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    元スレ幼女「にーさん」

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    101 = 1 :

    「……に、にーさんは、まるで幼の、お父さんみたいで……」

    「幼とあそんでくれて、すごくなつかしくて、うれしくて……」

       ぽろっ

    「……幼ちゃん」

    「っう、ひっく、はなれたく、ない……」

       ぽろぽろ

    「にーさんと……はっ、はなれたくないよお!」

    「……大きくなるまで、あえないなんて……やだっ、そんなのやだあ!」

    「大人になりたいの、はやくなりたいのっ!」

    「うぁ……ぅ、うわあああぁん!」

       なでなで

    「……よしよし」

    (──ずっと我慢してたんだよね。泣かないようにする為に、なるべく俺と話さなかったりして)

    (でもやっぱり子どもは我慢しない方がいい、いっぱい泣いた方がいいんだよ)

    (子どもは子どものままじゃいられない、そうして大人になっていくんだから────)

    102 = 4 :

    ぺろぺろ

    ぺろぺろ

    103 = 74 :

    ブラコンではなくファザコン疑惑浮上

    104 = 1 :

       ───

    「──もう、最後の最後までお世話になりっぱなしで、本当にごめんなさい」

    「いえ、俺の我が儘ですよ。ただ、しっかり見送りたいだけですから」

    「これでホントにお別れですね……」

    「そうだね。でも、またその内会えるよ」

    「……はい!」

    「──というか、お母さんがにーさんとケッコンすればずっといっしょに……」

       ぽかっ

    「あ痛っ」

    「バカなこと言うんじゃないの! で、ではそろそろ行きますね。今までありがとうございました」

    「こちらこそありがとうございました。どうかお元気で!」

    「にーさん、ばいばいっ!」

    「うん、バイバイ。またね!」

    (──お隣さんの娘さんとの日常は、こうして幕を閉じた)

    (……あれから、俺は)

    105 = 4 :

    ぺろぺろですね

    106 = 1 :

    「──……」

    「……お久しぶり、です」

    「あの時から何年経ったのか、流石に覚えていませんが、」

    「わたしは、どうですか? 男さんの目から見て、大きくなりましたか?」

    「わたし、もう大人なんですよ。ふふ、見ればわかりますよね」

    「あと、わたしは看護士になることが出来ました」

    「実は、男さんのお陰なんです。私がはじめて大好きになった人ですから」

    「大好きな人がいたから、夢を諦めずにいられたんです」

    「だから──改めて、ありがとうございます。本当に、本当にお会い出来て嬉しいです……」

    「……」

    「……でも、どうしてでしょうね」

    「こんな形で、」

    「──こんな形で再会することになるなんて……」

    「……」

    107 = 4 :

    ぺろ……ぺろ

    108 = 97 :

    男……

    109 = 65 :

    なん…だと…?

    110 :

    おいやめろ









    やめろ

    112 = 74 :

    母と再婚とか…

    113 = 1 :

    「俺も、こんなことになるとは思ってなかったな」

    「……男さん」

    「そんな悲しそうな顔しないでくれよ。せっかく会えたんだからさ」

    「……わかってるんですか、男さん。あなたは、」

    「あなたは──」

    「たまたま入院することになって、たまたま君がいた」

    「こんなの奇跡なんてもんじゃないだろ。今は会えたことを素直に喜ぼうよ、幼ちゃん」

    「……はい、わかりました」

    「でも“幼ちゃん”はダメですよ。あれはあだ名のようなモノですし。第一、わたしはもう大人です」

    「俺からしたら幼ちゃんはずっと幼ちゃんだよ」

    「幼ちゃんから見りゃ、俺はもうおじさんかもしれないけど」

    「……──さん、ですよ、いつまでも──」

    「ん?」

    「さ、流石に仕事中は長く話せないので、一旦離れますね」

    「また、来ます」

    114 = 4 :

    ぺ……ろ

    115 = 1 :

    「男さん、お薬を替えに来ました」

    「ん、ありがとう」

    「わたし、一応仕事モードですよ?」

    「凄く様になってるけど、幼ちゃんはやっぱり幼ちゃんだなって」

    「なんですか、それ。まだまだ子供に見えますか?」

    「ううん。大人っぽくて、綺麗になったよ」

    「えと、ありがとうございます。ふふふ」

    「結婚はした?」

    「──って、い、いきなりなんてことを聞くんですか!」

    「美人さんだからさ、気になっちゃって」

    「端から見たらセクハラですよ……。……まだ、そういう相手はいません」

    「えー、勿体無いなー」

    「看護士になるの、とっても大変だったんですよ。ずうっと勉強勉強で、遊んでる暇なんか無かったんですから!」

    「そっか。なれて良かったね、看護士さん」

    「……はい」

    116 = 14 :

    関係ないが、俺が鎖骨骨折したときは変にくっつくから絶対安静とか言って2週間入院させられたんだけど、
    親戚が折ったときは通院でいいって言われたらしい
    どうなってるん?

    118 = 74 :

    再婚して父になったわけじゃないか外した

    119 = 1 :

    「そもそも、覚えてますか? わたしが看護士を目指すことになった最初の理由」

    「……好きな人が死んでも蘇生できるから、だっけ」

    「少し違います、それじゃ魔法使いじゃないですか」

    (似たようなことを言ってたはずだけど)

    「好きな人が病気に掛かっても治すことができるから、です」

    「……好きな人の為に、わたしはこの職に就いたんですよ」

    「当時は俺を好きでいてくれたね。今は?」

    「で、ですから! 結婚、するなら……!」

    「……もうっ! なんでもありません!」

    「はは。相変わらず可愛いままだね、幼ちゃんは」

    「男さんは、ご結婚なされたのですか?」

    「いいや。恥ずかしながら、まだでね」

    「幼ちゃんを待ってたんだよ、ずっと」

    「……!?」

    120 = 4 :

    ぺろ……!?

    121 :

    全身が緑色になっちゃう病かもしれないな

    122 = 1 :

    「にーさんと結婚するにーさんと結婚するって言ってたからさ、期待してたんだ」

    「あの、た、確かに言ってましたけど。でも、こっ、心の準備がまだ──」

    「──っていうのは冗談で、割とマジメに出会いが無くってね」

    「仕事ばかりしてたら彼女も出来ず、いつの間にかこんな歳になってたよ」

    「人生って短いもんだなー。もう俺おっさんだよ、流石に誰も貰ってくれないんじゃないか?」

    「……男、さん」

    「ん」

    「まずは元気になって、退院してから考えましょうね」

    「あれっ、なんか、怒ってる?」

    「怒ってません」

    「ええと、何か悪いこと言ったかな、俺」

    「怒ってませんってば!」

    「わたしが貰ってあげますから速く退院してください!」

       すたすた

    「はいはい、すぐ元気になるよ。……ん?」

    123 = 4 :

    ぺろっ……!

    124 = 14 :

    >>121
    つまりこうなるのか…

    125 :

    >>124
    そこはガチャピンだろ…

    126 :

    >>124
    ひちょりだと思ったのに

    127 = 1 :

    「男さん、調子はいかがですか?」

    「幼ちゃんが来てくれたから大分楽だよ」

    「……だから、子供じゃないんです。適当にあしらおうとしないでください」

    「本当に楽なんだって。幼ちゃんがいてくれれば全然辛くないんだ」

    「そ、そんなこと言って。本当に辛い時が来ても、わたしはすぐに駆けつけられませんからね」

    「その時は駆けつけさせるよ、それが仕事だろ?」

    「……まぁ、そうです、仕事ですよ。タオル、替えますね」

    「しかし、あの絵の通りになるとはね」

    「あの絵?」

    「幼ちゃんが描いた、当時で言う未来の絵」

    「未来の……ああ、わたしが男さんを看護してる絵のことですか」

    「今が正にその状況だけど、嬉しいのやら哀しいのやら」

    「あれは違います。今この状態を指してる訳じゃありません」

    「え?」

    「……あれは、その、け、結婚後を描いたモノですから」

    128 = 4 :

    prpr

    129 = 65 :

    しかし幼ちゃんは鍵貰ったのに会いにこなかったんだな…

    130 = 1 :

    「そういえば言ってたね、結婚済みだって」

    「つまり、あの絵の通りではないということです」

    「はは、まるで画家のような強いこだわりだ」

    「──あ。その絵で思い出したことがある」

    「何ですか?」

    「俺ってよく──というより毎回決まって緑色に描かれてたよね」

    「はい、男さんは絶対に緑色で塗っていました。よく覚えてますね」

    「何の恨みだって言いたくなるくらいに緑色で染まってたから、そりゃあ記憶にも残るよ」

    「幼い内は未発達だから色彩感覚が独特だって言うけど。それとは違う?」

    「ちゃんと緑色にした理由はありますよ。そうですね、じゃあちょっとしたクイズにしてみましょうか」

    「クイズか。何かデジャヴだなぁ」

    「……あの時は答えられなかったのに、いとも容易くトイレに向かわせてしまいましたから、リベンジです」

    「ああ、あの時のね、懐かしい」

    「実はあれ、男さんにいじめられたお返しのつもりで、わたしのささやかな抵抗だったんですよ」

    (やっぱり恨んでたんだ)

    131 = 43 :

    >>129
    勉強でそれどころじゃなかった

    133 = 1 :

    「では問題です。その時わたしが出したクイズはどんな内容でしたか?」

    「これって、記憶力テスト?」

    「歴としたクイズです」

    「たしか、幼ちゃんが好きな宝石は何かっていう内容だったよね」

    「正解です。では更に問題を出します」

    「わたしの好きな宝石は一体何でしょう?」

    「えっ。あの時と何ら変わってないクイズを今出す?」

    「今度こそ答えてもらいますよ。もう話の流れで理解できるはずですから」

    「一つだけヒントを出すなら、もちろん、男さんです」

    「……うーん。幼ちゃんが描く絵の俺は、緑色で、宝石──」

    「おっ、ねーちゃん、こんな所にいたのかい」

    「んひゃっ。あ、た、田中さんっ。お部屋でお休みしててくださいって、何度も言ってるじゃないですか!」

    「……それよりも。次、お尻を触ったら、本当に、本当に怒りますよ?」

    「ひえーこわいこわい、美人の面が台無しだなこりゃ」

    (他の患者さんか……)

    134 = 4 :

    pr ぺろ

    135 = 1 :

    「最近全然俺に構ってくれねーと思ったら、他の男と戯れてたって訳か」

    「この方は田中さんと違って、とても素敵な殿方なんです、田中さんと違って」

    「おーおー言ってくれるねぇ」

    「……あの」

    「すみません男さん、話の続きはまた今度でお願いします……」

    「え、えっと」

    「田中さんがいるとあまりにも騒がしくて迷惑ですから、お部屋に戻りましょうねー」

    「なんでぇ。彼氏との間を邪魔されてご機嫌斜めかよ?」

    「田中さんと会う度にご機嫌斜めになってるんです。はい、行きますよ」

       すたすた

    「……手慣れてるなぁ」



    「──なんてな」

    「うわ!? つ、連れて行かれたんじゃないんですか!?」

    「あのねーちゃんはえらく厳しいが、監視はいっつも緩いんだ。抜け出すことくらい造作もねぇや。ありゃ股も緩いぜ、ハハハ!」

    136 = 4 :

    p

    137 = 1 :

    「しかしあんたすげぇなぁ。どうやってあのじゃじゃ馬を手懐けたんだい?」

    「じゃじゃ馬って。何もしてませんよ」

    「そうか。まあ人には好みってのがある。あんたの見えない何かに惹かれたんだろうな」

    「ところであんたは新入りかい?」

    (言葉の選び方が一々下品だ、この人)

    「ええ、まあ」

    「見ねぇ顔だと思ったよ。俺もちょっと前からここの病院で世話になってんだ、肺をやられちまってよ」

    「大丈夫なんですか、ほっつき歩いてて」

    「あんたもあのねーちゃんと似たようなことを言いやがるなぁ。でも、いいんだよ」

    「俺ももうこの歳だ、いつダメになってもおかしくねぇ。だからそれまで好き放題やってるさ」

    「……それは、それでどうなんですかね」

    「──いや、俺はよ、ずっと好き放題やってきたんだ」

    「それこそ悪って感じのことばかりな……」

    「……なぁ、少しだけ、俺の話を聞いてみる気はねぇか?」

    (……聞いてほしいオーラがすごい)

    138 = 4 :

    p

    139 :

    幼ちゃんの親父か

    140 :

    >>139
    お前というやつは……

    141 = 1 :

    「昔の話だけどな。俺は子どもが好きだったんだ、保育士を目指す夢を持つくらいに」

    「そ──うですか」

    (危ない。その顔で、と言いそうになった)

    「子どものどこが良いかって、あの純粋な笑顔が好きでよ。その表情だけを見たいが為に保育士の勉強をしたもんだ」

    「だが、世の中は世知辛ぇ。必死こいて取った国家資格も、職場にさえ就けなきゃ只のゴミだぜ」

    「保育士は女の仕事だから、男の出る幕はねぇ──ってよ。何年も探し回ったが、遂に俺を受け入れてくれる場所は無かった」

    「……いつの間にか時代は変わったよな。今じゃ男女平等に扱う仕事が増えてきてやがる」

    「まともな職にも就けず、子どもの笑顔も見ることが出来ないと悟った俺は、自暴自棄になったんだ」

    「そんで近場の公園を遠い目で見ながら、思い付いたんだよ」

    「──仕事じゃなくても、子どもを笑顔に出来る方法をな」

    「……すみません。先に聞いておきたいんですけど、健全なお話ですか?」

    「まぁ、最後まで聞けよ。そして俺は行動に移した」

    「道行く子ども達にお菓子を買い与えてやってな……」

    「お、思いっきり犯罪じゃないですかっ!?」

    (……しかも、何だかどこかで聞いたような話だ)

    142 = 1 :

    「そりゃおかしい話だってのは俺も充分理解してる。当時の俺はどこかおかしかったんだ」

    「でも今だから言うが、俺は本当に菓子を与えただけだぜ? 手は一切出してないからな?」

    (やっぱり、どこかで)

    「途中で近辺の奴らに不審に思われ始めて、警察が動き出しても、俺は自分を止められなかった」

    「何十万かけても保育士になれなかった俺に対して、たった何百円の菓子と引き替えに与えてくれる子どもの笑顔が眩しすぎたんだ」

    「……ある日のことだ。いつも通り、子どもを標的に俺は街へと繰り出していた」

    「そこにちょうど良く一人の女の子が現れてな。信号が赤になっても青になっても、その場を微動だにしねぇもんでよ」

    「それをきっかけに、俺はその子に話しかけて事情を聞いてみたんだ。そしたら動揺しながらも答えてくれて、どうやらお使いを頼まれていたらしく」

    「更に詳しく話を聞いてみりゃ、目的地がわからず迷っていたそうな」

    「これをチャンスと取った俺は、その子に道案内をしてあげることにしたんだ。たしか、スーパーに行ったんだったっけな」

    「そのスーパーに着いた瞬間、その子は笑顔と共に感謝の言葉を投げ掛けてくれたんだよ。それだけでも充分だったが、そこで俺は調子に乗っちまった」

    「おじさんがお菓子を買ってあげるよ──と」

    「そしたらその子はな、こう返してきたんだ」

    『にーさんのために、どうしてもおつかいをせいこうさせたいんです。なので──』

    『ありがとうございます。でも、ごめんなさい』

    145 = 1 :

    「……」

    「──それまでに出会ってきた子ども達は、お菓子っつったら目をきらきらさせながらホイホイ付いてくる子ばかりだった」

    「だが、その子だけは違ったんだ。何つーか、目つきというか、意志がよ……」

    「大人の俺は人生の道を踏み外してたのに、その子は自分の人生をしっかり自分らしく生きようとしていた」

    「……帰ってから、咽び泣いたよ」

    「俺は一体何をしてるんだろう────」

    「──それからまともな人生を歩むことにしたんだ。職無しだろうがコツコツ稼いで、頑張って生きて」

    「まあ、最終的には婚歴すらないフリーター止まりだけどな。今、こうして入院生活を送ってんだ」

    「……あの時のツケが回ってきたと考えりゃ、俺がここにいるのもおかしくないってことだぜ」

    「……田中さん、でしたっけ」

    「あなたは、その話を他の人に聞いてもらいましたか? たとえば──」

    「いや、ここまで聞いてくれたのはあんたぐらいだな。いろんな奴らに聞かせてきたが、大体が話の途中で犯罪してんじゃねぇって咎めてきて終わっちまう」

    「へへ、久しぶりに話せてスカッとしたぜ。ありがとな」

    「い、いえ」

    (あの時幼ちゃんが道を間違えつつもスーパーに辿り着けたのは、皮肉だけど……この人のお陰だったのか)

    146 = 4 :

    p

    148 = 1 :

    「しかし、その女の子が言ってた“にーさん”ってのは、良く慕われてたんだろうな」

    「あんなに偉い子の傍にいられて羨ましい限りだぜ」

    「……はは」

    「今は、そうだな。看護婦のねーちゃんくらいの歳になってんのか」

    「生きてまたどこかで会えたら、ありがとうって伝えなきゃな……」

    「たぶん、その“にーさん”も田中さんに感謝してますよ」

    「道案内をしてくれてありがとう、って」

    「そうか? へへ、そうだな──」

    「──田中さーん?」

    「おう、ねーちゃん。この男と意気投合した所だぜ。好みのタイプでも聞いといてやろうか?」

    「……お部屋に帰りなさいっ!!」

    「ひっ、ひいいい!?」

    (当分、死にそうにない人だ。……いろんな意味で)

    150 = 14 :

    入院生活の不思議なところは死にそうにない人でも翌朝ぽっくり逝ってたりするところにある


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