元スレアスカ「気持ち悪い」
SS覧 / PC版 /みんなの評価 : ★
1 :
『じゃあ、始めるわよ』
『うん』
『カウントは30』
『了解』
『さっさと、こんなところからはおさらばしたいわ』
『……』
2 :
_ _ ____
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| 〆ヽ/
| ヾ_ノ
3 :
いったい何が始まるんですか…
4 :
アスカファン期待
そして俺も期待
5 = 1 :
『ねぇ、アスカ』
『なによ?』
『海って、本当は青色なんだよね』
『はぁ? だから?』
『……』
『ちょっと』
『ごめん、アスカ。……さよなら』
『アンタ、何、言って―――』
6 = 1 :
人気のない校舎裏で、不良たちが、一人の男子生徒に暴行を加えていた。
被害にあっているのは……僕だ。
シンジ「げほっ!」
不良A「ねぇねぇ、碇君。さっさとお金、払ってくれないとさぁ……君だって痛いの、やだろ?」
シンジ「だ、ダメだよ」
不良B「なんでだよ?」
シンジ「……このお金で、今日の夕飯のおかず、買うんだ」
不良A「おかずぅ?」
不良B「ギャハハハハハハ」
不良C「つーか、俺らそんなんしらねーし!」
不良の蹴りが、腹部を貫く。
シンジ「がはっ!」
8 :
初号機で踏み潰してやる!
9 = 1 :
シンジ「お願いだよ、今日だけは許してよ」
不良A「今日だけは許すのを許してくださーい」
不良B「いいから出せよ、ゲーセン行くんだから」
シンジ「そ、そんな」
不良A「そこまで嫌がられたらしょうがないなぁ」
不良B「無理やり、はぎ取っちゃいますか?」
不良C「それがいいな」
不良たちが、ジリジリと僕との距離を詰める。
その時、一つの声が届く。
『それくらいにしておきなよ』
シンジ「……!」
10 :
初号機がすっ飛んできそう
11 :
これはホモォだろ
12 = 1 :
不良A「おっ」
不良B「渚君」
皆の視線の先には、渚カヲルがいた。
カヲル「やれやれ、キミたちは……またこんなことをしているのかい?」
不良A「いやー、だってさぁ。なぁ?」
不良B「金がねぇからさ。しょうがねぇんだ」
カヲル「……はぁ。お金って、いくら必要?」
不良A「え、またくれるのかよ?」
カヲル「ああ」
不良B「ひょー、さすが渚君、話が分かるぅ!」
カヲル「気にするなよ……友達、だろ?」
不良C「おう!」
13 = 1 :
カヲル「一枚で足りる?」
不良A「よゆー、よゆー」
カヲル「そう」
彼は財布から一万円札を取り出し、不良たちに手渡した。
不良B「俺たち、これからゲーセン行くんだけどよ、渚君もどう?」
カヲル「遠慮しとくよ。家庭教師が待ってるから」
不良A「ヒュー、家庭教師だってよ」
不良C「渚君は俺たちと違ってエリートだもんな」
カヲル「からかうなよ」
不良A「ひゃはは」
14 = 1 :
不良B「んじゃあな、渚君」
カヲル「うん、またね」
不良たちが去っていく。
後に残される二人。
シンジ「……」
カヲル「……」
無言のまま、時が流れる。
僕は、謝礼の言葉を伝えるため、口を開く。
シンジ「あの」
カヲル「……」
シンジ「助けてくれて、ありがとう」
カヲル「……」
15 = 1 :
カヲル「勘違いするなよ」
しかし、彼は冷たく言い放つ。
カヲル「キミみたいなウジウジしてるやつ、大っ嫌いなんだ」
シンジ「……」
カヲル「助けた? ……冗談じゃない。僕の友達が、無駄な時間を過ごしているのが気に食わなかっただけだ」
シンジ「でも」
カヲル「―――うるさいなッ!」
シンジ「……っ!」
突き飛ばされる。
16 = 1 :
カヲル「気安く僕に話しかけないでくれないか。虫唾が走る」
うんざりするような表情を浮かべたその顔を、じっと見つめる。
カヲル「なんだよ、その目は」
シンジ「……別に」
カヲル「言いたいことがあるなら、はっきり言えよ」
シンジ「ないよ、そんなこと」
カヲル「じゃあ、気持ち悪い目で、僕のことを見るな!!」
助走をつけた蹴り。
避けることなど叶わず、なすがまま、その蹴りを体に受ける。
シンジ「ぐあ゛っ!」
17 = 8 :
アリエールカヲル
18 = 1 :
カヲル「はぁっ、はぁっ……」
直接的な暴力に慣れていないのか、彼の息は上がっていた。
カヲル「ここまでやられて、反撃しないのかよ」
僕はなにも答えない。
カヲル「なに考えてるんだよ、キミは」
僕はなにも応えない。
カヲル「―――もういい」
舌打ちを残し、彼が去っていく。
その背中を見送る。
19 :
なにこれ
20 = 1 :
静寂の中、つぶやく。
シンジ「行った、か」
すると、体の節々が痛んだ。
シンジ「いてて」
シンジ「今日は、こっぴどくやられたなぁ」
シンジ「顔にやられてないだけ、マシか」
シンジ「……」
シンジ「まぁ、僕に遠慮してってわけじゃなく」
シンジ「大事にしないためなんだろうけど」
シンジ「あはは……頭、いいなぁ」
21 = 1 :
改めて、僕は彼のことを思い浮かべる。
シンジ(渚カヲル)
シンジ(僕とは違う学校に通っている)
シンジ(病院経営もしている医者夫婦の一人息子で)
シンジ(テストでは、常に学年一位)
シンジ(友人関係は広く、教師からの信望も厚い)
しかし。
シンジ(裏では不良との付き合いがある)
シンジ(お金を渡すことで、ボディガード扱いにしてるのかもしれない)
シンジ(タバコを吸っているところも、見かけたことがあったっけな)
シンジ「……」
シンジ「そろそろ、家に帰らないと」
22 = 1 :
シンジ「ただいま」
帰宅の挨拶を済ませる。
返事はない。
シンジ「おばあちゃん、どこ?」
唯一の同居人である、祖母の所在を確かめるため、家の中を彷徨う。
シンジ「……」
シンジ「……」
シンジ「おばあちゃん?」
23 = 19 :
アスカ→女
シンジ→男
カヲル→不良D
なぜ、エヴァなんだ
24 = 1 :
シンジ「あっ」
彼女は、台所にいた。
シンジ「ただいま、おばあちゃん」
祖母「……」
シンジ「なにやってんだよ、こんなところで」
僕の存在に気付き、振り向く。
祖母「……おお、シンジ。シンジじゃないか」
シンジ「そうだよ、僕だよ」
祖母「どこに行ってたんだい?」
シンジ「学校だよ。決まってるじゃないか」
祖母「そうかい、そうかい」
25 :
誰だよこのばばあ
26 = 1 :
シンジ「今、ご飯作るからね」
祖母「……」
シンジ「どうしたの?」
もう一度、僕に気付いた彼女が尋ねる。
祖母「おや、シンジじゃないか。いつ帰ったんだい?」
シンジ「さっきだよ」
祖母「で、どこに行ってたんだい?」
シンジ「学校だよ」
祖母「ああー、学校!」
シンジ「うん」
祖母「いいねぇ、学校……懐かしいねぇ」
シンジ「そっか」
27 = 1 :
シンジ「今からご飯、作るからね」
祖母「……」
また黙りこくってしまった。
普通の状態と、このような状態を、彼女は繰り返す。
シンジ「おばあちゃんは、居間で待っててね」
祖母「……」
聞き分け良く、居間へと向かった。
シンジ「ふぅ」
シンジ「じゃあ、さっさと作っちゃおうかな」
28 = 1 :
数十分後、出来た料理を居間へと運ぶ。
シンジ「ご飯出来たよ」
祖母「……」
返事はない。
シンジ「おばあちゃん」
もう一度語りかけると、彼女は僕に気付いた。
祖母「おや、シンジ。学校はもう終わったのかい?」
シンジ「うん」
祖母「それはよかった。学校なんて、懐かしい」
シンジ「そっか。ご飯、冷めない内に食べようね」
祖母「いつもすまないねぇ」
シンジ「気にしないで」
30 = 1 :
向かい合い、食卓に並んだ料理を黙々と口に運んでいく。
しばらくして、彼女が尋ねてくる。
祖母「今日はどこに行ってたんだい?」
シンジ「学校だよ」
祖母「そうかい、そうかい」
シンジ「お婆ちゃんはなにしてたの?」
しかし、その瞳は虚空を見つめていた。
シンジ「……まぁ、いっか。そんなこと」
祖母「……」
31 = 1 :
シンジ「ごちそうさまでした」
祖母「……」
シンジ「おばあちゃんも、もういいよね?」
返事はない。
シンジ「片付けるよ」
祖母「……」
シンジ「よいしょっと」
祖母「シンジ」
食器を運ぼうとすると、名前を呼ばれる。
シンジ「ん、なに?」
32 = 1 :
祖母「ご飯、美味しかったよ」
シンジ「……!」
料理の感想を言われたのは、初めてだった。
シンジ「そっか、ありがとう」
祖母「ええ、ええ」
シンジ「ふふっ」
彼女が嬉しそうで、僕も嬉しかった。
シンジ「~♪」
34 = 1 :
翌日、学校の教室。
教室の外にまで漏れている話し声。
ケンスケ「でな、そこで敵勢力の機体がグワーッっと!!」
トウジ「……」
ヒカリ「……」
ケンスケ「なんだよ、その無反応っぷり」
トウジ「そら、好きでもないロボットアニメのことを延々語られてもなぁ」
ヒカリ「正直、反応に困る……かな」
ケンスケ「なんでだよ! ロボは男のロマンだろぉ!?」
トウジ「いや、わからん」
ヒカリ「私、女だし」
ケンスケ「そんなぁ……」
35 = 1 :
賑やかな場所に入るのをためらうのは、いつものことだ。
扉を開く。
シンジ「……」
ヒカリ「碇君、おはよ」
すぐに、僕の姿を確認した洞木ヒカリが話しかけてくる。
シンジ「……おはよう」
ヒカリ「今日は、いつもより遅いね」
シンジ「普通だよ」
ヒカリ「そっか」
シンジ「もう、いいかな?」
ヒカリ「あ、うん」
シンジ「……」
話を打ち切るようにして、足早に自分の席へと向かった。
37 = 1 :
小さな声。
しかし、どうにか聞こえてしまうほどの会話。
ケンスケ「なぁ、委員長」
ヒカリ「なに?」
ケンスケ「誰彼無しに挨拶するの、やめようよ」
ヒカリ「どうして?」
ケンスケ「どうしてって……」
ヒカリ「挨拶するのは、悪いことじゃないでしょ?」
ケンスケ「そうだけどさぁ」
ヒカリ「鈴原も、そう思うよね?」
トウジ「わ、ワシか? ワシは……」
ケンスケ「トウジは、それ以前に委員長が他の男と話すのが嫌だもんな」ボソッ
トウジ「ん、んなこと言っとらんやろ!」
ヒカリ「?」
38 = 1 :
ケンスケ「大体さぁ、碇って……あれじゃん?」
ヒカリ「あれって?」
ケンスケ「暗いっていうか、浮いてるっていうか」
ヒカリ「それは挨拶しちゃいけない理由にはならないわ」
ケンスケ「ただ暗いだけならな。でも、あいつって……自発的にそうしてるっていうか」
トウジ「なんやそれ」
ケンスケ「うまく説明できないけどさ、自分から浮くようにしてるように見えるんだよ」
トウジ「ふーん」
ケンスケ「話しかけるなオーラっていうのかな。そういうの、まとってるだろ」
トウジ「あー、ちょっと分かるわ」
39 = 1 :
ヒカリ「……じゃあ、私が挨拶するのって、間違い?」
ケンスケ「いや、あくまで俺が勝手にそう思ってるだけだからさ」
トウジ「ま、同じ根暗仲間として、気持ちが通じるってとこやろ」
ケンスケ「そうそう、本気出したら俺なんて一言もしゃべらない……って根暗じゃないからな!?」
ヒカリ「あはは」
シンジ「……」
40 = 1 :
三人の会話を聞いて、僕は思う。
シンジ(洞木ヒカリ)
シンジ(鈴原トウジ)
シンジ(相田ケンスケ)
シンジ(普通の学生)
シンジ(普通のクラスメイト)
シンジ(タイプの違う三人)
シンジ(でも、とても仲が良い三人)
シンジ(だから、彼らはクラスの中心として活動することが多い)
シンジ(だから、彼らはクラスのみんなと仲が良い)
シンジ(……僕を除いて)
シンジ「……」
41 :
ぶっちゃけシンジがぼっちとかありえん超美少年だぞ
42 = 1 :
昼休み、僕はお弁当を持って教室を出た。
シンジ(今日は、どこで食べようかな)
シンジ(教室は、ちょっとなぁ)
シンジ(……)
シンジ(屋上は、今日も開いてるかな)
シンジ(開いてたら、いいんだけど)
そして、一つの団体を見かける。
シンジ「……あ」
43 :
なんかカオル君はイケメンすぎだぜひゃっはーって話多いけど
シンジも十分すぎるほどイケメンなんだよな
44 :
そんな設定あったっけ?
45 = 1 :
アスカ「あーもう! うっとおしい!」
女子A「そうよ、あんまりアスカに近づかないでよね」
団体の中央には惣流・アスカ・ラングレー。
それを女子が囲み、少し距離を置いて、男子達が取り巻いている。
取り巻きA「いやぁー、いいじゃないですか、一緒にお弁当くらい」
取り巻きB「そうそう、減るもんじゃないし」
取り巻きC「アスカ様―!」
アスカ「うえぇ……」
女子A「キモーイ!」
女子B「アスカ、いこいこ!」
46 = 41 :
>>44
クラスの女子「キャーいかりくーん」
47 = 44 :
>>46
ありゃエヴァのパイロットだからじゃねーの?
48 = 1 :
一風変わった光景を目にしながら、僕は思う。
碇(惣流・アスカ・ラングレー)
碇(アメリカの大学を卒業してるんだっけ)
碇(でも、親が日本へ越してくると同時に、この中学へ転入)
碇(早く日本に馴染むため……だとか)
碇(性格以外は完璧だから、男子にカルト的人気がある)
碇(……いや、その性格がむしろ人気の秘訣なのかもしれない)
碇(そういった要素を除けば、ごくごく普通の女子生徒だ)
碇(実はマザコンって噂を聞くけど)
碇(……)
49 = 1 :
アスカ「―――ちょっと」
ふと気付くと、目の前に顔があった。
アスカ「私のこと、じっと見てんじゃないわよ」
シンジ「み、見てないよ」
慌てて否定する。
彼女は納得しない。
アスカ「ウソ言わないで」
シンジ「嘘じゃないよ」
アスカ「ホントにぃ?」
シンジ「ほんとだよ」
50 = 1 :
彼女は僕の顔をジロジロと見つめる。
嘘は慣れている。特におかしな振る舞いをしたつもりはないのだけれど。
そして、彼女が言う。
アスカ「アンタ、どっかで会ったことある?」
シンジ「……!」
僕は驚愕した。
しかし、動揺を表に出してはならない。
シンジ「……いや、話したのは初めてだよ」
アスカ「また、ウソ言ってない?」
シンジ「同じ学校の生徒だし、勘違いすることもあるよ」
アスカ「……」
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