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    元スレ淡「高鴨穏乃を100回倒す!」

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    1 :

    <白糸台高校 麻雀部部室>

    「絶対に倒す!」

    「…………」

    「……急に何を言い出すんだ?」

    「鈍いですねー。私が高鴨穏乃を100回倒すって宣言したの!」

    「何を言ったかはわかっている。問題はその内容だ」

    「?」

    「インハイの決勝で決着はついてると思うけど」

    「むぅー……それはそうなんだけど……なんか違うんだよねー…」

    「じゃあどうすればいいんだ」

    「だってさー……準決勝では高鴨穏乃、決勝では私。1勝1敗でしょ?すっきりしない!」

    「だったらコクマの成績で決めるのはどう?」

    「むぅぅ……それもそうなんですけど~……」ウゥゥ..

    2 = 1 :

    「何が不満なんだ。まさか言葉通り、100勝するまで満足できないなんて言うんじゃないだろうな?」フゥ

    「……………あ」

    「ん?」

    「?」

    「それいい!」

    「それ……とは?」

    「100勝するまでってやつ!さすが菫先輩!いいこと言いますね!」

    「え……いや、今のは別にアドバイスではなくて……」

    「明日は土曜日だし、直接相手の本拠地に乗り込むぞ~♪」

    「お、おい……」

    「というわけで、今日はもう時間ですし、お先に失礼しま~す!」ガチャ!バタン!

    「…………」

    「…………」

    3 = 1 :

    「……こういったことに関しての行動力はすごいな」フゥ

    「うん。でも悪いことじゃないと思う」

    「まぁな」

    「それに……淡は気付いてないだろうけど、きっと……」

    「………ああ、そうだな」

    「…………」

    「…………」

    「……とにかく、淡がライバルと思える人が現れたことの方が大事。高鴨さんの存在は、強さのみが突出してる淡にいい影響を与えてくれるかもしれない」

    「なるほど。孤高の天才と言われるお前から聞くと納得だな」

    「…………」

    「なんだ?別にからかったわけじゃないぞ?」

    「………もう1人じゃないもん」

    「あ………そうだな。悪かった」ナデナデ

    4 = 1 :

    「ん……」スリスリ

    「ふっ、学校で甘えモードになるのは珍しいな」

    「うん……」

    「…………」ナデナデ..

    「………ねぇ」

    「ん?」

    「今は……2人だけ」

    「ああ」

    「…………」

    「……それで?2人だけだと何かあるのか?」

    「…………………意地悪//」

    「ふふ……すまない。その顔が見たくてな」チュ..

    「ん……//」

    5 = 1 :

    翌日 昼

    <奈良県 高鴨家付近>

    穏乃「さぁて、山に行くかな~」テクテク

    「いた!!」

    穏乃「へ?」

    「高鴨穏乃!!」

    穏乃「あれ?大星さん……どうしてここに?」

    「ふふん、そんなの決まってんじゃん!」

    穏乃「そうなんですか?」

    「そうなの!」

    穏乃「…………」

    「……………」ムフー

    穏乃「え?それで……どうしてここに?」

    「あ、そうだった……私はね、高鴨穏乃!あんたを倒しに来たんだよ!」

    6 = 1 :

    穏乃「??えと……もう決勝で決着が…」

    「違うっ!麻雀は1勝1敗!」

    穏乃「ああ……なるほど」

    「だから、麻雀以外の勝負で100回倒す!!」

    穏乃「ひゃ、100回ですか?」

    「そう!高鴨穏乃を100回倒す!そしたら私の大勝利!!」

    穏乃(なんで100回?なんとなくわかるけど……)

    「ふふん」

    穏乃「…………あの、質問なんですが」

    「うん?」

    穏乃「今現在お互い1勝1敗なんですよね」

    「そだね」

    穏乃「もし私が先に100回勝っちゃったらどうなるんですか?」

    「えっ」

    7 = 1 :

    穏乃「?」

    (………全然考えたことなかった……でもそうだよね。100回倒すまでに100回以上負けてたら、大勝利どころか負けだよ……)

    穏乃「大星さん?」

    「そ、その場合は私の負けだから……えと……そう!どっちが先に100回勝つか勝負!これでどう!?」

    穏乃「そ、そうですね……」

    穏乃(ついつい素朴な疑問をぶつけちゃったけど……なんだか厄介な展開になりそうな予感……)

    「……なんか面倒くさがってる気がする」

    穏乃「そ、そんなことない……ですよ?」

    「あ、そう?よかった」ホッ

    穏乃「あれ……」

    穏乃(意外と素直な人だな……対局中は怖いくらいの迫力だったけど、普段は全然違うんだね)クス

    「じゃあ早速勝負だよ!」

    穏乃「……わかりました」

    穏乃(特に用事もないし)

    8 :

    高校100年生のバカと100速のバカですかそうですか
    あとは100巡先のバカだけですね

    9 = 1 :

    「あ、そうそう!まず敬語はやめてよ」

    穏乃「え?」

    「同じ1年だし!」

    穏乃「……うん、わかった」

    「よし、じゃあ最初の勝負は…………マラソン!」

    (高鴨穏乃のジャージ姿を見るに、きっと運動が得意だよね!その得意分野で負かしちゃうよ!)フフン!

    穏乃「マラソン?」

    「そ。ここから阿知賀の学校の校門まで行って帰ってくる。どう?」

    穏乃「う、うん。じゃあそうしよう」

    穏乃(ここから阿知賀までは2キロくらい……往復で4キロか)

    10 = 1 :

    「よーし、そうと決まれば………よーい、どん!」タタッ

    穏乃(大星さん、なんかあんまり運動得意そうに見えないけど……いいのかな?)タタッ...

    「それじゃ、私は先に行くよっ!」ダダッ!

    穏乃「うん」タッタッ..

    穏乃(そのペースだと、最後まで走りきるのは難しいと思うけど……)

    「はっ、はっ、はっ……」タタタッ..

    「はっ、はっ、はっ……」タタタッ..

    「…………」チラ

    穏乃「」

    (ふふふ……結構離したね。このままぶっちぎりで勝ってやる!)ダダダ..

    11 = 1 :

    「…………」タタタッ..

    「………………」タタッ..

    (………………あれ?なんか脇腹が痛くなってきた……)タッタッ..

    (ちょ、ちょっと飛ばし過ぎた?ペースを落とそう)

    「………………」

    (…………まだ痛い……けど、これ以上落としたら追いつかれ…)

    穏乃「……先に行くね」ビュン

    「!!」

    穏乃「ほっ、ほっ、ほっ……」タッタッ..

    「ま、待って……」タッ..タッ..

    12 :

    しあ

    13 = 1 :

    <高鴨家付近>

    穏乃「はっ、はっ、はっ、はっ……」タッタッ..

    穏乃「到着っと。さて、大星さんが来るまで待つか、それとも迎えに行くべきか……」ウーン..

    穏乃「……………」

    穏乃(だいぶ差をつけちゃったから、迎えに行った方が早そうだな)タタッ

    穏乃(……………)タッタッタッ

    ――――

    「…………」グター..

    穏乃(あ、いた……って、校門の横で座り込んでる)タッタッ..

    「…………」ブチブチ

    穏乃(コンクリートの隙間から生えてる雑草を抜いてる……何もやることない時にやっちゃうやつだね。疲れて頭がボーっとしてるのかな?)

    穏乃「大星さーん!!」

    「!」スクッ!

    「」パンパン!(スカートの砂を払う)

    14 = 1 :

    「お、おかえり」ニコッ

    穏乃「いや、おかえりじゃないよ」

    「うっ」

    穏乃「疲れちゃった?」

    「え……な、なんでそう思うの?」

    穏乃「だって、勝負中なのに座って休んでたから」

    「あ、ああ……そうだね。うん、ごめん。ウォーミングアップのマラソンとはいえ、最後まで走らないとダメだよね」

    穏乃「ウォーミングアップ?あれ?これも勝負じゃ…」

    「ちち、違うよっ!」

    穏乃「…………」

    「これは100回勝負とは違うの!ノーカウント」

    穏乃「………ずるくない?」

    「うっ……でも高鴨穏乃だってずるいよ。私を置いてくんだもん」

    穏乃「置いてくって言われても……勝負だし……」

    15 = 1 :

    「むー……わかったよ!マラソンは私の負け!」

    穏乃「うん。まずは私の1勝だね」

    「もー!マラソンが得意ならそう言ってよ~」

    (きっと得意中の得意だったんだ!ずるい!)

    穏乃「あはは」

    (うぅ……私の華やかな歴史に早くも傷が付いちゃったよ……次こそ勝てるやつにしないと)

    (何の勝負がいいかな?うーーーーーーーん………………………)

    穏乃「?」

    (全然思いつかない……こんなことなら新幹線の中で考えておけばよかった……ずっと漫画読んでた私のおバカ!)

    穏乃「どうかしたの?」

    「え?あ、ちょ、ちょっと待って!」

    (走る系は全部やめて、奈良で出来ること…………山があるから………あ!)

    (釣り!!亦野先輩に教えてもらったし、どこかに魚がいる池くらいあるはず!これだよ!)

    16 = 1 :

    「ふふふふ……」

    穏乃「わ。急に笑顔だ」

    「高鴨穏乃!」

    穏乃「うん」

    「釣りで勝負だ!!」

    穏乃「おっ、いいね~!」

    「あれ?」

    (すごく乗り気だ…………どうしよう。負けそうな気配がプンプンしてきた……)タラー

    穏乃「久しぶりだな~」ウキウキ

    (……というか今思い出したけど、亦野先輩と釣りにいった時、ほとんどの時間を絡まった糸をほどくのに費やしてたっけ……そうだ。1匹も釣れなかった私に、亦
    野先輩が魚を恵んでくれて……)

    「ちゅ、中止!!」

    穏乃「ええっ!?なんで!?」

    17 = 1 :

    「……魚が可哀相です」

    穏乃「ええー……自分で言いだしたのに……」

    「い、池の中に尖った針を入れるのはナンセンスだって気付いたの!」

    穏乃「意味がわからないよ…」

    「と、とにかく、そういうこと!」

    穏乃「残念……釣りしたかったのに」

    「えーと……次の勝負は……………あ、クイズ!」

    穏乃「クイズ?」

    「そう!私がこれからクイズを5問出します。たくさん正解したら高鴨穏乃の勝ち!」

    穏乃「たくさんって具体的に何問?」

    「う……」

    (高鴨穏乃が正解した数より1つ多く言おうと思ってたのに……)

    18 = 1 :

    穏乃「ねえ何問?」

    「……さ、3問」

    穏乃「3問か……」フム

    「じゃあいくよ?」

    穏乃「うん」

    「第1問、白糸台高校麻雀部の部長は誰でしょう?」

    穏乃「あ、それは知ってる。弘世さん」

    「下の名前まで言って」

    穏乃「弘世菫さん」

    「正解」

    穏乃「やった」

    「第2問、今年の西東京の地区大会決勝で、私と戦った選手を1人答えてください」

    (ふふ……これは無理でしょ。私だって1人しか覚えてないくらいだもん)ニヤリ

    19 = 1 :

    穏乃「んん!?難しいなぁ……でも……あれ?でも西東京の地区大会はどこかで見た気が……」

    「え?」

    穏乃「あ!そうだ!赤土さんに見せてもらったんだ!確か……思い出した!松庵女学院の多治比 真佑子さん!」

    「…………」

    穏乃「どう?正解でしょ!?」

    「……………せ、正解」

    (なんで知ってんの!?)

    穏乃「おお!やった!覚えてるもんだなー」エヘヘ

    (ま、まずい……あと1問で負けちゃう!こうなったら……)

    穏乃「よぉし……リーチかかったぞ~♪」フフン

    「……………第3問」

    穏乃「おう!」

    「私が使ってるシャンプーは何?」

    穏乃「ええっ!?そんなのわかるわけないよ!!」

    20 = 1 :

    「カッチ、カッチ、カッチ……」

    穏乃「ちょ……ああもう!髪の匂い嗅がせてもらうよ!」ガバッ

    「え?ちょ……あ……」

    穏乃「くんくん……あー、すっげーいい匂い」

    「う……//」

    穏乃「………でも、なんのシャンプーはわかんないや。お手上げ」

    「あ……ふ、不正解!!正解は、サロンSIDのオリジナルでした~!」

    穏乃「…………答え聞いてもわかんない」ブー

    「……う」

    (すごい冷たい目……でも負けない!あと2問……――――)

    21 = 1 :

    「―――結果発表~!」ワーイ

    穏乃「…………」

    「高鴨穏乃の正解数は2問で、クイズ対決は私の勝ち~!!いえーい!!」キャホー!

    穏乃「…………」

    「……………」ヤッタヤッタ

    穏乃「…………」

    「……………」ワショーイ!

    穏乃「ずるい」

    「!」ピク

    穏乃「白糸台の監督の趣味なんか知ってるわけないし、麻雀部内の試合での大星さんの総合成績なんて他校の私にわかるはずがない」

    「う……」

    穏乃(……マラソンの負けをなしにしようとする、釣り勝負を取り消す、絶対正解できないクイズを出す……いくら勝ちたいからってやりすぎだよ!)

    穏乃(大星さんがそこまでするんだったら……私だって!)ギラリ

    22 = 1 :

    「べ、勉強不足だったねっ、うんうん。さて、次は…」

    穏乃「次の勝負は私から提案させてもらっていいかな?」

    「え?」

    穏乃「ずっと大星さんからだと不公平でしょ?自分が発案した勝負でだけ勝ったって本当に勝ったとは言えないよ?ね?」

    「む……」

    穏乃「最終的に大星さんが勝ち越した時にケチがつくのは嫌でしょ?」

    「うん………そう……だね。いいよ」

    穏乃「よし!じゃあ、セミ捕り対決で!」

    「え゛……セミ捕り?」

    穏乃「うん。セミを多く捕まえた方の勝ち!場所はあの山の中!時間は……20分!」

    「わ、私……セミなんて……触れない……」

    穏乃「大星さんならきっと大丈夫。あ、袋はこれ使ってね。じゃあスタート!」タタッ!

    「え?わ、わあ!待ってよ!」

    23 :

    あわあわかわいい

    24 = 1 :

    <山>

    「…………」ソローリ

    セミ「…………」

    「……動かないでね……」ソロリ

    セミ「ジジッ!」バサー!

    「ぎゃああああ!!!!」ビクゥン!

    「………はぁ、はぁ……ビックリした……」

    「うぅ……やっぱり怖いし気持ち悪い……でも勝負だしなー……」チラ

    セミ「…………」

    「地面にいるあのセミ、こっち見てる?うぅ、なんか大砲向けられてる気分だよ」

    「………あ、そうだ。黙って捕まえに行くからセミの声でビックリするんだよね。よぉし…」

    「♪ふんふふ~ん、ふふ~ん」ソロリ

    セミ「…………」

    25 = 1 :

    「♪ふふんふ~ん、ふふふ~ん」ソローリ..

    セミ「…………」

    (いけそう!)

    「♪ふんふ~……」

    セミ「ジジジ!」バサー!

    「ぎゃああああああ!!!!」ドシーン!

    「び、ビックリするなぁ!なんだよっ、結局いきなりで怖いじゃんか!」

    「もー……お尻打っちゃった……痛い……」

    (もうすぐ時間切れなのに1匹も捕れてない……ダメだ……)ハァ

    「………………」

    「…………かゆい」ポリポリ..

    「……なんかすっごい蚊に刺されてるし……もおお!!」

    ♪~

    「あ……終了だ」

    26 = 1 :

    穏乃「大星さ~ん」タタタッ

    「…………」

    穏乃「あれ?また座ってる……どうだった?セミ捕まえられた?」

    「えっと……その……ううん、私はセミの意思を尊重したからあえて捕まえなかった。高鴨穏乃は?」

    穏乃「ふっふっふ……私は……じゃーん!!」

    「ジジジジジジジジ………」

    「ひぃいい!!」

    穏乃「20匹ちょっとかな。私の勝ちだね」ニコリ

    「ああああ……」

    穏乃「さて、このまま袋に入れてたら可哀想だから、解放しないと。それ」バサッ

    セミたち「ジジジジジッ!!」バサバサ!

    「きゃあああ!こっちくんなー!!」ワタワタ!

    穏乃「あははは!」

    「うぅ……笑うなぁ~……」

    27 = 1 :

    穏乃「だってすごい慌てようだったから。虫苦手なの?」

    「………べ、別に?」

    穏乃「あ、大星さんの手の上にセミ止まってるよ?」

    「にゃあああっ!!許して!!」バッ!バッ!

    穏乃「嘘、何も止まってないよ」

    「え?なぁんだ、よかった…………あ」

    穏乃「やっぱり苦手なんじゃん」クス

    「う、嘘つくのは反則!高鴨穏乃はダメな大人になるね!」

    穏乃「ごめんごめん。でも虫が苦手なのを隠さなくてもいいのに」

    「………苦手じゃない。ただ、反りが合わないだけ」

    穏乃「それ、虫に使う言葉かな?」

    穏乃(弱みを見せたくないんだな……私が言うのもなんだけど、なんか子供っぽくて可愛い)クスッ

    「くっ……」プイ

    28 = 1 :

    穏乃「これで私の2勝目だね」

    「あ……むむむ……」

    穏乃(悔しそうな顔……ああ、なんだろこれ……からかいたくなってきた。我慢できない)

    穏乃「2勝目、イエーイ!やったー!バンザーイ!」

    「!」ヌゥ

    穏乃「このままいくと圧勝かも!あははは!」

    「あ、圧勝!?な、何を言うの!?この……えと……おバカ!」

    穏乃「おバカって」

    「まだ1勝ぽっちリードしただけなのにそんなこと言って……高鴨穏乃はアレだね。うん。アレだよアレ。えーと……」

    穏乃「言葉が出てこないから私の勝ち、イエーイ!」

    「うううるさい!出てこなくてもいいの!」

    穏乃「うん、そうだね。思い出せなくてもいいよね」

    「お……大人みたいな対応するなー!バカにしてるでしょ!!」キー!

    穏乃(……やばい……楽しい……ムキになる大星さんめちゃくちゃ可愛いし……)

    29 :

    ふんふむ

    30 = 1 :

    「もうこうなったら今すぐ次の対決するよ!内容は……『蚊にいっぱい刺されてる方が勝ち』これね!」

    穏乃「蚊?」

    「そう!ほらっ!私はこんなにいっぱい刺されたよ!」エヘン!

    穏乃「あー……私はちょこちょこ動いてたし長袖だからたいして刺されてないや」

    「や、やったーー!私の勝ちだー!!」バンザーイ!

    穏乃「負けちゃった」

    「これで同点~!イエーイ!」ピースピース!

    穏乃「……負けたのは残念だけど、勝負に勝つより蚊に刺されない方がいいや」ボソッ

    「……………」ピク

    穏乃「あ」

    「……………」

    穏乃「ご、ごめん。別に勝った大星さんをバカにしたわけじゃないよ?」

    31 = 1 :

    「……………」

    穏乃「本当に…」

    「……………」

    穏乃「……大星さん?」

    「ねぇ、高鴨穏乃」

    穏乃「な、なに?」

    「…………かゆい」ポリポリ

    穏乃「………うん。そうだろうね」

    「………ムヒ持ってる?」

    穏乃「持ってない」

    「………………」

    穏乃「……………」

    「…………かゆい」ポリポリ

    穏乃「……うん」

    32 = 1 :

    <高鴨家 リビング>

    「塗って塗って~♪」

    穏乃「うん」ヌリヌリ

    穏乃(こうして近くで見ると、大星さんの腕とか足、細いなぁ……それと白い……)

    「はぁ~……エアコン気持ちいい~♪」アシ バタバタ

    穏乃「あ、塗ってるから足動かさないで」

    「りょーかい♪」

    穏乃(……ん、結構擦り傷がある……山に慣れてないからか……)

    「~♪」

    穏乃(慣れてないのに、私との勝負のために頑張ったんだな。なんか……嬉しいかも)クスッ

    「あ、今笑った!」

    穏乃「え?」

    33 = 1 :

    「私の足見て笑った!」

    穏乃「ああ……それは」

    「わかった!ムヒで『おバカ』とか書いたんでしょ!見えないからって!」

    穏乃「書いてないよ。私をどんな人間だと思ってるのさ」

    「ホントかなー?」ジト

    穏乃「ただいまー!」

    穏乃「あ、お母さん帰ってきた」

    「え!」

    穏乃「お客さん来てるのー?」ガチャ

    「あ」

    穏乃「あら」

    「ど、どどどうもこんにちは!大星淡という者です!」

    穏乃「こんにちは。穏乃の母です」ニコリ

    34 = 1 :

    「あ!お邪魔しております!今は、たか…穏乃さんにムヒを塗ってもらってるところです!」

    穏乃「まぁ、そうなの」

    穏乃「わざわざ言わなくてもいいのに」

    「だって!菫先輩とかに『淡は礼儀がなってない』とか言われてるからちゃんとしないとって思って…」ヒソヒソ

    穏乃「それにしても……あと緊張しすぎだよ」

    「う、うるさいなぁ」

    穏乃「大星さんは東京から来てくれたの?」

    「え?はい……あれ?どうして私が東京って」

    穏乃「インターハイで穏乃と戦ってたじゃない」

    「あ、なるほど……そうですね、あの……穏乃さんとは準決勝と決勝でお世話になりまして」

    穏乃「ええ」

    35 = 1 :

    「えと……なんというか……」

    (うぅ……こういう時ってどうしたらいいんだろう?ちゃんとしないと変な子って思われる……そしたら高鴨穏乃に礼儀対決を挑まれちゃう)

    「あ!そ、その」

    (相手に気を遣うのが大事、だよね!)

    穏乃「はい?」

    「む、ムヒ!よかったらお先にどうですか!?」

    穏乃(お先にって、もう塗ってるじゃん)クスッ

    穏乃「えっ?いや、私は大丈夫よ」

    「あー……そ、そうですか……ごめんなさい。穏乃さんに塗ってもらってたのも合わせて、ごめんなさい……」

    穏乃「別に謝らなくてもいいわよ」ウフフ

    穏乃「よし、完了っと。お母さん、私たちは部屋に行くから。行こう、大星さん」

    「え……うん」

    36 = 1 :

    <穏乃の部屋>

    「は~……緊張したぁ」

    穏乃「なんで?そんなに堅苦しく考えなくても、学校の先輩と話す感じで大丈夫だよ?大星さんは1年生だし、先輩に敬語で話すでしょ?」

    「んー……その辺は割といい加減かな?」

    穏乃「へー、白糸台って結構緩いんだ?」

    「むふー。白糸台が緩いって言うより、私が強いからオッケーなんだね!きっと!」エヘン!

    穏乃「そうなんだ」

    穏乃(生意気だけど愛嬌があって憎めない後輩、みたいなポジションなんだろうな。わかるわかる)ホワー..

    穏乃「あ、それで、勝負の続きはどうするの?」

    「え?あ、そうだった」

    穏乃「今のところ4回対決して2勝ずつだけど」

    「うーん……」

    穏乃「今すぐ決めなくてもいいか。冷蔵庫にかき氷あるから食べてからにしよう」

    「かき氷!食べたい!」ワホーイ

    穏乃「今とってくるね―――」

    37 :

    あわしずもいいもんだな

    38 = 1 :

    穏乃「―――お待たせ、持ってきたよ」

    「わあ、ありがとう!お金お金……」

    穏乃「あ、いいよ。私のおごりで」

    「本当?気前いいね!」ワーイ

    穏乃「そうだ。かき氷早食い勝負はどうかな?」

    「お!それいい!やろうやろう!」

    穏乃「よし、じゃあ始めるよ?3、2、1、スタート」

    「はぐはぐはぐ!」ムシャシャ

    穏乃「ぱく……ぱく」

    「~~~~!!」

    (うぁあ!キーンときた!うぅぅ……)

    39 = 1 :

    穏乃「ぱく……ぱく」

    「……はぁ……はぐはぐはぐ!………~~~~~!!」キーン

    穏乃(あれ?結構立ち直り早い……このままじゃ負けちゃう。ペースを上げないと!)クッ

    穏乃「はぐぐぐぐ!…………~~~~~!」キーン..

    「はぐはぐはぐ!…………~~~~!」キーン!

    ――――

    穏乃「~~~~~~!………完……食!」
    「~~~~~~~!…………完食!!」

    穏乃「はぁ……頭痛い……」

    「うぅ……手がベタベタ……高鴨穏乃ぉ~……」

    穏乃「はいはい。ティッシュ……って、口の周りもベタベタだよ」

    「本当?拭いて」ンー

    穏乃「しょうがないなぁ」フキフキ

    「んゅ……」

    40 = 1 :

    穏乃「はい、おしまい」

    「ありがと」ニヘー

    穏乃「う、うん」

    穏乃(くっ……可愛いなぁもう)

    「さて、かき氷勝負は私の勝ちだけど、次はどうする?」

    穏乃「ちょっと待って。何をさらっと言ってるの」

    「え?」

    穏乃「大星さんも早かったけど、少なくとも私が食べ終わる直前まで食べてたじゃん」

    「それは高鴨穏乃もそうだよ?私が最後の一口を食べようとした時はまだ残ってた」

    穏乃「食べ終わった後は?こっち見たの?」

    「………頭がキーンてしてたから」

    穏乃「ほら、見てないじゃんか」

    「高鴨穏乃は見たの?」

    穏乃「……私も頭痛くて目を閉じてたから」

    41 :

    42 = 1 :

    「…………」

    穏乃「…………」

    「……そういう場合は私の勝ちでいいんじゃないの?」

    穏乃「よくないよ」

    「えー」

    穏乃(わがままなのか負けず嫌いなのか、どっちだろう?ま、どちらにせよ、こういう時は……)

    穏乃「…………残念だなー」

    「む?」

    穏乃「大星さんとなら、正々堂々と気持ちよく戦えると思ったのに……」

    「え?」

    穏乃「最初のマラソン以外、自分に有利な勝負しか申し込まないし」

    「そ、そんなこと……」

    穏乃「今だって、勝ちを確信してないのに勝利を得ようとしてる……はぁ」

    「ううっ……」

    43 = 1 :

    穏乃「私が間違ってたのかな?大星さんはもっと凄い人だと思ってたけど……」

    「間違ってない!私は凄いよっ!」

    穏乃「え?本当に?」

    「ホントホント!」ピース

    穏乃「これからの勝負もズルはしない?さっきのクイズはズルだよ?」

    「う……次からはしない」

    穏乃「……次からじゃなくて、今のかき氷早食い勝負からだよね?」

    「も、もちろん!かき氷早食い勝負は……引き分け!」

    穏乃「偉い!さすが大星さん!正々堂々としてる!」

    「で、でしょ!?よく言われるんだ~♪」

    穏乃「誰に?」

    「え?それは……その……住民に」

    穏乃「住民って……」

    穏乃(また見栄を張って。可愛いけどさ)クスッ

    44 = 1 :

    「もうこの話題はおしまい!次の勝負はどうするか決める方が建設的!」

    穏乃「それもそうか………あ!ちょっと待って。これは勝負と関係ないんだけどさ」

    「ん?」

    穏乃「大星さん夕食ってどこで食べるかとかって決まってる?」

    「ううん、決まってないけど」

    穏乃「じゃあさ、うちで食べていきなよ」

    「え?」

    穏乃「さっきかき氷取りに行った時にお母さんが言ってた。大星さんがよければどうですか?って」

    「………私としては食べたいけど……いいの?なんか悪い気がする……」

    穏乃「全然大丈夫。むしろ喜んでたよ。『娘が久しぶりに友達連れて来た』なんて言ってさ」

    「ええっ!?」

    穏乃「わ……な、なに?急に大声出して……」

    45 :

    住民ワラタ

    46 = 1 :

    「え、えと……それは……//」

    (ともだち……私って、高鴨穏乃の友達なの……?)

    (私は高鴨穏乃を倒すべき敵だと思ってたけど、高鴨穏乃は私を友達と思ってた……?)ドキドキ

    (そういえば……ムヒをぬりぬりしてくれたし、口もふきふきしてくれた……敵は普通そんなことしない。やっつけにくるはずだもん)

    (……敵が友達だった……私はどうしたらいいんだろう?友達を100回倒すなんて人間じゃなくて鬼だよね……)ウゥ..

    穏乃「……大星さん?」スッ

    (?……目の前に高鴨穏乃、つまり友達の顔が………って、近い近い!!)

    「わわっ!」ズザザッ!

    穏乃「?どうして後ずさるの?」

    「それは……ちょ、ちょっと恥ずかしいから……//」

    穏乃「?」

    (びっくりした……いきなり顔が近くにあるんだもん。テルといる時ならそんなの普通にあるけどさ…………ん?あれ?)

    (テルとはあれくらいの距離で話したりするのは普通……なのになんで高鴨穏乃だと恥ずかしいんだろ?)??

    47 = 1 :

    穏乃「ま、いいや。夕飯までゆっくりしてようよ」

    「あ、うん……」

    穏乃「それとも、この部屋で出来る勝負でもしようか?」

    「勝負……」

    (どうしよう……高鴨穏乃を100回倒すために来たけど、友達になった今、100回倒したら友達やめられちゃうかもしれないよ)

    (………私にはどんな選択肢があるの?わかんないよ……………あ、そうだ。こんな時は携帯で……)スチャ..ポチポチ..

    『友達 100回倒す』

    (検索!)カチッ

    (…………ダメだ。友達を100人作るとかそんなのしかない……うぅ……)

    穏乃「……なんか難しい顔してるけど、何かあった?」

    「えっ、それは……」

    穏乃「かき氷食べたからお腹痛くなったとか?」

    「ううん、大丈夫」

    穏乃「そっか。じゃあどうしたの?何か気になることがあるとか?」

    48 :

    まず猿がぼっちだからそこを突けば淡に勝機あり

    49 = 1 :

    「…………あるにはある」

    穏乃「そうなの?教えてよ」

    「うん。ねえ、高鴨穏乃は……倒しにくる子ってどう思う?」

    穏乃「…………はい?」

    「だ・か・ら!自分を倒しにくる子をどう思う!?」

    穏乃「倒しにくるって意味がイマイチわからないけど……」

    「うぅ~、鈍いなぁ!だから!わ、私が高鴨穏乃を倒そうと勝負を挑んでくるのはどうなのってこと!」

    穏乃「どうなのって……別にどうも」

    「へ?」

    穏乃「私と勝負したいなら、勝負するってだけだよ?」

    「…………そう?」

    穏乃「私を嫌ってるとか、邪魔するつもりとか、そういうんじゃないでしょ?」

    「そ、それはもちろん!」コクコク!

    穏乃「じゃあ問題ないよ」

    50 = 1 :

    「…………本当?」

    穏乃「うん」

    「……………あとで私の友達やめるとか言わない?」

    穏乃「え?大星さんと私って……もう友達?」

    「えっ!」

    穏乃「?」

    「ち、違うの……?」

    穏乃「いや、違うというか」

    (なんだよぉ……友達じゃないのに顔を近付けたのかっ!高鴨穏乃っ!)グス..

    穏乃「ああっ!ごめん!今のは悪い意味じゃないんだ!」

    「じゃあどんな意味なのさ」ゴシゴシ..


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