元スレ幼女「にーさん」
SS覧 / PC版 /みんなの評価 : ★
201 = 4 :
ん
202 = 1 :
男「田中さん、って」
幼「いつも、おちゃらけてた方です……」
幼「肺ガンを患っていたんですが、発見が遅かったせいか治療が間に合わなくて、それで……」
男「……あの人」
男(ガンに掛かってたのか……)
幼「すみません。少しだけ落ち着いてきました」
男「田中さん、そんな風には見えなかったんだけどね」
幼「……どの患者さんもそうなんです」
幼「どんなに重い病気を背負ってても、いつでも明るい方ばかりなんですよ」
幼「もちろんそういう仕事だから、割り切って考えなきゃいけない場面もあるんですけど……」
幼「……あるん、ですけど」
男「……」
男「俺さ、最初にあの人と会った時に随分と話し込んでたんだ。それでね、幼ちゃんに大分お世話になったからって、伝えたがってたよ」
男「ありがとう、って」
203 = 1 :
幼「……」
男「幼ちゃんの笑顔に救われたんだって」
男「だから笑顔でいてあげよう。じゃないと、またお尻を触りに来るかもしれないよ」
幼「……もう一度くらいなら、許してあげようと思ってました」
男「あはは、その言葉を聞いたら喜んで飛びついてくるだろうね」
幼「……男さん、」
幼「男さんは、大丈夫ですよね?」
男「……大丈夫だよ、たぶん」
幼「たぶんじゃダメなんです! お願いです、お願いですから男さんは元気でいてください……!」
幼「お願いします、お願いします……!」
男「……」
男(俺だってまだ生きていたいけど、参ったな)
男(最近、足が動かし辛くなってきたばかりで、歩くのも難しくなってきて……)
男(……せめて幼ちゃんに辛い思いはさせたくない。せめて──)
204 = 4 :
Oh...
205 = 26 :
おいおい、まじかよ……
206 = 14 :
足が動かしにくい?
骨肉腫?
207 :
看護師なら病状把握してないといかんだろ
208 = 1 :
───
幼「──男さん」
男「やあ、幼ちゃん」
幼「……今日のお食事です」
男「いつもありがとう。よいしょっと」
幼「……あの、やっぱりわたしが」
男「ううん、いいよ。リハビリにもなるからね」
幼「……辛かったらいつでも言ってください」
幼「わたしはあなたの手足にだってなることも出来るんですから」
男「ありがとう、ごめんね」
幼「……いえ」
男「ところで、箸を持つ方の手ってどっちだっけ?」
幼「……普通は、右手ですよ」
男(……じゃあ左手を使わないと。どっちがまともに箸を持てる手かもわからなくなってきたな)
男(左右がわからなかった昔の幼ちゃんに土下座をしに行くレベルだ)
209 = 110 :
ただの運動不足であることを祈る
210 = 43 :
これはまずい流れ
211 = 14 :
俺の涙腺がすごいことになってるのはこのスレのせいなのかClannad見直してるからなのか
212 :
アカン
213 = 1 :
幼「美味しいですか?」
男「うん、それなりに。味が控えめで食べやすいね」
男(本当は味なんかも、もうわからない)
幼「……今日は、塩分が多めのはずですが」
男「……じゃあ、俺の味覚が変なんだ、はは」
幼「……」
幼「────男さんっ!」
幼「イヤです、もう絶対に離れたくありません!」
幼「退院したら、お付き合いするんですよ。その後はあの時みたいに二人っきりで過ごすんです」
幼「外に行くことが少なかったから、いろんな所に行きましょう。たくさん写真を撮って、たくさん思い出を作って」
幼「結婚もすぐに済ませたいですよね。誰が何と言おうとも、わたしは男さんのお嫁さんになるんですから」
幼「子供は二人くらいがちょうどいいと思います。男の子と女の子を産んで、四人で幸せな家庭を築きましょう」
幼「老後もずっと一緒です。愛に年齢も、年の差も関係ありません。そして一緒に逝くんです、寄り添いながら」
幼「ほら、ほら、人生設計はバッチリでしょう。男さん、男さんっ、だからお願い、一生のお願い、生きて、お願いっ、生きてっ……」
男(……幼ちゃん)
215 = 18 :
誰が序盤からこゆな流れになることが予想できただろうか
↓書籍化決定のAA
216 = 1 :
男「……幼ちゃんにさ、退院したら渡そうと思ってた物がある」
男「今の俺じゃ買いに行けなかったから、親戚に頼んで代わりに買いに行ってもらったんだけど」
男「その、買った物はね、俺の家に置いてあるんだ」
幼「……」
男「場所は変わってない。約束通り、あれから俺は引っ越してないよ」
男「それでね、あの時に渡したスペアの合い鍵、まだ持ってるかな」
幼「……大事に、保管してありますよ」
男「よかった。じゃあよく聞いて、もしも俺が──」
男「──たら、幼ちゃんが取りに行ってきてほしいんだ。たぶん、お絵描きする時とかに使ってた机に置いてあるはずだから」
幼「……どうして」
幼「どうしてそんなこと、言うんですか……」
幼「やだ……やだよ」
幼「……いやだ……」
男「……ごめんね」
217 = 192 :
国語偏差値68の俺には分かる
男は死ぬ
219 = 176 :
国語偏差値71の俺にはさっぱりわからん
221 = 1 :
───
幼「……」
幼(ここ、懐かしいなあ。全然変わってない)
幼(お母さんとよく買い物行く時に使ってた道だけど)
幼(……あの人にお使いを頼まれた時の方が、強く印象に残ってる)
「あのっ、すみません」
幼「ん、何かな?」
「○○スーパーに行きたいんですけど、どこにあるかわからなくなっちゃって……」
幼(まだあるんだ、あそこ)
幼「ひょっとして、お使い中?」
「は、はい、そうですっ」
幼「偉いね、もうこの歳で……」
幼「じゃあ案内してあげるから、付いてきて?」
「……はいっ」
幼(昔のわたしも、こんなことがあったっけ)
222 :
死なせないで
223 = 110 :
これ以上鬱にしないで。
224 = 4 :
静観
225 = 14 :
ヤバい、泣きそう
226 = 1 :
幼(わ、変わってない)
幼「はい、ここだよ」
「あ、ありがとうございますっ!」
幼(……似てるなぁ)
幼「帰り道は大丈夫?」
「だいじょぶ……です! うんっ、だいじょぶです!」
幼「……よし」
幼「お使い、がんばって!」
「はい! ありがとうございました!」
たたたっ
幼「ふふっ」
幼(わたしにも、子供が出来たら……)
幼(さて、わたしも行かなくちゃ)
227 = 18 :
家に向かったってことは既に……
228 = 198 :
あう…
229 :
幼「……あ」
幼「こんにちは、ネコさん。あなたは日向ぼっこ中?」
子猫「……うるさいニンゲンがやってきたにゃ」
幼「今日は暖かいもんね。ふふ、気持ちよさそう」
子猫「おかーさんが話してたニンゲンみたいだにゃ、やたら構ってくるヤツだって」
幼「あの時のネコさんは元気かな……」
なでなで
子猫「にゃっ」
幼「……昔ね、ちょうどこの場所にかわいいネコさんがいたんだよ、あなたみたいにふわふわしてて、ぷにぷにした肉球の」
子猫「……おかーさんは言ってたにゃ、やたらとすぐボクたちに近寄ってくるから、ニンゲンはコワいんだって」
子猫「でも、オマエはきっとコワくないニンゲンだにゃ」
幼「じゃ、またね、ネコさん。暖かくも寒くもなくて、散歩日和の日にまた会えるといいね」
子猫「……次はゴハンをもってこいよにゃ」
230 :
あの猫メスだったのか…
231 :
野良猫の平均寿命は2~3年と言われているそうな
232 :
男「っていう夢を見たんだけどさ」
233 = 229 :
幼(──ここだ)
幼(……インターホン、鳴らしてみようか)
幼(誰もいないと思うけど)
ぴん ぽーん
幼(……)
幼(……とても静か。家そのものが眠ってるみたいに……)
ごそ
幼(初めて使う鍵)
幼(本当はずっとずっと行きたかった、来たくて来たくてたまらなかった)
幼(行けば良かった、勉強のことなんて考えなければ良かった)
幼(……本当に開くのかな)
幼(まさか、あの人が嘘をつくはずない)
かち
幼(……開いた)
234 :
>>231
たまに主みたいな息の長いの要るけどな
236 = 229 :
幼「お邪魔します」
幼(……静寂って、このことね)
すたすた
幼「……」
幼(変わってないけど、なんだか……)
幼(あの時よりも狭くなった? ──いや、)
幼「……わたしが大人になったんだ」
幼(たしか、ここのタンスの、上から三番目──あった)
幼「わあ、懐かしい」
幼(まだ、残してくれてたんだ)
幼(わたしが描いた絵や、遊び道具とか、いっぱいある)
幼「ふふ、あの人の絵ばっかり」
幼(……思った以上に緑色。これじゃ変に思われても仕方ないか)
幼(それでも、わたしにとってはエメラルドなんだから)
237 :
鮮明すぎる程昔の事を覚えているのには違和感あり。
だがいい。
238 :
やっと追いついた
239 = 229 :
かた
幼「……? あっ」
幼(写真立て? いつの間に──)
幼「……」
幼(小さい頃のわたしと、あの人がピースしてる写真)
幼(そうだ、引っ越しする直前に、お母さんに撮ってもらった写真だ)
幼(……こんな、昔の……)
ふるふる
幼(ダメ、泣いちゃダメ。わたしは大人だから、)
幼(我慢が出来る強い子だって、褒められたんだから……)
幼(良い子だって、あの人が……)
幼(ううん、わたしはもう大人)
幼「……さて」
幼(お絵描きをしていた時の机──)
240 :
あれ?兄さんからあの人に…。
241 = 229 :
幼「……?」
幼(小さな箱、きっとこれのことなんだろうけど。何か書かれてある紙が近くに置いてある)
幼(……読んでいいのかな)
『──言われた通りの品を買ってきたはずだけど、これでいい?』
『それはそうと。ようやく結婚するんだね、おめでとう』
『まだ詳しいことは全然聞いてないけど、上手く渡せるといいね!』
『がんばれ、応援してるよ!』
幼(……例の“親戚さん”らしい)
幼(それにしても──)
幼(何となく、見たことのある箱)
幼(……ドキドキが止まらない)
幼(ねえ、開けてもいいんですか?)
幼(これを開けてしまったら、わたし、きっと……)
幼(……いえ、開けますね)
幼(あなたがくれたものですから、後悔はしません──)
242 = 229 :
幼「……」
幼「……──」
幼(鮮やかで、淡い、それでいてとても綺麗な、緑)
幼(吸い込まれて溶けてしまいそうな、優しくて幸せな色)
幼(……嵌めてしまおうか)
幼(……男さん、お願いします)
幼(ここです、左手の薬指)
幼(ふふ、左手はお茶碗を持つ方の手ですよ)
幼(わたしはもう、左右の分別くらい、とっくについてるんですからね……)
すっ
幼(……サイズがぴったり)
幼(男さん、わたし、今、)
幼(とっても幸せですよ。ありがとうございます)
幼(ありがとう……)
幼(……)
243 = 198 :
おい…おい
244 :
うわああああああああ
245 :
これあかんやつや
246 = 234 :
大人だって泣いていいときぐらいあるんやで…
247 = 229 :
幼「……にーさん」
幼「ね、にーさん」
幼「にーさんはいつだって、わたしのにーさんでした」
幼「尊敬してました、永遠の憧れでした」
幼「……愛、してます。にー、さっ……」
幼(嬉しいのに、凄く嬉しいのに、目が熱い)
幼(頬に滑り落ちて、熱が顔全体に広がって……)
幼「ぁ……」
幼(……また、指を咬んでた)
幼(だけど、指摘してくれる人はここにいない)
幼(わたし、まだ幼いままなんだ)
幼「にーさん……」
幼「わたしね、もっと成長するから、もっと大人になるから……」
幼「……愛したままでいてくださいね」
幼「──ありがとう、にーさん」
248 :
おい おい
おい
249 :
うわぁぁぁ;ω;
250 :
他のスレ見てないと目がやばい
みんなの評価 : ★
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