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元スレ勇者「俺は勇者様の影武者ですから」
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戦士「断る」
魔法使い「同じく」
僧侶「私もです」
真勇者「な、なんだと!?」
真勇者「俺に逆らったら、魔王討伐の恩賞を得られなくなるだけでは済まんぞ!」
真勇者「お前らの家族、いや故郷ごと俺の一族でもって叩き潰すぞ!」
戦士「……関係ねえよ」
戦士「たしかに俺たち三人は“魔王を倒し、その後影武者を殺す”までを条件に」
戦士「金を受け取り、パーティに加わっちまった……!」
戦士「だがよ……この一年、一緒に必死に戦ってきたコイツを」
戦士「テントでぬくぬくしてたてめえのために殺すなんて」
戦士「できるわけねえだろうがっ!!!」
魔法使い「同じく」
僧侶「私もです」
真勇者「な、なんだと!?」
真勇者「俺に逆らったら、魔王討伐の恩賞を得られなくなるだけでは済まんぞ!」
真勇者「お前らの家族、いや故郷ごと俺の一族でもって叩き潰すぞ!」
戦士「……関係ねえよ」
戦士「たしかに俺たち三人は“魔王を倒し、その後影武者を殺す”までを条件に」
戦士「金を受け取り、パーティに加わっちまった……!」
戦士「だがよ……この一年、一緒に必死に戦ってきたコイツを」
戦士「テントでぬくぬくしてたてめえのために殺すなんて」
戦士「できるわけねえだろうがっ!!!」
魔法使い「それに幸いなことに、勇者様と影武者の彼は瓜二つ」
魔法使い「ここであなたを殺して、あなたの死体を影武者として提出しても」
魔法使い「あなたの一族にもきっと分からないでしょう」
僧侶「申し訳ありませんが、私たちはあなたではなく」
僧侶「影武者の勇者さんこそが勇者として認められるべきだと思っています」
僧侶「子供の頃からあなたの影武者として育てられてきた勇者さんなら」
僧侶「今後あなたになり代わることもたやすいでしょうから」
真勇者「そ、そんな……!」
真勇者「この貧民どもがぁっ……! 俺を裏切る気か……!」
勇者「勇者様」
勇者「あなたの計画は完璧だった。ですが、失敗に終わります!」
真勇者「ひっ……!」
戦士「そういうことだ」チャキッ
戦士「あばよ、勇者の血を引くニセ勇者様よぉっ!」
ブオンッ!
魔法使い「ここであなたを殺して、あなたの死体を影武者として提出しても」
魔法使い「あなたの一族にもきっと分からないでしょう」
僧侶「申し訳ありませんが、私たちはあなたではなく」
僧侶「影武者の勇者さんこそが勇者として認められるべきだと思っています」
僧侶「子供の頃からあなたの影武者として育てられてきた勇者さんなら」
僧侶「今後あなたになり代わることもたやすいでしょうから」
真勇者「そ、そんな……!」
真勇者「この貧民どもがぁっ……! 俺を裏切る気か……!」
勇者「勇者様」
勇者「あなたの計画は完璧だった。ですが、失敗に終わります!」
真勇者「ひっ……!」
戦士「そういうことだ」チャキッ
戦士「あばよ、勇者の血を引くニセ勇者様よぉっ!」
ブオンッ!
勇者「やめろっ!!!」
戦士「!?」ピタッ
真勇者「!?」
戦士「な、なんで止めるんだよ!」
戦士「このクソヤロウの計画が失敗に終わるっていったのは、お前だろ?」
勇者「ああ、そうだ。計画は失敗に終わる」
戦士「……どういう意味だよ」
勇者「つまり、勇者様の計画は──」
勇者「本来ここで俺を殺す予定になっていたお前たち三人が」
勇者「契約を破って勇者様を殺すよう仕向けること、だったからだ」
戦士「は!?」
魔法使い「なっ……!?」
僧侶「え……」
勇者「……そうでしょう、勇者様?」
戦士「!?」ピタッ
真勇者「!?」
戦士「な、なんで止めるんだよ!」
戦士「このクソヤロウの計画が失敗に終わるっていったのは、お前だろ?」
勇者「ああ、そうだ。計画は失敗に終わる」
戦士「……どういう意味だよ」
勇者「つまり、勇者様の計画は──」
勇者「本来ここで俺を殺す予定になっていたお前たち三人が」
勇者「契約を破って勇者様を殺すよう仕向けること、だったからだ」
戦士「は!?」
魔法使い「なっ……!?」
僧侶「え……」
勇者「……そうでしょう、勇者様?」
やはり勇者様はイケメンだった
影勇者達がボコボコにされてるところに真勇者が登場して魔王ボコボコする展開期待してたんだがこっちも悪くない
影勇者達がボコボコにされてるところに真勇者が登場して魔王ボコボコする展開期待してたんだがこっちも悪くない
真勇者「なにをバカなこといってやがる!」
真勇者「そんなもん、ただの自殺じゃねえか!」
真勇者「俺の目的は影武者であるお前を殺し、唯一無二の勇者になることだ!」
勇者「そう、それこそがあなたの一族の計画だった」
勇者「しかし、あなたは一族に抗うため、この三人が自分を殺すよう仕向けた!」
魔法使い「なにいってるんだよ!」
魔法使い「この本物の勇者様ははっきりいって最低の人間だ」
魔法使い「一年間一緒に旅してきて、いい人だなんて思ったことは一度もなかった!」
魔法使い「そんな人が、なんで自分が死ぬような計画を……」
勇者「簡単な話だ」
勇者「最低な人間を演じなければ、君たち三人は勇者様を裏切れないからだ」
勇者「もし勇者様が旅の途中、俺や君たちにわずかでも情をかけていたら」
勇者「君たちは勇者様を裏切れなくなってしまっただろう」
勇者「仮に裏切ったとしても──」
勇者「勇者様を裏切ったことによる罪悪感は、多大なものになっていただろうからね」
真勇者「そんなもん、ただの自殺じゃねえか!」
真勇者「俺の目的は影武者であるお前を殺し、唯一無二の勇者になることだ!」
勇者「そう、それこそがあなたの一族の計画だった」
勇者「しかし、あなたは一族に抗うため、この三人が自分を殺すよう仕向けた!」
魔法使い「なにいってるんだよ!」
魔法使い「この本物の勇者様ははっきりいって最低の人間だ」
魔法使い「一年間一緒に旅してきて、いい人だなんて思ったことは一度もなかった!」
魔法使い「そんな人が、なんで自分が死ぬような計画を……」
勇者「簡単な話だ」
勇者「最低な人間を演じなければ、君たち三人は勇者様を裏切れないからだ」
勇者「もし勇者様が旅の途中、俺や君たちにわずかでも情をかけていたら」
勇者「君たちは勇者様を裏切れなくなってしまっただろう」
勇者「仮に裏切ったとしても──」
勇者「勇者様を裏切ったことによる罪悪感は、多大なものになっていただろうからね」
僧侶「で、ですが……」
僧侶「この人が私たちのイメージのような悪い人間ではない、という」
僧侶「証拠はあるんですか?」
勇者「ある」
勇者「勇者様、いつも身につけてるその豪華な鎧……今すぐ脱いで下さい」
真勇者「……断る」
真勇者「なんで、お前らなんぞに高貴なる俺の肉体を──」
勇者「じゃあ俺がムリヤリ脱がします」ガチャガチャ…
真勇者「や、やめろぉぉぉっ!」
すると──
戦士「なっ……!?」
魔法使い「ウソだ……!」
僧侶「これは……」
僧侶「この人が私たちのイメージのような悪い人間ではない、という」
僧侶「証拠はあるんですか?」
勇者「ある」
勇者「勇者様、いつも身につけてるその豪華な鎧……今すぐ脱いで下さい」
真勇者「……断る」
真勇者「なんで、お前らなんぞに高貴なる俺の肉体を──」
勇者「じゃあ俺がムリヤリ脱がします」ガチャガチャ…
真勇者「や、やめろぉぉぉっ!」
すると──
戦士「なっ……!?」
魔法使い「ウソだ……!」
僧侶「これは……」
真勇者の首から下は、無傷と呼べる箇所がないほどのありさまだった。
真勇者「くっ……!」
戦士「なんでだ……」
戦士「なんでだよ!? アンタ、人知れずだれかと戦ってたってのか!?」
勇者「いや、そうじゃない」
勇者「勇者様……」
勇者「あなたがいつも俺に、どう戦ったか詳しく話すよういっていたのは」
勇者「俺が負った傷を、自分の体にも同じようにつけるためだったんでしょう?」
真勇者「…………」
真勇者「くっ……!」
戦士「なんでだ……」
戦士「なんでだよ!? アンタ、人知れずだれかと戦ってたってのか!?」
勇者「いや、そうじゃない」
勇者「勇者様……」
勇者「あなたがいつも俺に、どう戦ったか詳しく話すよういっていたのは」
勇者「俺が負った傷を、自分の体にも同じようにつけるためだったんでしょう?」
真勇者「…………」
>>126
その展開もいいな
その展開もいいな
まぁなんだ、魔法使いはショタなのかボクっ娘なのかそこが気になるわな
僧侶(私が本物の勇者様を回復したことは一度もない……)
僧侶「これほど多くの傷、魔法で回復もせずに放置していたら」
僧侶「今やまともに体を動かすことすら困難のはずでは──」ハッ
僧侶「ま、まさか……」
僧侶「旅が進むにつれて、あまり動かなくなったり、顔色を悪くされていたのは……!」
勇者「ああ」
勇者「全て自傷行為による体調悪化によるものだろう」
勇者「勇者様は怠けるフリでごまかしていたがね」
勇者「僧侶が体に触れることを拒んだのも、おそらくそのためだ」
勇者「体に直接触れれば、僧侶なら勇者様の体調に気づいてしまうだろうから」
真勇者「…………」
僧侶「これほど多くの傷、魔法で回復もせずに放置していたら」
僧侶「今やまともに体を動かすことすら困難のはずでは──」ハッ
僧侶「ま、まさか……」
僧侶「旅が進むにつれて、あまり動かなくなったり、顔色を悪くされていたのは……!」
勇者「ああ」
勇者「全て自傷行為による体調悪化によるものだろう」
勇者「勇者様は怠けるフリでごまかしていたがね」
勇者「僧侶が体に触れることを拒んだのも、おそらくそのためだ」
勇者「体に直接触れれば、僧侶なら勇者様の体調に気づいてしまうだろうから」
真勇者「…………」
真勇者「いつ……気づいた?」
勇者「……旅を始めて半年ぐらい経った頃です」
魔法使い(そういえば、その頃からボクらが傷を負うことも多くなったっけ……)
勇者「奇しくもあなたが前におっしゃったように」
勇者「俺と勇者様は、子供の頃からの付き合いです」
勇者「だから……気づくことができたんです」
戦士「だけど、なんで勇者様は自分の体を傷つけるようなマネをしてたんだ……?」
真勇者「……共有したかったからさ」
真勇者「俺は勇者の血を引きながら、戦いの才能はこれっぽっちもない」
真勇者「いつも代わりにお前たちを戦わせて……」
真勇者「情けなくて、悔しくて、申し訳なかった……」
真勇者「一緒に旅をしてて、そんな感情に俺自身、押し潰されそうだった」
真勇者「だから──」
勇者「……旅を始めて半年ぐらい経った頃です」
魔法使い(そういえば、その頃からボクらが傷を負うことも多くなったっけ……)
勇者「奇しくもあなたが前におっしゃったように」
勇者「俺と勇者様は、子供の頃からの付き合いです」
勇者「だから……気づくことができたんです」
戦士「だけど、なんで勇者様は自分の体を傷つけるようなマネをしてたんだ……?」
真勇者「……共有したかったからさ」
真勇者「俺は勇者の血を引きながら、戦いの才能はこれっぽっちもない」
真勇者「いつも代わりにお前たちを戦わせて……」
真勇者「情けなくて、悔しくて、申し訳なかった……」
真勇者「一緒に旅をしてて、そんな感情に俺自身、押し潰されそうだった」
真勇者「だから──」
<勇者専用テント>
真勇者『今日の戦いは、と』
真勇者『まず下腹部にドクロ騎士から一撃を浴びたんだったな……』ス…
ドスッ……!
真勇者『ぐうっ……!』ブシュウ…
真勇者『次は……ゴブリンから顔面に一撃をもらったっていってたな』
真勇者『顔面にやったらバレるから、代わりに肩にしとくか……』ブンッ
ガツンッ!
真勇者『ぐうぅっ……いてぇぇぇ……!』ズキィ…
真勇者『だがこんなもの、アイツらが受けた痛みに比べれば……!』
真勇者『次は──』
ザクッ……!
真勇者『今日の戦いは、と』
真勇者『まず下腹部にドクロ騎士から一撃を浴びたんだったな……』ス…
ドスッ……!
真勇者『ぐうっ……!』ブシュウ…
真勇者『次は……ゴブリンから顔面に一撃をもらったっていってたな』
真勇者『顔面にやったらバレるから、代わりに肩にしとくか……』ブンッ
ガツンッ!
真勇者『ぐうぅっ……いてぇぇぇ……!』ズキィ…
真勇者『だがこんなもの、アイツらが受けた痛みに比べれば……!』
真勇者『次は──』
ザクッ……!
>>138
いい人ってか熱い人かと
いい人ってか熱い人かと
僧侶「この一年、ずっとそんなことを繰り返していたなんて……!」
真勇者「そんな憐れむような目で見るなよ……」
真勇者「あくまで俺自身のやましさを解消するためにやってたことだ」
真勇者「俺が自分を傷つけたところで、魔王討伐のなんの足しにもならねえしな」
勇者「そして徹底して悪人を演じ──」
勇者「俺の始末までを命じられた戦士たち三人が、あなたを裏切るよう仕向け」
勇者「俺を勇者にするというシナリオだったんですね」
真勇者「ふん……ま、そんなとこだ」
真勇者「俺はうんざりしてた」
真勇者「勇者の血を引いておきながら、戦いの才能がない俺にも」
真勇者「用が済んだら始末するつもりの影武者を立ててまで」
真勇者「勇者の子孫という名誉にしがみつこうとする──」
真勇者「俺の一族にもな」
真勇者「そんな憐れむような目で見るなよ……」
真勇者「あくまで俺自身のやましさを解消するためにやってたことだ」
真勇者「俺が自分を傷つけたところで、魔王討伐のなんの足しにもならねえしな」
勇者「そして徹底して悪人を演じ──」
勇者「俺の始末までを命じられた戦士たち三人が、あなたを裏切るよう仕向け」
勇者「俺を勇者にするというシナリオだったんですね」
真勇者「ふん……ま、そんなとこだ」
真勇者「俺はうんざりしてた」
真勇者「勇者の血を引いておきながら、戦いの才能がない俺にも」
真勇者「用が済んだら始末するつもりの影武者を立ててまで」
真勇者「勇者の子孫という名誉にしがみつこうとする──」
真勇者「俺の一族にもな」
回復魔法なしで生きてられる程度の傷って影勇者どんだけ避けてんだよ
真勇者「なるべくお前たち三人には罪悪感を与えたくなかったから」
真勇者「お荷物のクソヤロウのまま殺されたかったが、こうなったらしかたねえ」
真勇者「もう一度命令する」
真勇者「戦士、魔法使い、僧侶……俺を殺せ!」
真勇者「俺を殺さなきゃ、アイツを殺さなきゃならなくなるぞ!」
真勇者「死体も見せずに納得するほど、俺の親父たちは甘くねえ!」
真勇者「契約を破れば、本当にお前らの実家や故郷は破滅させられるぞ!」
戦士(くそう……!)
魔法使い(ずっと一緒に戦ってきた勇者さんを殺すなんてできない!)
魔法使い(だけどこんな話を聞いてしまったら、本物の勇者様を殺すことも──!)
僧侶(神よ、私たちはどうすれば……!)
真勇者「お荷物のクソヤロウのまま殺されたかったが、こうなったらしかたねえ」
真勇者「もう一度命令する」
真勇者「戦士、魔法使い、僧侶……俺を殺せ!」
真勇者「俺を殺さなきゃ、アイツを殺さなきゃならなくなるぞ!」
真勇者「死体も見せずに納得するほど、俺の親父たちは甘くねえ!」
真勇者「契約を破れば、本当にお前らの実家や故郷は破滅させられるぞ!」
戦士(くそう……!)
魔法使い(ずっと一緒に戦ってきた勇者さんを殺すなんてできない!)
魔法使い(だけどこんな話を聞いてしまったら、本物の勇者様を殺すことも──!)
僧侶(神よ、私たちはどうすれば……!)
真勇者「迷うなっ!」
真勇者「勇気を振り絞り、先頭に立って魔王軍に挑んだのはだれだ!?」
真勇者「魔王に怯える人々や、共に戦うお前らに勇気を与えたのは、だれだ!?」
真勇者「影武者であるコイツだろうがっ!」
真勇者「いや、コイツは影武者なんかじゃない、本物の勇者なんだ!」
真勇者「一方の俺は何もしていない……勇者でもなんでもないんだ……!」
真勇者「勇者と勇者でないヤツ、どっちが生き残るべきか、だれだって分かる!」
真勇者「さあ、早く俺を殺せっ!」
戦士「ぐっ……!」
魔法使い「うぅっ……!」
僧侶「ですが……!」
勇者「待って下さい、勇者様」
真勇者「勇気を振り絞り、先頭に立って魔王軍に挑んだのはだれだ!?」
真勇者「魔王に怯える人々や、共に戦うお前らに勇気を与えたのは、だれだ!?」
真勇者「影武者であるコイツだろうがっ!」
真勇者「いや、コイツは影武者なんかじゃない、本物の勇者なんだ!」
真勇者「一方の俺は何もしていない……勇者でもなんでもないんだ……!」
真勇者「勇者と勇者でないヤツ、どっちが生き残るべきか、だれだって分かる!」
真勇者「さあ、早く俺を殺せっ!」
戦士「ぐっ……!」
魔法使い「うぅっ……!」
僧侶「ですが……!」
勇者「待って下さい、勇者様」
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