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>>150
じゃあ保守しろや
じゃあ保守しろや
これは保守せざるをえない
つかお前ショタ僧侶と女勇者の人なんか?
つかお前ショタ僧侶と女勇者の人なんか?
通常プレイ
性別変更
縛りプレイ各種
バグでデータ消滅
他に出てきそうなのは「海外版」とか「別ハード版」とか・・・後何あるかな
性別変更
縛りプレイ各種
バグでデータ消滅
他に出てきそうなのは「海外版」とか「別ハード版」とか・・・後何あるかな
――――
どよどよ どよどよ……
ズ ズ ズ ズ ズ ズ ズ ズ ズ ズ ズ …
勇者「こ。これは」
勇者「この渦巻きみたいなものは、何度も見たことがある……」
勇者「『旅のとびら』だ!」
勇者「中へ飛び込めば別の地点へ移動できる、ワープポイント!」
勇者「そ、それにしてもなんて大きさだ……こんな巨大なものは見たことが無い……」
女勇者「よく見て! 全部で3つもあるよ!」
勇者E「3つの旅のとびらが、バカみたいにでけぇ大穴に一緒に収まってるな……」
勇者F「こ、これが元の世界に帰る手がかりなのか!?」
勇者>30「ま、待て、この大きさだ。ふちを伝ってどれか一つにしか飛び込めないぞ!」
勇者イ「お、おい! あれ、もしかして立て札じゃないか!?」
勇者「な、何だって!?」
どよどよ どよどよ……
ズ ズ ズ ズ ズ ズ ズ ズ ズ ズ ズ …
勇者「こ。これは」
勇者「この渦巻きみたいなものは、何度も見たことがある……」
勇者「『旅のとびら』だ!」
勇者「中へ飛び込めば別の地点へ移動できる、ワープポイント!」
勇者「そ、それにしてもなんて大きさだ……こんな巨大なものは見たことが無い……」
女勇者「よく見て! 全部で3つもあるよ!」
勇者E「3つの旅のとびらが、バカみたいにでけぇ大穴に一緒に収まってるな……」
勇者F「こ、これが元の世界に帰る手がかりなのか!?」
勇者>30「ま、待て、この大きさだ。ふちを伝ってどれか一つにしか飛び込めないぞ!」
勇者イ「お、おい! あれ、もしかして立て札じゃないか!?」
勇者「な、何だって!?」
勇者「すまん、通してくれ!」
勇者「ごめん、ちょっと失礼!」
勇者「……よ、よし抜けた! えーとなになに」
<解放のとびら>
・プログラムからの解放
・プログラムの動作外時点へ還元
勇者「へ……? な、なんだこれ?」
勇者@「ちょっと、読めたならどいてくれよ!」
勇者「あぁ悪い。うわっとっと」
勇者(……『プログラム』?)
勇者(『プログラム』って何だ? 続く文脈も意味不明だし……)
勇者「そ、そうだ!」
勇者「他の旅のとびらの前にも、似たような立て札があるかもしれない!」
勇者「ごめん、ちょっと失礼!」
勇者「……よ、よし抜けた! えーとなになに」
<解放のとびら>
・プログラムからの解放
・プログラムの動作外時点へ還元
勇者「へ……? な、なんだこれ?」
勇者@「ちょっと、読めたならどいてくれよ!」
勇者「あぁ悪い。うわっとっと」
勇者(……『プログラム』?)
勇者(『プログラム』って何だ? 続く文脈も意味不明だし……)
勇者「そ、そうだ!」
勇者「他の旅のとびらの前にも、似たような立て札があるかもしれない!」
――
<転生のとびら>
・基礎データのみ保持および転送
・新規プログラムの実行
――
<終着のとびら>
・データの消去
――
勇者「他の立て札は以上か」
勇者E「プログラム? データ??」
女勇者「どれもこれも、聞いたことがない言葉だよ……」
勇者F「くそっ……結局、どれに飛び込めばいいんだ!」
勇者>30「ま、待てよ。まず、飛び込む必要があるのか?」
勇者イ「だ、だって、他の集団の最終地点もここみたいだぜ?」
勇者E「他に手がかりがない以上、腹を括るしかないのか……」
<転生のとびら>
・基礎データのみ保持および転送
・新規プログラムの実行
――
<終着のとびら>
・データの消去
――
勇者「他の立て札は以上か」
勇者E「プログラム? データ??」
女勇者「どれもこれも、聞いたことがない言葉だよ……」
勇者F「くそっ……結局、どれに飛び込めばいいんだ!」
勇者>30「ま、待てよ。まず、飛び込む必要があるのか?」
勇者イ「だ、だって、他の集団の最終地点もここみたいだぜ?」
勇者E「他に手がかりがない以上、腹を括るしかないのか……」
――
勇者「……この3つの旅のとびら」
勇者「よくみると、それぞれ様子がまるっきり違うな」
女勇者「そうだね。他の勇者たちもそれについて話し合ってる」
勇者「……まず……<終着のとびら>とやらが嫌でも目に付くな」
女勇者「うん。真っ黒だ……」
女勇者「何にもない。暗闇が不気味に渦巻いてるだけだね……」
勇者「ああ。恐らくこれに飛び込んだら、俺たちの存在が消去されるんだろう」
勇者C「え? 『データ』って、俺たちの存在のことなのか?」
勇者「いや、分からん。でもこの雰囲気と立て札から、そう考えるのが本命だろう」
女勇者「うーん……だったら、進んで飛び込もうとする勇者なんて……」
勇者イ「俺達は飛び込むかもな」
勇者「! お前たちは、狂った世界の……」
勇者ロ「ああ。あんな世界に戻るくらいなら、このまま消えちまったほうがマシだ」
勇者ハ「正直、勇者業も中途半端だったしな。さっぱり消えちまうのもアリって感じだ」
勇者「……この3つの旅のとびら」
勇者「よくみると、それぞれ様子がまるっきり違うな」
女勇者「そうだね。他の勇者たちもそれについて話し合ってる」
勇者「……まず……<終着のとびら>とやらが嫌でも目に付くな」
女勇者「うん。真っ黒だ……」
女勇者「何にもない。暗闇が不気味に渦巻いてるだけだね……」
勇者「ああ。恐らくこれに飛び込んだら、俺たちの存在が消去されるんだろう」
勇者C「え? 『データ』って、俺たちの存在のことなのか?」
勇者「いや、分からん。でもこの雰囲気と立て札から、そう考えるのが本命だろう」
女勇者「うーん……だったら、進んで飛び込もうとする勇者なんて……」
勇者イ「俺達は飛び込むかもな」
勇者「! お前たちは、狂った世界の……」
勇者ロ「ああ。あんな世界に戻るくらいなら、このまま消えちまったほうがマシだ」
勇者ハ「正直、勇者業も中途半端だったしな。さっぱり消えちまうのもアリって感じだ」
勇者「……次に、<転生のとびら>ってのは……」
女勇者「ボクたちがよく知る『旅のとびら』そのものだね!」
女勇者「サイズは違うけど、あの青白い渦巻きは目に馴染んだものだよ」
勇者「ああ。ってことは、ある程度は同質のものかもしれないな」
勇者「例えば、この世界のどこかにワープしてしまうとか……」
女勇者「ええっ、そんなのは願い下げだよ!」
勇者「『この世界』の……どこかにワープ……」
勇者E「もしそうだったら、<データ消去>に飛び込んだほうがマシだな」
勇者E「あの実のない旅を再開する羽目になるくらいなら、ここで終わらせるさ」
勇者「そうか……まぁ、そうなるよな。でもあの立て札の内容」
勇者「<転送>はともかく、<新規プログラム>を<実行>ってのがメインのような気がする」
勇者E「さーな。もっかい荒野の旅をおっぱじめるって意味じゃないの?」
勇者「うーん……まだ断定はできないけど……」
勇者E「なんなら、飛び込んでみればいいさ」
勇者「待てよ。現時点で飛び込むんなら――」
女勇者「ボクたちがよく知る『旅のとびら』そのものだね!」
女勇者「サイズは違うけど、あの青白い渦巻きは目に馴染んだものだよ」
勇者「ああ。ってことは、ある程度は同質のものかもしれないな」
勇者「例えば、この世界のどこかにワープしてしまうとか……」
女勇者「ええっ、そんなのは願い下げだよ!」
勇者「『この世界』の……どこかにワープ……」
勇者E「もしそうだったら、<データ消去>に飛び込んだほうがマシだな」
勇者E「あの実のない旅を再開する羽目になるくらいなら、ここで終わらせるさ」
勇者「そうか……まぁ、そうなるよな。でもあの立て札の内容」
勇者「<転送>はともかく、<新規プログラム>を<実行>ってのがメインのような気がする」
勇者E「さーな。もっかい荒野の旅をおっぱじめるって意味じゃないの?」
勇者「うーん……まだ断定はできないけど……」
勇者E「なんなら、飛び込んでみればいいさ」
勇者「待てよ。現時点で飛び込むんなら――」
女勇者「この目の前にある、<解放のとびら>?」
勇者「ああ」
女勇者「変わった渦巻きだよね。何かつぶつぶみたいなのが、大量に連なってる……」
勇者「いや。よく見ろ。その一つ一つを」
女勇者「ううーん? ……あ! ああっ!!」
女勇者「数字!? あの繋がってて渦を作ってるのは、全部数字!?」
勇者「どんな数字にみえる?」
女勇者「0と1……?」
勇者「そうだ」
勇者「1と0が鎖のように繋がって、大量に渦巻きを作ってる」
女勇者「ど、どういう意味……?」
勇者「まったく分からない。分からないが」
勇者「あれを潜り抜けると、どうも何かから<解放>されるらしい」
女勇者「何かって……プログラム? ねえ、だからそのプログラムって」
勇者「まだ分からねえ。何にも分からねえよ……」
勇者「ああ」
女勇者「変わった渦巻きだよね。何かつぶつぶみたいなのが、大量に連なってる……」
勇者「いや。よく見ろ。その一つ一つを」
女勇者「ううーん? ……あ! ああっ!!」
女勇者「数字!? あの繋がってて渦を作ってるのは、全部数字!?」
勇者「どんな数字にみえる?」
女勇者「0と1……?」
勇者「そうだ」
勇者「1と0が鎖のように繋がって、大量に渦巻きを作ってる」
女勇者「ど、どういう意味……?」
勇者「まったく分からない。分からないが」
勇者「あれを潜り抜けると、どうも何かから<解放>されるらしい」
女勇者「何かって……プログラム? ねえ、だからそのプログラムって」
勇者「まだ分からねえ。何にも分からねえよ……」
――
勇者「……あれから結構時間が経ったが」
勇者「みんなひたすら様子を窺ってるな……」
勇者「まだ無闇に飛び込んだ……文字通り勇者はいないか……」
どよどよ どよどよ……
勇者「ん?」
勇者E「おい、聞いたか!?」
勇者E「ついに旅のとびらに飛び込んだ勇者が出たらしいぞ!」
勇者「さすがにそろそろ出てきたか。どのとびらだ?」
勇者E「<解放のとびら>だよ!」
勇者E「誰かが吹聴したんだ!」
勇者E「『俺たちはプログラムとやらに囚われているから、こんなところに閉じ込められた』」
勇者E「『だからそこから解放されれば、元の世界に帰れる』って!」
勇者(……。俺と似たようなことを考えてた奴がいたのか……。……だが……)
勇者「……あれから結構時間が経ったが」
勇者「みんなひたすら様子を窺ってるな……」
勇者「まだ無闇に飛び込んだ……文字通り勇者はいないか……」
どよどよ どよどよ……
勇者「ん?」
勇者E「おい、聞いたか!?」
勇者E「ついに旅のとびらに飛び込んだ勇者が出たらしいぞ!」
勇者「さすがにそろそろ出てきたか。どのとびらだ?」
勇者E「<解放のとびら>だよ!」
勇者E「誰かが吹聴したんだ!」
勇者E「『俺たちはプログラムとやらに囚われているから、こんなところに閉じ込められた』」
勇者E「『だからそこから解放されれば、元の世界に帰れる』って!」
勇者(……。俺と似たようなことを考えてた奴がいたのか……。……だが……)
――
勇者F「おい、最後の『俺』」
勇者「どうした、俺の直前の『俺』。ん……他の『俺』も一緒か」
勇者A「ええ」
勇者B「びぃ」
勇者C「しぃ」
勇者D「でんでんで」
勇者「……決意は固まったって感じか」
勇者F「ああ。俺たちは旅のとびらに飛び込む」
勇者F「あの<解放のとびら>にな」
勇者E「そ! ……そうか」
勇者「止めはしない。けど、俺の考えがまとまるまで待ってはくれないか」
勇者F「待たない。帰れると分かった以上、もう一刻の猶予も惜しいんだ」
勇者「でもそれは……いや。そうか」
勇者「まぁあるいは、いま伝播してる帰還説が、正解かもしれないしな」
勇者F「ああ、悪いな。そっちの方を信じ込ませてもらっている」
勇者F「おい、最後の『俺』」
勇者「どうした、俺の直前の『俺』。ん……他の『俺』も一緒か」
勇者A「ええ」
勇者B「びぃ」
勇者C「しぃ」
勇者D「でんでんで」
勇者「……決意は固まったって感じか」
勇者F「ああ。俺たちは旅のとびらに飛び込む」
勇者F「あの<解放のとびら>にな」
勇者E「そ! ……そうか」
勇者「止めはしない。けど、俺の考えがまとまるまで待ってはくれないか」
勇者F「待たない。帰れると分かった以上、もう一刻の猶予も惜しいんだ」
勇者「でもそれは……いや。そうか」
勇者「まぁあるいは、いま伝播してる帰還説が、正解かもしれないしな」
勇者F「ああ、悪いな。そっちの方を信じ込ませてもらっている」
>>182
もしくはカセット浅差し…ファミコン世代にしかわからんかな
もしくはカセット浅差し…ファミコン世代にしかわからんかな
勇者F「……」ザッ
勇者F「……お前たちは少人数の時からの仲だから、特別に話す」
勇者F「俺は、側近になぶり殺しにされたんだ」
勇者E「!」
勇者「……」
勇者F「それで……仲間を一人ひとり半殺しにされて……」
勇者F「最初に魔法使いが……戦士に想いを告げて息絶えた」
勇者F「次に激昂した戦士が、術式を破って側近に切りかかって……」
勇者F「笑いながら繰り出された呪文の集中砲火を浴びて、絶命した」
勇者「……」
勇者F「そして……そして次に……」
勇者F「賢者が……」
勇者F「俺に……微笑みながら……伝えてきて……」
勇者F「それで……あの野郎に……殺された……」
勇者「…………」
勇者F「……お前たちは少人数の時からの仲だから、特別に話す」
勇者F「俺は、側近になぶり殺しにされたんだ」
勇者E「!」
勇者「……」
勇者F「それで……仲間を一人ひとり半殺しにされて……」
勇者F「最初に魔法使いが……戦士に想いを告げて息絶えた」
勇者F「次に激昂した戦士が、術式を破って側近に切りかかって……」
勇者F「笑いながら繰り出された呪文の集中砲火を浴びて、絶命した」
勇者「……」
勇者F「そして……そして次に……」
勇者F「賢者が……」
勇者F「俺に……微笑みながら……伝えてきて……」
勇者F「それで……あの野郎に……殺された……」
勇者「…………」
勇者F「最後に残った俺は、もう訳わかんなくなって……」
勇者F「それで……賢者の亡骸に手を伸ばして……」
勇者F「……そ、それで……」
勇者F「……届かなかったんだ!!」
勇者「……」
勇者F「だから俺は、一瞬でも早く戻らないといけない」
勇者F「あの場に帰って、あの手を握ってやらないといけない」
勇者F「だから俺は行く。止めるな」ザッ
勇者E「お、おい」
勇者F「お前らも、元の世界に帰ったら、幸せにな」
勇者「おい……おい待て!!」
勇者F「じゃあな!!」 バッ
勇者「あ……」
勇者E「落ちた……行ってしまった……」
勇者F「それで……賢者の亡骸に手を伸ばして……」
勇者F「……そ、それで……」
勇者F「……届かなかったんだ!!」
勇者「……」
勇者F「だから俺は、一瞬でも早く戻らないといけない」
勇者F「あの場に帰って、あの手を握ってやらないといけない」
勇者F「だから俺は行く。止めるな」ザッ
勇者E「お、おい」
勇者F「お前らも、元の世界に帰ったら、幸せにな」
勇者「おい……おい待て!!」
勇者F「じゃあな!!」 バッ
勇者「あ……」
勇者E「落ちた……行ってしまった……」
勇者A「……あいつ……」
勇者C「やけにそっけない『俺』だと思ったら、そんな経緯があったのか……」
勇者B「色々、無神経なこと言っちまったな……」
勇者「……」
勇者D「……さて!」
勇者D「じゃー俺も続きますか」
勇者「!」
勇者E「お、お前も行くのか?」
勇者D「ああ。さっきの話聞いて、俺も思い出しちまったよ」
勇者D「あいつほど酷くはないけど、それなりに心残りのある別れ方だったしな」
勇者「……お前確か、同じ世界に一緒に帰ったらまずいんじゃないかって、不安がってたよな」
勇者D「これだけの人数と、こんだけでかい大穴を見てしまったらな」
勇者D「スケールに飲み込まれたって言うか、もうどうでもよくなっちまったよ」
勇者「……まぁ気持ちは分からなくもないけどな……」
勇者D「ま、後の謎解きは任せたぜ。……そうだな。そんなお前に、最後に伝えておこう」
勇者C「やけにそっけない『俺』だと思ったら、そんな経緯があったのか……」
勇者B「色々、無神経なこと言っちまったな……」
勇者「……」
勇者D「……さて!」
勇者D「じゃー俺も続きますか」
勇者「!」
勇者E「お、お前も行くのか?」
勇者D「ああ。さっきの話聞いて、俺も思い出しちまったよ」
勇者D「あいつほど酷くはないけど、それなりに心残りのある別れ方だったしな」
勇者「……お前確か、同じ世界に一緒に帰ったらまずいんじゃないかって、不安がってたよな」
勇者D「これだけの人数と、こんだけでかい大穴を見てしまったらな」
勇者D「スケールに飲み込まれたって言うか、もうどうでもよくなっちまったよ」
勇者「……まぁ気持ちは分からなくもないけどな……」
勇者D「ま、後の謎解きは任せたぜ。……そうだな。そんなお前に、最後に伝えておこう」
勇者「なんだ?」
勇者D「俺は旅の中で、一度だけこう言われたことがある。……正確にはある気がする」
勇者D「『全滅してしまうとは情けない!』ってね」
勇者「!? ぜ、全滅!? あの世界でか!?」
勇者E「だ、誰がそんなことを!?」
勇者D「それが覚えていない。本当に言われたのかどうかも怪しい」
勇者D「ただ、まったく不自然な場面……でのことだったような気がする」
勇者「……? 不自然な場面……?」
勇者D「まぁ気のせいかもしれないし、まったくもって要領を得ない話さ」
勇者D「だから今までそのことは話さなかった。俺だけの秘密にしてたんだ」
勇者「……いやそれは、本当にそうか? 話さなかった理由は、意味がなかったからか?」
勇者D「いや、違うな」
勇者D「やっぱり俺の考えなんてお見通しか」
勇者D「そう。俺は『俺』じゃなくて、唯一の『自分』である拠り所が欲しかったんだ」
勇者D「だって正直、嫌だろ? 自分以外の何かと、何もかも全く同じ存在、だなんてな」
勇者D「俺は旅の中で、一度だけこう言われたことがある。……正確にはある気がする」
勇者D「『全滅してしまうとは情けない!』ってね」
勇者「!? ぜ、全滅!? あの世界でか!?」
勇者E「だ、誰がそんなことを!?」
勇者D「それが覚えていない。本当に言われたのかどうかも怪しい」
勇者D「ただ、まったく不自然な場面……でのことだったような気がする」
勇者「……? 不自然な場面……?」
勇者D「まぁ気のせいかもしれないし、まったくもって要領を得ない話さ」
勇者D「だから今までそのことは話さなかった。俺だけの秘密にしてたんだ」
勇者「……いやそれは、本当にそうか? 話さなかった理由は、意味がなかったからか?」
勇者D「いや、違うな」
勇者D「やっぱり俺の考えなんてお見通しか」
勇者D「そう。俺は『俺』じゃなくて、唯一の『自分』である拠り所が欲しかったんだ」
勇者D「だって正直、嫌だろ? 自分以外の何かと、何もかも全く同じ存在、だなんてな」
勇者D「皆が一度も話したことも無い、下らない情報を意固地に抱えることで」
勇者D「自我同一性ってやつを、確かめたかったんだろうな」
勇者「……」
勇者D「まぁ『俺』たちと付き合っているうちに、んなもんは無意味って悟ったけどな」
勇者D「俺らは姿かたちも考え方も似てるけど、それぞれに『自我』がある」
勇者D「俺たちはいくら『同じ世界』の同一人物だとしても」
勇者D「独立している存在だ。別人なのさ」
勇者D「まぁそんなこと、お前にとってはわざわざ語るまでもないことだけどな」
勇者「……いや……」
勇者「少し参考になった。ありがとう」
勇者D「こっちこそ、オロチを片付けてくれてありがとよ」
勇者D「……話が長くなったな。よし」
勇者D「それじゃあなっ!」 バッ
勇者「あっ……。……行ってしまったか……」
勇者D「自我同一性ってやつを、確かめたかったんだろうな」
勇者「……」
勇者D「まぁ『俺』たちと付き合っているうちに、んなもんは無意味って悟ったけどな」
勇者D「俺らは姿かたちも考え方も似てるけど、それぞれに『自我』がある」
勇者D「俺たちはいくら『同じ世界』の同一人物だとしても」
勇者D「独立している存在だ。別人なのさ」
勇者D「まぁそんなこと、お前にとってはわざわざ語るまでもないことだけどな」
勇者「……いや……」
勇者「少し参考になった。ありがとう」
勇者D「こっちこそ、オロチを片付けてくれてありがとよ」
勇者D「……話が長くなったな。よし」
勇者D「それじゃあなっ!」 バッ
勇者「あっ……。……行ってしまったか……」
勇者A「難しい話は終わったようだな!」バッ
勇者「ん」
勇者A「次は俺だっ!」
勇者B「いや俺が先だっ!」
勇者E「やっぱり二人ともコレに飛び込む気か」
勇者A「ああ。もう二人も飛び込んじまったからな。俺も勢いで続く!」
勇者「ひのきの棒の『俺』……すべては、お前が始まりだったんだよな」
勇者A「最初に全滅したって意味ではな。よく分からんけど」
勇者A「というより正直俺さ。まだ旅の半ばまでいけてなかったし」
勇者A「なーんか皆の話題にはいつも蚊帳の外だったし、つまんなかったし」
勇者A「一丁スパッて、けじめをつけたいのさ」
勇者E「いつもスネさせちまって悪かったな」
勇者A「いいよ。これから僧侶さんとの思い出作りのことを思うと、楽しみでしょーがない」
勇者「待てよ。ちょいと俺の話を聞こうとは思わないか」
勇者A「いやー遠慮しとくよ。小難しい話を理解できるほど、頭も育っちゃいないんでね」
勇者「ん」
勇者A「次は俺だっ!」
勇者B「いや俺が先だっ!」
勇者E「やっぱり二人ともコレに飛び込む気か」
勇者A「ああ。もう二人も飛び込んじまったからな。俺も勢いで続く!」
勇者「ひのきの棒の『俺』……すべては、お前が始まりだったんだよな」
勇者A「最初に全滅したって意味ではな。よく分からんけど」
勇者A「というより正直俺さ。まだ旅の半ばまでいけてなかったし」
勇者A「なーんか皆の話題にはいつも蚊帳の外だったし、つまんなかったし」
勇者A「一丁スパッて、けじめをつけたいのさ」
勇者E「いつもスネさせちまって悪かったな」
勇者A「いいよ。これから僧侶さんとの思い出作りのことを思うと、楽しみでしょーがない」
勇者「待てよ。ちょいと俺の話を聞こうとは思わないか」
勇者A「いやー遠慮しとくよ。小難しい話を理解できるほど、頭も育っちゃいないんでね」
勇者A「まぁ正直、お前らがいてくれて救われたぜ」
勇者A「この世界じゃ理性が失われることはないし、死ぬこともない」
勇者A「だから一人でも大丈夫……って、そんなわけあるかよ!」
勇者A「お前らがいてくれなかったら、俺は理性も捨てられず、死ぬことも出来ず」
勇者A「陰鬱とこの荒野をトボトボ歩いていただろうよ。延々とだ! 冗談じゃねえ」
勇者「持つべき者は仲間か?」
勇者A「ああそうだ。仲間だよ。『俺』たちは第二のパーティーだ」
勇者「なら魔王も楽勝だな」
勇者A「違いない。来世で会うことがあったら、是非とももう一度結成しようぜ」
勇者「来世か……どうなんだろうな」
勇者A「ふふん。新米冒険者だった俺も、ずいぶん舌が回るようになったな」
勇者「ああ。お前はステータスの枠とは関係なく、立派に成長してるさ」
勇者A「そうだといいけどな。……じゃ、そろそろ行くぜ」
勇者「じゃあな、最初の『俺』」
勇者A「またな、最後の『俺』!」 バッ
勇者A「この世界じゃ理性が失われることはないし、死ぬこともない」
勇者A「だから一人でも大丈夫……って、そんなわけあるかよ!」
勇者A「お前らがいてくれなかったら、俺は理性も捨てられず、死ぬことも出来ず」
勇者A「陰鬱とこの荒野をトボトボ歩いていただろうよ。延々とだ! 冗談じゃねえ」
勇者「持つべき者は仲間か?」
勇者A「ああそうだ。仲間だよ。『俺』たちは第二のパーティーだ」
勇者「なら魔王も楽勝だな」
勇者A「違いない。来世で会うことがあったら、是非とももう一度結成しようぜ」
勇者「来世か……どうなんだろうな」
勇者A「ふふん。新米冒険者だった俺も、ずいぶん舌が回るようになったな」
勇者「ああ。お前はステータスの枠とは関係なく、立派に成長してるさ」
勇者A「そうだといいけどな。……じゃ、そろそろ行くぜ」
勇者「じゃあな、最初の『俺』」
勇者A「またな、最後の『俺』!」 バッ
勇者B「……次は俺か」
勇者「何か言い残すことはあるか?」
勇者B「はは。どうせお前も飛び込むなら、残る言葉なんて何もないだろ」
勇者「そうかもしれない」
勇者B「ま。とっておきって訳でもないけど、参考になりそうな話は用意してるぜ」
勇者「ほう、それは?」
勇者B「冒険の途中で、所持金が半分になった事件」
勇者「ゴールドが半分に? 何か大層な武器でも買ったか?」
勇者B「違う違う、気付いたときには半分になってたんだよ」
勇者「パーティーの誰かが無心したんじゃないのか」
勇者B「そんなはずはない……と言いたいとこだけど、実際分からない」
勇者B「落としたか? 盗られたか? もしかしたら知らない間に使ってたかも」
勇者「おいおい、旅に不慣れで金銭管理が不十分だっただけじゃないのか」
勇者B「違うね逆だ。旅に不慣れだったからこそ、お金の額だけは必死にチェックしてたんだ」
勇者B「でもそれに気付けたのは、パーティーの中でも俺だけだったな……」
勇者「何か言い残すことはあるか?」
勇者B「はは。どうせお前も飛び込むなら、残る言葉なんて何もないだろ」
勇者「そうかもしれない」
勇者B「ま。とっておきって訳でもないけど、参考になりそうな話は用意してるぜ」
勇者「ほう、それは?」
勇者B「冒険の途中で、所持金が半分になった事件」
勇者「ゴールドが半分に? 何か大層な武器でも買ったか?」
勇者B「違う違う、気付いたときには半分になってたんだよ」
勇者「パーティーの誰かが無心したんじゃないのか」
勇者B「そんなはずはない……と言いたいとこだけど、実際分からない」
勇者B「落としたか? 盗られたか? もしかしたら知らない間に使ってたかも」
勇者「おいおい、旅に不慣れで金銭管理が不十分だっただけじゃないのか」
勇者B「違うね逆だ。旅に不慣れだったからこそ、お金の額だけは必死にチェックしてたんだ」
勇者B「でもそれに気付けたのは、パーティーの中でも俺だけだったな……」
勇者「……そう言われてみれば……」
勇者「俺も急に所持金が減ったことが、あったようななかったような……」
勇者「それも、一回だけじゃなかったような……ううんダメだ思い出せない……」
勇者B「そうなのか? 俺は後にも先にも、その一回きりだったけどな」
勇者「うーんそれにしたって」
勇者「全財産がいきなり半分になる事態なんて、とても看過できる問題じゃないのに」
勇者「どうして詳細が思い出せないんだ? いや、そもそもその事実さえも疑わしい……」
勇者B「いや、確かに事実はあった」
勇者B「当時の俺は、死ぬほど『はがねのつるぎ』が欲しかったんだから」
勇者B「まぁご存知の通り、無理に仲間の武具を優先したせいで」
勇者B「それが手に入る頃には、もっといい武器も店頭に並んでたがな」
勇者B「俺にとっては、思いいれのある武器に違いないんだ」
勇者「知ってるさ」
勇者「その『はがねのつるぎ』、実は売り払ってないんだぜ。ちゃんととってある」
勇者B「へぇそりゃいいや、さすが『俺』」
勇者「俺も急に所持金が減ったことが、あったようななかったような……」
勇者「それも、一回だけじゃなかったような……ううんダメだ思い出せない……」
勇者B「そうなのか? 俺は後にも先にも、その一回きりだったけどな」
勇者「うーんそれにしたって」
勇者「全財産がいきなり半分になる事態なんて、とても看過できる問題じゃないのに」
勇者「どうして詳細が思い出せないんだ? いや、そもそもその事実さえも疑わしい……」
勇者B「いや、確かに事実はあった」
勇者B「当時の俺は、死ぬほど『はがねのつるぎ』が欲しかったんだから」
勇者B「まぁご存知の通り、無理に仲間の武具を優先したせいで」
勇者B「それが手に入る頃には、もっといい武器も店頭に並んでたがな」
勇者B「俺にとっては、思いいれのある武器に違いないんだ」
勇者「知ってるさ」
勇者「その『はがねのつるぎ』、実は売り払ってないんだぜ。ちゃんととってある」
勇者B「へぇそりゃいいや、さすが『俺』」
勇者B「つーわけで、そろそろ……」
勇者「ああ……じゃあな」
勇者B「じゃあな!」バッ
勇者「……」
勇者E「また一人『俺』が行ったか」
勇者C「……」
勇者「お前は行かないのか?」
勇者C「ん。俺は……お前の話を聞いてから飛び込むよ」
勇者「えっ?」
勇者C「俺ぐらいの進行度合いだと、船を手に入れたばっかで、旅の自由を楽しんでる段階なんだ」
勇者C「寄り道したり、宝探ししたり、小さなイベントをこなしたりしてな」
勇者C「だから一本道に囚われず、細かい部分とこも見知った上で、とびらに飛び込みたい」
勇者「そうか……そういえば、そういう時期もあったな」
勇者C「旅が忙しくなって俺の時期なんて忘れてただろ? はは、良心と思えよな」
勇者「ああ……じゃあな」
勇者B「じゃあな!」バッ
勇者「……」
勇者E「また一人『俺』が行ったか」
勇者C「……」
勇者「お前は行かないのか?」
勇者C「ん。俺は……お前の話を聞いてから飛び込むよ」
勇者「えっ?」
勇者C「俺ぐらいの進行度合いだと、船を手に入れたばっかで、旅の自由を楽しんでる段階なんだ」
勇者C「寄り道したり、宝探ししたり、小さなイベントをこなしたりしてな」
勇者C「だから一本道に囚われず、細かい部分とこも見知った上で、とびらに飛び込みたい」
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