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元スレ勇者「さて、魔王を倒すか」
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魔王「勇者が旅に出たという情報が入ってから、もう三年か」
従者「はい、三年が経ちます」
魔王「ということは、お前を雇い入れて三年が経つのだな」
従者「ですね。もう三年、時の流れは早いです」
魔王「時は巡り、生きとし生けるものは移り変わっていく、か・・・」
従者「なんの事です?魔王さまはいつもとお変わりないようですが」
魔王「お前の事だ」
従者「変わった・・・、私って変わりました?」
魔王「どうだろうな」
従者「あっ、もしかして今からかってます?」
魔王「(三年か・・・)」
従者「はい、三年が経ちます」
魔王「ということは、お前を雇い入れて三年が経つのだな」
従者「ですね。もう三年、時の流れは早いです」
魔王「時は巡り、生きとし生けるものは移り変わっていく、か・・・」
従者「なんの事です?魔王さまはいつもとお変わりないようですが」
魔王「お前の事だ」
従者「変わった・・・、私って変わりました?」
魔王「どうだろうな」
従者「あっ、もしかして今からかってます?」
魔王「(三年か・・・)」
~三年前~
家来「魔王様!たった今、斥候から勇者が旅へと出発した、との情報が入りました」
魔王「・・・そうか」
魔王「御苦労、下がってよい」
従者「五年ぶり・・・ですかの」
魔王「爺、居たのか。腰痛で寝込んでいたと聞いていたが」
従者「ふぉっふぉっふぉ。勇者が旅に出たと聞いたのでな、老骨に鞭を打って出てきたのじゃよ」
魔王「自分で老骨と言うか」
従者「じゃが、事実その通りじゃ。わしの存命中には後任を決めていただかねばなりませぬぞ」
魔王「まだまだくたばりそうにないが。しかし、勇者が出たとなれば新たに家来を雇い入れぬとな」
従者「そうじゃのう、前勇者の時はかなり激しい戦いになったしの」
魔王「うむ、適当に募集を頼む。人選も任せた」
家来「魔王様!たった今、斥候から勇者が旅へと出発した、との情報が入りました」
魔王「・・・そうか」
魔王「御苦労、下がってよい」
従者「五年ぶり・・・ですかの」
魔王「爺、居たのか。腰痛で寝込んでいたと聞いていたが」
従者「ふぉっふぉっふぉ。勇者が旅に出たと聞いたのでな、老骨に鞭を打って出てきたのじゃよ」
魔王「自分で老骨と言うか」
従者「じゃが、事実その通りじゃ。わしの存命中には後任を決めていただかねばなりませぬぞ」
魔王「まだまだくたばりそうにないが。しかし、勇者が出たとなれば新たに家来を雇い入れぬとな」
従者「そうじゃのう、前勇者の時はかなり激しい戦いになったしの」
魔王「うむ、適当に募集を頼む。人選も任せた」
数日後
魔王「四人、四人か。少なくはないか?」
従者「量より質、将と成り得る人材じゃ。この爺の眼力、衰えてはおりませぬぞ」
従者「お前たち、魔王様の前に並びなさい」
魔王「ふむ。左から竜人族、魔剣士、魔獣族と・・・、お前は魔術師だな」
魔術師「は、はひ」
従者「端から順に自己紹介をせよ」
魔術師「は」竜人「はっ!私は竜人村の出、魔王様に使えるべくこの日の為に己を鍛え上げました」
魔剣士「拙者は魔界武道会を勝ち上がりここに至りまする。陛下のもとで武勲を立て、忠節を尽くす所存」
魔獣「我が一族は代々魔王様に仕えております。此度は我が一族から新たにお引き立て頂き、有難うございます」
魔術師「あ、えと。私は黒魔術や召喚が得意です。りょ、料理や掃除も好きです!魔王様のためにがんばります!」
魔王「なるほど。各自、下がってよい。分からぬ事は従者に尋ねろ」
魔王「おい従者、(なんかダメそうなのが混ざっているが)」ヒソヒソ
従者「(実力は確かじゃよ)」ヒソ
魔王「四人、四人か。少なくはないか?」
従者「量より質、将と成り得る人材じゃ。この爺の眼力、衰えてはおりませぬぞ」
従者「お前たち、魔王様の前に並びなさい」
魔王「ふむ。左から竜人族、魔剣士、魔獣族と・・・、お前は魔術師だな」
魔術師「は、はひ」
従者「端から順に自己紹介をせよ」
魔術師「は」竜人「はっ!私は竜人村の出、魔王様に使えるべくこの日の為に己を鍛え上げました」
魔剣士「拙者は魔界武道会を勝ち上がりここに至りまする。陛下のもとで武勲を立て、忠節を尽くす所存」
魔獣「我が一族は代々魔王様に仕えております。此度は我が一族から新たにお引き立て頂き、有難うございます」
魔術師「あ、えと。私は黒魔術や召喚が得意です。りょ、料理や掃除も好きです!魔王様のためにがんばります!」
魔王「なるほど。各自、下がってよい。分からぬ事は従者に尋ねろ」
魔王「おい従者、(なんかダメそうなのが混ざっているが)」ヒソヒソ
従者「(実力は確かじゃよ)」ヒソ
夕刻
竜人「ふう、今日の任務は終わりか。初日はこんなものかな」
魔剣士「しかし、この目で見ると凄まじい迫力でござるな。あれが魔を統べる王、禍々しい力を感じましたぞ」
魔獣「力だけじゃなく眉目秀麗だしねぇ、強いしカッコいいし憧れちゃうよ」
魔術師「それに・・・、優しそうでした」
一同「えっ」
竜人「これはこれは。あの魔王様を目にしておいて優しそうとは、驚天動地でござるな」
魔剣士「真似はやめるでござる。だが、魔術師殿には少々変わってるところがありますな」
魔術師「そうですか?」
魔獣「それよりさ、明日から本格的に警備だけど配属って聞いた?俺は東塔らしいんだよね」
竜人「俺は西塔だ、料理が旨いらしいんだよぉ。ヨダレずびっ!」
魔剣士「拙者は南塔、剣士が多いようなので楽しみでござる」
魔術師「(え、私なにも言われてないよ?)」
竜人「ふう、今日の任務は終わりか。初日はこんなものかな」
魔剣士「しかし、この目で見ると凄まじい迫力でござるな。あれが魔を統べる王、禍々しい力を感じましたぞ」
魔獣「力だけじゃなく眉目秀麗だしねぇ、強いしカッコいいし憧れちゃうよ」
魔術師「それに・・・、優しそうでした」
一同「えっ」
竜人「これはこれは。あの魔王様を目にしておいて優しそうとは、驚天動地でござるな」
魔剣士「真似はやめるでござる。だが、魔術師殿には少々変わってるところがありますな」
魔術師「そうですか?」
魔獣「それよりさ、明日から本格的に警備だけど配属って聞いた?俺は東塔らしいんだよね」
竜人「俺は西塔だ、料理が旨いらしいんだよぉ。ヨダレずびっ!」
魔剣士「拙者は南塔、剣士が多いようなので楽しみでござる」
魔術師「(え、私なにも言われてないよ?)」
翌日
魔王「従者よ、なぜ人々は勇者を送り込むのだろうな」
従者「なぜ、とは異なことを。分かっておるじゃろう?魔王の覇気、その力を」
従者「脆弱な人間にとって、魔王は存在自体が害悪じゃ。魔王から溢れ出る呪いの瘴気により毎年幾多もの人間が死ぬ」
魔王「それは分かっておる、だが送りこまれる勇者を幾度となく屠ってきたのだ。いい加減学習するべきではないか?」
魔王「仮に、私を倒したところで人間どもは今の国境を維持するのが精一杯だ。魔族が内政を省みず攻め立てれば滅ぶ」
従者「ふむ、勇者を送り込む理由」
従者「人間は、希望・・・とでも仄めかすのであろうの」
魔王「希望、か。都合の良い言葉だ」
従者「そうじゃな。・・・む、魔術師が来たようじゃな」
魔王「何?魔術師を呼んだのか」
従者「うむ、本城に配置する。わしは北塔じゃ」
魔王「お前は何を考えている」
従者「なに、今に分かる」
魔術師「あの、従者様。私はどこに配置されたのでしょうか・・・」
魔王「従者よ、なぜ人々は勇者を送り込むのだろうな」
従者「なぜ、とは異なことを。分かっておるじゃろう?魔王の覇気、その力を」
従者「脆弱な人間にとって、魔王は存在自体が害悪じゃ。魔王から溢れ出る呪いの瘴気により毎年幾多もの人間が死ぬ」
魔王「それは分かっておる、だが送りこまれる勇者を幾度となく屠ってきたのだ。いい加減学習するべきではないか?」
魔王「仮に、私を倒したところで人間どもは今の国境を維持するのが精一杯だ。魔族が内政を省みず攻め立てれば滅ぶ」
従者「ふむ、勇者を送り込む理由」
従者「人間は、希望・・・とでも仄めかすのであろうの」
魔王「希望、か。都合の良い言葉だ」
従者「そうじゃな。・・・む、魔術師が来たようじゃな」
魔王「何?魔術師を呼んだのか」
従者「うむ、本城に配置する。わしは北塔じゃ」
魔王「お前は何を考えている」
従者「なに、今に分かる」
魔術師「あの、従者様。私はどこに配置されたのでしょうか・・・」
―玉座の間―
魔王「・・・」
魔術師「・・・」チラッ
魔王「・・・」
魔術師「・・・」チラッ
魔王「・・・」ジッ
魔術師「っ!」サッ
魔王「聞きたいことでもあるのか」
魔術師「い、い、いえ。大丈夫です」
魔王「さっきから私の様子を伺っていただろう、申してみよ」
魔術師「え、その。魔王様は・・・なにがお好きなのかなぁと思っていただけで」
魔王「何とは。何がだ・・・」
魔術師「ごは・・・じゃなくて、お食事です。どういったお料理がお好きなのでしょうか」
魔王「・・・」
魔術師「・・・」チラッ
魔王「・・・」
魔術師「・・・」チラッ
魔王「・・・」ジッ
魔術師「っ!」サッ
魔王「聞きたいことでもあるのか」
魔術師「い、い、いえ。大丈夫です」
魔王「さっきから私の様子を伺っていただろう、申してみよ」
魔術師「え、その。魔王様は・・・なにがお好きなのかなぁと思っていただけで」
魔王「何とは。何がだ・・・」
魔術師「ごは・・・じゃなくて、お食事です。どういったお料理がお好きなのでしょうか」
―食堂―
魔王「なるほど、さっきのはこういう事か。この飯はお前が作ったのか?」
魔術師「はい。えと、お気に召しませんでした?」
魔王「いや、見た目は今までと遜色ない」
魔王「味は・・・。旨い」
魔術師「本当ですか魔王様!?嬉しいです!」
魔王「(・・・驚いたな、これほどまでに旨い飯は初めてだ)」
魔術師「~♪」
魔王「おい」
魔術師「ひゃい!?」
魔王「これからもお前が作るのか?」
魔術師「そ、そうみたいです」
魔王「そうか」
魔術師「~♪~♪」
魔王「なるほど、さっきのはこういう事か。この飯はお前が作ったのか?」
魔術師「はい。えと、お気に召しませんでした?」
魔王「いや、見た目は今までと遜色ない」
魔王「味は・・・。旨い」
魔術師「本当ですか魔王様!?嬉しいです!」
魔王「(・・・驚いたな、これほどまでに旨い飯は初めてだ)」
魔術師「~♪」
魔王「おい」
魔術師「ひゃい!?」
魔王「これからもお前が作るのか?」
魔術師「そ、そうみたいです」
魔王「そうか」
魔術師「~♪~♪」
一ヶ月後
魔術師「魔王様、お出かけですか?」
魔王「お前たちを雇い入れ、ひと月が経った」
魔王「今日は各塔を視察する、場合によっては采配を振る」
魔術師「さいはい??」
魔王「・・・。夜には戻る」
魔術師「分かりました」
―東塔―
魔王「よく統率されているな、美しい方陣だ」
魔獣「恐悦至極に存じます」
―西塔―
竜人「魔王様、ご足労頂き有難うございます」
魔王「屈強な兵が育っている、引き続き励行せよ」
魔術師「魔王様、お出かけですか?」
魔王「お前たちを雇い入れ、ひと月が経った」
魔王「今日は各塔を視察する、場合によっては采配を振る」
魔術師「さいはい??」
魔王「・・・。夜には戻る」
魔術師「分かりました」
―東塔―
魔王「よく統率されているな、美しい方陣だ」
魔獣「恐悦至極に存じます」
―西塔―
竜人「魔王様、ご足労頂き有難うございます」
魔王「屈強な兵が育っている、引き続き励行せよ」
―南塔―
魔王「剣技の鍛錬か。どれ、少し手ほどきしてやろう」
魔剣士「あ、有り難き幸せ。どうぞお手柔らかに願います」
―北塔―
従者「王手」
魔王「なるほど、そう来るか」
―本城―
魔王「(予定よりも随分と早く終わった)」
魔王「・・・やはり玉座は落ち着くな」
魔王「・・・?」
魔王「魔術師が居ないようだが」
家来「はっ!この時間帯ですと厨房かと思われます」
魔王「そうか」
魔王「(そう言えば、あの飯の旨さは一体どうなっているのだろうか)」
魔王「剣技の鍛錬か。どれ、少し手ほどきしてやろう」
魔剣士「あ、有り難き幸せ。どうぞお手柔らかに願います」
―北塔―
従者「王手」
魔王「なるほど、そう来るか」
―本城―
魔王「(予定よりも随分と早く終わった)」
魔王「・・・やはり玉座は落ち着くな」
魔王「・・・?」
魔王「魔術師が居ないようだが」
家来「はっ!この時間帯ですと厨房かと思われます」
魔王「そうか」
魔王「(そう言えば、あの飯の旨さは一体どうなっているのだろうか)」
―厨房―
魔王「(ふむ、自分の城だが厨房に来るのは初めてだ)」ソッ
魔術師「~♪」
魔術師「今日はお疲れになっているかもしれないし、疲労回復の食材を多めにしましょう」ザクザク
魔王「(良く働いているようだな)」
魔術師「魔王様は毎日残さずお召し上がりになって、毎回美味しいと褒めて下さります」グツグツ
魔術師「魔術師はとても幸せですよ」
魔王「・・・」
魔術師「今日も美味しいって言ってくれるのかなぁ・・・」
魔術師「・・・お、おいしくな~れ」ビシッ
魔王「(何だあのポーズは)」
その日の晩
魔王「・・・旨い」
魔術師「ありがとうございますっ!」
魔術師「~♪」
魔王「(ふむ、自分の城だが厨房に来るのは初めてだ)」ソッ
魔術師「~♪」
魔術師「今日はお疲れになっているかもしれないし、疲労回復の食材を多めにしましょう」ザクザク
魔王「(良く働いているようだな)」
魔術師「魔王様は毎日残さずお召し上がりになって、毎回美味しいと褒めて下さります」グツグツ
魔術師「魔術師はとても幸せですよ」
魔王「・・・」
魔術師「今日も美味しいって言ってくれるのかなぁ・・・」
魔術師「・・・お、おいしくな~れ」ビシッ
魔王「(何だあのポーズは)」
その日の晩
魔王「・・・旨い」
魔術師「ありがとうございますっ!」
魔術師「~♪」
深夜
魔王「(今日は少しばかり暑いな、目が冴えて眠れない)」
魔王「冷水でも汲みに行くか」
―井戸―
魔王「・・・」コクコク
魔王「・・・うむ」
魔王「・・・何だ?微かだが魔力を感じる。城内のようだが」
―修練場―
魔王「(修練場か、防護壁によって魔力は遮断されるはずだが)」ソッ
魔術師「・・・」
魔王「(魔術師が瞑想をしている。・・・しかし、これほどまでに凄まじい魔力を持っているとはな)」スッ
魔王「(近づいても気づかない、中々の集中力だ)」
魔王「おい」
魔術師「ひょいっ!!?!?」ガタタッ
魔王「こんな夜中に何をしている」
魔王「(今日は少しばかり暑いな、目が冴えて眠れない)」
魔王「冷水でも汲みに行くか」
―井戸―
魔王「・・・」コクコク
魔王「・・・うむ」
魔王「・・・何だ?微かだが魔力を感じる。城内のようだが」
―修練場―
魔王「(修練場か、防護壁によって魔力は遮断されるはずだが)」ソッ
魔術師「・・・」
魔王「(魔術師が瞑想をしている。・・・しかし、これほどまでに凄まじい魔力を持っているとはな)」スッ
魔王「(近づいても気づかない、中々の集中力だ)」
魔王「おい」
魔術師「ひょいっ!!?!?」ガタタッ
魔王「こんな夜中に何をしている」
魔術師「ま、魔王様。魔力の修練をするために瞑想を」
魔王「見れば分かる。何故こんな夜中に瞑想をしている」
魔術師「あの、その。日中はお仕事や雑務で忙しい日が多くて」
魔術師「なかなかまとまった時間がとれなくて、あまり魔力の修練ができていなくて」
魔術師「でも、魔王様のお力添えになるためには日々の修練が欠かせません、だから夜はここに来て瞑想を」
魔王「そうか、では明日にでも仕事量の調整を行う」
魔術師「ダ、ダメですそんな!」
魔王「そのくらいの融通は利く」
魔術師「私が勝手にやっていたことなので、ご迷惑をかけるわけには」
魔王「魔術師」
魔術師「・・・はい」
魔王「仕事についてはお前が口出す事ではない」
魔王「だが、私の為を思って修練をしていた、と言ったな。その姿勢は評価する」
魔王「・・・あと一つ。夜はゆっくりと休んで良いのだ、分かったな」
魔術師「・・・っ!はい!!」
魔王「見れば分かる。何故こんな夜中に瞑想をしている」
魔術師「あの、その。日中はお仕事や雑務で忙しい日が多くて」
魔術師「なかなかまとまった時間がとれなくて、あまり魔力の修練ができていなくて」
魔術師「でも、魔王様のお力添えになるためには日々の修練が欠かせません、だから夜はここに来て瞑想を」
魔王「そうか、では明日にでも仕事量の調整を行う」
魔術師「ダ、ダメですそんな!」
魔王「そのくらいの融通は利く」
魔術師「私が勝手にやっていたことなので、ご迷惑をかけるわけには」
魔王「魔術師」
魔術師「・・・はい」
魔王「仕事についてはお前が口出す事ではない」
魔王「だが、私の為を思って修練をしていた、と言ったな。その姿勢は評価する」
魔王「・・・あと一つ。夜はゆっくりと休んで良いのだ、分かったな」
魔術師「・・・っ!はい!!」
そして、幾ばくかの月日が経ち
魔術師「痛っ・・・」
魔王「どうした」
魔術師「書類で、手を切ってしまいました」
魔王「そうか、手を貸せ」
魔術師「へっ?」
魔王「早くしろ」
魔術師「は、はいっ!」スッ
魔王「ふむ」ギュッ
魔術師「(て、手が・・・)」ドキッ///
魔術師「・・・。・・・これは、回復魔法?」
魔王「苦手ではあるが、これくらいの回復魔法なら使える」
魔術師「あ、あの。魔王様、どうして・・・私なんかに」
魔王「理由が必要なことなのか?」
魔術師「・・・っ!・・・ありがとうございます、魔王さま」
魔術師「痛っ・・・」
魔王「どうした」
魔術師「書類で、手を切ってしまいました」
魔王「そうか、手を貸せ」
魔術師「へっ?」
魔王「早くしろ」
魔術師「は、はいっ!」スッ
魔王「ふむ」ギュッ
魔術師「(て、手が・・・)」ドキッ///
魔術師「・・・。・・・これは、回復魔法?」
魔王「苦手ではあるが、これくらいの回復魔法なら使える」
魔術師「あ、あの。魔王様、どうして・・・私なんかに」
魔王「理由が必要なことなのか?」
魔術師「・・・っ!・・・ありがとうございます、魔王さま」
ある晩のこと
魔術師「魔王さま、ごはんの時間ですよ」
魔王「もうそんな時間か、ご苦労」
魔術師「今日はビーフシチューです」
魔王「久しく食べていなかったな、良い香りだ」
魔王「うむ、いつもながら旨い」
魔術師「ありがとうございます!」
魔王「・・・」
魔王「して、魔術師よ。お前はいつ飯を食べているのだ」
魔術師「・・・?魔王さまがお召し上がりになったあとです」
魔王「そうか、次からは同じ卓に着け。・・・せっかくの旨い飯だ、冷めた状態で食う必要もあるまい」
魔術師「そ、それは。あの、そういう訳にはまいらないでござる、ございます。わ、私なんかがそんな」
魔王「断るつもりか?」
魔術師「い、いえ!その、とっても嬉しいです・・・」
魔術師「(魔王さまと一緒にごはん!?)」ドキドキ
魔術師「魔王さま、ごはんの時間ですよ」
魔王「もうそんな時間か、ご苦労」
魔術師「今日はビーフシチューです」
魔王「久しく食べていなかったな、良い香りだ」
魔王「うむ、いつもながら旨い」
魔術師「ありがとうございます!」
魔王「・・・」
魔王「して、魔術師よ。お前はいつ飯を食べているのだ」
魔術師「・・・?魔王さまがお召し上がりになったあとです」
魔王「そうか、次からは同じ卓に着け。・・・せっかくの旨い飯だ、冷めた状態で食う必要もあるまい」
魔術師「そ、それは。あの、そういう訳にはまいらないでござる、ございます。わ、私なんかがそんな」
魔王「断るつもりか?」
魔術師「い、いえ!その、とっても嬉しいです・・・」
魔術師「(魔王さまと一緒にごはん!?)」ドキドキ
ある日の午前中
魔王「ふむ、雇用対策が必要だな。公共事業の拡大に重点を置く、と従者に伝えよ」
魔王「それと、王国の動向が気になる。南方の砦に兵を派遣し守りを固めよ、と南塔へ伝えよ」
家来「はっ」
魔王「以上だ、下がってよい」
魔術師「(魔王さまは内政も軍の指揮も全て一人でこなしてしまいます、いつ見てもすごい手腕です)」
魔術師「お疲れさまです、魔王さま。紅茶の用意ができましたよ」
魔王「うむ」
魔術師「(ふふっ、魔王さまは紅茶にお砂糖たくさん入れるのがお好きな事、魔術師はちゃんと知ってますからね)」
魔王「今日は・・・、パンジーか」
魔術師「え?」
魔王「月曜はいつもその花を挿しているだろう。好きなのか?」
魔術師「あ、す、好きですっ!」
魔王「そうか」
魔術師「(私、なんだか・・・、なんだかとっても嬉しいです)」ドキドキ///
魔王「ふむ、雇用対策が必要だな。公共事業の拡大に重点を置く、と従者に伝えよ」
魔王「それと、王国の動向が気になる。南方の砦に兵を派遣し守りを固めよ、と南塔へ伝えよ」
家来「はっ」
魔王「以上だ、下がってよい」
魔術師「(魔王さまは内政も軍の指揮も全て一人でこなしてしまいます、いつ見てもすごい手腕です)」
魔術師「お疲れさまです、魔王さま。紅茶の用意ができましたよ」
魔王「うむ」
魔術師「(ふふっ、魔王さまは紅茶にお砂糖たくさん入れるのがお好きな事、魔術師はちゃんと知ってますからね)」
魔王「今日は・・・、パンジーか」
魔術師「え?」
魔王「月曜はいつもその花を挿しているだろう。好きなのか?」
魔術師「あ、す、好きですっ!」
魔王「そうか」
魔術師「(私、なんだか・・・、なんだかとっても嬉しいです)」ドキドキ///
雨の日のこと
魔王「・・・」ペラッ
魔術師「(今日の魔王さまは読書中)」
魔術師「(何を読まれているのでしょうか、気になります)」
魔術師「(・・・また)」
魔術師「(また魔王さまの事を考えてしまいました)」
魔術師「(最近、気がつけば魔王さまの事ばかり考えています・・・)」
魔術師「(・・・どうしてでしょう)」
魔術師「・・・」チラッ
魔王「・・・」ペラッ
魔術師「(ぱっと見には無愛想だけど、本当は表情豊かです)」
魔術師「(甘いものをお召し上がりになる時は、少しだけ顔がほころびます)」
魔術師「(私の用意したごはんをお召し上がりになる時は、もう少しだけ顔がほころびます)」
魔術師「(普段、私が一番目にしている魔王さまは、いつも優しい表情をしています)」
魔術師「(・・・気になります)」
魔王「・・・」ペラッ
魔術師「(今日の魔王さまは読書中)」
魔術師「(何を読まれているのでしょうか、気になります)」
魔術師「(・・・また)」
魔術師「(また魔王さまの事を考えてしまいました)」
魔術師「(最近、気がつけば魔王さまの事ばかり考えています・・・)」
魔術師「(・・・どうしてでしょう)」
魔術師「・・・」チラッ
魔王「・・・」ペラッ
魔術師「(ぱっと見には無愛想だけど、本当は表情豊かです)」
魔術師「(甘いものをお召し上がりになる時は、少しだけ顔がほころびます)」
魔術師「(私の用意したごはんをお召し上がりになる時は、もう少しだけ顔がほころびます)」
魔術師「(普段、私が一番目にしている魔王さまは、いつも優しい表情をしています)」
魔術師「(・・・気になります)」
魔王「魔術師」
魔術師「はい!」
魔王「この本を書庫に戻してきてくれ」
魔術師「はい、ただいま」
魔術師「・・・」チラッ
魔王「・・・?」ジッ
魔術師「・・・!」カァッ///
魔術師「(やっぱり、最近の私は変です)」
魔術師「(魔王さまと目が合うだけで・・・)」ドキドキ
魔術師「(もしかしてこれって・・・)」
魔術師「(・・・ふ、ふぅ。ダメです、少し落ち着きましょう)」
魔術師「(そういえば何を読まれていたのでしょうか)」
魔術師「・・・」
魔術師「(さよならププルン?)」
魔王「(・・・久々に良書と出会った)」
魔術師「はい!」
魔王「この本を書庫に戻してきてくれ」
魔術師「はい、ただいま」
魔術師「・・・」チラッ
魔王「・・・?」ジッ
魔術師「・・・!」カァッ///
魔術師「(やっぱり、最近の私は変です)」
魔術師「(魔王さまと目が合うだけで・・・)」ドキドキ
魔術師「(もしかしてこれって・・・)」
魔術師「(・・・ふ、ふぅ。ダメです、少し落ち着きましょう)」
魔術師「(そういえば何を読まれていたのでしょうか)」
魔術師「・・・」
魔術師「(さよならププルン?)」
魔王「(・・・久々に良書と出会った)」
ある日の昼下がり
魔術師「えっと、この文書はこうで」カキカキ
魔術師「こっちの書類はこれと一緒に、っと」トントンッ
魔王「(・・・仕事にも大分慣れてきたようだな)」
魔術師「今日の分はこれでおしまいです」
魔王「ご苦労」スッスッ
魔術師「ありがとうございます」
魔術師「・・・。魔王さま、それは?」
魔王「見れば分かるだろう、トランプだ。ソリティアをしている」スッスッ
魔術師「・・・」ソワソワ
魔王「・・・」
魔王「・・・カードゲームの心得はあるのか?」
魔術師「はいっ!」
魔王「ふむ、ソリティアにも飽きたな」シャッシャ
魔術師「・・・そ、それでしたら魔王さま。私・・・あの・・・」
魔術師「えっと、この文書はこうで」カキカキ
魔術師「こっちの書類はこれと一緒に、っと」トントンッ
魔王「(・・・仕事にも大分慣れてきたようだな)」
魔術師「今日の分はこれでおしまいです」
魔王「ご苦労」スッスッ
魔術師「ありがとうございます」
魔術師「・・・。魔王さま、それは?」
魔王「見れば分かるだろう、トランプだ。ソリティアをしている」スッスッ
魔術師「・・・」ソワソワ
魔王「・・・」
魔王「・・・カードゲームの心得はあるのか?」
魔術師「はいっ!」
魔王「ふむ、ソリティアにも飽きたな」シャッシャ
魔術師「・・・そ、それでしたら魔王さま。私・・・あの・・・」
魔王「良かろう」トントンッ
魔術師「えっ?」
魔王「相手をしてくれるのだろう、違うのか?」シャッシャ
魔術師「は、はい!喜んで」
魔王「・・・二人となると、そうだな。ブラックジャックはできるか?」
―数十分後―
魔術師「あっ!21でブラックジャックです♪」ペラッ
魔王「・・・18だ」ペラッ
魔王「・・・。・・・ポーカーはできるか?」シャッシャ
―数十分後―
魔術師「ふふふっ!フルハウスで~す♪」ペラッ
魔王「・・・ツーペア。・・・負けだ」ペラッ
魔術師「もう一戦しますか?魔王さま♪」ニヤニヤ
魔王「・・・」
魔王「無論だ」シャッシャ
魔術師「えっ?」
魔王「相手をしてくれるのだろう、違うのか?」シャッシャ
魔術師「は、はい!喜んで」
魔王「・・・二人となると、そうだな。ブラックジャックはできるか?」
―数十分後―
魔術師「あっ!21でブラックジャックです♪」ペラッ
魔王「・・・18だ」ペラッ
魔王「・・・。・・・ポーカーはできるか?」シャッシャ
―数十分後―
魔術師「ふふふっ!フルハウスで~す♪」ペラッ
魔王「・・・ツーペア。・・・負けだ」ペラッ
魔術師「もう一戦しますか?魔王さま♪」ニヤニヤ
魔王「・・・」
魔王「無論だ」シャッシャ
さらに、幾ばくかの時が流れ
魔王「・・・」
魔術師「今日は暇ですね」ソワソワ
魔王「(不思議な奴だ、私を前にすれば畏怖を感じるのが普通)」
魔王「(だが、こいつの自然な態度はまるで)」
魔術師「あ、魔王さま。従者様がいらしたようですよ」
魔王「(従者・・・か)」
従者「いやはや魔王陛下、数か月ぶりですかな」
魔王「それくらいになるな。どうだ、北塔の警備は」
従者「快適じゃのう。温泉は心地よいし、軍師が多いゆえ将棋の相手にも困らん」
魔王「そうか。今日はどうした?」
従者「まぁ、何となく分かっておるじゃろう?従者の事じゃ、これは魔王の仕事じゃからの」
魔王「・・・そうだな」
魔王「今、この時を以って現従者を解任、北塔の守備任務を任せる。後任の従者は魔術師、お前だ」
従者「えっ、ええぇっ!??」
魔王「・・・」
魔術師「今日は暇ですね」ソワソワ
魔王「(不思議な奴だ、私を前にすれば畏怖を感じるのが普通)」
魔王「(だが、こいつの自然な態度はまるで)」
魔術師「あ、魔王さま。従者様がいらしたようですよ」
魔王「(従者・・・か)」
従者「いやはや魔王陛下、数か月ぶりですかな」
魔王「それくらいになるな。どうだ、北塔の警備は」
従者「快適じゃのう。温泉は心地よいし、軍師が多いゆえ将棋の相手にも困らん」
魔王「そうか。今日はどうした?」
従者「まぁ、何となく分かっておるじゃろう?従者の事じゃ、これは魔王の仕事じゃからの」
魔王「・・・そうだな」
魔王「今、この時を以って現従者を解任、北塔の守備任務を任せる。後任の従者は魔術師、お前だ」
従者「えっ、ええぇっ!??」
年が暮れ
従者「んーと・・・、これとこれを」カキカキ
魔王「多忙だな」
従者「財源管理も従者の仕事ですからね!年末なのでいつもの数倍は仕事があるんです」
魔王「そうか」
従者「んー、んー・・・と」ウトウト
魔王「(眠そうだ)」
従者「むにゃ・・・」スゥスゥ
魔王「(魔王の前で居眠りとは良い度胸だな)」
魔王「さて、っと」
魔王「(軽いな、華奢な身体をしている)」
―従者の部屋―
従者「まお・・・さま・・・」ムニャムニャ
魔王「いい気なものだな。さ、ベッドだ」
従者「まおう・・・しゃま・・・」ガシッ
従者「んーと・・・、これとこれを」カキカキ
魔王「多忙だな」
従者「財源管理も従者の仕事ですからね!年末なのでいつもの数倍は仕事があるんです」
魔王「そうか」
従者「んー、んー・・・と」ウトウト
魔王「(眠そうだ)」
従者「むにゃ・・・」スゥスゥ
魔王「(魔王の前で居眠りとは良い度胸だな)」
魔王「さて、っと」
魔王「(軽いな、華奢な身体をしている)」
―従者の部屋―
従者「まお・・・さま・・・」ムニャムニャ
魔王「いい気なものだな。さ、ベッドだ」
従者「まおう・・・しゃま・・・」ガシッ
翌朝
従者「んっ・・・ふぁ~・・・あれ?」
魔王「・・・」スゥスゥ
従者「っ!!!(えっ、えええっ!!これは、えっ!?)」
従者「(えとっ、昨日は確か・・・、眠くなって・・・あっ!)」
従者「(ということは、魔王さまがここまで?ど、どうしよう)」
魔王「・・・」スゥスゥ
従者「っ!!(ま、魔王さまの寝顔っ!か、かわいい・・・!とっても・・・かわいい!)」キューン///
魔王「ん・・・。朝か」
従者「お、おはひょうございましゅ!(魔王さまが近いっ!いいにおいがするっ!)」キュンキュン///
魔王「あぁ、おはよう。よく眠れたか?」
従者「すみません魔王さま!あ、あの、ここまで運んでくださったのですか?」
魔王「そうだ。あまりにも気持ちよさそうに寝ていたのでな。・・・しかし」
魔王「寝相はどうにかした方が良いと思うぞ。お前、いつまで私の服を握っているつもりだ」
従者「えっ?あっ!!」パッ
従者「んっ・・・ふぁ~・・・あれ?」
魔王「・・・」スゥスゥ
従者「っ!!!(えっ、えええっ!!これは、えっ!?)」
従者「(えとっ、昨日は確か・・・、眠くなって・・・あっ!)」
従者「(ということは、魔王さまがここまで?ど、どうしよう)」
魔王「・・・」スゥスゥ
従者「っ!!(ま、魔王さまの寝顔っ!か、かわいい・・・!とっても・・・かわいい!)」キューン///
魔王「ん・・・。朝か」
従者「お、おはひょうございましゅ!(魔王さまが近いっ!いいにおいがするっ!)」キュンキュン///
魔王「あぁ、おはよう。よく眠れたか?」
従者「すみません魔王さま!あ、あの、ここまで運んでくださったのですか?」
魔王「そうだ。あまりにも気持ちよさそうに寝ていたのでな。・・・しかし」
魔王「寝相はどうにかした方が良いと思うぞ。お前、いつまで私の服を握っているつもりだ」
従者「えっ?あっ!!」パッ
日々は過ぎ
魔術師「ふっふっふ、魔王さまのシーツ交換の時間・・・!」プルプル
魔術師「魔王さまとのお食事の次に幸せな瞬間・・・!なぜなら・・・」ダッ
魔術師「えいっ」ボフッ
魔術師「(はふ~、いいにおい・・・)」モフモフ///
魔術師「(魔王さまパワー充電~!)」ギュッ///
魔術師「ふ、ふぅ、今日はこのくらいにしておいてあげますからね!」ビシッ
魔王「おい」
魔術師「ふょいっ!!!???」ガタタンッ
魔王「・・・喉が渇いたので冷水を用意してくれ」
魔術師「い、今すぐに!」
魔術師「(み、見られてない?見られてないよね??)」
魔王「・・・それと。・・・程々にな」
魔術師「は、はい」カァァ///
魔術師「ふっふっふ、魔王さまのシーツ交換の時間・・・!」プルプル
魔術師「魔王さまとのお食事の次に幸せな瞬間・・・!なぜなら・・・」ダッ
魔術師「えいっ」ボフッ
魔術師「(はふ~、いいにおい・・・)」モフモフ///
魔術師「(魔王さまパワー充電~!)」ギュッ///
魔術師「ふ、ふぅ、今日はこのくらいにしておいてあげますからね!」ビシッ
魔王「おい」
魔術師「ふょいっ!!!???」ガタタンッ
魔王「・・・喉が渇いたので冷水を用意してくれ」
魔術師「い、今すぐに!」
魔術師「(み、見られてない?見られてないよね??)」
魔王「・・・それと。・・・程々にな」
魔術師「は、はい」カァァ///
季節は移ろい
魔王「・・・そろそろ床に就く」
従者「あっ、あの!」
魔王「何だ」
―魔王の部屋―
魔王「・・・」
(従者「魔王さまに渡したい物が」モジモジ)
(従者「ガーベラです。私の一番好きなお花です」)
(従者「大切に育てました」)
(従者「もし・・・、もし良ければ、お部屋に飾ってください」)
(従者「いえ。その、大切に育てたのは、魔王さまにプレゼントするためですから、いいのです」)
(従者「は、はい。それでは、お、おやすみなさい!!」ババッ)
魔王「(これは従者がいつも日曜日に挿している花)」
魔王「(この香り・・・、まるで従者が傍にたたずんでいるかの様な)」
魔王「それにしても多いな・・・」ワサワサ
魔王「・・・そろそろ床に就く」
従者「あっ、あの!」
魔王「何だ」
―魔王の部屋―
魔王「・・・」
(従者「魔王さまに渡したい物が」モジモジ)
(従者「ガーベラです。私の一番好きなお花です」)
(従者「大切に育てました」)
(従者「もし・・・、もし良ければ、お部屋に飾ってください」)
(従者「いえ。その、大切に育てたのは、魔王さまにプレゼントするためですから、いいのです」)
(従者「は、はい。それでは、お、おやすみなさい!!」ババッ)
魔王「(これは従者がいつも日曜日に挿している花)」
魔王「(この香り・・・、まるで従者が傍にたたずんでいるかの様な)」
魔王「それにしても多いな・・・」ワサワサ
星は巡り
魔王「従者の姿が見えぬようだが」
家来「早朝から見かけておりません、呼びに行って参りましょうか」
魔王「寝坊だろう、まぁ良い。放っておけ」
魔王「(・・・。寝坊にしては遅い)」
―従者の部屋―
コンコン
魔王「従者、入るぞ」ガチャ
従者「ぅ・・・ゴホッ・・・」スースー
魔王「(やはりな、こういう事だろうと思っていた)」
従者「ゴホッゴホッ・・・う~んう~ん・・・」ムニャ
従者「(・・・体が・・・重い・・・熱くて寒い・・・)」
従者「(あれ・・・?・・・少し楽になった・・ような・・・)」
従者「・・・っ」
魔王「目が覚めたか」
魔王「従者の姿が見えぬようだが」
家来「早朝から見かけておりません、呼びに行って参りましょうか」
魔王「寝坊だろう、まぁ良い。放っておけ」
魔王「(・・・。寝坊にしては遅い)」
―従者の部屋―
コンコン
魔王「従者、入るぞ」ガチャ
従者「ぅ・・・ゴホッ・・・」スースー
魔王「(やはりな、こういう事だろうと思っていた)」
従者「ゴホッゴホッ・・・う~んう~ん・・・」ムニャ
従者「(・・・体が・・・重い・・・熱くて寒い・・・)」
従者「(あれ・・・?・・・少し楽になった・・ような・・・)」
従者「・・・っ」
魔王「目が覚めたか」
従者「あ・・まおうさま、わたし」
魔王「ただの風邪だそうだ。あと二日は安静にしていろ」
従者「あれ・・寝衣が・・・」
魔王「侍女に変えさせた」
従者「すみません・・。でも、どうしてわたしの部屋に・・・?」
魔王「少し気になってな、様子を見に来た」
従者「・・・!」
従者「ありがとうございます」
従者「・・・魔王さまが傍にいると、いつもみたいで落ちつきます」
魔王「そうか、では暫くここに居よう。もう少し眠った方が良い」
従者「・・・はい」
魔王「(私は・・・)」
魔王「(・・・私は従者の事を親しく思っても良いのだろうか)」
従者「(やっぱり魔王さまは優しいです。そういうところ、ずるいです)」
従者「(もう、すっかり好きになってしまったじゃないですか・・・)」カァァ///
魔王「ただの風邪だそうだ。あと二日は安静にしていろ」
従者「あれ・・寝衣が・・・」
魔王「侍女に変えさせた」
従者「すみません・・。でも、どうしてわたしの部屋に・・・?」
魔王「少し気になってな、様子を見に来た」
従者「・・・!」
従者「ありがとうございます」
従者「・・・魔王さまが傍にいると、いつもみたいで落ちつきます」
魔王「そうか、では暫くここに居よう。もう少し眠った方が良い」
従者「・・・はい」
魔王「(私は・・・)」
魔王「(・・・私は従者の事を親しく思っても良いのだろうか)」
従者「(やっぱり魔王さまは優しいです。そういうところ、ずるいです)」
従者「(もう、すっかり好きになってしまったじゃないですか・・・)」カァァ///
~そして今~
魔王「・・・」
従者「魔王さま~?」
魔王「何だ」
従者「いきなり静かになったので」
魔王「・・・少しだけ、昔のことを思い出していた」
従者「昔のこと?」
魔王「あぁ、お前の寝相の悪さとかな」
従者「そ、そ、そんなこと思い出さないでください~!」///
魔王「冗談だ」
従者「う~、魔王さまはいじわるです」
魔王「ふっ」
魔王「・・・」
従者「魔王さま~?」
魔王「何だ」
従者「いきなり静かになったので」
魔王「・・・少しだけ、昔のことを思い出していた」
従者「昔のこと?」
魔王「あぁ、お前の寝相の悪さとかな」
従者「そ、そ、そんなこと思い出さないでください~!」///
魔王「冗談だ」
従者「う~、魔王さまはいじわるです」
魔王「ふっ」
―食堂―
従者「じゃーん!今日はカニクリームコロッケですよ~」
魔王「うむ、旨いな」
従者「ありがとうございます。自分で言うのもなんですが、おいしくできました!」モグ
魔王「・・・」
魔王「しかし、お前は朝昼晩と私が食べたいものを食べたいときに持ってくるが、一体どうなっているのだ」
従者「んー、なんとなくですね」
魔王「なんとなく?」
従者「なんとなくです!魔王さまのことを考えると、ぽわーんって思い浮かぶんです」
魔王「変な奴だ」
従者「変じゃないですー」
魔王「そうだな」
従者「そうだな」キッ
魔王「おい」
従者「てへっ♪」
従者「じゃーん!今日はカニクリームコロッケですよ~」
魔王「うむ、旨いな」
従者「ありがとうございます。自分で言うのもなんですが、おいしくできました!」モグ
魔王「・・・」
魔王「しかし、お前は朝昼晩と私が食べたいものを食べたいときに持ってくるが、一体どうなっているのだ」
従者「んー、なんとなくですね」
魔王「なんとなく?」
従者「なんとなくです!魔王さまのことを考えると、ぽわーんって思い浮かぶんです」
魔王「変な奴だ」
従者「変じゃないですー」
魔王「そうだな」
従者「そうだな」キッ
魔王「おい」
従者「てへっ♪」
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