私的良スレ書庫
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元スレ紳士「私はもう……小便小僧じゃないんだ……」

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<公衆トイレ>
紳士「あの……」
清掃員「はい?」ゴシゴシ
紳士「大変申し訳ありませんが、用を足してもよろしいですか?」
清掃員「あ、どうぞどうぞ」
紳士「では失礼して」スッ
清掃員(ずいぶん礼儀正しい人だな)
ズボンのチャックを開き、立ち小便を始める紳士。
紳士「…………」ジョボジョボ…
紳士「あの……」
清掃員「はい?」ゴシゴシ
紳士「大変申し訳ありませんが、用を足してもよろしいですか?」
清掃員「あ、どうぞどうぞ」
紳士「では失礼して」スッ
清掃員(ずいぶん礼儀正しい人だな)
ズボンのチャックを開き、立ち小便を始める紳士。
紳士「…………」ジョボジョボ…
清掃員「…………」ゴシゴシ
紳士「…………」ジョボジョボ…
清掃員「…………」フキフキ
紳士「…………」ジョボジョボ…
清掃員「…………」ゴシゴシ
紳士「…………」ジョボジョボ…
清掃員「…………」フキフキ
紳士「…………」ジョボジョボ…
清掃員(──長っ!)
紳士「…………」ジョボジョボ…
清掃員「…………」フキフキ
紳士「…………」ジョボジョボ…
清掃員「…………」ゴシゴシ
紳士「…………」ジョボジョボ…
清掃員「…………」フキフキ
紳士「…………」ジョボジョボ…
清掃員(──長っ!)
紳士「…………」ジョボジョボ…
清掃員(全っ然、途切れない!)
清掃員(いくらなんでも長すぎるだろ!)
清掃員(普通小便なんて、長くてもせいぜい数十秒ってとこだろ!?)
清掃員(いったい何リットル小便出してんだ!?)
紳士「……ふぅ」ブルッ
清掃員(あ、やっと終わった)
紳士「では失敬」ペコッ
清掃員「い、いえ」
清掃員(しかも──)チラッ
清掃員(あれだけ小便を出したのに、便器の外にはまったく飛び散っていない……)
清掃員(長年この仕事やってるけど、こんな人を見るのは初めてだよ)
清掃員(全っ然、途切れない!)
清掃員(いくらなんでも長すぎるだろ!)
清掃員(普通小便なんて、長くてもせいぜい数十秒ってとこだろ!?)
清掃員(いったい何リットル小便出してんだ!?)
紳士「……ふぅ」ブルッ
清掃員(あ、やっと終わった)
紳士「では失敬」ペコッ
清掃員「い、いえ」
清掃員(しかも──)チラッ
清掃員(あれだけ小便を出したのに、便器の外にはまったく飛び散っていない……)
清掃員(長年この仕事やってるけど、こんな人を見るのは初めてだよ)
<町>
紳士(やれやれ、さっきは掃除の人に迷惑をかけてしまったな)
紳士「──ん?」
少女「マッチはいかがですか~! マッチョもいかがですか~!」
マッチョ「いかがですかぁ~」
少女「あたしのマッチは世界でイチバン!」
少女「マッチョは一時間につき銅貨一枚でどんな力仕事でもやりまぁ~す!」
マッチョ「どんな、はちょっと誇大広告じゃないかな……」
紳士(そういえば、この町には──)
紳士(マッチを売る少女と、力仕事の依頼を受けるマッチョのコンビがいると聞いた)
紳士(なんでも二人は同い年のみなしごで)
紳士(町の人からは『マッチョ売りの少女』と親しまれているという)
紳士(……多分、彼らのことだな)
紳士(やれやれ、さっきは掃除の人に迷惑をかけてしまったな)
紳士「──ん?」
少女「マッチはいかがですか~! マッチョもいかがですか~!」
マッチョ「いかがですかぁ~」
少女「あたしのマッチは世界でイチバン!」
少女「マッチョは一時間につき銅貨一枚でどんな力仕事でもやりまぁ~す!」
マッチョ「どんな、はちょっと誇大広告じゃないかな……」
紳士(そういえば、この町には──)
紳士(マッチを売る少女と、力仕事の依頼を受けるマッチョのコンビがいると聞いた)
紳士(なんでも二人は同い年のみなしごで)
紳士(町の人からは『マッチョ売りの少女』と親しまれているという)
紳士(……多分、彼らのことだな)
紳士は少女とマッチョに声をかけることにした。
紳士「こんにちは」
少女「あ、こんにちは~! マッチはいかがですか?」
少女「マッチョもいかがですか?」
マッチョ「ボクは……力だけなら自信あります」ムキッ
紳士「たしかにすごい筋肉だね。だが、今はあいにく間に合っていてね」
紳士「だけど……せっかくだからマッチを一ついただこうかな」
少女「ありがとうございま~す!」
マッチョ「ありがとうございます」
紳士(──む、これはなかなかいいマッチだ)
紳士「このマッチ、試しに一本ここですってみてもいいかね?」
少女「もっちろん! どうぞどうぞ!」
紳士「こんにちは」
少女「あ、こんにちは~! マッチはいかがですか?」
少女「マッチョもいかがですか?」
マッチョ「ボクは……力だけなら自信あります」ムキッ
紳士「たしかにすごい筋肉だね。だが、今はあいにく間に合っていてね」
紳士「だけど……せっかくだからマッチを一ついただこうかな」
少女「ありがとうございま~す!」
マッチョ「ありがとうございます」
紳士(──む、これはなかなかいいマッチだ)
紳士「このマッチ、試しに一本ここですってみてもいいかね?」
少女「もっちろん! どうぞどうぞ!」
初春「糞スレが伸びてる理由もわかりませんし」
初春「百番煎じのSSは、タ書いてる奴も読んでる奴も何考えてるんですかねぇ」
初春「独自性出せないなら創作やるんじゃないっつーの」
初春「臭過ぎて鼻が曲がるわ」
初春「結果スとして面白くないのは許せます。許せるだけで面白くはないんですが」
初春「パクリ二匹目のドジョウ百番煎じは許ケせませんね。書いてて恥ずかしくないんですか?」
初春「ドヤ顔してる暇があればとっとと首吊って死ねよ」
初春「まあ、一番の害悪はそういったSSを持テち上げてる人たちなんですが」
佐天「初春?」
初春「そうネットに書いてありました」
佐天「なんだネットか」
初春「百番煎じのSSは、タ書いてる奴も読んでる奴も何考えてるんですかねぇ」
初春「独自性出せないなら創作やるんじゃないっつーの」
初春「臭過ぎて鼻が曲がるわ」
初春「結果スとして面白くないのは許せます。許せるだけで面白くはないんですが」
初春「パクリ二匹目のドジョウ百番煎じは許ケせませんね。書いてて恥ずかしくないんですか?」
初春「ドヤ顔してる暇があればとっとと首吊って死ねよ」
初春「まあ、一番の害悪はそういったSSを持テち上げてる人たちなんですが」
佐天「初春?」
初春「そうネットに書いてありました」
佐天「なんだネットか」
紳士「…………」シュッ
ボッ……
紳士(ふむ……)
紳士(火は大きすぎず、小さすぎず)
紳士(穏やかで、それでいてマッチとしての使命を果たそうという力強さがある)
紳士(なんというか……心の中まで灯されるようだ)
紳士「このマッチは……実にいいマッチだね」
少女「!」ピクッ
ボッ……
紳士(ふむ……)
紳士(火は大きすぎず、小さすぎず)
紳士(穏やかで、それでいてマッチとしての使命を果たそうという力強さがある)
紳士(なんというか……心の中まで灯されるようだ)
紳士「このマッチは……実にいいマッチだね」
少女「!」ピクッ
少女「でしょでしょ~!? なんたって、このあたしが作ってるんだから!」
紳士「え、このマッチを……君が?」
少女「マッチなんてみんな同じ、なんていう人もいるけど」
少女「やっぱり見る人が見ると分かってくれるのよねぇ~!」
少女「おじさん、さてはプロね!?」
マッチョ「……なんのプロなんだよ」
マッチョ「でも……分かってくれる人に出会えて、よかったね」
マッチョ「こんなふうに褒められるのは初めてだものね」
少女「うん!」
紳士「え、このマッチを……君が?」
少女「マッチなんてみんな同じ、なんていう人もいるけど」
少女「やっぱり見る人が見ると分かってくれるのよねぇ~!」
少女「おじさん、さてはプロね!?」
マッチョ「……なんのプロなんだよ」
マッチョ「でも……分かってくれる人に出会えて、よかったね」
マッチョ「こんなふうに褒められるのは初めてだものね」
少女「うん!」
紳士「その若さでこれほどのマッチを作れるとは、大したものだね」
紳士「もしかして……君はマッチに特別な思い入れがあったりするのかい?」
少女「あっ……」
マッチョ「…………」
紳士「?」
マッチョ「実はボクたち……昔、大きな火事にあったことがあるんです」
紳士「!」
紳士「そうだったのか……。すまなかったね、変なことを聞いてしまって」
少女「ううん、いいの!」
少女「また来てね、おじさん!」
紳士「ああ、また来るよ」
紳士(……火事、か)
紳士「もしかして……君はマッチに特別な思い入れがあったりするのかい?」
少女「あっ……」
マッチョ「…………」
紳士「?」
マッチョ「実はボクたち……昔、大きな火事にあったことがあるんです」
紳士「!」
紳士「そうだったのか……。すまなかったね、変なことを聞いてしまって」
少女「ううん、いいの!」
少女「また来てね、おじさん!」
紳士「ああ、また来るよ」
紳士(……火事、か)
その夜──
<紳士の家>
紳士「今月分の原稿です」
編集者「ありがとうございました」
編集者「先生はいつも締め切りをきっちり守って下さるので助かりますよ」
紳士「それだけが取り柄だからね」
編集者「ところで先生はなぜ、こうも頻繁に引っ越しをされるのです?」
紳士「…………」
紳士「いやなに、つまらない理由さ」
紳士「同じ場所にずっといるより、色んな場所で暮らした方が筆が進むんだよ」
編集者「なぁるほど、さすがは先生!」
紳士(嘘だ)
紳士(私はただ逃げているだけ……)
<紳士の家>
紳士「今月分の原稿です」
編集者「ありがとうございました」
編集者「先生はいつも締め切りをきっちり守って下さるので助かりますよ」
紳士「それだけが取り柄だからね」
編集者「ところで先生はなぜ、こうも頻繁に引っ越しをされるのです?」
紳士「…………」
紳士「いやなに、つまらない理由さ」
紳士「同じ場所にずっといるより、色んな場所で暮らした方が筆が進むんだよ」
編集者「なぁるほど、さすがは先生!」
紳士(嘘だ)
紳士(私はただ逃げているだけ……)
紳士「ところで、読者からの評判はどうだね?」
編集者「先生の冒険小説は、相変わらず好評ですよ!」
編集者「キャラクターやストーリーがしっかりしていて」
編集者「先生の誠実な人柄があらわれてるような感じですね」
紳士「ありがとう」
編集者「特に最新刊の炎の森からの脱出シーンは好評で……」
編集者「こういった小説を読み慣れてる私も、ドキドキしてしまいましたよ」
編集者「なんというか、ものすごくリアリティにあふれていて……」
紳士「!」ギクッ
紳士「そ、そうかい。それはよかった」
編集者「先生の冒険小説は、相変わらず好評ですよ!」
編集者「キャラクターやストーリーがしっかりしていて」
編集者「先生の誠実な人柄があらわれてるような感じですね」
紳士「ありがとう」
編集者「特に最新刊の炎の森からの脱出シーンは好評で……」
編集者「こういった小説を読み慣れてる私も、ドキドキしてしまいましたよ」
編集者「なんというか、ものすごくリアリティにあふれていて……」
紳士「!」ギクッ
紳士「そ、そうかい。それはよかった」
編集者「炎の森、といえば思い出しましたが……」
編集者「ウチの記者部で話題になってるのですが」
編集者「最近、あちこちの町や村で大火事が頻発していましたねえ」
編集者「伝説の放火魔が活動を再開したんじゃ、ってハナシもあるんですよ」
紳士「放火魔が……?」
編集者「はい、かつて無数の町や村で大火災を起こしたという……」
編集者「まあ、あくまでウワサ程度のものですけどね」
紳士「…………」
編集者「先生も火の元には、十分気をつけて下さいね」
紳士「ご忠告ありがとう」
編集者「ではまた、来月うかがいますので!」
ギィィ…… バタン
紳士「放火魔……」
編集者「ウチの記者部で話題になってるのですが」
編集者「最近、あちこちの町や村で大火事が頻発していましたねえ」
編集者「伝説の放火魔が活動を再開したんじゃ、ってハナシもあるんですよ」
紳士「放火魔が……?」
編集者「はい、かつて無数の町や村で大火災を起こしたという……」
編集者「まあ、あくまでウワサ程度のものですけどね」
紳士「…………」
編集者「先生も火の元には、十分気をつけて下さいね」
紳士「ご忠告ありがとう」
編集者「ではまた、来月うかがいますので!」
ギィィ…… バタン
紳士「放火魔……」
その頃──
少女とマッチョは、古びた小屋で暮らしている。
<小屋>
マッチョ「あのさ」
少女「なによ、マッチョ」
マッチョ「昼間に出会ったあの人……。ボクたち、どこかで見たことなかったかな?」
少女「どこかで? 気のせいでしょ?」
マッチョ「そっかぁ……」
少女「あ~、それにしても嬉しかったわ」
少女「やっとあたしの作ったマッチが評価されたんですもの」
少女「うふふふ……」
マッチョ「あまり調子に乗ったらダメだよ」
少女「だれが調子に乗ってるってのよ!」ギロッ
マッチョ「ゴ、ゴメン」
少女とマッチョは、古びた小屋で暮らしている。
<小屋>
マッチョ「あのさ」
少女「なによ、マッチョ」
マッチョ「昼間に出会ったあの人……。ボクたち、どこかで見たことなかったかな?」
少女「どこかで? 気のせいでしょ?」
マッチョ「そっかぁ……」
少女「あ~、それにしても嬉しかったわ」
少女「やっとあたしの作ったマッチが評価されたんですもの」
少女「うふふふ……」
マッチョ「あまり調子に乗ったらダメだよ」
少女「だれが調子に乗ってるってのよ!」ギロッ
マッチョ「ゴ、ゴメン」
翌日──
<町>
紳士「やあ、こんにちは」
少女「こんにちはー!」
マッチョ「こんにちは」
紳士「どうだね、商売は順調かい?」
少女「もうバッチリよ!」
少女「……でも、おじさんが買ってくれたら、もっとバッチリなんだけどな~」
紳士「ハハ、では一箱買わせてもらうよ。君は商売上手だね」
少女「毎度あり~!」
マッチョ(すごいなぁ……ボクもあんな風にしゃべれたらなぁ……)
マッチョ(よ、よ~し、ボクだって……)ゴクッ…
<町>
紳士「やあ、こんにちは」
少女「こんにちはー!」
マッチョ「こんにちは」
紳士「どうだね、商売は順調かい?」
少女「もうバッチリよ!」
少女「……でも、おじさんが買ってくれたら、もっとバッチリなんだけどな~」
紳士「ハハ、では一箱買わせてもらうよ。君は商売上手だね」
少女「毎度あり~!」
マッチョ(すごいなぁ……ボクもあんな風にしゃべれたらなぁ……)
マッチョ(よ、よ~し、ボクだって……)ゴクッ…
突然袖をまくり、右腕に力こぶを作るマッチョ。
マッチョ「紳士さんっ!」ムキッ
紳士「うわっ!?」ビクッ
マッチョ「ボクを使ってくれると……もっとバッチリですよっ!」ムキッ
紳士(おお、すごい力こぶだ!)
紳士(といっても、今力仕事はないが……せっかくだ)
紳士「じゃあこれから私は隣町に出かけるのだが」
紳士「このカバンを持ってもらえるかね?」ニコッ
マッチョ(本当はボクを使うような用なんてないのに、わざわざ……)
マッチョ「あ、ありがとうございますっ! 無理をいってすみませんっ!」
紳士「ハハハ、いいよいいよ。一時間は歩くし、ちょうど話し相手も欲しかったしね」
少女「毎度あり~!」
マッチョ「紳士さんっ!」ムキッ
紳士「うわっ!?」ビクッ
マッチョ「ボクを使ってくれると……もっとバッチリですよっ!」ムキッ
紳士(おお、すごい力こぶだ!)
紳士(といっても、今力仕事はないが……せっかくだ)
紳士「じゃあこれから私は隣町に出かけるのだが」
紳士「このカバンを持ってもらえるかね?」ニコッ
マッチョ(本当はボクを使うような用なんてないのに、わざわざ……)
マッチョ「あ、ありがとうございますっ! 無理をいってすみませんっ!」
紳士「ハハハ、いいよいいよ。一時間は歩くし、ちょうど話し相手も欲しかったしね」
少女「毎度あり~!」
スタスタ……
マッチョ「──で、なんで君まで?」
少女「いいじゃない、別に!」
紳士「ハハ、かまわないさ。短い旅とはいえ、にぎやかな方が楽しいからね」
マッチョ「ところで紳士さんのご用件ってなんですか?」
紳士「取材だよ」
マッチョ「取材?」
紳士「私は小説を書いていてね」
紳士「小説の参考にするために、話を聞きに行くんだよ」
紳士「今日は隣町の女探偵さんを取材するんだ」
少女「へぇ~、わざわざそんなことするなんて、けっこう大変なのね」
マッチョ「紳士さんはそうやって物語を作るんですね」
マッチョ「──で、なんで君まで?」
少女「いいじゃない、別に!」
紳士「ハハ、かまわないさ。短い旅とはいえ、にぎやかな方が楽しいからね」
マッチョ「ところで紳士さんのご用件ってなんですか?」
紳士「取材だよ」
マッチョ「取材?」
紳士「私は小説を書いていてね」
紳士「小説の参考にするために、話を聞きに行くんだよ」
紳士「今日は隣町の女探偵さんを取材するんだ」
少女「へぇ~、わざわざそんなことするなんて、けっこう大変なのね」
マッチョ「紳士さんはそうやって物語を作るんですね」
一時間後、三人は隣町にたどり着いた。
<隣町>
紳士「さて、と。このあたりでいいかな。どうもありがとう」
紳士「はい、代金」チャリン
マッチョ「え、一緒に歩いただけでこんなに!? わ、悪いですよ。お返ししま──」
少女「…………」グサッ
マッチョ「いだぁっ!? 肋骨を指で強打するのはやめてよ!」
少女「マッチョ、親切はちゃんと受け取るのが礼儀なのよ。ね、おじさん」
紳士「ハハハ、そのとおり。受け取ってもらえると嬉しいよ」
紳士「それじゃ、またね」ザッ
少女&マッチョ「さようなら~!」
少女「うふふ、儲かった、儲かった!」ニタァ…
マッチョ(礼儀のカケラもない笑顔だ)
<隣町>
紳士「さて、と。このあたりでいいかな。どうもありがとう」
紳士「はい、代金」チャリン
マッチョ「え、一緒に歩いただけでこんなに!? わ、悪いですよ。お返ししま──」
少女「…………」グサッ
マッチョ「いだぁっ!? 肋骨を指で強打するのはやめてよ!」
少女「マッチョ、親切はちゃんと受け取るのが礼儀なのよ。ね、おじさん」
紳士「ハハハ、そのとおり。受け取ってもらえると嬉しいよ」
紳士「それじゃ、またね」ザッ
少女&マッチョ「さようなら~!」
少女「うふふ、儲かった、儲かった!」ニタァ…
マッチョ(礼儀のカケラもない笑顔だ)
<探偵事務所>
紳士「ここか……」
紳士(物語の展開上、探偵を登場させたいが)
紳士(自分の想像で書いていてもどうもしっくりこなかったからな)
紳士(今日の取材が役に立てばいいが……)
コンコン ギィィ……
紳士「失礼します。本日取材させていただく予定になっていた──」
女探偵「あ、どうも」
紳士「!」
女探偵「!」
紳士「き、君は……!」
女探偵「あなたは……!」
紳士「ここか……」
紳士(物語の展開上、探偵を登場させたいが)
紳士(自分の想像で書いていてもどうもしっくりこなかったからな)
紳士(今日の取材が役に立てばいいが……)
コンコン ギィィ……
紳士「失礼します。本日取材させていただく予定になっていた──」
女探偵「あ、どうも」
紳士「!」
女探偵「!」
紳士「き、君は……!」
女探偵「あなたは……!」
女探偵「生きて……いらしたんですね、先輩」
紳士「…………」
女探偵「探しましたよ、ずっと」
女探偵「消防団を辞めて探偵になったのも、あなたを探すためだったんですから」
女探偵「でもまさか……こんな形で再会できるなんて……」
紳士「…………」
女探偵「みんな、あの時のことを反省しています」
女探偵「私も消防団に戻ってくれとはいいません」
女探偵「でも、もう一度消火人としてやり直すことはできないでしょうか……?」
紳士「すまない……」
紳士「これは今日の取材費だ。受け取ってくれ」スッ
女探偵「先輩っ!」バッ
バタン……
女探偵(いえ……今の私に追う権利なんてないわ……)
紳士「…………」
女探偵「探しましたよ、ずっと」
女探偵「消防団を辞めて探偵になったのも、あなたを探すためだったんですから」
女探偵「でもまさか……こんな形で再会できるなんて……」
紳士「…………」
女探偵「みんな、あの時のことを反省しています」
女探偵「私も消防団に戻ってくれとはいいません」
女探偵「でも、もう一度消火人としてやり直すことはできないでしょうか……?」
紳士「すまない……」
紳士「これは今日の取材費だ。受け取ってくれ」スッ
女探偵「先輩っ!」バッ
バタン……
女探偵(いえ……今の私に追う権利なんてないわ……)
紳士(すまない……)
紳士(しかし、あの頃のことを思い出すたび、私は身震いしてしまうんだ)
紳士(それにしても、まさかこんなところで彼女に会うとは……)
紳士(また近いうちに、引っ越さねばならないようだな)
紳士(もっと遠くの、かつての私を知る者などいない土地に……)
紳士(私は……)
紳士(いったいいつまでこうして逃げ続けるのだろうか……)
紳士(しかし、あの頃のことを思い出すたび、私は身震いしてしまうんだ)
紳士(それにしても、まさかこんなところで彼女に会うとは……)
紳士(また近いうちに、引っ越さねばならないようだな)
紳士(もっと遠くの、かつての私を知る者などいない土地に……)
紳士(私は……)
紳士(いったいいつまでこうして逃げ続けるのだろうか……)
一方、その頃──
<町の本屋>
少女「これよね? あのおじさんの小説って」
マッチョ「うん」
少女「じゃあさ、さっきおじさんにもらったお金で買いましょ」
マッチョ「えぇ!?」
マッチョ「紳士さんからもらったお金を、そのままこの本の代金に使うのは」
マッチョ「なんだか失礼な気がするんだけどなぁ……」
少女「アンタってホントそういう細かいこと気にしすぎよ!」
少女「おじちゃ~ん、この本買うわ」
店主「あいよ~!」
<町の本屋>
少女「これよね? あのおじさんの小説って」
マッチョ「うん」
少女「じゃあさ、さっきおじさんにもらったお金で買いましょ」
マッチョ「えぇ!?」
マッチョ「紳士さんからもらったお金を、そのままこの本の代金に使うのは」
マッチョ「なんだか失礼な気がするんだけどなぁ……」
少女「アンタってホントそういう細かいこと気にしすぎよ!」
少女「おじちゃ~ん、この本買うわ」
店主「あいよ~!」
<小屋>
少女「おんもしろ~い!」
少女「マッチョ、早く次のページにいきなさいよ!」
マッチョ「ま、待ってよ。ボク、読むの遅いんだからさ」
少女「んもう、なんで体は大きいのに文字読むのは遅いのよ!」
マッチョ「体の大きさは関係ないだろ」
マッチョ「でも、本当に面白いね」
マッチョ「特にこの炎の森の描写なんか、思わずあの時のことを思い出しちゃったよ」
少女「あ、あたしも……」
マッチョ「あの時ボクらを助け出してくれた人、今も元気にしてるかなぁ」
少女「そうねえ……あの時のおじさんの顔……」
少女「なんだか急に思い出してきたわ──」
少女「!」ハッ
少女「おんもしろ~い!」
少女「マッチョ、早く次のページにいきなさいよ!」
マッチョ「ま、待ってよ。ボク、読むの遅いんだからさ」
少女「んもう、なんで体は大きいのに文字読むのは遅いのよ!」
マッチョ「体の大きさは関係ないだろ」
マッチョ「でも、本当に面白いね」
マッチョ「特にこの炎の森の描写なんか、思わずあの時のことを思い出しちゃったよ」
少女「あ、あたしも……」
マッチョ「あの時ボクらを助け出してくれた人、今も元気にしてるかなぁ」
少女「そうねえ……あの時のおじさんの顔……」
少女「なんだか急に思い出してきたわ──」
少女「!」ハッ
翌日──
<町>
紳士(近いうちに引っ越さないとな……)
紳士(そうだ、引っ越しの時はあのマッチョ君たちに手伝ってもらうか……)
すると──
少女「あ、いたいた!」
少女「おじさぁ~ん!」タッタッタ
マッチョ「紳士さん」タッタッタ
紳士「おお、どうしたんだい?」
少女「ちょっとお話しがあるから、あたしたちの家に来てくれない?」
紳士「?」
紳士「ああ、いいとも」
<町>
紳士(近いうちに引っ越さないとな……)
紳士(そうだ、引っ越しの時はあのマッチョ君たちに手伝ってもらうか……)
すると──
少女「あ、いたいた!」
少女「おじさぁ~ん!」タッタッタ
マッチョ「紳士さん」タッタッタ
紳士「おお、どうしたんだい?」
少女「ちょっとお話しがあるから、あたしたちの家に来てくれない?」
紳士「?」
紳士「ああ、いいとも」
<小屋>
紳士「ほう、なかなかいい家じゃないか」
紳士「ところで私に用というのは?」
少女「それにはまず、あたしたちの昔話を聞いて欲しいの」
紳士「昔話?」
マッチョ「はい、元々ボクらはある田舎の村に住んでたんです」
マッチョ「ボクたち二人とも、物心ついた時には天涯孤独の身だったんですけど」
マッチョ「村の人たちはとてもよくしてくれてました」
少女「だけど、あの日──……」
………
……
…
紳士「ほう、なかなかいい家じゃないか」
紳士「ところで私に用というのは?」
少女「それにはまず、あたしたちの昔話を聞いて欲しいの」
紳士「昔話?」
マッチョ「はい、元々ボクらはある田舎の村に住んでたんです」
マッチョ「ボクたち二人とも、物心ついた時には天涯孤独の身だったんですけど」
マッチョ「村の人たちはとてもよくしてくれてました」
少女「だけど、あの日──……」
………
……
…
~ 回想 ~
<村>
少女「わぁ~い、わぁ~い!」タタタッ
少年「待ってよ~!」タタタッ
少女「ほら、おいてっちゃうわよ~」タタタッ
少年「うう……っ」ウルッ
少女「もう、すぐ泣くんだから! この泣きむし!」
少年「ゴ、ゴメン……」グスッ
村人「コラコラ、二人とも仲良くしな」
少女「はぁ~い!」
少年「はい……」グスッ
<村>
少女「わぁ~い、わぁ~い!」タタタッ
少年「待ってよ~!」タタタッ
少女「ほら、おいてっちゃうわよ~」タタタッ
少年「うう……っ」ウルッ
少女「もう、すぐ泣くんだから! この泣きむし!」
少年「ゴ、ゴメン……」グスッ
村人「コラコラ、二人とも仲良くしな」
少女「はぁ~い!」
少年「はい……」グスッ
村人「ところで、最近村で何度かボヤが起こってるんだ」
村人「空気が乾燥してるから、それが原因だと思うんだが……」
村人「二人ももし火元を見つけたら、すぐに大人に知らせるんだぞ」
村人「家や畑が燃えたら、一大事だからな」
少女「はぁ~い」
少年「はい」
少女「みんな、しんぱいのしすぎよねえ」
少女「ちょっとボヤがあるぐらいのほうが、おおきい火事にならなくていいのよ」
少年「そのりくつはおかしいと思うなぁ……」
村人「空気が乾燥してるから、それが原因だと思うんだが……」
村人「二人ももし火元を見つけたら、すぐに大人に知らせるんだぞ」
村人「家や畑が燃えたら、一大事だからな」
少女「はぁ~い」
少年「はい」
少女「みんな、しんぱいのしすぎよねえ」
少女「ちょっとボヤがあるぐらいのほうが、おおきい火事にならなくていいのよ」
少年「そのりくつはおかしいと思うなぁ……」
その夜──
<村人の家>
村人「ぐう……ぐう……」
少年「すう……すう……」
少女「ちょっと! ねえ、起きて!」ユサユサ
少年「ん? なんだよぉ……」ムニャ…
少女「ねえ……なんかいいニオイしない?」
少年「……あ、たしかに!」クンクン
少女「村のだれかが夜食でもつくってるのかも! 行ってみようよ」タタタッ
少年「あっ、待ってよぉ!」
<村人の家>
村人「ぐう……ぐう……」
少年「すう……すう……」
少女「ちょっと! ねえ、起きて!」ユサユサ
少年「ん? なんだよぉ……」ムニャ…
少女「ねえ……なんかいいニオイしない?」
少年「……あ、たしかに!」クンクン
少女「村のだれかが夜食でもつくってるのかも! 行ってみようよ」タタタッ
少年「あっ、待ってよぉ!」
少女「こっちからだわ……」クンクン
少年「待って。暗くてこわいよぉ……」グスッ…
すると──
メラメラ…… パチパチ……
放火魔「どんな風に焼けるかな? どんな風に燃えるかなァ~?」
放火魔「ボクの特製、超可燃性オリーブオイルで、この村はウェルダンだァ~」カチッカチッ
水筒から垂らしたオリーブオイルに、火打ち石で火をつける放火魔。
ボワァッ……
少年「なにあの人……石をぶつけて火をつけてるよ」ボソッ
少年「どんどん火が広がってく……」ボソッ
少年「どうしよう……村が……!」ガタガタ…
少女「そんなの決まってるじゃない!」ダッ
少年「待って。暗くてこわいよぉ……」グスッ…
すると──
メラメラ…… パチパチ……
放火魔「どんな風に焼けるかな? どんな風に燃えるかなァ~?」
放火魔「ボクの特製、超可燃性オリーブオイルで、この村はウェルダンだァ~」カチッカチッ
水筒から垂らしたオリーブオイルに、火打ち石で火をつける放火魔。
ボワァッ……
少年「なにあの人……石をぶつけて火をつけてるよ」ボソッ
少年「どんどん火が広がってく……」ボソッ
少年「どうしよう……村が……!」ガタガタ…
少女「そんなの決まってるじゃない!」ダッ
少女「ちょっとアンタ! なにやってんのよ!?」
少年「あわわ……」ガタガタ…
放火魔「ン~?」
少女「いますぐ火を消さないと、ひどいめにあわすわよ!」
放火魔「子供か……ボクのファイヤータイムのジャマをしないで欲しいなァ」
放火魔「マイ火打ち石で、ちょっと大人しくしててもらおうか」ブンッ
ガツッ! ゴッ!
少女と少年は、火打ち石であっさり殴り倒された。
少女「うぅ……っ!」ドサッ
少年「あう……」ドサッ
少年「あわわ……」ガタガタ…
放火魔「ン~?」
少女「いますぐ火を消さないと、ひどいめにあわすわよ!」
放火魔「子供か……ボクのファイヤータイムのジャマをしないで欲しいなァ」
放火魔「マイ火打ち石で、ちょっと大人しくしててもらおうか」ブンッ
ガツッ! ゴッ!
少女と少年は、火打ち石であっさり殴り倒された。
少女「うぅ……っ!」ドサッ
少年「あう……」ドサッ
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