すマグマのような激情…自分という存在が、麦野の闇を否応無しに引き出す。それが麦野を傷つける…そう絹旗に断罪されたのはついさっきだったハズなのに
ハズなのに
『サケベー!イマユクコノミチシカナイトー!タヨリナイムネソノココロヲー…』
もう、こんなにも諦められない。
上条「…電話、いいか?」
垣根「ああ」
鳴り響く着信音、ディスプレイに表示された名前、通話ボタンを押す、彼女とは違う声音、切迫した内容、体の芯から縮まるような衝撃、思わず垣根に視線を送る上条、鷹揚に頷く垣根
垣根「…行けよ。星が沈む前に。見な」
そして垣根が腰掛けたソファーから顎をしゃくって見せた。雨が…いつの間にか止んで星空が淡く輝いて見えた。
上条「…行ってくる!コーヒーごちそうさん!」
垣根「ああ、行け行け。毎日違う女引っ張り込んでてただでさえホテル側に目つけられてんだ。男まで泊めたと思われたら体裁悪いからな。あばよ」
そうして上条は垣根の部屋を後に駆け出していった。そして残された垣根はと言うと…あまりの自分のらしくなさに苦笑していた。なんだこの役回りはと。まるでメルヘンなアドバイスを贈る恋のキューピットだ。
垣根「…安心しろ。自覚はしてる」
垣根「ああ」
鳴り響く着信音、ディスプレイに表示された名前、通話ボタンを押す、彼女とは違う声音、切迫した内容、体の芯から縮まるような衝撃、思わず垣根に視線を送る上条、鷹揚に頷く垣根
垣根「…行けよ。星が沈む前に。見な」
そして垣根が腰掛けたソファーから顎をしゃくって見せた。雨が…いつの間にか止んで星空が淡く輝いて見えた。
上条「…行ってくる!コーヒーごちそうさん!」
垣根「ああ、行け行け。毎日違う女引っ張り込んでてただでさえホテル側に目つけられてんだ。男まで泊めたと思われたら体裁悪いからな。あばよ」
そうして上条は垣根の部屋を後に駆け出していった。そして残された垣根はと言うと…あまりの自分のらしくなさに苦笑していた。なんだこの役回りはと。まるでメルヘンなアドバイスを贈る恋のキューピットだ。
垣根「…安心しろ。自覚はしてる」
~第三学区・遊歩道~
上条「本当なんだな絹旗!?麦野達がいなくなったって!!」
絹旗「こんな時に嘘吐く馬鹿がどこにいるんですか!超真面目にやって下さい!」
フレンダ「結局こうなるって訳よ!滝壺までついてっちゃうし、もう~!」
上条当麻は携帯電話を片手に第三学区の遊歩道を駆け抜ける。麦野の携帯から上条の番号にかけている絹旗の声は切迫しており、フレンダもカッカしている。
『アイテム』の隠れ家から麦野がいなくなったのだ。ついさっきまで倒れていたにも関わらず。
滝壺が麦野の看病についたきり部屋から出て来ないのに気づいた絹旗が、様子を見に行くと一通の書き置きと共に二人の姿は消えていたのだ。
『ほしのみえるばしょで』
というメッセージを残して。
絹旗「最初は超さらわれたかと思ったんですよ?麦野はあんなんだし滝壺さんには戦う力がほとんどないし…!あなたに聞くなんて超癪ですよ!」
フレンダ「それで上条の所に行ってないか聞いたって訳よ!滝壺がいないから麦野の場所もわからないの!結局、星の見える場所ってなんな訳よ?!」
上条「だー!二人いっぺんにしゃべるなっての!!今考えてるから!」
代わる代わる通話口に出る少女二人に走りながら返す上条は必死に考える。
星の見える場所?この光源の絶えない学園都市で、星が見える場所?
上条「…また後で連絡する!絶対見つけて連れ戻す!」
絹旗「ちょ、上じょ…」ブツッ
思考を纏めるために通話を一度切る。上条は走る。考えてながら走る。
上条は学校では赤点の常習者だが、決して頭の血の巡りが悪い方ではない。
考えろ。手掛かりを纏めろ。砂粒のように小さな可能性に懸けろ
上条「どこだ…どこの学区だ!?」
上条「本当なんだな絹旗!?麦野達がいなくなったって!!」
絹旗「こんな時に嘘吐く馬鹿がどこにいるんですか!超真面目にやって下さい!」
フレンダ「結局こうなるって訳よ!滝壺までついてっちゃうし、もう~!」
上条当麻は携帯電話を片手に第三学区の遊歩道を駆け抜ける。麦野の携帯から上条の番号にかけている絹旗の声は切迫しており、フレンダもカッカしている。
『アイテム』の隠れ家から麦野がいなくなったのだ。ついさっきまで倒れていたにも関わらず。
滝壺が麦野の看病についたきり部屋から出て来ないのに気づいた絹旗が、様子を見に行くと一通の書き置きと共に二人の姿は消えていたのだ。
『ほしのみえるばしょで』
というメッセージを残して。
絹旗「最初は超さらわれたかと思ったんですよ?麦野はあんなんだし滝壺さんには戦う力がほとんどないし…!あなたに聞くなんて超癪ですよ!」
フレンダ「それで上条の所に行ってないか聞いたって訳よ!滝壺がいないから麦野の場所もわからないの!結局、星の見える場所ってなんな訳よ?!」
上条「だー!二人いっぺんにしゃべるなっての!!今考えてるから!」
代わる代わる通話口に出る少女二人に走りながら返す上条は必死に考える。
星の見える場所?この光源の絶えない学園都市で、星が見える場所?
上条「…また後で連絡する!絶対見つけて連れ戻す!」
絹旗「ちょ、上じょ…」ブツッ
思考を纏めるために通話を一度切る。上条は走る。考えてながら走る。
上条は学校では赤点の常習者だが、決して頭の血の巡りが悪い方ではない。
考えろ。手掛かりを纏めろ。砂粒のように小さな可能性に懸けろ
上条「どこだ…どこの学区だ!?」
携帯電話を置いて消えた麦野。上条に詳しい事はわからないが能力者の居場所がわかる滝壺を連れての雲隠れ。そして謎めいた書き置き。
本当に消えるなら書き置きなど残さない。絹旗とフレンダの追跡を封じるために滝壺を伴ったりしない。そう、これはなんて事のない――隠れ鬼だ。
上条「この歳になって鬼ごっこするなんて思ってなかったぜ!」
そして上条は再び夜の街を疾走する。完全下校時刻はとうに過ぎている。家に帰る時間だ。だが上条は帰らない。行かなくてはならない。
この暗闇の中、膝を抱えて泣いているだろう迷子…麦野沈利の元へと。傷つけるだけかも知れない。拒絶されるかも知れない。『偽善』を通り越して『独善』だとも理解している
――それでも――上条は――麦野を――
「「カミやん!!!」」
上条「!?」
そこへ…遊歩道のガードレールを飛び越え滑り込むようにしてやって来た…一台のバイクと、二人の少年達。
土御門「盗んだバイクで走り出すには最高の夜だぜい!カミやんもどうかにゃー?」
闇夜にも関わらずサングラスという奇妙さに、闇夜の中でも輝いて見える金髪の少年…土御門元春がハンドルを握り
青髪「初乗り百万円やけどデルタフォース(三馬鹿)割引で勘弁したるわ!早よ乗りぃ!」
人混みの中でさえ浮いて見える珍妙な青い髪のエセ関西弁を操るピアスの少年…青髪ピアスが二人乗りで手招きしていた。
上条「お前ら…!」
何故彼等がここにいるのか上条は知らない。わからない。だが…だが!
上条「…三人揃って停学と行くかぁー!」
男には、言葉がいらない時がある
本当に消えるなら書き置きなど残さない。絹旗とフレンダの追跡を封じるために滝壺を伴ったりしない。そう、これはなんて事のない――隠れ鬼だ。
上条「この歳になって鬼ごっこするなんて思ってなかったぜ!」
そして上条は再び夜の街を疾走する。完全下校時刻はとうに過ぎている。家に帰る時間だ。だが上条は帰らない。行かなくてはならない。
この暗闇の中、膝を抱えて泣いているだろう迷子…麦野沈利の元へと。傷つけるだけかも知れない。拒絶されるかも知れない。『偽善』を通り越して『独善』だとも理解している
――それでも――上条は――麦野を――
「「カミやん!!!」」
上条「!?」
そこへ…遊歩道のガードレールを飛び越え滑り込むようにしてやって来た…一台のバイクと、二人の少年達。
土御門「盗んだバイクで走り出すには最高の夜だぜい!カミやんもどうかにゃー?」
闇夜にも関わらずサングラスという奇妙さに、闇夜の中でも輝いて見える金髪の少年…土御門元春がハンドルを握り
青髪「初乗り百万円やけどデルタフォース(三馬鹿)割引で勘弁したるわ!早よ乗りぃ!」
人混みの中でさえ浮いて見える珍妙な青い髪のエセ関西弁を操るピアスの少年…青髪ピアスが二人乗りで手招きしていた。
上条「お前ら…!」
何故彼等がここにいるのか上条は知らない。わからない。だが…だが!
上条「…三人揃って停学と行くかぁー!」
男には、言葉がいらない時がある
~間奏~
『ほしのみえる場所』
上条の頭に最初に浮かんだのは第二十一学区の展望台。だが違うと思えた。根拠はないが、そんなわかりやすいヒントを麦野が残すとは思えない確信があった。
次に浮かんだのは第二十三学区の航空宇宙施設。だがあの学区は警備が厳重だ。完全下校時刻も過ぎた今は近づく事も難しいだろう。それは麦野達も上条も変わらないハズだ。
星の見える場所。それは他ならぬ…暗く、他の光源が少ない暗闇に近い場所。暗闇――そう、暗闇だ。深く暗い闇の中だからこそ、見上げる星はより輝いて瞬く。
上条「(父さんの実家に帰った時もそうだった。なんにもない山とか海しかない夜の方が星がうんと見えてたハズなんだ!)」
皮肉にも、インデックスと出会い記憶を喪う前の家族とのささやかでありふれたエピソードが、上条の行く道を決めた。
上条「お前ら!第十九学区だ!」
青髪「うん。『知っとる』よ!」
土御門「…飛ばすぜよ!ブッ飛んでいくにゃー!」
第十九学区。再開発に失敗した、古めかしい建物だけが墓石のように立ち並ぶ忘れられた学区。後の乱雑解放事件の嚆矢となる舞台。
あの学区は夜には完全にゴーストタウンとなる。学園都市で最も暗く…最もうら寂れた場所であろう。
麦野沈利は―――そこにいる。
『ほしのみえる場所』
上条の頭に最初に浮かんだのは第二十一学区の展望台。だが違うと思えた。根拠はないが、そんなわかりやすいヒントを麦野が残すとは思えない確信があった。
次に浮かんだのは第二十三学区の航空宇宙施設。だがあの学区は警備が厳重だ。完全下校時刻も過ぎた今は近づく事も難しいだろう。それは麦野達も上条も変わらないハズだ。
星の見える場所。それは他ならぬ…暗く、他の光源が少ない暗闇に近い場所。暗闇――そう、暗闇だ。深く暗い闇の中だからこそ、見上げる星はより輝いて瞬く。
上条「(父さんの実家に帰った時もそうだった。なんにもない山とか海しかない夜の方が星がうんと見えてたハズなんだ!)」
皮肉にも、インデックスと出会い記憶を喪う前の家族とのささやかでありふれたエピソードが、上条の行く道を決めた。
上条「お前ら!第十九学区だ!」
青髪「うん。『知っとる』よ!」
土御門「…飛ばすぜよ!ブッ飛んでいくにゃー!」
第十九学区。再開発に失敗した、古めかしい建物だけが墓石のように立ち並ぶ忘れられた学区。後の乱雑解放事件の嚆矢となる舞台。
あの学区は夜には完全にゴーストタウンとなる。学園都市で最も暗く…最もうら寂れた場所であろう。
麦野沈利は―――そこにいる。
とある星座の偽善使い(フォックスワード)の者です。昼間の投下はここまでです。
垣根、土御門、青髪と男臭くなってしまいましたが、夜の投下には麦野が姿をあらわします。
いつもレスをいただき、心から感謝しています。それでは失礼いたします。
垣根、土御門、青髪と男臭くなってしまいましたが、夜の投下には麦野が姿をあらわします。
いつもレスをいただき、心から感謝しています。それでは失礼いたします。
野郎どもがいい味出してるなぁ。
つーかていとくん恰好良過ぎwww
乙!
つーかていとくん恰好良過ぎwww
乙!
乙。俺のていとくんがこんなイケメンなはずがないwwwww
キャラを無駄なく使ってるな
キャラを無駄なく使ってるな
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