元スレ結標「私もそげぶされたいなぁ」
SS+覧 / PC版 /みんなの評価 : ★
151 :
イン「おなかがすいたんだよ!」
ていとーこ「……!(カニバとかマジワロエナイ)」
むしゃむしゃ
れいぞーこ「」カラッポ
152 :
上条「お、この冷蔵庫安いな。うちの冷蔵庫ビリビリのせいでぶっ壊れたし、買って帰るか」
153 = 138 :
>>151
インさんそれ生wwwwww
154 = 138 :
バサァッ!6枚の翼が大きく広がった。まるで親しい旧友を迎えるかのように。
「きたきたきたきたぁっ!!待ちくたびれたぜ一方通行!」
感慨にふける冷蔵庫を意にも介さず、彼はその脇を一陣の風のごとくすり抜けた。
「……い!……っかりしろ!結標ェ!」
意識のもやが晴れてゆく。重い瞼を開けると、見知った顔が覗いていた。
白い肌、白い髪、赤い瞳……。
まさか、本当に来てくれるとは。いや勿論来てくれないと困るんだけれど。
心なしか痛みは和らぎ、指先や顔の感覚と体温が戻っている。
「どうだ、少しマシか?血流と神経接続のベクトル操作してンだ。今芳川がヘリ呼ンでるからそれまで死ぬンじゃねェぞ!」
早口でまくし立てるように話す彼の様子から、相当に焦っていることが伺える。
うつろな少女はそれをまるで他人事のように考えていた。
冷たい血の海から引き上げられ、人の腕に抱かれる心地よさにしばし浸っていた。
と、強い力で腕を握られた。
「コレ、忘れンじゃねェぞォ」
手に、冷たく柔らかな何かが触れている。
切り落とされた自分の両脚だと気づいた時はまた意識を失いそうになった。
あの忌まわしい記憶が、乗り越えたはずの恐怖が、それ以上におぞましい眼前の光景に引きずられ蘇ってくる。
意思とは関係なく胃が収縮し、心拍が速く浅く、視野が狭まる。目を背けても状況は変わらない。
ぎゅっ。
血生臭さをかき消す匂いに、ふと我に返った。
「大丈夫だァ。次に目が醒めたら全部元通りになってるからよォ」
白い髪は真っ黒な夜空によく映える。彼はまた、もう一段深い闇へと落ちるのだろうか。
時間がないのには気づいていたが、もう少しこのままでいたかった。
156 = 138 :
抱擁の機会を逃した白い翼は怒りに打ち震えていた。
「おいテメェ!何やってやがる一方通行!相手すべき俺はこっちだぞ」
愛しの第1位は今、血の海に横たわる少女を抱きかかえている。
然して、白い箱に対峙するのは黒髪の少年、幻想殺し。招かれざる客人である。
「クソうぜェ。冷蔵庫になってまで一体なンの用ですかァ?格下さン」
幻想殺しの肩ごしに、第1位が挑発的な言葉を投げかける。
しかしその彼はその赤い瞳だけをを気だるそうに向けているだけで、
こちらにはたいした興味すら持っているふうには感じられない。
”格下”と罵られるよりはるかに、その態度が人の形を保たぬ男の神経を逆撫でした。
「チッ、そこ邪魔だ死ね幻想殺し!」
「くっ、右手が……押される!!」
6枚の翼から放たれる白い奔流。全ての異能を無効化する右手を、物量にまかせて圧する。
先ほどまでは少年の行動を抑える程度で能力を使っていたが、今からは容赦はしない。
第1位との闘いにはこの少年の存在は無粋すぎる。
それはある意味では、一方通行にとってもそうだったのだが……。
157 :
展開はシリアスなのに冷蔵庫が敵なんだよな…
158 :
白い箱……
159 :
今日はここまでです。話が全然進まないお・・・
冷蔵庫のていとくんのままシリアス突入したのは若干後悔してるww
160 :
ぬうぇ!乙!続きが…うぇっうぇ
てか一方さんが打ち止め以外の人を心配してる…結構珍しい
161 = 157 :
おつおつ
162 = 158 :
乙
というかなぜ冷蔵庫状態でこんなシリアスをかけるんだよwwwwうめえしwwwwww
163 :
文が上手いとシュールさが引き立つなwwwwwwww
165 :
あれ?冷蔵庫状態なら上条さんには手も足も出なくね?
166 :
>>165 冷凍庫ならエターナルフォースブリザードが使えるのにな
167 :
これはあわきんが、上条→一方通行になるのか?
168 :
続きです。まだバトル引っ張りますが、ご容赦を。
―――――
ブロロロロロロロロロ……
「何とか間にあったかァ」
救急ヘリの轟音が近づく。
だが油断はできない。ベクトル操作で出血を抑えているものの、少女のバイタルは低下し、体力も長くは持ちそうにない。
たしか前にもこんなことがあった。汗を浮かべ熱い息を吐く少女に、そう遠くない昔の記憶を重ねる。
できれば治療室まではついていてやりたい。
しかし、今夜はそうもいかない。いや、自分がそうさせないのだ。
「おい三下ァ、頼みがある」
黒髪の少年は必死で右手を支えながら、ちらりとこちらを見やった。長くは持たないのは少年も同じである。
「コイツに病院まで付いて行ってやってくれェ」
「どういうことだ一方通行!?」
予想通り噛み付いてきた。いったいどこまで察しているのだろうか。
見れば少年の身体もあちこちの裂傷から血が流れている。
169 = 168 :
「テメェもズタボロじゃねェか。冷蔵庫の相手は俺がやらァ。邪魔だから早く行け」
「断る!!」
言い切りやがった。
どうしようもない頑固者……いや、なぜかこういうときは妙に鋭いのだ。
普段の彼は万人が鈍感と評する男なのに。
勿論、自分のことを案じているのが分からないわけではない。しかしここで引くわけにはいかない。
「分かンねェのか!?これ以上こっち側に踏み込むなっつってンだよ!」
垣根帝督。かつて自らが殺した、いや瀕死に追いやった第2位の能力者。
その男が人の姿を失いながらもここにいる理由。そこに上条当麻は含まれてはいまい。
これは暗部の人間同士の争い。しかも至極個人的な、いわば私闘なのである。
「じゃあ俺が行ったあと、お前はアイツをどうするつもりなんだ?」
勿論決まっている。
「くっだらねェ。俺がその程度の悪党だと思ってンのか?」
「……はぁ、分かりましたよ。レディーのエスコートは上条さんにおまかせを」
「恩に着るぜェ」
悪役のボスは2人も要らない。
170 = 168 :
虚ろに眼を向ける結標を地面に横たえると、一方通行はその前から姿を消した。
否、ふたたび風となって疾駆した。向かうは白い刃を吐き続ける無機質な箱である。
死角に回り込み、鋭い蹴りを喰らわせる。
「ぐおっ!」
反応が間に合わず、蹴り飛ばされた冷蔵庫はアスファルトを盛大に削ってやっと静止した。
少年はそれを振り返りもせずにぐるりと公園を一周し、破壊された街灯や樹木を刈り取ってゆく。
次の攻撃のために白い翼が反射的に直方体を包み込む。
その隙を狙い、箱をめがけ街灯や樹木を一気に突き立てた。
それらは檻となり、ほんの一時的にだが翼の動きを封じる。それでも時間稼ぎには十分だった。
少女を抱えて救急ヘリへと走り去ってゆく上条当麻の気配を背中で察し、一方通行はようやく息を吐いた。
171 :
未元物質VS一方通行
創造VS拒否
それはそれとして、あわき/んが心配でならない。
172 :
直方体クッソワロタ
173 = 168 :
ズボオッ!!
檻の中から6枚の翼が噴き出す。
「ヒーハー!!ようやくヤル気になったか第1位!」
戒めは薙ぎ払われ、そこには先と変わらぬ様子で白い箱が鎮座していた。
がり。下唇を噛む。つーと赤い筋が顎を伝った。
また傷を負わせてしまった。庇う暇もなかった。
前は恩師を、そして今度は仲間を。
彼らと馴れ合うつもりはない。だが、この下衆な輩に痛めつけられるのは我慢ならなかった。
「久しいなァ、メルヘン野郎。随分盛りやがって、ホモにでもなったかァ?」
「相変わらずほっせえカラダしてんなあ。テメェだったら、相手してやってもいいぜ?」
「きめェよ。突っ込む穴もねェくせに意気がるンじゃねェ」
174 = 166 :
なんだ濃厚なBLか
175 :
ヒーハーってww
176 = 168 :
いくら罵詈雑言を並べたところで自分が吐き気を催すばかりだ。
もう時間稼ぎは必要ない。やるべきことは決まっている。
すぐさまホルスターから銃を抜き、標的を見据えて撃つ撃つ撃つ撃つ!!
しかし銃弾は全て弾かれてしまい、傷ひとつつけられなかった。白い翼は防御の素振りすら見せない。
「おいテメェ、いつからそんなチンケな飛び道具なんか使うようになったんだ?」
無意味な戯言である。少年は全弾を撃ち尽くした銃を手放し、ふたたび死角からの蹴りを突き刺す。
しかし虚を突かれたのは少年のほうだった。
6枚の翼は大きく羽ばたき、重厚な体躯を天高く持ち上げた。
「こいつ……思ったより動きやがる!」
迎撃のために翼が展開される。乱舞する白い羽根とベクトル操作で放つ烈風が衝突した。
掻き乱れる風。見上げる一方通行、そして見下ろす垣根帝督。両雄は龍虎のごとく睨み合った。
そして……
翼の主は、少年が予期していたより早く行動を起こした。
177 :
空に羽ばたく冷蔵庫!・・・って、想像出来ねー
179 :
>>177
うん、自分もよく分からないw
―――――
白い奔流が少年を襲う。
彼の引き込む気流とベクトル反射をもってしても、未元物質は防御の隙をかいくぐって赤い血痕を刻み込んでゆく。
しかし少年は勘付いていた。これが単なる足止めでしかないと。
冷蔵庫は理解していた。次の一手で決めねばならぬと。
舞い散る羽根の攻撃が止み、それとともに白い翼が光となって霧散してゆく。
気流とともに光の粒が拡散した、そのときだった。
街は、昼間のごとき明るさに照らし出された。
すべての輪郭を消し飛ばす閃光、質量を伴うかのような膨大な熱エネルギーが直径100mの半球を埋め尽くした。
続いて轟音をかき消してなお重なり響く轟音が大地を揺るがす。
閃光が収束し、放射冷却によって空間が透明度を取り戻すと、そこは赤く焼け爛れた焦土と化していた。
街にそこだけパンチ穴を抜いたかのような空間。
しかし不自然なほどに、そこにはなんら変わらぬ姿の一方通行が立っていた。
そしてもう一人、翼に守られた人ならぬ人も。
180 :
うちの冷蔵庫も飛ばねぇかな…
181 :
ついでに喋ってくれたらいいのにな
183 :
184 = 179 :
垣根の翼が燐光を帯び、霧散したその瞬間、一方通行は”全て”のベクトルを反射に設定していた。
熱と閃光に飲み込まれんとする刹那、闇の加護が少年を覆った。
光も、音も、大気すらも遮断した完全なる暗闇。それは結果として最良の選択だった。
時間をおいて、可視光領域の反射を段階的に解除してゆく。徐々に色付く世界。
(やってくれたなァ、クソメルヘンがァ!)
垣根の仕掛けた一手、それは核融合。通常の戦闘ならば間違いなく戦略兵器級の攻撃であった。
「どうだ?本物の核攻撃を受けたのは初めてだろ。だがまったくの無傷とは流石というべきかな」
だが彼の能力でいったいどうやって核攻撃を実現したのだろうか。
「なに。俺の未元物質で作り上げた素粒子で大気中の軽元素を強制的に反応させたんだよ」
心を見透かしたような、当然準備されていたかのようなセリフを吐く冷蔵庫。
しかし辺りを見回すと、これほどの爆発であったにも関わらず彼らを中心とした円周内のみに被害がとどまっている。
おそらくこれも未元物質によって形成された障壁だろう。
まさかあの第2位が、周囲の被害を最小限に抑えながら闘おうとしているのか。
ぞくり、と言い知れぬ違和感に少年はさいなまれた。
彼は、どうして爆発を完璧に封じ込めるほどの障壁を準備していたのか。
どうしてあの攻撃に無傷で耐え抜いたさまに畏怖の感情を表さないのか。
知りたくもなかったクソみたいな理由は、灼熱の蒸気が晴れ渡るとともに知るに至った。
185 = 179 :
「ぐゥっ!?……く、は……っ!」
血肉が、身体の内部から爆ぜようと暴れ回る。
爆発のあとにもたらされる真空状態。しかも垣根の未元物質による核融合で、大気成分が根こそぎ剥ぎ取られた高真空。
「そう……いう……こt……けほっ!」
声にならない声を上げる一方通行。
ベシャッ!……ボタ、ボタ。
大量の吐血は肺に大きな損傷を受けたことを示唆していた。
ベクトル操作によって全身がはじけ飛ぶのは凌いだが、それでも一方通行の肉体は無事では済まなかった。
(血液の沸騰は抑えた。眼球も破裂してねェ。けど、無酸素状態でこれがいつまで持つかァ……)
「あーつまんねぇ。テメェが満開に散るのを見れると思ったんだけどなあ」
翼に守られていた冷蔵庫は、表面に熱ダレは見られるものの大きなダメージは受けていない。
「せっかく頑張ってここまで仕込んだんだぜ?それを直前で気づかれちゃ元も子もねぇよ。
これだからお利口サンはつまんねぇ!」
ゴウッ!
追い打ちをかけるような翼での斬撃。
白い肌から、血煙が噴き上がった。
187 :
暗黒よ 闇よ 負界の混沌より禁断の黒炎を呼び覚ませ
パーラ・ノードイ・フォーモー・ブルール・ネーイ・ヴァセ・イーダー・イー・
エイター・ナール・アイドール・ヘーブン・ン・ヘイル・イアイアンンマ・
ダイオミ・ギーザ・オージ 死黒核爆烈地獄
188 :
死黒核爆裂地獄の理屈だと結標も黒子もやりようによっては核融合反応を起こせる事になってしまうんだよなあ…
189 :
正確には空間をぶつける魔法だったっけ
当時小学生だったからワケワカメだった
190 :
「死黒核爆裂地獄」
対象の周囲を球形の結界で遮断し、内部にて互換の無い転移を行うことで強制的な核融合反応を発生させ、
その超高熱で対象を焼き払う。内部の平均温度は数万度、瞬間最大温度は数億度に達するが、
結界により外部には岩盤が変形する程度の影響しかない。最終的に、結界ごと異次元へ追放することで終了する。
ていうか超スレチ
191 :
なんだ、ティルトウェイトじゃん。
192 :
防音のイヤーマフ越しに、重低音が漏れ聞こえてくる。
頭を少しずらすと、操縦者や医師らがさかんに何か話しているのが見えた。
どうやら向かう先はお馴染みリアルゲコ太の病院らしい。で、ここはその搬送用ヘリの中。
そりゃあ患者の一人が両足切断の重傷、しかも素性が訳アリならば納得がいく。
ついでに自分もお世話になるのだろうが、はたしてこれで何度目だろうか。聞き飽きたあの言い草が頭をよぎる。
極度の緊張から解放され、力の入らなくなった身体をベッドに預けながら上条当麻はぼんやりと考えた。
よく見れば自分の体もあちこち傷だらけで、けっこう酷い有様である。
もう一人の患者……横で寝ている少女はマスクと輸血やらの管に繋がれてはいるが、容態は落ち着いているようだった。
「聞いていた通りの無茶っぷりね、君」
顔を覗き込むようにして、女性が話しかけてきた。
「すみません、芳川先生」
彼女は一方通行の保護者というか同居人らしい。
つまりあの黄泉川先生と一緒に住んでいるようだ。
「いいえ、むしろ私からはお礼を言わせてほしいわ」
「それはどういうことで?」
「君が来なければこの子は助からなかったかもしれない。それに、一方通行も」
この少女はともかく、一方通行もとはどういうことだろうか。
「えっと、言葉の意味が分かりかねます」
「気にしないでいいわ。ありがとう、ただそれだけよ」
今はあれこれ考えるのも億劫だったので、横目でくぐもった寝息を立てる少女の様子を眺めることにした。
193 = 192 :
「この子……立ち直れるかしら」
気付くと芳川先生も少女を見つめていた。
「この子、空間移動系のレベル4なのよ。
ポテンシャルはそれ以上だけど、過去のトラウマが足枷になってレベル5には届かなかったらしいわ」
空間移動系の大能力者。レベル5に近いということはあの白井黒子以上の実力者のはず。
そうか、俺はこの少女を知っている。
「そして今度はさらに酷い仕打ち……目が覚めたら、もしかしたら能力を使うことすらできないかもしれない」
「きっと大丈夫です」
「えっ?」
「だって、アイツがそう言ったんですよ」
と、窓の外から強烈な閃光が射し込んできた。さらに、やや遅れて轟音。
バランスを崩し、大きく揺れるヘリの機内。とっさに窓を覗くと、ドーム状の火球が白々と光を放っていた。
「あれは……さっきの公園!?」
間違いない。あれは一方通行と羽の生えた冷蔵庫が戦っている場所だ。
「芳川先生!」
俺の意図を察したのか、彼女は押し黙ってしまった。
「俺は何もせずただ見てるだけなんて我慢できません」
「ふふっ」
「なん……ですか?」
「君は本当に不思議な子ね。いつも受動的に事件に巻き込まれるのに、必ず結果を手にして帰ってくるなんて。
これを能力と呼ばずして何て言うのかしら?」
前にも、誰かにそんなことを言われた記憶がある。
「……行ってきなさい」
194 :
>>193
>あれは一方通行と羽の生えた冷蔵庫が戦っている場所だ。
ちくせうwwwwwwwwwwwwwwww
195 :
あれ俺いつ書き込んだんだろう…
196 :
>>194
やwめwろwww
せっかく読み飛ばしてたのにwwwwwww
197 :
スレタイから、てっきり上条×結標の展開かと思っていたが、
こんな面白い状況になっているとは…
支援せざるを得んぜ!
198 :
上条×結標のSSって無いのかな?
199 = 192 :
そろそろていとう庫編ラストスパートです。
―――――
垣根帝督は待ち焦がれていた。狂おしいほどに。この時この瞬間を。
眼前で血煙をあげながら一方通行が倒れゆく。
融けた大地に這いつくばるも、赤い瞳だけはこちらを喰い殺さんとするかのように睨みつけていた。
その有様に、垣根のリビドーは頂点に達していた。
「ハハハッ、カッコ悪いなぁ、第1位。血まみれのガッタガタじゃねぇか。
ああ、でもいい目だぜ。ほら、睨むだけじゃなくってなんか言ってみろよ!って何も喋れねーよなアハハハッ!」
かつての自分では成し得なかったコト。
以前の一方通行との闘いで、垣根は天地の差にも比する圧倒的な力で為す術もなく”虐殺”された。
しかし幸か不幸か、肉体の大部分を失いながらも命はこの世にとどまった。
「『こことは違う世界における無機』とはよく言ったものだな……」
新たに得た身体はもはや人間と呼べぬ姿。生命維持のための無機質な白い直方体。
しかしその中に、”人間の機能を補完する”のみならず、”人間以上の機能を付与”することができた。
核攻撃の熱と衝撃波に耐える装甲。1時間以上の無酸素活動が可能な心肺機構。
それが、人間の生存限界を越えた環境下で一方通行を斃すための切り札だった。
200 = 192 :
(だが……まだだ。まだ足りねえんだ!)
あのとき視た、少年の背中から噴き出した黒い翼。垣根の肉体を破壊したそれ。
あれを切り裂きたい千切りたい潰したい踏み躙りたい壊したい……殺したい!
耐えられぬほどに高まった破壊欲求が、垣根の精神をじりじりと焦がす。
今、このシチュエーションならば、あと一歩で一方通行を屠ることができる。
黒い翼が発現してしまえば、はたして今の自分でも彼を倒せるかは解らない。
わずかに遺った冷静な部分がそう告げている。しかし。
(狂った俺にそんなモンはいらねえ)
6枚の白い翼が結晶質な輝きを放ち、本来の規模……公園を囲むほどの長さに広がる。
「おいこら、まだ終わりじゃねえぞ第1位。さっさと立ちやがれ」
その幻想的な光景とは裏腹に、垣根は死に急ぐかのように闘いを渇望していた。
「出してみろよ、あのときの黒い翼!そんであのときみたいに俺と戦え!俺を圧倒してみろ!俺を殺してみろッ!」
動けぬ一方通行に垣根は悲痛な叫びを繰り返した。
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